下記の実施形態等において説明する図1~図13は、模式的な図であり、図1~図13中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(1)概要
本実施形態に係る計測ユニット1(及び増設ユニット2)は、図12に示すように、分電盤4とともに分電盤システム5を構成し、分電盤4内の電路(主幹回路及び/又は分岐回路)を通過する電気に関する物理量を計測するために用いられる。本実施形態の計測ユニット1は、特に、分電盤4内の電路に設定された計測点を流れる電流を計測するために用いられる。
本実施形態の計測ユニット1は、電路(の計測点)に設けられて電路を流れる電流を計測する電流センサ(CT)8から、電流値に応じた信号を取得する。計測ユニット1は、電流センサ8から取得した信号に基づいて、この電流センサ8に対応する電路(の計測点)を流れる電流(例えば、電流波形、実効値等)を、求める。なお、計測ユニット1は、電流センサ8から取得した電流値と、電圧センサ(図示せず)から取得した各電路の電圧値と、を用いて、各電路を通過する電力を求めてもよい。
本実施形態では、計測ユニット1は、主幹用入力端子部1501と、分岐用入力端子部1502と、を備えている。主幹用入力端子部1501は、分電盤4の主幹回路(に設定された計測点)を流れる主幹電流を計測する主幹電流センサ(主幹用CT)81に、ケーブル9を介して接続可能である。分岐用入力端子部1502は8つの入力端子を備えており、8つの分岐回路(に設定された計測点)をそれぞれ流れる分岐電流を計測する8つの分岐電流センサ(分岐用CT)82に、ケーブル9を介して接続可能である。
計測ユニット1は、主幹用入力端子部1501に接続された主幹電流センサ81から、信号(電流値)を取得する。また、計測ユニット1は、分岐用入力端子部1502に接続された各分岐電流センサ82から、信号(電流値)を取得する。すなわち、計測ユニット1は、主幹用入力端子部1501に主幹電流センサ81を接続し、分岐用入力端子部1502に8つの分岐電流センサ82を接続することで、主幹回路と8個の分岐回路との合計9個の電路(の計測点)を流れる電流を求めることができる。
また、本実施形態に係る計測ユニット1は、増設ユニット2とともに計測システム3を構成する。
増設ユニット2は、計測ユニット1に拡張機能を付加する。本実施形態では、増設ユニット2は、拡張機能として、計測ユニット1に接続可能な電流センサ8の個数を増加させる機能を有する。
具体的には、増設ユニット2は、3つの入力端子部21を備えている。各入力端子部21は、10個の分岐回路(に設定された計測点)をそれぞれ流れる分岐電流を計測する10個の分岐電流センサ(分岐用CT)82に、ケーブルを介して接続可能である。すなわち、増設ユニット2は、合計30個の電流センサ8から、信号(電流値)を取得することが可能である。
また、増設ユニット2は、出力端子部22を更に備えており、計測ユニット1は、出力端子部22に(ケーブルを介して)接続される接続端子部1503を更に備えている。増設ユニット2は、各入力端子部21を介して電流センサ8から取得した信号(電流値)を、出力端子部22から計測ユニット1に出力する。計測ユニット1は、接続端子部1503によって増設ユニット2から受け取った信号(電流値)から、対応する電路を流れる電流(電流波形、実効値等)を求める。
これにより、計測ユニット1に接続可能な電流センサ8の個数を増加させることが可能となり、計測ユニット1によって電流を計測可能な電路(計測点)の個数を、増加させることが可能となる。
なお、計測ユニット1に接続すべき電流センサ8の個数が、計測ユニット1の入力端子部(主幹用入力端子部1501、分岐用入力端子部1502)に接続可能な電流センサ8の個数以下であれば、増設ユニット2は不要である。すなわち、使用者は、電流を計測すべき電路(の計測点)の数が、計測ユニット1のみで対応可能な数を超えたときに、増設ユニット2を後付けすればよい。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る計測ユニット1、増設ユニット2、計測システム3、分電盤4、分電盤システム5について、図1~図13を参照して詳しく説明する。
(2.1)計測ユニット
まず、本実施形態の計測ユニット1について、図1~図6、図11及び図13を参照して説明する。
計測ユニット1は、図13に示すように、主幹用入力端子部1501、分岐用入力端子部1502、接続端子部1503に加えて、計測部11と、操作部12と、通信部13と、電源部14と、を備える。
計測部11は、各電流センサ8から取得した信号(計測値)の演算処理を行い、電流センサ8に対応する電路(の計測点)を流れる電流を求める。操作部12は、使用者による手動操作を受け付ける。通信部13は、本実施形態では無線通信機能を有し、計測部11で求めた電流等の情報を、外部の装置との間で無線により送受信する。電源部14は、外部の電源(系統電源等)から得られる電力を、計測部11、操作部12及び通信部13の動作電力に変換して、計測部11、操作部12及び通信部13に供給する。
