図面を参照すると、各図に亘って同様の参照符号は、同様の又は対応する構成要素を示す。図1に概略的に示されるシステム100は、機械類が実行するプロセスの複数の刻時イベントのイベント持続時間(イベント持続時間は、プロセスのイベント・シークエンスにおいて順序付けられている。)によって確定される、プロセスの「鼓動」を生成するものである。鼓動は、データ・シークエンスによってつまりグラフのパターンによって示され得る。一例においては、パターンは棒グラフのパターンである。他の例においては、プロセスのプロセス・シークエンス(例えば、プロセスが刻時イベントを実行する順序)に並べられた刻時イベントのイベント持続時間である「順序付けられたイベント持続時間」によって確定された折れ線グラフのパターンである。機械の鼓動は、イベント持続時間が1つのプロセスから他のプロセスまで変化する量を評価する比較器を使って、プロセスを測定し、監視し、及び/若しくは制御するために使用され得る。機械類が実行する刻時イベントのイベント持続時間が1つのプロセスサイクルからもう1つのプロセスイクルまで変化する量を詳しく理解することにより、プロセスの出力及び/若しくは機械の性能を制御及び/若しくは改善し、イベントの持続時間の分析に亘る懸念事項を予測ないし予防し、簡易的な分析でイベント持続時間の有利な変動の原因を特定することを可能にし、且つ/或いはイベント持続時間の有害な変動の原因を取り除き或いは最小限に抑え、且つ/或いは予防のメンテナンスつまり不具合が生じる前にプロセスを停止する等の予防措置を講じることを決定し及び/若しくは開始することが可能となる。
本明細書において説明されるシステム及び方法は、プロセスによって確定される1つ又は複数のオペレーション・パラメータと、該プロセスを含むシステムによって確定される環境パラメータとからなる1つ又は複数のプロセス・パラメータを検出し、これと、プロセス及びプロセスの鼓動とを関連付けることを含む。プロセス・パラメータは、プロセスセンサ及びシステムセンサのうちの一方であり得るパラメータセンサを使って、プロセスサイクルの実行に伴ってリアルタイムに検出され、パラメータセンサ及びプロセスと通信するサーバによって生成される。サーバは、パラメータセンサから受信したパラメータ信号を使ってプロセス・パラメータを生成し、プロセス・パラメータと、これに対応する鼓動とをリアルタイムに関連付ける。パラメータ信号は、アナログ信号であり得る。プロセス・パラメータは、時刻に依存するパラメータである場合もあれば、時刻に依存しないパラメータである場合もある。本明細書においては、時刻に依存するパラメータは、予備設定された値まで設定時刻に到達できるように、プロセス10、詳しくはプロセス10のオペレーション(作動)66を要求する。例えば、切削オペレーションにおいて、深さ0.3インチ(約7.62mm)の切削について4秒間で切削を完了できるはずというように、切削の深さは時刻に依存するパラメータである。他の例においては、プロセス10におけるロボットアームが7.5秒間に22フィート(約6.7m)だけ対象物を移動させることが必要な場合に、移動距離は時刻に依存するパラメータである。本明細書において、時刻に依存しないパラメータは、時刻に拘束されるプロセス・パラメータではなく、ある範囲つまりパラメータ限界74を超えない範囲内にあるように監視され、且つ/或いは制御される。例えば、時刻に依存しないパラメータとしては、塗装オペレーションにおける環境湿度があり、この環境湿度は最大の許容限界よりも低く制御される。鼓動に対応する1つ又は複数のプロセス・パラメータの変動を解釈すること、且つ/或いは鼓動とプロセス・パラ−メータの組合せの相互作用及び/若しくはパターンを解釈することが、プロセスの成果及び/若しくは機械の性能を制御し、且つ/或いは改善し、プロセスの懸念事項を予測ないし予防し、簡易的な分析でイベント持続時間の有利な変動の原因を特定することを可能にし、且つ/或いはイベント持続時間の有害な変動の原因を除き又は最小限に抑え、且つ/或いは予防のメンテナンスつまり不具合が生じる前にプロセスを停止する等の予防措置を講じることを決定及び/若しくは開始するために使用され得る。
概略的に示されているプロセス10は、図2に示したイベント・チャートのシークエンスによって示されるプロセスサイクル30を実行するように構成されている。プロセスサイクル30は、プロセス・シークエンス50において実行される複数の刻時イベントE1...Enからなり、第1のイベントつまりタスクE1から始まり、最後のイベントつまりタスクEnで終了する。本明細書において、刻時イベントEとは、概して、刻時イベントE1...Enのうちの少なくとも1つのことである。刻時イベントE1...Enの各々は、イベント持続時間(例えば、プロセス10及び/若しくは機械類12の作動条件に基づいて変動し得る、イベントを実行する時間の長さ)によって特徴付けられる。例えば、図2においては、刻時イベントE1は持続時間D1を有し、刻時イベントE2は持続時間D2を有し、以下同様に続く。図1に示した一例においては、機械類12は、プロセス10を実行するように構成された1つ又は複数の機械12A,12B,12C...12nのうちの少なくとも1つを含むが、この例に限定されない。機械類12は、機械12A...12nのうちの少なくとも1つと通信する1つ又は複数のコントローラ14A,14Bであり得るコントローラを含み得る。コントローラ14A,14Bは、プログラマブル論理制御装置(PLC)、プログラマブル自動制御装置(PAC)又はこれらの同等物として構成され得る。機械12A...12nの各々及び/若しくは機械類は、プロセス10のプロセスサイクルを確定するイベントのシークエンスにおける少なくとも1つの「刻時イベント(本明細書においてこの語句は、イベントの持続時間が測定可能或いは決定可能となるように、確定された開始時刻及び終了時刻を有するイベントのことである。)」を実行するように構成された種々の型式のものであり得る。機械類12が実行する1つ又は複数のオペレーション66をプロセス10が含み得るように、1つ又は複数の刻時イベントE1...Enは、オペレーション66を確定するためにグループ化される場合がある(図7を参照)。オペレーション66は、1つ又は複数の機械12が実行し得る1つ又は複数のイベントE1...Enの組合せを含み、これらは、プロセス10によって確定された他のオペレーション66に続いて、且つ/或いは並行して実行され得る。機械類12はコントローラによって制御され、自動化され得るが、そうではない場合においても、プロセスサイクルの実行中に実行される刻時イベントの持続時間を決定することができる態様で操作され得る。
プロセス10は、該プロセス10のプロセスオペレーション・パラメータ70(図8を参照)を検出し、測定し、或いは数値化つまり定量化するように構成された少なくとも1つのプロセスセンサ34を含む。本明細書において「プロセスオペレーション・パラメータ」という語句は、プロセス10の作動条件を確定する、プロセス10の特徴、特性、挙動、条件又は他のファクタなどのパラメータのことである。一例においては、プロセス10の作動条件は、プロセス10のオペレーション66、刻時イベントE、一群のイベント、及び/若しくは機械12の作動条件であるが、この例に限定されない。本明細書においては、プロセスオペレーション・パラメータ70は、オペレーション・パラメータとも呼ばれる。各プロセスセンサ34は、少なくとも1つのコントローラ14及び/若しくはサーバ20と通信し、オペレーション・パラメータ70に対応するオペレーション信号データを検出してコントローラ14及び/若しくはサーバ20へ出力する。そして、コントローラ14及び/若しくはサーバ20が、プロセスサイクル30の実行中にプロセスセンサ34から受信したオペレーション信号データを使って、オペレーション・パラメータ70を決定することができる。図1に示される一例においては、プロセス10は、機械12Bが実行するオペレーション66についての複数のオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70D(図8を参照)の各々を検出するように構成されたプロセスセンサ34A,34B,34C,34Dを含む複数のプロセスセンサ34を有するが、この例に限定されない。オペレーション66についてのオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dを生成するために、プロセスセンサ34A,34B,34C,34Dが出力するオペレーション信号データがコントローラ14B及びサーバ20のうちの少なくとも一方によって受信されて処理されるように、プロセスセンサ34A,34B,34C,34Dと、コントローラ14B及び/若しくはサーバ20と、が通信する。プロセスセンサ34から出力されるオペレーション信号は、アナログ信号及びデジタル信号のうちの一方であり得る。図示した例においては、プロセスセンサ34から出力されるオペレーション信号は、オペレーション・パラメータ70のアナログ信号であり、このオペレーション・パラメータ70は、時刻に依存するパラメータ及び時刻に依存しないパラメータ(これらについては後述する)のうちの一方であり得る。一例においては、オペレーション・パラメータ70は、プロセスサイクル30における単一のイベントEに特有のものであるが、この例に限定されない。他の例においては、オペレーション・パラメータ70は、プロセスサイクル30における一群のイベントE(イベントEのグループ)に特有のものである。
