JP7346248B2 - 白色印刷用インクジェットインク - Google Patents
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Description
従来の白色のインクジェットインクには、着色剤として、高い隠蔽力と着色力とを有する白色顔料である酸化チタンなどを配合するのが一般的である(特許文献1等参照)。
すなわち、まずガラス転移温度Tg(℃)を求めるモノマーを単独で重合させて、当該モノマーのホモポリマーからなる測定用のサンプルを作製する。
この際、積算照射量は、International Light Technologies社製のIL390B放射計を用いて測定する。
上記測定方法は、多官能モノマー、単官能モノマーのメーカーであるARKEMA(アルケマ)社のカタログに記載の測定方法に準拠したものである。
すなわち、ラジカル重合性成分が硬化反応して、文字などを形成する硬化物が生成される。
しかも本発明によれば、後述する実施例、比較例の結果からも明らかなように、多官能モノマーとして高Tg多官能モノマーを選択して用いることによって、硬化物の多孔質化による文字などの白色化の度合い、つまり白色度を高めることができる。
そして、たとえば、ベタ面を印刷した際に色むらが目立ったり、バーコードを印刷した際に掠れや欠けを生じたりするのを抑制することができる。
なお、硬化物をより確実に多孔質化して、文字などの白色度、および隠蔽性をさらに高めるためには、硬化反応の進行から遅れて揮発性溶剤が揮発するのが好ましく、とくに硬化反応がほぼ終了した後に揮発性溶剤が揮発するのが好ましい。
また本発明では、多官能モノマーとともに単官能モノマーを併用することで、文字などを形成する硬化物に適度の柔軟性を付与することができる。
そのため、たとえば、紙やフィルム等の柔軟な被印刷体の表面に印刷した文字などの、当該被印刷体の屈曲に対する追従性を高めて、被印刷体を屈曲した際等に文字などが剥離したりするのを抑制することもできる。
その結果、硬化物をより確実に多孔質化して、文字などの白色度と隠蔽性を、さらに高めることができる。
なお本発明において、前述したように高Tg多官能モノマーの割合が、多官能モノマーの総量中の50質量%以上に限定されるのは、下記の理由による。
これに対し、高Tg多官能モノマーの割合を上記の範囲とすることにより、文字などの白色度を高めて、隠蔽性に優れた白色の文字などを印刷することが可能となる。
すなわち単官能モノマーの割合がこの範囲未満では、当該単官能モノマーを併用することによる、硬化物に適度の柔軟性を付与したり、硬化反応の速度を高めたり、白色印刷用インクジェットインクの全体の粘度が高くなるのを抑制したりする効果が得られない場合がある。
また、三次元網目状構造のもとになる多官能モノマーが不足し、形成される三次元網目状構造が粗になって、硬化物の強靭性や、文字などの耐擦過性が不足する場合もある。
さらに本発明において、揮発性溶剤の割合が、ラジカル重合性成分の総量に対して50質量%以上、400質量%以下に限定されるのは、下記の理由による。
また前述したように、粘度低下に寄与する揮発性溶剤の割合が不足することにもなるため、全体の粘度が、白色印刷用インクジェットインクとして適した範囲を超えてしまい、インクジェットプリンタのノズルから良好に吐出できない不良を生じる場合もある。
これに対し、揮発性溶剤の割合を上記の範囲とすれば、白色印刷用インクジェットインクの全体の粘度を吐出に適した範囲に抑制して吐出不良の発生を抑えつつ、十分な厚みを有し耐擦過性に優れる上、白色度や隠蔽性の高い文字などを印刷することができる。
〈高Tg多官能モノマー〉
高Tg多官能モノマーとしては、1分子中にラジカル重合性基を2つ以上有する、すなわち2官能以上で、かつガラス転移温度Tgが60℃以上の種々のモノマーを用いることができる。
(2官能アクリレート)
ARKEMA社製のSARTOMER(サートマー、登録商標)シリーズのうち、SR212〔1,3-ブチレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:101℃〕、SR230〔ジエチレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:100℃〕、SR247〔ネオペンチルグリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:107℃〕、SR306H〔トリプロピレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:62℃〕、SR306NS〔トリプロピレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:62℃〕、SR349〔エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート、ガラス転移温度Tg:67℃〕、SR349NS〔エトキシ化(3)ビスフェノールAジアクリレート、ガラス転移温度Tg:67℃〕、SR508〔ジプロピレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:104℃〕、SR508NS〔ジプロピレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:104℃〕、CD595〔ドデカンジアクリレート、ガラス転移温度Tg:91℃〕、SR601〔エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、ガラス転移温度Tg:60℃〕、SR601NS〔エトキシ化(4)ビスフェノールAジアクリレート、ガラス転移温度Tg:60℃〕、SR833〔トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:186℃〕、SR833NS〔トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:186℃〕、
日本化薬(株)製のKAYARAD(カヤラッド、登録商標)シリーズのうち、NPGDA〔ネオペンチルグリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:107℃〕。
(2官能メタクリレート)
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR101〔エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:122℃〕、SR231〔ジエチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:66℃〕、SR231NS〔ジエチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:66℃〕、SR297〔1,3-ブチレンジオールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:85℃〕、CD540〔エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:108℃〕、SR540〔エトキシ化(4)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:108℃〕。
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR368〔トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネートトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:272℃〕、SR368NS〔トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネートトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:272℃〕、SR444〔ペンタエリスリトールトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:103℃〕、SR444NS〔ペンタエリスリトールトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:103℃〕、SR351〔トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:62℃〕、SR351S〔トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:62℃〕、SR351NS〔トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:62℃〕。
