以下、本開示の実施形態を列記して例示する。
本開示のコンロバーナの製造方法では、上板部に対してバレル研磨を行うように、第1工程を行えば、上板部の上面にバレル研磨に起因する細かい傷を付けることができる。従って、第2工程での溶接に起因する上板部上面の溶接跡は、バレル研磨に起因する細かな傷に埋没しやすくなり、溶接跡として認識されにくくなる。したがって、出来上がったコンロバーナは、ユーザの視界に入りやすい上板部上面の溶接跡が目立ちにくくなり、美観が高まる。
本開示のコンロバーナの製造方法では、上記第2工程において、上板部と下板部とをプロジェクション溶接によって溶接してもよい。
この製造方法は、上板部と下板部とをプロジェクション溶接によって溶接するため、アーク溶接等に比べて、より短時間に熱を集中させることができるため、効率的で安定的な溶接を行うことができる。但し、プロジェクション溶接を採用すると、狭い領域に熱が集中することに起因する溶接跡が目立ってしまう懸念されるが、上述したバレル研磨を採用すれば、このような溶接跡を抑制することができる。つまり、この製造方法は、効率的かつ安定的な溶接と、美観の向上とを両立することができるため、より有用である。
本開示のコンロバーナの製造方法は、第1工程の後に第2工程を行ってもよい。
上板部と下板部とが溶接された後に、この溶接体に対してバレル研磨が行われると、バレル研磨の処理中に上板部と下板部との間に研磨材などが入り込んだり、上板部と下板部との間で位置ずれが生じたりする虞がある。しかし、上板部に対してバレル研磨が行われた後に、上板部と下板部とが溶接されれば、上記問題は生じにくくなる。
本開示のコンロバーナの製造方法は、第2工程の後にバレル研磨とは異なる研磨方法で上板部の上面部を研磨する第3工程を含んでいてもよい。
第2工程の後に、バレル研磨とは異なる研磨方法で上板部の上面部を研磨するように第3工程が行われれば、上板部の上面には第3工程に起因する光沢が付され、美観が一層高まる。しかも、上記製造方法は、バレル研磨に起因する傷内に溶接跡が埋没した上面に対して研磨を行うため、溶接跡が埋没した形で光沢を付けることができる。
<第1実施形態>
以下、第1実施形態について、図面を参照して説明する。
1.ガスコンロの概要
図1で示されるガスコンロ1は、コンロの一例に相当し、キャビネット(図1では図示省略)に組み込まれるビルトインコンロとして構成されている。
ガスコンロ1は、多数の部品が一体的に構成されたコンロ本体部1Aを備える。コンロ本体部1Aは、ガスバーナ(コンロバーナ)4,5,6、筐体2、天板3、などを備える。
以下の説明では、図1で示されるガスコンロ1において、板状に構成された天板3の板面方向(天板3の上面をなす所定の平坦面と平行な平面方向)のうち第1方向(図1の例では天板3を平面視したときの短手方向)が前後方向である。そして、上記第1方向と直交する第2方向(図1の例では、天板3を平面視したときの長手方向)が左右方向である。更に、前後方向及び左右方向と直交する方向が上下方向である。なお、図1の例では、上下方向は、天板3の板厚方向である。
筐体2は、例えば公知の金属材料を主体として構成され、ガスコンロ1の外郭部を構成しており、ガスバーナ4,5,6やその他の部品を収容する。筐体2は、左右方向両側に一対の側壁部を備えるとともに、これら側壁部の後端部に連結される形で後壁部(図1では図示省略)が設けられる。筐体2の前面部(図1では図示省略)は、フレーム状又は壁状に構成されており、例えば、上述の一対の側壁部に架け渡される形で配置されるフレーム部などを有する。更に、これら前面部、一対の側壁部、後壁部の下部には底壁部(図1では図示省略)が連結されている。筐体2は、これら前面部、一対の側壁部、後壁部、底壁部によって自身の内部空間が囲まれる構成をなし、上部が開口した箱状形態をなしている。
天板3は、筐体2の上端部に固定されており、筐体2の上端の開口を部分的に閉塞する構成で筐体2上に配置される。天板3は、平面視矩形状の板状形態をなしており、ガスバーナ4,5,6を露出させるための開口部(貫通孔)4A,5A,6Aが複数個形成された構成をなす。
ガスバーナ4,5,6は、天板3に形成された各開口部4A,5A,6Aにそれぞれ対応するように設けられている。具体的には、天板3における右端寄りかつ前端寄りの位置に形成された開口部4Aに挿入される形態でガスバーナ(右バーナ)4が設けられている。また、天板3における左端寄りかつ前端寄りの位置に形成された開口部5Aに挿入される形態でガスバーナ(左バーナ)5が設けられている。更に、また、天板3における中央奥側に形成された開口部6Aに挿入される形態でガスバーナ(奥バーナ)6が設けられている。更に、筐体2の中央付近には、グリル部8が設けられている。グリル部8は、箱状に構成されたグリル庫、グリル庫を開閉するグリル扉8B、ガスバーナとして構成されるとともにグリル庫内に配置されるグリルバーナ(図1では図示省略)、などを備える。
