JP7341827B2 - 長期耐候性に優れる熱可塑性樹脂組成物、その成形体及び積層体 - Google Patents

長期耐候性に優れる熱可塑性樹脂組成物、その成形体及び積層体 Download PDF

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本発明は長期耐候性に優れる熱可塑性樹脂組成物に関する。具体的には熱可塑性樹脂、紫外吸収剤及び酸素吸収剤を含有し、長期耐熱性に優れる熱可塑性樹脂組成物、その熱可塑性樹脂組成物からなる成形体、及びその成形体からなる積層体に関する。
透明性に優れる熱可塑性熱可塑性樹脂組成物は、屋外で使用される基材の劣化防止や美観の維持等を目的に建築分野、電子分野、自動車産業などの部品として広く用いられている。例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、PMMA、ABS等に紫外線吸収剤を配合した熱可塑性樹脂組成物を基材上にフィルム状に積層することで、紫外光による基材の劣化を抑えることができる。近年では、長時間屋外で使用される積層体に対しても、より高度な耐候性を付与できる熱可塑性樹脂組成物が要望されている。
耐候性を向上させる施策として、熱可塑性樹脂組成物に含まれる紫外線吸収剤の配合量の増量が考えられる。しかしながら、紫外線吸収剤の配合量を増量すると、耐候性が向上するが、一部の紫外線吸収剤が表面にブリードアウトし、製品の外観不良の原因となるため好ましくない。
他の耐候性向上の施策として紫外線吸収剤の分解を抑制する酸化防止剤の添加が知られている。特許文献1では、特定のヒンダードアミン系化合物(HALS)を配合したポリアセタール樹脂が耐候性に優れることが開示されている。特許文献2では、ベンゾトリアゾール系及びトリアジン系の紫外吸収剤とHALSの配合によるPMMAの光安定化が記載されている。特許文献3では、HALSとベンゾトリアゾール系又はトリアジン系の紫外吸収剤の組み合わせによるアクリル樹脂の耐熱劣化性の向上が記載されている。しかしながら、特定の紫外線吸収剤と光安定剤の組み合わせに限定される等の制約があり、また、HALS自体がアミンを含んでいるため、アミンによる黄変の問題も挙げられることから、外観を損なうことなく耐候性を付与する施策には、未だ改善の余地がある。
特開平7-26112号公報 特表2010―530913号公報 特開2005-97351号公報
本発明は前記従来の課題を鑑みてなされたものであって、耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その熱可塑性樹脂組成物からなる成形体及び積層体の提供を目的とする。
すなわち、本発明は以下の発明に関する。
[1]熱可塑性樹脂を75~99.8質量%と、紫外線吸収剤を0.1~15質量%と、酸素吸収剤を0.1~10質量%とを含有する熱可塑性樹脂組成物であって、酸素吸収剤が下記一般式(I)で表される化合物及び/又は下記一般式(II)で表される化合物である、熱可塑性樹脂組成物。
Figure 0007341827000001

(一般式(I)中、X1はそれぞれ独立してカルコゲン原子を表し、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表し、Rは炭素数3~15の脂肪族炭化水素からなる官能基を表し、前記官能基は任意の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよく、水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基、及び炭素数2~5のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つを置換基として有していてもよい。)
Figure 0007341827000002

(一般式(II)中、X及びXはそれぞれ独立してカルコゲン原子を表し、R、R、R12及びR13はそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを表し、R、R、R10、及びR11はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Yは水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、炭素数3~15の脂肪族炭化水素からなる連結基を表し、当該置換基の少なくとも1つは(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれるいずれかであり、当該連結基は任意の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよい。)
[2]前記一般式(II)において、X及びXが酸素原子である、[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] 前記一般式(II)において、R、R、R12及びR13が炭素数1~6のアルキル基である、[1]~[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4]前記一般式(II)において、R、R、R10及びR11が炭素数1~6のアルキル基である、[1]~[3]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5]前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール骨格及び/又はトリアジン骨格を有する化合物である、[1]~[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6][1]~[5]に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