また、計測ユニット1は、計測部11、操作部12、通信部13及び電源部14を収容する筐体10を備えている。筐体10は、図2に示すように、ボディ111とカバー112との2つの部材が組み合わされて構成されている。また、計測ユニット1は、図6及び図11に示すように、実装基板16及び電源基板17を更に備えている。実装基板16及び電源基板17は、筐体10内に収容されている。ここにおいて、計測部11、操作部12及び通信部13は、それぞれ、実装基板16に実装された複数の回路部品(複数の計測回路部品110、複数の操作回路部品120、複数の通信回路部品130)から構成されている。電源部14は、電源基板17に実装された複数の回路部品(複数の電源回路部品140)から構成されている。
図2~図6、図11に示すように、筐体10は、一方向に長い中空の大略直方体状である。計測ユニット1は、例えば、筐体10の長手方向が鉛直方向に沿い、ボディ111が造営材を向くようにして、造営材(例えば、石膏ボード)に取り付けられる。
以下では、造営材に計測ユニット1が取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向(筐体10の長手方向)を「上下方向」とし、下方(鉛直方向)を「下方」として説明する。また、上下方向と直交する方向であって、筐体10におけるボディ111とカバー112とが組み合わされる方向(筐体10の厚さ方向)を「前後方向」とし、ボディ111からカバー112に近づく向きを「前方」として説明する。また、上下方向と前後方向との両方に直交する方向(筐体10の幅方向)を「左右方向」とし、筐体10を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する。なお、図面中の「上下方向」、「前後方向」、及び「左右方向」を示す矢印は説明のために表記しているに過ぎず、実体を伴わない。また、これらの方向は計測ユニット1の使用態様を限定する趣旨ではない。
筐体10は、例えば合成樹脂製である。上述したように、筐体10は、ボディ111とカバー112とが前後方向において組み合わされて構成される。ボディ111は前面が開放されており、カバー112は後面が開放されている。ボディ111及びカバー112は、互いの開口を合わせるようにして、前後方向に結合される。これにより、筐体10の内部に、実装基板16及び電源基板17等を収容する収容空間が形成される。ボディ111とカバー112とは、ねじ止めによって互いに結合される。
筐体10は、前後方向(厚さ方向)の両側に、一表面(第1面)及び他表面(第2面)を有している。第1面は、カバー112の前面であり、筐体10の前面を構成する。第2面は、ボディ111の後面であり、筐体10の後面を構成する。
図2~図5、図11に示すように、筐体10は、第一ブロック113と第二ブロック114と第三ブロック115とから構成される。第一ブロック113と第二ブロック114と第三ブロック115とは、筐体10の長手方向(上下方向)において、上側からこの順に並んでいる。第一ブロック113、第二ブロック114及び第三ブロック115の各々は、筐体10の一部分である。
第一ブロック113は、図11に示すように、中空の直方体状であって、下面の前側の部分に開口を有している。
第二ブロック114は、図11に示すように、中空の直方体状であって、上面及び下面に開口を有している。第二ブロック114の上面の開口の縁部は、第一ブロック113の下面の開口の縁部と繋がっている。すなわち、第一ブロック113と第二ブロック114とは上下方向に連続しており、第一ブロック113の内部空間と第二ブロック114の内部空間とは上下方向に繋がっている。第二ブロック114の前面は、第一ブロック113の前面と連続している。一方、第二ブロック114の後面は、第一ブロック113の後面よりも前方にある。すなわち、第二ブロック114の前後方向の寸法(筐体10の厚さ方向における第二ブロック114の寸法)は、第一ブロック113の前後方向の寸法よりも小さい。
第三ブロック115は、図11に示すように、前下側に傾斜面を有する中空の直方体状であって、上面の前側の部分に開口を有している。第三ブロック115の上面の開口の縁部は、第二ブロック114の下面の開口の縁部と繋がっている。すなわち、第二ブロック114と第三ブロック115とは上下方向に連続しており、第二ブロック114の内部空間と第三ブロック115の内部空間とは上下方向に繋がっている。第三ブロック115の前面は、第二ブロック114の前面と連続している。一方、第三ブロック115の後面は、第二ブロック114の後面よりも後方にある。