プロセス10は、該プロセス10を含むシステム100のプロセス環境パラメータ72(図13を参照)を検出し、測定し、或いは数値化しつまり定量化するように構成された少なくとも1つのシステムセンサ28を含む。本明細書において使用される「プロセス環境パラメータ」という語句は、システム100とプロセス10の環境条件を確定する、システム100の特性、特質、態様、条件、又は他のファクタなどのパラメータである。本明細書において、プロセス環境パラメータ72は、単に環境パラメータ72とも呼ばれる。コントローラ14及び/若しくはサーバ20が、システムセンサ28から受信した環境信号データを使って環境パラメータ72を決定し得るように、各システムセンサ28は、少なくとも1つのコントローラ14及び/若しくはサーバ20と通信し、環境パラメータ72に対応する環境信号データを検出して、コントローラ14及び/若しくはサーバ20へ出力する。図1に示される一例においては、システム100が備えている複数のシステムセンサ28(システムセンサ28A,28B,28Cを含む)は、プロセスサイクル30の実行中に、システム100の環境パラメータ72A,72B(図13を参照)を含む複数のオペレーション・パラメータ72を検出するように構成されているが、この例に限定されない。図1に示される一例においては、システムセンサ28A,28Bは、ぞれぞれのシステム・エレメント64A,64Bの環境パラメータ72を検出するように構成されている。図1に示される例においては、システムセンサ28Cは、システム100内例えばシステム100を収容する施設内の環境温度、及び/若しくはプロセス10の近隣の環境温度などの環境パラメータ72を検出するように構成されている。図示した例においては、システムセンサ28A,28B,28Cが出力する環境信号データをサーバ20が受信して処理することにより、図13に示されるオペレーション66についての環境パラメータ72A,72Bを含む環境パラメータ72を生成することができるように、システムセンサ28A,28B,28Cがサーバ20と通信する。システムセンサ28から出力される環境信号は、アナログ信号及びデジタル信号のうちの一方であり得る。図示した例においては、システムセンサ28から出力される環境信号は、環境パラメータ72のアナログ信号である。
本明細書において、プロセスオペレーション・パラメータ70とプロセス環境パラメータ72は、集合的にプロセス・パラメータ70,72と呼ばれる場合もあれば、オペレーション・パラメータ70及び環境パラメータ72のうちの一方として個別にプロセス・パラメータ70,72と呼ばれる場合もある。本明細書中において、プロセスセンサ34とシステムセンサ28は、集合的にパラメータセンサ28,34と呼ばれる場合もあれば、プロセスセンサ34及びシステムセンサ28のうちの一方として個別にパラメータセンサ28,34と呼ばれる場合もある。本明細書において、パラメータセンサ28,34からの出力は、センサ信号及び/若しくはセンサ信号データと呼ばれ得る。また本明細書において、オペレーション信号と環境信号は、オペレーション信号、環境信号、及びオペレーション信号と環境信号の組合せを含み得るパラメータ信号として言及されるときに集合的にプロセス・パラメータ信号又はパラメータ信号と呼ばれる場合もあれば、環境信号データ又はオペレーション信号データのいずれかであるものとして個別にプロセス・パラメータ信号又はパラメータ信号データと呼ばれる場合もある。
システム100は、機械類12、コントローラ14、システムセンサ28及びプロセスセンサ34と通信する少なくとも1つのサーバ20を含む。サーバ20は、機械類12からのイベント持続時間データ、プロセスセンサ34からのオペレーション信号データ、及びシステムセンサ28からの環境信号データを受けるように構成されている。サーバ20は受信したデータを使って、機械類12を含むプロセス10についての鼓動を、イベント持続時間データを用いて生成する。サーバ20は、パラメータセンサ28,34から受信したプロセス・パラメータ信号を使って、プロセス・パラメータ70,72を生成する。サーバ20は例えば、プロセスセンサ34から受信したオペレーション信号データを使ってオペレーション・パラメータ70を生成し、システムセンサ28から受信した環境信号データを使って環境パラメータ72を生成し、さらには、鼓動に対応するオペレーション・パラメータ70及び環境パラメータ72を、その鼓動に関連付ける。サーバ20は、機械類12から受けたイベント持続時間データを処理し、プロセスセンサ34から受けたオペレーション信号データを処理し、さらにはシステムセンサ28から受けた環境信号データを処理することに適切な1つ又は複数のアプリケーション22を有する。サーバ20は、イベント持続時間データ、オペレーション信号データ、環境信号データ及びこれらに由来する変動データとトレンドデータを含むデータ、鼓動データ、鼓動のヒストリ、オペレーション・パラメータデータ、オペレーション・パラメータデータのヒストリ、環境パラメータデータ、環境パラメータのヒストリ、パラメータ変動データ、パラメータ適合性データ等を受信し、格納し、且つ/或いは提供するためのメモリ24及びデータベース26をシステム100内に有するとともに、アプリケーション22を実行するための中央演算処理装置(CPU)(図示せず)を有し得る。一例においては、メモリ24(その少なくともいくらかは有体物であり持続的なものである)は、例えば、アプリケーション22を実行し、データベース26を格納し、且つ/或いは機械類12、コントローラ14A,14B、パラメータセンサ28,34、システム・エレメント64及び/若しくはデバイス16,18と通信するのに充分な容量及び速度を有するROM,RAM,EEPROM等である。
一例においては、アプリケーション22を使ってイベント持続時間データを処理することは、イベント持続時間データに基づいた鼓動を生成すること、イベント持続時間が与えられた場合にイベント持続時間データ及び/若しくは鼓動と時間とを関連付けること、イベント持続時間データが与えられた場合に該イベント持続時間データ及び/若しくは鼓動と、機械類12及び/若しくはプロセス10のオペレーション・パラメータ70並びに/又はシステム100のプロセス10及び/若しくは環境のパラメータ72等のプロセス・パラメータとを関連付けること、イベント持続時間データと、機械類12における特定の機械12A...12n、特定のイベントE1...En、機械の条件、イベントの時刻又は他のイベントイベント特定情報とを関連付けること、プロセス・パラメータ70,72と複数のイベントのうちの特定のイベントE又は一群のイベントとを関連付けること、のうちの少なくとも1つを含み得るが、これらの例に限定されない。一例においては、アプリケーション22は、イベント持続時間データを分析して、鼓動、イベント変動量、及び/若しくは累積変動量を生成すること、イベント持続時間データ及び/若しくはこれに由来するデータを分析してプロセスのトレンド、基準からはずれた傾向又は他のデータパターンを特定すること、イベント持続時間データ、プロセス・パラメータデータ及びこれに由来する他のデータ(データベース内におけるイベントイベント特定情報並びにパラメータセンサ情報及びパラメータ限界74等のパラメータイベント特定情報に関連した、イベント変動量、累積変動量、鼓動、トレンドデータ、プロセス・パラメータ、パラメータ変動、パラメータ適合性を含み得るが、これらに限定されない)を格納すること、イベント持続時間データ、プロセス・パラメータデータ及び/若しくはこれらの組合せに基づいてメッセージないし信号を生成すること、且つ/或いは、コントローラ14A,14Bを介して或いは直接的に、機械類12やシステム100におけるプロセス10と通信し得るユーザーインターフェイス・デバイス18又は他のメッセージング・デバイス16へメッセージないし信号を送信することを含み得るが、この例に限定されない。
一例においては、アプリケーション22は、プロセス・パラメータ70,72を生成するためにパラメータセンサ28,34が生成したパラメータ信号及び/若しくはパラメータ信号データを分析すること、パラメータ信号、パラメータ信号データ及び/若しくはプロセス・パラメータ70,72と、1つ又は複数のパラメータ限界74とを比較して、パラメータ限界74を超えているか否か、及び/若しくはパラメータ限界74からの変動量を特定すること、プロセス・パラメータ70,72及び/若しくはこれらに由来するデータを分析してトレンド、基準からはずれた傾向又はプロセス・パラメータ70,72に関連する他のデータパターンを特定すること、パラメータ信号データ及びこれに由来する他のデータ(パラメータ限界74からのパラメータ差異、トレンドデータ等)を関連情報(例えば、プロセス・パラメータ70,72を特定するための関連情報)とともにデータベース26内に格納すること、プロセス・パラメータ70,72に基づいてメッセージないし信号を生成すること、且つ/或いは該メッセージないし信号を、コントローラ14A,14Bを介して機械類12まで送信し、サーバ20を介してシステム・エレメント64まで送信し、及び/若しくはユーザーインターフェイス・デバイスまで直接的に送信し、或いは機械類12、プロセス10、システム・エレメント64、コントローラ14A,14B及び/若しくはシステム100と通信する他のメッセージング・デバイスまで送信することを含み得るが、この例に限定されない。
