JP7341820B2 - ニッケル微粒子の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ニッケル微粒子の製造方法に関する。
積層セラミックコンデンサ(Multilayer Ceramic Capacitors:MLCC)が知られている。MLCCの内部電極には、金属微粒子が用いられる。MLCC用の金属微粒子として、平均粒子径が1.0μm以下であり、形状がほぼ球形である金属粉が知られている。
近年、MLCCにはさらなる小型化及び大容量化が求められている。MLCCの小型化及び大容量化を実現するための一つの手段として、金属微粒子の平均粒子径が例えば、0.2μm以下であるようなさらに微細な金属微粒子が求められている。
微細な金属微粒子の製造方法として、例えば、特許文献1、2に記載の方法が知られている。
特許文献1には、バーナを用いて炉内に高温還元雰囲気を形成し金属化合物から金属を得る方法において、酸素もしくは酸素富化空気を用いて燃料を部分燃焼させることで炉内に高温還元雰囲気を形成し、バーナの酸素比を調製すると共に前記バーナにより生成した高温還元気流中に粉体状の金属化合物を噴出させて該金属化合物を加熱・還元することにより、粒径を制御した球状の金属超微粉を生成させることを特徴とする金属超微粉の製造方法が記載されている。
特許文献2には、バーナにより炉内に形成された還元性火炎中に原料となる金属粉を吹き込み、火炎中で金属粉を溶融し蒸発状態とし、球状の金属超微粉を得ることを特徴とする金属超微粉の製造方法が記載されている。
特許第4304212号公報 特許第4304221号公報
しかし、特許文献1、2に記載の製造方法によってニッケル微粒子を製造する場合にあっては、非常に微量ではあるが、粉末が粗大粒子を含有することがある。小型化及び大容量化が求められるMLCCにあっては、内部電極に混入した粗大粒子がセラミック層を突き抜けてしまうことがある。そのため、粗大粒子が電極同士の短絡の原因となり、不良品が発生するおそれがあるという問題があった。
一方、電極等の製造に際しては、ニッケル微粒子が分散したペーストを使用する。ニッケル微粒子のペーストの製造の際には、媒体にニッケル微粒子を分散させるために、ニッケル微粒子に充分な分散性が求められる。ニッケル微粒子の分散性が不充分であるとペーストの製造が困難となるからである。
加えて、ニッケル微粒子が分散したペーストには、焼結の際にクラック等の焼結不良が少ないこと、すなわち優れた焼結性が求められる。
本発明は、粗大粒子が少なく、積層セラミックコンデンサの小型化及び大容量化に適し、ペーストを製造する際の分散性に優れ、ペーストとした際の焼結性に優れるニッケル微粒子の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は下記[1]~[12]に関する。
[1] 還元性火炎中でニッケル又はニッケル化合物を加熱することでニッケル微粒子を生成し、前記ニッケル微粒子を含む粉体を液状媒体に分散剤の存在下で分散させて分散液を調製し、前記分散液を濾過することで前記分散液から前記粉体中の粗大粒子を除去し、次いで、前記分散液から前記液状媒体及び前記分散剤を除去する、ニッケル微粒子の製造方法。
[2] 前記分散剤が、ポリオキシアルキレン鎖とカルボキシル基とアミノ基とを有する、[1]のニッケル微粒子の製造方法。
[3] 有機酸による酸処理を施すことで前記分散剤を除去する、[1]又は[2]のニッケル微粒子の製造方法。
[4] 前記有機酸がクエン酸、酢酸、酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上である、[3]のニッケル微粒子の製造方法。
[5] 前記酸処理の処理時間が1~6時間である、[3]又は[4]のニッケル微粒子の製造方法。
[6] 前記酸処理を施した後、前記ニッケル微粒子にアルカリ処理を施す、[3]~[5]のいずれかのニッケル微粒子の製造方法。
[7] 前記アルカリ処理の処理時間が1~6時間である、[6]のニッケル微粒子の製造方法。
[8] 200℃以下の酸素含有雰囲気下で熱処理を行うことで前記分散剤を除去する、[1]~[7]のいずれかのニッケル微粒子の製造方法。
[9] 前記酸素含有雰囲気の酸素の含有量が0.1~50%である、[8]のニッケル微粒子の製造方法。
[10] 前記熱処理の処理温度が170~200℃である、[8]又は[9]のニッケル微粒子の製造方法。
[11] 前記熱処理の処理時間が10~60分である、[8]~[10]のいずれかのニッケル微粒子の製造方法。
[12] 得られるニッケル微粒子の炭素濃度が0.1質量%以下であり、酸素濃度が2質量%以下であり、ニッケル微粒子の粉体中に粗大粒子がない、[1]~[11]のいずれかの製造方法。
本発明によれば、粗大粒子が少なく、積層セラミックコンデンサの小型化及び大容量化に適し、ペーストを製造する際の分散性に優れ、ペーストとした際の焼結性に優れるニッケル微粒子の製造方法が提供される。
一実施形態のニッケル微粒子の製造方法に用いる製造装置の構成を示す模式図である。 図1の製造装置が備える燃焼バーナのII―II断面図である。 図2に示す燃焼バーナのIII―III断面図である。 実施例1で得られたニッケル微粒子のSEM像である。 比較例1で得られたニッケル微粒子のSEM像である。
本明細書における下記の用語の意味は、以下の記載の通りである。
「ニッケル微粒子」とは、平均粒子径が300nm未満である、ニッケルの粒子をいう。