そして、図2に示すように、第一ブロック113の下面(の後側の部分)、第二ブロック114の後面、及び第三ブロック115の上面(の後側の部分)に囲まれるように、空間100が形成されている。空間100は、直方体状の凹所である。空間100は、前方(筐体10の第1面の前方)から見たときに、上下方向において第一ブロック113と第三ブロック115との間にあり、また、第二ブロック114の後方にある。本実施形態では、この空間100が、増設ユニット2を後付けで配置するための、配置スペースを構成する。
また、図3、図4に示すように、第一ブロック113において、前面の右側における中央よりも上側の部分、及び右側面の前側における中央よりも上側の部分が切り欠かれて、開口が形成されている。この開口から、電源基板17に実装された電源端子部171が露出する。また、第一ブロック113の前面において上記の開口の下側には、矩形状の開口が形成されている。この開口から、電源基板17に実装された電源スイッチ172が露出する。図3に示すように、第一ブロック113の前面において左下の部分には、使用者の手動操作に応じて前後方向に進退する突起101が設けられている。また、第一ブロック113の右側面の上側の部分からは、挿通孔が形成された半円状の突出板102が右方に突出して形成されている。
図1、図3、図4に示すように、第二ブロック114の前面において右上の部分には、使用者の手動操作に応じて前後方向に進退する8つの突起103が並んで設けられている。また、第二ブロック114の前面における右下の部分(突起103が設けられている領域の下方)には、実装基板16に実装された主幹用入力端子部1501、分岐用入力端子部1502、接続端子部1503を露出するための開口が形成されている。第二ブロック114の前面における左下の部分には、実装基板16に実装されたLANコネクタ1504のコネクタ挿入孔を露出するための開口が形成されている。
図2に示すように、第二ブロック114の後面における中央部分には、略U字状の溝が形成されており、溝に囲まれるようにして、前後方向に撓み可能な嵌合爪104が上下方向に長く形成されている。また、第二ブロック114の後面の左端には、この後面の左端に沿って、後方に突出する突出壁105が形成されている。突出壁105の突出先端は、第一ブロック113の後面及び第三ブロック115の後面と面一となっている。突出壁105の上下方向の中央には、突出壁105を左右方向に貫通する円形状の孔106が形成されている。
図1、図11に示すように、第三ブロック115の前下側の傾斜面には、電源基板17に実装された拡張端子部173を露出するための開口が形成されている。
実装基板16は、図6に示すように、本実施形態では1枚のプリント基板から構成されており、その長手方向が筐体10の長手方向(上下方向)に沿い、その厚さ方向が筐体10の厚さ方向(前後方向)に沿う略矩形板状である。実装基板16は、前方から見て筐体10のほぼ全体と重なる大きさ(筐体10よりも一回りだけ小さい)を有している。
上記のように、実装基板16には、計測部11を構成する複数の計測回路部品110が実装されている。複数の計測回路部品110は、演算処理を行うための集積回路1101を含む。複数の計測回路部品110は、実装基板16において、筐体10の第一ブロック113に収容される領域に配置されている。
また、上記のように、実装基板16には、操作部12を構成する複数の操作回路部品120が実装されている。複数の操作回路部品120は、複数(ここでは11個)の操作ボタン1201を含む。11個の操作ボタン1201のうちの9個は、筐体10の計9個の突起101、103の後方にそれぞれ位置しており(図1、図6及び図11参照)、対応する突起101、103への使用者の押操作に応じて押される。複数の操作回路部品120は、実装基板16において、筐体10の第一ブロック113に収容される領域及び第二ブロック114に収容される領域に、配置されている。
また、上記のように、実装基板16には、通信部13を構成する複数の通信回路部品130が実装されている。複数の通信回路部品130は、無線通信用のアンテナ1301を含む。複数の通信回路部品130は、実装基板16において、筐体10の第一ブロック113に収容される領域に配置されている。
また、実装基板16には、外部の装置と接続するための複数の接続回路部品150も実装されている。複数の接続回路部品150は、上記の主幹用入力端子部1501、分岐用入力端子部1502、接続端子部1503、及びLANコネクタ1504を含む。複数の接続回路部品150は、実装基板16において、筐体10の第二ブロック114に収容される領域に配置されている。
本実施形態では、実装基板16の前面が部品面、後面が半田面であり、実装基板16の前面に、複数の計測回路部品110、複数の操作回路部品120、複数の通信回路部品130、及び複数の接続回路部品150が実装されている。