一例においては、アプリケーション22は、環境パラメータ72に応答して、例えば、システム・エレメント64を検出するシステムセンサ28から受信した環境信号に応答して、システム・エレメント64を制御することを含み、システム・エレメント64を制御することは、周知の値又は周知の範囲内で環境パラメータ72を制御すること、及び/若しくはサーバ20が環境信号から生成した環境パラメータ72と少なくとも1つのパラメータ限界とを比較すること、並びに、環境パラメータ72が少なくとも1つのパラメータ限界74に適合する範囲で制御されるようにシステム・エレメント64の作動を制御することを含み得るが、この例に限定されない。一例においては、アプリケーション22は、オペレーション・パラメータ70に応答して(例えば、イベントE、機械12及び/若しくはプロセス10を検知しているプロセスセンサ34から受信したオペレーション信号に応答して)、イベントE、機械12及び/若しくはプロセス10を制御することを含み、イベントE、機械12及び/若しくはプロセス10を制御することは、周知の値又は周知の範囲内でオペレーション・パラメータ70を制御すること、且つ/或いはコントローラ12及び/若しくはサーバ20がオペレーション信号から生成したオペレーション・パラメータ70と、少なくとも1つのパラメータ限界74とを比較すること、並びに、オペレーション・パラメータ70が少なくとも1つのパラメータ限界74に適合する範囲で制御するように機械12及び/若しくはプロセス10の作動を制御することを含み得るが、これらの例に限定されない。
図示した例において、プロセス・パラメータ70,72が少なくとも1つのパラメータ限界74に「適合している(つまり限界74を超えていない)」か否かは、少なくとも1つのパラメータ限界74の種類及び/若しくは構成により判断される。図12に示した例においては、オペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dの各々が、少なくとも1つのそれぞれのパラメータ限界74を有することが示されている。オペレーション・パラメータ70Aは、該オペレーション・パラメータ70Aの最大限界であるパラメータ限界74Aと、該オペレーション・パラメータ70Aの最小限界であるパラメータ限界74Bとを有することが示されている。この例においては、オペレーション・パラメータ70Aは、該オペレーション・パラメータ70Aが最小パラメータ限界74Bよりも大きくかつ最大パラメータ限界74Aよりも小さいときに、パラメータ限界74A,74Bに適合している。図示した他の例においては、オペレーション・パラメータ70Bは、最大パラメータ限界74Aを有し、該オペレーション・パラメータ70Bが最大限界74Aよりも小さいときにパラメータ限界74Aに適合している。他の例においては、オペレーション・パラメータ70Cは、最大限界であるパラメータ限界74Aと、好適な限界であるパラメータ限界74Bとを有することが示されており、オペレーション・パラメータ70Cが最大限界74Aよりも小さいときにオペレーション・パラメータ70Cがパラメータ限界74A,74Bに適合し、好適な限界74Bよりも大きいオペレーション・パラメータ70Cを検出したときにコントローラ12及び/若しくはサーバ20を起動させ、好適な限界74Bを超えたことを知らせるメッセージないし報知を送信し、且つ/或いは、オペレーション・パラメータ70Cを制御して好適な限界74Bよりも小さくするようにプロセス10及び/若しくは機械12の調節が要求される。
他の例においては、オペレーション・パラメータ70Dが時刻に依存する(例えば、パラメータ限界74Cの値が、オペレーション・パラメータ70Dによって特徴付けられたイベントE、オペレーション66及び/若しくはプロセスサイクル30の持続時間の間に変化する)パラメータ限界74Cを有することが示されている。図12に示される例においては、パラメータ限界74Cは、オペレーション・パラメータ70Dのベースラインの値を表しており、オペレーション・パラメータ70Dの値とパラメータ限界74Cとの値が互いに異なっている任意の時刻において、オペレーション・パラメータ70Dは、パラメータ限界74Cのベースラインの値に適合していない。また、オペレーション・パラメータ70Dによって特徴付けられるイベントE、オペレーション66及び/若しくはプロセスサイクル30の実行中の任意の時刻について、オペレーション・パラメータ70Dとパラメータ限界74Cとの間の差異が、コントローラ12及び/若しくはサーバ20によって決定され、イベントE、プロセス10及び/若しくは機械12の性能、並びに/又はオペレーション・パラメータ70Dを生成する条件を分析するために使用される。図示した例によれば、パラメータ限界74Cが周知の条件を確定するように、パラメータ限界74Cによって表されるベースラインの値が、オペレーション・パラメータ70Dの設計値から及び/若しくは学習済みプロセスサイクルから決定され得る。
本明細書中に提示される例は、限定するためのものではない。例えば、サーバ20の機能は、単一のサーバによって提供され得るか或いは第三者のサーバを含む複数のサーバ間に配信され得ることと、システム100内のデータは上述したデータベース26とは異なる態様で構築されたデータベースによって提供され得ることを理解されたい。例えば、サーバ20と通信するコントローラ14Aに格納された共有のデータベース内に、機械12Aに関連するイベント持続時間データ及び/若しくはプロセス・パラメータ70が駐在し得る。データベース26は、インターネット等のネットワーク(図示せず)を介して及び/若しくは直接的に、互いに通信するとともにサーバ20とも通信するように、第三者を含む複数のサーバ間に配信され得る。
図2〜図3Dは、機械の鼓動を生成する方法を示す。図示した例においては、鼓動は、機械類12が実行するべきプロセスサイクル30の一連の刻時イベントE1...Enについて与えられたイベント持続時間データD1...Dn(図2を参照)によって確定されたベースライン鼓動32(図3Dを参照)である。図示した例においては、ベースライン鼓動32とベースライン・イベント持続時間データD1...Dnは、プロセスサイクル30の設計値に対応する。
図2においてイベント・シークエンスのチャートによって示されるように、プロセス10の単一のプロセスサイクル30を実行することは、イベント・シークエンスのチャートにイベントE1...E2を順序付けることにより示されているプロセス・シークエンス50における複数の刻時イベントE1...Enの各々が実行されプロセスサイクル30が完了するまで、第1の刻時イベントE1を実行し、続いて第2の刻時イベントE2を実行し、以下同様に続けることからなる。ベースライン・プロセスサイクル30における刻時イベントE1...Enの各々は、ベースライン・イベント持続時間D1...Dn(図示した例においては、プロセス10の設計値によって特定のイベントを実行する時間)によって特徴付けられている。図示した目的のための値が示されている一例においては、刻時イベントE1...Enの各々に対応するベースライン持続時間D1...Dnの各々が図2にグラフで表示されるとともに、表1のデータ表にも示されているが、この例に限定されない。
特定の条件下で実行されるプロセスサイクルのイベント持続時間(特定のプロセスサイクルのイベント持続時間は、プロセス・シークエンス50内に順序付けられる)によってプロセス10の鼓動が確定されることにより、特定のプロセスサイクルの「順序付けられたベースライン持続時間」がもたらされる。本明細書において「順序付けられたイベント持続時間」とは、特定のプロセスサイクルの鼓動を確定するために、特定のプロセス・シークエンス50の順に配置された特定のプロセスサイクルのイベント持続時間のことである。「特定の条件」とは、プロセスサイクルが実行されてイベント持続時間データをもたらすときの条件であり、このイベント持続時間データからこれに対応する鼓動が生じる。例えば、図2に示されるベースライン・プロセスサイクル30を参照すると、ベースライン・プロセスサイクル30の特定の条件は、プロセス及び/若しくは機械類12の設計の条件であり得るベースライン条件である。(図3B〜図3Dにおいてグラフで示されている)ベースライン鼓動32は、表1において、プロセス・シークエンス50の順に示されている順序付けられたベースライン・イベント持続時間によって確定されている。表1においては、ベースライン鼓動32は、ベースラインデータ・シークエンス(D1,D2,D3,D4,D5,D6,D7,D8,D9,Dn)としても表現され得るものであり、表1に示されている例示の値を用いると、順序付けられたベースライン・イベント持続時間(3,4,3,4,10,22,4,3,4,3)と対応する。今度は図3A〜図3Bを参照すると、図2のイベント・チャートのシークエンスが回動されると、複数の刻時イベントE1...Enが水平軸(該当ページを参照)に沿ってプロセス・シークエンス50内に順序付けられ、さらに、図3Bに示されるような水平軸に端を発する棒グラフがつくり出されるように、図3Aに示される矢印の方向へ複数のベースライン・イベント持続時間D1...Dnの各々をシフトさせることにより、ベースライン鼓動32がグラフ化され得る。図3Bの棒グラフは、順序付けられたベースライン・イベント持続時間D1...Dnによって確定されたベースライン鼓動データ・シークエンス(D1,D2...Dn)に対応している。図3Bは、棒グラフによって形成されたパターンを示しており、ベースライン鼓動32をグラフにより表現したものである。ベースライン鼓動32の他のグラフによる表現は、順序付けられたベースライン・イベント持続時間D1...Dnによって確定され得る。例えば、図3Cは、折れ線グラフにより表現されたベースライン鼓動32を示しており、この折れ線グラフのパターンは、順序付けられたベースライン・イベント持続時間D1...Dnによって確定され、図3Bと、図3Cにもある棒グラフのパターンに対応するものである。図3Dは、折れ線グラフにより表現された鼓動32を示す図であり、順序付けられたベースライン・イベント持続時間D1...Dnによって確定されたベースライン鼓動32のリズムを示している。ベースライン鼓動32は、ベースライン鼓動データ・シークエンス(D1,D2...Dn)によって表現され得るものであり、順序付けられたベースライン・イベント持続時間によって確定された図3Bの棒グラフのパターンによるグラフで表現されるだけでなく、順序付けられたベースライン・イベント持続時間によって確定された図3Dの折れ線のパターンによるグラフでも表現されることが理解されよう。一方のグラフ表現(棒グラフのパターン若しくは折れ線のパターン)は他方と同等と見做されるとともに、ベースライン・プロセスサイクル30のベースライン鼓動32を確定する意味において表1に示した鼓動データ・シークエンスと同等と見做される。
