JP7342503B2 - 回転電機用のコイルの製造方法およびステータの製造方法 - Google Patents

回転電機用のコイルの製造方法およびステータの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、回転電機用のコイルの製造方法およびステータの製造方法に関する。
従来、複数のコイル形成用部材が電気的に接続された回転電機用のコイルの製造方法およびステータの製造方法が知られている(たとえば、特許文献1および2参照)。
上記特許文献1には、第1上面側挿入導体と第1下面側挿入導体とが接合されたコイルの製造方法が開示されている。このコイルの製造方法では、第1上面側挿入導体のコイルエンド部、および、第1下面側挿入導体のコイルエンド部の各々に絶縁性樹脂がコーティングされる。そして、第1上面側挿入導体と第1下面側挿入導体とがステータコアに配置される。その後、第1上面側挿入導体と第1下面側挿入導体とをステータコアの軸方向外側から押圧しながら電流を流す溶接であるアブセット溶接が行われる。これにより、第1上面側挿入導体と第1下面側挿入導体とが接合されて、コイルが形成される。
また、上記特許文献2には、第1導体セグメントと第2導体セグメントとが溶接されないで、互いに接触することによって、第1導体セグメントと第2導体セグメントとが電気的に接続された回転電機用のコイルの製造方法が開示されている。このコイルの製造方法では、まず、第1導体セグメントおよび第2導体セグメントが準備される。この第1導体セグメントおよび第2導体セグメントには、それぞれ、導体が露出された部分と、絶縁体により被覆された部分とが設けられている。そして、第1導体セグメントの導体が露出された部分の露出表面と、第2導体セグメントの導体が露出された部分の露出表面とが対向するように、ステータのステータコアのスロット内に、第1導体セグメントおよび第2導体セグメントが配置される。そして、第1導体セグメントの露出表面と、第2導体セグメントの露出表面とが互いに接触した状態にされる。そして、第1導体セグメントと第2導体セグメントとの接触状態を維持するための押圧シムがスロット内に配置される。これにより、第1導体セグメントと第2導体セグメントとが互いに電気的に接続され、回転電機用のコイルが構成される。
特開2009-95193号公報 米国特許出願公開第2017/0040859号明細書
ここで、導体のコイルエンド部に絶縁性樹脂をコーティングすることにより、コイルエンド部の絶縁性能が向上された上記特許文献1に記載のコイルの製造方法において、上記特許文献2に記載のコイルの製造方法のように、第1上面側挿入導体と第1下面側挿入導体とを溶接せずに、互いに接触させることが考えられる。ここで、上記特許文献1および2には記載されていないが、第1上面側挿入導体の露出表面および第1下面側挿入導体の露出表面(コイル形成用部材の端部)にメッキ処理を施すことを考えた場合、コイルエンド部に絶縁性樹脂をコーティングした後、第1上面側挿入導体の露出表面と第1下面側挿入導体の露出表面とにメッキ処理を施す際に、メッキ処理を実施するための装置または治具がコーティングされた絶縁性樹脂に接触することによって、絶縁性樹脂に傷が付く場合があると考えられる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、複数のコイル形成用部材同士を互いに接触させて接続する場合にも、コイルエンド部の絶縁性能を向上させることが可能な回転電機用のコイルの製造方法およびステータの製造方法を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における回転電機用のコイルの製造方法は、部において導体が露出された平角導線である複数のコイル形成用部材を準備する工程と、端部にメッキ処理を施すことにより、平角導線である複数のコイル形成用部材の各々の端部の表面導体の全体を被覆するようにメッキ部を形成する工程と、メッキ部を形成する工程の後、複数のコイル形成用部材の各々において、コイル形成用部材のうちの端部とは異なる部分であるコイルエンド部の少なくとも一部に、絶縁部を形成する工程と、絶縁部を形成する工程の後、複数のコイル形成用部材のメッキ部同士を互いに接触させることにより、互いに電気的に接続された複数のコイル形成用部材を含む、回転電機用のコイルを形成する工程とを備える。
この発明の第1の局面における回転電機用のコイルの製造方法では、上記のように、メッキ部を形成する工程の後、コイルエンド部の少なくとも一部に、絶縁部を形成する工程を設ける。これにより、メッキ部を形成する工程を行う時点では、絶縁部が形成されていないので、メッキ部を形成する工程を行うことに起因して絶縁部に傷が付くのを防止することができる。この結果、複数のコイル形成用部材同士を互いに接触させて接続する場合で、コイル形成用部材の端部にメッキ処理を施す場合にも、コイルエンド部の絶縁性能を向上させることができる。
この発明の第2の局面におけるステータの製造方法は、部において導体が露出された平角導線である複数のコイル形成用部材を準備する工程と、端部にメッキ処理を施すことにより、平角導線である複数のコイル形成用部材の各々の端部の表面導体の全体を被覆するようにメッキ部を形成する工程と、メッキ部を形成する工程の後、複数のコイル形成用部材の各々において、コイル形成用部材のうちの端部とは異なる部分であるコイルエンド部の少なくとも一部に、絶縁部を形成する工程と、絶縁部を形成する工程の後、絶縁部およびメッキ部が形成された複数のコイル形成用部材を、ステータコアに配置する工程と、コイル形成用部材を配置する工程の後、複数のコイル形成用部材のメッキ部同士を互いに接触させることにより、互いに電気的に接続された複数のコイル形成用部材を含む、コイルを形成する工程とを備える。
この発明の第2の局面におけるステータの製造方法では、上記第1の局面における回転電機用のコイルの製造方法と同様に、複数のコイル形成用部材同士を互いに接触させて接続する場合で、コイル形成用部材の端部にメッキ処理を施す場合にも、コイルエンド部の絶縁性能を向上させることが可能なステータの製造方法を提供することができる。
