JP7337518B2 - トナー - Google Patents
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上記要求を満足させるためには、電子写真プロセスとして(1)現像性が変化しないこと(高耐久性)、(2)記録媒体上に潜像を乱さず転写すること、が必要である。そのため、トナーとしては高耐久性且つ高転写性が求められており、前記課題を解決すべく数多く改良が行われている。
高転写性という観点においては、トナー粒子へ添加する添加剤(外添剤とも呼ぶ)により、トナーと転写部材との付着力を制御することが行われている。例えば、特許文献1では単分散球形シリカをトナー粒子に添加することで、トナーの付着力を抑制することができ、トナーの転写性が向上するといったことが開示されている。
そのため、市場が要求する環境に依存しない安定した画像品質が得られ、且つ長期に亘る印刷が可能な高耐性に優れたトナーを得るためには、依然として諸特性の改善が必要とされている。
本発明の目的は、上記課題を解決したトナーを提供することである。すなわち、使用環境によらず安定した画像品質が得られ、長期に亘る印刷においても良好なトナー画像を形成することが可能なトナーを提供することである。
シリカ粒子
を含有するトナーであって、
該トナー粒子の表面が、ポリエステル樹脂を含有し、
該ポリエステル樹脂のエステル基濃度が、20質量%以上50質量%以下であり、
該シリカ粒子のBJH法により算出される平均細孔径が、5.0nm以上20.0nm以下であり、
細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲でBJH法により測定される該シリカ粒子の全細孔容積が、0.2cm3/g以上1.2cm3/g以下であり、
該シリカ粒子の平均円相当径が、10nm以上50nm以下であり、
該シリカ粒子の該平均細孔径(nm)に対する該全細孔容積(cm 3 /g)の比の値(全細孔容積/平均細孔径)が、0.07以上0.17以下である、
ことを特徴とするトナー。
すなわち、低温低湿環境下及び高温高湿環境下において外添剤に起因した部材汚染・融着が抑制された高耐久なトナーを得ることができる。また、低温低湿環境下及び高温高湿環境下において、カブリを抑制し、長期に亘る印刷においても良好な画像品質を得ることができる。
以下に、本発明の実施様態を具体的に説明する。
本発明は、結着樹脂を含有するトナー粒子及びシリカ粒子を含有するトナーであって、
該トナー粒子は、表面にポリエステル樹脂を含有し、
該ポリエステル樹脂のエステル基濃度が、20質量%以上50質量%以下であり、
該シリカ粒子のBJH法により算出される平均細孔径が5.0nm以上20.0nm以下であり、
細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲でBJH法により測定される該シリカ粒子の全細孔容積が、0.2cm3/g以上1.2cm3/g以下であることを特徴とする。
詳細なメカニズムについて本発明者らは以下のように推定する。
トナー粒子表面に存在するポリエステル樹脂のエステル基濃度は、20質量%以上50質量%以下であるため、トナー粒子表面が水分を保持しやすい傾向にある。
また、本発明に用いるシリカ粒子は、BJH法により算出される平均細孔径が5.0nm以上20.0nm以下であり、細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲でBJH法により測定される該シリカ粒子の全細孔容積0.2cm3/g以上1.2cm3/g以下である。このような細孔を有するシリカ粒子は、水分を保持しやすい傾向にある。
このようなトナー粒子表面にシリカ粒子が接触することで、保持した水分子同士を介してお互いの間に液架橋が発生し、トナー粒子表面とシリカ粒子表面に強い接着力が生じる。特に、シリカ粒子は小さな細孔を多く有するため、接着力を発現する点が多く存在する。そのおかげで、シリカ粒子がトナー粒子表面にしっかりと固着されるので、外添剤に起因した部材汚染・融着が抑制され、長期に亘り安定した画像品質を得られているのではないかと考えている。
BJH法により算出されるシリカ粒子の平均細孔径は、好ましくは7nm以上14nm以下である。シリカ粒子の平均細孔径は、湿式のシリカの製造方法においては反応時の温度やpHにより制御できる。
また、細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲でBJH法により測定される該シリカ粒子の全細孔容積は、好ましくは0.4cm3/g以上0.9cm3/g以下であ