上述したように、プロセス20の鼓動が、特定の条件下で実行されたプロセスサイクルの順序付けられたイベント持続時間(特定のプロセスサイクルのイベント持続時間はプロセス・シークエンス50内に順序付けられる)によって確定されることにより、特定のプロセスサイクルの「順序付けられたベースライン持続時間」がもたらされ得る。プロセス10の実行中における刻時イベントの実際の持続時間は、そのプロセスサイクルの実行中の、又はそのプロセスサイクルにおける特定のイベントE及び/若しくはオペレーション66の実行中のプロセス10の作動条件及び/若しくはプロセス・パラメータ70,72、機械類12、並びに/或いはシステム100に基づいて、1つのプロセスサイクルから他のプロセスサイクルまで変化し得ることが理解されよう。プロセス・パラメータ70,72は環境パラメータ72を含み、環境パラメータとしては、プロセス10付近の環境温度や湿度、プロセス10及び/若しくは機械類12へ油圧及び/若しくは冷却剤を供給するために使用される油圧システムがシステム・エレメント64である場合における1つ又は複数の油圧、サージポンプの圧力、流体の温度等や、プロセス10及び/若しくは機械12へ圧縮空気を供給するための空気圧系統がシステム・エレメント64である場合における空気圧や、プロセス10及び/若しくは機械12へ電力を供給する電源装置がシステム・エレメント64である場合における電流の大きさや電圧の大きさ等がある。プロセス・パラメータ70,72はまたオペレーション・パラメータを含み、オペレーション・パラメータとしては、回転速度、トルク、供給速度、移動、作動温度、位置、圧力等、機械メンテナンスにおける測定値若しくは損耗の程度、潤滑剤、工具のセットアップ若しくは損耗の程度、ワークピース(加工対象物)の修復、ワークピースの寸法、材料のバリエーション等の、工具ないし設備に関するオペレーション・パラメータなどがある。上述したプロセス・パラメータ70,72の例は、限定するためのものではなく、プロセス・パラメータ70,72の種類や例は、システム100、プロセス10、及び/又は機械12の型式に応じて異なり得ることが理解されよう。
図4は、プロセス10について生成した一連の鼓動32,36,38を示す図であり、プロセス10のオペレーション条件の変動に左右されて別の鼓動32,36,38へ変化すること、また、鼓動32,36,38の各々と、該鼓動32,36,38の源であるプロセスサイクルの動作中のプロセス10の特定の作動条件とが関連付けられ得ることを示している。図4Aに示される第1の鼓動は、図4に折れ線グラフで示されているベースライン鼓動であり、ベースライン鼓動32の源であるベースライン・プロセスサイクル30(図2を参照)は、プロセス10の設計条件に対応するものである。第2の鼓動36は、図4Aにおいて、斜行平行線が付された棒グラフとして示されている第2の鼓動データ・シークエンス(L1,L2,L3...Ln)によって確定されている。この例における第2の鼓動36は、学習済み鼓動36とも呼ばれるが、学習済み鼓動36の源である学習済みプロセスサイクル(図示せず)は、プロセス10の周知の条件に対応し、学習済みイベント持続時間L1,L2...Lnは、プロセス・シークエンス50において学習済みプロセスサイクルによって実行された刻時イベントE1,E2...Enに対応する。
学習済みプロセスサイクルの周知の条件とは、例えば、最適化されたプロセス条件及び機械条件(例えば、設計のプロセスサイクル30を忠実に再現する条件)を表すプロセスサイクルである。例えば、周知の最適化された(学習済み)プロセスサイクル及びこれに由来する学習済み鼓動36は、ベースライン鼓動32によって表現されたプロセスの元の設計値と比較されており、プロセス10の実際のオペレーションの動作中に最も起こる可能性の高い挙動を決定するために使用される。一例においては、学習済みプロセスサイクルは、周知の良好なサイクルであり得る。本明細書中で「良好なサイクル」とは、プロセスサイクルであって、該プロセスサイクルのプロセス・パラメータ70,72が、プロセス10及び/若しくは機械類12について決定された許容のパラメータ限界74を超えない範囲内にある、プロセスサイクルである。例えば、周知の良好なサイクルは、プロセス10の設計仕様の範囲内で実行される(例えば、パラメータ限界74がプロセス10の設計仕様によって決定されている場合において設計のプロセスサイクル30からの誤差が許容範囲内で実行される)学習済みプロセスサイクルであり得る。他の例においては、学習済みプロセスの周知の条件を特徴付けるプロセス・パラメータ70,72は、例えば、機械セットアップのパラメータ、設備における鍵となる特徴若しくは機械の他の作動上の特徴や作動温度などの環境的特徴、プロセスの成果(完成品のワークピースの特徴など)のパラメータを含む1つ又は複数のプロセス・パラメータ70,72であって、学習済み鼓動36を確定する周知の一式の条件を規定するために学習済みプロセスサイクルの実行中に測定されかつ記録されたプロセス・パラメータ70,72である。周知の一式の条件が、例えば、学習済みプロセスサイクルの実行中にプロセス・パラメータ70,72が学習済みパラメータ限界74を超えない範囲内で制御され周知の値又は周知の範囲内となるように、プロセス・パラメータ70,72についての学習済みパラメータ限界74を確定するために使用され得る。
ベースライン・プロセスサイクル30の後に学習済みプロセスサイクルが実行されるものと考慮され、先行のベースライン鼓動32に対して学習済み鼓動36がプロセス10の後続の鼓動となるように、学習済みプロセスサイクルは、プロセス10の設計からベースライン・プロセスサイクル30を決定した後、プロセス10によって実行され得る。先行の条件について生じた先行の鼓動と、後続の特定の条件について生じる後続の鼓動とを比較することにより(「後続の」及び「先行の」とは、各鼓動の源であるそれぞれの特定のプロセスサイクルが実行されるときの相対的な時刻を示す。)、プロセス10及び/若しくは機械類12の実行が監視され、評価され、且つ/或いは制御され得る。
先行の鼓動と後続の鼓動とを比較することは、例えば、後続の鼓動が由来する後続のプロセスサイクルの実行中のイベントのイベント持続時間と、先行の鼓動の源である先行のプロセスサイクルの実行中の同じイベントのイベント持続時間との間の差異を測定することを含み得る。例えば、機械類12が実行する学習済みプロセスサイクルの実行中に測定された刻時イベントE1の学習済みイベント持続時間L1が、機械類12について特定された設計のプロセスサイクルから決定された刻時イベントE1のベースライン・イベント持続時間D1と比較される。学習済みイベント持続時間L1とベースライン・イベント持続時間D1との間の差異は、刻時イベントE1についての学習済みイベント変動量と呼ばれ、この学習済みイベント変動量は、プロセスオペレーションを実行中の刻時イベントE1の(設計の)ベースライン持続時間から予測される、刻時イベントE1の持続時間の予測の変動量を確立するために使用され得る。同様に、プロセス10のイベント・シークエンスにおける第2の刻時イベントE2について、学習済みイベント持続時間L2とベースライン・イベント持続時間D2との間の変動量が決定され、以下同様に決定されることにより、プロセス10のプロセス・シークエンス50における刻時イベントE1...Enの各々について、学習済みイベント持続時間L1...Lnの各々と、それぞれのベースライン・イベント持続時間D1...Dnとの間の変動量が決定され得る。刻時イベントE1...Enについての学習済みイベント変動量は、例えば、後続のプロセスサイクルと比較するための予測のイベント変動量を提供するために使用される。後続のイベント変動量についての許容範囲つまり限界が、刻時イベントE1...Enの学習済みイベント変動量の各々について確立され、後続のイベント持続時間を評価するために使用され得る。後続のイベント持続時間の変動量が学習済みイベント変動量を超えると、且つ/或いは学習済みイベント変動量について確立された許容範囲つまり限界を超えると、システム100はメッセージを生成する。そのようなメッセージとしては、例えば、過剰のイベント持続時間であると評価されるイベントがさらに監視され或いは評価されたことを示す標識、イベントを実行している機械類12のメンテナンスが指示つまり要求されていることを示す標識、及びプロセス10のサイクルタイムがプロセスの成果(例えば、プロセスの生産性、質やアップタイム)に影響を与える態様で変化していることを示す標識、並びに作動条件を修復するためにプロセス10及び/若しくは機械類12へ送られる信号があり、作動条件の修復としては、プロセスの成果に望ましくない変動が生じることを回避するため又は機械類12へのダメージ若しくは機械類12の損傷及び/若しくは関連するダウンタイムを回避するために、動作を停止させること或いは警報ないし警告を発することが含まれる。
