JP7345072B2 - 多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法 - Google Patents

多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法 Download PDF

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Description

本発明は、多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法に関する。
特許文献1は、固定床触媒の寿命予測方法及び寿命予測プログラムを開示する。このように、従来から固定床触媒を用いた触媒充填層内の温度分布を用いて、例えば触媒寿命を予測する等は行われている。
日本国特開2002‐372507号公報
数千~数万本の反応管を備える反応器において、全ての反応管情報を取得することは現実的ではなく、1~数本の情報を、特に加工することなく反応器全体の情報とみなしているのが通常である。しかし、実際には部分的に反応管の状態が異なることがあり、この部分的な差異を考慮してデータ処理して情報を把握することは、多管式反応器の運転時のみならず準備行為時(たとえば、触媒の充填作業)においても重要である。
不飽和アルデヒドや不飽和カルボン酸、および共役ジエンを製造する触媒反応等は一般に発熱反応であり、多管式反応器において反応ガスの入口側から出口側に向けて活性の異なる触媒種を多層で充填することが一般的である。その場合、各層の触媒の充填長を測定し高度に調整することが求められる。しかしながら、従来はどのようにして充填長を測定し、これをデータ処理し、最終的に調整するのか報告されておらず、反応管一本ずつ充填長を測定し、調整する方法は非効率的であった。
触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の運転時またはその準備行為時において、全ての反応管の情報を取得することは作業効率を低減させるおそれがある。本発明は、効率良く多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法を提供することを目的とする。
以下、上記課題を解決するための手段を列記する。
(1)
触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法であって、
コンピュータ装置に、
前記多管式反応器に含まれる複数の反応管のうちの一部に関して反応管情報を取得する取得ステップと、
前記反応管情報を統計処理することにより前記多管式反応器の運転またはその準備行為を支援する支援情報を出力する出力ステップと、を実行させることを含む、方法。
(2)
前記反応管情報は前記反応管に充填された触媒の充填長に関する充填長情報を含み、
前記支援情報は前記充填長が特定の閾値範囲内にない前記反応管に関する閾値外反応管情報を含む、(1)に記載の方法。
(3)
前記出力ステップが、前記触媒の充填長が正規分布に従うとみなして前記充填長情報を統計処理することにより、前記閾値外反応管情報を出力することを含む、(2)に記載の方法。
(4)
前記触媒の充填長のヒストグラムを出力するヒストグラム出力ステップを、前記コンピュータ装置に実行させることをさらに含む、(2)または(3)に記載の方法。
(5)
前記閾値外反応管情報と、前記多管式反応器の基準工数情報と、に基づいて、前記多管式反応器における前記触媒の補充に要する工数および前記触媒の抜き出しに要する工数のうちの少なくとも一方を出力する工数出力ステップを、前記コンピュータ装置に実行させることをさらに含む、(2)~(4)のいずれか一項に記載の方法。
(6)
前記支援情報を前記多管式反応器のユーザーに提供するステップをさらに含む、(1)~(5)のいずれか一項に記載の方法。
(7)
前記工数出力ステップにより出力された工数を前記多管式反応器のユーザーに提供するステップをさらに含む、(5)に記載の方法。
(8)
前記反応管情報が、2以上の区画に分割された前記多管式反応器の各区画に含まれる複数の反応管のうちの一部に関する区画情報を含み、
前記区画情報が、前記区画に含まれる前記反応管に充填された触媒の充填長に関する区画充填長情報を含み、
前記出力ステップが、前記区画充填長情報を区画毎に統計処理することにより前記支援情報を出力することを含む、(1)~(7)のいずれか一項に記載の方法。
(9)
区画毎に前記触媒の充填長のヒストグラムを出力するヒストグラム出力ステップを、前記コンピュータ装置に実行させることをさらに含む、(8)に記載の方法。