「粗大粒子」とは、長軸方向の長さが400nm以上である、ニッケルの粒子をいう。
「酸素比」とは、燃料が完全燃焼するために必要な酸素の量を1と定義したときの値のことをいう。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
以下、本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法においては、還元性火炎中でニッケル又はニッケル化合物を加熱することでニッケル微粒子を生成する。
次いで、前記ニッケル微粒子を含む粉体を液状媒体に分散剤の存在下で分散させて分散液を調製し、前記分散液を濾過することで前記分散液から前記粉体中の粗大粒子を除去する。
次いで、前記分散液から前記液状媒体及び前記分散剤を除去する。
本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法は、下記の第1の工程と第2の工程と第3の工程とを有するとも言える。
第1の工程:還元性火炎中でニッケル又はニッケル化合物を加熱することでニッケル微粒子を生成する工程。
第2の工程:前記ニッケル微粒子を含む粉体を液状媒体に分散剤の存在下で分散させて分散液を調製し、前記分散液を濾過することで前記分散液から前記粉体中の粗大粒子を除去する工程。
第3の工程:次いで、前記分散液から前記液状媒体及び前記分散剤を除去する工程。
(第1の工程)
第1の工程では、還元性火炎中でニッケル又はニッケル化合物を加熱することでニッケル微粒子を生成し、ニッケル微粒子を含む粉体を回収する。ニッケル微粒子の生成に際しては、ニッケル又はニッケル化合物を加熱して蒸発させ、還元し、所望の平均粒子径のニッケル微粒子を得ることができる。
図1は、本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法に用いる製造装置の構成を示す模式図である。図1に示す製造装置10は、可燃性ガス供給部11と原料フィーダー12とニッケル化合物供給部13と支燃性ガス供給部14と燃焼バーナ15と水冷炉16と不活性ガス供給源17と複数の不活性ガス供給部18と冷却ガス供給部19とバグフィルター20とブロワー21を備える。
可燃性ガス供給部11は、原料フィーダー12と接続されている。可燃性ガス供給部11から供給された可燃性ガスは、原料フィーダー12から供給される原料粉体とともに、燃焼バーナ15に供給される。可燃性ガスは、原料粉体を輸送するキャリアガスとしても機能する。
可燃性ガスとしては、例えば、天然ガス、プロパンガス等を用いることができる。可燃性ガス中の炭素量は、所望するニッケル微粒子の表面の炭素濃度を考慮して適宜調整してもよい。
原料フィーダー12は、可燃性ガス供給部11及び燃焼バーナ15と接続されている。原料フィーダー12は、燃焼バーナ15に原料粉体を供給する。
原料粉体は、ニッケル又はニッケル化合物の粒子を含む態様であれば特に限定されない。例えば、ニッケル単体の金属粒子;ニッケル酸化物、ニッケル水酸化物等のニッケル化合物の金属粒子を用いることができる。また、原料粉体のニッケル純度は、所望するニッケル微粒子が得られる程度に充分に高いことが好ましい。
ニッケル化合物供給部13は、燃焼バーナ15と接続されている。ニッケル化合物供給部13は、燃焼バーナ15にニッケル化合物を供給する。ニッケル化合物は、ニッケル塩でもよく、ニッケル酸化物でもよい。酸化ニッケル以外のニッケル化合物であっても、例えば、硝酸ニッケル等、水酸化ニッケル等のように加熱することで酸化ニッケルが生成しうるニッケル化合物であれば、ニッケル化合物は特に限定されない。
原料粉体は、ニッケルの粒子又はニッケル化合物のいずれかの粒子を単独で用いてもよく、これらの粒子を併用してもよい。
支燃性ガス供給部14は、燃焼バーナ15と接続されている。支燃性ガス供給部14は、酸素等の支燃性ガスを燃焼バーナ15に供給する。
燃焼バーナ15は、還元性火炎を形成する。図2は、図1に示す製造装置10が備える燃焼バーナ15のII―II断面図である。図3は、図2に示す燃焼バーナ15のIII―III断面図である。
図2に示すように、燃焼バーナ15は、原料粉体及び可燃性ガスを供給する原料供給管31と、支燃性ガスを供給する一次支燃性ガス供給管32と、支燃性ガスを供給する二次支燃性ガス供給管33と、燃焼バーナ15を冷却する冷却管34を有する。原料供給管31の先端には噴出口31aが形成され、一次支燃性ガス供給管32の先端には噴出口32aが形成され、二次支燃性ガス供給管33の先端には噴出口33aが形成されている。
一次支燃性ガス供給管32及び二次支燃性ガス供給管33は、原料供給管31の中心軸と平行な方向に延在する。一次支燃性ガス供給管32は、原料供給管31の外側に配置され、二次支燃性ガス供給管33は、一次支燃性ガス供給管32の外側に配置されている。
二次支燃性ガス供給管33は、原料供給管31の中心軸の延長線上の一点に向かって支燃性ガスを噴出するように構成されている。
冷却管34は二次支燃性ガス供給管33の外側に配置されている。冷却管34内には冷却媒体を流すことができる。冷却管34は燃焼バーナ15の先端に向かって冷却媒体を流し、燃焼バーナ15の先端で冷却媒体が折り返すことができる構造である。これにより、燃焼バーナ15の先端が過度に高温となることを防止できる。
燃焼バーナ15の構成は、図2に示す一例に限定されない。燃焼バーナの噴出孔の位置、角度、数等は、所望のニッケル微粒子の性状に応じて適宜変更できる。