本発明によれば、上記のように、複数のコイル形成用部材同士を互いに接触させて接続する場合にも、コイルエンド部の絶縁性能を向上させることができる。
一実施形態によるステータ(回転電機)の構成を示す平面図である。 一実施形態によるステータの構成を示す斜視図である。 一実施形態によるステータコアおよびコイルの構成を示す断面図である。 一実施形態によるコイルの構成を示す斜視図である。 一実施形態によるメッキ部同士が接触している状態を説明するための図である。 一実施形態によるメッキ部の構成を説明するための断面図である。 一実施形態による脚部の構成を説明するための横断面図である。 一実施形態によるコイルエンド部の構成を説明するための横断面図である。 一実施形態によるステータ(コイル)の製造工程を示すフロー図である。 一実施形態によるコイル形成用部材を形成する工程を示す図であり、(A)は複数のコイル形成用部材を準備することを説明するための図であり、(B)は切削工程を説明するための図である。 一実施形態によるコイル形成用部材の構成を示す斜視図(1)である。 一実施形態によるコイル形成用部材の構成を示す斜視図(2)である。 一実施形態によるメッキ部を形成する工程を説明するための図であり、(A)はメッキ処理を行う前の端部を示す図であり、(B)はメッキ処理を行った後の端部を示す図である。 一実施形態による酸処理を説明するための図であり、(A)は酸処理前のコイル形成用部材を示す図であり、(B)は酸処理後のコイル形成用部材を示す図である。 一実施形態による絶縁部を形成する工程を説明するための図である。 一実施形態によるコイル形成用部材をステータコアに配置する工程を説明するための図である。 一実施形態の変形例によるコイル(メッキ部)の構成を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
[ステータの構造]
図1~図8を参照して、本実施形態によるステータ100(コイル10)の構造について説明する。ステータ100(コイル10)は、中心軸線Cを中心に円環形状を有する。なお、コイル10は、特許請求の範囲の「回転電機用のコイル」の一例である。
本願明細書では、「軸方向」とは、図1に示すように、ステータ100の中心軸線Cに沿った方向(Z方向)を意味する。また、「周方向」とは、ステータ100の周方向(A1方向、A2方向)を意味する。また、「径方向」とは、ステータ100の半径方向(R方向)を意味する。また、「径方向内側」とは、径方向に沿ってステータ100の中心軸線Cに向かう方向(R1方向)を意味する。また、「径方向外側」とは、径方向に沿ってステータ100の外に向かう方向(R2方向)を意味する。
ステータ100は、ロータ101と共に、回転電機102の一部を構成する。回転電機102は、たとえば、モータ、ジェネレータ、または、モータ兼ジェネレータとして構成される。ステータ100は、図1に示すように、永久磁石(図示せず)が設けられるロータ101の径方向外側に配置されている。すなわち、本実施形態では、ステータ100は、インナーロータ型の回転電機102の一部を構成する。
図2に示すように、ステータ100は、コイル10と、ステータコア20とを備える。図3に示すように、ステータコア20には、円環状のバックヨーク21と、バックヨーク21から径方向に内側に突出する複数のティース22と、周方向に隣り合うティース22の間に形成されるスロット23とが設けられている。ティース22は、径方向内側の先端部において、周方向に突出する凸部22aが形成されている。スロット23は、バックヨーク21の径方向内側の面21aと、ティース22の周方向の側面22bと、ティース22の凸部22aとにより囲まれた領域である。
(コイルの構造)
図4に示すように、コイル10は、複数のコイル形成用部材30が電気的に接続されることにより構成されている。コイル形成用部材30は、一対の脚部31と、一対の脚部31同士を接続するとともに、複数のスロット23(図3参照)に渡るように配置されているコイルエンド部32(渡り部)とを含む。そして、脚部31の少なくとも一部がスロット23内に配置されている。また、コイルエンド部32は、スロット23よりも軸方向の外側に配置されている。
また、コイル10は、たとえば、波巻きコイルとして構成されている。そして、コイル10は、U相、V相およびW相の各々に設けられている。また、コイル形成用部材30は、一対の脚部31とコイルエンド部32とにより、径方向に見て、略U字状に形成されている。なお、図4では、説明のために、U相、V相およびW相のコイル10のうちのU相のコイル10のみを図示している。
図3に示すように、コイル10は、ステータコア20に配置されている。本実施形態では、コイル10は、複数のコイル形成用部材30のメッキ部40同士が接触し、複数のコイル形成用部材30同士が互いに電気的に接続されることにより構成されている。また、1つのスロット23内において、同相の複数のコイル形成用部材30(脚部31)が径方向に並んで配置されている。また、ステータコア20よりも軸方向外側の位置において、異相(自身の相とは異なる相)のコイルエンド部32同士が隣接して配置されている。
図5に示すように、コイル形成用部材30は、内部導体30aとしての銅を含む。ここで、本実施形態では、コイル形成用部材30の一対の脚部31の先端部分である端部33には、それぞれ、メッキ部40が形成されている。なお、本願明細書では、端部33とは、脚部31の最先端部33aおよび33bのみならず、後述する第1面33cまたは第2面33dをも含む、広い領域を意味するものとして記載している。
そして、コイルエンド部32がスロット23よりもZ1方向側に配置されたコイル形成用部材30の脚部31(以下、「第1脚部31a」という)と、コイルエンド部32がスロット23よりもZ2方向側に配置されたコイル形成用部材30の脚部31(以下、「第2脚部31b」という)とが接続されている。すなわち、第1脚部31aのZ2方向側の端部33に設けられたメッキ部40と、第2脚部31bのZ1方向側の端部33に設けられたメッキ部40とが、スロット23内において接触している。また、第1脚部31aのZ2方向側の端部33のうちのZ2方向側の最先端部33aと、第2脚部31bとは、軸方向に隙間CL1が設けられている。また、第2脚部31bのZ1方向側の端部33のうちのZ1方向側の最先端部33bと、第1脚部31aとは、軸方向に隙間CL2が設けられている。なお、第1脚部31aの軸方向の長さと第2脚部31bの軸方向の長さとは、たとえば、略同一である。