他の例においては、後続の鼓動を先行の鼓動と比較することは、後続のプロセスサイクルによって確定される後続の鼓動と、先行のプロセスサイクルによって確定される先行の鼓動との間の累積的な変動量を決定することを含む。再び図4Aと図4Bを参照すると、ベースライン・プロセスサイクルの持続時間に対する学習済みプロセスサイクルの持続時間について学習済み累積変動量を決定するために刻時イベントE1...Enの学習済みイベント変動量を合計することにより、学習済み鼓動36(学習済み鼓動36は先行のベースライン鼓動32に対する後続の鼓動である。)とベースライン鼓動32との間の累積変動量が決定され得る。図4Bの例に示されているライン40に対応する学習済み累積変動量が、例えばベースライン鼓動32に対する後続の鼓動(図4Aに示されている現在の鼓動など)の予測の累積変動を提供するために使用されるところ、図4Aにおいては、予測の累積変動量は、ベースライン・プロセスサイクル30の合計の持続時間に対する後続のプロセスサイクルの合計の持続時間の予測の変動量に対応している。学習済み累積変動量40は、後続のプロセスサイクルに対応する後続の鼓動によって確定された後続の累積変動量と比較するため或いは該累積変動量を評価するために、図4Bに示されるように、限界40として確立されているとよい。システム100は、後続のイベント持続時間についての後続の累積変動量が学習済みイベント変動量及び/若しくは限界を超えた場合に、該システム100がメッセージを生成するように構成されている。そのようなメッセージとしては、例えば、機械類12及び/若しくはプロセス10が更に監視され或いは評価されるべきことを示す標識、機械類12のメンテナンスが指示されつまり要求されたことを示す標識、並びにプロセスの成果(例えば、プロセスの生産性、質つまりアップタイムの長さ)に影響を与える態様でプロセス10のサイクルタイムが変化していることを示す標識、並びに作動条件を修復するためにプロセス10及び/若しくは機械類12へ送られる信号があり、作動条件の修復としては、プロセスの成果が望ましくない変化をすることを回避するため又は機械類12へのダメージ若しくは機械類12の損傷及び/若しくはこれに関連するダウンタイムを回避するために、動作を停止させること或いは警報ないし警告を発することが含まれる。
図4Aを再び参照すると、破線の棒からなる棒グラフとして、第3の鼓動データ・シークエンス(C1,C2,C3....Cn)によって確定された第3の鼓動38が図4Aに概略的に示されている。この例における第3の鼓動38は現在の鼓動38とも呼ばれ、現在の鼓動38の源である現在のプロセスサイクル(図示せず)は、プロセス10の現在の条件に対応しており、学習済みイベント持続時間C1,C2...Cnは、プロセス・シークエンス50において現在のプロセスサイクルによって実行された刻時イベントE1,E2...Enに対応している。現在のプロセスサイクルが学習済みプロセスサイクル及びベースライン・プロセスサイクルに続いて実行されるものと考慮され、かつ現在の鼓動38が学習済み鼓動36に対して及びベースライン鼓動32に対してプロセス10の後続の鼓動となるように(学習済み鼓動36及びベースライン鼓動32は現在の鼓動38に対してプロセス10の先行の鼓動とも呼ばれる)、現在のプロセスサイクルは、学習済みプロセスサイクル及びベースライン・プロセスサイクル30の後、プロセス10によって実行され得る。
現在のプロセスサイクルは現在の条件の下で実行されるが、現在の条件としては、例えば、現在のプロセスサイクルが実行されるときに存在するプロセス10及び/若しくは機械類12の現実の作動条件等がある。そのような現在の条件は、プロセス10のプロセスオペレーション・パラメータの変化、機械類12の機械オペレーション・パラメータの変化、機械類12が加工しているワークピース(図示せず)のワークピース特性、又は他のプロセス変動因子例えばプロセスの実行及び/若しくは出力に影響を与える環境条件(現在のプロセスが実行されるときの温度、湿度、入力される動力源の特性、又はこれらの同等物等)の変動量の変化を含み、且つ/或いはこれらの変化の大きさを反映している。現在の鼓動38と、少なくとも1つの先行の鼓動32,36とを比較することにより、リアルタイムに(例えば、現在の鼓動38を確定している現在のプロセスサイクルが実行されているときに)プロセス10及び/若しくは機械類12の実行が監視され、評価され、且つ/或いは制御される。さらには、現在の鼓動(現在の鼓動38等)と、ベースライン鼓動32、学習済み鼓動36及び/若しくは学習済み鼓動36よりも後かつ現在の鼓動38よりも先に生成した他の現在の鼓動(つまり現在の鼓動38に先行する現在の鼓動)を含み得る複数の先行の鼓動とを比較することにより、現在のイベント変動量の少なくとも1つと、現在の鼓動38の現在の累積変動量との比較に基づいて、プロセスのトレンドが評価され且つ/或いは特定され得る。
現在の鼓動32と学習済み鼓動36とを比較することは、例えば、現在のプロセスサイクルの実行中に決定された刻時イベントの現在のイベント持続時間と、学習済みプロセスサイクルの実行中に決定された同じイベントの学習済みイベント持続時間との間の現在のイベント変動量を決定することを含み得る。例えば、図4A及び図4Bを参照すると、現在のプロセスサイクルの実行中に測定された刻時イベントE1の現在のイベント持続時間C1と、学習済みプロセスサイクルから決定された刻時イベントE1の学習済みイベント持続時間L1とが比較され得る。刻時イベントE1についての現在のイベント持続時間C1と学習済みイベント持続時間L1との間の差異が現在のイベント変動量V1として図4Bに示されている。現在のイベント変動量V1は、刻時イベントE1についての該現在のイベント変動量V1と学習済みイベント変動量とを比較することにより現在のプロセス条件を評価するために使用され得る。
同様に、現在のイベント持続時間C2と学習済み持続時間L2との間の現在のイベント変動量V2は、プロセス10のイベント・シークエンスにおける第2の刻時イベントE2について決定され得る。こうして、プロセス10のプロセス・シークエンス50における刻時イベントE1...Enの各々について、現在のイベント持続時間C1...Cnの各々と、対応する学習済みイベント持続時間L1...Lnとの間の現在のイベント変動量V1...Vnが決定され得る。刻時イベントE1...Enについての現在のイベント変動量V1...Vnは、プロセス10及び/若しくは機械類12の現在の作動条件を監視するために評価され並びに使用され得るが、これは、1つ又は複数の現在のイベント変動量V1...Vnに応じて、且つ/或いはシステム100によって特定されるプロセスのトレンドに応じて、システム100を使ってメッセージを生成することを含み得る。このメッセージは、例えば、該メッセージが関連している現在のイベント変動量V1...Vnに対応しているイベントがさらなる監視又は評価を要求されていることを示す標識、それぞれのイベントを実行する機械類12のメンテナンスが指示されつまり要求されていることを示す標識、並びに、プロセスの成果に影響を与えるように、且つ/或いは機械類12へダメージを与えてしまうことを回避し及び/若しくはプロセスのダウンタイムを回避するためにオペレーション、プロセス又はシステム・エレメント64を停止させるプロセス・パラメータ70,72を含む作動条件を変更するためにプロセス10及び/若しくは機械類12へ送られる信号に影響を与えるように、プロセス10のサイクルタイムが変化していることを示す標識であり得る。
図4A及び図4Bを参照すると、刻時イベントE1...Enの現在のイベント変動量V1...Vnを合計して図4Bに示した学習済みプロセスサイクルに対して現在のプロセスサイクルについての現在の累積変動量42を生成することにより、現在の鼓動32と学習済み鼓動36との間の現在の累積変動量が決定され得る。現在のプロセスサイクルのイベント・シークエンス50におけるその時点での現在の累積変動量42が限界を超えたか否かの判断は、現在の累積変動量42がイベント・シークエンス50(E1,E2,...En)の任意の時点において比較されることにより行われる。図4Bに示した例においては、限界は、学習済み累積変動量によって確定された限界40である。システム100の構成について説明すると、システム100は、現在の累積変動量42がイベント・シークエンス50の任意の時点において限界40を超えた場合に、メッセージを生成する。メッセージとしては、例えば、メンテナンス標識、サイクルタイム標識、プロセス10及び/若しくは機械類12の一部又はすべてを修復し及び/若しくは停止させるための信号、或いは本明細書において上述した同等物がある。
ベースライン・プロセスサイクル、学習済みプロセスサイクル、及びプロセス10が実行する現在のプロセスサイクルによってそれぞれ確定されるベースライン鼓動32、学習済み鼓動36及び現在の鼓動38と、現在の鼓動38よりも先行するプロセス10が実行した先行のプロセスサイクルによって確定される先行の鼓動(図示せず)とが、システム100を使って収集され、格納され、さらには分析される。複数の鼓動を収集して格納することは、例えば、ベースライン鼓動32、学習済み鼓動36、及び現在の鼓動38をそれぞれ確定するために使用されるベースライン鼓動データ・シークエンス(D1,D2...Dn)、学習済み鼓動データ・シークエンス(L1,L2...Ln)、及び/若しくは現在の鼓動データ・シークエンス(C1,C2...Cn)を含むそれぞれの鼓動についての鼓動データ・シークエンスを収集して格納することを含み得る。鼓動を分析することは、1つ又は複数のイベント変動量及び/若しくはこれに対応するそれぞれの鼓動間の累積変動量を決定すること、並びに/或いは、決定済み変動量と、該決定済みの変動量について規定された変動の限界つまり許容範囲とを比較することを含み得る。例えば、現在の鼓動38を分析することは、1つ又は複数の現在のイベント変動量V1...Vnを決定すること、現在のイベント持続時間C1...Cnと、それぞれのイベント持続時間L1...Ln又はそれぞれのベースライン・イベント持続時間D1...Dnとを比較すること、現在の累積変動量42を決定すること、並びに/或いは、現在の累積変動量42と累積変動量の限界40等とを比較することを含み得る。