図6に示すように、電源基板17は、本実施形態では1枚のプリント基板から構成されており、その長手方向が筐体10の長手方向(上下方向)に沿い、その厚さ方向が筐体10の厚さ方向(前後方向)に沿う略矩形板状である。電源基板17は、前方から見て筐体10のほぼ全体と重なる大きさ(筐体10よりも一回りだけ小さい)を有している。また、図6及び図11に示すように、電源基板17は実装基板16の後方に配置されている。さらに、電源基板17は、前方から見てその少なくとも一部が実装基板16と重なるように配置されている。
図6に示すように、電源基板17には、上記の電源端子部171、電源スイッチ172、及び拡張端子部173が実装されている。電源端子部171、電源スイッチ172及び拡張端子部173は、電源基板17の前面に実装されている。電源端子部171は、外部の電源に接続される。電源スイッチ172は、電源端子部171と電源部14との間の電路に介在し、外部の電源と電源部14との間の電路を開閉する。拡張端子部173は、例えば、水道メータ、ガスメータ等の電力以外のエネルギーの消費量を計測する機器に接続され、これらの機器から計測量のデータ等を受け取る。
また、図11に示すように、電源基板17には、電源部14を構成する複数の電源回路部品140が実装されている。複数の電源回路部品140は、電源基板17において、筐体10の第一ブロック113に収容される領域に実装されている。また、図4及び図10に示すように、複数の電源回路部品140(の少なくとも一部)は、前後方向において、空間100と隣り合う位置に配置されている。
本実施形態では、電源基板17の後面が部品面、前面が半田面であり、電源基板17の後面に、電源部14を構成する複数の電源回路部品140が実装されている。
図6、図11に示すように、筐体10内において、実装基板16と電源基板17とは、半田面同士が対向するように互いに平行に配置されている。実装基板16と電源基板17とは、各基板の中央に配置されたコネクタ(図示せず)によって互いに接続されている。
(2.2)増設ユニット
次に、増設ユニット2について、図1、図2、図6~図10を参照して説明する。
図1、図2、図10に示すように、増設ユニット2は、上記の3つの入力端子部21及び出力端子部22に加えて、筐体20及び増設基板23を備えている。筐体20は、ボディ211とカバー212との2つの部材が組み合わされて構成されている。
筐体20は、例えば合成樹脂製である。筐体20は、中空のへん平な直方体状であって、その内部に増設基板23が収容される。図8に示すように、筐体20の前面の右側の部分には、4つの開口が上下方向に並んで形成されており、4つの開口から、増設基板23に実装された3つの入力端子部21及び出力端子部22が露出している。また、図1に示すように、筐体20の前面の中央左側の部分には、計測ユニット1の筐体10の嵌合爪104が嵌まる嵌合溝201が、上下方向に長く形成されている。また、筐体20の左側面には、円柱形状の突部202が設けられている。
図8に示すように、増設基板23は、本実施形態では1枚の矩形状のプリント基板から構成されており、その右端に沿って、3つの入力端子部21及び出力端子部22が上下方向に並んで実装されている。
ここにおいて、増設ユニット2の筐体20の前後方向の寸法は、計測ユニット1の筐体10によって形成される空間100の前後方向の寸法と、略等しい(僅かに小さい)。筐体20の上下方向の寸法は、空間100の上下方向の寸法と略等しい(僅かに小さい)。筐体20の左右方向の寸法は、空間100の左右方向の寸法よりも大きく、筐体10の左右方向の寸法よりも大きい。
(2.3)計測ユニットへの増設ユニットの取り付け
次に、計測ユニット1への増設ユニット2の取り付けについて説明する。上記のように、計測ユニット1に拡張機能を付加したい場合に、計測ユニット1に増設ユニット2が後付けされる。
本実施形態では、増設ユニット2は、その少なくとも一部が空間(配置スペース)100内に位置するように、計測ユニット1に対して物理的に取り付け可能である。
本実施形態では、増設ユニット2は、計測ユニット1の幅方向(左右方向)に沿って空間100内に差し込まれることで、計測ユニット1に取り付けられる。そのために、計測ユニット1の筐体10は、増設ユニット2の筐体20の左右方向への移動をガイドするガイド機構を備えている。本実施形態では、ガイド機構は、第一ブロック113の下面の後端縁から下方に突出する3つの第1突起片107と、第三ブロック115の上面の後端縁から上方に突出する3つの第2突起片108と(図2参照)、から構成される。3つの第1突起片107は、第一ブロック113の下面の後端縁の、左右両端と中央とに並んで設けられている。3つの第2突起片108は、第三ブロック115の上面の後端縁の、左右両端と中央とに並んで設けられている。