詳細には、第1脚部31aの端部33には、径方向の一方側を向く第1面33cを有するとともに、第1脚部31aの径方向の一方側(R1方向側)の面に対して径方向の他方側に窪む窪み部33e(段差部)が設けられている。また、第2脚部31bの端部33には、径方向の他方側を向く第2面33dを有するとともに、第2脚部31bの径方向の他方側(R2方向側)の面に対して径方向の一方側に窪む窪み部33f(段差部)が設けられている。そして、第1面33cに設けられたメッキ部40と、第2面33dに設けられたメッキ部40とが互いに接触している。また、第1面33cと第2面33dとは、たとえば、互いに略平行に配置されているとともに、軸方向に沿った面として形成されている。また、第1面33cは、窪み部33eの底面として、第2面33dは、窪み部33fの底面として構成されている。また、メッキ部40は、第1面33cおよび第2面33dに加えて、窪み部33eおよび33fの全体および最先端部33aおよび33bにも設けられている。
図6に示すように、メッキ部40は、ニッケル、銀および金のうちの少なくとも1つの金属の層により構成されている。たとえば、メッキ部40は、コイル形成用部材30の材料(銅)よりも、酸化した部分が容易に取り除かれやすい材料(たとえば、ニッケル)によって形成されているか、または、メッキ部40は、コイル形成用部材30の材料(銅)よりも耐食性の高い材料(銀または金)によって形成されている。本実施形態では、メッキ部40は、ニッケルの単一の層により構成されている。なお、本願明細書では、「ニッケル」とは、ニッケルに他の金属が含有されているニッケル合金をも含む広い概念を意味するものとして記載している。
図7に示すように、脚部31には、脚部31の端部33とは異なる部分の表面導体30bが酸化されることにより形成された酸化部50が設けられている。たとえば、脚部31は、酸化部50により覆われている。そして、スロット23内において、径方向に隣接する脚部31同士は、後述するスロット絶縁紙80(図3参照)と酸化部50とにより互いに絶縁されている。
図8に示すように、コイルエンド部32には、絶縁部60が形成されている。絶縁部60は、電着塗料61により構成されており、たとえば、後述する電着塗装により、コイルエンド部32を覆うように形成されている。そして、絶縁部60は、異相間の絶縁を確保可能に構成されている。
図3に示すように、ステータコア20には、メッキ部40同士の接触状態を維持させるための押圧部材70が設けられている。押圧部材70は、スロット23内において、コイル10と凸部22aとの径方向の間に配置されている。押圧部材70は、たとえば、楔部材または弾性部材(たとえば、バネ部材)により構成されている。たとえば、押圧部材70は、軸方向に見て、弧状を有するように形成されている。そして、押圧部材70は、コイル形成用部材30(セグメント導体)を径方向外側に押圧するように構成されている。これにより、押圧部材70は、互いに対向して配置されている第1面33cと第2面33dとを互いに押圧させ合い、第1面33cと第2面33dとが接触した状態(コイル形成用部材30同士が接続した状態)を維持させるように構成されている。
(スロット絶縁紙の構造)
図3に示すように、ステータ100は、スロット絶縁紙80を含む。スロット絶縁紙80は、スロット23内において、ステータコア20とコイル10との間に配置される第1部分81と、コイル10(コイル形成用部材30)同士の間に配置される第2部分82とを含む。また、スロット絶縁紙80は、たとえば、シート状に形成されている。そして、第1部分81は、バックヨーク21の面21aと、ティース22の側面22bとの各々に沿って形成されている。また、第2部分82は、たとえば、蛇腹状に形成されており、スロット23内においてコイル形成用部材30の径方向の間に配置されている。そして、第1部分81は、コイル10とステータコア20とを電気的に絶縁する機能を有する。また、第2部分82は、コイル10同士(同相のコイル形成用部材30同士)を電気的に絶縁する機能を有する。また、第1部分81と第2部分82とは、連続して形成されている。
[本実施形態のステータの製造方法]
次に、図1~図17を参照して、本実施形態によるステータ100の製造方法について説明する。図9には、ステータ100の製造工程のフローチャートが示されている。
(コイル形成用部材を形成する工程)
ステップS1において、複数のコイル形成用部材30(図4参照)が形成(準備)される。本実施形態では、端部33が各々設けられた一対の脚部31と、一対の脚部31を接続するとともにコイルエンド部32となる部分であるコイルエンド部132(図11および図12参照)とを含む、コイル形成用部材30が形成される。なお、本願明細書では、コイル形成用部材30がステータコア20に配置された場合に、コイルエンド部32に相当する部分を「コイルエンド部132」と称して説明する。また、製造工程中(未完成)のコイル形成用部材を「コイル形成用部材130」と称し、完成後のコイル形成用部材を「コイル形成用部材30」と称して説明する。
図10(A)に示すように、まず、複数の直線状のコイル形成用部材130が準備される。準備されるコイル形成用部材130は、少なくとも直線状に延びる方向に沿った両方の端部33の表面導体30bが露出されている。たとえば、コイル形成用部材130は、表面導体30bの全体が露出されている。言い換えると、準備されるコイル形成用部材130には、絶縁被覆が設けられていない。また、コイル形成用部材130は、導体を構成する金属としての銅を含む。
また、コイル形成用部材130は、たとえば、横断面が平角形状を有する平角導線により構成されている。そして、図10(B)に示すように、コイル形成用部材130の両方の端部33の各々に、切削加工が施されることにより、第1面33cを有する窪み部33eまたは第2面33dを有する窪み部33fが形成される。たとえば、複数のコイル形成用部材130を並んで配置し、並んで配置された複数のコイル形成用部材130に対して、切削治具(図示せず)を移動させることにより、複数のコイル形成用部材130の各々に窪み部33eまたは33fが形成される。