[7]全光線透過率が90%以上のフィルムである[6]に記載の成形体。
[8][6]又は[7]に記載の成形体を含む積層体。
[9][8]に記載の積層体の建材用途への使用。
本発明により、耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その熱可塑性樹脂組成物を含む成形体及び積層体が提供できる。
本発明は、熱可塑性樹脂を75~99.8質量%、紫外線吸収剤を0.1~15質量%、及び酸素吸収剤を0.1~10質量%を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、酸素吸収剤が一般式(I)で表される化合物及び/又は一般式(II)で表される化合物である、熱可塑性樹脂組成物である。本発明によって提供される熱可塑性樹脂組成物、これを用いて作製される積層体及び成形体は、長期間屋外で使用されても、紫外光による基材の劣化を抑制することができるから、基材の耐候性を改善することができる。
作用効果については、詳細は不明であるが、熱可塑性樹脂組成物に添加した酸素吸収剤が樹脂中及び樹脂近傍の酸素を吸収・除去することにより、酸素に起因する紫外線吸収剤の酸化劣化を抑えられるため、樹脂の耐候性が向上したと推定される。
本発明において、熱可塑性樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステルカーボネート樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリーレン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリケトン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアリールケトン樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、(メタ)アクリル樹脂、などが挙げられる。これら樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルに由来する構造単位を含有してなる単独重合体、及び(メタ)アクリル酸エステルと他の単量体に由来する構造単位を含有してなる共重合体などが挙げられる。他の単量体としては1種類でもよく、2種類以上含まれていてもよい。
前記(メタ)アクリル酸エステルの例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタアクリル酸ブチルなどのメタクリル酸アルキルエステル;メタアクリル酸フェニルなどのメタクリル酸アリールエステル;メタクリル酸シクロへキシル、メタクリル酸ノルボルネニルなどのメタクリル酸シクロアルキルエステル;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルへキシルなどのアクリル酸アルキルエステル;アクリル酸フェニルなどのアクリル酸アリールエステル;アクリル酸シクロへキシル、アクリル酸ノルボルネニルなどのアクリル酸シクロアルキルエステルなどが挙げられる。
他の単量体の例としては、スチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル化合物;アクリルアミド;メタクリルアミド;アクリロニトリル;メタクリロニトリル;などの一分子中に重合性の炭素-炭素二重結合を一つだけ有するビニル系単量体などが挙げられる。
これらの中でも、熱可塑性樹脂は透明性、耐熱性などの観点から(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
また、本発明に用いられる熱可塑性樹脂は、耐熱性や機械強度向上などの観点から、架橋剤により架橋しているゴム成分を樹脂中に含んでも良い。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂の含有量は熱可塑性樹脂組成物に対し、75質量%~99.8質量%である。熱可塑性樹脂組成物の耐熱性を更に高める観点から、熱可塑性樹脂の含有量は、80質量%~99.8質量%であることが好ましく、90質量%~99.8質量%であることがより好ましく、95質量%~99.8質量%であることが更に好ましい。
本発明に用いられる熱可塑性樹脂の製造方法は特に限定されず、例えばアクリル樹脂ならば、アクリル酸エステルを重合することによって、又はアクリル酸エステルと他の単量体とを重合することによって得ることができる。重合は公知の方法にて行うことができる。重合の方法としては、連鎖移動の形態による分類で、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、重縮合などを挙げることができる。また、反応液の形態による分類で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などを挙げることができる。
本発明において、紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン類、ベンゾトリアゾール類(ベンゾトリアゾール骨格を有する化合物)、トリアジン類(トリアジン骨格を有する化合物)、ベンゾエート類、サリシレート類、シアノアクリレート類、蓚酸アニリド類、マロン酸エステル類、ホルムアミジン類などを挙げることができる。これらは1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ベンゾフェノン類としては、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクチルオキシベンゾフェノンなどを挙げることができる。