本発明によれば、効率良く多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法を提供できる。
実施形態に係る多管式反応器を示す平面模式図であり、かつ当該多管式反応器を空間的に3区画に分割した例を示す図である。 1つの反応管に充填された触媒の層を示す模式図である。 実施形態に係る方法のフローチャートを示す図である。 反応管の出口から第2の触媒層までの空間長を示す表である。 第2の触媒層の充填長を示す表である。 区画Aの反応管における第2の触媒層の充填長のヒストグラムを示す図である。 区画Bの反応管における第2の触媒層の充填長のヒストグラムを示す図である。 区画Cの反応管における第2の触媒層の充填長のヒストグラムを示す図である。 第2の触媒層の充填長の設計値、許容幅、許容下限、許容上限、総反応管本数、許容下限未満の反応管の本数および許容上限を超える反応管の本数を示す表である。 第1の触媒層の修正作業情報と、第2の触媒層の修正作業情報と、を示す表である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る方法は、触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法である。当該方法は、コンピュータ装置に、多管式反応器に含まれる複数の反応管のうちの一部に関して反応管情報を取得する取得ステップと、反応管情報を統計処理することにより多管式反応器の運転またはその準備行為を支援する支援情報を出力する出力ステップと、を実行させることを含む。
本実施形態において用いられるコンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などのマイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどのメモリ、およびバスを備えるコンピュータ装置である。コンピュータ装置は、コンピュータ装置が備えるメモリやコンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムによって、本実施形態に係る方法の少なくとも一部を実行してもよい。本実施形態では、後述する方法の少なくとも一部をコンピュータ装置に実行させるためのプログラム、および当該プログラムを記録した記録媒体も提示される。なお、本実施形態において用いることのできるコンピュータ装置はこの態様に限定されない。例えば、コンピュータ資源をネットワークを介して接続したクラウドコンピューティングシステムなどを、本開示の方法に用いるコンピュータ装置としてもよい。
図1は、本実施形態に係る方法の対象となる多管式反応器10を示す平面模式図である。図1に示される多管式反応器10は筒状である。図1では、多管式反応器10を平面視した時の中心を基準として120°毎に分けられた3つの区画A,B,Cが示されている。区画Aに含まれる複数の反応管20の一部が一点鎖線で囲まれて示されている。区画Aにおける一点鎖線の外側、並びに区画B及びCにも複数の反応管20が備えられているが、それらの反応管20については図示を省略する。多管式反応器10は、充填する触媒、供給する原料などに応じて、目的とする不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、および共役ジエンの少なくとも一種を製造する。製造される不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸としては、アクロレインおよびアクリル酸、メタクロレインおよびメタクリル酸、などが例示され、共役ジエンとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン、などが例示される。多管式反応器10が含む複数の反応管20のそれぞれに触媒が充填される。
触媒は、一般に多管式反応器に互いに異なる触媒種が複数の層をなすようにして反応管20に充填される。図2は1つの反応管20に充填された触媒の層を示す模式図である。図2に示す例では、サポートリング30の上に充填された4層の触媒層22,24,26,28が示されている。複数の層はそれぞれ互いに活性が異なり、例えば原料が供給される入口側、充填される順番で第4の触媒層28は活性が低く、出口側(サポートリング30側)に向かうにつれて活性が大きくなるように(入口側から数えて第4の触媒層28の活性<第3の触媒層26の活性<第2の触媒層24の活性<第1の触媒層22の活性、となるように)充填されてもよい。複数の層をなすように触媒が充填された反応管20に原料を供給し、温度等の運転条件を制御することで目的とする不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、および共役ジエンの少なくとも一種が製造される。
