JP7339605B2 - アルミノケイ酸塩ガラス - Google Patents

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Description

本発明は、アルミノケイ酸塩ガラスに関し、特に表面にイオン交換による圧縮応力層を形成しなくても、表面傷が付き難く、また衝撃等によりクラックが進展し難いアルミノケイ酸塩ガラスに関する。
スマートフォン、PDA等のデバイスは、益々普及する傾向にある。これらの用途には、タッチパネルディスプレイを保護するためにカバーガラスが用いられている。これらの用途のカバーガラスには、衝撃等により破損し難いこと等が求められる。
特開2006-83045号公報
泉谷徹郎等、「新しいガラスとその物性」、初版、株式会社経営システム研究所、1984年8月20日、p.451-498
ガラスは脆性材料であり、ガラス内にはクラックが潜在的に存在することが知られている。そして、そのクラックに衝撃や熱応力により引っ張り応力が加わると、クラックが進展し、ガラスが破損する虞がある。特に、カバーガラスの用途の場合、衝撃等によるクラックの進展は問題視される。
この問題を解決するための方法として、イオン交換処理により、表面に圧縮応力層を形成して、表面傷を付き難くすると共に、脆さを改善してクラックの進展を防止する方法が知られている(特許文献1、非特許文献1参照)。
しかし、イオン交換処理は、高温のイオン交換溶液に、ガラスを長時間浸漬させる工程であるため、ガラスの製造コストを高騰させる。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、その技術的課題は、表面にイオン交換による圧縮応力層を形成しなくても、表面傷が付き難く、また衝撃等によりクラックが進展し難いガラスを創案することである。
本発明者等は、アルミノケイ酸塩ガラスのガラスネットワーク中に高配位のAlを導入すると、表面にイオン交換による圧縮応力層を形成しなくても、表面傷が付き難く、また衝撃等によりクラックが進展し難くなること、具体的にはブリトルネスが低下し、ビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗等が向上することを見出し、本発明として提案するものである。すなわち、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaOの群から選ばれる成分の内、少なくとも1成分を含み、ガラスネットワーク中に5配位のAl及び/又は6配位のAlを含むことを特徴とする。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaOの群から選ばれる成分の内、少なくとも1成分を含む。LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaOは、ガラスネットワークを修飾する作用を有し、一般的には網目修飾酸化物と称されている。
本発明者等の調査によると、表面傷の付き易さ、クラックの発生確率、クラックの進展速度は、後述のビッカース硬度、破壊靱性K1c、ブリトルネス、ヤング率、クラック抵抗を測定することで評価することが可能であり、これらの特性は、ガラスネットワーク中のAlの配位数と相関関係がある。そして、ガラスネットワーク中に5配位のAl及び/又は6配位のAlを導入すると、ブリトルネスを低下させつつ、ビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗を高めることができる。
アルミノケイ酸塩ガラスにおいて、ガラスネットワーク中のAlは、通常、4配位であるが、イオン強度(field strength)が高い網目修飾酸化物(特にMgO)等を適正に導入すれば、ガラスネットワーク中に5配位のAl及び/又は6配位のAlを効率良く導入することができる。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、(5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)が0.01以上であることが好ましい。ここで、「4配位のAl」の割合は、核磁気共鳴法(NMR)で測定可能である(5配位のAl、6配位のAlも同様)。また「(5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)」は、5配位のAlと6配位のAlの合計割合を、4配位のAl、5配位のAl及び6配位のAlの合計割合(つまりAlの全配位数の合計割合)で割った値である。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、(5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)が0.03以上であることが好ましい。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 40~80%、Al 5~40%、LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO 1~40%、LiO+NaO+KO 0~40%、MgO+CaO+SrO+BaO 0~40%を含有することが好ましい。このようにすれば、板状成形に適した液相粘度を付与し易くなる。ここで、「LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO」は、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量を指す。