図1に示すように燃焼バーナ15は、水冷炉16の頂部(上端)に配置されている。燃焼バーナ15の先端は、水冷炉16の上端に収容されている。これにより、燃焼バーナ15は、水冷炉16内の上部に還元性火炎を形成する。
そして、水冷炉16の内部で燃焼バーナ15によって還元性火炎を形成し、ニッケル化合物を加熱して蒸発させ、還元する。これによりニッケル微粒子を生成させることができる。
水冷炉16は、円筒状であり、鉛直方向に延在している。水冷炉16内は、外気とは遮断されている。水冷炉16の頂部(上端)には、燃焼バーナ15の先端が下向きとなるように、燃焼バーナ15が取り付けられている。
水冷炉16内の加熱は、原料粉体を投入する燃焼バーナ15の還元性火炎のみで行ってもよく、水冷炉16は燃焼バーナ15の還元性火炎以外に他の加熱機構をさらに備えてもよい。また、水冷炉16は、炉内の温度調整、炉壁への付着防止等の目的で、加熱に直接関わらない流体を供給する機能を備えてもよい。
水冷炉16は水冷式の加熱炉であるが、他の実施形態において水冷炉16は、耐火物構造の炉と置き換えてもよい。
不活性ガス供給源17は、複数の不活性ガス供給部18と接続されている。複数の不活性ガス供給部18は、不活性ガス供給源17から不活性ガスを水冷炉16内に供給して不活性ガスを水冷炉16内に噴出させる。複数の不活性ガス供給部18から供給される不活性ガスの噴出により、水冷炉16内に不活性ガスによる旋回流れを発生させることができる。
不活性ガス供給部18は、例えば、ポートである。複数の不活性ガス供給部18は、水冷炉16の側壁に設けられている。また、複数の不活性ガス供給部18は、水冷炉16の側壁の周方向及び水冷炉16の延在方向(鉛直方向)に配置されている。
冷却ガス供給部19は、水冷炉16から搬送される粉体を冷却する。冷却に際しては窒素ガス、アルゴン等の不活性ガス;空気を用いることができる。
バグフィルター20は、粉体と燃焼排ガスを分離する。バグフィルター20は、下端に回収部20aを有する。回収部20aからニッケル微粒子を含む粉体を回収できる。
ブロワー21は、バグフィルター20内のガスを吸引し、該ガスを排ガスとして排出する。
第1の工程において製造装置10を使用すると、原料となるニッケル又はニッケル化合物はフィーダーから定量的に供給され、可燃性ガスにより水冷炉16内に搬送される。還元性火炎に投入されたニッケル等は加熱により蒸発し、還元されて原料の金属化合物よりも粒径の小さいニッケル微粒子となる。水冷炉16内には不活性ガス(窒素)により旋回流れが発生している。ニッケル粒子は、この旋回流れにより所望の粒径とされ、水冷炉16内からニッケル微粒子を含む粉体が搬送される。
本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法では、バーナに供給する可燃性ガス中の炭素量を調整することで、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度を制御できる。ニッケル微粒子の表面の炭素濃度を制御することで、ニッケル微粒子の焼結温度等の焼結性を調整できる。
ここで、燃焼バーナ15に供給する可燃性ガス中の炭素量を調整する際の「炭素量」とは、燃料に含まれる炭素元素濃度の割合である。この炭素量は、例えば、燃料がメタン+50%水素である場合には、メタン(CH):1.175m/h、水素(H):3.9m/hの混合ガスであり、このときの炭素量は、次式{(1.175×1)/(1.175×(1+4)+3.9×2)×100=8.6%}となる。
原料粉体を加熱する際の酸素比は、例えば、0.6~1.2の範囲とすることができる。これにより、還元性火炎を形成してもよい。酸素量としては、可燃性ガスを完全燃焼させる量よりも少なくする必要は必ずしもなく、酸素量が過剰な状態であってもよい。
搬送されたニッケル微粒子を含む粉体は、冷却ガス供給部19から供給された冷却ガスで冷却される。例えば、空気;窒素、アルゴン等の不活性ガス等で冷却してもよい。冷却ガス混入時の排ガス温度は例えば200~700℃である。そのため、冷却ガスによる冷却後、温度が100℃以下となるように冷却ガスを混入させるとよい。
このようにして、ニッケル微粒子を含む粉体は、燃焼排ガスとともに搬送されてバグフィルター20で捕集される。
(第2の工程)
次に、第1の工程で得られたニッケル微粒子を液状媒体に分散剤の存在下で分散させて分散液を調製する。
第1の工程で得られたニッケル微粒子は、粒子径が非常に微細であるため、凝集力が強く、分散液の調製の際に凝集粒子が生成しやすい。そのため、分散剤の存在下でニッケル微粒子を液状媒体に分散させることで、凝集粒子の生成を低減する。凝集粒子の生成を充分に低減することで、凝集粒子の除去によるニッケル微粒子の濾過によるロスが少なくなり、最終的に得られるニッケル微粒子の収率がよくなる。
分散液の調製に際しては、例えば、第1の工程で得られたニッケル微粒子と液状媒体とを分散剤の存在下で混合する。混合の具体的態様は特に限定されない。例えば超音波攪拌、自公転式ミキサー、ミル攪拌、スターラー攪拌等を用いることができる。
液状媒体は分散剤との組合せでニッケル微粒子が分散可能な化合物であれば特に限定されない。例えば、水等の水性媒体等が挙げられる。ただし、液状媒体の具体例はこれらの例示に限定されない。
分散剤としては、液状媒体との組合せでニッケル微粒子が液状媒体に分散可能となる化合物であれば特に限定されない。