ベースライン鼓動32、学習済み鼓動36と、現在の鼓動38との間の変動量は、それぞれのイベント例えばイベントE1の現在の持続時間C1の変動量と、それぞれのイベントにおけるベースライン持続時間D1及び/若しくは学習済み持続時間L1とを比較することにより、プロセス10を測定、監視し並びに/或いは制御するために使用され得る。他の例においては、プロセスサイクル30からなる複数のイベントE1...Enの現在の累積変動量42と、複数のイベントE1...Enの学習済み累積変動量40とが比較され得る。プロセス10の第1の特定のプロセスサイクルによって実行された刻時イベントE1...Enのイベント持続時間の変動量及び/若しくは少なくとも1つの第2の特定のプロセスサイクルに対する複数の刻時イベントの累積変動量を詳しく理解することにより、複数の刻時イベントの機械類12によって実行されるプロセス10を制御し且つ/或いは改善することが可能となるが、詳しく理解するためには、第1の特定のプロセスサイクルと、それぞれの特定のプロセスによって確定される少なくとも1つの第2の特定の鼓動との比較によって確定される鼓動の変動量及び/若しくはトレンド分析を使ってイベント持続時間の相当な変動量を特定することを利用する。ここで、少なくとも1つの第2の特定の(1つ又は複数の)鼓動は、学習済み鼓動36及び/若しくはベースライン鼓動32などの1つ又は複数の先行の鼓動を含み得る。
再び図1を参照すると、システム100は、デバイス16,18の一方である出力デバイスへ、プロセス10、機械類12、システム・エレメント64、プロセスサイクル30、及び/若しくはプロセスサイクルにおける1つ又は複数のイベントE、に関連する情報を出力するように構成され得る。出力デバイス16,18へ出力される情報は、鼓動情報、プロセス・パラメータ情報、メッセージ、及び/若しくはこれらの組合せを含み得る。本明細書において詳細に説明したように、出力デバイス16,18へ出力される鼓動の情報は、鼓動に関連した1つ又は複数のプロセス・パラメータ70,72を含み、且つ/或いは1つ又は複数のプロセス・パラメータ70,72によって確定され得る。デバイス16、18の各々は互いに、及び/若しくはサーバ20、機械類12、コントローラ14A,14Bのうちの1つ又は複数と有線又は無線で通信し或いは作動可能に接続されており、これらの間で情報及び/若しくはデータを交換するように構成されている。一例においては、デバイス18は、プロセス10、機械類12、イベント持続時間データ及び/若しくはこれに由来するプロセスの鼓動、パラメータ信号データ及び/若しくはこれに由来するプロセス・パラメータに関連する情報を出力するように構成されている。一例においては、出力される情報は、テキスト形式で及び/若しくはグラフで表示される1つ又は複数のプロセスの鼓動又は鼓動のヒストリのディスプレイ、イベント持続時間情報、鼓動に対応する特定のプロセス条件(オペレーション・パラメータ70や環境パラメータ72などの特定のプロセス・パラメータを含み得る)、鼓動の変動情報(イベント変動量、累積変動量、変動分析、トレンド分析、並びにプロセス10及び/若しくは機械類12から収集されるイベント持続時間情報に由来する他の情報を含む)、メッセージ、警報、警告、プロセス・パラメータの変動情報(1つ又は複数のパラメータ限界74に対するプロセス・パラメータ70,72の変動量及び/若しくは適合性を含む)、変動分析、トレンド分析、並びにプロセスセンサ34及びセンサ28等から収集されるプロセス・パラメータ情報に由来する他の情報を含み得るが、この例に限定されない。出力デバイス18は、ユーザや他のデバイスへデータを送信するサーバ20からデータを受けるように構成された画像表示装置、オ−ディオ出力装置、レポート作成装置、プリンタ、データポート、又は他の出力デバイスのうちの少なくとも1つであり得る。
一例においては、出力デバイス16は、信号又はメッセージを送るデバイスとして構成されている。或いは、出力デバイス16は、メッセージを送るデバイス16と通信して、1つ又は複数のプロセス10、機械類12、サーバ20、コントローラ14、システム・エレメント64、出力デバイス16又は他のデバイス(図示せず)まで信号又はメッセージを出力するように構成されている場合もある。出力デバイス16は、1つ又は複数の画像若しくは音声の電子的信号又はメッセージとしての信号又はメッセージを出力するように構成され得る。出力される信号又はメッセージは、プロセス10、機械類12、システム・エレメント64、及び/若しくはシステム100の一部又は全部を変更し或いは停止させるためにプロセス10、機械類12、システム・エレメント64及び/若しくはシステム100へ送られる信号、メッセージないし指示を含み得る。ここで、信号は、プロセス10及び/若しくは機械類12、プロセス10及び/若しくは機械類12に関連して検出されたオペレーション・パラメータ70、システム100に関連して検出された環境パラメータ72、並びに/又は、鼓動、オペレーション・パラメータ70、環境パラメータ72及びこれらの組合せのうちの1つ又は複数を分析することで得られる情報によって確定された鼓動に応じて生成され得る。一例においては、メッセージを送るデバイス16は、ユーザデバイス(図示せず)へ信号又はメッセージを通信するように構成されている。ここで、ユーザデバイスとは、スマートフォン、ノートブックコンピュータ、ラップトップコンピュータないし他のコンピュータ・デバイスなどのユーザデバイスであり、該ユーザデバイスのユーザと信号又はメッセージをやりとりすることができ、ユーザは、信号又はメッセージに応答してアクションを開始することができ、そのアクションとは、プロセス10及び/若しくは機械類12が実行するプロセスサイクルのプロセス10及び/若しくは機械類12及び/若しくはイベントEに影響を与えるメンテナンス・アクション又は他のアクションのうちの1つであり得る。図1に示した例は限定することを意図するものではないが、出力デバイス16,18のうちの一方又は両方によって実行される機能は、システム100に含まれるサーバ10、コントローラ14などの他のデバイスによって実行され得ることが理解されよう。
今度は図5を参照すると、1つの期間に亘ってプロセス10から収集される刻時イベント持続時間データを使って、システム100で生成し出力され得るプロセス情報表示(ディスプレイ)の一例が示されているが、この例に限定されない。図5に示される表示は、例えば、出力デバイス16,18及びコントローラ14A,14Bのうちの1つにより表示されるか、或いは他のデバイスへ出力されてから表示される。図5におけるプロセス情報表示は、サンプリング期間54に亘って測定されたプロセスサイクル持続時間のサンプリングのタイムシリーズ(一連のタイム)62を示している。サンプリング期間54は、期間メニュー52から選択されて表示され得る。図示した例においては、期間メニュー52は、1時間のサンプリング期間インターバルで選択することが、24時間に亘って行われたことが示されている。図示した例においては、サンプリング期間54は午後3時から午後3時59分までの1時間であり、タイムシリーズ62は、1分間のインターバルで取得されたプロセスサイクル持続時間を示すように構成されている。例えば、サンプル44は、午後3時12分に実行されたプロセスサイクルの持続時間を表し、サンプル46は、午後3時18分に実行されたプロセスサイクルの持続時間を表している。ディスプレイは、表示される情報の区分における様々なレベルを表すために、期間メニュー52及び/若しくはサンプリング期間54、他のサンプル周波数などについて構成され得ることが理解されよう。プロセス10におけるプロセスサイクルの持続時間の変化量を詳細に表示するために、例えば、サンプリング期間54は10分間であり、20秒間のサンプリング間隔を有するものとされる。
図5に示されるように、プロセスサイクル持続時間は、プロセスサイクルの合計の持続時間を表す。図2に示されるベースラインサイクル30の一例と、表1に示されるデータの一例を使うと、ベースライン・プロセスサイクル30の合計の持続時間は、プロセスサイクル30における刻時イベントE1...Enの持続時間D1...Dnの合計となる。図2に示した例については、ベースライン・プロセスサイクル30の合計の持続時間は60となり、例えば、ベースライン・イベント持続時間(3,4,3,4,10,22,4,3,4,3)である。再び図5を参照すると、ユーザがシリーズ62内のプロセスサイクルのサンプルを選択して追加の情報を呼び出すことを可能とするように、カーソルつまりセレクタ48が構成されている。図5に示した例においては、セレクタ48は、午後3時29分に実行されたプロセスサイクルを選択しており、これによって、システム100が詳細な情報を提供し得るが、その情報としては、例えば、選択されたプロセスサイクルについて図4A及び/若しくは図4Bに示されるものと同様のイベント持続時間の表示がある。