計測ユニット1に増設ユニット2を取付けるには、まず、図2に示すように計測ユニット1の筐体10の右側に増設ユニット2の筐体20を配置する。そして、筐体10における左端の第1突起片107及び左端の第2突起片108と、筐体10の第二ブロック114の後面と、の間に、筐体20を差し込む。そして、筐体20を、第二ブロック114の後面に沿って左向きにスライドさせることで、空間100内に増設ユニット2が挿入される。なお、本実施形態では、増設ユニット2の筐体20の後面の左下端及び左上端には、左端に向かうほど下面から遠ざかる形状の傾斜面が形成されている。これにより、左端の突起片107、108と第二ブロック114の後面との間に筐体20を差し込む作業が、容易になる。
さらに、本実施形態では、計測ユニット1の筐体10は、空間(配置スペース)100に配置された増設ユニット2の筐体20を保持する、保持構造を備えている。具体的には、増設ユニット2を空間100に差し込んだ状態では、3つの第1突起片107及び3つの第2突起片108、並びに第二ブロック114によって、増設ユニット2の前後方向の移動が規制される。また、増設ユニット2を空間100に差し込んだ状態では、第一ブロック113の下面及び第三ブロック115の上面によって、増設ユニット2の上下方向の移動が規制される。さらに、増設ユニット2を空間100に差し込んだ状態では、筐体10の第二ブロック114の後面の嵌合爪104が、筐体20の前面の嵌合溝201に嵌まり込み、これによって増設ユニット2の左右方向の移動が規制される。これにより、増設ユニット2を空間100に配置した状態で、計測ユニット1に対する増設ユニット2の移動が規制される。
計測ユニット1と増設ユニット2とは、計測ユニット1の接続端子部1503と増設ユニット2の出力端子部22とをケーブルで接続することによって、互いに電気的に接続される。なお、計測ユニット1と増設ユニット2との電気的な接続は、計測ユニット1への増設ユニット2の取り付けの前に行われてもよいし後に行われてもよい。
ここにおいて本実施形態では、上下方向及び前後方向において、増設ユニット2が空間100内に収まるように、増設ユニット2及び空間100の寸法が設定されている。一方、増設ユニット2を空間100内に配置したときに、増設ユニット100において端子部(入力端子部21及び出力端子部22)が設けられている右側の部分が前方に露出するように、増設ユニット2の幅寸法(左右方向の寸法)が設定されている(図8参照)。これにより、増設ユニット2を空間100に配置した後でも、端子部へのコネクタ等の接続が行いやすくなる。
また、図8に示すように、空間100に配置された増設ユニット2の一部(入力端子部21及び出力端子部22が設けられた領域以外の部分)は、前方から見て、第二ブロック114によって覆われる。さらに、図8及び図11に示すように、第二ブロック114は、前方から見て、空間100に配置された増設ユニット2の増設基板23の少なくとも一部と重なる。すなわち、増設ユニット2の筐体20において、増設基板23を収容する部分の少なくとも一部が、前方から見て第二ブロック(覆い部)114に隠される。これにより、配置スペース100を目立ち難くすることが可能となり、かつ、配置スペース100に配置された増設ユニット2を目立ち難くすることが可能となる。
さらに、図11に示すように、前方から見たときの筐体10の投影面内において、空間100に配置された増設ユニット2が、計測ユニット1の電源基板17に実装された複数の電源回路部品140のうちの少なくとも一部と隣り合っている。一般に、電源部14を構成する電源回路部品140は、トランス、コンデンサ等、背の高さ(基板からの高さ)が高い回路部品を多く含む。このため、筐体10内には、電源回路部品140を配置させるためのスペースが必要となる。本実施形態では、電源回路部品140と隣り合うように、増設ユニット2を配置するための空間(配置スペース)100を設けることで、筐体10の小型化を図りつつ、電源回路部品140と隣り合うスペースを有効利用することが可能となる。
増設ユニット2を計測ユニット1から取り外すには、例えば、計測ユニット1の筐体10の突出壁105に設けられた孔106を通して、増設ユニット2の突部202を左側から(指や治具等で)押せばよい。こうすれば、嵌合爪104が後方に撓んで嵌合溝201から外れるので、増設ユニット2を第1突起片107及び第2突起片108に沿って右側に移動させることで、増設ユニット2を空間100から取り出すことができる。
(2.4)計測ユニットの造営材への取り付け
計測ユニット1は、例えば、図1に示す取付ベース6及びユニットカバー7を用いて、造営材に取り付けられる。
取付ベース6は、上下方向に長い矩形板状である。取付ベース6は、例えば、取付ベース6の四隅及び中央に設けられた計6つの貫通孔61に木ねじを通し、木ねじを造営材にねじ止めすることで、造営材に取り付けられる。