例えば、主鎖にイオン性基を有し、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するグラフトポリマーが挙げられる。
イオン性基としては、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられる。分散剤は、主鎖にイオン性基としてカルボキシル基及びアミノ基の両方を有し、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するグラフトポリマーが好ましい。
主鎖にイオン性基を有し、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するグラフトポリマーは、合成したものでも市販品でもよい。グラフトポリマーの市販品の具体例としては、日油株式会社製のマリアリムシリーズが挙げられる。
第2の工程では、分散液を調製した後、当該分散液を濾過することで分散液から粉体中の粗大粒子を除去する。第1の工程で得られるニッケル微粒子を含む粉体は、粗大粒子を含有することがある。粗大粒子は、MLCCの電極同士の短絡の発生の原因となるおそれがあるため、第2の工程では粗大粒子を除去し、粗大粒子が除去されたニッケル微粒子分散液を得る。ニッケル微粒子分散液は主に、ニッケル微粒子と液状媒体と分散剤とを含む。ニッケル微粒子分散液においては、液状媒体にニッケル微粒子が分散している。
分散液を濾過する態様は特に限定されない。例えば、吸引ろ過、フィルタープレス、湿式分級等を用いることができる。ただし、分散液の濾過の具体的態様はこれらの例示に限定されない。
分散液を調製する際には、ニッケル微粒子の凝集粒子が生成する場合がある。粗大粒子の除去と同時にニッケル微粒子の凝集粒子を分散液から除去してもよい。湿式分級によれば、分散液中の粉体を粗大粒子、凝集粒子、ニッケル微粒子の各粒子径に応じてそれぞれ分別できる。
(第3の工程)
次に、第2の工程で得られたニッケル微粒子分散液から液状媒体及び分散剤を除去する。分散剤の除去により、ペーストを製造する際のニッケル微粒子の分散性がよくなり、ペーストの製造が可能となる。例えば、第2の工程における分散液の調製の際に用いた分散剤がニッケル微粒子の表面に残存したままであると、ペーストの製造時に使用するペースト製造用の分散剤がニッケル微粒子の表面に付着しにくい。そのため、ペーストを製造する際のニッケル微粒子の分散性が悪化し、ペーストの製造が困難となるおそれもある。
したがって第3の工程では、第2の工程における分散液の調製の際に用いた分散剤を除去し、ペーストを製造する際のニッケル微粒子の分散性を向上させる。
液状媒体は、例えば、ニッケル微粒子分散液を固液分離することで除去できる。これにより、粗大粒子と液状媒体と必要に応じて凝集粒子が除去されたニッケル微粒子が得られる。
固液分離の態様は特に限定されない。例えば遠心分離機、フィルタープレス等を用いることができる。ただし、固液分離の具体的態様はこれらの例示に限定されない。
分散剤の除去は、例えば、有機酸による酸処理をニッケル微粒子に施すことで行うことができる。一般にニッケル微粒子においては、焼結が進行してしまうことから、高温下における過度の熱処理を施すことができない。そのため、熱処理を施しても処理温度が相対的に低く、充分に分散剤を除去できない。
そこで、本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法においては、有機酸による酸処理をニッケル微粒子に施すことで分散剤の除去を促進できるという利点がある。
酸処理としては例えば、固液分離によって得られたニッケル微粒子と有機酸とを混合し、攪拌することで、有機酸による酸処理をニッケル微粒子に施すことができる。
有機酸としては、クエン酸、酢酸、酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上を用いることができる。ただし、有機酸の具体例はこれらの例示に限定されない。有機酸は一種を単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
攪拌方法としては、例えば超音波攪拌、攪拌翼による攪拌等を用いることができる。
酸処理の処理時間は酸成分の濃度により異なるが、1~6時間が好ましい。攪拌時間が1時間以上であると、分散剤の除去が充分となる傾向がある。攪拌時間が6時間以下であると、有機酸及びニッケル微粒子を含む混合液中において、ニッケル微粒子の錯体化に伴う分散剤の濃縮が起きにくく、分散剤をさらに充分に除去できる傾向がある。
有機酸による酸処理をニッケル微粒子に施す場合、例えば、有機酸及びニッケル微粒子を含む混合液を固液分離し、ニッケル微粒子を得る。酸処理後の固液分離の態様も特に限定されない。例えば遠心分離機、フィルタープレス等を用いることができる。ただし、酸処理後の固液分離の具体的態様はこれらの例示に限定されない。
有機酸による酸処理をニッケル微粒子に施す場合、酸処理後の固液分離によって得られたニッケル微粒子を洗浄する。例えば、ニッケル微粒子と純水とを混合及び攪拌し、ニッケル微粒子を洗浄する。
酸処理後のニッケル微粒子の洗浄方法としては、例えば超音波攪拌、攪拌翼による攪拌等を用いることができる。洗浄時間は例えば、5分とすることができる。洗浄回数は1~3回程度で充分である。