ベンゾトリアゾール類としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN329)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール(BASF社製;商品名TINUVIN234)、2,2'-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-tert-オクチルフェノール]((株)ADEKA製;LA-31)、2-(5-オクチルチオ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-tert-ブチル-4-メチルフェノールなどを挙げることができる。
トリアジン類としては、2,4,6-トリス(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシ-3-メチルフェニル)-1,3,5-トリアジン((株)ADEKA製;LA-F70)や、その類縁体であるヒドロキシフェニルトリアジン系紫外線吸収剤(BASF社製;CGL777、TINUVIN460、TINUVIN479、TINUVIN1600など)、2,4-ジフェニル-6-(2-ヒドロキシ-4-ヘキシルオキシフェニル)-1,3,5-トリアジン(ケミプロ化成(株)製:KEMISORB102)などを挙げることができる。
ベンゾエート類としては、フェニルサリチレート、レゾルシノールモノベンゾエート、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル-3’,5’-ジ-tert-ブチル-4’-ヒドロキシベンゾエート、ヘキサデシル-3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゾエートなどを挙げることができる。
サリシレート類としては、フェニルサリシレート、4-tert-ブチルフェニルサリシレートなどが挙げられ、市販品としては、ケミプロ化成(株)製「ケミソーブ21」、「ケミソーブ22」、シプロ化成(株)製「シーソーブ201」、「シーソーブ202」などを挙げることができる。
シアノアクリレート類としては、エチルヘキシルシアノジフェニルアクリレート、エチルシアノジフェニルアクリレート、メチルシアノメチル(p-メトキシフェニル)アクリレートなどを挙げることができる。
蓚酸アニリド類としては、2-エチル-2’-エトキシ-オキザリニン、N-(2-エチルフェニル)-N'-(2-エトキシ-5-t-ブチルフェニル)シュウ酸ジアミドなどを挙げることができる。
マロン酸エステル類としては、クラリアントケミカルズ社製「HOSTAVIN PR-25」、「HOSTAVIN B-CAP」などを挙げることができる。
ホルムアミジン類としては、N,N’-ジフェニル-N’-(4-エトキシカルボニルフェニル)ホルムアミジン、N’-(4-エトキシカルボニルフェニル)-N-メチル-N-フェニルホルムアミジン、N,N’-ビス(4-エトキシカルボニルフェニル)-N-メチルホルムアミジン、N’-(4-エトキシカルボニルフェニル)-N-(2’-メトキシフェニル)-N-メチルホルムアミジン、N-(4-n-ブトキシカルボニルフェニル)-N’-(4’-エチルカルボニル)-N-メチルホルムアミジンなどを挙げることができる。
これらの中でも紫外線吸収剤は、黄変などの紫外線による樹脂劣化を抑制する観点から、ベンゾトリアゾール類、トリアジン類が好ましく、ベンゾトリアゾール類がより好ましい。
紫外線吸収剤の含有量は、熱可塑性樹脂組成物の総量に対し、好ましくは0.2~10質量%であり、より好ましくは0.3~5質量%である。上記範囲で紫外線吸収剤を含むと、薄肉成形体において、波長380nmの光透過率を5%以下に調整しやすい。
本発明において、酸素吸収剤は下記一般式(I)で表される化合物及び/又は下記一般式(II)で表される化合物である。
Figure 0007341827000003
Figure 0007341827000004
一般式(I)中、X1はそれぞれ独立してカルコゲン原子を表し、R、R、R及びRはそれぞれ独立して水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基のいずれかを表し、Rは炭素数3~15の脂肪族炭化水素からなる官能基を表し、前記官能基は任意の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよく、水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基、及び炭素数2~5のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つを置換基として有していてもよい。
一般式(I)において、カルコゲン原子としては、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、酸素吸収剤の取り扱いの観点から酸素原子であることが好ましい。
一般式(I)において、R、R、R及びRにおける炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(I)において、R、R、R及びRにおける炭素数2~6のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、イソ-3-ヘキセニル基及びシクロヘキセニル基等が挙げられる。
一般式(I)において、R、R、R及びRにおけるアリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等が挙げられる。
一般式(I)において、R、R、R及びRにおけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2-フェニルエチル基、2-ナフチルエチル基及びジフェニルメチル基等が挙げられる。