ここにおいて、計測ユニット1の筐体10の後面には、左右両端における、上下方向の中央及び下方の位置に、計4つのフック109が設けられている。また、取付ベース6の前面には、左右両端における、上下方向の中央及び下方の位置に、計4つのフック62が設けられている。さらに、取り付けベース600の前面における右上の位置には、ねじ孔63が形成されている。筐体10の4つのフック109を、取付ベース6の4つのフック62にそれぞれ引っ掛け、ねじを、筐体10の突出板102の挿通孔に前方から通して取付ベース6のねじ孔63に結合することで、計測ユニット1を取り付けベース600に取り付けることができる。
増設ユニット2は、取付ベース6には直接は取り付けられず、取付ベース6に取り付けられた計測ユニット1に取り付けられることで、間接的に取付ベース6に取り付けられる。
なお、取付ベース6における下側の領域には、前後方向に貫通する貫通孔64が形成されており、計測ユニット1の主幹用入力端子部1501等に接続されたケーブル等を、通すことが可能である。
ユニットカバー7は、後面が開口した中空の直方体状であり、その内部に計測システム3(計測ユニット1及び増設ユニット2)を収納可能である。ユニットカバー7は、下面に2つの挿通孔71が形成されている。ユニットカバー7の後面の開口縁部を取付ベース6に嵌め合わせ、ねじを、挿通孔71を通して取付ベース6の下側に設けられたねじ孔65に結合することで、ユニットカバー7が取付ベース6に取付けられる。
(2.5)分電盤システム
次に、図12を参照して、分電盤システム5について説明する。
分電盤システム5は、計測システム3(計測ユニット1及びオプションとして増設ユニット2)と、分電盤4と、を備える。
分電盤4は、主幹ブレーカ41と、複数(ここでは、19個)の分岐ブレーカ42と、を備えている。
主幹ブレーカ41は、接続線43、電流制限器44、及び電源線45を介して系統電源に接続されている。本実施形態では、系統電源からの電力供給方式が単相三線方式であって、接続線43及び電源線45は、中性線(N相)、第1の電圧線(L1相)、第2の電圧線(L2相)の3線で構成されている。電流制限器44は、例えば、電力会社(系統電源の供給者)と分電盤が設置されている施設の需要家との、最大使用電流値の料金契約用として使用される装置である。電流制限器44は、需要家が契約電流値を超えて電気を使用すると、自動的に電気を切る。なお、接続線43及び電流制限器44はオプションであって省略可能であり、主幹ブレーカ41に電源線45が接続されてもよい。
主幹ブレーカ41に、複数の分岐ブレーカ42が接続されている。複数の分岐ブレーカ42は、主幹ブレーカ41が挿入されている主幹回路を、複数(ここでは、19)の分岐回路にそれぞれ分岐させる。ここで、主幹回路は、分電盤4の内部において電源線45から各分岐ブレーカ42の電源側の端子までの電路を意味し、分岐回路は、各分岐ブレーカ42の電源側の端子よりも下流側の電路を意味する。一例として、各分岐回路には、負荷が1つずつ含まれている。負荷は、対応する分岐ブレーカ42を介して、系統電源から電力を受け取る。ここで、複数の分岐ブレーカ42のうちの一つ(421)は、計測ユニット1の電源端子部171に接続されている。計測ユニット1は、分岐ブレーカ421を介して系統電源から電力を受け取り、受け取った電力を用いて動作する。
また、分電盤4には、複数の電流センサ8が設けられている。複数の電流センサ8は、主幹電流センサ81と、複数の分岐電流センサ82と、を含む。
主幹電流センサ81は、電源線45の第1の電圧線を流れる電流を計測する第1主幹センサ811と、電源線45の第2の電圧線を流れる電流を計測する第2主幹センサ812と、を備える。第1主幹センサ811及び第2主幹センサ812の各々はCTである。第1主幹センサ811及び第2主幹センサ812の各々は、対応する電線を流れる電流に応じた電気信号を出力する。
各分岐電流センサ82は、対応する分岐回路の電圧線(L相)を流れる電流を計測する。各分岐電流センサ82は、CTである。各分岐電流センサ82は、対応する電線を流れる電流に応じた電気信号を出力する。
各電流センサ8は、対応するケーブル9を介して計測ユニット1に接続されている。具体的には、主幹電流センサ81は、計測ユニット1の主幹用入力端子部1501にケーブル9を介して接続され、分岐電流センサ82は、計測ユニット1の分岐用入力端子部1502にケーブル9を介して接続されている。各電流センサ8からの電気信号は、対応するケーブル9を介して計測ユニット1に伝送される。なお、本実施形態では、ケーブル9の途中にコネクタが設けられており、図11においては、コネクタよりも計測ユニット1側ではケーブル9の図示を簡略化している。
計測ユニット1は、各電流センサ8から伝送された信号を計測部11で演算処理することで、各電流センサ8に対応する電路(計測点)の電流を求めることが可能である。