本実施形態における多管式反応器10の運転とは、触媒が充填された反応管20に原料を供給して不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、および共役ジエンの少なくとも一種を製造することを表す。当該運転は、触媒の充填後に所定の運転条件での連続運転を開始するために、多管式反応器10に原料を投入して温度を上げていくスタートアップ作業や、原料ガスを含酸素ガスおよび/または含水蒸気ガスに切り替えた触媒の空気処理作業を行うことも含む。本実施形態における多管式反応器10の運転の準備行為とは、反応管20に触媒を充填する作業等の、多管式反応器10の運転を開始するための作業、反応管20の清掃などのメンテナンス作業、および多管式反応器10の一部または多管式反応器10とは別の反応器(ただし、反応管径や反応管の長さ等は多管式反応器10と同等)を用いて試験的に多管式反応器10における充填長や充填時間などを測定する試し充填作業、を含む。当該準備行為は触媒反応開始前の行為を指し、多管式反応器10の運転は触媒反応が開始された後で不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、および共役ジエンの少なくとも一種を製造することを指す。
図3は、本実施形態に係る方法のフローチャートを示す図である。本実施形態に係る方法は、コンピュータ装置に、多管式反応器10に含まれる複数の反応管20のうちの一部に関して反応管情報を取得する取得ステップS1と、反応管情報を統計処理することにより多管式反応器10の運転またはその準備行為を支援する支援情報を出力する出力ステップS2と、を実行させることを含む。本実施形態に係る方法は、支援情報を多管式反応器10のユーザーに提供する提供ステップS3を任意にさらに含む。提供ステップS3は、コンピュータ装置により実行されてもよいし、コンピュータ装置により出力された支援情報を電話やFAXで多管式反応器10のユーザーに提供することにより実行されてもよい。また、ネットワークを介してユーザーの端末に支援情報を提供してもよい。ネットワークを介した支援情報の提供は、支援情報を出力するコンピュータ装置によって行われてもよいし、当該コンピュータ装置とは別の装置によって行われてもよい。
取得ステップS1において、コンピュータ装置は多管式反応器10のユーザーの端末からの入力またはコンピュータ装置の管理者からキーボードなどの入力装置などによる入力により反応管情報を取得してもよく、多管式反応器10に設けられた各種センサーから反応管情報を取得してもよい。なお、多管式反応器10のユーザーと、コンピュータ装置の管理者は同一でありうる。取得ステップS1において取得される反応管情報は触媒の充填長に関する充填長情報を含んでもよい。また、取得ステップS1において取得される反応管情報は反応管20の一部に設けられた温度センサーの温度データに関する温度情報を含んでもよい。以下、図4~図8を参照して、本実施形態に係る方法の具体的態様を説明する。
具体的態様における方法は、数万本の反応管20を含む多管式反応器10を図1に示すように3つの区画A,B,Cに分けて、それぞれの区画に含まれる反応管20の一部について触媒の充填長に関する区画充填長情報を含む区画情報を取得する取得ステップS1をコンピュータ装置に実行させることを含む。なお、区画数は3に限定されず、2以上の任意の区画としてもよい。あるいは、本具体的態様における方法とは異なり、本発明の方法においては、多管式反応器10を区画分けせずともよい。
図4は、区画A,B,Cの反応管20に所定量の触媒を充填して第2の触媒層24を設けた後の反応管20の入口から第2の触媒層24までの空間長L2を示す表である。当該例では各区画のサンプル数は11である。
図5は、第1の触媒層22が設けられた後の空間長L1から図4に示される空間長L2を差し引いて算出した第2の触媒層24の充填長L24を示す表である。図5から、所定量の触媒を充填しても、事前に所定量に測定しておいた触媒充填量のばらつきや各反応管20の内径や状態の違い及びばらつきによって充填長に差があることが分かる。
本具体的態様では、ある種類の触媒の層の厚みを充填長として取り扱う。例えば、本具体的態様の方法の取得ステップS1では、第2の触媒層24の充填長L24として図5に示した値を取得してもよい。あるいは、取得ステップS1として、図4に示される入口から第2の触媒層24までの空間長L2と、第1の触媒層22が設けられた後の空間長L1を取得し、空間長L2,L1に基づき第2の触媒層24の充填長L24を算出するように構成してもよい。なお、当該例においてコンピュータ装置が空間長を換算して充填長を得る処理も、取得ステップS1に含まれる。