共栄社化学(株)製のライトアクリレートシリーズのうち、TMP-A〔トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:62℃〕、PE-3A〔ペンタエリスリトールトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:103℃〕。
(4官能アクリレート)
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR295〔ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ガラス転移温度Tg:103℃〕、SR295NS〔ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ガラス転移温度Tg:103℃〕、SR355〔ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ガラス転移温度Tg:98℃〕、SR355NS〔ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ガラス転移温度Tg:98℃〕。
新中村化学工業(株)製のA-TMMT〔ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ガラス転移温度Tg:103℃〕、AD-TMP〔ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ガラス転移温度Tg:98℃〕。
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR399〔ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ガラス転移温度Tg:90℃〕、SR399NS〔ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ガラス転移温度Tg:90℃〕、SR9041〔ペンタアクリレートエステル、ガラス転移温度Tg:102℃〕。
とくに3官能以上で、かつガラス転移温度Tgが200℃以上、300℃以下である化合物、あるいは4官能以上で、かつガラス転移温度Tgが100℃以上、200℃未満である化合物等を選択して用いるのがより一層好ましい。
単官能モノマーとしては、上記高Tg多官能モノマーと共重合可能な、1分子中にラジカル重合性基を1つのみ有する種々のモノマーを用いることができる。
単官能モノマーの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種化合物等の1種または2種以上を用いることができる。
式(1)
で表されるN-ビニルラクタムモノマー。
N-ビニルラクタムモノマーの具体例としては、たとえば、式(1)中のnが3である、式(1-1):
N-ビニルラクタムモノマーは、文字などを形成する硬化物の、被印刷体の表面に対する定着性と、それに伴う耐擦過性とを高める効果に優れている。
そのため、紙やフィルム等の柔軟な被印刷体の表面に印刷した文字などの、当該被印刷体の屈曲に対する追従性をさらに向上して、被印刷体を屈曲した際等に文字などが剥離したりするのをより一層良好に抑制することもできる。
とくに式(1-2)のVCAPは、これらの効果に優れており、単官能モノマーとして好適に用いることができる。
単官能モノマーとしては、N-ビニルラクタムモノマーとともに、あるいはN-ビニルラクタムモノマーに代えて、他の単官能モノマーを用いることもできる。
後述するように、白色印刷用インクジェットインクがさらにバインダ樹脂を含む場合、N-ビニルラクタムモノマーはバインダ樹脂との相性が悪く、併用が難しいため、当該N-ビニルラクタムモノマーに代えて、それ以外の他の単官能モノマーを用いることが好ましい。
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR217NS〔4-tert-ブチルシクロヘキサノールアクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR256〔2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-54℃〕、SR257〔ステアリルアクリレート、ガラス転移温度Tg:35℃〕、SR285〔テトラヒドロフルフリルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-15℃〕、SR335〔ラウリルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-30℃〕、SR339A〔2-フェノキシエチルアクリレート、ガラス転移温度Tg:5℃〕、SR339NS〔2-フェノキシエチルアクリレート、ガラス転移温度Tg:5℃〕、SR395〔イソデシルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-60℃〕、SR395NS〔イソデシルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-60℃〕、SR420NS〔3,3,5-トリメチルシクロヘキサノールアクリレート、ガラス転移温度Tg:29℃〕、SR440〔イソオクチルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-54℃〕、SR484〔オクチル/デシルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-57℃〕、SR489〔トリデシルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-55℃〕、SR489D〔トリデシルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-55℃〕、SR495〔カプロラクトンアクリレート、ガラス転移温度Tg:-53℃〕、SR495NS〔カプロラクトンアクリレート、ガラス転移温度Tg:-53℃〕、SR504〔エトキシ化ノニルフェノールアクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR504NS〔エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート、ガラス転移温度Tg:-27℃〕、SR506〔イソボルニルアクリレート、ガラス転移温度Tg:88℃〕、SR506NS〔イソボルニルアクリレート、ガラス転移温度Tg:88℃〕、SR531〔環状トリメチロールプロパンフォルマルアクリレート、ガラス転移温度Tg:32℃〕、SR551〔メトキシポリエチレングリコール(350)モノアクリレート、ガラス転移温度Tg:-57℃〕、SR611〔アルコキシ化テトラヒドロフルフリルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-51℃〕、CD614〔アルコキシ化ノニルフェニルアクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、CD9075〔アルコキシ化ラウリルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-45℃〕、SR9087〔アルコキシ化フェノールアクリレート、ガラス転移温度Tg:-24℃〕、CD9087〔アルコキシ化2-フェノキシエチルアクリレート、ガラス転移温度Tg:-23.5℃〕。
