JP7342560B2 - 複写牽制媒体及び真贋判定装置 - Google Patents
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Description
本発明の目的は、複写等による偽造をより確実に抑制できる複写牽制媒体及び真贋判定装置を提供することにある。
第2の発明は、第1の発明において、少なくとも2種類の前記発光粒子は、励起光が照射されていないときは、いずれも無彩色又は色相が近似した色であり、励起光が照射されているときは、一方が無彩色で他方が有彩色に発光又はいずれも色相が離れた色に発光する、複写牽制媒体に関する。
第3の発明は、第1又は第2の発明において、少なくとも2種類の前記発光粒子のうちの1つは蓄光性を有する、複写牽制媒体に関する。
第4の発明は、第1~3までのいずれかの発明において、平均粒径が大きな前記発光粒子の平均粒径は、10~40μmであり、平均粒径が小さな前記発光粒子の平均粒径は、0.01~30μmである、複写牽制媒体に関する。
第5の発明は、第1~4までのいずれかの発明に係る複写牽制媒体の真贋を判定する真贋判定装置であって、前記複写牽制媒体の前記真贋判定層に励起光を照射する励起光照射部と、前記複写牽制媒体の前記真贋判定層の画像を撮像する撮像部と、前記複写牽制媒体の前記真贋判定層に励起光が照射されるように前記励起光照射部を制御すると共に、前記真贋判定層において発光した前記発光粒子の配置パターンを検査パターン画像として撮像するように前記撮像部を制御する画像取得部と、真正の配置パターンである基準パターン画像を記憶する記憶部と、前記画像取得部で取得された前記検査パターン画像と、前記記憶部に記憶されている前記基準パターン画像とを照合することにより、前記複写牽制媒体の真贋を判定する画像判定部と、を備える真贋判定装置に関する。
第6の発明は、第5の発明において、前記画像取得部は、前記真贋判定層の画像を撮像するように前記撮像部を制御すると共に、撮像された画像に基づいて検査輪郭画像を取得し、前記記憶部は、前記真贋判定層の真正の輪郭画像である基準輪郭画像を記憶しており、前記画像判定部は、前記画像取得部で取得された前記検査輪郭画像と、前記記憶部に記憶されている前記基準輪郭画像との照合が一致した場合に、前記検査パターン画像と前記基準パターン画像とを照合して前記複写牽制媒体の真贋を判定する、真贋判定装置に関する。
第7の発明は、第5又は6の発明において、前記複写牽制媒体の前記真贋判定層は、少なくとも2種類の前記発光粒子のうちの1つが蓄光性を有しており、前記画像取得部は、前記複写牽制媒体の前記真贋判定層への励起光の照射を停止するように前記励起光照射部を制御した後、蓄光性を有する前記発光粒子の残光による配置パターンを検査残光パターン画像として撮像するように前記撮像部を制御し、前記記憶部は、励起光の照射が停止した後の、蓄光性を有する前記発光粒子の残光による真正の配置パターンである基準残光パターン画像を記憶しており、前記画像判定部は、前記画像取得部で取得された前記検査パターン画像と、前記記憶部に記憶されている前記基準パターン画像との照合が一致した場合に、前記検査残光パターン画像と前記基準残光パターン画像とを照合して前記複写牽制媒体の真贋を判定する、真贋判定装置に関する。
図1は、本実施形態のチケット1を説明する図である。図2は、図1のs1-s1線断面図である。図3は、真贋判定層20に出現する発光粒子の配置パターンを示す模式図である。図3(A)は、真贋判定層20に紫外線を照射したときに出現する発光粒子の配置パターンを示す模式図である。図3(B)は、真贋判定層20への紫外線の照射を停止したときに出現する発光粒子の配置パターンを示す模式図である。
図1に示すチケット(複写牽制媒体)1は、例えば、イベント、セミナー、講演会等への入場券である。なお、チケット1は、真贋の判定が必要なものであれば入場券に限定されず、例えば、金券、有価証券、ID証等であってもよい。
台紙10は、チケット1のベースとなる基材である。台紙10は、例えば、矩形状に裁断された白色用紙により形成される。なお、台紙10は、白色用紙に限らず、表面に印刷画像を形成できるものであればよい。台紙10としては、例えば、上質紙、コート紙、タック紙、プラスチックカード、シート材、フィルム材等を用いることができる。台紙10の表側(図1の手前側)には、真贋判定層20が形成されている。
本実施形態の真贋判定層20は、図1に示すような四角形に形成されているが、真贋判定層20の形状はこれに限らず、例えば、円形、三角形、菱形、台形等でもよいし、文字、記号、図形等でもよい。また、真贋判定層20は、トレードマーク、キャラクターデザイン等でもよい。