これらの中でも、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数2又は3のアルケニル基、及びアリール基からなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましい。
は炭素数3~15の脂肪族炭化水素からなる官能基を表し、前記官能基は任意の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよく、水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基、及び炭素数2~5のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つを置換基として有していてもよい官能基である。
前記炭素数3~15の脂肪族炭化水素からなる官能基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、などが挙げられる。
前記炭素数2~5のアルケニルオキシ基としては、例えば、ビニルオキシ基、アリルオキシ基、プロペニルオキシ基、イソプロペニルオキシ基、ブテニルオキシ基、イソブテニルオキシ基、ペンテニルオキシ基などが挙げられる。
一般式(II)中、X及びXはそれぞれ独立してカルコゲン原子を表し、R、R、R12及びR13はそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~6のアルケニル基、アリール基、及びアラルキル基からなる群より選ばれるいずれかを表し、R、R、R10、及びR11はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Yは水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、炭素数3~15の脂肪族炭化水素からなる連結基を表し、当該置換基の少なくとも1つは(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれるいずれかであり、当該連結基は任意の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよい。
一般式(II)において、カルコゲン原子としては、酸素原子、硫黄原子が挙げられ、酸素吸収剤の取り扱いの観点から酸素原子であることが好ましい。
一般式(II)において、炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(II)において、炭素数2~6のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘプテニル基、ヘキセニル基、イソ-3-ヘキセニル基及びシクロヘキセニル基等が挙げられる。
一般式(II)において、アリール基としては、例えば、フェニル基、トリル基、キシリル基及びナフチル基等が挙げられる。
一般式(II)において、アラルキル基としては、例えば、ベンジル基、2-フェニルエチル基、2-ナフチルエチル基及びジフェニルメチル基等が挙げられる。
これらの中でも、酸素吸収性向上の観点からR、R、R12及びR13は炭素数1~6のアルキル基が好ましく、炭素数1~3のアルキル基がより好ましく、メチル基であることが好ましい。
これらの中でも、酸素吸収性向上の観点からR、R、R10、及びR11は水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子であることが好ましい。
一般式(II)において、Yは水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、炭素数3~15の脂肪族炭化水素からなる連結基を表す。ただし、当該置換基の少なくとも1つは(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれるいずれかである。すなわち、Yが表す連結基が1つの置換基で置換されている場合、当該置換基は(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれるいずれかであり、Yが表す連結基が2つ以上の置換基で置換されている場合、当該置換基のうちの少なくとも1つが(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれるいずれかであればよく、残りの置換基は水酸基であってもよい。なお、上記連結基は任意の炭素原子が酸素原子に置換されていてもよい。
前記連結基としては、取り扱いの容易性の観点から、上記置換基で置換された、炭素数3~10の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、上記置換基で置換された、炭素数3~5の脂肪族炭化水素基であることがより好ましい。なお、当該炭素数は上記置換基の炭素数を除外した値であり、前記連結基において任意の炭素原子が酸素原子に置換されている場合には当該置換前の炭素数を意味する。
上記のとおり、Yが表す連結基は、水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換されている。炭素数2~6のアルケニルオキシ基は、炭素数2~6のビニルオキシ基であってもよい。Yが表す連結基が有する上記置換基の数に特に制限はなく、例えば、1~6個とすることができ、1~4個であることが好ましく、1~3個であることがより好ましく、1または2個であることがさらに好ましく、1個であることが特に好ましい。