図11および図12に示すように、コイル形成用部材130は、図示しない成形装置により成形されることにより、一対の脚部31と、一対の脚部31を接続するコイルエンド部132とが形成される。具体的には、成形装置の成形型にコイル形成用部材130が配置された状態で、直線状のコイル形成用部材130をU字状に屈曲させるように成形することにより、U字状のコイル形成用部材130が形成される。すなわち、表面導体30bが露出された一対の脚部31と、一対の脚部31を接続するとともに表面導体30bが露出されたコイルエンド部132とを含む、コイル形成用部材130が形成される。そして、ステータコア20のZ1方向側に配置されるコイル形成用部材130の脚部31が第1脚部31a(図11参照)となり、ステータコア20のZ2方向側に配置されるコイル形成用部材130の脚部31が第2脚部31b(図12参照)となる。
(メッキ部を形成する工程)
ステップS2において、図13に示すように、複数のコイル形成用部材130の各々の端部33にメッキ処理を施すことにより、端部33にメッキ部40が形成される。
まず、メッキ処理の前処理としての酸処理が行われる。具体的には、複数のコイル形成用部材130の端部33が酸性溶液に浸されることにより、表面導体30bの酸化部分(錆)が還元される。そして、複数のコイル形成用部材130に対して洗浄処理が行われる。複数のコイル形成用部材130に付着した酸性溶液や油等が取り除かれる。これにより、図13(A)に示すように、端部33の表面導体30bが露出した状態になる。
そして、図13(B)に示すように、端部33の表面導体30bにメッキ付着処理が施される。具体的には、ニッケル、銀および金のうちの少なくとも1つの金属の層を端部33の表面導体30bに形成(被膜)させる処理が行われる。本実施形態では、ニッケルの単一の層が端部33の表面導体30bに形成される。また、複数のコイル形成用部材130の端部33の各々に、メッキ部40が形成される。
そして、メッキ部40は、端部33のうちの少なくとも第1面33cまたは第2面33dに形成される。たとえば、メッキ部40は、端部33の表面導体30bの全体を被覆するように形成される。その後、メッキ部40が形成されたコイル形成用部材130が洗浄される。
そして、メッキ部40が形成されたコイル形成用部材130が乾燥される。これにより、メッキ部40が形成されたコイル形成用部材130が形成される。たとえば、複数のコイル形成用部材130が共に乾燥炉(図示せず)に配置されて、加熱されることにより、コイル形成用部材130が乾燥される。ここで、乾燥炉において、コイル形成用部材130の全体が加熱される。これにより、コイル形成用部材130の表面導体30bの少なくとも一部が酸化する。これにより、図13(B)および図14(A)に示すように、コイル形成用部材130の酸化部50が形成される。すなわち、コイル形成用部材130の表面導体30bの銅が酸化して、酸化部50(錆)として酸化銅が形成される。また、酸化部50のうちのコイルエンド部132に生じた酸化部分をコイルエンド部酸化部51とする。なお、酸化部50は、特許請求の範囲の「酸化部分」および「表面導体酸化部」の一例である。
(絶縁部を形成する工程)
ステップS3において、図14および図15に示すように、コイル形成用部材130のうちの端部33とは異なる部分であるコイルエンド部132の少なくとも一部に、絶縁部60が形成される。そして、この工程では、図14(B)に示すように、コイル形成用部材130にメッキ部40が形成される際に生じた酸化部50(錆)の少なくとも一部を還元する酸処理が前処理として行われる。本実施形態では、酸処理は、コイルエンド部132の表面導体30bに形成された酸化部50であるコイルエンド部酸化部51を還元させることにより、コイルエンド部酸化部51を除去する処理である。たとえば、複数のコイル形成用部材130のコイルエンド部132が酸性溶液に浸されることにより、コイルエンド部酸化部51が還元される。
そして、本実施形態では、複数のコイルエンド部132の各々に、電着塗料61を電着塗装により付着させるとともに、電着塗料61を加熱により乾燥させることにより、絶縁部60がコイルエンド部132に形成される。なお、電着塗料61は、特許請求の範囲の「絶縁性を有する材料」の一例である。
具体的には、まず、図14(B)に示すように、U字状に成形されたコイル形成用部材130の各々に対して酸処理が実施される。これにより、コイル形成用部材130からコイルエンド部酸化部51が除去され、コイルエンド部132において表面導体30bが露出した状態にされる。そして、コイル形成用部材130が洗浄される。
そして、図15に示すように、複数のコイル形成用部材130のコイルエンド部132が、電着塗料61を電解液とする液中に浸される。そして、液中に配置された電極160に対して電圧が印加されることにより、電解液中の電着塗料61がコイル形成用部材130の表面導体30bに付着する。すなわち、コイルエンド部132に、電気化学反応を用いて電着塗料61が付着される。これにより、コイル形成用部材130の表面導体30bに、電着塗料61の膜が形成される。なお、図15では、1つのコイル形成用部材130に対して、電着塗装を行う例を示しているが、複数のコイル形成用部材130に対して、単一の容器161内において電着塗装が行われてもよい。
そして、電着塗料61の膜が形成された複数のコイル形成用部材130が、乾燥炉(図示せず)に移動される。そして、複数のコイル形成用部材130が乾燥炉内において加熱されることにより、複数のコイル形成用部材130の電着塗料61が乾燥して硬化する。たとえば、複数のコイル形成用部材130が乾燥炉内において、300度以上に加熱されることにより、電着塗料61が乾燥される。これにより、図8に示すように、複数のコイル形成用部材130に、電着塗料61の膜から構成される絶縁部60が形成(成膜)される。そして、複数のコイル形成用部材30が形成される。すなわち、絶縁部60を形成する工程(ステップS3)が、コイル形成用部材30を製造するための最終工程(コイル形成用部材30がステータコア20に配置される直前の工程)となる。
(コイル形成用部材をステータコアに配置する工程)