発光粒子21A、21Bは、平均粒径の差が10μm以上相違する。発光粒子21Aは、平均粒径が発光粒子21Bよりも大きい粒子である。発光粒子21Aの平均粒径は、例えば、10~40μmである。一方、発光粒子21Bの平均粒径は、例えば、0.01~30μmである。発光粒子21の平均粒径は、例えば、幾何学的特性から相当径を求める方法、動力学的特性から有効径を求める方法、光学的特性から有効径を求める方法等により測定できる。
なお、発光粒子21A、21Bは、いずれも紫外線が照射されていないときは無彩色であってもよい。この場合、一方は、紫外線が照射されているときに白色に発光するものであってもよい。また、他方は、紫外線が照射されているときに有彩色で発光するものが望ましい。
また、発光粒子21A、21Bと共に真贋判定層20を形成する透明樹脂22(図2参照)としては、例えば、塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、エポキシ、ポリスチレン、ABS、ウレタン等が挙げられる。
次に、チケット1の真贋を判定する真贋判定装置100の構成について説明する。
図4は、真贋判定装置100の構成を示すブロック図である。図5は、紫外線照射部130と撮像部140との位置関係を説明する図である。
図4に示すように、真贋判定装置100は、制御部110、記憶部120、紫外線照射部(励起光照射部)130、撮像部140及びタッチパネルディスプレイ150を備えている。真贋判定装置100は、例えば、チケット1が使用されるイベント会場等に設置される。
制御部110は、画像取得部111、画像判定部112を備えている。
画像取得部111及び画像判定部112は、後述する輪郭画像の照合、検査パターン画像の照合及び検査残光パターン画像の照合において、以下の処理を実行する。
輪郭画像の照合は、チケット1に対して最初に行われる検査である。
画像取得部111は、真贋判定の対象となるチケット1の真贋判定層20の画像を撮像するように撮像部140を制御すると共に、撮像された画像に基づいて検査輪郭画像を取得する。画像取得部111において取得された検査輪郭画像は、記憶部120のデータ一時記憶部125に記憶される。
輪郭画像とは、対象となる画像からエッジ部分を抽出することにより得られる画像である。例えば、図1に示すチケット1では、真贋判定層20の輪郭画像として、矩形状の線分からなる画像が得られる。
パターン画像の照合は、上記輪郭画像の照合において、チケット1が偽券でないと判定された場合に実行される検査である。なお、「偽券でない」とは、チケット1が明らかに偽券であるとは判定されていないが、真券であるとも判定されていない状態をいう。
画像取得部111は、チケット1の真贋判定層20に紫外線が照射されるように紫外線照射部130を制御する。また、画像取得部111は、真贋判定層20において、紫外線の照射により発光した発光粒子の配置パターンを検査パターン画像として撮像するように撮像部140を制御する。画像取得部111において取得された検査パターン画像は、記憶部120のデータ一時記憶部125に記憶される。
検査残光パターン画像の照合は、上記パターン画像の照合において、チケット1が偽券でないと判定された場合に実行される検査である。検査残光パターン画像の照合は、後述する第2の真贋判定プログラムにおいて実施される。
画像取得部111は、上記パターン画像の照合において、撮像部140に検査パターン画像を撮像させた後、チケット1の真贋判定層20への紫外線の照射を停止するように紫外線照射部130を制御する。そして、画像取得部111は、蓄光性を有する発光粒子の残光による配置パターンを検査残光パターン画像として撮像するように撮像部140を制御する。検査残光パターン画像は、例えば、図3(B)に示すように、真贋判定層20への紫外線の照射を停止したときに出現する発光粒子の配置パターンの画像である。本実施形態では、発光粒子21Aが蓄光性を有するため、残光を発している発光粒子21Aの配置パターンが検査残光パターン画像として撮像される。画像取得部111において取得された検査残光パターン画像は、記憶部120のデータ一時記憶部125に記憶される。
プログラム記憶部121は、上述したOS、アプリケーションプログラム等を記憶する記憶領域である。
基準輪郭画像記憶部122は、基準輪郭画像の記憶領域である。
基準パターン画像記憶部123は、基準パターン画像の記憶領域である。
基準残光パターン画像記憶部124は、基準残光パターン画像の記憶領域である。
データ一時記憶部125は、画像取得部111において取得された検査輪郭画像、検査パターン画像、検査残光パターン画像等の記憶領域である。
図示していないが、真贋判定装置100は、上述した各部のほかに、例えば、通信インターフェースを備えている。通信インターフェースは、ネットワークで接続されたサーバ(不図示)との間で通信を行うためのインターフェース機器である。
図6は、真贋判定層20に紫外線を照射したときに出現する発光粒子のランダムな配置パターンの一部を示す模式図である。