前記連結基が有する置換基としては、酸素吸収性を向上させる観点などから、水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基が好ましく、(メタ)アクリロイルオキシ基がより好ましい。なお、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルとメタクリロイルのどちらでもよいことを意味する。
Yが表す連結基のうち前記置換基を除外した部分の構造の具体例としては、例えば、下記一般式(Y-1)で表されるいずれかの構造などが挙げられ、原料の入手容易性や得られる重合体の酸素吸収性能を向上させる観点などから、下記一般式(Y-2)で表される構造が好ましい。なお、一般式(Y-1)および(Y-2)中の「*」は、X、Xまたは上記置換基との結合点を示す。
Figure 0007341827000005
Figure 0007341827000006

一般式(II)で表される化合物の具体例としては、例えば、下記化合物等が挙げられ、酸素吸収性能の観点などから、一般式(II)で表される化合物は、下記化合物(III)、化合物(IV)又は化合物(V)であることが好ましい。
Figure 0007341827000007
Figure 0007341827000008
Figure 0007341827000009

Figure 0007341827000010
本願における酸素吸収剤の製造方法に特に制限はなく、公知の方法を単独で、又は適宜組み合わせて応用することにより製造することができる。例えば、水酸化カリウム等のアルカリ存在下、対応するアルコールである3-メチル-2-ブテン-1-オールに対してエピクロロヒドリン等の連結基を形成可能な化合物を反応させることにより製造することができる。反応条件としては、十分に反応させる観点から、25~90℃程度の温度で2~10時間程度撹拌することが好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、熱劣化防止剤、光安定剤、滑剤、離型剤、高分子加工助剤、有機色素、蛍光体、帯電防止剤、難燃剤、染顔料、光拡散剤、艶消し剤、耐衝撃性改質剤などの他の添加剤を含有していてもよい。
熱劣化防止剤としては、高熱にさらされたときに生じるポリマーラジカルを捕捉することによって樹脂の熱劣化を防止できるものである。
該熱劣化防止剤としては、2-t-ブチル-6-(3’-tert-ブチル-5’-メチル-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニルアクリレート(住友化学(株)製、スミライザーGM)、2,4-ジt-アミル-6-(3’,5’-ジ-tert-アミル-2’-ヒドロキシ-α-メチルベンジル)フェニルアクリレート(住友化学(株)製、スミライザーGS)などが好ましい。
光安定剤は、主に光による酸化で生成するラジカルを捕捉する機能を有すると言われる化合物である。好適な光安定剤としては、2,2,6,6-テトラアルキルピペリジン骨格を持つ化合物などのヒンダードアミン類を挙げることができる。
滑剤としては、例えば、ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアロアミド酸、メチレンビスステアロアミド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、パラフィンワックス、ケトンワックス、オクチルアルコール、硬化油などを挙げることができる。
離型剤としては、成形用金型からの離型を容易にする機能を有する化合物である。離型剤としては、セチルアルコール、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類;ステアリン酸モノグリセライド、ステアリン酸ジグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステルなどを挙げることができる。本発明においては、離型剤として、高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用することが好ましい。高級アルコール類とグリセリン脂肪酸モノエステルとを併用する場合、高級アルコール類/グリセリン脂肪酸モノエステルの質量比が、2.5/1~3.5/1の範囲で使用するのが好ましく、2.8/1~3.2/1の範囲で使用するのがより好ましい。
高分子加工助剤としては、通常、乳化重合法によって製造することができる、0.05~0.5μmの粒子径を有する重合体粒子である。該重合体粒子は、単一組成比及び単一極限粘度の重合体からなる単層粒子であってもよいし、また組成比又は極限粘度の異なる2種以上の重合体からなる多層粒子であってもよい。この中でも、内層に低い極限粘度を有する重合体層を有し、外層に5dl/g以上の高い極限粘度を有する重合体層を有する2層構造の粒子が好ましいものとして挙げられる。高分子加工助剤としては、極限粘度が3~6dl/gであることが好ましい。
有機色素としては、樹脂に対しては有害とされている紫外線を可視光線に変換する機能を有する化合物が好ましく用いられる。
光拡散剤や艶消し剤としては、ガラス微粒子、ポリシロキサン系架橋微粒子、架橋ポリマー微粒子、タルク、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどを挙げることができる。
蛍光体として、蛍光顔料、蛍光染料、蛍光白色染料、蛍光増白剤、蛍光漂白剤などを挙げることができる。
これらの添加剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの添加剤は、熱可塑性樹脂を製造する際の重合反応液に添加してもよいし、製造された熱可塑性樹脂に添加してもよいし、熱可塑性樹脂組成物を調製する際に添加してもよい。本発明の熱可塑性樹脂組成物に含有される他の添加剤の合計量は、熱可塑性樹脂に対して、好ましくは7質量%以下であり、より好ましくは5質量%以下であり、さらに好ましくは4質量%以下である。