「LiO+NaO+KO」は、LiO、NaO及びKOの合量を指す。「MgO+CaO+SrO+BaO」は、MgO、CaO、SrO及びBaOの合量を指す。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、ガラス組成中のAlの含有量がMgO+CaO+SrO+BaOの含有量以上であり、且つMgOの含有量が10モル%以上であることが好ましい。本発明者等の調査によると、Alの含有量をアルカリ土類金属酸化物の含有量より多く導入し、且つイオン強度(field strength)が高いMgOを10モル%以上導入すると、[AlOの電荷が補償され難くなるため、ガラスネットワーク中に高配位のAlを効率良く導入することが可能になる。結果として、ブリトルネスが大幅に低下し、またビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗が大幅に向上する。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、ブリトルネスが8.1μm-0.5未満であることが好ましい。ここで、「ブリトルネス」は、後述のビッカース硬度を破壊靱性K1cで除して求められるものであり、ローン等によって脆さの指標として提案されたものである(B.R. Lawn and D.B. Marshll, J.Am. Ceram.Soc., 62[7-8] 347-350(1979))。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、破壊靱性K1cが0.70MPa・m0.5以上であることが好ましい。ここで、「破壊靱性K1c」は、日本工業規格JISR1607「ファインセラミックスの室温破壊じん(靱)性試験方法」で定められる、予き裂導入破壊試験方法(SEPB法:Single-Edge-Precracked-Beam-Method)で測定した値を指す。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、ビッカース硬度が5.4GPa以上であることが好ましい。ここで、「ビッカース硬度」は、ビッカース硬度計にて100gfの荷重でビッカース圧子を押し込むことで測定した値を指す。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、ヤング率が70GPa以上であることが好ましい。ここで、「ヤング率」は、共振法により測定した値を指す。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、クラック抵抗が500gf以上であることが好ましい。ここで、「クラック抵抗」は、クラック発生率が50%となる荷重を指す。「クラック発生率」は、次のようにして測定した値を指す。まず湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、所定荷重に設定したビッカース圧子をガラス表面(光学研磨面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)する。このようにして圧子を20回打ち込み、総クラック発生数を求めた後、(総クラック発生数/80)×100の式により求める。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、板状であることが好ましい。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、表面にイオン交換による圧縮応力層を有しないことが好ましい。
また、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、カバーガラスに用いることが好ましい。
試料No.1、2、9のガラスネットワーク中のAlの配位数の割合を示す核磁気共鳴法(NMR)の測定データである。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO、BaOの群から選ばれる成分の内、少なくとも1成分を含むが、当然ながら、2成分以上の成分を含んでいてもよい。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、ガラスネットワーク中に5配位のAl及び/又は6配位のAlを含み、好ましくはガラスネットワーク中に5配位のAl及び6配位のAlを含む。ガラスネットワーク中に5配位のAl及び6配位のAlが存在していないと、ブリトルネスが上昇し易くなり、またビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗が低下し易くなる。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、(5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)が0.01以上、0.03以上、0.05以上、0.07以上、特に0.10~0.70であることが好ましい。(5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)が小さ過ぎると、ブリトルネスが上昇し易くなり、またビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗が低下し易くなる。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、ガラス組成として、モル%で、SiO 40~80%、Al 5~40%、LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO 1~40%、LiO+NaO+KO 0~40%、MgO+CaO+SrO+BaO 0~40%を含有することが好ましい。上記のように各成分の含有範囲を規制した理由を下記に示す。なお、各成分の含有範囲の説明において、%表示はモル%を指すものとする。