図1のように、筐体2の前面の右端寄りには2つの点火ボタン11,14(点火操作部)が設けられ、筐体2の前面の左端寄りにはもう2つの点火ボタン12,13が設けられている。点火ボタン11は、ガスバーナ4の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。点火ボタン12は、ガスバーナ5の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。点火ボタン13は、ガスバーナ6の点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。点火ボタン14は、グリル部8のガスバーナの点火操作及び消火操作を行うための操作ボタンである。各点火ボタン11,12,13,14は、前方側から視認可能な構成かつ前方側からの操作が可能な構成で配置されている。各点火ボタン11,12,13,14のいずれも、前方側に突出した突出位置と突出位置よりも後方側に退避した後退位置とに変位可能に構成されており、更に、各点火ボタン11,12,13,14のいずれも、回転可能に構成されている。
天板3に形成された複数の開口部(貫通孔)4A,5Aには、それぞれガスバーナ4,5の頭部を構成するバーナヘッド10がそれぞれ配置されている。同様に、開口部6Aには、ガスバーナ6の頭部を構成するバーナヘッド20が配置されている。そして、天板3上には、各バーナヘッド10,20をそれぞれ囲むように金属製の五徳7が設けられている。ガスバーナ4,5は、ガスバーナ6に対してサイズが異なるのみで実質的に同じ構成であり、以下、ガスバーナ6について詳述する。
ガスバーナ6は、燃料ガスと一次空気とを吸入するスロート部が接続されて燃料ガスと一次空気とを混合する図示しない混合気室を備えており、この混合気室にバーナ本体6Bが連通して接続されている。そして、バーナ本体6B上に、バーナヘッド20が載置されている。バーナヘッド20は、図2に示すように、外周に多数の炎孔30eが形成されたバーナヘッド本体30を備えており、図1に示すように、いずれかの炎孔30eの近傍には、点火用の電極6Cと火炎検出用の熱電対(図示略)と、が設けられている。複数の炎孔30eは、図5に示すように、主炎孔30fと副炎孔30kとを含んでいる。主炎孔30fは、副炎孔30kに比べて大きな火炎(加熱に大きく寄与する主炎)を形成する孔である。副炎孔30kは、主炎孔30fより小さい孔であり、主炎からの火移りによって副火炎(保炎するための袖火)を形成する孔である。なお、図2、図5等では、一部の炎孔30eの符号のみを図示しているが、炎孔30eは、バーナヘッド本体30の周方向全体にわたって多数形成されている。さらに、バーナ本体6B及びバーナヘッド20の中央を貫通するように温度センサ9が配置されている。この温度センサ9は、五徳7上に載置される調理器具(調理鍋等)の底に当接して調理器具底部の温度を検知するように機能する。
点火ボタン13を点火操作すると、バーナ本体6Bに対し、一次空気と共に燃料ガスが混合気室(図示略)を介して供給され、混合気となってバーナ本体6B上に載置されたバーナヘッド20の多数の炎孔30eから流出する。そして、コンロ本体部1Aの内部に設けられた図示しないコントローラが、当該バーナヘッド20の電極6Cをスパークさせて混合気に点火し、このバーナヘッド20の周囲に火炎を生じさせる。これにより、このバーナヘッド20の周囲の五徳7上に載置される調理器具の底部を加熱することができ、加熱調理が可能となる。
2.バーナヘッドの詳細構成
次に、バーナヘッド20の詳細構成について説明する。
図2~図4に示すように、バーナヘッド20は、環状のバーナヘッド本体30と、バーナヘッド本体30上に固定されるキャップ40と、を備えており、これらが互いに組み付けられ、全体として環状に構成されている。上方側に配置されるキャップ40は、円形の環状板として構成されたものであり、下方側に配置されるバーナヘッド本体30は、筒状構造となっている。以下、これらバーナヘッド本体30及びキャップ40の具体的構成を詳述する。
まず、バーナヘッド本体30の構成を詳述する。
図5に示すバーナヘッド本体30は、例えばアルミダイカスト等の金属材料によって構成されており、キャップ40の下方に位置し、このキャップ40の下面部を支持する機能を有する。このバーナヘッド本体30は、図3~図5のように、円筒状に構成された円筒状部30aと、円筒状部30aの上端側においてフランジ状に張り出す環状部30bと、を備えている。