計測ユニット1は、例えば、分電盤4の外部において分電盤4に隣接して取り付けられる。例えば、計測ユニット1は、分電盤4が取り付けられている造営材の一面に、分電盤4と隣接して取り付けられる。ただし、計測ユニット1の取り付け位置は特に限定されず、例えば計測ユニット1は、分電盤4から離れて取り付けられていてもよいし、分電盤4のキャビネット内に取り付けられてもよい。
ここで、計測ユニット1に接続する電流センサ8の個数を増加させたい、という要望が生じる場合がある。この場合、増設ユニット2を計測ユニット1に取付け、図11の点線に示すように増設ユニット2の出力端子部22を計測ユニット1の接続端子部1503に接続すればよい。これにより、計測ユニット1は、増設ユニット2を介して電流センサ8から信号(計測値)を受け取ることが可能となり、より多くの電流センサ8に対応する電路(計測点)の電流を求めることが可能となる。
また、計測ユニット1は、第二ブロック(覆い部)114の後方に、増設ユニット2を配置するための空間(配置スペース)100を有している。このため、増設ユニット2を計測ユニット1に取り付けた場合でも、計測ユニット1及び増設ユニット2を含む計測システム3全体のサイズが、過度に大きくなることがない。
(3)変形例
上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下では、上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。以下に説明する変形例及び基本例は、適宜組み合わせて適用可能である。
増設ユニット2は、基本例とは異なる拡張機能を有していてもよい。例えば、増設ユニット2は、拡張端子部173のように、水道メータ、ガスメータ等の電力以外のエネルギーの消費量を計測する機器に接続される端子部を備えていてもよいし、無線通信の機能を備えていてもよい。この場合、計測ユニット1から拡張端子部173又は通信部13を省略可能である。また、増設ユニット2は、太陽光発電装置の発電量を計測する装置から、信号を受け取る構成であってもよい。
異なる機能を有する複数の増設ユニット2のうちから選択された一つの増設ユニット2が、計測ユニット1に取付けられてもよい。すなわち、必要に応じて、所望の機能を有する増設ユニット2が計測ユニット1に取り付け可能な構成であってもよい。
配置スペース100は、後方に開放されていなくてもよい。例えば、配置スペース100は、筐体10の左側面又は右側面に設けられたスリット状の穴であってもよい。
配置スペース100が筐体10の後面に設けられている場合、増設ユニット2がガイド機構に沿って前後方向に移動できるように、ガイド機構が増設ユニット2を前後方向にガイドする構造であってもよい。
増設ユニット2と計測ユニット1とは、いわゆるBtoB(Board to Board)で電気的に互いに接続されてもよい。
計測ユニット1の計測部11が物理量を計測する対象は、分電盤4の回路に限られない。
(4)態様
以上説明した基本例及び変形例から明らかなように、第1の態様の計測ユニット(1)は、計測部(11)と、筐体(10)と、配置スペース(空間100)と、を備える。計測部(11)は、電路(主幹回路及び/又は分岐回路)を通過する電気に関する物理量に応じた信号を出力するセンサ(電流センサ8)からの信号に基づいて、物理量を計測する。筐体(10)は、計測部(11)を収容する。配置スペースは、拡張機能を付加する増設ユニット(2)を配置するためのスペースである。筐体(10)は、一表面を有する。筐体(10)は、一表面の前方から見たときに配置スペースに配置された増設ユニット(2)の少なくとも一部を覆う、覆い部(第二ブロック114)を有する。
この構成によれば、計測ユニット(1)の使用環境に応じて、計測ユニット(1)の機能を拡張することが可能である。また、計測ユニット(1)が覆い部(第二ブロック114)を備えているので、一表面の前方から見たときに、配置スペース(空間100)、及び配置スペースに配置された増設ユニット(2)が、目立ちにくくなる。
第2の態様の計測ユニット(1)は、第1の態様において、増設ユニット(2)は増設基板(23)を有する。覆い部(第二ブロック114)は、一表面の前方から見たときに、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)の増設基板(23)の少なくとも一部と重なる。
この構成によれば、一表面の前方から見たときに、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)の増設基板(23)の少なくとも一部が、覆い部(第二ブロック114)に覆われる。そのため、一表面の前方から見たときに、配置スペースに配置された増設ユニット(2)が、更に目立ちにくくなる。
