以下、一実施形態における搬送装置を備えた媒体処理システムについて、図面を参照して説明する。媒体処理システムは、例えば、用紙などの媒体に液体の一例であるインクを吐出し、媒体に対して文字や画像を記録する印刷処理と、記録された媒体の搬送過程で媒体のスキューを矯正するスキュー矯正処理と、そのスキューが矯正された媒体に対して処理の一例としての所定の後処理とを行う。
<媒体処理システムの概要>
図1に示すように、媒体処理システム11は、媒体12に記録する印刷装置13と、記録された媒体12に後処理を施す後処理装置14と、を備える。印刷装置13は、例えば、媒体12にインクを吐出し、文字や画像を記録するインクジェット式のプリンターである。後処理装置14は、記録された媒体12に施す後処理として、1枚毎の媒体12に孔を空けるパンチ処理や複数の媒体12を綴じるステープル処理等を行う。
媒体処理システム11には、印刷装置13から後処理装置14まで続く図1に二点鎖線で示す搬送路17が設けられている。媒体処理システム11は、搬送モーター18の駆動により搬送路17に沿って媒体12を搬送する1つ又は複数の搬送ローラー対19を備える。なお、印刷装置13および後処理装置14は、搬送ローラー対19を駆動する搬送モーター18をそれぞれ装置ごとに備えてもよい。さらに、印刷装置13および後処理装置14は、装置ごとに複数の搬送モーター18を備えてもよい。
図面では、媒体処理システム11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、Z軸と交差する面に沿う方向をX軸及びY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、好ましくは互いに直交し、X軸とY軸は、水平面に沿う。以下の説明では、X軸方向を幅方向X、Z軸方向を鉛直方向Zともいう。幅方向Xと直交して搬送路17に沿う方向を搬送方向Y1ともいう。搬送方向Y1は、媒体が搬送路17に沿って搬送される方向であり、搬送路17上の位置に応じて変化する。なお、搬送方向Y1のうち媒体12に記録が行われる部分の搬送方向は、Y軸に平行であり、これを搬送方向Yともいう。
<媒体処理システムの全体構成と媒体処理の流れ>
最初に、印刷装置13の構成と媒体処理の流れについて説明する。
印刷装置13には、媒体12を積層した状態で収容可能なカセット20が着脱可能に設けられている。印刷装置13には、複数のカセット20を着脱可能に設けてもよい。印刷装置13は、カセット20に収容された媒体12のうち、最上位の媒体12を送り出すピックアップローラー21と、ピックアップローラー21により送り出された媒体12を1枚ずつ分離する分離ローラー22と、を備える。
印刷装置13は、記録部26を備える。記録部26は、搬送路17沿いの位置に設けられて媒体12を支持する支持部23と、支持部23により支持された媒体12にノズル24から液体を吐出して記録する記録ヘッド25と、を有する。記録ヘッド25は、搬送路17を挟んで支持部23と対向する位置に設けられている。記録ヘッド25は、幅方向Xに亘って液体を同時に吐出可能なラインヘッドとしてもよいし、幅方向Xに移動しながら液体を吐出するシリアルヘッドとしてもよい。
印刷装置13は、搬送路17の一部分として、媒体12が排出される排出経路101と、媒体12がスイッチバック搬送されるスイッチバック経路102と、媒体12の姿勢が反転される反転経路103とを備える。記録ヘッド25により記録された媒体12は、排出経路101を通って排出部104に排出される。
両面印刷を実行する際、片面に記録された媒体12は、スイッチバック経路102へ搬送された後、逆方向に搬送され、スイッチバック経路102から反転経路103へ搬送される。反転経路103で反転した媒体12は、再び記録ヘッド25へ給送され、記録ヘッド25により、既に記録された面とは反対側の面に記録される。こうして印刷装置13は、媒体12に両面印刷を行う。印刷装置13は、記録した媒体12を排出部104又は後処理装置14に向けて搬送する。すなわち、印刷装置13は、後処理が指示されていなければ、記録した媒体12を排出部104へ排出し、後処理が指示されていれば、記録した媒体12を後処理装置14に向けて搬送する。なお、本実施形態における後処理には、パンチ処理やステープル処理等の媒体12に加工を施す処理の他、媒体12を1部ずつ左右にずらすオフセット処理等の媒体12に加工を施さない処理も含まれる。
次に、後処理装置14の構成と媒体処理の流れについて説明する。
図1に示すように、後処理装置14は、印刷装置13より搬入される媒体12に対して、1枚毎に第1の処理を施す第1媒体処理装置40と、第1媒体処理装置40によって1枚毎に処理された媒体12に対して、さらに第2の処理を施す第2媒体処理装置28と、を備える。後処理装置14は、搬送モーター18の駆動により搬送路17に沿って媒体12を搬送する複数の搬送ローラー対19を備える。第1媒体処理装置40は、スキュー矯正処理を行うときに、記録した媒体12を搬送路17に沿って供給する媒体供給部42と、媒体供給部42から供給された媒体12の先端を突き当てて接触させる接触部41と、を備える。媒体供給部42は搬送ローラー対42Pにより構成される。また、接触部41は搬送ローラー対41Pにより構成される。搬送ローラー対42Pは、その搬送方向Y1の上流に位置する搬送ローラー対19と共に搬送モーター18により駆動される。搬送ローラー対41Pは、媒体12の先端のアライメント矯正処理時に回転が停止され、媒体12の先端が、停止中の搬送ローラー対41Pのニップ部に突き当てられる接触部41として機能する。搬送ローラー対41Pは、搬送ローラー対42Pの駆動源である搬送モーター18とは別の駆動源である接触部駆動モーター53により駆動される。また、後処理装置14は、第1媒体処理装置40および第2媒体処理装置28を駆動制御する制御部30を備える。
本実施形態においては、第1媒体処理装置40の搬送路17は、記録部26により記録が行われた媒体12が搬送方向Y1に搬送される。第1媒体処理装置40は、印刷装置13より排出される記録後の媒体12を後処理装置14内に搬入する上流搬送路52と、上流搬送路52から送られた媒体12のスキューを矯正する搬送装置14aと、搬送装置14aから送り出されたスキュー矯正後の媒体12に対して処理を行う処理部の一例としてのパンチ処理部50と、を備える。搬送装置14aの搬送路17は、前述の媒体供給部42、湾曲搬送路51および接触部41を備える。湾曲搬送路51は、媒体供給部42から搬送路17に沿って搬送された媒体12の先端が接触部41に突き当ったときに媒体12の湾曲を許容するとともにその湾曲した媒体12が元の姿勢へ復元しようとする復元力を利用して媒体12の先端が搬送ローラー対41Pのニップ部に沿って幅方向Xに倣う。すなわち、媒体12の先端が搬送ローラー対41Pのニップ部に当接することで媒体12の先端のアライメントを矯正する。以降は、媒体12の先端が搬送ローラー対41Pのニップ部に接触してニップ部に沿って幅方向Xに倣った状態を「当接」と記載する。パンチ処理部50は、搬送路17において、搬送装置14aが備える接触部41よりも搬送方向の下流に設けられ、接触部41を通過した媒体12に対して、バインダー等に綴じるときに使用するパンチ孔を空ける処理を行う。パンチ処理部50は後処理装置14の下部に配置されており、パンチ屑およびパンチ処理時に発生した紙粉が搬送路17に落ちないようになっている。
図1に示すように、第1媒体処理装置40は、印刷装置13より搬入された媒体12に対して、搬送装置14aの湾曲搬送路51によってスキューを矯正し、スキューが矯正された媒体12の後端にパンチ処理部50によってパンチ孔を空ける。本実施形態においては、搬送装置14aおよびパンチ処理部50によって、処理装置14bが構成される。
本実施形態の後処理装置14の搬送路17においては、搬送方向Y1の長さが最小の媒体12を搬送できる距離間隔で、搬送ローラー対19、媒体供給部42、接触部41、中間排出ローラー35、及びその他の図示しない媒体搬送要素を配置している。本実施形態では、搬送路17は、搬送方向Y1の長さが最小の媒体12の長さに対して、少し短いピッチで媒体搬送要素を配置している。例えば、A5サイズ(148mm×210mm)が最小の媒体12である場合には、搬送路17は、120~135mmの間のピッチで媒体搬送要素を配置する。
図1に示すように、本実施形態においては、搬送路17において、上流搬送路52の搬送ローラー対19と、媒体供給部42と、接触部41は、搬送方向Y1に沿う経路に配置されている。上流搬送路52は、搬入口58近傍の搬送ローラー対19から媒体供給部42までの範囲にある搬送路17に一部でも媒体12が位置すればその媒体12を搬送する。搬送装置14aは、搬送路17のうち媒体供給部42から接触部41までの範囲にある湾曲搬送路51に一部でも媒体12が位置すればその媒体12を搬送する。本実施形態では、媒体供給部42よりも上流であって、媒体供給部42を起点とし湾曲搬送路51と同じ長さの搬送路17の部分が上流搬送路52となっている。すなわち、上流搬送路52は、湾曲搬送路51と搬送路17に沿う長さが同じ長さである。
図1に示すように、搬送路17は、パンチ処理部50の下流に位置する搬送ローラー対19から、中間排出ローラー35までの間に続いており、その途中に第2媒体処理装置28が配置されている。第1媒体処理装置40と第2媒体処理装置28との間における搬送路17の途中に1つ又は複数の他の媒体処理装置が配置されてもよい。この場合、他の媒体処理装置によって媒体12に対してパンチ処理およびステープル処理以外の他の後処理が行われる。
図1に示すように、第2媒体処理装置28は、媒体12を中間スタッカー32に排出する中間排出ローラー35と、中間排出ローラー35により搬送される媒体12を積載する中間スタッカー32と、媒体12の後端を検出する検出部31と、を備える。
検出部31は、中間排出ローラー35よりも搬送方向Yの少し上流の位置に配置されている。制御部30は、検出部31が媒体12の後端を検出し、媒体12の後端が中間排出ローラー35を通過した後、中間スタッカー32の上方に配置された媒体落下機構(図示略)を駆動させて媒体12を中間スタッカー32上に落下させる。媒体落下機構は、例えば、中間排出ローラー35から媒体12の後端が排出された直後に飛行中の媒体12を叩き落とす回動式のフラップを備えたフラップ機構である。
第2媒体処理装置28は、中間スタッカー32にスタックされた媒体12に後処理を施す後処理機構33と、中間スタッカー32から後処理後の媒体12の束を後処理装置14の外に排出する排出ローラー36と、排出ローラー36によって中間スタッカー32から排出された媒体12の束をスタックする排出スタッカー34と、を備える。