図6に示すように、真贋判定層20に紫外線を照射したときに取得されるパターン画像は、複数のピクセル(画素)に分割される。真贋判定層20には、2種類の発光粒子21A、21Bがランダム且つ互いに接触するように混在しているため、1つのピクセルの中においても、複数の発光粒子21A、21Bが混在している。各ピクセルは、発光粒子21A、21Bの混在する程度に応じて色の割合(RGB情報)が異なる。各ピクセルにおけるRGB情報は、256階調のデータで表すことができる。例えば、図6に示すピクセルP1のRGB情報は、R:255、G:102、B153であり、ピクセルP2のRGB情報は、R:153、G:204、B255である。なお、図6では、各ピクセルにおける色の違いを白地又は斜線のいずれかで表しているが、各ピクセルの色は、各ピクセルに固有のRGB情報に応じてそれぞれ相違する。
記憶部120には、各ピクセルの位置を示す座標データと各ピクセルのRGB情報とを関連付けたデータがパターン画像として記憶される。そのため、2つのパターン画像について、座標データで特定される各ピクセルのRGB情報をそれぞれ比較することにより、すべてのピクセルのRGB情報が一致するか否かを判定できる。
次に、真贋判定装置100において実行される第1の真贋判定プログラムの処理手順を、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。
図7は、真贋判定装置100の制御部110で実行される第1の真贋判定プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
ステップS102において、制御部110(画像判定部112)は、記憶部120から検査輪郭画像と基準輪郭画像とを読み出し、これら2つの輪郭画像を照合する。
一方、ステップS108(ステップS103、S106:NO)において、制御部110は、チケット1が偽券であることを知らせるエラーメッセージを、例えば、タッチパネルディスプレイ150に表示させる。ステップS108の後、制御部110は、本フローチャートの処理を終了する。
本実施形態のチケット1は、真贋判定層20に紫外線を照射した場合にのみ発光粒子21のランダムな配置パターンが出現する。そのため、チケット1をコピー機で複写して複製物(偽券)を作製しても、複写された真贋判定層20は紫外線に反応しないため、発光粒子21のランダムな配置パターンを出現させることはできない。また、真贋判定層20に紫外線を照射した状態で撮像した写真をコピー機により複写したとしても、その複製物の真贋判定層20にはすでに発光粒子21のランダムな配置パターンが出現しているため、通常の照明下において複製物であることを目視により容易に判別できる。更に、真贋判定層20の内部には、平均粒径の異なる2種類の発光粒子21A、21Bがランダム且つ互いに接触するように混在しているため、これら発光粒子21A、21Bのランダムな配置パターンを印刷により意図的に再現することは技術的に困難である。したがって、本実施形態のチケット1によれば、複写や印刷による偽造をより確実に抑制できる。
図8は、真贋判定装置100の制御部110で実行される第2の真贋判定プログラムの処理手順を示すフローチャートである。
図8に示す第2の真贋判定処理のフローチャートにおいて、ステップS201からS206までの処理と、ステップS210及びS211の処理は、図7に示す第1の真贋判定処理のフローチャートにおけるステップS101からS106までの処理と、ステップS107及びS108の処理と実質的に同じである。そのため、ここでは、重複する説明を適宜に省略して、主に残光パターン画像を照合する処理手順について説明する。
ステップS208において、制御部110(画像判定部112)は、記憶部120から検査残光パターン画像と基準残光パターン画像とを読み出し、これら2つの残光パターン画像を照合する。
ステップS210(ステップS209:YES)において、制御部110は、チケット1が真券であることが確認されたことを知らせるメッセージ(真券確認メッセージ)を、例えば、タッチパネルディスプレイ150に表示させる。ステップS210の後、制御部110は、本フローチャートの処理を終了する。
上述した第2の真贋判定プログラムの処理によれば、ステップS206において、検査パターン画像の照合が一致する場合、更にステップS207~S209において残光パターン画像の照合が行われるため、チケット1の真贋の判定をより高精度に行うことができる。
実施例及び比較例として、真贋判定層(20)について、種類の異なる2つの発光粒子の平均粒径を変えたサンプルを複数作製した。各サンプルの平均粒径は、粒度分布D50に準拠し、島津製作所製の粒度分布測定装置(SALD-2100)を用いて、「JISZ8825:2013 粒子径解析-レーザ回析・散乱法」により測定した。
真贋判定層の層厚は、実施例及び比較例のいずれも10~30μmとし、シルクスクリーン印刷により形成した。