円筒状部30aは、中心軸線Gを円筒の中心とするように円筒状に構成され、中心軸線Gに沿って延びている。円筒状部30aの内周面は、中心軸線Gを中心とする円筒面又は中心軸線Gを中心とする円筒面に沿った環状の面として構成されている。円筒状部30aの外周面も、中心軸線Gを中心とする円筒面又は中心軸線Gを中心とする円筒面に沿った環状の面として構成されている。環状部30bは、円筒状部30aの上端部に連結されるとともに当該上端部から中心軸線Gを中心とする半径方向外側に張り出すフランジ部として構成されている。環状部30bには上面部30cが設けられている。上面部30cは、環状部30b(フランジ部)における上側の板面を構成する部分であり、キャップ40の板部(上板部41及び下板部42)から距離を隔てて配置されるとともに下板部42の下面と距離を隔てて対向する環状の対向面(上面)を構成する部分である。上面部30cの表面(上記対向面)は、中心軸線Gと直交する仮想平面に沿った環状の面となっている。
バーナヘッド本体30の中央部には、上下に延びる貫通孔30dが形成されており、貫通孔30d内を通るように上下方向に気体が通過可能となっている。以下、これらバーナヘッド本体30及びキャップ40の具体的構成を詳述する。
図5に示すように、バーナヘッド本体30において、環状部30bの下面部には、上述の炎孔30eが周方向全体に亘って多数形成されている。また、環状部30bの下面部には、当該環状部30bの外縁部付近から下方に突出する突起30gが形成されている。本構成では、突起30gがバーナ本体6Bに形成された図示しない切欠き部に挿入されつつ、バーナヘッド本体30がバーナ本体6B上に載置されることで、バーナヘッド本体30がバーナ本体6B上で位置決めされている。また、環状部30bは、外周縁の大部分の形状が平面視円形状となっており、外周縁部の一部には、平面視したときに円形状となる外縁部分から外側に延び出る延出部30hが形成されている。この延出部30hは、図1に示す電極6Cと対向する部分である。
図5に示すように、バーナヘッド本体30の環状部30bにおいて、キャップ40と対向して配置される上面部30c側には、当該バーナヘッド本体30の周方向の複数位置に、キャップ40と係合する第1支持部31,32、第2支持部33,34が設けられている。上面部30cは、中心軸線G(図4、図10(A)参照)を中心として環状に構成される。第1支持部31,32、第2支持部33,34はいずれも、環状部30bの上面部30cから上方(キャップ40側)に向けて軸状に突出している。図5に示すように、第1支持部31,32、第2支持部33,34は、貫通孔30dの中心軸線G(すなわち、円筒状部30aの内面を構成する円筒面の中心軸)を中心とする周方向に並んでいる。
また、図5に示すように、環状部30bは、上面が環状の平坦面として構成される平坦面部30iが、環状部30bの外周縁付近において、この外周縁に沿って環状に配置されている。そして、平坦面部30iよりも中心側には、外面が中心軸線Gに近づくにつれて下位置になるテーパ状(すり鉢状)の部分30jが環状に配置されている。そして、第1支持部31,32、第2支持部33,34はいずれも、平坦面部30iとテーパ状の部分30jとに跨る位置からそれぞれ突出している。第1支持部31、第2支持部33,34は、円錐台形状である。また、第1支持部32は、第1支持部31に比べて内側(中心軸線G側)に張り出している。
第1支持部31,32は、図4、図10(A)に示すように、中心軸線Gを挟んで対向して配置されている。第1支持部31,32は、第2支持部33,34よりも径が大きくなっている。第1支持部31,32は、それぞれ外周面において中心軸線G側(他方の第1支持部側)に凹部31a,32aが形成されている。これら凹部31a,32aはいずれも、周方向(中心軸線Gを中心とする周方向)に沿った溝として構成されている。凹部31a,32aは、それぞれ第1支持部31,32における上下方向の中心位置付近に形成されている。より具体的には、凹部31aは、第1支持部31の外周面における内側(中心軸線G側)寄りの部分において中心軸線Gから離れる側に向かって凹むように構成されている。より具体的には、凹部31aは、中心軸線Gと直交し且つ凹部31aを通る仮想平面に沿った方向の切欠きとして構成されている。同様に、凹部32aは、第1支持部32の外周面における内側(中心軸線G側)寄りの部分において中心軸線Gから離れる側に向かって凹むように構成されている。より具体的には、凹部32aは、中心軸線Gと直交し且つ凹部32aを通る仮想平面に沿った方向の切欠きとして構成されている。凹部31a,32aの上下方向の幅(凹みの上下幅)よりも小さい厚さの部材であれば、第1支持部31,32における周方向一端側と周方向他端側との間を、凹部31a,32a内を通るように周方向に相対移動することが可能となる。本構成では、凹部31a内に後述する差込部51bが差し込まれた状態で、第1規制部51が第1支持部31に対し中心軸線Gの方向に相対移動することが規制されるようになっている。同様に、凹部32a内に後述する差込部52bが差し込まれた状態で、第1規制部52が第1支持部32に対し中心軸線Gの方向に相対移動することが規制されるようになっている。