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR203〔テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:23℃〕、SR242〔イソデシルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR313〔ラウリルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-65℃〕、SR313NS〔ラウリルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-28℃〕、SR324〔ステアリルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:38℃〕、SR324NS〔ステアリルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:38℃〕、SR340〔2-フェノキシエチルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:54℃〕、CD421〔3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:145℃〕、SR423〔イソボルニルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:110℃〕、SR423NS〔イソボルニルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:110℃〕、SR493〔トリデシルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-32℃〕、SR493D〔トリデシルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-40℃〕、CD535〔ジシクロペンタジエニルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:91℃〕、CD545〔ジエチレングリコールメチルエーテルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:57℃〕、SR550〔メトキシポリエチレングリコール(350)モノメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-62℃〕、CD550〔メトキシポリエチレングリコール(350)モノメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-62℃〕、CD552〔メトキシポリエチレングリコール(550)モノメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-65℃〕、SR604〔ポリプロピレングリコールモノメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、CD730〔トリエチレングリコールエチルエーテルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-7℃〕。
2-ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、エポキシアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、メトキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、サイクリックトリメチロールプロパンフォルマールアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシ化フェニルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコールアクリレート、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、ラクトン変性アクリレート、イソアミルアクリレート、イソミリスチルアクリレート、イソステアリルアクリレート、ラクトン変性アクリレート等のアクリレート化合物;メチルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート等のメタクリレート化合物。
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、n-オクタデシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4-メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2-ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、2-ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、4-ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、イソプロペニルエーテル-O-プロピレンカーボネート。
(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-sec-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、1-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-(メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル](メタ)アクリルアミド、N-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)(メタ)アクリルアミド、4-(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミド。
高Tg多官能モノマー、単官能モノマーと併用してもよい他のラジカル重合性成分としては、たとえば、1分子中にラジカル重合性基を2つ以上有する2官能以上で、かつガラス転移温度Tgが60℃未満の多官能モノマーや、オリゴマー等が挙げられる。
このうち2官能以上で、かつガラス転移温度Tgが60℃未満の他の多官能モノマーの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種化合物等の1種または2種以上を用いることができる。
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR213〔1,4-ブタンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:45℃〕、SR238F〔1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:43℃〕、SR238NS〔1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:43℃〕、SR259〔ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、ガラス転移温度Tg:13℃〕、SR268〔テトラエチレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:23℃〕、SR272〔トリエチレングリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:48℃〕、SR344〔ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ガラス転移温度Tg:3℃〕、SR344NS〔ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、ガラス転移温度Tg:-25℃〕、CD406〔シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:21℃〕、CD560〔アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:1.5℃〕、CD561〔アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:-38℃〕、SR562〔アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:37℃〕、CD563〔アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:14℃〕、CD564〔アルコキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:14℃〕、SR602〔エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、ガラス転移温度Tg:2℃〕、SR602NS〔エトキシ化(10)ビスフェノールAジアクリレート、ガラス転移温度Tg:2℃〕、SR610〔ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ガラス転移温度Tg:-42℃〕、SR610NS〔ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ガラス転移温度Tg:-42℃〕、SR833S〔トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR9003〔プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:32℃〕、SR9003NS〔プロポキシ化(2)ネオペンチルグリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:32℃〕、SR9038〔エトキシ化(30)ビスフェノールAジアクリレート、ガラス転移温度Tg:-42℃〕、CD9043〔アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:-35℃〕、SR9045〔アルコキシ化ネオペンチルグリコールジアクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR9209〔アルコキシ化脂肪酸ジアクリレート、ガラス転移温度Tg:48℃〕。