図1に示すように、第2媒体処理装置28は、第1媒体処理装置40より搬送される媒体12の後端が中間排出ローラー35を通過すると、媒体12は中間スタッカー32へ不図示の媒体落下機構の駆動により落下する。中間スタッカー32は搬送方向Y1の下流端よりも上流端の方が鉛直方向Zの下方に位置する向きに傾いた傾斜姿勢に配置されているため、中間スタッカー32上に落下した媒体12は重力によって中間スタッカー32の上面を搬送方向Y1の上流に向かって滑り落ちる。滑り落ちた媒体12の後端が中間スタッカー32の搬送方向Y1の上流端部から延びて直角に曲げられた形状の整合部に接触することで、媒体12の後端は揃えられる。例えば、中間スタッカー32の上方に、媒体12の搬送方向Y1の上流への移動を補助するパドル等の掻き込み部材が設けられることもある。
中間排出ローラー35を通過した媒体12は、次々と中間スタッカー32上に積載される。ユーザーが指定した枚数の媒体12が中間スタッカー32上に積載されると、後処理機構33は、積載された媒体12の束に対して後処理を行う。例えば、積載された媒体12の束には、ユーザーが指定した綴じ位置にステープル処理が施される。後処理が行われた媒体12の束は、後処理装置14の外面に沿って昇降可能に配置された排出スタッカー34上に、排出ローラー36によって中間スタッカー32上から排出される。後処理された媒体12の束が、排出スタッカー34上に次々とスタックされる。なお、第2媒体処理装置28は、中間スタッカー32にスタックされた媒体12の束を、前回排出した媒体12の束と幅方向Xに異なる位置に不図示のオフセット機構を駆動させてオフセットし、排出スタッカー34上に媒体12の束を1部ずつ幅方向Xにずらして排出するオフセット処理等を、ステープル処理に替えて又は加えて行うこともできる。
<第1媒体処理装置の構成>
次に、図2を参照して搬送装置14aの詳細な構成を説明する。
図2に示すように、上流搬送路52は、記録後の媒体12を後処理装置14内に搬入する搬送ローラー対19と、媒体12の搬入口58(図1参照)から媒体供給部42までの搬送路17と、で構成される。制御部30は、印刷装置13側の制御部(図示略)から後処理装置14へ排出される媒体12への記録が開始された旨の通知を受信すると、搬送モーター18を駆動させることによって搬送ローラー対19を回転させる。後処理装置14内の搬送路17には、記録部26により記録が行われた媒体12が搬送方向Y1に搬送される。
後処理装置14の搬送路17において、上流搬送路52の下流には、湾曲搬送路51が配置されている。湾曲搬送路51は、搬送路17を搬送される媒体12の先端を接触させて、媒体12の搬送状態を調整する接触部41と、搬送される媒体12を接触部41へ案内する案内部47と、センサー57と、を有する。案内部47は、揺動可能な第1ガイド部43と、第1ガイド部43に対向するとともに揺動可能な第2ガイド部44と、を有する。第1ガイド部43と第2ガイド部44は、搬送路17に媒体12が搬送されていないときは待機位置に配置され、該待機位置から相手側から互いに遠ざかる方向に移動可能に設けられる。センサー57は、後処理装置14内に搬入された媒体12の先端を検知するとともに、パンチ処理を行うためにセンサー57を通過した媒体12の後端も検知する。
本実施形態においては、接触部41は、媒体12を挟んで搬送可能な駆動ローラー41aと従動ローラー41bとを有する搬送ローラー対41Pで構成される。案内部47は、接触部41の直前に、誘い込み部材63を有している。誘い込み部材63は、プラスチックや樹脂フィルム等で形成され、媒体12の先端が誘い込み部材63に当たったときに、媒体12の先端が搬送ローラー対41Pのニップ部に誘導される形状に形成されている。
図2に示すように、媒体供給部42は、搬送ローラー対42Pに沿って供給した媒体12の先端を、回転を停止している搬送ローラー対41Pのニップ部に突き当てる。この突き当てによって湾曲した媒体12は元の状態に戻ろうとする復元力によって、媒体12の先端のアライメントが搬送ローラー対41Pのニップ部に沿って矯正される。先端アライメントと後端アライメントとのねじれによる歪みは、媒体12の湾曲形状部分に吸収される。制御部30は、搬送ローラー対41Pを接触部駆動モーター53によって回転させることで、媒体12の先端がアライメントを矯正された状態で搬送ローラー対41Pを通過するとともに、その後、媒体12の後端がアライメントを矯正された状態で搬送ローラー対41Pを通過する。こうして、媒体12のスキューが矯正される。スキューが矯正された媒体12が搬送装置14aからパンチ処理部50へ搬送される。
坪量の大きい媒体12の場合、媒体供給部42が、接触部41の搬送ローラー対41Pのニップ部に媒体12の先端を突き当てたときに、搬送ローラー対41Pのニップ力が、媒体12の湾曲部分によって生じる押し付け力に対して負けてしまい、媒体12の先端部が搬送ローラー対41Pのニップ間に侵入してしまう場合がある。この場合、媒体12にスキューの矯正に適した湾曲形状が形成されにくくなる。そのため、接触部41及び媒体供給部42は、他の搬送ローラーの何倍ものニップ力に設定されている。搬送ローラー対41Pは、媒体12の先端部突き当て時に搬送ローラー対41Pのニップ間に侵入しないニップ力に設定され、搬送ローラー対42Pは、媒体12の表面及び裏面が搬送ローラー対42Pのニップ間で滑らないニップ力に設定されている。
搬送ローラー対41P以外の接触部41の例としては、例えば、媒体供給部42が媒体12の先端を壁に突き当て、媒体12の先端のアライメントを該壁のアライメントに一致させた後に、媒体12が搬送されることでスキューを矯正する方式等がある。
図2に示すように、搬送装置14aは、案内部47よりも搬送方向Yの上流側に設けられる媒体供給部42を備えている。湾曲搬送路51は、搬送路17のうち、媒体供給部42から接触部41に至る部分である。湾曲搬送路51は、媒体12を第1方向D1側へ湾曲させる方向に湾曲した第1湾曲路48と、第1湾曲路48よりも搬送方向Y1の下流に位置し、媒体12を第1方向D1と反対の方向である第2方向D2側へ湾曲させる方向に湾曲した第2湾曲路49と、を有する。第1湾曲路48は第2湾曲路49よりも媒体供給部42に近い位置にある。第1ガイド部43は第1湾曲路48の第1方向D1側に設けられている。
媒体供給部42は、媒体12を送り出すことができれば、例えば、ベルト等の回転体であってもよい。しかし、媒体供給部42は、媒体12の先端を接触部41に突き当てたときに作られる湾曲部分の押し付け力を受ける。媒体供給部42は、それに対してスリップしないだけの搬送力が必要であるため、本実施形態においては、媒体供給部42は搬送ローラー対で形成されている。
図2に示すように、湾曲搬送路51と上流搬送路52は、搬送路17を搬送される媒体12が第1方向D1側に近づいたときに接触する第1搬送面45と、搬送路17を搬送される媒体12が第2方向D2側に近づいたときに接触する第2搬送面46と、を有する。湾曲搬送路51の案内部47は第1搬送面45の一部と第2搬送面46の一部とを有する。すなわち、一対のガイド部43,44が待機位置に位置する状態において、湾曲搬送路51は、媒体供給部42から接触部41までの範囲に、上流から下流へ向かう順番で、第1湾曲路48と、一対のガイド部43,44に挟まれる直線状の中間路51aと、第2湾曲路49とを有している。
図2に示すように、湾曲搬送路51は、搬送ローラー対42Pのニップ位置から搬送方向Y1の下流へ略水平に延びるとともにその下流端で一対のガイド部43,44の上流端に繋がるように第1方向D1側へ凸形状となるように湾曲している。中間路51aは、一対のガイド部43,44に挟まれるとともに水平に対して所定の角度で傾く直線状の搬送路である。第2湾曲路49は、搬送ローラー対41Pのニップ位置から搬送方向Y1の上流へ略水平に延びるとともにその上流端で一対のガイド部43,44の下流端に繋がるように第2方向D2側へ凸形状となるように湾曲している。そして、図2に示す側面視において、湾曲搬送路51は、第1湾曲路48と中間路51aと第2湾曲路49とにより、S字状の搬送路となっている。
また、上流搬送路52は、搬送ローラー対42Pのニップ位置よりも搬送方向Y1の上流側において、第1搬送面45の一部を構成する第1搬送面52aと、第2搬送面46の一部を構成する第2搬送面52bとを有する。
図2に示すように、第1ガイド部43は、第2ガイド部44に近づく方向に第1付勢部材54によって付勢されている。第1ガイド部43は、第1搬送面45の一部を構成するガイド面43aを有する。第1ガイド部43の揺動中心56は、第1ガイド部43の搬送方向Y1における下流端よりも上流端に近い位置、かつガイド面43aに対して第2ガイド部44が位置する側と反対側となる位置に設けられる。ここで、第1ガイド部43の揺動中心56は、第1ガイド部43に媒体12が接触した際に、第1ガイド部43が第1方向D1側にのみ揺動するように、待機位置にある第1ガイド部43において、搬送される媒体12が最初に接触するガイド面43aの接触位置を通る垂線Aよりも第3方向D3側となる位置に設けるのが好ましい。
第2ガイド部44は、第1ガイド部43に近づく方向に第2付勢部材55によって付勢されている。第2ガイド部44は、第2搬送面46の一部を構成するガイド面44aを有する。第2ガイド部44の揺動中心56は、第2ガイド部44の搬送方向Y1における下流端よりも上流端に近い位置、かつ第1ガイド部43が位置する側に設けられる。さらに、第2ガイド部44の揺動中心56は、揺動する第2ガイド部44のガイド面44aが、待機位置にある第2ガイド部44のガイド面44aより第1方向D1側に出ないような位置にするのが好ましく、本実施形態においては、第1湾曲路48において搬送路が第2ガイド部44に切り替わるガイド面44aの位置を通る垂線Bより第4方向D4側とするのが好ましい。なお、中間路51aは、第1ガイド部43が有するガイド面43aと、第2ガイド部44が有するガイド面44aとの間に形成されている。
図2に示すように、湾曲搬送路51の第1ガイド部43と第2ガイド部44が共に待機位置に位置するときの第1搬送面45と第2搬送面46との距離の平均値は、上流搬送路52の第1搬送面45と第2搬送面46との距離の平均値以下になるように設定されている。
湾曲搬送路51は、第1搬送面45の一部が第1ガイド部43で構成され、第2搬送面46の一部が第2ガイド部44で構成されるため、第1搬送面45と第2搬送面46との距離は厳密には一律ではないが、ほぼ同じ距離にある。例えば、距離の平均値に対する距離の最小値と最大値との差は±10%以内に収まる。このように、湾曲搬送路51は、第1ガイド部43と第2ガイド部44が待機位置にあるとき、第1搬送面45と第2搬送面46との距離が他の搬送路17と比べて同じか狭くなるように設定されている。一方、上流搬送路52は媒体12に処理が行われる搬送路17ではなく、媒体12を搬送するだけの搬送路17である。