ステップS4において、コイル形成用部材30が、回転電機102のステータコア20に配置される。具体的には、図16に示すように、ステータ100のスロット23の各々には、予めスロット絶縁紙80が配置されている。そして、複数のコイル形成用部材30が組み合わされた状態(コイルアッセンブリが形成された状態)で、ステータ100に対して複数のコイル形成用部材30が軸方向に移動されることにより、図3に示すように、複数のコイル形成用部材30がスロット23の各々に配置される。
たとえば、ステータ100のスロット23に、Z1方向側から複数のコイル形成用部材30の第1脚部31aが挿入されるとともに、Z2方向側から複数のコイル形成用部材30の第2脚部31bが挿入される。また、1つのスロット23内において、複数のコイル形成用部材30同士が並んで配置されるとともに、複数のコイル形成用部材30の間にスロット絶縁紙80の第2部分82が配置されるように、複数のコイル形成用部材30が配置される。また、第1脚部31aの第1面33cと、第2脚部31bの第2面33dとは、径方向に対向するように配置される。すなわち、第1面33cのメッキ部40と、第2面33dのメッキ部40とが径方向に隣接して配置される。
(コイルを形成する工程)
ステップS5において、図5に示すように、複数のコイル形成用部材30のメッキ部40同士を互いに径方向に接触させることにより、互いに電気的に接続された複数のコイル形成用部材30を含む、回転電機102用のコイル10(図4参照)が形成される。
具体的には、図3に示すように、スロット23内において、複数のコイル形成用部材30同士が径方向に挟み込まれるように押圧されることにより、複数のコイル形成用部材30のメッキ部40同士が互いに接触される。たとえば、ティース部22の凸部22aとコイル形成用部材30との間に、径方向にコイル形成用部材30を押圧する押圧部材70が配置される。たとえば、押圧部材70は、径方向に並んで配置されたコイル形成用部材30を、押圧部材70とバックヨーク21の径方向内側の面21aとの間に挟むように押圧して、メッキ部40同士の接触状態を維持させるように構成されている。
ここで、メッキ部40をニッケルの層により構成した場合には、ステップS2~S4において、メッキ部40に酸化した部分が生じている場合がある。この場合、メッキ部40の酸化した部分がステップS5以前に取り除かれている。たとえば、メッキ部40の酸化した部分がステップS4以前に機械的に取り除かれているか、または、ステップS5において、押圧される際に酸化した部分のみが崩れてメッキ部40から脱離した状態となっている。
これにより、コイル10が形成され、ステータ100(図2参照)が構成される。その後、ステータ100とロータ101とが組み合わせられることにより、回転電機102(図1参照)が構成される。
[本実施形態の製造方法の効果]
本実施形態の製造方法では、以下のような効果を得ることができる。
本実施形態では、上記のように、複数のコイル形成用部材(130)の各々の端部(33)にメッキ部(40)を形成する工程(S2)を設ける。これにより、メッキ部(40)を形成する工程(S2)の後、コイルエンド部(132)(コイルエンド部予定部)の少なくとも一部に、絶縁部(60)を形成する工程(S3)を設ける。これにより、メッキ部(40)を形成する工程(S2)を行う時点では、絶縁部(60)が形成されていないので、メッキ部(40)を形成する工程(S2)を行うことに起因して絶縁部(60)に傷が付くのを防止することができる。この結果、複数のコイル形成用部材(130)同士を互いに接触させて接続する場合で、コイル形成用部材(130)の端部(33)にメッキ処理を施す場合にも、コイルエンド部(32)の絶縁性能を向上させることができる。そして、メッキ部(40)を、コイル形成用部材(130)の材料(銅)よりも、酸化した部分が容易に取り除かれやすい材料(たとえば、ニッケル)によって形成すれば、端部(33)(メッキ部(40))が酸化した場合でも、酸化した部分を容易に取り除くことができる。また、メッキ部(40)を、コイル形成用部材(130)の材料(銅)よりも耐食性の高い材料(銀または金)によって形成すれば、端部(33)(メッキ部(40))が露出している場合にも、端部(33)が腐食するのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、メッキ部(40)を形成する工程(S2)の後で、かつ、絶縁部(60)を形成する工程(S3)以前に、コイル形成用部材(130)にメッキ部(40)が形成される際に生じたコイルエンド部(132)の酸化部分(51)を除去する工程(S3)をさらに備える。ここで、メッキ部(40)を形成する工程(S2)では、メッキ部(40)を乾燥させるために、コイル形成用部材(130)が加熱される。これにより、コイル形成用部材(130)のコイルエンド部(132)に酸化部分(51)が形成されてしまい、コイルエンド部(132)の酸化部分(51)には、絶縁部(60)が形成されにくくなる(絶縁性の材料(61)が付着しにくくなる)場合があると考えられる。これに対して、本実施形態のように、コイルエンド部(132)の酸化部分(51)を除去する工程(S3)を設ければ、酸化部分(51)が除去された状態のコイルエンド部(132)に絶縁部(60)を形成することができる。この結果、絶縁部(60)が形成されにくくなるのを防止することができるので、端部(33)にメッキ部(40)を形成する場合でも、コイルエンド部(32)の絶縁性能を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、酸化部分(51)を除去する工程(S3)は、酸化部分(51)を還元する酸処理を行うことにより、酸化部分(51)を除去する工程(S3)である。ここで、酸化部分(51)を機械的に除去する場合には、酸化部分(51)自体が切削等により取り除かれるため、コイルエンド部(132)の体積が減少してしまう。これに対して、本実施形態では、酸化部分(51)を還元する酸処理を行うことにより、酸化部分(51)を除去することにより、酸化部分(51)が化学的にコイルエンド部(132)を構成する導体(30a)に変化させることができる。