[組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。例えば、熱可塑性樹脂、紫外線吸収剤および酸素吸収剤を溶融混練する方法などを挙げることができる。溶融混練の際に、必要に応じて他の重合体や添加剤を混合してもよいし、熱可塑性樹脂を他の重合体および添加剤と混合した後に紫外線吸収剤および酸素吸収剤と混合してもよいし、紫外線吸収剤を他の重合体および添加剤と混合した後に熱可塑性樹脂および酸素吸収剤と混合してもよいし、酸素吸収剤を他の重合体および添加剤と混合した後に熱可塑性樹脂および紫外線吸収剤と混合してもよいし、その他の方法でもよい。混練は、例えば、ニーダールーダー、一軸または二軸押出機、ミキシングロール、バンバリーミキサーなどの公知の混合装置または混練装置を使用して行うことができる。これらのうち、二軸押出機が好ましい。混合・混練時の温度は、使用する熱可塑性樹脂および酸素吸収剤の溶融温度などに応じて適宜調節することができるが、好ましくは110℃~300℃である。
[成形体]
本発明の成形体は、前記熱可塑性樹脂組成物からなる成形体である。前記熱可塑性樹脂組成物を用いることにより耐候性に優れた成形体が得られる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は公知の成形方法によってフィルム等の成形体とすることができる。成形方法としては、例えば、Tダイ法(ラミネート法、共押出法など)、インフレーション法(共押出法など)、圧縮成形法、ブロー成形法、カレンダー成形法、真空成形法、射出成形法(インサート法、二色法、プレス法、コアバック法、サンドイッチ法など)などの溶融成形法ならびに溶液キャスト法などを挙げることができる。
さらに、本発明の成形体は、全光線透過率が90%以上であることにより、各種カバー、各種端子板、プリント配線板、スピーカー、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、また、映像・光記録・光通信・情報機器関連部品としてカメラ、VTR、プロジェクションTV等のファインダー、フィルター、プリズム、フレネルレンズ、各種光ディスク(VD、CD、DVD、MD、LD等)基板の保護フィルム、光スイッチ、光コネクター、液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイ用導光フィルム・シート、フラットパネルディスプレイ、フラットパネルディスプレイ用導光フィルム・シート、プラズマディスプレイ、プラズマディスプレイ用導光フィルム・シート、電子ペーパー用導光フィルム・シート、位相差フィルム・シート、偏光フィルム・シート、偏光板保護フィルム・シート、偏光子保護フィルム・シート、波長板、光拡散フィルム・シート、プリズムフィルム・シート、反射フィルム・シート、反射防止フィルム・シート、視野角拡大フィルム・シート、防眩フィルム・シート、輝度向上フィルム・シート、液晶やエレクトロルミネッセンス用途の表示素子基板、タッチパネル、タッチパネル用導光フィルム・シート、各種前面板と各種モジュール間のスペーサーなど、各種の光学用途へ適用可能である。
[積層体]
本発明の積層体は前記成形体を積層することにより得られる。
[用途]
本発明の積層体は、耐候性に優れる点から、例えば、建築用内・外装用部材、カーテンウォール、屋根用部材、屋根材、窓用部材、雨どい、エクステリア類、壁材、床材、造作材、道路建設用部材、照明カバー、看板、透光性遮音壁など、公知の建材用途へ特に好適に適用可能である。
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において採用された、UV透過率、ヘイズ及び黄色度(YI)の各評価方法を以下に示す。
<UV透過率>
後述する実施例1~3及び比較例1,2で得たフィルム状成形体を裁断し、50mm×50mmの試験片を得た。スーパーUV試験機(岩崎電気社製:SUV-w161)を用いて、試験片に、ブラックパネル温度60℃、相対湿度50%、照射エネルギー100mW/cmの条件で、紫外線を300時間又は377時間照射した。その後、試験片を試験機から取出し、分光光度計(島津製作所社製UV3600)を用いて波長315nmの透過率を測定した。紫外光である波長315nmの透過率が低いほど、該フィルム状成形体を基材上に積層した際、屋外の紫外光による基材の劣化を抑制することができるため、耐候性が良好であるといえる。本発明の熱可塑性樹脂組成物及びその熱可塑性樹脂組成物からなる成形体は、長期耐候性を得る観点から、UV透過率は40%未満が好ましく、30%未満がより好ましく、21%未満が更に好ましい。
<ヘイズ>
後述する実施例1~3及び比較例1,2で得た熱可塑性樹脂組成物を熱プレスして、100μm厚の成形体を形成し、そのヘイズをJIS K7361-1に準じて、ヘーズメータ(村上色彩研究所製、HM-150)を用いて測定した。紫外線照射前後のヘイズの差が-0.2~0.2以内であれば、実質的にヘイズの変化は無いといえる。
<黄色度(YI>
後述する実施例1~3及び比較例1,2で得た熱可塑性樹脂組成物を熱プレスして、100μm厚の成形体を形成し、紫外線照射前後の黄色度(YI値)をJIS K7373に準じて、分光光度計(島津製作所社製UV3600)を用いて測定した。紫外線照射前後の黄色度(YI値)の差が-0.3~0.3以内であれば、実質的に黄変していないといえる。
本発明の製造例で使用した薬剤を以下に示す。
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(試薬特級)(花王(株)製)
・メタクリル酸アリル(試薬特級)(富士フイルム和光純薬(株)製)
・n-オクチルメルカプタン(試薬特級)(富士フイルム和光純薬(株)製)