具体的態様における方法は、図5に示される第2の触媒層24の充填長L24に関するデータを統計処理することにより、多管式反応器10の運転の準備行為を支援する支援情報を出力する出力ステップS2をコンピュータ装置に実行させることを含む。当該支援情報は、充填長が特定の閾値範囲内にない反応管20に関する閾値外反応管情報を含む。出力ステップS2は、触媒の充填長が正規分布であるとみなして充填長情報を統計処理することにより、閾値外反応管情報を出力することを任意に含む。当該方法は、触媒の充填長のヒストグラムを出力するヒストグラム出力ステップを、コンピュータ装置に実行させることを任意にさらに含み、ヒストグラムは区画毎に任意に出力される。出力は、例えばコンピュータ装置に接続されたディスプレイ等の出力装置に情報を表示することにより行われうる。出力されたヒストグラムは、上述の提供ステップS3と同様の態様によりユーザーに提供されうる。
図6A、図6Bおよび図6Cは、それぞれ区画A、区画Bおよび区画Cの反応管20における第2の触媒層24の充填長L24のヒストグラムを示す図である。当該方法は、図6A~図6Cに示される第2の触媒層24の充填長L24が正規分布に従うとみなして、閾値外反応管情報を出力する。図7は、第2の触媒層24の充填長の設計値、許容幅、許容下限、許容上限、総反応管本数、充填長L24が許容下限未満の反応管20の本数および許容上限を超える反応管20の本数を示す表である。なお、設計値から許容幅を引いた値が許容下限であり、設計値に許容幅を加えた値が許容上限である。運転条件に応じた第2の触媒層24の充填長の設計値と、その許容幅により許容下限から許容上限までの閾値範囲が設定される。区画A、区画Bおよび区画Cの反応管20における充填長(区画充填長情報)が正規分布に従うとみなして、許容下限から許容上限までの閾値範囲に含まれない反応管20の本数を区画毎に算出する。すなわち、各区画における反応管20の一部の充填長の分布が、各区画におけるすべての反応管20の充填長の分布と一致すると仮定し、各区画における閾値範囲に含まれない反応管20の本数を見積もる。続いて各区画で算出された閾値範囲に含まれない反応管20の本数を足し合わせて、許容下限未満の反応管20の本数および許容上限を超える反応管20の本数を出力する。許容下限未満の反応管20の本数および許容上限を超える反応管20の本数が閾値外反応管情報に相当する。また、上述の各区画毎に充填長の分布を算出する方法のほか、区画を分けず反応器10全体を一つの区画とみなして充填長の分布を算出してもよい。この場合、図1を例にすると区画A、区画Bおよび区画Cの反応管20におけるすべての充填長(区画充填長情報)が正規分布に従うとみなして、許容下限から許容上限までの閾値範囲に含まれない反応器10全体の反応管20の本数を算出する。なお、反応器10全体を一つの区画とみなして充填長の分布を算出する場合であっても、充填長情報は全体を複数の区画に分けて区画毎に取得しておくことが好ましい。たとえば反応管径が設計値と異なる区画があることや、充填作業者の作業法に違いがある等の理由により、特定の区画の充填長が他の区画と比べ極端に長くまたは短くなっている可能性がある。区画毎の充填長情報を取得することにより、他の区画と比べ充填長が極端に長いまたは短い区画の有無を確認できる。
当該方法は、許容下限未満の反応管20の本数および許容上限を超える反応管20の本数(閾値外反応管情報)と、多管式反応器10の基準工数情報と、に基づいて、多管式反応器10における触媒の補充に要する工数および触媒の抜き出しに要する工数のうちの少なくとも一方を出力する工数出力ステップを、コンピュータ装置に実行させることを任意にさらに含む。出力は、例えばコンピュータ装置に接続されたディスプレイ等の出力装置に工数を表示することにより行われうる。なお、工数は特定の作業工程に必要な時間を指し、人員数や設備数により増減しうる値である。また、当該方法は工数出力ステップにより出力された工数を多管式反応器10のユーザーに提供するステップを任意にさらに含む。工数を提供するステップは上述の提供ステップS3と同様の態様を取りうる。
前述したように、充填長が特定の閾値範囲内にない反応管20が存在する場合、このような反応管20が閾値範囲内となるように、触媒を補充するあるいは触媒を抜き出す工程が必要となる。このような工程に要する工数(作業時間)を、工数出力ステップとして出力する。