第2支持部33,34は、図10(A)に示すように、中心軸線Gを中心とする周方向において第1支持部31,32から離れた位置、且つ第1支持部31,32よりも内側(中心軸線G側)に配置されている。すなわち、第2支持部33,34は、中心軸線Gを中心として第1支持部31,32の最外部(中心軸線Gとは反対側の基端部)を通る円Cよりも内側に位置している。中心軸線Gから第2支持部33,34までの最短距離は、中心軸線Gから各第1支持部31,32までの各最短距離のいずれよりも小さくなっている。なお、図10(A)では、円Cの一部(第1支持部31側の部分)のみを示している。
また、第2支持部33,34は、図10(A)に示すように、第1支持部31,32が対向する対向方向において第1支持部31側に寄った位置にそれぞれ配置され、且つ対向方向と交差する方向で対向して配置されている。具体的には、第1支持部31,32の中心(上下方向から見た中心)を通る直線L1に対して、第2支持部33,34の中心(上下方向から見た中心)を通る直線L2の交わる点Pが、中心軸線Gよりも第1支持部31側に寄った位置(中心軸線Gと第1支持部31との間の中心付近)に位置している。
また、第2支持部33,34は、図5に示すように、周方向において主炎孔30fが形成された領域を外れた位置に形成されている。具体的には、図10(A)に示す矢印方向が周方向である。また、例えば図10(A)の周方向に沿った範囲AR1,AR2は、周方向において主炎孔30fが形成された領域である。第2支持部33は、バーナヘッド本体30において、範囲AR1を外れた領域(範囲AR1に隣り合う領域)に形成されている。第2支持部34は、バーナヘッド本体30において、範囲AR2を外れた領域(範囲AR2に隣り合う領域)に形成されている。すなわち、第2支持部33,34は、上下方向で主炎孔30fと重ならない位置に形成されている。これにより、バーナヘッド本体30とキャップ40との間に形成される二次空気(燃料ガスと一次空気との混合ガスの燃焼に用いる空気)の流路が、主炎孔30fの上方で第2支持部33,34によって遮られないようになる。
次に、キャップ40について説明する。図3に示すように、キャップ40は、上板部41と、上板部41の下面側に固定される下板部42と、を有している。上板部41は、バーナヘッド本体30を覆うカバー部材である。下板部42は、バーナヘッド本体30と対向する対向面側(裏面側)に、第1支持部31,32に対応する第1規制部51,52と、第2支持部33,34に対応する第2規制部53,54と、が設けられている。そして、このキャップ40は、上述のバーナヘッド本体30上に載置されつつ、第1規制部51,52がそれぞれ第1支持部31,32に係合する。そして、キャップ40は、第2規制部53,54がそれぞれ第2支持部33,34に係合することで、バーナヘッド本体30に固定されるようになっている。
図3に示す上板部41は、環状且つ板状に構成された環状板として構成されている。上板部41は、例えば金属材料によって構成され、その上面部41dは、後述するようにバレル研磨が施されている。他部材が突出しない滑らか且つ光沢のある構成となっている。この上板部41において、外周部41aの大部分は、外形形状が略円形に構成されている。そして、外形形状が略円形に構成された部分から外側に延び出るように延出部41bが形成されている。延出部41bは、図4に示すように、キャップ40がバーナヘッド本体30に組み付けられたときにキャップ40の延出部30hと対向し、この延出部30hを覆う部分である。この延出部41bは、上述の電極6C(図1)の上方位置において、延出部30hの全体を覆うように、延出部30hよりも広い幅で且つ延出部30hよりも長い延出長さで形成されている。
また、図3に示すように、上板部41の中心部には、上述した円筒状部30aの内周面とほぼ同程度の径の貫通孔41cが、当該上板部41の厚さ方向に貫通する構成で形成されている。図4のように、この貫通孔41cは、上述の貫通孔30dの内部空間の上方に続くように、貫通孔30dと連通して配置されている。
下板部42は、上板部41の下面側に、例えば溶接等の公知の金属接合方法によって固定されている。具体的には、上板部41及び下板部42のいずれの板厚方向も上下方向に沿った方向となるように上板部41の下面が下板部42の上面と対向する構成で重ねられ、このように重ねられた状態で固定されている。下板部42の下面(バーナヘッド本体30と対向する側の対向面)は、図6に示すように、大部分がキャップ40の下面として構成されている。下板部42は、環状且つ板状に構成された環状板として構成されている。上板部41は、例えば金属材料によって構成されている。そして、下板部42の対向面側には、第1支持部31,32にそれぞれ対応する第1規制部51,52と、第2支持部33,34にそれぞれ対応する第2規制部53,54と、が形成されている。