・3-メチル-2-ブテン-1-オール((株)クラレ製)
・水酸化カリウム(関東電化工業(株)製)
・エピクロロヒドリン(富士フイルム和光純薬(株)製)
・アセトニトリル(関東化学(株)製)
・トルエン(関東化学(株)製)
・トリエチルアミン(富士フイルム和光純薬(株)製)
・メタクリル酸クロリド(富士フイルム和光純薬(株)製)
・p-ジメチルアミノピリジン(富士フイルム和光純薬(株)製)
・アゾビスイソブチロニトリル(富士フイルム和光純薬(株)製)
[製造例1](熱可塑性樹脂;アクリル系多層構造重合体(A-1))
撹拌機、温度計、窒素ガス導入部、単量体導入管及び還流冷却器を備えた反応器内に、脱イオン水1050質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1質量部及び炭酸ナトリウム0.05質量部を仕込み、容器内を窒素ガスで十分に置換して実質的に酸素がない状態にした後、内温を80℃に設定した。そこに、過硫酸カリウム0.01質量部を投入し、5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル49.9質量%、アクリル酸n-ブチル49.9質量%及びメタクリル酸アリル0.2質量%からなる単量体混合物26.3質量部を20分かけて連続的に滴下供給し、滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次いで、同反応器内に、過硫酸カリウム3%水溶液を0.05質量部投入して5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル5.00質量%、アクリル酸n-ブチル93.53質量%及びメタクリル酸アリル1.47質量%からなる単量体混合物157.4質量部を40分間かけて連続的に滴下供給した。滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに30分間重合反応を行った。
次に、同反応器内に、過硫酸カリウム3%水溶液を0.5質量部投入して5分間撹拌した後、メタクリル酸メチル87.34質量%、アクリル酸n-ブチル12.48質量%およびn-オクチルメルカプタン(連鎖移動剤)0.18質量%を含む単量体混合物341質量部を100分間かけて連続的に滴下供給し、滴下終了後、重合転化率が98%以上になるようにさらに60分間重合反応を行って、平均粒子径が0.09μmであるアクリル系多層構造重合体(A-1)を含むエマルジョンを得た。
続いて、アクリル系多層構造重合体(A-1)を含むエマルジョンを-30℃で4時間かけて凍結させた。凍結したエマルジョンの2倍量の80℃温水に凍結エマルジョンを投入、溶解してスラリーとした後、20分間80℃に保持した後、脱水し、70℃で乾燥して熱可塑性樹脂としての粉末状のアクリル系多層構造重合体(A-1)を得た。
[製造例2](1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-ヒドロキシプロパン(C-1)の製造)
撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた反応器に、窒素気流下、3-メチル-2-ブテン-1-オール61.8g(0.717mol)、水酸化カリウム36.84g(0.657mol)を仕込んだ。内温を10℃以下に保持し、撹拌しながらエピクロロヒドリン19.34g(0.209mol)を滴下し、滴下終了後50℃に昇温した。内温50℃で6時間撹拌し、その後25℃まで冷却した。反応液を4M塩酸水溶液で中和し、上層をイオン交換水310mLで洗浄した。得られた有機層を蒸留により精製し、下記の式(C-1)で表される1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-ヒドロキシプロパン28.77g(0.126mol;収率60.3%)を得た。
Figure 0007341827000011
[製造例3](1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-メタクリロイルオキシプロパン(C-2)の製造)
撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた反応器に、窒素気流下、アセトニトリル16.1g、1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-ヒドロキシプロパン(C-1)11.43g(0.050mol)、トリエチルアミン8.41g(0.083mol)を仕込んだ。内温を15℃以下に保持し、撹拌しながらメタクリル酸クロリド6.30g(0.060mol,重合禁止剤としてp-メトキシフェノール2200ppmを含有)を滴下し、滴下終了後25℃に昇温した。内温25℃で1.5時間撹拌した。反応液にイオン交換水7.07g、p-ジメチルアミノピリジン61mgを加え、25℃で2時間撹拌し、副生物の無水メタクリル酸が分解したことを確認したのち、酢酸エチルで三回抽出した。有機層を2質量%塩酸水溶液、3質量%炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。得られた有機層を蒸留により精製し、下記の式(C-2)で表される1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-メタクリロイルオキシプロパン7.70g(0.026mol;収率52%)を得た。
Figure 0007341827000012
[製造例3](ポリ[1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-メタクリロイルオキシプロパン](C-3)の製造)