共栄社化学(株)製のLIGHT ACRYLATEシリーズのうち、3EG-A〔トリエチレングリコールジアクリレート〕、4EG-A〔PEG200#ジアクリレート〕、9EG-A〔PEG400#ジアクリレート〕、14-EG-A〔PEG600#ジアクリレート〕、PTMGA-250〔ポリテトラメチレングリコ―ルジアクリレート〕、MPD-A〔3-メチル-1,5-ペンタンジオールジアクリレート〕、1.6HX-A〔1,6-ヘキサンジオールジアクリレート〕、1.9ND-A〔1,9-ノナンジオールジアクリレート〕、DCP-A〔ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート〕、BP-4EAL〔ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート〕、BP-4PA〔ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート〕、HPP-A〔ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物〕。
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR150〔エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR205〔トリエチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR205NS〔トリエチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-8℃〕、SR206〔エチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR206NS〔エチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:58℃〕、SR209〔テトラエチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-8℃〕、SR210〔ポリエチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR210NS〔ポリエチレングリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR214〔1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR214NS〔1,4-ブタンジオールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:55℃〕、SR239NS〔1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:30℃〕、SR248〔ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR252〔ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR252NS〔ポリエチレングリコール(600)ジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-39℃〕、SR262〔1,12-ドデカンジオールジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-37℃〕、SR348〔エトキシ化(2)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR348NS〔エトキシ化(2)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:6℃〕、SR480〔エトキシ化(10)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-1℃〕、SR480NS〔エトキシ化(10)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-1℃〕、CD541〔エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:54℃〕、SR541〔エトキシ化(6)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:54℃〕、CD542〔エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕、SR603〔ポリエチレングリコール(400)ジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-21℃〕、SR644〔ポリプロピレングリコール(400)ジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-5℃〕、SR740〔ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-118℃〕、SR9036〔エトキシ化(30)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-43℃〕。
共栄社化学(株)製のライトエステルG-201P〔2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ガラス転移温度Tg:-118℃〕、SR9036〔エトキシ化(30)ビスフェノールAジメタクリレート、ガラス転移温度Tg:なし〕。
(3官能アクリレート)
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR415〔エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:38℃〕、SR454〔エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-40℃〕、SR454NS〔エトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-40℃〕、SR492〔プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-15℃〕、SR492TFN〔プロポキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-15℃〕、SR499〔エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-8℃〕、SR499NS〔エトキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-8℃〕、CD501〔プロポキシ化(6)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-2℃〕、SR502〔エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-19℃〕、SR502NS〔エトキシ化(9)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-19℃〕、SR9020〔プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:18℃〕、SR9020NS〔プロポキシ化(3)グリセリルトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:18℃〕、CD9021〔高プロポキシ化(5.5)グリセリルトリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-11℃〕、SR9035〔エトキシ化(15)トリメチロールプロパントリアクリレート、ガラス転移温度Tg:-32℃〕。
(3官能メタクリレート)