本実施形態の印刷装置13は、種類、サイズ、坪量によって決まる曲げ剛性を有する記録前の媒体12に対して、印刷データに基づきインクを吐出することによって、文字や画像を記録するインクジェット式のプリンターである。印刷装置13が媒体12に記録すると、インクが付着することによって、媒体12の含水量が変化する。更に記録後の媒体12は、媒体12の面内に含水量の分布ができる。よって、記録後の媒体12は、含水量及び水分ムラによってカールの形状と曲げ剛性が変化する。ここでいうカールの形状には、カールの方向、媒体12を水平面上に置いたときのカールの高さ、カールの曲率半径等が含まれる。
本実施形態の後処理装置14は、用紙の坪量が60gsmから300gsmまでの用紙に対応する。後処理装置14の搬送路17を搬送される用紙は、インクによる含水量の増加と、用紙に印刷された印刷パターンによる水分ムラによって、用紙が変形しやすくなる。60~90gsmの用紙は、一般的に広く使用される用紙であるが、レーザー方式等の他の記録方式に比較して、用紙先端部に曲率半径の小さなカールが発生しやすい。300gsmの用紙は厚さがあり、用紙へインクが付着する容量に対して用紙の体積が大きいため、インクジェット式のプリンターで記録された程度の含水量の増加ではカールはほとんど発生しない。
媒体が用紙の場合には、紙目が搬送方向と平行の場合は、搬送方向とは直交する方向への剛性が小さくなり側端のカールが発生しやすくなる。紙目が搬送方向と直交する場合は、搬送方向への剛性が小さくなり先端のカールが発生しやすくなる。すなわち、用紙の坪量が小さく、紙目が搬送方向と直交する用紙において、用紙の先端の片面のみに記録される場合には、用紙先端部のカールは非常に大きくなる。
図2に示すように、第1ガイド部43と第2ガイド部44が待機位置に位置するときの湾曲搬送路51の第1搬送面45と第2搬送面46との距離は5mm以内である。湾曲搬送路51は第1搬送面45の一部が第1ガイド部43で構成され、第2搬送面46の一部が第2ガイド部44で構成される。このため、湾曲搬送路51には、一対のガイド部43,44の搬送方向Y1の両端部に、搬送面45,46の継ぎ目59がある。
例えば、第1ガイド部43の下流側に近い側の第1搬送面45との継ぎ目59は、周りに比べて搬送面45,46間の距離がやや大きい。媒体12をカールすることを抑えつつ搬送するためには搬送面45,46間の距離を狭く設定する必要があるが、継ぎ目59では、搬送面45,46間の距離が周囲と比べて広くなる。ある程度のカールを有する坪量の大きい媒体12を搬送するときには、カールを有する媒体12の先端部分と搬送面45,46との抵抗が大きくなり、媒体12のスキューやジャムが発生する虞がある。搬送面45,46との抵抗が大きいと、媒体12を搬送するために必要なトルクも大きくなる。このため、媒体12の先端部分のカールを抑制して先端部分と搬送面45,46との抵抗を小さく抑えるために、一対のガイド部43,44の搬送方向Y1における両端部は、継ぎ目59においても搬送面45,46間の距離が最小限に抑えられる形状となっている。
例えば、300gsmまでの坪量の用紙において、先端部のカールや用紙全体の波うちを考慮して、搬送抵抗が大きくならず、ジャムが発生しないためには、第1搬送面45と第2搬送面46との距離は、3~4mmの範囲に収めるのが望ましい。ただし、設計者がその距離を最大4mmとする設計をしても、各部品の寸法のバラツキや組付けの誤差等によって、実際の装置は4mmを若干超える場合がある。
図2に示すように、広範囲の媒体12の坪量に対応するために、待機位置にある第1ガイド部43を第2ガイド部44から遠ざける方向に揺動させる荷重は、待機位置にある第2ガイド部44を第1ガイド部43から遠ざける方向に揺動させる荷重よりも大きく設定されている。すなわち、坪量の小さな媒体12においては、第2ガイド部44のみが揺動し、坪量の大きな媒体12においては、第1ガイド部43と第2ガイド部44の両方が揺動するように設定されている。例えば、第1付勢部材54と第2付勢部材55とは圧縮ばねであり、第1ガイド部43を付勢する第1付勢部材54の押し付け力は、第2ガイド部44を付勢する第2付勢部材55の押し付け力に対して、大きく設定されている。
インクによる含水量の増加と、媒体12に印刷された印刷パターンによる水分ムラによって発生したカールの大きな媒体12に対応するために、坪量の小さな媒体12においては、媒体12の先端が接触部41に至るまでは、第1搬送面45と第2搬送面46との距離が広がらない。すなわち、坪量の小さな媒体12においては、ジャムが発生しないように設定されている。
カールが発生しない坪量の大きな媒体12は、第1搬送面45と第2搬送面46との距離が広がってもジャムが発生しない。第1搬送面45と第2搬送面46との距離が広がることで、接触部41と媒体供給部42との間に、媒体12がスキューを矯正するための湾曲部分を作る空間が確保できるように設定されている。
図3に示すように、媒体供給部42が第1の媒体12aを接触部41へ供給するときには、第1の媒体12aの先端が接触部41に至る前に、第1の媒体12aが第1ガイド部43に接触したときに、第1ガイド部43は第2ガイド部44から遠ざかる方向に揺動する荷重で付勢されている。しかも、第1の媒体12aよりも坪量が小さい第2の媒体12bを接触部41へ供給するときには、第2の媒体12bの先端が接触部41に至る前に、第2の媒体12bが第1ガイド部43に接触した場合に、第1ガイド部43が揺動しない荷重で付勢されている(図7参照)。
ここで、第1ガイド部43の荷重は、例えば、次のように設定する。剛性が強く撓みにくい厚紙等の第1の媒体12aの搬送時に、第1の媒体12aの先端が接触部41の搬送ローラー対41Pのニップ部に到達するまでの間、第1の媒体12aが第1ガイド部43を押し上げられる荷重のうち最大の荷重を最大荷重とする。また、剛性が弱く撓み易い薄紙等の第2の媒体12bの搬送時に、第2の媒体12bの先端が接触部41の搬送ローラー対41Pのニップ部に到達するまでの間、第1ガイド部43を押し上げられない最小の荷重を最小荷重とする。この最小荷重~最大荷重の間で第1ガイド部43の揺動荷重を設定する。この揺動荷重が得られるように第1付勢部材54の押し付け力を設定する。
また、第2ガイド部44の荷重は、例えば、次のように設定する。後処理装置14において搬送が可能な媒体12の中で最も剛性の低い薄紙等の第2の媒体12bの先端が接触部41を構成する搬送ローラー対41Pのニップ部に到達した後、さらに第2の媒体12bが押し込まれる際に第2の媒体12bによって第2ガイド部44が安定して押し下げられる荷重に設定する。
第1の媒体12aとはカールが発生しない坪量の大きな媒体であり、第2の媒体12bとは、曲率半径の小さなカールが発生する坪量の小さな媒体である。例えば、第1の媒体12aの坪量は100~300gsmであり、第2の媒体12bの坪量は60~100gsmである。市販されている用紙には55gsmや450gsmの用紙もあり、坪量はこの数値に限定されない。
図2に示すように、坪量が小さい媒体12に対しても、スキューを矯正するために、接触部41と媒体供給部42との間に、媒体12がスキューを矯正するための湾曲部分を作る空間が確保される必要がある。そのため、第2の媒体12bの先端が接触部41に至った後に、第2の媒体12bが第2ガイド部44に接触した場合に、第2ガイド部44は第1ガイド部43から遠ざかる方向に揺動する荷重で付勢されている。
接触部41の搬送ローラー対41Pは、接触部駆動モーター53によって駆動される。接触部駆動モーター53は、媒体供給部42の搬送ローラー対42Pを駆動させる搬送モーター18とは別のモーターであり、接触部41の搬送ローラー対41Pは単独で回転の駆動と停止ができるようになっている。
媒体12の先端が接触部41に当接するまでは、接触部41の搬送ローラー対41Pは回転を停止している。接触部41の上流にあるセンサー57が、媒体12の先端を検知するため、制御部30は、搬送モーター18の回転量から媒体12の先端位置を把握している。すなわち、制御部30は、センサー57が媒体12の先端を検知してから、媒体12の先端が接触部41に当接するまでの時間に合わせて、接触部駆動モーター53を駆動して接触部41の搬送ローラー対41Pを回転させる。したがって、制御部30は、接触部41と媒体供給部42の間の案内部47において、媒体12がスキューを矯正するために必要な媒体12の湾曲量を調整する。
図1に示すように、処理装置14bは、接触部41を通過した媒体12に対して処理を行う処理部の一例としてのパンチ処理部50を備える。パンチ処理部50は、搬送路17において接触部41よりも搬送方向Y1の下流側に設けられている。パンチ処理部50は、媒体12に対してパンチ処理を行うパンチ機構60を含む。
パンチ処理部50は、媒体12にパンチ孔を空けるパンチ処理を行うパンチ機構60と、パンチ処理部50から媒体を排出する搬送ローラー対19と、接触部41から搬送ローラー対19までの搬送路17と、で構成される。また、湾曲搬送路51を構成するセンサー57は、パンチ処理部50がパンチ処理を行うために媒体12の後端も検知するため、パンチ処理部50の一部であるとも言える。
本実施形態の作用について説明する。
最初に第1の媒体12aに対する作用について説明する。
図2に示すように、坪量の大きい第1の媒体12aが、印刷装置13より後処理装置14に搬入されると、搬入口58(図1参照)近傍の搬送ローラー対19によって、搬送方向Y1へと搬送される。後処理装置14の制御部30(図1参照)は、第1の媒体12aが搬入されたことと、第1の媒体12aの搬送位置を把握する。
図3に示すように、第1の媒体12aは、搬送ローラー対19によって搬送方向Y1へと搬送され、搬送ローラー対19の下流にある媒体供給部42の搬送ローラー対42Pによって更に先へと搬送される。第1の媒体12aは記録後のカールは非常に少ない。例えば、第1の媒体12aは厚さがあり体積が大きいため、インクジェット式のプリンターである印刷装置13で記録された程度の含水量では、第1の媒体12aの体積当たりの含水量の比率を示す含水率は少ないためカールはほとんど発生しない。そのため、第1の媒体12aの先端は、第1湾曲路48の第1方向D1側に設けられている第1ガイド部43のガイド面43aのうちその揺動中心56寄りの端部に当たる。
第1ガイド部43の第1付勢部材54は、押し付け力が大きく、しかも媒体12の先端が当たる位置が揺動中心56の近傍であるため、第1ガイド部43を揺動させるためには第1の媒体12aの先端がガイド面43aを強く押す必要がある。しかし、坪量が大きい第1の媒体12aは、厚さが大きく剛性が高いので、第1の媒体12aの先端に押されて、第1ガイド部43は第2ガイド部から遠ざかる方向に揺動する。したがって、第1の媒体12aは、第1搬送面45と第2搬送面46との距離を大きくして、案内部47を下流の接触部41に向かって搬送される。