洗浄が終わった後、例えば、洗浄に用いた混合液を固液分離することで、ニッケル微粒子を得ることができる。洗浄後の固液分離の態様も特に限定されない。例えば遠心分離機、フィルタープレス等を用いることができる。ただし、洗浄後の固液分離の具体的態様はこれらの例示に限定されない。
有機酸による酸処理をニッケル微粒子に施す場合、分散剤の除去、微粒子の中和等を目的として酸処理後のニッケル微粒子にアルカリ処理を施すことが好ましい。これにより、ニッケル微粒子から分散剤をさらに除去でき、高品質なニッケル微粒子を製造できる。
例えば、酸処理後のニッケル微粒子とアンモニア水溶液等の塩基性化合物とを混合し、攪拌することで、アルカリ処理をニッケル微粒子に施すことができる。
塩基性化合物としては、アンモニア、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン等を用いることができる。ただし、塩基性化合物の具体例はこれらの例示に限定されない。
攪拌方法としては、例えば超音波攪拌、攪拌翼による攪拌等を用いることができる。
アルカリ処理の処理時間は、塩基性成分の濃度により異なるが、1~6時間が好ましい。攪拌時間が1時間以上であると、分散剤の除去が充分となる傾向がある。攪拌時間が6時間以下であると、ニッケル微粒子の錯体化に伴う分散剤の濃縮が起きにくく、分散剤をさらに充分に除去できる傾向がある。
塩基性化合物によるアルカリ処理をニッケル微粒子に施す場合、例えば、塩基性化合物及びニッケル微粒子を含む混合液を固液分離し、ニッケル微粒子を得る。アルカリ処理後の固液分離の態様も特に限定されない。例えば遠心分離機、フィルタープレス等を用いることができる。ただし、アルカリ処理後の固液分離の具体的態様はこれらの例示に限定されない。
酸処理後のニッケル微粒子にアルカリ処理を施す場合、アルカリ処理後の固液分離によって得られたニッケル微粒子を純水で洗浄する。
アルカリ処理後のニッケル微粒子の洗浄方法としては、例えば超音波攪拌、攪拌翼による攪拌等を用いることができる。例えば、洗浄時間は5分とすることができる。洗浄回数は1~3回程度で充分である。
洗浄が終わった後、例えば、洗浄に用いた混合液を固液分離することで、ニッケル微粒子を得ることができる。洗浄後の固液分離の態様も特に限定されない。例えば遠心分離機、フィルタープレス等を用いることができる。ただし、洗浄後の固液分離の具体的態様はこれらの例示に限定されない。
本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法においては、200℃以下の酸素含有雰囲気下で熱処理を行うことで分散剤を除去することが好ましい。200℃以下の酸素含有雰囲気下で熱処理を行うと、ニッケル微粒子の酸化を抑制しながら粉体として品質の高いニッケル微粒子を得やすくなる傾向がある。
例えば、前記酸処理を施した後のニッケル微粒子又は前記酸処理及び前記アルカリ処理の両方を施した後のニッケル微粒子に熱処理を施すことができる。
酸素含有雰囲気の酸素の含有量は、0.01~50%が好ましく、0.1~20%がより好ましい。酸素含有雰囲気の酸素の含有量が前記数値範囲内であると、分散剤の除去がさらに充分となる傾向がある。
熱処理に際しては、例えば、ヒーターを具備するバッチ式の加熱炉を使用できる。加熱炉にガスを流入させ、加熱炉内を酸素含有雰囲気とすることができる。加熱炉は、炉内の雰囲気を攪拌する機構を備えていてもよく、コンベア等の搬送機構を備えた連続式であってもよい。
加熱炉内の加熱に際しては、バーナ等の火炎を使用してもよく、加熱したガスを加熱炉内に流入させてもよい。バーナ等を用いる場合は、加熱炉の雰囲気を制御するという観点から間接加熱方式が好ましい。
熱処理の処理温度は、170~200℃が好ましい。熱処理の処理温度が170℃以上であると、熱処理による充分な分散剤の除去効果が得られる傾向がある。熱処理の処理温度が200℃以下であると、ニッケル微粒子の焼結の進行を防ぎながら、分散剤を除去できる。
熱処理の処理時間は、10~60分が好ましい。熱処理の処理時間が10分以上であると、分散剤が充分に熱分解され、熱処理による充分な分散剤の除去効果が得られる傾向がある。熱処理の処理時間が60分を超えても、分散剤の除去効果をそれ以上期待しにくい。
本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法によって得られるニッケル微粒子の表面の炭素濃度は例えば、0.1質量%以下であり、酸素濃度が2質量%以下である。炭素濃度が前記上限値以下であると、分散剤の除去がさらに充分であると言える。酸素濃度が前記上限値以下であると、ニッケル微粒子の酸化が進行しておらず、粉体として品質がさらに高くなる傾向がある。したがって、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が0.1質量%以下であり、かつ、酸素濃度が2質量%以下であると、非常に高品質のニッケル微粒子が得られたと判断できる。
本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法で得られるニッケル微粒子の粉体中には、粗大粒子がない。粗大粒子の有無は、例えば、SEM等の電子顕微鏡による観察で判断できる。
本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法によって得られるニッケル微粒子の平均粒子径は、例えば、30~300nmである。ニッケル微粒子の平均粒子径は、実施例に記載の方法で測定できる。