この結果、酸化部分(51)を除去する工程(S3)において、コイルエンド部(132)の体積が減少してしまうのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、絶縁部(60)を形成する工程(S3)は、酸処理を前処理として行うとともに、コイルエンド部(132)の少なくとも一部に、絶縁性を有する材料(61)を電着塗装により付着させることにより、絶縁部(60)を形成する工程(S3)である。そして、酸化部分(51)を除去する工程(S3)は、絶縁部(60)を形成する工程(S3)における酸処理を用いて、コイルエンド部(132)の酸化部分(51)を除去する工程(S3)である。このように構成すれば、絶縁部(60)を形成する工程(S3)における酸処理を用いて、酸化部分(51)を除去する工程(S3)を実施することができるので、酸化部分(51)を除去するために新たに製造工程を追加する必要がなくなる。この結果、コイル(10)の製造工程数の増加を防止しながら、酸化部分(51)を除去することによりコイルエンド部(32)の絶縁性能を効果的に向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、コイル形成用部材(130)を準備する工程(S1)は、端部(33)が各々設けられ、表面導体(30b)が露出された一対の脚部(31)と、一対の脚部(31)を接続するとともに表面導体(30b)が露出されたコイルエンド部(132)とを含むコイル形成用部材(130)を準備する工程(S1)である。そして、酸化部分(51)を除去する工程(S3)は、一対の脚部(31)の表面導体(30b)およびコイルエンド部(32)の表面導体(30b)が酸化されて形成された表面導体酸化部(50、51)のうちのコイルエンド部(32)の酸化部分(51)を除去する工程(S3)である。このように構成すれば、一対の脚部(31)の表面導体(30b)には酸化部分(51)が残存するので、一対の脚部(31)の表面導体(30b)に絶縁部(60)を形成することなく、一対の脚部(31)の端部(33)以外の部分の絶縁性能を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、絶縁部(60)を形成する工程(S3)の後で、かつ、コイル(10)を形成する工程(S5)の前に、絶縁部(60)およびメッキ部(40)が形成された複数のコイル形成用部材(130)を、回転電機(102)のステータコア(20)に配置する工程(S4)をさらに備える。そして、コイル(10)を形成する工程(S5)は、複数のコイル形成用部材(130)のメッキ部(40)同士がステータコア(20)の径方向に互いに押圧し合うように接触されることにより、コイル(10)を形成する工程(S5)である。ここで、複数のコイル形成用部材(130)のメッキ部(40)同士がステータコア(20)の軸方向に押圧し合うように、複数のコイル形成用部材(130)をステータコア(20)に配置する場合には、コイルエンド部(32)よりも軸方向の両外側から複数のコイル形成用部材(130)を押圧する必要があると考えられる。この場合、コイルエンド部(32)よりも軸方向の外側に押圧部材を配置する必要があるため、押圧部材が配置される分、ステータ(100)が軸方向に大型化すると考えられる。これに対して、本実施形態では、上記のように、複数のコイル形成用部材(130)のメッキ部(40)同士がステータコア(20)の径方向に互いに押圧し合うように接触されることにより、コイル(10)を形成する。これにより、複数のコイル形成用部材(130)のメッキ部(40)同士を径方向に挟み込むように押圧することにより、コイル(10)を形成することができる。この結果、コイルエンド部(32)よりも軸方向の外側に押圧部材を配置する必要がないため、ステータ(100)が軸方向に大型化するのを抑制することができる。
また、本実施形態では、上記のように、コイル形成用部材(130)を準備する工程(S1)は、直線状のコイル形成用部材(130)をU字状に成形する工程を含む。そして、絶縁部(60)を形成する工程(S3)は、U字状のコイル形成用部材(130)のうちのコイルエンド部(132)に、絶縁部(60)を形成する工程(S3)である。ここで、絶縁部(60)を形成した後に、絶縁部(60)が形成されたコイル形成用部材(130)をU字状に成形する場合には、コイルエンド部(132)の成形(変形)に応じて絶縁部(60)の厚みが変化してしまい、コイルエンド部(132)の絶縁性能が低下する場合があると考えられる。これに対して、本実施形態では、U字状に成形された状態のコイル形成用部材(130)のコイルエンド部(132)に絶縁部(60)を形成するので、絶縁部(60)を形成した後に、コイルエンド部(132)は成形(変形)されない。この結果、コイル形成用部材(130)をU字状に成形する場合でも、コイルエンド部(132)の絶縁性能が低下するのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、コイル形成用部材(130)を準備する工程(S1)は、直線状のコイル形成用部材(130)の端部(33)に切削加工を施すとともに、直線状のコイル形成用部材(130)をU字状に成形する工程を含む。そして、メッキ部(40)を形成する工程(S2)は、切削加工された端部(33)にメッキ部(40)を形成する工程(S2)であり、絶縁部(60)を形成する工程(S3)は、U字状のコイル形成用部材(130)のうちのコイルエンド部(132)に、絶縁部(60)を形成する工程(S3)である。このように構成すれば、コイル形成用部材(130)をU字状に成形することに加えて、端部(33)への切削加工が、絶縁部(60)を形成する工程(S3)よりも前に実施することができる。この結果、端部(33)への切削加工中に切削装置または切削用治具が絶縁部(60)に接触して絶縁部(60)に傷が付くのを防止することができる。