第3の態様の計測ユニット(1)は、第2の態様において、増設ユニット(2)は、増設基板(23)に実装されており外部の装置(電流センサ8)と接続される端子部(入力端子部21)を更に有する。計測ユニット(1)では、一表面の前方から見たときに、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)の端子部(入力端子部21)が、露出している。
この構成によれば、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)の端子部と、外部の装置と、を接続する作業が容易になる。
第4の態様の計測ユニット(1)は、第1~第3の何れかの態様において、電路は複数の電路から構成されており、センサ(電流センサ8)は複数のセンサを含む。増設ユニット(2)は、入力端子部(21)と出力端子部(22)と、を有する。入力端子部(21)は、複数のセンサのうちの少なくとも一部のセンサに接続されて、この少なくとも一部のセンサからの信号を受け取る。出力端子部(22)は、計測ユニット(1)に接続されて、入力端子部(21)で受け取った信号を計測ユニット(1)に出力する。
この構成によれば、計測ユニット(1)が、増設ユニット(2)を介して、センサ(電流センサ8)から信号を受け取ることが可能となる。このため、計測ユニット(1)が信号を受け取るセンサ(電流センサ8)の数を、増やすことが可能となる。
第5の態様の計測ユニット(1)は、第1~第4の何れかの態様において、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)を保持する保持構造を、更に備える。
この構成によれば、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)を保持することが可能となる。
第6の態様の計測ユニット(1)は、第1~第5の何れかの態様において、実装基板(16)を更に備える。実装基板(16)には、手動操作を受け付けるための操作回路部品(120)が実装されている。実装基板(16)は、筐体(10)に収容されている。覆い部(第二ブロック114)は、その内部に実装基板(16)の少なくとも一部を収容している。
この構成によれば、一表面の前方から見て、実装基板(16)が、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)の前方にある。このため、例えば、筐体(10)の一表面に沿って実装基板(16)を配置させることが可能となり、筐体(10)内の限られたスペースで、実装基板(16)のサイズを大きくすることが可能となる。
第7の態様の計測ユニット(1)は、第6の態様において、電源基板(17)を更に備える。電源基板(17)には、計測部(11)に電力を供給する電源部(14)を構成する複数の電源回路部品(140)が実装されている。電源基板(17)は、筐体(10)に収容されている。計測ユニット(1)では、一表面の前方から見たときに、電源基板(17)は、実装基板(16)の後方にある。
この構成によれば、ノイズの発生源となり得る電源回路部品(140)が、実装基板(16)とは異なる基板(電源基板17)に実装されている。このため、電源回路基板(140)から実装基板(17)に実装された回路部品へのノイズの影響を低減することが可能となる。
第8の態様の計測ユニット(1)は、第7の態様において、一表面の前方から見たときの筐体(110)の投影面内において、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)が、複数の電源回路部品(140)のうちの少なくとも一部と隣り合う。
この構成によれば、比較的サイズの大きな電源回路部品(140)が配置される領域と隣り合うスペースに、増設ユニット(2)を配置させることが可能となる。このため、配置スペース(空間100)に配置された増設ユニット(2)が複数の電源回路部品(140)のうちの少なくとも一部と隣り合わない場合に比べて、増設ユニット(2)が取付けられたときの計測ユニット(1)のサイズを小さくすることが可能となる。
第9の態様の増設ユニット(2)は、第1~第8の何れかの態様の計測ユニット(1)に、拡張機能を付加する。
この構成によれば、計測ユニット(1)に拡張機能を付加する増設ユニット(2)を提供することが可能となる。
第10の態様の計測システム(3)は、第1~第8の何れかの態様の計測ユニット(1)と、増設ユニット(2)と、を備える。
この構成によれば、増設ユニット(2)によって機能が拡張された計測ユニット(1)を含む計測システム(3)を提供することが可能となる。
第11の態様の分電盤システム(5)は、第1~第8の何れかの態様の計測ユニット(1)と、電路(主幹回路及び/又は分岐回路)を有する分電盤(4)と、を備える。
この構成によれば、計測ユニット(1)によって、分電盤の電路(主幹回路及び/又は分岐回路)を通過する電気に関する物理量を計測することが可能となる。