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR350〔トリメチロールプロパントリメタクリレート、ガラス転移温度Tg:27℃〕、SR350NS〔トリメチロールプロパントリメタクリレート、ガラス転移温度Tg:27℃〕。
ARKEMA社製のSARTOMERシリーズのうち、SR494〔エトキシ化(4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート、4官能、ガラス転移温度Tg:2℃〕、SR494NS〔アルコキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、4官能、ガラス転移温度Tg:2℃〕、DPHA NS〔ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、6官能、ガラス転移温度Tg:なし〕。
新中村化学工業(株)製のA-DHP〔ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、6官能〕。
〈ラジカル重合性成分の割合〉
前述したように、高Tg多官能モノマーの割合は、多官能モノマーの総量中の50質量%以上に限定される。
すなわち、高Tg多官能モノマーの割合を上記の範囲とすることにより、硬化物の多孔質化による文字などの白色度を高めて、隠蔽性の高い白色の文字などを印刷することが可能となる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、高Tg多官能モノマーの割合は、上記の範囲でも、多官能モノマーの総量中の60質量%以上であるのが好ましく、とくに65質量%以上であるのが好ましい。
つまり高Tg多官能モノマーの割合は、多官能モノマーの総量中の100質量%であってもよい。
高Tg多官能モノマーの割合を、多官能モノマーの総量中の100質量%とすれば、硬化物の多孔質化による文字などの白色度をさらに向上して、より一層隠蔽性の高い白色の文字などを印刷することが可能となる。
高Tg多官能モノマーの割合がこの範囲未満では、前述した、当該高Tg多官能モノマーを選択して用いることによる、文字などの白色度、および隠蔽性を高める効果が得られない場合がある。
これに対し、高Tg多官能モノマーの割合を上記の範囲とすることにより、文字などの耐擦過性の不足を抑制しながら、当該文字などの白色度や隠蔽性をさらに高めることが可能となる。
他の多官能モノマーの割合は、白色印刷用インクジェットインクの総量中の17質量%以下、とくに13質量%以下であるのが好ましい。
また、相対的に単官能モノマーの割合が少なくなって、硬化物に適度の柔軟性を付与したり、硬化反応の速度を高めたり、白色印刷用インクジェットインクの粘度を抑制したりする効果が得られない場合もある。
すなわち、他の多官能モノマーの割合は、白色印刷用インクジェットインクの総量中の0質量%であってもよい。
この理由は、先に説明したとおりである。
すなわち、単官能モノマーの割合を上記の範囲とすることにより、当該単官能モノマーを併用することによる効果を維持し、なおかつ硬化物の強靭性や文字などの耐擦過性の不足を抑制しながら、当該文字などの白色度や隠蔽性をさらに高めることが可能となる。
また、単官能モノマーの割合は、白色印刷用インクジェットインクの総量中の6.5質量%以上であるのが好ましく、32質量%以下であるのが好ましい。
すなわち、硬化物に適度の柔軟性を付与したり、硬化反応の速度を高めたり、白色印刷用インクジェットインクの粘度を抑制したりする効果が得られないことがある。
一方、単官能モノマーの割合が上記の範囲を超える場合には、三次元網目状構造のもとになる多官能モノマーが不足し、形成される三次元網目状構造が粗になって、硬化物の強靭性や文字などの耐擦過性が不足する場合がある。
これに対し、単官能モノマーの割合を上記の範囲とすることにより、当該単官能モノマーを併用することによる効果を維持し、なおかつ硬化物の強靭性や文字などの耐擦過性の不足を抑制しながら、当該文字などの白色度や隠蔽性をさらに高めることが可能となる。
《バインダ樹脂》
本発明の白色印刷用インクジェットインクには、被印刷体の表面に対する文字などの定着性と、それに伴う耐擦過性とを高めるために、バインダ樹脂を配合してもよい。
かかるバインダ樹脂としては、特に揮発性溶剤への溶解性に優れた各種の、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、およびフェノール樹脂が挙げられる。
これらのバインダ樹脂等の、1種または2種以上を用いることができる。
〈ポリアミド樹脂〉
ポリアミド樹脂としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種ポリアミド樹脂等の1種または2種以上を用いることができる。
〈アクリル樹脂〉
アクリル樹脂としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種アクリル樹脂等の1種または2種以上を用いることができる。
〈フェノール樹脂〉
フェノール樹脂としては、とくに熱可塑性樹脂であるノボラック樹脂が好ましく、ノボラック樹脂としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種ノボラック樹脂等の1種または2種以上を用いることができる。
バインダ樹脂の割合は、白色印刷用インクジェットインクの総量中の1質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下であるのが好ましい。
一方、バインダ樹脂の割合が上記の範囲を超える場合には、とくに白色印刷用インクジェットインクをサーマル方式のインクジェットプリンタに使用した際に、いわゆるコゲーションを生じる場合がある。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、バインダ樹脂の割合は、上記の範囲でも、白色印刷用インクジェットインクの総量中の1.5質量%以上であるのが好ましく、8質量%以下であるのが好ましい。
揮発性溶剤としては、ラジカル重合性成分やバインダ樹脂を良好に溶解または分散できる上、揮発性を有する種々の揮発性溶剤を用いることができる。
とくに、被印刷体の表面に印刷後、好ましくはラジカル重合性成分の硬化反応の進行から遅れて、とくに硬化反応がほぼ終了した後に揮発しうる揮発性溶剤が好ましい。
〈炭素数1~3のアルコール〉
とくに揮発性溶剤としては、上述した適度の揮発性を有する上、インクジェットプリンタのヘッドにダメージを及ぼしたりしにくい、炭素数1~3のアルコールが好ましい。
〈他の揮発性溶剤〉
また揮発性溶剤としては、炭素数1~3のアルコールとともに、炭素数4以上のアルコール、ケトン、エーテル、エステル等の他の揮発性溶剤の少なくとも1種を併用してもよい。
また、これら3種の揮発性溶剤、および炭素数4以上のアルコールは、いずれもラジカル重合性成分やバインダ樹脂の溶解性に優れている。
そのため、これら他の揮発性溶剤を適宜選択して併用するとともに、その割合を調整すれば、揮発性溶剤の全体での揮発性を高めて、硬化反応の進行と揮発性溶剤の揮発のタイミングを任意に制御することができる。
上記他の揮発性溶剤のうち炭素数4以上のアルコールとしては、1ブタノール、2-ブタノール、イソブチルアルコール、およびtert-ブチルアルコール等の1種または2種以上を用いることができる。
2-ブタノン〔メチルエチルケトン(MEK)〕、アセトン〔ジメチルケトン〕、2-ペンタノン〔メチルプロピルケトン(MPK)〕、3-ペンタノン〔ジエチルケトン(DEK)〕、3-メチル-2-ブタノン〔メチルイソプロピルケトン(MIPK)〕、2-メチル-4-ペンタノン〔メチルイソブチルケトン(MIBK)〕、2,6-ジメチル-4-ヘプタノン〔ジイソブチルケトン(DIBK)〕、シクロヘキサノン、4-ヒドロキシ-4-メチル-ペンタン-2-オン〔ジアセトンアルコール〕。
1,4-ジオキサン〔ジオキサン〕、1,1-ジメチルジエチルエーテル〔ジイソプロピルエーテル〕、2-エトキシエタノール〔エチルセロソルブ(EGMEE)〕、2-ブトキシエタノール〔ブチルセロソルブ(EGMBE)〕、tert-ブチルメチルエーテル〔MTBE〕。
グリコールエーテルの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種グリコールエーテル等の1種または2種以上を用いることができる。