また、本実施形態では、上記のように、コイル形成用部材(130)を準備する工程(S1)は、銅を含むコイル形成用部材(130)を準備する工程(S1)である。そして、メッキ部(40)を形成する工程(S2)は、ニッケル、銀および金のうちの少なくとも1つの金属の層を端部(33)に形成する処理を含むメッキ処理を施すことにより、端部(33)にメッキ部(40)を形成する工程(S2)である。このように構成すれば、メッキ部(40)を、コイル形成用部材(130)の材料(銅)よりも、酸化した部分が容易に取り除かれやすい材料であるニッケルの層により形成した場合には、メッキ部(40)が酸化した場合でも、容易に酸化した部分を取り除くことができる。また、メッキ部(40)を、コイル形成用部材(130)の材料(銅)よりも、耐食性の高い材料(銀または金)によって形成した場合には、メッキ部(40)(端部(33))の耐食性を向上させることができる。
また、本実施形態では、上記のように、メッキ部(40)を形成する工程(S2)は、ニッケルの単一の層を端部(33)に形成するメッキ処理を施すことにより、ニッケルの単一の層により構成されたメッキ部(40)を端部(33)に形成する工程である。ここで、メッキ部(40)を銀の層により構成する場合には、銀が酸化しにくい一方、比較的酸素を通過させやすいため、通過した酸素によって、コイル形成用部材(130)を構成する銅が酸化してしまうと考えられる。これに対して、本実施形成では、上記のように、ニッケルの単一の層により構成されたメッキ部(40)を端部(33)に形成することにより、メッキ部(40)に銀の層を含む場合に比べて、酸素が通過しにくいので、コイル形成用部材(130)を構成する銅が酸化するのを防止することができる。そして、ニッケルは、銀に比べて比較的硬い材料であるので、ニッケルの層(メッキ部(40))の表面に酸化膜が形成された場合でも、容易にメッキ部(40)から酸化膜を除去することができる。これらの結果、コイル形成用部材(130)が酸化するのを防止しながら、メッキ部(40)から酸化膜を容易に除去することができる。
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
たとえば、上記実施形態では、メッキ部をニッケルの単一の層として構成する例を示したが、本発明では、これに限られない。すなわち、メッキ部をニッケルの単一の層以外の構成としてもよい。たとえば、図17に示す変形例によるコイル210のように、ニッケルを下地層241として、かつ、銀を表面層242として、メッキ部240を構成してもよい。また、銀の単一の層によりメッキ部を構成してもよい。また、ニッケル、銀、および、金以外の材料によりメッキ部を構成してもよい。
また、上記実施形態では、コイルエンド部酸化部を除去する工程を設ける例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、コイルエンド部予定部に絶縁部を形成するために、コイルエンド部酸化部を除去することが不要な場合には、コイルエンド部酸化部を除去せずに、コイルエンド部予定部に絶縁部を形成してもよい。
また、上記実施形態では、コイルエンド部酸化部を除去するために、酸処理を行う例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、コイルエンド部酸化部を切削により除去してもよい。
また、上記実施形態では、絶縁部を電着塗装により形成する例を示したが、本発明では、これに限られない。すなわち、絶縁部を電着塗装以外の方法により形成してもよい。たとえば、絶縁テープをコイル形成用部材に取り付けることにより、絶縁部を形成してもよいし、絶縁塗料が入った容器にコイル形成用部材を浸す(ディッピングする)ことにより、絶縁部を形成してもよい。
また、上記実施形態では、表面導体の全体が露出されたコイル形成用部材を準備する例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、表面が絶縁部材により被覆されたコイル形成用部材を準備してもよい。
また、上記実施形態では、第1面と第2面とを径方向に対向するように配置して、第1面に設けられたメッキ部と、第2面に設けられたメッキ部とを互いに径方向に押圧させるように構成する例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、第1面と第2面とを軸方向に対向するように配置して、第1面に設けられたメッキ部と、第2面に設けられたメッキ部とを互いに軸方向に押圧させるように構成してもよいし、第1面と第2面とを周方向に対向するように配置して、第1面に設けられたメッキ部と、第2面に設けられたメッキ部とを互いに周方向に押圧させるように構成してもよい。
また、上記実施形態では、コイル形成用部材の端部のうちの第1面および第2面に加えて、第1面および第2面以外の部分にもメッキ部を設ける例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、コイル形成用部材の端部のうちの第1面および第2面のみに、メッキ部を形成してもよい。
また、上記実施形態では、酸処理をコイルエンド部酸化部のみに施す例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、酸処理をコイルエンド部酸化部以外のコイル形成用部材の部分に施してもよい。
また、上記実施形態では、コイル形成用部材をU字状を有するように成形する例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、コイル形成用部材をJ字状を有するように成形してもよい。また、成形せずに直線状のコイル形成用部材をステータコアに配置してもよい。
また、上記実施形態では、コイル形成用部材に対して切削加工を施した後、コイル形成用部材を成形する例を示したが、本発明では、これに限られない。たとえば、コイル形成用部材を成形した後に、コイル形成用部材に対して切削加工を施してもよい。
また、上記実施形態では、ステータを、インナーロータ型の回転電機の一部を構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。たとえば、ステータは、アウターロータ型の回転電機の一部を構成してもよい。
10、210 コイル(回転電機用のコイル) 20 ステータコア
23 スロット 30、130 コイル形成用部材
30b 表面導体(表面) 31 脚部
32、132 コイルエンド部 33 端部
40、240 メッキ部 50 酸化部(表面導体酸化部)