図4に示すように、第1ガイド部43が第2ガイド部から遠ざかる方向に揺動することによって、第1搬送面45が上方に移動するため、第1の媒体12aは、媒体供給部42から接触部41への最短経路に近い経路を、まっすぐな平面に近い状態で搬送される。つまり、第1の媒体12aは自身の剛性によって第1ガイド部43を第2ガイド部44から遠ざかる第1方向D1へ押し込みつつ、第1搬送面45に沿って最短経路に近い経路でその先端が接触部41に到達するまで搬送される。
接触部41の搬送ローラー対41Pは、このときはまだ回転を停止している。第1の媒体12aの先端が接触部41に到達したときには、第1ガイド部43は揺動したままの状態である。第1搬送面45と第2搬送面46との距離は大きくなったままであるため、第1の媒体12aが接触部41と媒体供給部42の間に、第1の媒体12aが湾曲するための空間は第2方向D2側に広がっている。第1の媒体12aはほぼ湾曲していない。第1の媒体12aは、案内部47の上面である第1搬送面45に沿って位置し、まっすぐな平面に近いが、上方向にやや凸形状の状態となっている。
第1の媒体12aがスキューしている場合は、第1の媒体12aの幅方向-X側の先端角部か幅方向+X側の先端角部のどちらかが搬送ローラー対41Pのニップ部と最初に接触する。第1の媒体12aの先端角部のどちらかが搬送ローラー対41Pのニップ部と最初に接触したときには、第1の媒体12aには、当該第1の媒体12aが第1ガイド部43に当たり始める箇所に相当する部分に下側へ屈曲するきっかけとなる小さな屈曲部12cができる。第1の媒体12aの先端は下側に撓み始める。
例えば、幅方向-X側の先端角部が搬送ローラー対41Pのニップ部と最初に接触した場合に、媒体供給部42が第1の媒体12aを搬送し続けると、第1の媒体12aの幅方向-X側の部分が案内部47の第2方向D2側である第2搬送面46に向かって湾曲する。その後、第1の媒体12aの幅方向+X側の先端角部が搬送ローラー対41Pのニップ部と接触し、第1の媒体12aの幅方向+X側の部分も案内部47の第2方向D2側である第2搬送面46に沿って湾曲する。したがって、第1の媒体12aの湾曲部分の湾曲量は幅方向-X側で多く、幅方向+X側で少ない。すなわち、第1の媒体12aは、先端のアライメントが搬送ローラー対41Pのニップ部のアライメントに合ったとき、第1の媒体12aは、幅方向Xに非対称に歪んだ湾曲形状で湾曲する。
図5に示すように、第1の媒体12aは下側に凸形状となる方向に撓み始める。第1ガイド部43に対する第1の媒体12aの押し付け力は、第1付勢部材54の付勢力と第1ガイド部43の揺動中心56の位置によって決まる。第1ガイド部43が待機位置に戻る方向に動くかどうかは、第1ガイド部43の付勢力と、第1の媒体12aの第1ガイド部43に対する押し付け力と、によって決まる。第1ガイド部43の付勢力が第1の媒体12aの押し付け力よりも強い場合には、第1の媒体12aが下側へ撓むにつれて第1ガイド部43が、待機位置に戻る方向に動く(二点鎖線位置)。第1ガイド部43の付勢力が第1の媒体12aの押し付け力よりも弱い場合には、第1の媒体12aが下側へ撓むにつれて第1ガイド部43が、待機位置に戻る方向に動かない(図5参照)。
第1の媒体12aは第2の媒体12bと比べて剛性が高いため、第1の媒体12aの表面が完全に第2搬送面46に沿い、密着する面積が増えてしまうと、摺動抵抗が大きくなって第1の媒体12aが動き難くなる。しかし、第1の媒体12aの幅方向-X側が案内部47の第2方向D2側である第2搬送面46に沿って湾曲部分の形成を開始した後、第1の媒体12aの幅方向-X側が完全に第2搬送面46に沿う前に、第1の媒体12aの幅方向+X側の先端角部が搬送ローラー対41Pのニップ部と接触する。したがって、第1の媒体12aは、第2搬送面46から押し付け力を受けないか、もしくは非常に小さな押し付け力しか受けない。第1の媒体12aが第1搬送面45に沿って最短経路に近い経路でその先端が接触部41に到達するまで搬送され、その搬送過程で下側にできた空間を利用して第1の媒体12aは下側に凸形状となる方向に撓み始める。そのため、下側に凸形状となる湾曲部分は第2搬送面46から押し付け力を受けないか、もしくは非常に小さな押し付け力しか受けない。よって、第1の媒体12aの湾曲部分が復元するときに、第1の媒体12aの先端が搬送ローラー対41Pのニップ部と当接し易くなる。
この時点で、第1の媒体12aの先端が搬送ローラー対41Pのニップ部と当接し、想定される最大のスキューを矯正できる場合は、媒体供給部42が第1の媒体12aを接触部41に向かって送り込む量は図5、図6に示す湾曲部を形成できる値に設定される。第1の媒体12aがスキューを矯正するために必要な適切な形状に湾曲する時間が経過した後に、制御部30は、接触部41の搬送ローラー対41Pを回転させる。第1の媒体12aの先端の辺が接触部41のニップ部の接線と平行になったアライメント状態で、第1の媒体12aは接触部41の搬送ローラー対41Pによって下流へ搬送される。
第1の媒体12aは、図4に示す平面に近い状態から、図5、図6に示すように第2搬送面46に向かって第2方向D2側にのみ湾曲し、湾曲部分は単純な下方向に凸形状となる。第1の媒体12aは、S字形状の第二次の座屈モードに近い形となり、湾曲部分の形成の負荷が小さくなり、媒体供給部42が第1の媒体12aを供給する力と、媒体供給部42が第1の媒体12aを把持するニップ力が小さくて済む。
図6に示すように、第1の媒体12aは、第2方向D2に湾曲して第2ガイド部44を押し下げる。このため、第2搬送面46から第1搬送面45の待機位置までの距離は大きくなり、第2湾曲路49は、第1の媒体12aを湾曲させるための更なる空間が、第1の媒体12aの先端に近い側の上方向である第1方向D1側に確保された状態にある。
図5、図6に示す第1の媒体12aの湾曲量ではスキューを十分矯正できない場合には、第1の媒体12aの先端が接触部41に接触してから、媒体供給部42が第1の媒体12aを送り込む量を多く設定することができる。すなわち、制御部30(図1参照)は、センサー57が媒体12の先端を検知してから、接触部駆動モーター53(図1参照)を駆動して接触部41の搬送ローラー対41Pを回転させるまでの時間を長くすることで、接触部41と媒体供給部42の間の案内部47において、媒体12がスキューを矯正するために必要な媒体12の湾曲量を長くする。
図7に示すように、第1の媒体12aの先端部分が上方向に凸形状の湾曲部分を形成する。このため、第1の媒体12aは下方向に凸形状の湾曲部分と上方向に凸形状の湾曲部分とを含む逆W字状に湾曲する。第1の媒体12aのスキューは、第1の媒体12aの湾曲部分が元の状態に戻ろうとする復元力によって、第1の媒体12aの先端が搬送ローラー対41Pのニップ部に押し当てられることで矯正される。したがって、第1の媒体12aのスキューが非常に大きな場合においても、第1の媒体12aのスキューが矯正される。ただし、湾曲部分はW字形状の第三次の座屈モードに近い形となり、短い距離間で二か所の湾曲部分を形成することになるため、湾曲部分の形成の負荷は大きくなる。このため、第1の媒体12aを供給する搬送ローラー対42Pが必要な搬送力と、第1の媒体12aの先端を当接する搬送ローラー対41Pが用紙の先端を静止させるために必要な保持力は大きくなる。搬送ローラー対41P,42Pは、搬送ローラー対41P,42Pのニップ力を大きく設定し、第1の媒体12aの表面及び裏面と搬送ローラー42a,42b,42a,42bの間でスリップが発生しないように構成されている。
第1の媒体12aが、スキューを矯正するために適切な形状に湾曲する必要な時間が経過した後に、制御部30は、接触部41の搬送ローラー対41Pを回転させる。第1の媒体12aの先端の辺が接触部41のニップ部の接線と平行になったアライメント状態で、第1の媒体12aは接触部41の搬送ローラー対41Pによって下流へ搬送される。
図1に示すように、第1の媒体12aの後端がセンサー57を通過したことを、センサー57が検知する。第1の媒体12aの先端は、パンチ機構60を通過し、パンチ機構60の下流に位置する搬送ローラー対19を通過する。第1の媒体12aの後端が、接触部41を通過するときには、第1の媒体12aの後端アライメントも搬送ローラー対41Pのニップ部のアライメントに合った状態で下流へ搬送される。その後、搬送ローラー対41Pは、次の媒体12のスキュー矯正処理に備えるため、回転を停止する。
後処理装置14の制御部30は、センサー57が第1の媒体12aの後端を検知した以降に、搬送モーター18が回転した量から媒体12の後端位置を把握する。制御部30は、第1の媒体12aの所望の位置がパンチ機構60のちょうど真下に来たときに、搬送モーター18を停止してパンチ機構60を作動させる。パンチ機構60は、スキューが矯正された後の第1の媒体12aの後端部にパンチ孔を空けることができる。パンチ機構60が媒体12にパンチ孔を空けたことによってできるパンチ屑は、搬送路17の下のパンチ屑ボックス62に収容される。
次に第2の媒体12bに対する作用について説明する。
図8に示すように、第2の媒体12bは、搬送ローラー対19によって搬送方向Y1へと搬送され、搬送ローラー対19の下流にある媒体供給部42の搬送ローラー対42Pによって更に先へと搬送される。第2の媒体12bの先端は、第1の媒体12aのときと同様に、第1湾曲路48の第1方向D1側に設けられている第1ガイド部43のガイド面43aのうちその揺動中心56寄りの端部に当たる。
第1ガイド部43の第1付勢部材54は押し付け力が大きく、更に第2の媒体12bの先端が当たる位置が揺動中心56の近傍の第1搬送面45であるため、第1ガイド部43を揺動させるためには、大きな力が必要である。坪量が小さい第2の媒体12bは厚さが小さく撓みやすいため、ガイド面43aに先端が当たった第2の媒体12bを撓ませるための力の方が、第1付勢部材54を縮ませる力よりも小さい。このため、第2の媒体12bは待機位置にある第1ガイド部43を揺動させることなくそのガイド面43aに沿ってゆるやかに曲がり、案内部47を下流の接触部41に向かって搬送される。
図9に示すように、接触部41の搬送ローラー対41Pは、このときはまだ回転を停止している。第1搬送面45と第2搬送面46との距離が狭いため、第2の媒体12bの先端部は上向きのカールまたは下向きのカールを発生させる力が働いていても、カールすることが抑えられるので、第2の媒体12bの先端は案内部47や継ぎ目59に引っかかることなく接触部41に到達する。媒体供給部42の下流近傍から第1ガイド部43のガイド面43aの上流側部分までは、第2の媒体12bは案内部47の上面である第1搬送面45に沿って位置する。接触部41の上流近傍では、第2の媒体12bは案内部47の下面である第2搬送面46に沿って位置する。すなわち、第2の媒体12bは、図7に示す側面視においてS字型の状態となっている。このように湾曲搬送路51の部分において、第2の媒体12bの上流端がニップされる搬送ローラー対42Pのニップ位置と、その下流端が接触する搬送ローラー対41Pのニップ位置とが鉛直方向Zに高さ位置の異なる位置関係にあり、両ニップ位置の間に斜めの姿勢で対向する一対のガイド部43,44の隙間を第2の媒体12bは搬送路とする。第2の媒体12bは、その先端が接触部41に到達するまでS字状の搬送路に沿って搬送される。