ディスプレイを観ているユーザへ追加の情報を提供するために、タイムシリーズ62内の各サンプルがキー(鍵)56に応じて視覚的にコード化されている。図示した例においては、キー56は、斜行平行線が付された棒と、塗りつぶされた棒を含み、これらの各々が互いに異なる条件を示している。例えば、斜行平行線が付された棒によって表示されるサンプルが示しているのは、鼓動の変動量が許容範囲内にあるサンプル44などの複数のサンプルである。塗りつぶされている棒によって表示されるサンプルは、鼓動の変動量が許容限界を超えているサンプル46などのサンプルを表している。さらなる視覚的インジケータも含まれ得る。例えば、棒が第1の色で塗りつぶされている場合には、サンプルに許容限界を超えているイベント変動量があることを示し、棒が第2の色で塗りつぶされている場合には、サンプルに許容限界を超えている累積変動量があることを示し得る。この実施例は、この例に限定することを意図するものではない。サンプリング期間54に亘ってプロセスサイクル持続時間のタイムシリーズ62を表示することにより、プロセス10が実行する複数のプロセスサイクルに亘るプロセスサイクル持続時間の変動量とトレンドの視覚的な表示が提供され得る。このような分析が有用となる場面は、例えば、プロセス10及び/若しくは機械類12の作動条件並びに/又はオペレーション・パラメータ70の変化(ある期間から他の期間までの温度や動力の変動、プロセスや工具の変化、セットアップやメンテナンスのイベント、受入材料やワークピースのパラメータ等の環境ファクタつまり環境パラメータ72の変化)に対応するトレンドを求めるときである。
図6を参照すると、1つの期間に亘ってプロセス10から収集された刻時イベント持続時間データを使って、システム100で生成し出力され得るプロセス情報表示の他の例が示されているが、この例に限定されない。図6に示されている表示は、例えば、出力デバイス16,18、コントローラ14A,14Bのうちの1つによって表示されるか、或いは他のデバイスへ出力されてから表示される。図6に示されているプロセス情報表示は、プロセス・シークエンス50における1つ又は複数の刻時イベントの各々についてのオーバサイクル周波数58と累積変動量60を示している。オーバサイクル周波数58とは、基準サイクルの実行中に測定された、刻時イベントの持続時間が基準イベントの持続時間を超えた回数のことである。例えば、図6に示される刻時イベントE3のオーバサイクル周波数は、プロセスオペレーションのサンプリング期間(図示せず)に実行された各刻時イベントE3の現在の持続時間C3が該イベントE3の学習済み持続時間L3(この例における基準サイクルは学習済みサイクル)を超えた回数(周波数)を示している。累積変動量60は、サンプリング期間における基準イベントに対する刻時イベントのイベント変動量を合計したものである。例えば、図6に示される刻時イベントE3の累積変動量(この例における基準サイクルは学習済みサイクル)は、サンプリング期間中に実行されたプロセスサイクルについて測定された現在の変動量V3の合計であり、これは、そのサンプリング期間に亘って刻時イベントE3の変動量に起因する全体的な生産時間の損失を示し得る。
図6に、他の情報が提示されている。例えば、各刻時イベントについてサイクル毎の変動量を近似平均したものが画像として表示される。刻時イベントE8について示されているのは、図示したサンプリング期間中に1つのサイクルに対して0.5秒間で近似平均された刻時イベントE8の変動量が図示されている。刻時イベントは、イベントのオーバサイクル周波数及び/若しくは累積変動量に応じてランク付けされた順番(例えば図6においては、精査及び/若しくは修復措置のために優先するべきイベントの特定を容易にする順番として、E3,E8,E1の順番)に表示され得る。イベント持続時間、サイクル持続時間、並びにこれらに由来する鼓動及び/若しくはデータについての表示、表形式データ及び/若しくは他のグラフによる分析の表示を含む、様々な他の表示がされ得るので、図示した例に限定されない。
図1及び図7〜図15に示される例は、プロセスサイクル30におけるプロセスオペレーション66の一例として、機械12Bを使った金属切削のオペレーション66を選んだものであり、複数のオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dの各々は、コントローラ14B及びサーバ20と通信するプロセスセンサ34A,34B,34C,34Dによって検出されるものとして説明するが、この例に限定されない。図示した例及び図8に示されているオペレーション・パラメータ70は、切削工具の温度70A、工具の毎分の回転速度(RPM)70B、工具のトルク70C、及び切削の深さ70Dを含む。ここで、切削の深さとは、プロセスサイクル30において示された時刻においてワークピース内へ切削した深さのことである。図7に示されるように、プロセスサイクル30は、プロセスオペレーション66のイベントE4,E5,E6,E7,E8,E9及びE10(E4...E10)を含む複数のイベントE1,E2等を含む。なお、図示した例におけるプロセスオペレーション66は、4秒間の長さのベースラインサイクルを有する。
図7を参照すると、刻時イベント持続時間データと、これに対応して期間に亘ってプロセス10から収集された対応のプロセス・パラメータデータとを使って、システム100で生成し出力され得るプロセス情報表示が示されている。この表示は、棒グラフとして表示されているプロセスオペレーション66を含むプロセスサイクル30の現在の鼓動38と、実線のチャートとして表示されているベースライン鼓動32とを含む。これらの現在の鼓動38とベースライン鼓動32は、本明細書で上述した手法で生成されている。複数のプロセスサイクル(図5に関連して上述した)について測定されたイベント持続時間データから生成されたタイムシリーズ62も図示されており、このタイムシリーズ62は、サンプリング期間54に亘って測定されたプロセスサイクル持続時間のサンプリングを示している。カーソル48は、図7に表示された現在の鼓動38に対応するプロセスサイクルのサンプル68を特定している。
図8は、図7に示したプロセスサイクルのプロセスオペレーション66について検出された複数のプロセスオペレーション・パラメータ70を概略的に示す図であり、検出されたオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dの各々が、実線のグラフとして表示されている。ここで、横軸はオペレーション66の実行中に経過した時間(横軸には、実際の秒数を10倍した数値が示されている。)を示し、縦軸は、プロセスサイクル30の実行中の経過時間におけるオペレーション・パラメータ70の値を示している。本明細書において上述したように、プロセスサイクル30(図示した例においては、プロセスオペレーション66)の実行中にオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dの各々が、それぞれのプロセスセンサ34A,34B,34C,34Dによって検出され、それぞれのプロセスセンサ34A,34B,34C,34Dからコントローラ14B及び/若しくはサーバ20へパラメータ信号が出力される。このパラメータ信号は、オペレーション・パラメータが検出されるときのオペレーション・パラメータ70の値に対応する。図示した例においては、パラメータ信号はアナログ信号であり、該パラメータ信号によって確定されるオペレーション・パラメータ70は、プロセスオペレーション66を実行しているときの各時刻においてコントローラ14B及び/若しくはサーバ12によって決定され得るとともに、プロセスオペレーション66の1つ又は複数のイベントE4...E10の対応のイベント持続時間データとリアルタイムに関連していることにより、現在の鼓動38とベースライン鼓動32との間の変動量、1つ又は複数の刻時イベントE4...E10における持続時間の変動量、及び/又はオペレーション・パラメータ70の変動量を分析しかつ解釈するために使用される。
図7〜図12に示されるように、サーバ20が生成する鼓動32,38のイベント持続時間データと、オペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dに対応するオペレーション・パラメータデータが、1つ又は複数の情報表示の形態でシステム100から出力され得る。ここで、サーバ20及び/若しくはシステム100は、現在の鼓動38、及びこれに対応するプロセス・パラメータデータ(例えば、この例においては、対応のプロセスサイクル30を実行することに伴うリアルタイムのオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70D)を出力するように構成され得る。図9を参照すると、図7における現在の鼓動38が、図2について説明した方法で生成されたイベント・チャートのシークエンスにおいて表示されている。図9において、横軸は、プロセスオペレーション66の実行中に経過した時間(横軸には、実際の秒数を10倍した数値が示されている。)を示す一方で、縦軸は、プロセスオペレーション66の各イベントEにおける持続時間Cを示している。現在の例においては、図9に示されているプロセスオペレーション66の現在の鼓動38の第1のイベントE4のイベント持続時間C4は0.95秒間であり、第2のイベントE5のイベント持続時間C5は0.05秒間であり、さらに続く。図10を参照すると、図9に示した鼓動の源である現在のプロセスオペレーション66の実行中に検出されたオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dを一度に示す図であって、各オペレーションイベントE4...E10を実行しているときのオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dの変動を図9と図10が協働して視覚的に表示している。他の例においては、図11に示されるように、鼓動38と、オペレーション・パラメータ70A〜70Dとが、1つの表示画面に重畳的に表示される場合もある。