(作用効果)
以上説明した本実施形態に係る金属微粒子の製造方法においては、ニッケル微粒子を含む粉体を液状媒体に分散剤の存在下で分散させる。そのため、平均粒子径が100nm程度の凝集力が強いニッケル微粒子であっても、凝集粒子の少ない均一な分散液が得られる。このように、凝集粒子の生成が低減された分散液を使用するため、凝集粒子の除去によるニッケル微粒子の濾過によるロスが少なくなり、最終的に得られるニッケル微粒子の収率がよくなる。
加えて、本実施形態に係る金属微粒子の製造方法においては、均一な分散液を濾過することで分散液から粉体中の粗大粒子を除去するため、小型化及び大容量化が求められるMLCCにおいて、粗大粒子がセラミック層を突き抜けてしまうことが少なくなる。その結果、粗大粒子による電極同士の短絡が起きにくく、MLCCの不良品の発生が低減される。
また、本実施形態に係る金属微粒子の製造方法においては、分散液から分散剤を除去するため、ニッケル微粒子の表面に分散剤が付着して残存しにくい。そのため、ペーストの製造時に使用するペースト製造用の分散剤がニッケル微粒子の表面に充分に付着しやすい。その結果、ペーストを製造する際のニッケル微粒子の分散性がよくなり、ペーストの製造が可能となる。加えて、焼結の際における分散剤の揮発によるガスの発生、クラック等の焼結不良が低減され、ニッケル微粒子をペーストとした際の焼結性がよくなる。
以上より、本実施形態に係るニッケル微粒子の製造方法によれば、MLCCの内部電極の原料にしたときに不良品の発生が少なく、ペーストを製造する際のニッケル微粒子の分散性に優れ、かつ、ニッケル微粒子をペーストとした際の焼結性に優れる点で、MLCCの内部電極用途に適した高品質なニッケル微粒子を製造できる。
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明はかかる特定の実施の形態に限定されない。また、本発明は特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が加えられてよい。
また、上述した実施形態の金属微粒子の製造方法に用いる製造装置として、図1~3に示す構成の製造装置10を一例として説明したが、バーナ、炉の各構成はこの一例に限定されない。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の記載によって限定されない。
<測定方法>
(炭素濃度)
ニッケル微粒子の表面の炭素濃度は、炭素・硫黄分析装置(堀場製作所社製:EMIA-920V)を使用して測定した。
(酸素濃度)
ニッケル微粒子の表面の酸素濃度は、酸素・窒素分析装置(LECO社製:TC-600型)を使用して測定した。
(比表面積:BET)
ニッケル微粒子のBETは、比表面積計(マウンテック社製:Macsorb HM model-1201)を使用して測定した。
(平均粒子径)
ニッケル微粒子の平均粒子径(nm)は、上述のBETの測定値(m/g)に基づいて、下式(1)より算出した。
平均粒子径(nm)=6/(BET×ρ)×10 ・・・(1)
ただし、式(1)中、「BET」は、比表面積計を用いて測定されるニッケル微粒子のBET(m/g)であり、「ρ」はニッケルの密度(g/m)である。
<製造例1>
原料粉体としては、平均粒子径が10μmである酸化ニッケル粉を使用し、製造装置10を用いた。
可燃性ガスとしてメタンガスを使用し、支燃性ガスとして酸素ガスを使用し、バーナ火炎15により還元性火炎を形成した。可燃性ガスとともに搬送された酸化ニッケル粉を還元性火炎で加熱することで、還元性火炎中で蒸発させ、サブミクロン以下のニッケル微粒子を生成した。次いで、ニッケル微粒子を含む粉体をバグフィルター20の回収部20aから回収した。
第1の工程におけるニッケル微粒子の生成の際の燃焼条件を表1に示す。
Figure 0007341820000001
次に、ニッケル微粒子を含む粉体:4gと分散剤A:40gと純水:360mlを、超音波ホモジナイザーを用いて30分間混合し、分散液を調製した。分散剤Aは、日油株式会社製「マリアリムHKM-50A」である。また、分散剤Aは、主鎖にイオン性基としてカルボキシル基及びアミノ基を有し、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するグラフトポリマーである。
次いで、分散液を吸引ろ過することで、0.45μmのカートリッジフィルターを通過させ、凝集粒子及び粗大粒子を除去したニッケル微粒子分散液を得た。ニッケル微粒子分散液を遠心分離機によって固液分離し、分散剤を除去する前のニッケル微粒子を得た。
<製造例2、3>
表2に示すように、分散剤Aを下記の分散剤B、分散剤Cにそれぞれ変更した以外は、製造例1と同様にして、分散剤を除去する前のニッケル微粒子を得た。
分散剤B:主鎖にイオン性基としてカルボキシル基を有し、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するグラフトポリマー。
分散剤C:主鎖にイオン性基としてアミノ基を有し、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するグラフトポリマー。
製造例1~3における分散剤を除去する前のニッケル微粒子の収率の結果を表2に示す。
Figure 0007341820000002