図10に示すように、スキューした第2の媒体12bの先端角部の片側が接触部41に到達した後も、更に媒体供給部42が第2の媒体12bを搬送し続けるため、第2の媒体12bは、該先端角部が接触部41に到達した側の第2の媒体12bの表面が、接触部41と媒体供給部42の間で撓んで湾曲する。第2の媒体12bは、押し付け力の大きい第1ガイド部43を押し上げることができないが、押し付け力の小さい第2ガイド部44を押し下げることはできる。
第2ガイド部44の揺動中心56は、搬送路17に対して第1ガイド部43が位置する側に設けられるため、第2ガイド部44に第2の媒体12bが当たるときに、第2ガイド部44を揺動させる方向のベクトル成分を大きくすることができる。さらに、第2ガイド部44の揺動中心56は、第2ガイド部44の下流端よりも上流端に近い位置にある。このため、第2の媒体12bが下方へ撓んでできた湾曲部は第2ガイド部44に対してその揺動中心56から離れた下流端部分を押す。したがって、第2ガイド部44は少しの力でも揺動しやすくなっており、第2の媒体12bは座屈することなく湾曲する。第2の媒体12bの湾曲した部分によって第2ガイド部44は押し下げられる。
第2ガイド部44の表面と第1の媒体12aの表面とが密着すると、摺動抵抗が大きくなって第1の媒体12aが動き難くなるが、第2の媒体12bは、第1の媒体12aと比べて剛性が低いため、第2の媒体12bの表面と第2ガイド部44の表面との摺動抵抗は低く、変形が容易である。
第2の媒体12bの湾曲部分が元の状態に戻ろうとする復元力によって、搬送ローラー対41Pのニップ部に先に接触した側と逆側の先端角部が搬送ローラー対41Pのニップ部に押し当てられる。したがって、第2の媒体12bの先端のアライメントが搬送ローラー対41Pのニップ部に沿って矯正される。第2の媒体12bの先端と後端とのアライメントのずれは、湾曲部分の形状が幅方向Xに非対称に歪むことによって湾曲部分に吸収され、第2の媒体12bのスキューが矯正される。
図10に示すように、第2の媒体12bがスキューを矯正するために必要な適切な形状に湾曲する時間が経過した後に、制御部30は接触部41の搬送ローラー対41Pを回転させる。第2の媒体12bの先端の辺が、接触部41のニップ部の接線と平行になったアライメント状態で、第2の媒体12bは接触部41の搬送ローラー対41Pによって下流へ搬送される。
第2の媒体12bの後端がセンサー57を通過したことをセンサー57(図1参照)が検知する。第2の媒体12bの先端は、パンチ機構60を通過し、パンチ機構60の下流にある搬送ローラー対19を通過する。第2の媒体12bの後端が、接触部41を通過するときには、第2の媒体12bの後端アライメントも、接触部41の搬送ローラー対41Pのアライメントに合った状態で下流へ搬送される。その後、搬送ローラー対41Pは、次の媒体12のスキュー矯正処理に備えるため、回転を停止する。
後処理装置14は、センサー57が第2の媒体12bの後端を検知した以降に、搬送モーター18が回転した量から媒体12の後端位置を把握することができる。後処理装置14は、第1の媒体12aの所望の位置がパンチ機構60のちょうど真下に来たときに、搬送モーター18を停止してパンチ機構60を作動させる。パンチ機構60は、正しいアライメントで第1の媒体12aの後端にパンチ孔を空けることができる。パンチ機構60が媒体にパンチ孔を空けたことによってできるパンチ屑は、搬送路17の下のパンチ屑ボックス62に収容される。搬送路17は後処理装置14の下部に位置するので、パンチ処理で発生した紙粉が、搬送路17に落下せず、搬送路17を搬送される媒体12に紙粉が付着することが回避される。
本実施形態の効果について説明する。
(1)第1ガイド部43と第2ガイド部44は、搬送路17に媒体12が搬送されていないときは待機位置に配置され、待機位置から互いに相手側から遠ざかる方向に移動可能に設けられる。スキューを矯正するときには、媒体12の先端を接触部41の搬送ローラー対41Pのニップ部に接触させ、媒体12に湾曲部分を形成して、媒体12の種類による記録後の撓み易さの傾向に合わせて、第1ガイド部43と第2ガイド部44の片方又は両方の揺動によって媒体12の搬送状態を調整する。すなわち本装置は、媒体の種類による記録後の撓みの傾向に合わせて、第1ガイド部43と第2ガイド部44の片方又は両方の揺動状態を変更させることができ、複数の種類の媒体のスキューを矯正することができる。
(2)搬送路17は、媒体供給部42から接触部41に至るまでに第1湾曲路48と第2湾曲路49とを有する湾曲搬送路51を備える。媒体供給部42から供給された湾曲搬送路51を搬送される媒体12の先端が搬送ローラー対41Pに至る前では、媒体12の先端が第1ガイド部43を押す。かつ、媒体12の先端が搬送ローラー対41Pに接触した後では、媒体12が第2ガイド部44または第1ガイド部43を押して湾曲することができる。媒体12が第1ガイド部43と第2ガイド部44を押す力は記録後の媒体の種類による撓み易さの傾向に応じて異なる。第1の媒体12aは先端で第1ガイド部43を強く押して待機位置から揺動させることで、搬送路17を広げる。搬送路17を広げることによって、湾曲のための空間が、第2方向D2側に大きく広がる。スキューした第1の媒体12aの先端の片側が搬送ローラー対41Pに接触し、第1湾曲路48よりも搬送方向Y1の下流側の第2湾曲路49において、第1の媒体12aの先端部分が第2方向D2側に凸形状の湾曲部分を形成する。そのときに、第1の媒体12aの湾曲部分と第2ガイド部44とが接触したときの圧力を小さくすることによって、第1の媒体12aの湾曲部分は容易に幅方向Xに非対称に歪む状態で大きく湾曲することができる。したがって、第1の媒体12aの先端は接触部41に当接した後、大きな湾曲部分の復元力を利用して、スキューを矯正することができる。なお、第1の媒体12aの先端部分が第2方向D2側に凸形状の湾曲部分を形成したときに、第1の媒体12aの湾曲部分と第2ガイド部44とが接触しない湾曲モードもあるが、この場合も、第1の媒体12aは第1ガイド部43の揺動によって大きく湾曲できる。
一方、第2の媒体12bは、第1ガイド部43を押す力が弱く第1ガイド部43を待機位置から揺動不能、あるいは第1の媒体12aに比べ、少ない揺動量でしか第1ガイド部43を揺動させることができない。この結果、第2の媒体12bの先端が搬送ローラー対41Pに至る過程では、搬送路17が広がらない、又は広がってもその広がり量は第1の媒体12aの媒体が搬送されるときに比べ少ない。よって、第2の媒体12bは狭い搬送路17で搬送され、例えば先端部のカールが抑えられることでジャムが抑えられる。
したがって、第2の媒体12bのジャムを抑制しつつ、複数種類の媒体のスキューを適切に矯正することができる。
(3)湾曲搬送路51の第1ガイド部43と第2ガイド部44が待機位置に位置するときの第1搬送面45と第2搬送面46との距離の平均値は、上流搬送路52の第1搬送面45と第2搬送面46との距離の平均値以下である。第2の媒体12bの先端が接触部41に至るまでの搬送中に第2の媒体12bがカールすることが抑えられる。このため、搬送中に第1搬送面45と第2搬送面46との距離の広がった空間でカールした第2の媒体12bの先端が、第1搬送面45又は第2搬送面46に引っかかって先端が丸まり、これが原因で起こる第2の媒体12bのジャムを抑制できる。
(4)第1ガイド部43と第2ガイド部44が待機位置に位置するときの湾曲搬送路51の第1搬送面45と第2搬送面46との距離は5mm以内である。第2の媒体12bの先端が湾曲搬送路51を搬送される間は、第2の媒体12bの先端部のカールが第1搬送面と第2搬送面との距離の最大個所に入り込んでも引っかかることがなく、ジャムを発生せずに第2の媒体12bを搬送させることができる。
(5)待機位置にある第1ガイド部43を第2ガイド部44から遠ざける方向に揺動させる荷重は、待機位置にある第2ガイド部44を第1ガイド部43から遠ざける方向に揺動させる荷重よりも大きく設定されている。媒体供給部42で供給された媒体12の先端は、揺動させる荷重の大きい第1ガイド部43に必ず先に当たる。第1の媒体12aは、第1の媒体12aの先端が接触部41の搬送ローラー対41Pのニップ部に至る前に、第1ガイド部43に当たって第1ガイド部43を待機位置から揺動させることで、第1搬送面45と第2搬送面46との距離を広げることができる。一方、第2の媒体12bは、第2の媒体12bの先端が搬送ローラー対41Pのニップ部に至る前に、第1ガイド部43を揺動させることができない。よって、第2の媒体12bは、狭いままの搬送路17を通るので、搬送中に第2の媒体12bがカールすることが抑えられる。このため、第2の媒体12bのジャムを抑えつつ、媒体12の種類によらず媒体12のスキューを適切に矯正できる。
また、第2の媒体12bの先端が接触部41に接触した後に、第2の媒体12bは撓んでその撓んだ湾曲部分が第2ガイド部44を待機位置から揺動させる。そのため、第2の媒体12bは、湾曲することができるため、第2の媒体12bのスキューを矯正することができる。
(6)第1ガイド部43の揺動中心56は、第1ガイド部43の搬送方向における下流端よりも上流端に近い位置に設けられ、第2ガイド部44の揺動中心56は、第2ガイド部44の搬送方向における下流端よりも上流端に近い位置に設けられる。媒体12の先端が、接触部41へ案内される案内部47の中央近傍よりも上流側の部分で第1ガイド部43に当たったときに第1ガイド部43を揺動し難くし、接触部41に先端が接触した後、媒体12の湾曲部分が案内部47の中央近傍よりも下流側の部分でガイド部43,44に当たったときにガイド部43,44を揺動し易くすることができる。よって、第2の媒体12bのジャムを抑えつつ、第1の媒体12a及び第2の媒体12bのスキューを適切に矯正することができる。
媒体12の湾曲部分が、第2ガイド部44の搬送方向Y1における上流端よりも下流端に近い部分である揺動中心56から遠い部分を押すため、回転モーメントの関係で、第2の媒体12bは第2ガイド部44を揺動させやすい。