鼓動38についての変動情報、及び/若しくは1つ又は複数のオペレーション・パラメータ70についての適合情報などの追加的な情報が生成され、図12に示されるような画像表示として提供され得る。鼓動データ、オペレーション・パラメータデータ、及び/若しくは鼓動データとオペレーション・パラメータデータとの組合せを分析することにより、プロセス10の変動を解釈し、診断を行い、プロセス条件ないし変動の原因をつきとめ、プロセス10を制御し、プロセスの懸念事項を特定し及び/若しくは予想し、且つ/或いはプロセスの停止などのプロセスの問題を軽減するための修復措置及び/若しくは予防措置を開始することが可能となる。システム100から出力デバイス16,18(ユーザ・ディスプレイなど)へ出力されるメッセージを生成するために、鼓動データ、オペレーション・パラメータデータ、及び/若しくは鼓動データとオペレーション・パラメータデータとの組合せが分析され、且つ/或いはこの分析結果は例えば、指示、警報又は停止信号として、メッセージング・デバイス、或いは1つ又は複数の機械類12、コントローラ14、プロセス10、及びシステム・エレメント64まで送信され得る。
図12においては、現在の鼓動38がベースライン鼓動32に重ねて表示され、現在の鼓動38とベースライン鼓動32との間の差異が視覚的に示されている。図12は、イベントのシークエンスの表示画面に、プロセスオペレーション66の各イベントE4...E10を示している。図示した例において、ベースライン鼓動32は設計の鼓動であり、図12にはイベントEの各々についての設計の持続時間Dを表示することによって設計の鼓動が示されている。現在の鼓動38も、図12においてイベントEの各々についての現在の持続時間Cを表示することによって示されている。例えば、イベントE4については、現在のイベント持続時間C4は、イベントE4についての設計の持続時間D4よりも短いが、これは、現在の鼓動32のイベントE4の実行中に変動が生じたことを示している。図12はまた、それぞれのパラメータ限界74(それぞれのパラメータ限界74は、本明細書において上述したように規定されたものである)と共に表示されたオペレーション・パラメータ70A,70B,70C,70Dの各々を示している。リアルタイムに現在のプロセスオペレーション66のパフォーマンス条件を視覚的に監視しかつ分析するために、図12に示されているイベント持続時間C,D、鼓動32,38及びオペレーション・パラメータ70の合成図が使用され得る。例えば、プロセスサイクルの第1の秒数の経過時間(例えば、横軸に0.1秒ずつ増加する目盛がある場合に、t=0〜10までの経過時間)中に、設計の持続時間D4からのイベントE4の現在のイベント持続時間C4の変動が、オペレーション・パラメータ74の態様を俯瞰する画像で分析され得る。オペレーション・パラメータ70C(工具のトルク)が好適な限界74Bよりも高い値で作動していることが観測されるとともに、オペレーション・パラメータ70D(切削の深さ)は、ベースライン・パラメータ限界74Cに先駆けて推移していることが観測される。イベント持続時間C4〜D4の変動量、好適な限界を超えた工具のトルク、及び切削の深さの限界74Cよりも深い切削の深さ70Dの変動量を勘案して分析することにより、切削工具がワークピースに強く係合しており、トルクの増大と、切削の初期の深さが予測のレベルを超えていることが推量され得る。この推量がされると、比較的高いトルクに起因して生じ得る工具の摩耗の増大等の有害な影響を軽減するために、且つ/或いは設計のイベント持続時間D4に対する現在のイベント持続時間C4を減少させる条件を繰り返すことによりサイクルタイムを短くする様々な機会を有効なものとするために、更なる精査が指示される。
図13〜図15は、現在の鼓動38と複数の環境パラメータ72を含む情報表示の例を示す。図13〜図15に示した例においては、現在の鼓動38についてのイベント持続時間データと、環境パラメータ72A,72Bに対応する環境パラメータデータとがサーバ20によって生成され、システム100から出力されて表示される。サーバ20及び/若しくはシステム100は、現在の鼓動38、及びこれに対応するプロセス・パラメータデータ(例えば、この例においては、対応するプロセスサイクル30の動作に関するリアルタイムの環境パラメータ72A,72B)を出力するように構成され得る。図13は、第1の環境パラメータ72Aを示しており、これは、図示した例においては、システム・エレメント64Aに含まれているサージタンクのサージタンク圧力である。ここで、システム・エレメント64Aは、プロセス10において油圧式に作動されるエレメントを作動させるためにプロセス10へ油圧を与える油圧システムであり、サージ圧力はシステムセンサ28Aによって検出される。サージタンク圧力72Aは、最大の圧力限界74Aと警報圧力限界74Bに対して観測され、警報圧力限界74Bよりも高いサージ圧力が観測されると、サーバ20が、サージ圧力を修正するための精査及び/若しくは適切な措置を開始するべき旨の警告ないし警報を出力する。この例においては、サーバ20は、サージ圧力パラメータ72Aが最大パラメータ限界74Aに達したときに或いは超えたときに、油圧システム・エレメント64Aの圧力を停止させ或いは低減させるように構成されている。
この例において表示される第2の環境パラメータ72Bは、サーバ20と通信するシステムの温度センサ28Cによって検出される環境温度である。この例においては、センサ28Cによって検出される環境温度が警報限界74Bを超えたときにサーバ20から警報が出力されるように、且つ/或いは、サーバ20が、プロセス10を収容する施設の換気システムを調整するような措置を開始して、環境温度を警報限界74Bの温度よりも低い温度にまで低減させるように、警報限界としての第1のパラメータ限界74Bに対して、環境パラメータ72Bが監視されている。図示した例においては、第2のパラメータ限界74Aは、高レベルの警報限界に対応しており、センサ28Cによって検出される環境温度が高レベルの警報限界74Aを超えたときにサーバ20から警報が出力されるように、且つ/或いは、サーバ20が高度なレベルの措置を開始して、高度な警報限界74Aの温度よりも低い温度にまで環境温度を低減させるように構成されている。
図14に示されるように、環境パラメータ72A,72Bとパラメータ限界74A,74Bが折れ線グラフのフォーマットで示されている。図15は、鼓動データを環境パラメータデータと共に表示している他の例のフォーマットを示す。図15においては、現在の鼓動38がイベントのシークエンスとして表示されており、キー(鍵)が付されたグリッド(格子)フォーマット(グリッドの各セルはキー56と対応するようにコード化されている)で環境パラメータ72A,72Bが表示されている。例えば、キー56が幅狭の斜行平行線が付されたセル56Aを含んでいることは、環境パラメータ72が該環境パラメータ72のパラメータ限界74に適合していることを示している。図示した例においてキー56は、幅広の斜行平行線が付されたセル56Bを含んでいるが、これは、環境パラメータ72が適合しておらず、図示した例において警報限界74Bを超えていることを示している。キー56内が塗りつぶされているセル56Cは、環境パラメータ72が適合しておらず、図示した例において最大限界74Aを超えていることを示している。図15に示されているパラメータ・グリッドのセルは、色彩を使ってコード化される場合もあり、例えば、環境パラメータ72が該環境パラメータ72のパラメータ限界74に適合していることを緑色でコード化されたキーのセル56Aが示し、環境パラメータ72が警報限界74Bを超えていることを黄色でコード化されたキーのセル56Bが示し、環境パラメータ72が最大限界74Aを超えていることを赤色でコード化されたキーのセル56Cが示すことにより、現在の鼓動38に関する環境パラメータ72A,72Bの各々の状況をリアルタイムで視覚的に示す標識を提供する。
プロセス10の変動を解釈し、診断を行い、プロセスの条件ないし変動の原因をつきとめ、プロセス10を制御し、プロセスの懸念事項を特定し及び/若しくは予測し、且つ/或いはプロセスの問題(プロセスのダウンタイムを含む)を軽減するための修復措置及び/若しくは予防措置を開始するために、鼓動データ、環境パラメータデータ、及び/若しくは鼓動データと環境パラメータデータとの組合せの分析が、例えばサーバ20によって実行され得る。また、システム100によってユーザ用ディスプレイへ出力されるメッセージを生成するために、鼓動データ、環境パラメータデータ、及び/若しくは鼓動データと環境パラメータデータとの組合せの分析が実行され、或いはこの分析結果が例えば指示、警報又は停止信号として、メッセージング・デバイス又は機械類まで送信され得る。
鼓動32,36,38を確定するイベント持続時間データ、オペレーション・パラメータ70を生成するためにプロセスセンサ34が出力するオペレーション信号データ、及び環境パラメータ72を生成するためにシステムセンサ28が出力する環境信号データが、サーバ20によって受信され、メモリ24及び/若しくはデータベース26内に格納されることにより、これらのデータが個別に及び/若しくは組合せで、システム100の変動に起因して生じる変動などの、プロセス10の変動を分析するために使用され得る。
詳細な説明及び図面の記載は、本発明の根拠を示しつつ説明するためのものであるが、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により定められる。上述した発明を実施するための最良の形態及び他の形態以外にも、添付の特許請求の範囲によって定められる発明を実施するための代替的な形態があることが理解されよう。