図8を用いて工数出力ステップとして出力する工数を説明する。図8は、第1の触媒層22の修正作業情報(上側)と、第2の触媒層24の修正作業情報(下側)と、を示す表である。図8の上側に示す第1の触媒層22の修正作業情報は、多管式反応器10の反応管20において第1の触媒層22を設けるために所定量の触媒を充填した際の、充填長が許容下限未満であった反応管20の本数と、充填長が許容上限を超えていた反応管20の本数を含む。また第1の触媒層22の修正作業情報は、触媒の補充または抜き出しの手直しをした反応管20の合計本数と、手直し作業の人員数と、手直し作業の工数と、反応管20の手直し速度と、を含む。反応管20の手直し速度は、手直しをした反応管20の合計本数、手直し作業の人員数および手直し作業の工数に基づいて算出される。具体的には、手直し速度は、以下の式により計算される。
(手直し速度)=(手直しをした反応管の合計本数)÷{(人員数)×(手直し作業の工数)}
この例では、反応管20の手直し速度が多管式反応器10の基準工数情報に相当する。図8では、触媒の抜き出し作業の手直し速度と、触媒の補充作業の手直し速度は同じと仮定しているが、一般に前者の方が手直しに時間を要するため、触媒の抜き出し作業の手直し速度と触媒の補充作業の手直し速度とを別々に計算し、これ以降の計算で使用することもある。
図8の下側に示す第2の触媒層24の修正作業情報は、触媒の補充または抜き出しの手直しをする(修正する)反応管20の合計本数と、手直し作業の人員数と、手直し作業の工数と、を含む。修正する反応管20の合計本数は、第2の触媒層24において充填長L24が許容下限未満であった反応管20の本数および第2の触媒層24において充填長L24が許容上限を超えていた反応管20の本数の合計であり(図7)、閾値外反応管情報に相当する。手直し作業の工数は、上記閾値外反応管情報と、手直し作業の人員数と、上述の反応管20の手直し速度(基準工数情報)と、に基づいて算出される。具体的には、手直し作業の工数は、以下の式により計算される。
(手直し作業の工数)=(修正する反応管の合計本数)÷{(人員数)×(手直し速度)}
上記の方法は、多管式反応器10に含まれる複数の反応管20のうちの一部に関して反応管情報を取得し、当該反応管情報を統計処理することにより多管式反応器10の運転またはその準備行為を支援する支援情報を出力することで、全ての反応管20の反応管情報を取得する方法と比較して少ない工数で支援情報を出力することができる。また、1~数本に関する反応管20の情報を、統計処理のような加工をすることなく多管式反応器10全体の情報とみなす方法と比較すると、統計処理によって触媒の補充や抜き出しが必要な反応管20の本数や補充に必要な触媒量を高い精度で見積もることができ、有益な支援情報を出力することができる。そして、当該支援情報を取得したユーザーは、多管式反応器10の運転やその準備行為を効率良く進めることができる。
また上記の方法において、反応管20に充填された触媒の充填長に関する充填長情報を含む反応管情報を統計処理することにより多管式反応器10における充填長が特定の閾値範囲内にない反応管20に関する閾値外反応管情報を含む支援情報を出力することで、全ての反応管20の充填長情報を取得する方法と比較して少ない工数で多管式反応器10における支援情報を出力することができる。そして、支援情報に含まれる閾値外反応管情報から、反応管20への触媒の補充に必要な触媒量や、多管式反応器10における触媒の補充および抜き出しに必要な工数を見積もることができる。なお必要な触媒量は、充填長に関する情報に対し、触媒の嵩比重を用いることで算出できる。また、運転を開始する時期において制約がある場合には、多管式反応器10における触媒の補充および抜き出しに必要な工数に基づいて、充填長についての閾値を見直して工数の削減を図ることができる。この一例を以下に示す。
まず、あらかじめ決めておいた充填長の目標値をT、その片側許容誤差をSとする。すなわち、許容できる充填長の範囲はT-S以上T+S以下である。そして、反応管20のうちの一部に関して取得した充填長情報のうち、測定した充填長の平均値をA、その標準偏差をBとする。さらに、この充填長情報をもとに後述の通り新たに決定される、充填長の手直しの基準としての目標値をTn、その片側許容誤差をSnとする。すなわち、手直し基準として新たに設定される充填長の範囲はTn-Sn以上Tn+Sn以下である。次に、反応管20のうちの一部に関して取得した充填長情報の分布形状は、以下に示す4つの場合およびそれらの組み合わせになりうる。
(ケース1)測定した充填長の平均値AがTと同等、かつ標準偏差BがSと同等以下の場合;
(ケース2)測定した充填長の平均値AがTから大きく外れ、かつ標準偏差BがSと同等の場合;
(ケース3)測定した充填長の平均値AがTと同等、かつ標準偏差BがSより大きい場合;
(ケース4)測定した充填長の平均値AがTと同等、かつ標準偏差BがSと同等の場合だが、片側に歪度が大きい分布の場合。