(7)第2ガイド部44の揺動中心56は、搬送路17を挟む両側のうち第1ガイド部43が位置する側に設けられているため、第2ガイド部44は少しの力でも大きく揺動しやすくなっている。媒体供給部42が第1の媒体12aを送り込む量を大きく設定した場合、第1の媒体12aは、下方向に凸形状の湾曲部分を形成することによって、回転モーメントの関係で、第2ガイド部44を大きく押し下げる(図5参照)。搬送路17が広がることによって、上方向に第1の媒体12aが湾曲するための空間ができる。第1の媒体12aは上方向に凸形状の湾曲部分を形成し、スキューの矯正に必要な湾曲量を確保できる(図6参照)。よって、第1の媒体12aのスキューが大きい場合においても、湾曲量の不足に起因するスキューの矯正不足を防止することができる。したがって、第1の媒体12aのスキューが大きい場合にも、媒体の搬送状態を調整する従来の搬送路に比べて省スペースの湾曲搬送路51によって、第1の媒体12aの大きいスキューを確実に矯正できる。
回転方向に対する力のベクトル方向の関係で、第2ガイド部44は少しの力でも揺動し易くなっている。そのうえ、第2の媒体12bが、第2ガイド部44を揺動させて湾曲したとき、その湾曲部分の第2ガイド部44への押しつけ力が低い。第2の媒体12bと第2ガイド部44との密着する面積が増えても、摺動抵抗が大きくならず、第2の媒体12bは、第1の媒体12aのように動き難くならない。したがって、剛性の低い種類の媒体においても、媒体の先端のスキューを確実に矯正できる。
さらに、第2ガイド部44は少しの力でも揺動しやすくなっているので、第2の媒体12bの先端が接触部41に接触した後、第2の媒体12bが第2ガイド部44を押し下げるときに第2の媒体12bが座屈する虞が少ない。
(8)第1の媒体12aの先端が接触部41に至る前に、第1の媒体12aが第1ガイド部43に接触した場合に第1ガイド部43は第2ガイド部44から遠ざかる方向に揺動する荷重で付勢されている。第1の媒体12aが第1ガイド部43を押し、搬送路17を広げることによって、第1の媒体12aの下方に大きな空間が形成される。したがって、その大きな空間を利用して第1の媒体12aが下方向に凸形状の湾曲部分を形成するので、その湾曲部分が案内部47と接触したときの接触圧を小さくすることができる。よって、第1の媒体12aの表面が案内部47と摺動するときの摺動抵抗を小さく抑え、第1の媒体12aを幅方向Xに非対称の歪みを伴って湾曲させることができる。したがって、第1の媒体12aのスキューを矯正することができる。
一方、第1の媒体12aよりも坪量が小さい第2の媒体12bの先端が接触部41に至る前に、第2の媒体12bが第1ガイド部43に接触した場合に第1ガイド部43は揺動しない荷重で付勢されている。この結果、第2の媒体12bは、先端が接触部41に至る過程で、搬送路17が狭いままの湾曲搬送路51に沿って搬送され、先端部がカールすることが抑えられるので、第2の媒体12bのカールに起因するジャムを防止できる。
(9)第2の媒体12bの先端が接触部41に至った後に、第2の媒体12bが第2ガイド部44に接触したときに、第2ガイド部44は第1ガイド部43から遠ざかる方向に揺動する荷重で付勢されている。したがって、第2の媒体12bをスキューに必要な湾曲量で湾曲させることができるので、第2の媒体12bのスキューを確実に矯正することができる。
(10)上記搬送装置14aと、搬送路17において接触部41よりも搬送方向Y1の下流側に設けられ、接触部41を通過した媒体12に対して処理を行う処理部の一例としてパンチ処理部50とを備えた処理装置14bによれば、上記(1)~(9)の効果が同様に得られる。
(11)処理装置14bは、第1の媒体12aまたは第2の媒体12bのスキューを抑制した後に、パンチ機構60が第1の媒体12aまたは第2の媒体12bにパンチ処理を行うことができるため、第1の媒体12aまたは第2の媒体12bのパンチの位置ずれを抑制できる。
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・印刷装置13に後処理装置14を接続するのではなく、印刷装置13の中に搬送装置14aや処理装置14bを有してもよい。
・本実施形態のように印刷装置13と搬送装置14aまたは処理装置14bを組み合わせて媒体処理システム11としてもよいし、印刷装置13は、搬送装置14aまたは処理装置14bとは接続せず、オフライン処理であってもよい。すなわち、印刷装置13で印刷された媒体12をオペレーターが搬送装置14aまたは処理装置14bに搬入するようにしてもよい。
・前記実施形態のように印刷装置13と搬送装置14aまたは処理装置14bを組み合わせて媒体処理システム11とした場合、複数の処理装置14bを備えてもよい。
・前記実施形態のように印刷装置13と搬送装置14aまたは処理装置14bを組み合わせて媒体処理システム11とした場合、印刷装置13と処理装置14bの間に印刷装置13から処理装置14bに媒体を受け渡す機能を有する中間装置を設けてもよい。
・後処理装置14は上流搬送路52を備えず、印刷装置13側の搬送路に対して、湾曲搬送路51を接続してもよい。その場合、印刷装置13の搬送ローラーを媒体供給部42として用いてもよい。
・湾曲搬送路51は緩やかなカーブを描いている必要はなく、曲がっているが角があってもよい。すなわち、途中で鈍角の屈曲した屈曲部を有する湾曲搬送路51であってもよい。
・湾曲搬送路51は緩やかなカーブを描いている必要はなく、鈍角で屈曲した屈曲部だけで構成される湾曲搬送路51であってもよい。
・湾曲搬送路51の第1湾曲路48と第2湾曲路49とは、互いに対称な湾曲部や屈曲部を有する湾曲路48,49でなくてもよい。湾曲の場合は、湾曲路48,49の湾曲の曲率が違ってもよいし、屈曲の場合は、湾曲路48,49の屈曲の角度が違ってもよい。一方の湾曲路が湾曲し、もう一方の湾曲路が屈曲してもよい。
・第1ガイド部43は、第1の媒体12aの先端が当たったときに、第1ガイド部43が揺動する荷重は揺動中心56の位置によって調整されてもよい。第1の媒体12aの先端が当たったときに、第1の媒体12aの先端が揺動中心56の近くに当たると、第1ガイド部43は揺動し難くなり、第1の媒体12aの先端が揺動中心56より遠くの下流側に当たると、第1ガイド部43は揺動し易くなる。
・第1の媒体12aの先端が第1ガイド部43に当たったときに、第1ガイド部43を揺動させる第1の媒体12aの剛性の大きさは、第1の媒体12aの先端が当たる第1ガイド部43の表面の角度によって調整されてもよい。媒体12の先端が当たる第1ガイド部43の表面の角度が水平方向に傾けば、第1の媒体12aの中でも非常に剛性の高い第1の媒体12aのときしか、第1ガイド部43は揺動しない。媒体12の先端が当たる第1ガイド部43の表面の角度が垂直方向に傾けば、第2の媒体12bの中でもやや剛性の高い第2の媒体12bのときも、第1ガイド部43は揺動する。
・前記実施形態では、湾曲搬送路51の第1湾曲路48が上方向に凸形状の湾曲路で、第2湾曲路49が下方向に凸形状の湾曲路としたが、湾曲搬送路51の第1湾曲路48が下方向に凸形状の湾曲路で、第2湾曲路49が上方向に凸形状の湾曲路としてもよい。つまり、第1湾曲路48と第2湾曲路49とのうち搬送方向の上流に位置する側の第1湾曲路48が媒体12を湾曲させる方向が第2方向D2であり、第2湾曲路49が媒体12を湾曲させる方向が第1方向D1であってもよい。
・ガイド部43,44は、直線状である必要はなく、上流側の端部が第1湾曲路48と同方向に湾曲してもよいし、下流側の端部が第2湾曲路49と同方向に湾曲してもよい。すなわち、直線状の中間路51aはなくてもよい。このように、湾曲搬送路51は、直線状の中間路51aを有しないS字状の搬送路であってもよい。
・接触部41の搬送ローラー対41Pと媒体供給部42の搬送ローラー対42Pは用紙を水平に搬送しているが、搬送方向は水平に限定されない。搬送方向は、水平に対して少し上方向を向いてもよいし、水平に対して少し下方向を向いてもよいし、真上を向いてもでもよいし、真下を向いてもよい。湾曲搬送路51が、媒体供給部42の媒体供給方向と交差する第1方向D1側へ湾曲させる方向に湾曲した第1湾曲路48と、媒体を第1方向D1と反対の方向である第2方向D2側へ湾曲させる方向に湾曲した第2湾曲路49とを有する構成であれば、媒体供給部42の媒体供給方向は適宜変更できる。また、接触部41の搬送ローラーと媒体供給部42の搬送ローラーの搬送方向が違っていてもよい。
・接触部41の搬送ローラー対41Pと媒体供給部42の搬送ローラー対42Pは、径が異なってもよい。接触部41の径の方が大きくてもよいし、媒体供給部42の径の方が大きくてもよい。また、搬送ローラー対41P,42Pは径が違うローラーでニップしてもよい。
・接触部41は壁で用紙の先端を当接し、該壁が搬送路17から退避する構成であってもよい。また、接触部41が搬送ローラー対41Pである場合は、搬送ローラー対41Pを構成するローラーは円柱状でも筒状でもよい。スキューの矯正性能は接触部41のアライメントに依存するので、接触部41のニップは金属ローラーで構成してもよい。
・媒体供給部42は媒体が供給できるものであれば、ローラー対でなくてもよい。弾性部材のベルトや吸引エアーを用いた吸着ベルトであってもよい。
・上記実施形態においては、第1ガイド部43を第2ガイド部44から遠ざかる方向に揺動させるために必要な荷重を、第1ガイド部43の自重と第1付勢部材54の付勢力とにより設定しているが、第1ガイド部43の重さを適切に調整して自重で付勢することで第1ガイド部43を揺動させるために必要な荷重を設定してもよい。
・同様に、上記実施形態においては、第2ガイド部44を第1ガイド部43から遠ざかる方向に揺動させるために必要な荷重を、第2ガイド部44の自重と第2付勢部材55の付勢力とにより設定しているが、次のように構成してもよい。第2ガイド部44の揺動中心56を形成している部分において、揺動中心56の搬送方向上流側の部分の体積を大きくし、自重で図2において第2ガイド部44が揺動中心56を中心に時計回りに回転するように付勢されてもよい。例えば、第2ガイド部44の揺動中心56の先の部分を、42Pの周りを時計回りに迂回して揺動中心56よりの大きく搬送方向Y1の上流方向に延ばすことによって、第2ガイド部44は第1ガイド部43から遠ざかる方向に自重で付勢させることができる。このように、第1付勢部材54と第2付勢部材55は無くしてもよい。
・案内部47は搬送路17と別に設けてもよい。例えば、第1搬送面45と第1ガイド部43の両方は幅方向Xに複数に分割され、第1搬送面45と第1ガイド部43は交互に並んでおり、各第1ガイド部43は一体となっていてもよい。第2搬送面46と第2ガイド部44の両方は幅方向Xに複数に分割され、第2搬送面46と第2ガイド部44は交互に並んでおり、各第2ガイド部44は一体となっていてもよい。
・第1ガイド部43は幅方向Xに複数に分割され、第1ガイド部43が個別に第1付勢部材54を有してもよい。同様に、第2ガイド部44は幅方向Xに複数に分割され、第2ガイド部44が個別に第2付勢部材55を有してもよい。
・第1ガイド部43は複数の第1付勢部材54を有してもよいし、第2ガイド部44は複数の第2付勢部材55を有してもよい。複数の第1付勢部材54によって、第1ガイド部43の付勢力が所望の付勢力に設定できていればよいし、複数の第2付勢部材55によって、第2ガイド部44の付勢力が所望の付勢力に設定できていればよい。