具体的には、第1規制部51は、第1支持部31に作用する規制部として第1支持部31に対応付けられており、具体的には、組み付け状態のときに自身の一部が第1支持部31に差し込まれる規制部として対応付けられている。同様に、第1規制部52は、第1支持部32に作用する規制部として第1支持部32に対応付けられており、具体的には、組み付け状態のときに自身の一部が第1支持部32に差し込まれる規制部として対応付けられている。また、第2規制部53は、第2支持部33に作用する規制部として第2支持部33に対応付けられており、具体的には、組み付け状態のときに自身の一部が第2支持部33の相対移動を規制する規制部として対応付けられている。第2規制部54は、第2支持部34に作用する規制部として第2支持部34に対応付けられており、具体的には、組み付け状態のときに自身の一部が第2支持部34の相対移動を規制する規制部として対応付けられている。
下板部42の外縁部42aは、図3、図10に示すように、第1外縁部42bと、第2外縁部42c,42dと、を有している。第1外縁部42bは、所定の中心位置(キャップ40がバーナヘッド本体30に組み付けられたときに中心軸線Gと重なる位置)を中心とする所定半径の円に沿った外縁形状をなす。第2外縁部42c,42dは、第1外縁部42bよりも中心位置側に絞り込まれた形状をなす。第2外縁部42c,42dと上記中心位置との距離(径)は、第1外縁部42bと中心位置との距離(径)よりも小さくなっている。第2外縁部42c,42dは、下板部42の外縁部42aの半分の領域に、互いに隣接して形成されている。具体的には、第2外縁部42cは、大外縁部42eと、大外縁部42eよりも径が小さい小外縁部42fと、を備えている。同様に、第2外縁部42dは、大外縁部42gと、大外縁部42gよりも径が小さい小外縁部42hと、を備えている。
また、下板部42の中心には、図3、図10に示すように、上記中心位置を含むように板厚方向に貫通する開口部42iが形成されている。開口部42iは、上記中心位置を中心とする円形状に形成されている。
第1規制部51,52は、図6に示すように、開口部42iの一部を径方向に切り欠いた部分において、周方向に延出する四角状の板片部分である。第1規制部51,52は、中心位置を挟んで対向する位置に形成されている。第1規制部51,52は、ともに周方向の一方側から他方側に向かう方向(図10(A)では上方から見て反時計回り方向)に延出している。第1規制部51は、下方に延出する基端部51aと、基端部51aの下端から水平方向に延出する差込部51bと、を備えている。差込部51bは、第1規制部51が第1支持部31に対して相対移動することによって凹部31aに差し込まれる。第1規制部52は、下方に延出する基端部52aと、基端部52aの下端から水平方向に延出する差込部52bと、を備えている。差込部52bは、第1規制部52が第1支持部32に対して相対移動することによって凹部32aに差し込まれる。より具体的には、上面部30cとキャップ40の下面(裏面)とが対向した対向状態、キャップ40における貫通孔41cの中心とバーナヘッド本体30における貫通孔30dの中心軸線Gとが平面視したときに重なるような位置関係(図4参照)となっている状態、差込部51bの上下方向(中心軸線Gの方向)の高さが凹部31aのおける凹み領域の高さ範囲内にある状態、差込部52bの上下方向(中心軸線Gの方向)の高さが凹部32aのおける凹み領域の高さ範囲内にある状態、をそれぞれ満たしつつ、上記対向状態及び上記位置関係(キャップ40における貫通孔41cの中心とバーナヘッド本体30における貫通孔30dの中心軸線Gとが平面視したときに重なるような位置関係)を維持しながらバーナヘッド本体30に対してキャップ40を相対的に回転したときに凹部31aに対して差込部51bが差し込まれるとともに凹部32aに対して差込部52bが差し込まれるようになっている。
第2規制部53,54は、図3、図6に示すように、それぞれ第2外縁部42c,42dから下方側に延出するように形成されている。第2規制部53は、第1係止片53aと、第2係止片53bと、第3係止片53cと、を備えている。第1係止片53aと第2係止片53bは、バーナヘッド本体30にキャップ40が組み付けられた状態で、周方向において第2支持部33の両側にそれぞれ配置される構成である。第1係止片53a、第2係止片53bは、図3に示すように、それぞれ大外縁部42e、小外縁部42fから延出する四角状の板片部分である。第1係止片53a、第2係止片53bは、所定の間隔(例えば第1係止片53aの周方向の幅程度)を空けて離間するように形成されている。第3係止片53cは、図6に示すように、開口部42iの一部を径方向に切り欠いた部分において、下方に延出する四角状の板片部分である。第3係止片53cは、周方向において第1係止片53aと第2係止片53bの間に位置している。