SiOは、ガラスネットワークを形成する成分である。SiOの含有量は、好ましくは40~80%、50~80%、55~75%、特に60~70%である。SiOの含有量が少な過ぎると、ガラス化し難くなり、耐水性や耐候性が低下し易くなる。一方、SiOの含有量が多過ぎると、溶融性や成形性が低下し易くなる。
Alは、ガラスネットワーク中に高配位数のAlを導入し、ブリトルネスを低下させると共に、ビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗を高めるための成分である。また耐候性を高める成分である。Alの含有量は、好ましくは5~40%、10~30%、15~25%、特に20~23%である。Alの含有量が少な過ぎると、ブリトルネスが上昇し易くなり、また耐候性、ビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗が低下し易くなる。一方、Alの含有量が多過ぎると、溶融性、成形性及び耐失透性が低下し易くなる。
LiO、NaO、KO、MgO、CaO、SrO及びBaOは、網目修飾酸化物であり、また溶融性、成形性及び熱加工性を高める成分である。これらの成分の合量は1~40%、5~35%、10~30%、特に15~25%である。これらの成分の合量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
LiO、NaO及びKOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性及び熱加工性を高める成分である。LiO、NaO及びKOの合量は、好ましくは0~40%、0~30%、0~20%、0~10%、特に0~5%である。LiO、NaO及びKOのそれぞれの含有量は、好ましくは0~30%、0~20%、0~10%、0~5%、特に0~1%である。LiO、NaO及びKOの含有量が多過ぎると、LiO、NaO及びKOのイオン強度が低いため、ガラスネットワーク中に高配位のAlを導入し難くなる。結果として、ブリトルネスが上昇し易くなり、またビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗が低下し易くなる。
MgOは、イオン半径が小さく、イオン強度が高いため、ブリトルネスを低下させると共に、ビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗を高めるために有効な成分であり、また高温粘度を低下させて、溶融性、成形性及び熱加工性を高める成分である。MgOの含有量は、好ましくは0~40%、3~35%、5~30%、特に10~25%である。MgOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。
CaO、SrO及びBaOは、高温粘度を低下させて、溶融性、成形性及び熱加工性を高める成分である。CaO、SrO及びBaOの合量は、好ましくは0~15%、0~10%、特に0~5%である。CaO、SrO及びBaOのそれぞれの含有量は、好ましくは0~12%、0~5%、特に0~2%である。CaO、SrO及びBaOの含有量が多過ぎると、耐失透性が低下し易くなる。またSrO及びBaOの含有量が多過ぎると、SrO及びBaOのイオン強度が低いため、ガラスネットワーク中に高配位のAlを導入し難くなる。結果として、ブリトルネスが上昇し易くなり、またビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗が低下し易くなる。
Alの含有量は、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量より多いことが好ましく、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量より5%以上多いことがより好ましく、MgO+CaO+SrO+BaOの含有量より10%以上多いことが更に好ましい。Alの含有量がMgO+CaO+SrO+BaOの含有量より少ないと、ガラスネットワーク中に高配位のAlを導入し難くなる。
モル比MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)は、ブリトルネスを低下させつつ、ビッカース硬度、破壊靱性K1c、ヤング率、クラック抵抗を高める観点から、0.5以上、0.7以上、0.8以上、特に0.9以上が好ましい。なお、「MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)」は、MgOの含有量をMgO、CaO、SrO及びBaOの合量で割った値である。
上記成分以外にも、例えば以下の成分を添加してもよい。
は、ガラスネットワークを形成する成分であり、またクラック抵抗を高める成分である。しかし、Bの含有量が多過ぎると、歪点や耐候性が低下し易くなる。よって、Bの含有量は、好ましくは0~20%、0~10%、0~5%、特に0~1%である。
TiOは、耐候性を高める成分であるが、ガラスを着色させる成分である。よって、TiOの含有量は、好ましくは0~0.5%、特に0~0.1%未満である。