1-メトキシ-2-プロパノール〔プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)〕、2-(2-メトキシエトキシ)エタノール〔メチルカルビトール〕、2-(2-エトキシエトキシ)エタノール〔エチルカルビトール〕、2-(2-ブトキシエトキシ)エタノール〔ブチルカルビトール〕、2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール〔メチルトリグリコール〕、1-ブトキシ-2-プロパノール〔プロピレングリコール-1-モノブチルエーテル(PNB)〕、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール〔メチルメトキシブタノール(MMB)〕、2-[2-(ヘキシルオキシ)エトキシ]エタノール〔ヘキシルジグリコール〕、1-(メトキシメチル)エチル=プロピオナート〔メトテート〕、1または2-(メトキシメチルエトキシ)プロパノール〔ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(DPM)、異性体混合物〕。
酢酸エチル〔エチルアセテート〕、酢酸メチル〔メチルアセテート〕、酢酸n-ブチル〔n-ブチルアセテート〕、酢酸sec-ブチル〔sec-ブチルアセテート〕、3-メトキシブチルアセテート〔酢酸3-メトキシブチル〕、エタン酸ペンチル〔酢酸アミル〕、酢酸プロピル〔酢酸n-プロピル〕、エタン酸イソプロピル〔酢酸イソプロピル〕、エチル(R)-2-ヒドロキシプロパノエート〔乳酸エチル〕、メチル-2-ヒドロキシプロパノエート〔乳酸メチル〕、ブチル-2-ヒドロキシプロパノエート〔乳酸ブチル〕。
グリコールエステルの具体例としては、これに限定されないが、たとえば、下記の各種グリコールエステル等の1種または2種以上を用いることができる。
1-アセトキシ-2-エトキシエタン〔エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート〕、1-メトキシ-2-プロパニルアセテート〔プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)〕、2-(2-ブトキシエトキシ)エチルアセテート〔ブチルカルビトールアセテート〕、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアセテート〔エチルカルビトールアセテート〕。
具体的には、高Tg多官能モノマーの屈折率に対する屈折率の差ΔRが±0.03以上である揮発性溶剤を、選択して用いるのが好ましい。
差ΔRが±0.03未満である揮発性溶剤を用いると、硬化物中に残留する揮発性溶剤の影響で、とくに印刷し、ラジカル重合性成分を硬化反応させて形成した直後の文字などの白色度や隠蔽性が低下する傾向がある。
高Tg多官能モノマーの屈折率を、本発明では、ガラス転移温度Tgと同様に、当該高Tg多官能モノマーを単独で重合させて作製した、当該高Tg多官能モノマーのホモポリマーからなる測定用のサンプルを用いて測定した値でもって表すこととする。
なお、高Tg多官能モノマーとして2種以上を併用する場合は、その70質量%以上を占める主モノマーとしての1種の高Tg多官能モノマーの屈折率を高Tgモノマーの屈折率として、揮発性溶剤の屈折率との差ΔRを求めることとする。
〈揮発性溶剤の割合〉
揮発性溶剤の割合は、前述したように、ラジカル重合性成分の総量に対して50質量%以上、400質量%以下に限定される。
すなわち、揮発性溶剤の割合を上記の範囲とすれば、白色印刷用インクジェットインクの全体の粘度を吐出に適した範囲に抑制して吐出不良の発生を抑えつつ、十分な厚みを有し耐擦過性に優れる上、白色度や隠蔽性の高い文字などを印刷することができる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、揮発性溶剤の割合は、上記の範囲でも、ラジカル重合性成分の総量に対して70質量%以上であるのが好ましく、370質量%以下であるのが好ましい。
揮発性溶剤の割合がこの範囲未満では、前述した、硬化物を多孔質化して文字などの白色度や隠蔽性を高める効果が得られない場合がある。
また、粘度低下に寄与する揮発性溶剤の割合が不足して、白色印刷用インクジェットインクの粘度が、インクジェットプリンタのノズルからの吐出に適した範囲を超えてしまい、当該ノズルから良好に吐出できない不良を生じる場合もある。
これに対し、揮発性溶剤の割合を上記の範囲とすれば、白色印刷用インクジェットインクの全体の粘度を吐出に適した範囲に抑制して吐出不良の発生を抑えつつ、十分な厚みを有し耐擦過性に優れる上、白色度や隠蔽性の高い文字などを印刷することができる。
上記揮発性溶剤の割合は、いずれの場合も、当該揮発性溶剤として、炭素数1~3のアルコールのみを用いる場合は、当該炭素数1~3のアルコールの割合であり、炭素数1~3のアルコールと他の揮発性溶剤とを併用する場合は、その合計の割合である。
他の揮発性溶剤の割合がこの範囲を超える場合には、溶解性が強くなりすぎて、たとえば、インクジェットプリンタのヘッドにダメージを及ぼしたりするおそれがある。
これに対し、他の揮発性溶剤の割合を上記の範囲とすることにより、インクジェットプリンタのヘッドにダメージを及ぼすことなしに、硬化反応の進行と揮発性溶剤の揮発のタイミングを適度に制御することができる。
なお、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、他の揮発性溶剤の割合は、揮発性溶剤の総量中の3質量%以上であるのが好ましく、7質量%以下であるのが好ましい。
《光ラジカル重合開始剤》
光ラジカル重合開始剤としては、任意の波長の光の照射によってラジカルを発生させて、ラジカル重合性成分をラジカル重合反応させることができる種々の化合物が、いずれも使用可能である。
ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、4,4′-ビスジエチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、特開2008-280427号公報の一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物等のベンゾフェノン類またはその塩。
アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシフェニルアセトフェノン、4′-ジメチルアミノアセトフェノン、ジメチルヒドロキシアセトフェノン等のアセトフェノン類。
ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類。
ただし、白色印刷用インクジェットインクに良好な光硬化性を付与することを考慮すると、光ラジカル重合開始剤の割合は、白色印刷用インクジェットインクの総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、12質量%以下であるのが好ましい。
2種以上の光ラジカル重合開始剤を併用する場合は、その合計の割合を、上記の範囲とすればよい。
白色印刷用インクジェットインクには、上記各成分に加えて、さらに各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、たとえば、増感剤、ラジカル重合禁止剤、界面活性剤、粘着付与剤、着色剤等が挙げられる。
このうち増感剤は、紫外線の照射によって励起状態となり、光ラジカル重合開始剤と相互作用して、当該光ラジカル重合開始剤におけるラジカルの発生を助けるために機能する。
とくに、光源としてLED硬化ランプを使用する場合には、その波長域が狭いことから、白色印刷用インクジェットインクが感度を有する波長域を広げて感度を向上する、すなわち増感するために増感剤を配合するのが好ましい。
増感剤の割合は、任意に設定することができる。
〈ラジカル重合禁止剤〉
ラジカル重合禁止剤は、白色印刷用インクジェットインクを貯蔵中、あるいはパッケージに封入して保管中などに、ラジカル重合性成分がラジカル重合反応して白色印刷用インクジェットインクがゲル化するのを防止するために機能する。
ラジカル重合禁止剤としては、たとえば、ニトロソアミン系化合物、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類、あるいはジ-2-エチルヘキシルマレエート等の1種または2種以上が挙げられる。
ハイドロキノン類としては、たとえば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1-o-2,3,5-トリメチロールハイドロキノン、2-tert-ブチルハイドロキノン等の1種または2種以上が挙げられる。
ヒンダードアミン類としては、重合禁止効果を有する任意のヒンダードアミン類の1種または2種以上が好ましい。
フェノール類としては、たとえば、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸アルキルエステル、ヒンダードフェノール類等の1種または2種以上が挙げられる。