これらのケースに対し、解決策は以下に示す9つの方法およびそれらの組み合わせと直列処理となる。本願記載の方法は実質的に解決策1から解決策8であり、反応管20のうちの一部に関して取得した充填長情報を統計処理し、作業日数及び作業工数を前もって予測し、必要に応じ短縮できることが、多管式反応器の運転またはその準備行為を効率良くサポートする本願記載の方法、に含まれることになる。
(解決策1)平均値Aおよび標準偏差Bの情報から、反応管の充填長は平均をA、分散をBとする正規分布になると推定して、充填長がT-S以上T+S以下の範囲外である反応管本数を算出し、作業者数や設備数から手直し工数(作業日数)を算出し、その手直し工数が全体のプラント準備工程において許容できるか否かを確認する方法(最も典型的な解決策で、ケース1において有効である。);
(解決策2)平均値Aおよび標準偏差Bの情報から、反応管の充填長は平均をA、分散をBとする正規分布になると推定して、充填長がT-S以下の反応管本数を算出し、作業者数や設備数から手直し工数(作業日数)を算出し、手直し工数が全体のプラント準備工程において許容できるか否かを確認する方法(足りない触媒を補充する解決策で、次の解決策3より早期の充填の手直しが可能である。);
(解決策3)平均値Aおよび標準偏差Bの情報から、反応管の充填長は平均をA、分散をBとする正規分布になると推定して、充填長がT+S以上の反応管本数を算出し、作業者数や設備数から手直し工数(作業日数)を算出し、手直し工数が全体のプラント準備工程において許容できるか否かを確認する方法(過剰な触媒を抜き取る解決策で、解決策2より作業日数が多くなるが、余剰触媒量が足りない場合にやむを得ず実施する方法である。);
(解決策4)目標値Tn=平均値Aに設定して手直し基準とする方法(ケース2の場合に取りうる解決策であり、充填長が目標値Tよりも短くまたは長くなるが、プラントの反応成績に影響がないか検証したうえで、許容できる手直し工数(作業日数)が短い場合にやむを得ず実施する解決策である。);
(解決策5)目標値Tnを平均値Aから目標値Tの間に設定して手直し基準とする方法(解決策1と解決策4の折衷策である。);
(解決策6)片側許容誤差Snを大きく設定して手直し基準とする方法(ケース3やケース4において、プラントの反応成績に影響がないか検証したうえで、許容できる手直し工数(作業日数)が短い場合にやむを得ず実施する解決策である。);
(解決策7)反応管20のうちの一部に関して取得した充填長情報が、他の区画または他の作業者による充填長情報と分布形状、平均値A、標準偏差Bに違いがないかを解析し、区画ごとの反応管径や作業者の作業方法の違いがあれば、改善案を検討する方法;
(解決策8)目標値Tnおよび/または片側許容誤差Snを、平均値Aおよび/または標準偏差Bに設定する方法(ほぼ手直しをしない方法であり、手直し工数(作業日数)は短縮できるもののプラントの反応成績への影響が懸念される。);
(解決策9)反応管20のうちの一部に関して取得した充填長情報を無視し、すべての反応管20の充填長がT-S以上T+S以下の範囲内に入るよう手直しする方法(本発明の方法を用いない方法である。多管式反応器10のすべての反応管の充填長を測定し、コンピュータ装置を用いずに過不足を確認し、すべての反応管で充填長が特定の閾値範囲内に入るよう手直しをする必要が生じる。非効率であり手直し工数(作業日数)および作業に必要な工数が莫大になり、その予測も困難となる。)。
このように、当該支援情報を取得したユーザーは、多管式反応器10の運転の準備行為をより効率良く進めることができる。多管式反応器10における触媒の補充および抜き出しに必要な工数を見積もる別の方法としては、多管式反応器10の一部または全部の反応管に充填された触媒の各層又は全層の充填時間を計測しておき、単純にこれらの平均を取り得られた参照充填時間に、対象とする触媒層の充填にあたる作業人員数をかけ、参照充填時間の充填にあたった作業人員数を割る方法が挙げられる。当該別の方法を採用して上記実施形態の方法を実施してもよい。なお、上述の充填長情報は広義には充填長だけでなく反応管上部の空筒部の測長結果である空間長、差圧、充填量や嵩比重などのデータを含むものとする。
また上記の方法において、触媒の充填長が正規分布であるとみなして充填長情報を統計処理することにより閾値外反応管情報を出力することで、一部の反応管20の充填長情報から多管式反応器10における充填長が特定の閾値範囲内にない反応管20の情報を見積もることができる。例えば、充填長が特定の閾値範囲内にない反応管20の数量や各反応管20における充填長の過不足量から、反応管20への触媒の補充に必要な触媒量や、多管式反応器10における触媒の補充および抜き出しに必要な工数を見積もることができる。