ZrOは、耐候性を高める成分であるが、耐失透性を低下させる成分である。よって、ZrOの含有量は、好ましくは0~0.5%、特に0~0.1%未満である。
清澄剤として、SnO、Cl、SO、CeOの群(好ましくはSnO、SOの群)から選択された一種又は二種以上を0.05~0.5%添加してもよい。
Feは、ガラス原料に不純物として不可避的に混入する成分であり、着色成分である。よって、Feの含有量は、好ましくは0.5%以下、特に0.01~0.07%である。
、Cr、CoO及びNiOは、着色成分である。よって、V、Cr、CoO及びNiOのそれぞれの含有量は、好ましくは0.1%以下、特に0.01%未満である。
環境的配慮から、ガラス組成として、実質的にAs、Sb、PbO、Bi及びFを含有しないことが好ましい。ここで、「実質的に~を含有しない」とは、ガラス成分として積極的に明示の成分を添加しないものの、不純物として混入する場合を許容する趣旨であり、具体的には、明示の成分の含有量が0.05%未満であることを指す。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、以下の特性を有することが好ましい。
ビッカース硬度は、好ましくは5.4GPa以上、5.7GPa以上、6.0GPa以上、6.3GPa以上、6.6GPa以上、特に6.9GPa以上である。ビッカース硬度が低過ぎると、表面傷が付き易くなる。
破壊靱性K1cは、好ましくは0.70MPa・m0.5以上、0.75MPa・m0.5以上、0.80MPa・m0.5以上、0.85MPa・m0.5以上、特に0.90MPa・m0.5以上である。破壊靱性K1cが低過ぎると、クラックが進展し易くなり、ガラスが破損し易くなる。
ブリトルネスは、好ましくは8.1μm-0.5未満、7.8μm-0.5未満、7.6μm-0.5未満、7.3μm-0.5未満、7.0μm-0.5未満、特に6.7μm-0.5以下である。ブリトルネスが高過ぎると、ガラスが脆くなって、表面傷が付き易くなる。
ヤング率は、好ましくは70GPa以上、75GPa以上、80GPa以上、85GPa以上、90GPa以上、特に95GPa以上である。ヤング率が低過ぎると、ガラスの平均結合強度が低くなって、クラックが進展し易くなる。
クラック抵抗は、好ましくは500gf以上であり、好ましくは700gf以上、1000gf以上、1400gf以上、1700gf以上、特に2000~5000gfである。クラック抵抗が低過ぎると、衝撃や熱応力により引っ張り応力が加わると、衝撃等により、潜在的に存在するクラックが進展し、ガラスが破損し易くなる。
結晶化度は、好ましくは30%以下、より好ましくは10%以下、特に好ましくは1%未満、つまり非晶質ガラスである。結晶化度が高過ぎると、ガラスを曲げ加工し難くなる。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、表面にイオン交換による圧縮応力層を有していないことが好ましい。これにより、イオン交換処理が不要になり、ガラスの製造コストを低廉化することができる。
以下のようにして、本発明のアルミノケイ酸塩ガラスを作製することができる。
まず所定のガラス組成になるように調合したガラス原料を連続溶融炉に投入して、1500~1700℃で加熱溶融し、清澄、攪拌した後、成形装置に供給して板状に成形し、徐冷することにより、アルミノケイ酸塩ガラスを作製することができる。
アルミノケイ酸塩ガラスは、種々の形状に成形されるが、カバーガラス等に適用する場合、平板形状に成形すること、つまりガラス板に成形することが好ましい。平板形状に成形する方法として、オーバーフローダウンドロー法を採用することが好ましい。オーバーフローダウンドロー法は、表面が未研磨の状態で、表面平滑性に優れたガラス板を大量に作製し得ると共に、大型のガラス板も容易に作製し得る方法である。なお、表面が未研磨であると、ガラス板の製造コストを低廉化することができる。
オーバーフローダウンドロー法以外にも、フロート法又はロールアウト法でガラス板を成形することも好ましい。特に、フロート法は、大型のガラス板を安価に作製し得る方法である。
ガラス板は、必要に応じて、面取り加工されていることが好ましい。その場合、#800のメタルボンド砥石等により、C面取り加工を行うことが好ましい。このようにすれば、端面強度を高めることができる。必要に応じて、ガラス板の端面をエッチングして、端面に存在するクラックソースを低減することも好ましい。
以下、実施例に基づいて、本発明を詳細に説明する。なお、以下の実施例は単なる例示である。本発明は以下の実施例に何ら限定されない。
表1は、本発明の実施例(試料No.1~8)と比較例(試料No.9、10)を示している。
Figure 0007339605000001
次のようにしてガラス板を作製した。表1に記載のアルミノケイ酸塩ガラスが得られるように、ガラス原料を調合した。次に、調合済みのガラスバッチを連続溶融炉に投入し、1600℃で20時間溶融した後、清澄、攪拌して、均質な溶融ガラスを得た上で、平板形状に成形した。得られたガラス板について、Alの配位数、ビッカース硬度Hv、破壊靱性K1c、ブリトルネスB、ヤング率、剛性率、ポアソン比及びクラック抵抗を評価した。
Alの配位数は、核磁気共鳴法(NMR)で測定したものである。27A NMRスペクトルは、BRUKER製の核磁気共鳴分光計を使用した。測定に際し、使用磁場を11.7T、共振周波数を500MHzとし、0.5μsのパルス励起を用いて測定し、遅れ速度を1s~2sとした。なお、「(5Al+6Al)/(4Al+5Al+6Al)」は、(5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)を表している。