さらに縮合芳香族環のキノン類としては、たとえば、ナフトキノン等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤の割合は、白色印刷用インクジェットインクの総量の0.01質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下であるのが好ましい。
〈界面活性剤〉
界面活性剤としては、たとえば、シリコーンアクリレート系界面活性剤を用いることができる。
シリコーンアクリレート系界面活性剤等の界面活性剤の割合は、当該界面活性剤中の有効成分量換算で、白色印刷用インクジェットインクの総量の0.1質量%以上であるのが好ましく、5質量%以下であるのが好ましい。
インクジェットインクには、文字などの白色の色味を微調整するために、着色剤を配合してもよいが、着色剤は含まない(除く)ことが好ましい。
上記各成分を含む本発明の白色印刷用インクジェットインクは、たとえば、オンデマンド型の、サーマル方式やピエゾ方式のインクジェットプリンタに、好適に使用することができる。
とくに上記インクジェットプリンタに使用して印刷後、LED硬化ランプなどを用いて露光して硬化反応させることにより、黒色等の明度の低い被印刷体の表面や、透明材料からなる被印刷体の表面などに、視認性のある白色の文字などを印刷することができる。
〈実施例1〉
下記の各成分を、表1に示す割合で配合して十分に溶解するまで撹拌したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してインクジェットインクを調製した。
高Tg多官能モノマー:トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアネートトリアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR368NS、3官能、ガラス転移温度Tg:272℃、屈折率:1.449〕
単官能モノマー:エトキシ化フェニルアクリレート〔ダイセル・オルネクス(株)製のEBECRYL(登録商標)110、EO 2mol〕
(バインダ樹脂)
ポリアミド樹脂:BASFジャパン(株)製のバーサミド725
(揮発性溶剤)
エタノール〔屈折率:1.361〕
(光ラジカル重合開始剤)
2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔ランブソンジャパン(Lambson Japan)(株)製のSpeedCure(スピードキュア、登録商標)TPO〕
(その他)
増感剤:2-イソプロピルチオキサントン〔ランブソンジャパン(株)製のスピードキュア2-ITX〕
ラジカル重合禁止剤:Kroachem(クロマケム)社製のFlorstab UV-5
界面活性剤:シリコーンアクリレート系界面活性剤
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
高Tg多官能モノマーとして、SR368NSに代えて、ペンタエリスリトールテトラアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR295NS、4官能、ガラス転移温度Tg:103℃、屈折率:1.478〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR295NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.117であった。
高Tg多官能モノマーとして、SR368NSに代えて、ペンタエリスリトールトリアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR444NS、3官能、ガラス転移温度Tg:103℃、屈折率:1.480〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR444NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.119であった。
高Tg多官能モノマーとして、SR368NSに代えて、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR399NS、5官能、ガラス転移温度Tg:90℃、屈折率:1.489〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR399NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.128であった。
高Tg多官能モノマーとして、SR368NSに代えて、トリメチロールプロパントリアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR351NS、3官能、ガラス転移温度Tg:62℃、屈折率:1.472〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR351NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.111であった。
高Tg多官能モノマーとして、SR368NSに代えて、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR833NS、2官能、ガラス転移温度Tg:186℃、屈折率:1.505〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR833NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.144であった。
高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSに代えて、エトキシ化(20)トリメチロールプロパントリアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR415、3官能、ガラス転移温度Tg:38℃〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例7〉
揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の55質量%として、さらに1-ブタノール〔屈折率:1.399〕を、インクジェットインクの総量中の5質量%の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤のうち主溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の55質量%として、さらにアセトン〔屈折率:1.359〕を、インクジェットインクの総量中の5質量%の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤のうち主溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の55質量%として、さらに酢酸エチル〔屈折率:1.372〕を、インクジェットインクの総量中の5質量%の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤のうち主溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の55質量%として、さらにシクロヘキサノン〔屈折率:1.426〕を、インクジェットインクの総量中の5質量%の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤のうち主溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
揮発性溶剤として、エタノールに代えて、シクロヘキサノン〔屈折率:1.426〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
高Tg多官能モノマーの割合Rmhは、多官能モノマーの総量中の100質量%、単官能モノマーの割合Rsは、ラジカル重合性成分の総量中の50質量%、揮発性溶剤の割合Rvは、ラジカル重合性成分の総量に対して200質量%であった。
〈比較例2〉
揮発性溶剤としてのエタノールに代えて、超純水を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例12〉
バインダ樹脂としてのポリアミド樹脂を配合せず、揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の63質量%としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