また上記の方法において、触媒の充填長に関するヒストグラムを出力するヒストグラム出力ステップにより、多管式反応器10の状態の傾向を可視化できる。これにより、当該ヒストグラムを取得したユーザーは、多管式反応器10の状態の傾向を認識して取るべき措置を早期に判断することができ、多管式反応器10の運転の準備行為をより効率良く進めることができる。
また上記の方法において、多管式反応器10における触媒の補充に要する工数および触媒の抜き出しに要する工数のうちの少なくとも一方を出力する工数出力ステップにより、触媒の充填の手直しに要する工数を見積もることができる。そして、当該工数の見積もりを取得したユーザーは、当該工数に応じて作業員の人数や作業時間の配分を調整でき、多管式反応器10の運転の準備行為をより効率良く進めることができる。
また上記の方法において、多管式反応器10の反応管20を2以上の区画に分割し、各区画に含まれる反応管20に充填された触媒の充填長に関する区画充填長情報を区画毎に統計処理して支援情報を出力することで、多管式反応器10の区画毎に、洗浄不足、反応管の内径、各作業者の作業のばらつき等に起因する区画毎の反応管20の状態の傾向を認識できる。これにより、区画毎に統計処理されて出力された支援情報を取得したユーザーは、各区画における取るべき措置を早期に認識することができ、多管式反応器10の運転の準備行為をより効率良く進めることができる。この区画の分割は、図1のように空間的に分割することも可能であるが、別の分割方法であってもよい。たとえば多管式反応器10の反応管20より空間的に任意の反応管20を選別し、そこに触媒を充填し(試し充填作業)、得られた充填長情報を統計処理して支援情報を出力することで、上記実施形態の方法を実施してもよい。
また上記の方法において、区画毎に触媒の充填長に関するヒストグラムを出力するヒストグラム出力処理により、多管式反応器10の区画毎に、洗浄不足、反応管の内径、各作業者の作業のばらつき等に起因する区画毎の反応管20の状態の傾向を可視化できる。これにより、当該ヒストグラムを取得したユーザーは、各区画における必要な措置を早期に認識することができ、多管式反応器10の運転の準備行為をより効率良く進めることができる。本発明の方法を用いる場合と用いない場合では、充填に必要な作業時間において1.1倍から最大で5.0倍程度の違いがあり、本発明の方法は効果的である。
以上、上述した実施形態を一例として本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。たとえば上述した充填作業を、充填された触媒を反応管から抜き出す抜き出し作業と読み替えることや、充填された触媒を抜き出して新品の触媒と任意の割合で混合し、再度充填する手直し作業と読み替えることや、充填された反応管20の各々の差圧を測定する差圧測定作業と読み替えることが、可能である。
上述の実施形態において触媒の充填長に関する態様を説明したが、これ以外にも反応管の一部に設けられた温度センサーが出力する温度データ(温度情報)を含む反応管情報を取得するステップ、温度データを統計処理して、最大値、最小値、平均値等から、多管式反応器における温度分布データを出力するステップをコンピュータ装置に実行させてもよい。出力は、例えばコンピュータ装置に接続されたディスプレイ等の出力装置に温度分布データを表示することにより行われうる。また、温度分布データに基づいて温度分布をグラフとして示してもよい。そして、温度分布データに基づいて触媒の使用制限温度等に対して安全運転維持のためのマージンを出力するステップをコンピュータ装置に実行させてもよい。例えば温度分布を示すグラフと、安全運転維持のためのマージンと、に基づいて、多管式反応器のユーザーに対して、安定な運転を実施する上での、反応浴温度調節、ロード調節、ガスモル比調節、出口圧調節など、管理操作のアドバイスが可能となり精度の高い安定運転を実現できる。
上記温度データに基づく方法の具体的態様を以下に説明する。
温度データで運転を支援する支援情報を出力する場合とは、例えば反応のスタートアップ時や再スタートアップ時が考えられる。スタートアップ時や再スタートアップ時は、特に慎重な温度管理が要求される場面であり、複数の反応管の温度情報を正確に把握し、温度管理を行う必要がある。
まず、反応のスタートアップ時や再スタートアップ時に複数の反応管における2箇所以上の温度データを取得する。そしてこの温度データを統計処理することで多管式反応器10としての温度データを算出する。この際の方法として、上記の実施形態と同様にコンピュータ装置を用いて統計処理する方法が好ましく、また複数の反応管における温度分布は、正規分布に従うとして統計処理する方法が好ましい。また、複数の反応管の中で、温度データが測定器の故障や断線その他の要因により不正確であると判断された場合、当該反応管の温度データは棄却するなどの統計処理も行ってもよい。この棄却するための判断基準は一般的な統計処理であればその方法を問わないが、例えば標準正規分布に従った5%有意水準により判断される。