・第1付勢部材54の付勢力を、第1の媒体12aと第2の媒体12bとが共に先端が当たったときに第1ガイド部43を揺動させられる値に設定してもよい。この場合、第2の媒体12bの先端が当たったときに第1ガイド部43が待機位置から揺動することになるが、第1の媒体12aの先端が当たったときに第1ガイド部43が待機位置から揺動するときの揺動量よりも少ない揺動量となるので、第2の媒体12bの先端部がジャムを誘発するほどのカールは抑制できる。
・第1の媒体12aの剛性に応じて第1ガイド部43が揺動する量を調整してもよい。第1付勢部材54が揺動を開始する力は、第1ガイド部43に取り付けられた第1付勢部材54の初期撓み量とバネ定数によって決まる。第1ガイド部43が揺動を開始する力を同じにしたままで、第1付勢部材54のバネ定数を調整してバネ定数を大きく設定すると、第1の媒体12aの剛性が非常に大きい場合のみ、第1の媒体12aが第1ガイド部43を完全に押し上げる構成とすることができる。第1付勢部材54が揺動を開始する力を同じにししたままで、第1付勢部材54のバネ定数を調整してバネ定数を小さく設定すると、第1の媒体12aであればその剛性の大きさによらず、第1の媒体12aが第1付勢部材54を完全に押し上げることができる。例えば、第1の媒体12aと第2の媒体12bの中間の剛性の媒体に対しても、第1付勢部材54のばね定数によって、第1搬送面45と第2搬送面46の距離を調整できる。
・第1ガイド部43の揺動中心56は、搬送路17を挟む両側のうち第2ガイド部44が位置する側に設けられてもよい。第1ガイド部43の揺動中心56が、第2ガイド部44が位置する側であっても、媒体12の先端が最初に当たる部分は揺動中心56の近くであるため、第2の媒体12bは第1ガイド部43を揺動させない。
・第1付勢部材54と第2付勢部材55は、コイルばねに限らず、ねじりばね、板ばねでもよいし、ゴム等の弾性体でもよい。
・本実施形態においては、処理部の一例としてパンチ処理部50だけを備えているが、用紙の折り部、用紙に折筋を付ける筋入れ部、用紙を所望の幅にカットするスリッター部、等を備えてもよい。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
(A)搬送装置は、記録部により記録が行われた媒体が搬送方向に搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送される前記媒体の先端を接触させて、前記媒体の搬送状態を調整する接触部と、を備え、前記搬送路は、搬送される媒体を前記接触部へ案内する案内部を有し、前記案内部は、揺動可能な第1ガイド部と、該第1ガイド部に対向するとともに揺動可能な第2ガイド部と、を有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部は、前記搬送路に前記媒体が搬送されていないときには待機位置に配置され、前記待機位置から互いに相手側から遠ざかる方向に移動可能に設けられる。
(B)搬送装置は、前記搬送路において、前記案内部よりも前記搬送方向の上流側に設けられる媒体供給部を更に備え、前記搬送路は、前記媒体供給部から前記接触部に至る湾曲搬送路を有し、前記湾曲搬送路は、前記媒体を第1方向側へ湾曲させる方向に湾曲した第1湾曲路と、当該第1湾曲路よりも前記搬送方向の下流に位置し、前記媒体を前記第1方向と反対の方向である第2方向側へ湾曲させる方向に湾曲した第2湾曲路と、を有してもよい。
この構成によれば、媒体供給部から供給された湾曲搬送路を搬送される媒体の先端が接触部に至る前では、媒体の先端が第1ガイド部または第2ガイド部を押す。かつ、媒体の先端が接触部に接触した後では、媒体が第2ガイド部または第1ガイド部を押して湾曲することができる。媒体が第1ガイド部と第2ガイド部を押す力は記録後の媒体の種類による撓み易さの傾向に応じて異なる。厚紙等の撓み難い種類の媒体は第1ガイド部または第2ガイド部を強く押して待機位置から揺動させることで、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げる。第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることによって、湾曲のための空間が、媒体の第1方向と反対の方向である第2方向側に大きく広がる。スキューした媒体の先端の片側が接触部に接触し、第1湾曲路よりも搬送方向の下流側の第2湾曲路において、媒体の先端が第2方向側に凸形状の湾曲部分を形成したときに、媒体の湾曲部分と案内部の表面とが接触しない、または接触したときの圧力を小さくすることによって、媒体の湾曲部分は容易に幅方向Xに非対称に歪むことができる。したがって、媒体の先端は接触部に当接し、スキューを矯正することができる。
一方、撓み易い種類の媒体は、第1ガイド部または第2ガイド部を押す力が弱く第1ガイド部または第2ガイド部を待機位置から揺動不能、あるいは第1の媒体に比べ少ない揺動量でしか第1ガイド部または第2ガイド部を揺動させることができない。この結果、撓み易い種類の媒体の先端が接触部に至る過程では、搬送路が広がらない、又は広がってもその広がり量は撓み難い種類の媒体が搬送されるときに比べ少ない。よって、撓み易い種類の媒体は狭い搬送路で搬送され、カールが抑えられることでジャムが抑えられる。
したがって、複数種類の媒体のスキューを適切に矯正することができ、撓み易い種類の媒体のジャムを抑制することができる。
(C)搬送装置は、前記媒体供給部よりも上流であって、前記媒体供給部を起点とする搬送路を上流搬送路としたとき、前記湾曲搬送路及び前記上流搬送路は、前記搬送路を搬送される前記媒体が第1方向側に近づいたときに接触する第1搬送面と、前記搬送路を搬送される前記媒体が第2方向側に近づいたときに接触する第2搬送面と、を有し、前記第1ガイド部は、前記第1搬送面の一部を構成し、前記第2ガイド部は、前記第2搬送面の一部を構成し、前記湾曲搬送路の前記第1ガイド部と前記第2ガイド部が待機位置に位置するときの前記第1搬送面と前記第2搬送面との距離の平均値は、前記上流搬送路の前記第1搬送面と前記第2搬送面との距離の平均値以下であってもよい。
この構成によれば、剛性が高く撓み難い種類の媒体は、媒体の先端が接触部に至る前に、第1ガイド部または第2ガイド部に当たって第1ガイド部または第2ガイド部を待機位置から揺動させることで、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることができる。第1ガイド部または第2ガイド部を揺動させることができない剛性が低く撓み易い種類の媒体は、媒体の先端が接触部に至る前に、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることができない。撓み易い種類の媒体は記録後にカールし易くなるが、先端が接触部に至る前は、剛性の高い種類の媒体に比べ、第1搬送面と第2搬送面との距離が、上流搬送路の第1搬送面と第2搬送面との距離と同じか狭くなる。すなわち、撓み易い種類の媒体の先端が湾曲搬送路を搬送される間は、媒体を搬送するだけの搬送路の第1搬送面と第2搬送面との距離と同じか狭くなるので、搬送中にカールすることが抑えられる。このため、搬送中に第1搬送面と第2搬送面との距離の広がった空間でカールした媒体が、第1搬送面又は第2搬送面に引っかかることで発生する媒体のジャムを抑制できる。
(D)搬送装置は、前記湾曲搬送路は、前記搬送路を搬送される前記媒体が第1方向側に近づいたときに接触する第1搬送面と、前記搬送路を搬送される前記媒体が第2方向側に近づいたときに接触する第2搬送面と、を有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部が待機位置に位置するときの前記湾曲搬送路の前記第1搬送面と前記第2搬送面との距離が5mm以内であってもよい。
この構成によれば、第1ガイド部と第2ガイド部が揺動していないときの湾曲搬送路における第1搬送面と第2搬送面との距離が5mm以内である。そのため、撓み易い種類の媒体が湾曲搬送路を搬送される間は、媒体のカールが第1搬送面と第2搬送面との距離の最大個所に入り込んでも引っかかることがなく、ジャムを発生せずに媒体を搬送させることができる。
(E)搬送装置は、前記第1湾曲路は前記第2湾曲路よりも前記媒体供給部に近い位置にあり、前記第1ガイド部は前記第1湾曲路の第1方向側に設けられ、前記第1ガイド部を前記第2ガイド部に近づく方向に付勢する第1付勢部材と、前記第2ガイド部を前記第1ガイド部に近づく方向に付勢する第2付勢部材と、を更に備え、前記第1ガイド部を待機位置から前記第2ガイド部から遠ざかる方向に揺動させる荷重は、前記第2ガイド部を待機位置から前記第1ガイド部から遠ざかる方向に揺動させる荷重よりも大きくてもよい。
この構成によれば、媒体供給部で供給された媒体の先端は、揺動させる荷重の大きい第1ガイド部に必ず先に当たる。剛性が高く撓み難い種類の媒体は、媒体の先端が接触部に至る前に、第1ガイド部に当たって第1ガイドを待機位置から揺動させることで、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることができる。
第1ガイド部を揺動させることができない剛性が低く撓み易い種類の媒体は、媒体の先端が接触部に至る前に、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることができない。撓み易い種類の媒体は記録後にカールし易くなるが、先端が接触部に至る前は、剛性の高い種類の媒体に比べ、第1搬送面と第2搬送面との距離が狭くなるので、搬送中にカールすることが抑えられる。このため、搬送中に第1搬送面と第2搬送面との距離の広がった空間でカールした媒体が、第1搬送面又は第2搬送面に引っかかることで発生する媒体のジャムを抑制できる。
また、媒体の先端が接触部に接触した後に、媒体が媒体供給部によって更に押し込まれると、媒体は撓んでその撓んだ湾曲部分が第2ガイド部に当たって第2ガイド部を待機位置から揺動させる。そのため、媒体の先端が接触部に至る前に、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることができなかった媒体に対しても、媒体の先端が接触部に接触した後に、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げ、媒体が撓むための空間が広がり、媒体を湾曲させることができるので、媒体の先端が接触部に当接し、媒体のスキューを矯正することができる。
(F)搬送装置は、前記第1ガイド部の揺動中心は、前記第1ガイド部の前記搬送方向における下流端よりも上流端に近い位置に設けられ、前記第2ガイド部の揺動中心は、前記第2ガイド部の前記搬送方向における下流端よりも上流端に近い位置に設けられてもよい。