バインダ樹脂としてのポリアミド樹脂を配合せず、揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の63質量%とし、なおかつ単官能モノマーとして、EBECRYL110に代えて、同量のN-ビニル-ε-カプロラクタム(VCAP)を配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
高Tg多官能モノマーとしてのSR368NS、単官能モノマーとしてのEBECRYL110、および揮発性溶剤としてのエタノールの、インクジェットインクの総量中の割合を、それぞれ表2に示す値としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例19~22、比較例5〉
揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の45質量%とし、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSの、インクジェットインクの総量中の割合を、それぞれ表3に示す値とするとともに、さらに他の多官能モノマーとしての1,6-ヘキサンジオールジアクリレート〔ARKEMA社製のSARTOMER SR238F、2官能、ガラス転移温度Tg:43℃〕を、同表中に示す割合で配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例23~26、比較例6、7〉
揮発性溶剤としてのエタノールの割合を、インクジェットインクの総量中の45質量%とするとともに、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NS、および単官能モノマーとしてのEBECRYL110の割合を、それぞれ表4に示す値としたこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈実施例27〉
バインダ樹脂として、ポリアミド樹脂に代えて、アクリル樹脂〔DSM社製のネオクリルB-813〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
また、高Tg多官能モノマーとしてのSR368NSと、揮発性溶剤としてのエタノールとの屈折率の差ΔRは0.088であった。
バインダ樹脂として、ポリアミド樹脂に代えて、フェノール樹脂〔DIC(株)製のフェノライトTD-2106〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にしてインクジェットインクを調製した。
高Tg多官能モノマーの割合Rmhは、多官能モノマーの総量中の100質量%、単官能モノマーの割合Rsは、ラジカル重合性成分の総量中の50質量%、揮発性溶剤の割合Rvは、ラジカル重合性成分の総量に対して200質量%であった。
〈実施例29~32〉
揮発性溶剤としてのエタノール、およびバインダ樹脂としてのフェノール樹脂の割合を、それぞれ表5に示す値としたこと以外は実施例28と同様にしてインクジェットインクを調製した。
〈印刷および露光条件〉
上記各実施例、比較例で調製したインクジェットインクをインクジェットプリンタに使用して、常温(5~35℃)で被印刷体の表面に印刷をし、印刷から0.15秒以内に、LED硬化ランプを用いて露光して硬化反応させる。印刷の解像度は600×600dpiとする。
上記印刷および露光条件で、被印刷体としてのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの表面に、0.5×0.5インチのベタ面を形成した。
ついで、形成したベタ面のL値を、ハンディー測色計〔ビデオジェット・エックスライト株式会社製のX-rite(登録商標)eXact〕を用いて測定して、下記の基準で白色度を評価した。
○○:L値は60以上、70未満であった。
○:L値は50以上、60未満であった。
△:L値は40以上、50未満であった。
×:L値は40未満であった。
上述した印刷および露光条件で、被印刷体としてのPETフィルムの表面に、約8.5ptの文字を形成した。
次いで、形成した文字を綿棒で複数回擦った際の状態を観察して、下記の基準で耐擦過性を評価した。
△:4回~9回擦ると文字を判読できなくなった。
×:1~3回擦ると文字を判読できなくなった。
〈追従性評価〉
上述した印刷および露光条件で、被印刷体としての厚み5μmのPETフィルムの表面にバーコードを形成した。
○:細線に割れや欠けは見られず、バーコードリーダーで読み取りをすることもできた。
×:細線に大きな割れや欠けが見られ、バーコードリーダーで読み取りをすることもできなかった。
〈吐出性評価〉
上述した印刷および露光条件で、被印刷体としてのPETフィルムの表面に文字を形成した。そして形成した文字を観察して、下記の基準で吐出性を評価した。
△:文字にややかすれが見られたが、判読することはできた。通常レベル。
×:文字がひどくかすれて、判読することができなかった。不良。
以上の結果を表6~表13に示す。
・ ラジカル重合性成分、揮発性溶剤、および光ラジカル重合開始剤を含んでいる必要があること、
・ このうちラジカル重合性成分としては、2官能以上の多官能モノマーと単官能モノマーとを含み、なおかつ多官能モノマーは、ガラス転移温度Tgが60℃以上である高Tg多官能モノマーを含んでいる必要があること、
が判った。
実施例1、23~26、比較例6、7の結果より、単官能モノマーの割合は、ラジカル重合性成分の総量中の15質量%以上、70質量%以下である必要があり、とくに20質量%以上であるのが好ましく、65質量%以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1~6の結果より、高Tg多官能モノマーとしては、
・ 3官能以上である化合物、中でも3官能以上で、かつガラス転移温度Tgが90℃以上である化合物を選択して用いるのが好ましいこと、
・ とくに3官能以上で、かつガラス転移温度Tgが200℃以上、300℃以下である化合物、あるいは4官能以上で、かつガラス転移温度Tgが100℃以上、200℃未満である化合物を選択して用いるのがより一層好ましいこと、
が判った。
・ 炭素数1~3のアルコールを単独で用いてもよいし、炭素数1~3のアルコールと、他の揮発性溶剤としての、炭素数4以上のアルコール、ケトン、エステル、またはエーテルとを併用してもよいこと、
・ 併用の場合、他の揮発性溶剤の割合は、揮発性溶剤の総量中の10質量%以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1、12、13の結果より、インクジェットインクは、バインダ樹脂を含んでいるか、もしくは単官能モノマーとしてビニルカプロラクタムを含んでいるのが好ましいことが判った。
さらに実施例29~32の結果より、フェノール樹脂などのバインダ樹脂の割合は、インクジェットインクの総量中の1質量%以上、とくに1.5質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、とくに8質量%以下であるのが好ましいことが判った。
Claims (5)
- 2官能以上の多官能モノマーと単官能モノマーとを含むラジカル重合性成分、揮発性溶剤、および光ラジカル重合開始剤を含み、
前記多官能モノマーの割合は、前記ラジカル重合性成分の総量中の30質量%以上、85質量%以下であり、
前記多官能モノマーは、ガラス転移温度Tgが60℃以上の高Tg多官能モノマーを、前記多官能モノマーの総量中に50質量%以上の割合で含み、
前記単官能モノマーの割合は、前記ラジカル重合性成分の総量中の15質量%以上、70質量%以下であり、
前記揮発性溶剤の割合は、前記ラジカル重合性成分の総量に対して50質量%以上、400質量%以下である白色印刷用インクジェットインク。 - 前記高Tg多官能モノマーは、3官能以上である請求項1に記載の白色印刷用インクジェットインク。
- 前記高Tg多官能モノマーは、3官能以上で、かつガラス転移温度Tgが90℃以上である請求項1に記載の白色印刷用インクジェットインク。
- 前記単官能モノマーは、ビニルカプロラクタムを少なくとも含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の白色印刷用インクジェットインク。
- さらに、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、およびフェノール樹脂からなる群より選ばれた少なくとも1種のバインダ樹脂を含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載の白色印刷用インクジェットインク。
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