データの統計処理に関して、上述の実施形態において、各々の反応管は独立であり連続的な測定値を取るため、正規分布を取ると仮定する態様を説明したが、以下の例のようにデータの分布形状やデータの性質により、そのほかの分布を仮定して任意の統計処理を採用してもよい。すなわち、何らかの要因でバイモーダル(2種類以上の分布の混合)な分布形状の場合、混合正規分布を仮定してもよい。統計処理として、混合ガウスモデルなどを使い2つ以上の正規分布に分ける統計処理も、必要に応じ行われうる。何らかの要因で、データが2種類しかなく離散的な数値の場合、二項分布を仮定し、統計処理を行ってもよい。分布形状の歪度が高い場合、対数正規分布を仮定し、統計処理を行ってもよい。ほとんどの反応管でデータが同一な場合、ポアソン分布を仮定し、統計処理を行ってもよい。
統計処理は、少なくとも、複数の反応管20の一部に関する反応管情報に含まれる一の項目に係る情報に基づいて、すべての反応管20の当該項目の分布を推定する処理を含むことが好ましい。項目の例として触媒の充填長や反応管の温度が挙げられるが、これらに限られない。このような統計処理を行うことにより、すべての反応管20の反応管情報を一本ずつ取得することなくすべての反応管20の状態を推定でき、それに基づいた支援情報を出力できる。
また、上述の実施形態において第2の触媒層24の充填の態様を説明したが、上述の方法は第1の触媒層22、第3の触媒層26、第4の触媒層28の充填に関しても適用できる。第1の触媒層22の充填において手直し作業の工数を出力する場合には、多管式反応器10を使用するユーザーの過去の経験や、他の製造現場における実績値などに基づいて予測の基準工数情報を用意し、手直し作業の工数を算出してもよい。
本出願は、2021年9月27日出願の日本特許出願2021-156481に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
10:多管式反応器、20:反応管、22,24,26,28:触媒層、30:サポートリング、S1:取得ステップ、S2:出力ステップ、S3:提供ステップ

Claims (7)

  1. 触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の運転またはその準備行為をサポートする方法であって、
    コンピュータ装置に、
    前記多管式反応器に含まれる複数の反応管のうちの一部に関して触媒の充填長に関する充填長情報を取得する取得ステップと、
    前記充填長が正規分布に従うとみなして、充填長情報を統計処理することにより前記充填長が特定の閾値範囲内にない前記反応管に関する閾値外反応管情報を出力する出力ステップと、を実行させることを含む、方法。
  2. 前記触媒の充填長のヒストグラムを出力するヒストグラム出力ステップを、前記コンピュータ装置に実行させることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記閾値外反応管情報と、前記多管式反応器の基準工数情報と、に基づいて、前記多管式反応器における前記触媒の補充に要する工数および前記触媒の抜き出しに要する工数のうちの少なくとも一方を出力する工数出力ステップを、前記コンピュータ装置に実行させることをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記閾値外反応管情報を前記多管式反応器のユーザーに提供するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記工数出力ステップにより出力された工数を前記多管式反応器のユーザーに提供するステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
  6. 前記取得ステップが、2以上の区画に分割された前記多管式反応器の各区画に含まれる複数の反応管のうちの一部に関する区画情報を取得するステップを含み、
    前記区画情報が、前記区画に含まれる前記反応管に充填された触媒の充填長に関する区画充填長情報を含み、
    前記出力ステップが、前記区画充填長情報を区画毎に統計処理することにより前記閾値外反応管情報を出力することを含む、請求項1または2に記載の方法。
  7. 区画毎に前記触媒の充填長のヒストグラムを出力するヒストグラム出力ステップを、前記コンピュータ装置に実行させることをさらに含む、請求項6に記載の方法。
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