ビッカース硬度Hvは、ビッカース硬度計にて100gfの荷重でビッカース圧子を押し込むことで測定した値である。
破壊靱性K1cは、日本工業規格JISR1607「ファインセラミックスの室温破壊じん(靱)性試験方法」で定められる、予き裂導入破壊試験方法(SEPB法:Single-Edge-Precracked-Beam-Method)で測定した値である。
ブリトルネスBは、ローン等によって脆さの指標として提案されたものであり(B.R. Lawn and D.B. Marshll, J.Am. Ceram.Soc., 62[7-8] 347-350(1979))、ビッカース硬度を破壊靱性K1cで除して求められる値である。
ヤング率と剛性率は、共振法により測定した値であり、ポアソン比は、ヤング率と剛性率から算出した値である。
クラック抵抗は、クラック発生率が50%となる荷重である。クラック発生率は、次のようにして測定した値である。まず湿度30%、温度25℃に保持された恒温恒湿槽内において、所定荷重に設定したビッカース圧子をガラス表面(光学研磨面)に15秒間打ち込み、その15秒後に圧痕の4隅から発生するクラックの数をカウント(1つの圧痕につき最大4とする)する。このようにして圧子を20回打ち込み、総クラック発生数を求めた後、(総クラック発生数/80)×100の式により求める。
図1は、試料No.1、2、9のガラスネットワーク中のAlの配位数の割合を示す核磁気共鳴法(NMR)の測定データである。
表1、図1から分かるように、試料No.1~8は、ガラスネットワーク中に5配位のAl及び/又は6配位のAlが存在しているため、破壊靱性K1c、ビッカース硬度Hv、ヤング率、クラック抵抗が高く、ブリトルネスBが低かった。一方、試料No.9、10は、ガラスネットワーク中に5配位のAl及び6配位のAlが存在していないため、破壊靱性K1c、ビッカース硬度Hv、ヤング率、クラック抵抗が低く、ブリトルネスBが高かった。
本発明のアルミノケイ酸塩ガラスは、スマートフォンのカバーガラスに好適であるが、それ以外にも、CSP、CCD、CIS等のイメージセンサー用基板やカバーガラス、窓ガラス、自動車のフロントガラス、ドアガラス、医薬品用管ガラス、耐熱食器等に適用可能である。

Claims (11)

  1. 板状であり、ガラス組成中のAlの含有量がMgOの含有量以上であり、SiOの含有量が50~67.5モル%(但し、SiOの含有量が50モル%である場合を除く)であり、Alの含有量が22.5~40モル%であり、MgOの含有量が10~30モル%であり、 の含有量が0~1モル%であり、モル比MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.8以上であり、ガラスネットワーク中に5配位のAl及び/又は6配位のAlを含むことを特徴とするアルミノケイ酸塩ガラス。
  2. (5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)が0.01以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  3. (5配位のAl+6配位のAl)/(4配位のAl+5配位のAl+6配位のAl)が0.03以上であることを特徴とする請求項1に記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  4. ガラス組成として、モル%で、SiO 50~67.5%(但し、SiOの含有量が50モル%である場合を除く)、Al 22.5~40%、LiO+NaO+KO+MgO+CaO+SrO+BaO 10~30%、MgO 10~30%、LiO+NaO+KO 0~20%、B 0~1%を含有し、モル比MgO/(MgO+CaO+SrO+BaO)が0.8以上であることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  5. ブリトルネスが8.1μm-0.5以下であることを特徴とする請求項1~4の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  6. ビッカース硬度が5.0GPa以上であることを特徴とする請求項1~5の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  7. 破壊靱性K1cが0.60MPa・m0.5以上であることを特徴とする請求項1~6の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  8. ヤング率が60GPa以上であることを特徴とする請求項1~7の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  9. クラック抵抗が500gf以上であることを特徴とする請求項1~8の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  10. 表面にイオン交換による圧縮応力層を有しないことを特徴とする請求項1~9の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
  11. カバーガラスに用いることを特徴とする請求項1~10の何れかに記載のアルミノケイ酸塩ガラス。
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