撹拌機、温度計、滴下ロートを備えた反応器に、窒素気流下、1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-メタクリロイルオキシプロパン(C-2)80g(0.27mol)、トルエン80g、アゾビスイソブチロニトリル8mg(0.049mmol)、n-オクチルメルカプタン4g(0.027mol)を仕込んだ。内温を90℃以下に保持し、5時間撹拌を行った。エバポレーションにより低沸分を留去後、メタノール300mLを加え、ドライアイス/アセトンバスに反応器を浸して再沈殿を行った。上澄みをデカンテーションにより除去後、真空乾燥により溶媒を除去し、下記の式(C-3)で表されるポリ[1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-メタクリロイルオキシプロパン]21g(収率26%)を得た。
Figure 0007341827000013
本発明において使用した紫外線吸収剤を以下に記載した。
・紫外線吸収剤(B-1)
2,2’-メチレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-t-オク
チルフェノール]((株)ADEKA製、LA-31))
[実施例1]
製造例1のアクリル系多層構造重合体(A-1)100質量部に紫外線吸収剤(B-1)を1質量部と、酸素吸収剤(C-1)の化合物を0.37質量部とを混ぜ合わせ、ラボプラストミルにて230℃で溶融混錬し、熱可塑性樹脂組成物を製造した。熱可塑性樹脂組成物を熱プレス成形して50mm×50mm×0.100mmのフィルム状成形体を作製し、UV透過率、ヘイズおよび黄色度を測定した。続いて、作製したフィルム状成形体に紫外光を300時間測定した後、UV透過量、ヘイズおよび黄色度を測定した。評価結果を表1に示す。
[実施例2]
(C-1)を(C-2)に変更した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し評価を行った。
[実施例3]
(C-1)を(C-3)に変更し、UV照射時間を300時間から377時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し評価を行った。
[比較例1]
(C-1)を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し評価を行った。
[比較例2]
(C-1)を添加しなかったこととUV照射時間を300時間から377時間に変更した以外は、実施例1と同様の方法でサンプルを作製し評価を行った。
Figure 0007341827000014
表1から、酸素吸収剤を含む本発明の熱可塑性樹脂組成物は、紫外線照射した後であっても、ヘイズや黄色度を大きく損なうことなく紫外線の透過が低く抑えられ、一方、酸素吸収剤を含まない熱可塑性樹脂組成物は紫外線の透過率が高い。これらの結果から、熱可塑性樹脂組成物中の酸素吸収剤の作用により紫外線吸収剤の分解が抑制されることが分かる。それゆえ、本発明により長期耐候性に優れた熱可塑性樹脂組成物、その成形体及び積層体を提供することが可能である。

Claims (9)

  1. 熱可塑性樹脂を75~99.8質量%、紫外線吸収剤を0.1~15質量%、及び酸素吸収剤を0.1~10質量%を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、酸素吸収剤が下記一般式(II)で表される化合物である、熱可塑性樹脂組成物
    Figure 0007341827000015

    一般式(II)中、X及びXはそれぞれ独立して酸素原子を表し、R、R、R12及びR13はそれぞれ独立して炭素数1~6のアルキル基を表し、R、R、R10、及びR11はそれぞれ独立して水素原子又は炭素数1~6のアルキル基を表し、Yは水酸基、(メタ)アクリロイルオキシ基、4-ビニルフェノキシ基および炭素数2~6のアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、炭素数3~の脂肪族炭化水素からなる連結基を表す。
  2. 前記一般式(II)において、Yが表す連結基が有する置換基の数が1個である、請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 前記一般式(II)において、R、R、R10及びR11水素原子である、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記酸素吸収剤が、1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-ヒドロキシプロパン、1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-メタクリロイルオキシプロパン又はポリ[1,3-ビス(3-メチル-2-ブテノキシ)-2-メタクリロイルオキシプロパン]である、請求項1~3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  5. 前記紫外線吸収剤が、ベンゾトリアゾール骨格及び/又はトリアジン骨格を有する化合物である、請求項1~4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. 請求項1~5に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形体。
  7. 全光線透過率が90%以上のフィルムである請求項6に記載の成形体。
  8. 請求項6又は7に記載の成形体を含む積層体。
  9. 請求項8に記載の積層体の建材用途への使用。
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