以上の結果から、種類の異なる2つの発光粒子の平均粒径の差を10μm以上とした実施例1~4については、発光色の見え方及びパターン画像の両項目において、いずれも良好な結果が得られることが明らかとなった。
真贋判定層20を形成する台紙として、2枚の基材を積層した台紙を用いてもよい。真贋判定層20を基材と基材との間に形成した場合、紫外線を照射して真贋判定層20を発光させるため、例えば、真贋判定層20の表側には、光透過性を有し且つ紫外線を吸収又は反射しない基材を用いる必要がある。その場合、真贋判定層20の表側となる基材の光透過率は、50%以上であり、紫外線吸収率又は反射率は、50%以下であることが好ましい。なお、台紙として、光透過性を有する2枚の基材を積層した台紙を用いてもよい。
真贋判定装置100による第1及び第2の真贋判定プログラムの処理において、輪郭画像の照合を行わないようにしてもよい。すなわち、真贋判定装置100による第1及び第2の真贋判定プログラムの処理において、輪郭画像の照合は、必要に応じて実施すればよい。
真贋判定装置100において、記憶部120の一部又はすべての記憶領域をサーバ側に設けてもよい。このような構成とすることにより、真贋判定装置100の機能を、例えば、スマートフォンのような携帯端末でも実現可能となる。
本発明に係る複写牽制媒体は、それ自体が金銭的な価値を有しているものに限らず、例えば、ゲームで使用されるカード媒体であってもよいし、セキュリティ保護のためのラベル、シール等であってもよい。
Claims (6)
- 基体と、
前記基体の少なくとも一方の面に積層され、励起光の照射により発光する、平均粒径が相違する少なくとも2種類の発光粒子及び樹脂から形成される真贋判定層と、
を備え、
少なくとも2種類の前記発光粒子は、平均粒径の差が10μm以上であって、前記真贋判定層の内部にランダム且つ互いに接触するように混在しており、励起光が照射されていないときは、いずれも無彩色又は色相が近似した色であり、励起光が照射されているときは、一方が無彩色で他方が有彩色に発光又はいずれも色相が離れた色に発光する、複写牽制媒体。 - 請求項1に記載の複写牽制媒体において、
少なくとも2種類の前記発光粒子のうちの1つは蓄光性を有する、複写牽制媒体。 - 請求項1又は2に記載の複写牽制媒体において、
平均粒径が大きな前記発光粒子の平均粒径は、10~40μmであり、平均粒径が小さな前記発光粒子の平均粒径は、0.01~30μmである、複写牽制媒体。 - 請求項1~3までのいずれか1項に記載の複写牽制媒体の真贋を判定する真贋判定装置であって、
前記複写牽制媒体の前記真贋判定層に励起光を照射する励起光照射部と、
前記複写牽制媒体の前記真贋判定層の画像を撮像する撮像部と、
前記複写牽制媒体の前記真贋判定層に励起光が照射されるように前記励起光照射部を制御すると共に、前記真贋判定層において発光した前記発光粒子の配置パターンを検査パターン画像として撮像するように前記撮像部を制御する画像取得部と、
真正の配置パターンである基準パターン画像を記憶する記憶部と、
前記画像取得部で取得された前記検査パターン画像と、前記記憶部に記憶されている前記基準パターン画像とを照合することにより、前記複写牽制媒体の真贋を判定する画像判定部と、
を備える真贋判定装置。 - 請求項4に記載の真贋判定装置において、
前記画像取得部は、前記真贋判定層の画像を撮像するように前記撮像部を制御すると共に、撮像された画像に基づいて検査輪郭画像を取得し、
前記記憶部は、前記真贋判定層の真正の輪郭画像である基準輪郭画像を記憶しており、
前記画像判定部は、前記画像取得部で取得された前記検査輪郭画像と、前記記憶部に記憶されている前記基準輪郭画像との照合が一致した場合に、前記検査パターン画像と前記基準パターン画像とを照合して前記複写牽制媒体の真贋を判定する、真贋判定装置。 - 請求項4又は5に記載の真贋判定装置において、
前記複写牽制媒体の前記真贋判定層は、少なくとも2種類の前記発光粒子のうちの1つが蓄光性を有しており、
前記画像取得部は、前記複写牽制媒体の前記真贋判定層への励起光の照射を停止するように前記励起光照射部を制御した後、蓄光性を有する前記発光粒子の残光による配置パターンを検査残光パターン画像として撮像するように前記撮像部を制御し、
前記記憶部は、励起光の照射が停止した後の、蓄光性を有する前記発光粒子の残光による真正の配置パターンである基準残光パターン画像を記憶しており、
前記画像判定部は、前記画像取得部で取得された前記検査パターン画像と、前記記憶部に記憶されている前記基準パターン画像との照合が一致した場合に、前記検査残光パターン画像と前記基準残光パターン画像とを照合して前記複写牽制媒体の真贋を判定する、真贋判定装置。
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