表2に示すように、主鎖にイオン性基としてカルボキシル基及びアミノ基を有し、グラフト鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するグラフトポリマーである分散剤Aを使用すると、ニッケル微粒子が均一に分散した分散液が得られ、0.45μmのカートリッジフィルターによって分散液を濾過できることを確認した。
<製造例4>
製造装置10から回収したニッケル微粒子から分散液を調製せず、粉体中の粗大粒子を除去せずにニッケル微粒子を製造した。
<実施例1>
製造例1で得られた分散剤を除去する前のニッケル微粒子:4gに、2質量%クエン酸水溶液:50mlを加えて、超音波バスで攪拌しながら、酸処理を施した。酸処理の処理時間は6時間とした。遠心分離機で固液分離を行い、得られたニッケル微粒子に水を加えて、洗浄した後、再度、遠心分離機で固液分離を行い、酸処理後のニッケル微粒子を得た。
次いで、酸処理後のニッケル微粒子に、2質量%アンモニア水溶液:50mlを加えて、超音波バスで攪拌しながら、アルカリ処理を施した。アルカリ処理の処理時間は6時間とした。その後、遠心分離機で固液分離を行い、得られたニッケル微粒子に水を加えて、洗浄した後、再度、遠心分離機で固液分離を行い、ニッケル微粒子を得た。
次いで、アルカリ処理後のニッケル微粒子に熱処理を施した。酸素含有雰囲気は窒素ガスに酸素ガスを20%混入したガスを使用した。熱処理の温度は170℃とし、処理時間は30分とした。
熱処理後のニッケル微粒子について、炭素濃度及び酸素濃度を測定した。
<実施例2~17>
酸処理の処理時間、アルカリ処理の処理時間、熱処理の温度、時間、酸素含有雰囲気の酸素濃度の各条件を表3に示すように変更した以外は、実施例1と同様にしてニッケル微粒子を製造した。
なお、実施例10では、アンモニアによるアルカリ処理を実施しなかったこと以外は実施例1と同様にしてニッケル微粒子を製造した。
実施例2~17で得られたニッケル微粒子の炭素濃度及び酸素濃度の測定結果を表3に示す。
Figure 0007341820000003
<比較例1>
製造例4で得たニッケル微粒子そのものを比較例1のニッケル微粒子とした。
図4は、実施例1で得られたニッケル微粒子のSEM像である。図5は比較例1で得られたニッケル微粒子のSEM像である。図4、5のSEM像の倍率は5万倍である。
測長は、SEM像において、倍率を1万倍とし、20視野(粒子数10万個程度)を観察し、400nm以上となる粒子をカウントし、粗大粒子の頻度を測定した。
表4に実施例1及び比較例1のニッケル微粒子のBET、平均粒子径、炭素濃度、酸素濃度及び画像解析による粗大粒子の数の測定結果を示す。
Figure 0007341820000004
表4に示すように分散剤を除去した後の実施例1のニッケル微粒子のBET値及び炭素濃度は、分散剤と混合し、分散液とする前のニッケル微粒子(比較例1のニッケル微粒子)のBET値及び炭素濃度と同水準であった。この結果から、実施例1のニッケル微粒子においては、分散剤が充分に除去されていると判断した。酸素濃度についても、実施例1と比較例1とで同水準であったことから、実施例1のニッケル微粒子にあっては、熱処理を施した後でもニッケル微粒子の酸化が進行しておらず、粉体として品質が非常に高いものであると判断できた。
よって、実施例1のニッケル微粒子は、ペーストを製造する際の分散性に優れ、ペーストとした際の焼結性に優れることが期待される。
また、実施例1のニッケル微粒子によれば、粗大粒子の数が0個であった。そのため、実施例1のニッケル微粒子によれば、積層セラミックコンデンサの小型化及び大容量化に適していると期待される。
表3に示すように、実施例10ではアルカリ処理を行っていないが、酸処理及び熱処理により分散剤を概ね除去できた。ただし、実施例10ではニッケル微粒子の表面の炭素濃度が、アルカリ処理を行った他の実施例(例えば、実施例1等である。以下同様。)の結果と比較して相対的に高かった。この結果から、アルカリ処理を施すと、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が相対的に低くなり、分散剤をさらに充分に除去できると考えられた。
実施例11では、酸処理の処理時間が他の実施例と比較して短い。実施例11ではニッケル微粒子の表面の炭素濃度が、酸処理の処理時間が相対的に長い他の実施例の結果と比較して相対的に高かった。この結果から、酸処理の処理時間が相対的に長いと、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が相対的に低くなり、分散剤の除去がさらに充分になる傾向があると考えられた。
実施例12では、酸処理の処理時間が他の実施例と比較して長いが、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が、酸処理の処理時間が相対的に短い他の実施例の結果と比較しても相対的に高かった。この結果から、酸処理の処理時間を過度に長くしても分散剤の除去効果のさらなる向上を期待できないと考えられた。
実施例13では、アルカリ処理の処理時間が他の実施例と比較して長いが、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が、アルカリ処理の処理時間が相対的に短い他の実施例の結果と比較しても相対的に高かった。この結果から、アルカリ処理の処理時間を過度に長くしても分散剤の除去効果をこれ以上期待できないと考えられた。