同様に、第2規制部54は、図3、図6に示すように、第1係止片54aと、第2係止片54bと、第3係止片54cと、を備えている。第1係止片54aと第2係止片54bは、バーナヘッド本体30にキャップ40が組み付けられた状態で、周方向において第2支持部34の両側にそれぞれ配置される構成である。第1係止片54a、第2係止片54bは、図3に示すように、それぞれ大外縁部42g、小外縁部42hから延出する四角状の板片部分である。第1係止片54a、第2係止片54bは、所定の間隔(例えば第1係止片54aの周方向の幅程度)を空けて離間するように形成されている。第3係止片54cは、開口部42iの一部を径方向に切り欠いた部分において、下方に延出する四角状の板片部分である。第3係止片54cは、周方向において第1係止片54aと第2係止片54bの間に位置している。
3.キャップの製造方法
次に、キャップ40の製造方法について、図7~図9、図12を参照して説明する。
キャップ40の製造方法は、主に、以下で説明する第1工程と、第2工程と、第3工程と、を行う。
まず、例えばBA(Bright Annealed)材を打ち抜いて上板部41を形成する。BA材は、例えばステンレスなどの金属に対して冷間圧延(金属部材を加熱せずに複数のローラの間を通して圧延する加工)を行った後、光輝熱処理(無酸化性雰囲気にて焼鈍する熱処理)を行うことで形成される。そして、第1工程として、上板部41に対してバレル研磨を行う。具体的には、バレル研磨は、公知のバレル研磨方法と同じように行われる。例えば、図7に示すように、バレル容器101に上板部41、メディア(研磨材)102、コンパウンド(研磨助剤)などを入れ、バレル容器101を回転させた際のメディア102との摩擦で上板部41を研磨する。
第1工程の後に第2工程を行う。第2工程では、上板部41と下板部42とを溶接する。具体的には、上板部41と下板部42とをプロジェクション溶接によって溶接する。図8(A)の×で示すように、プロジェクション溶接で上板部41と下板部42とを4か所で溶接する。プロジェクション溶接は、公知のプロジェクション溶接と同じように行われる。例えば、図8(B)に示すように、下板部42に突起部(プロジェクション)42jを設けて、上板部41と下板部42とを突起部42jのある位置において電極103,104で挟み込み、突起部42jを加圧する。そして、電極103,104を介して突起部42jに集中して大電流を流し、それにより生じる熱で突起部42jを溶かし、上板部41と下板部42との溶着を行う。これにより、キャップ40が形成される。
第1工程のバレル研磨によって、上板部41の上面部41dに満遍なく細かい傷を付けることができる。そのため、第2工程の溶接処理によって、上板部41の上面部41dに溶接跡が生じたとしても、上面部41dに満遍なく付いた細かい傷によって乱反射が生じて溶接跡を目立たなくすることができる。図12(A)のバーナキャップは、バレル研磨を行わず、プロジェクション溶接を用いて製造された従来のバーナキャップを、斜め上方から撮影した写真である。図12(A)のバーナキャップでは、上板部における上面部の溶接跡(丸印で囲まれた部分)が目立っている。一方で、図12(B)のバーナキャップは、バレル研磨を行った上で、プロジェクション溶接を用いて製造された本発明のバーナキャップを、斜め上方から撮影した写真である。図12(B)に示す本発明のバーナキャップでは、図12(A)に示す従来の構成に比べて、溶接跡が目立たなくなっている。
第2工程の後に第3工程を行う。第3工程では、バレル研磨とは異なる研磨方法で上板部41の上面部41dを研磨する。具体的には、図9に示すように、公知の電解研磨方法で電解研磨を行い、キャップ40をプラス側の電極105に取り付け、マイナス側の電極106との間で電解液107を介して直流電流を流し、上板部41における上面部41dの上面(表面)を溶解させて研磨する。これにより、上板部41における上面部41dの上面に光沢を付けることができ、溶着跡をより一層目立たなくさせることができる。
4.バーナヘッドの組み付け
次に、バーナヘッド本体30に対するキャップ40の組み付けについて、図10、図11を参照して説明する。なお、図10(A)、11では、主として組み付け時のバーナヘッド本体30の様子を上方側から示し、組み付けられるキャップ40の下板部42を二点鎖線にて仮想的に示している。