51 コイルエンド部酸化部(表面導体酸化部、酸化部分)
60 絶縁部 61 電着塗料(絶縁性を有する材料)
100 ステータ 102 回転電機

Claims (11)

  1. 部において導体が露出された平角導線である複数のコイル形成用部材を準備する工程と、
    前記端部にメッキ処理を施すことにより、平角導線である前記複数のコイル形成用部材の各々の前記端部の表面導体の全体を被覆するようにメッキ部を形成する工程と、
    前記メッキ部を形成する工程の後、前記複数のコイル形成用部材の各々において、前記コイル形成用部材のうちの前記端部とは異なる部分であるコイルエンド部の少なくとも一部に、絶縁部を形成する工程と、
    前記絶縁部を形成する工程の後、前記複数のコイル形成用部材の前記メッキ部同士を互いに接触させることにより、互いに電気的に接続された前記複数のコイル形成用部材を含む、回転電機用のコイルを形成する工程とを備える、回転電機用のコイルの製造方法。
  2. 前記メッキ部を形成する工程の後で、かつ、前記絶縁部を形成する工程以前に、前記コイル形成用部材に前記メッキ部が形成される際に生じた前記コイルエンド部の酸化部分を除去する工程をさらに備える、請求項1に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  3. 前記酸化部分を除去する工程は、前記酸化部分を還元する酸処理を行うことにより、前記酸化部分を除去する工程である、請求項2に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  4. 前記絶縁部を形成する工程は、前記酸処理を前処理として行うとともに、前記コイルエンド部の少なくとも一部に、絶縁性を有する材料を電着塗装により付着させることにより、前記絶縁部を形成する工程であり、
    前記酸化部分を除去する工程は、前記絶縁部を形成する工程における前記酸処理を用いて、前記コイルエンド部の前記酸化部分を除去する工程である、請求項3に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  5. 前記コイル形成用部材を準備する工程は、前記端部が各々設けられ、前記表面導体が露出された一対の脚部と、前記一対の脚部を接続するとともに表面導体が露出された前記コイルエンド部とを含む前記コイル形成用部材を準備する工程であり、
    前記酸化部分を除去する工程は、前記一対の脚部の前記表面導体および前記コイルエンド部の前記表面導体が酸化されて形成された表面導体酸化部のうちの前記コイルエンド部の酸化部分を除去する工程である、請求項2~4のいずれか1項に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  6. 前記絶縁部を形成する工程の後で、かつ、前記コイルを形成する工程の前に、前記絶縁部および前記メッキ部が形成された複数の前記コイル形成用部材を、前記回転電機のステータコアに配置する工程をさらに備え、
    前記コイルを形成する工程は、前記複数のコイル形成用部材の前記メッキ部同士が前記ステータコアの径方向に互いに押圧し合うように接触されることにより、前記コイルを形成する工程である、請求項1~5のいずれか1項に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  7. 前記コイル形成用部材を準備する工程は、直線状の前記コイル形成用部材をU字状に成形する工程を含み、
    前記絶縁部を形成する工程は、U字状の前記コイル形成用部材のうちの前記コイルエンド部に、前記絶縁部を形成する工程である、請求項1~6のいずれか1項に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  8. 前記コイル形成用部材を準備する工程は、前記直線状のコイル形成用部材の前記端部に切削加工を施すとともに、前記直線状のコイル形成用部材をU字状に成形する工程を含み、
    前記メッキ部を形成する工程は、切削加工された前記端部に前記メッキ部を形成する工程であり、
    前記絶縁部を形成する工程は、U字状の前記コイル形成用部材のうちの前記コイルエンド部に、前記絶縁部を形成する工程である、請求項7に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  9. 前記コイル形成用部材を準備する工程は、銅を含む前記コイル形成用部材を準備する工程であり、
    前記メッキ部を形成する工程は、ニッケル、銀および金のうちの少なくとも1つの金属の層を前記端部に形成する処理を含むメッキ処理を施すことにより、前記端部に前記メッキ部を形成する工程である、請求項1~8のいずれか1項に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  10. 前記メッキ部を形成する工程は、前記ニッケルの単一の層を前記端部に形成するメッキ処理を施すことにより、前記ニッケルの単一の層により構成された前記メッキ部を前記端部に形成する工程である、請求項9に記載の回転電機用のコイルの製造方法。
  11. 部において導体が露出された平角導線である複数のコイル形成用部材を準備する工程と、
    前記端部にメッキ処理を施すことにより、平角導線である前記複数のコイル形成用部材の各々の前記端部の表面導体の全体を被覆するようにメッキ部を形成する工程と、
    前記メッキ部を形成する工程の後、前記複数のコイル形成用部材の各々において、前記コイル形成用部材のうちの前記端部とは異なる部分であるコイルエンド部の少なくとも一部に、絶縁部を形成する工程と、
    前記絶縁部を形成する工程の後、前記絶縁部および前記メッキ部が形成された複数の前記コイル形成用部材を、ステータコアに配置する工程と、
    前記コイル形成用部材を配置する工程の後、前記複数のコイル形成用部材の前記メッキ部同士を互いに接触させることにより、互いに電気的に接続された前記複数のコイル形成用部材を含む、コイルを形成する工程とを備える、ステータの製造方法。
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