この構成によれば、搬送された媒体の先端が、接触部へ案内される案内部の中央近傍に至る前に、媒体の先端が第1ガイド部または第2ガイド部に当たったときに、第1ガイド部または第2ガイド部を待機位置から揺動させ難くすることができる。
媒体の先端が揺動中心の近傍かつ揺動中心の下流側に当ったときは、第1ガイド部または第2ガイド部を揺動させるためには、媒体の先端が第1ガイド部または第2ガイド部を強く押すことが必要である。剛性の高い種類の媒体は、先端が接触部に至る前に、第1ガイド部または第2ガイド部を待機位置から強く押して揺動させることで、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることができる。剛性の低い種類の媒体は、先端が接触部に至る前に、先端が第1ガイド部または第2ガイド部に当たると、ガイド部の表面に沿って媒体全体が曲がるので、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることなく搬送され、ジャムの発生が抑制される。
搬送された媒体の先端が、接触部へ案内される案内部の中央を過ぎて接触部に近づくと、媒体の先端位置が揺動中心より離れるため、第1ガイド部及び第2ガイド部を待機位置から揺動させるための力が少なくなり、第1ガイド部及び第2ガイド部が揺動し易くなる。搬送された媒体の先端の片側が、接触部に接触した後に媒体が湾曲すると、第1ガイド部または第2ガイド部を揺動させるための力が少ない接触部に近い部分で第1ガイド部または第2ガイド部を揺動させるため、媒体の湾曲量を大きく確保でき、媒体の復元力が働き易くなる。この結果、搬送された媒体のスキューを効果的に矯正することができる。
(G)搬送装置は、前記第2ガイド部の揺動中心は、前記搬送路を挟む両側のうち前記第1ガイド部が位置する側に設けられてもよい。
この構成によれば、第2ガイド部の揺動中心は、搬送路の第1ガイド部が位置する側に設けられているため、第2ガイド部は少しの力でも揺動しやすくなっている。剛性の高い種類の媒体は、先端の片側が接触部に接触した後、第2方向側に凸形状の湾曲部分が第2ガイド部を大きく押し、第1方向側に空間ができる。この空間を利用して媒体は第1方向側に更に凸形状の湾曲部分を形成し、スキューの矯正に必要な湾曲量が確保できる。よって、剛性の高い種類の媒体のスキューが大きい場合にも、スキューを確実に矯正できる。
一方、剛性の低い種類の媒体が、第2ガイド部を揺動させて湾曲部分を形成したとき、第2ガイド部への押しつけ力が低い。媒体と案内部の表面との密着する面積が増えても、摺動抵抗が大きくならない。したがって、剛性の低い種類の媒体においても、媒体の先端のスキューを確実に矯正できる。
スキューした媒体の先端が接触部に接触したとき、剛性の低い種類の媒体は湾曲しその湾曲部分が第2ガイド部を押し下げる。剛性の低い種類の媒体は小さい力で第2ガイド部を押し下げることができる。よって、搬送された剛性の低い種類の媒体は第2ガイド部を押し下げるときに座屈する虞が少ない。
(H)搬送装置は、第1の媒体の先端が前記接触部に至る前に、前記第1の媒体が前記第1ガイド部に接触した場合に前記第1ガイド部は前記第2ガイド部から遠ざかる方向に揺動し、かつ前記第1の媒体よりも坪量が小さい第2の媒体の先端が前記接触部に至る前に、前記第2の媒体が前記第1ガイド部に接触した場合に前記第1ガイド部は揺動しない荷重で付勢されていてもよい。
この構成によれば、剛性の高い種類の媒体は、先端が接触部に至る前に、搬送路を広げてスキューを矯正することができる。剛性の高い種類の媒体よりも坪量が小さい剛性の低い種類の媒体は、先端が接触部に至るまで、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることがなく、ジャムが抑えられる。よって、剛性の高い種類の媒体と剛性の低い種類の媒体とのスキューを適切に矯正することができる。
(I)搬送装置は、前記第2の媒体の先端が前記接触部に至った後に、前記第2の媒体が前記第2ガイド部に接触したときに、前記第2ガイド部は前記第1ガイド部から遠ざかる方向に揺動する荷重で付勢されていてもよい。
この構成によれば、媒体の先端が接触部に至る前に、第1ガイド部を揺動させることができない剛性の低い種類の媒体は、先端が接触部に至った後に、第2ガイド部に接触したときに第2ガイド部は第1ガイド部から遠ざかる方向に揺動する。したがって、剛性の低い種類の媒体を湾曲させることができるので、剛性の低い種類の媒体のスキューを矯正することができる。
(J)処理装置は、記録部により記録が行われた媒体が搬送方向に搬送される搬送路と、前記搬送路を搬送される前記媒体の先端を接触させて、前記媒体の搬送状態を調整する接触部と、前記搬送路において前記接触部よりも前記搬送方向の下流側に設けられ、前記接触部を通過した媒体に対して処理を行う処理部と、を備え、前記搬送路は、搬送される媒体を前記接触部へ案内する案内部を有し、前記案内部は、揺動可能な第1ガイド部と、該第1ガイド部に対向するとともに揺動可能な第2ガイド部と、を有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部は、前記搬送路に前記媒体が搬送されていないときには待機位置に配置され、前記待機位置から互いに相手側から遠ざかる方向に移動可能に設けられる。
この構成によれば、複数種類の媒体のスキューを適切に矯正することができ、撓み易い種類の媒体のジャムを抑制することができる。
(K)処理装置は、前記搬送路において、前記案内部よりも前記搬送方向の上流側に設けられる媒体供給部を更に備え、前記搬送路は、前記媒体供給部から前記接触部に至る湾曲搬送路を有し、前記湾曲搬送路は、前記媒体を第1方向側へ湾曲させる方向に湾曲した第1湾曲路と、前記媒体を前記第1方向と反対の方向である第2方向側へ湾曲させる方向に湾曲した第2湾曲路と、を有してもよい。
この構成によれば、撓み易い種類の媒体のジャムを抑制しつつ、複数種類の媒体のスキューを適切に矯正することができる。
(L)処理装置は、前記媒体供給部よりも上流であって、前記媒体供給部を起点とし前記湾曲搬送路と同じ長さの搬送路を上流搬送路としたとき、前記湾曲搬送路及び前記上流搬送路は、前記搬送路を搬送される前記媒体が第1方向側に近づいたときに接触する第1搬送面と、前記搬送路を搬送される前記媒体が第2方向側に近づいたときに接触する第2搬送面と、を有し、前記第1ガイド部は、前記第1搬送面の一部を構成し、前記第2ガイド部は、前記第2搬送面の一部を構成し、前記湾曲搬送路の前記第1ガイド部と前記第2ガイド部が待機位置に位置するときの前記第1搬送面と前記第2搬送面との距離の平均値は、前記上流搬送路の前記第1搬送面と前記第2搬送面との距離の平均値以下であってもよい。
この構成によれば、搬送中に第1搬送面と第2搬送面との距離の広がった空間でカールした媒体が第1搬送面又は第2搬送面に引っかかることで発生するジャムを抑制できる。
(M)処理装置は、前記湾曲搬送路は、前記搬送路を搬送される前記媒体が第1方向側に近づいたときに接触する第1搬送面と、前記搬送路を搬送される前記媒体が第2方向側に近づいたときに接触する第2搬送面と、を有し、前記第1ガイド部と前記第2ガイド部が待機位置に位置するときの前記湾曲搬送路の前記第1搬送面と前記第2搬送面との距離が5mm以内であってもよい。
この構成によれば、媒体のカールが第1搬送面と第2搬送面との距離の最大個所に入り込んでも引っかかることがなく、ジャムを発生せずに媒体を搬送させることができる。
(N)処理装置は、前記第1湾曲路は前記第2湾曲路よりも前記媒体供給部に近い位置にあり、前記第1ガイド部は前記第1湾曲路の第1方向側に設けられ、前記第1ガイド部を前記第2ガイド部に近づく方向に付勢する第1付勢部材と、前記第2ガイド部を前記第1ガイド部に近づく方向に付勢する第2付勢部材と、を更に備え、前記第1ガイド部を待機位置から前記第2ガイド部から遠ざかる方向に揺動させる荷重は、前記第2ガイド部を待機位置から前記第1ガイド部から遠ざかる方向に揺動させる荷重よりも大きくてもよい。
この構成によれば、剛性が低く撓み難い種類の媒体は、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることによって、媒体のスキューを矯正することができる。剛性が低く撓み易い種類の媒体は、媒体のジャムを抑制でき、更に媒体のスキューを矯正することができる。
(O)処理装置は、前記第1ガイド部の揺動中心は、前記第1ガイド部の前記搬送方向における下流端よりも上流端に近い位置に設けられ、前記第2ガイド部の揺動中心は、前記第2ガイド部の前記搬送方向における下流端よりも上流端に近い位置に設けられてもよい。
この構成によれば、搬送された媒体の先端が、接触部へ案内される案内部の中央近傍に至る前に、媒体の先端が第1ガイド部または第2ガイド部に当たったときに、第1ガイド部または第2ガイド部を待機位置から揺動させ難くすることができる。
(P)処理装置は、前記第2ガイド部の揺動中心は、前記搬送路を挟む両側のうち前記第1ガイド部が位置する側に設けられてもよい。
この構成によれば、第2ガイド部の揺動中心は、搬送路の第1ガイド部が位置する側に設けられているため、回転方向に対する力のベクトル方向の関係で、第2ガイド部は少しの力でも揺動しやすくなっている。
(Q)処理装置は、第1の媒体の先端が前記接触部に至る前に、前記第1の媒体が前記第1ガイド部に接触した場合に前記第1ガイド部は前記第2ガイド部から遠ざかる方向に揺動し、かつ前記第1の媒体よりも坪量が小さい第2の媒体の先端が前記接触部に至る前に、前記第2の媒体が前記第1ガイド部に接触した場合に前記第1ガイド部は揺動しない荷重で付勢されていてもよい。
この構成によれば、剛性の高い種類の媒体は、先端が接触部に至る前に、第1ガイド部を揺動させることによって、搬送路を広げてスキューを矯正することができ、剛性の高い種類の媒体よりも坪量が小さい剛性の低い種類の媒体は、第1ガイド部を揺動させないため、先端が接触部に至るまで、第1搬送面と第2搬送面との距離を広げることがなく、ジャムが抑えられる。
(R)処理装置は、前記第2の媒体の先端が前記接触部に至った後に、前記第2の媒体が前記第2ガイド部に接触したときに、前記第2ガイド部は前記第1ガイド部から遠ざかる方向に揺動する荷重で付勢されていてもよい。
この構成によれば、剛性の低い種類の媒体が第2ガイド部を揺動させることによって、剛性の低い種類の媒体を湾曲させることができるので、剛性の低い種類の媒体のスキューを矯正することができる。
(S)処理装置は、前記処理部は、前記媒体に対してパンチ処理を行うパンチ処理部を含んでもよい。
この構成によれば、処理装置は、撓み易い種類の媒体から撓み難い種類の媒体までの様々な種類の媒体のスキューを抑制した後に、その媒体に対してパンチ処理を行うことができるため、様々な種類の媒体のパンチの位置ずれを抑制できる。