バーナヘッド本体30及びキャップ40は、図10(A)の状態、図11(A)の状態、図11(B)の状態の順に組み付けられる。まず、図10(A)のように、第1係止片53a,54aが後述する抜け止め姿勢となっていないキャップ40を用意する。そして、このキャップ40の下板部42の下面を第1支持部31,32、第2支持部33,34の先端にそれぞれ当接させた状態でバーナヘッド本体30上に載置する。このとき、キャップ40における貫通孔41cの中心と、バーナヘッド本体30における貫通孔30dの中心軸線Gとが、平面視したときに重なるような位置関係(図4参照)とする。また、図10(A)のように、各第1支持部31,32に対して、各差込部51b,52bがそれぞれ周方向一方側(図10(A)のように平面視したときの中心軸線Gを中心とする時計回り側)に少しずれた位置関係とする。このとき、第1規制部51,52はそれぞれ、周方向において、第1支持部31と第2支持部34との間、第1支持部32と第2支持部33との間にある。また、第2規制部53,54はそれぞれ、周方向において第2支持部33と第1支持部31との間、第2支持部34と第1支持部32の間にある。
図10(B)のように、第1係止片53a,54aが抜け止め姿勢となっていないキャップ40では、第1係止片53a,54aは、例えば、下板部42の下面から下方に延びるようになっている。この場合、図10(A)のような当接状態で、各第1係止片53a,54aと中心軸線Gまでの距離が、各第1支持部31,32において中心軸線Gから最も遠い位置までの距離よりも大きくなるようにすればよい。このようにすることで、後述する相対移動の際に、各第1係止片53a,54aが各第1支持部31,32と干渉しなくなる。
そして、図10(A)のような状態から、図11(A)の状態に相対移動させる。具体的には、キャップ40における貫通孔41cの中心と、バーナヘッド本体30における貫通孔30dの中心軸線Gとが、平面視したときにほぼ合うような位置関係(図4参照)を維持させる。そして、キャップ40の下板部42の下面を第1支持部31,32、第2支持部33,34の先端にそれぞれ当接させた状態を維持させる。その上で、バーナヘッド本体30に対し、キャップ40を周方向(具体的には、図10(A)において反時計回り)に相対的に回転させる。すなわち、キャップ40を、中心軸線Gを中心として回転する。
バーナヘッド本体30の上面部30cとキャップ40とが対向した状態で、キャップ40が上面部30cに対して相対的に回転することによって、差込部51b,52bが凹部31a,32aに差し込まれる。具体的には、上述したバーナヘッド本体30とキャップ40の当接状態では、各差込部51b,52bは、各凹部31a,32aと同程度の高さ(中心軸線Gの方向を高さ方向とした場合の高さ)で形成されている。そのため、上述したように当接状態を維持しつつ相対回転した場合には、各差込部51b,52bは、いずれも水平方向(中心軸線Gと直交する平面方向)且つ周方向に移動する。そして、図11(A)のように、水平方向且つ周方向に延びる各凹部31a,32aの内部に入り込むことになる。
第1規制部51,52の基端部51a,52aと中心軸線Gとの距離は、それぞれ凹部31a,32aと中心軸線Gとの距離と同程度になっている。すなわち、基端部51a,52aの中心軸線Gを中心とする回転軌道(キャップ40が回転するときの軌道)上にそれぞれ凹部31a,32aが位置している。そのため、差込部51b,52bがそれぞれ凹部31a,32aに入り込んだ後、更にある程度相対回転すると、図11(A)の状態になる。図11(A)の状態では、基端部51a,52aがそれぞれ各凹部31a,32aに入り込まずにそれぞれ第1支持部31,32の外周部に当接し、それ以上の同方向(図11(A)において反時計回り)の回転が規制される。
また、第2規制部53,54の第2係止片53b,54bと中心軸線Gとの距離は、それぞれ第2支持部33,34と中心軸線Gとの距離と同程度になっている。すなわち、第2係止片53b,54bの中心軸線Gを中心とする回転軌道(キャップ40が回転するときの軌道)上にそれぞれ第2支持部33,34が位置している。そのため、差込部51b,52bが各凹部31a,32aに入り込んだ後、更にある程度相対回転すると、図11(A)の状態になる。図11(A)の状態では、第2係止片53b,54bが第2支持部33,34の外周部に当接し、それ以上の同方向(図11(A)において反時計回り)の回転が規制される。すなわち、第2規制部53,54は、第2支持部33,34が当該第2規制部53,54に対して周方向の一方側(図11(A)において反時計回り)に相対移動することを規制する。逆に言えば、第2支持部33,34は、第2規制部53,54が当該第2支持部33,34に対して周方向に相対移動することを規制する。