実施例14では、熱処理の処理時間が他の実施例と比較して短い。実施例14では、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が、熱処理の処理時間が相対的に長い他の実施例の結果と比較して相対的に高かった。この結果から、熱処理の処理時間が相対的に長いと、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が相対的に低くなり、分散剤の除去がさらに充分になる傾向があると考えられた。
実施例15では、熱処理の処理温度が他の実施例と比較して低い。実施例15では、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が、熱処理の処理温度が相対的に高い他の実施例の結果と比較して相対的に高かった。この結果から、熱処理の処理温度が相対的に高いと、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が相対的に低くなり、分散剤の除去がさらに充分になる傾向があると考えられた。
実施例16では、熱処理の処理温度が他の実施例と比較して高い。実施例16ではニッケル微粒子の表面の酸素濃度が、熱処理の処理温度が相対的に低い他の実施例の結果と比較して相対的に高かった。この結果から、熱処理の温度が相対的に低いと、ニッケル微粒子の酸素濃度が低くなり、ニッケル微粒子の酸化を抑制できると考えられた。
実施例17では、熱処理時の雰囲気の酸素濃度が他の実施例と比較して低い。実施例17では、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が、熱処理の処理温度が相対的に高い他の実施例の結果と比較して相対的に高かった。この結果から、熱処理時の雰囲気の酸素濃度が相対的に高いと、分散剤を除去するのに必要な酸素量が充分であり、ニッケル微粒子の表面の炭素濃度が相対的に低くなり、分散剤をさらに充分に除去できると考えられた。
本発明のニッケル微粒子の製造方法によれば、粗大粒子が少なく、積層セラミックコンデンサの小型化及び大容量化に適し、ペーストとした際の分散性及び焼結性に優れるニッケル微粒子が得られる。
10…製造装置、11…可燃性ガス供給部、12…原料フィーダー、13…ニッケル化合物供給部、14…支燃性ガス供給部、15…燃焼バーナ、16…水冷炉、17…不活性ガス供給源、18…複数の不活性ガス供給部、19…冷却ガス供給部、20…バグフィルター、21…ブロワー

Claims (12)

  1. 還元性火炎中でニッケル又はニッケル化合物を加熱することでニッケル微粒子を生成し、
    前記ニッケル微粒子と、前記ニッケル微粒子の生成時に生じたニッケルの粗大粒子を含む粉体を液状媒体に分散剤の存在下で分散させて分散液を調製し、
    前記分散液を濾過することで前記分散液から前記粉体中の前記粗大粒子を除去し、
    次いで、前記ニッケル微粒子が含まれる前記分散液から前記液状媒体及び前記分散剤を除去する、ニッケル微粒子の製造方法。
  2. 前記分散剤が、ポリオキシアルキレン鎖とカルボキシル基とアミノ基とを有する、請求項1に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  3. 有機酸による酸処理を施すことで前記分散剤を除去する、請求項1又は2に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  4. 前記有機酸がクエン酸、酢酸、酒石酸からなる群から選ばれる少なくとも一つ以上である、請求項3に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  5. 前記酸処理の処理時間が1~6時間である、請求項3又は4に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  6. 前記酸処理を施した後、前記ニッケル微粒子にアルカリ処理を施す、請求項3~5のいずれか一項に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  7. 前記アルカリ処理の処理時間が1~6時間である、請求項6に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  8. 200℃以下の酸素含有雰囲気下で熱処理を行うことで前記分散剤を除去する、請求項1~7のいずれか一項に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  9. 前記酸素含有雰囲気の酸素の含有量が0.1~50%である、請求項8に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  10. 前記熱処理の処理温度が170~200℃である、請求項8又は9に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  11. 前記熱処理の処理時間が10~60分である、請求項8~10のいずれか一項に記載のニッケル微粒子の製造方法。
  12. 得られるニッケル微粒子の炭素濃度が0.1質量%以下であり、酸素濃度が2質量%以下であり、ニッケル微粒子の粉体中に前記粗大粒子がない、請求項1~11のいずれか一項に記載の製造方法。
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