第1係止片53a,54aは、図11(B)に示すように、各差込部51b,52bが各凹部31a,32aに差し込まれた後の塑性変形加工によって、規制姿勢とされる。具体的には、第1係止片53a,54aに対し、図11(B)に示す矢印の方向に押圧するように力を加える。これにより、下板部42の下面における各基端位置(第1係止片53a,54aが下板部42の下面から延び出る根元の位置)からバーナヘッド本体30の中心側に折り曲げるように加工することで、各々の第1係止片53a,54aを抜け止め姿勢にすることができる。図11(B)に示す抜け止め姿勢では、第1係止片53a,54aと中心軸線Gとの距離が、それぞれ第2支持部33,34と中心軸線Gとの距離と同程度になっている。すなわち、第1係止片53a,54aの中心軸線Gを中心とする(キャップ40が回転するときの軌道)上にそれぞれ第2支持部33,34が位置している。このため、図11(A)のような状態から図10(A)のような位置に戻そうとしても、第1係止片53a,54aがそれぞれ第2支持部33,34の外周部に当接し、それ以上の回転が規制される。すなわち、第2規制部53,54は、第2支持部33,34が当該第2規制部53,54に対して周方向の一方側(図11(B)において時計回り)に相対移動することを規制する。逆に言えば、第2支持部33,34は、第2規制部53,54が当該第2支持部33,34に対して周方向に相対移動することを規制する。
図11(B)に示すように、各凹部31a,32aに各差込部51b,52bが差し込まれた状態で、第1規制部51,52が第1支持部31,32に対し中心軸線Gの方向に相対移動することが規制される。また、第3係止片53c,54cは、それぞれ第2支持部33,34の中心軸線G側に配置されるとともに、第2支持部33,34が当該第2規制部53,54に対して中心軸線G側に相対移動することを規制する。逆に言えば、第2支持部33,34は、第2規制部53,54が当該第2支持部33,34に対して中心軸線Gとは反対側に相対移動することを規制する。
5.効果の例示
本構成のガスバーナの製造方法は、上板部41に対してバレル研磨を行うように、第1工程を行えば、上板部41の上面にバレル研磨に起因する細かい傷を付けることができる。従って、第2工程での溶接に起因する上板部41の上面の溶接跡は、バレル研磨に起因する細かな傷に埋没しやすくなり、溶接跡として認識されにくくなる。したがって、出来上がったガスバーナ6は、ユーザの視界に入りやすい上板部41の上面の溶接跡が目立ちにくくなり、美観が高まる。
本構成のガスバーナの製造方法は、上板部41と下板部42とをプロジェクション溶接によって溶接するため、アーク溶接等に比べて、より短時間に熱を集中させることができるため、効率的で安定的な溶接を行うことができる。但し、プロジェクション溶接を採用すると、狭い領域に熱が集中することに起因する溶接跡が目立ってしまう懸念されるが、上述したバレル研磨を採用すれば、このような溶接跡を抑制することができる。つまり、この製造方法は、効率的かつ安定的な溶接と、美観の向上とを両立することができるため、より有用である。
上板部41と下板部42とが溶接された後に、この溶接体に対してバレル研磨が行われると、バレル研磨の処理中に上板部41と下板部42との間に研磨材などが入り込んだり、上板部41と下板部42との間で位置ずれが生じたりする虞がある。しかし、上板部41に対してバレル研磨が行われた後に、上板部41と下板部42とが溶接されれば、上記問題は生じにくくなる。
第2工程の後に、バレル研磨とは異なる研磨方法で上板部41の上面部41dを研磨するように第3工程が行われれば、上板部41の上面には第3工程に起因する光沢が付され、美観が一層高まる。しかも、上記製造方法は、バレル研磨に起因する傷内に溶接跡が埋没した上面に対して研磨を行うため、溶接跡が埋没した形で光沢を付けることができる。
6.他の実施形態
本発明は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述又は後述の実施形態の特徴は、矛盾しない範囲であらゆる組み合わせが可能である。また、上述又は後述の実施形態のいずれの特徴も、必須のものとして明示されていなければ省略することもできる。更に、上述した実施形態を、次のように変更してもよい。
上述の実施形態では、コンロの一例としてビルトインコンロとして構成されるガスコンロ1を例示したが、テーブルコンロなどの他種のコンロであってもよい。
上述の実施形態では、キャップ40の製造方法において、第2工程で、上板部41と下板部42とを4か所で溶接したが、4か所以外の数の箇所で溶接を行ってもよい。
上述の実施形態において、キャップ40の製造方法で、第3工程(上板部41の上面部41dの電解研磨)の後に、さらに上板部41の上面部41dに対してバフ研磨を行ってもよい。
上述の実施形態では、第3工程として、上板部41の上面部41dに対して電解研磨を行ったが、電解研磨以外の研磨方法(例えばバフ研磨など)を用いてもよい。また、第3工程を行わない構成であってもよい。
なお、今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、今回開示された実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示された範囲内又は特許請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。