る。シリカ粒子の全細孔容積は、湿式のシリカの製造方法においては反応時のpHや添加物(例えば、ジメチルホルムアルデヒドやホルムアルデヒド等の触媒)、更には熟成・乾燥の条件により制御できる。
ポリエステル樹脂をNMRで組成分析することにより、ポリエステル樹脂の各モノマーに由来する組成比率を求める。得られたモノマー組成より、下記式を用いてエステル基濃度を求める。カルボン酸成分中のカルボキシ基のモル当量数、及びアルコール成分中のヒドロキシ基のモル当量数を比較し、モル当量数が少ない方の成分(x)に着目する。成分(x)のモノマー質量、モノマー分子量及び官能基数並びに生成した樹脂の質量を下記式に代入する。成分(x)のモノマーが2種以上(n≧2)ある場合、それぞれについて計算した総和をエステル基濃度とする。
なお、本発明におけるエステル基濃度とは、ポリエステル樹脂中におけるエステル結合部“-COO-”(分子量44)の質量割合を意味する。
Q:生成した樹脂の質量(g)
R:モノマーの分子量
S:モノマーの官能基数(成分(x)がアルコールである場合はヒドロキシ基、カルボン酸である場合はカルボキシ基の数とする)
n:成分(x)のモノマーの種類(数)
核磁気共鳴分光分析(1H-NMR)[400MHz、CDCl3、温度(60℃)]を用いてポリエステル樹脂を組成分析する。
測定装置:FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:64回
また、核磁気共鳴分光分析(13C-NMR)[400MHz、CDCl3(TMS0.05%)、温度(40℃)]を用いてポリエステル樹脂を組成分析する。
測定装置:FT NMR装置 JNM-EX400(日本電子社製)
測定周波数:400MHz
パルス条件:5.0μs
周波数範囲:10500Hz
積算回数:16回
以下の方法により、トナーを用いてその表面に存在するポリエステル樹脂の組成分析を行うこともできる。
トナーをメタノールに超音波分散させて球状シリカ粒子や他の外添剤を分離して、24時間静置する。沈降したトナー粒子と、上澄み液に分散した球状シリカ粒子や他の外添剤とを分離、回収し、十分に乾燥させることで、トナー粒子を単離することができる。
単離したトナー粒子は、まず後述するTOF-SIMS分析により、トナー粒子表面にポリエステル樹脂が存在することを確認する。
続いてトナー粒子を、クロロホルムに溶解し、例えばマイショリディスクH-25-2(東ソー社製)などを使用して不溶分を除去する。次に、分取HPLC(例えば、日本分析工業社製 LC-9130 NEXT 分取カラム[60cm])に可溶分を導入し、分
取した各成分を、前述のNMR測定により組成分析を行う。
なお、結着樹脂が複数種存在する場合の、トナー粒子表面に存在する樹脂の特定は、極性の異なる各種溶媒を用いて、多段階溶媒抽出法や、ソックスレー抽出により表層樹脂成分を予め分取し、上記NMR分析を行うことで同定することができる。
また、トナーから表面のポリエステル樹脂の組成分析を行って、エステル基濃度を算出する場合、P:モノマーの質量、Q:生成した樹脂の質量、R:モノマーの分子量は以下のようにして求めることができる。
P:NMR分析用に分取したポリエステル樹脂の質量(g)とNMR分析から得られたmol比から算出
Q:分取したポリエステル樹脂の総質量(g)
R:NMR分析結果から同定されたモノマーの分子量
シリカ粒子の平均細孔径(nm)に対する全細孔容積(cm3/g)の比(全細孔容積/平均細孔径)は、0.03以上0.20以下であることが好ましく、0.07以上0.17以下であることがより好ましい。該比が0.03以上であることで上記効果を得られるとともに、低温低湿環境下におけるチャージアップに伴う紙上かぶりを良化することができる。
一方、当該比が、0.20以下であることで、上記効果を得られるとともに、高温高湿環境下における反転かぶりに伴う紙上かぶりを抑制できる。
上記範囲であると、トナー粒子表面にポリエステル樹脂が好適な量存在することを示しており、トナー粒子表面とシリカ粒子との接着力を更に高めることができる。(EI/Z
I)は、乾式製法ならば、トナー粒子の球形化処理時の熱条件やポリエステル樹脂とポリエステル樹脂以外の結着樹脂との混合比率により制御することができる。湿式製法においては(EI/ZI)は、ポリエステル樹脂の添加比率や水系媒体のpHや温度により制御できる。
上記範囲であると、耐久使用に伴う外添剤の埋め込みを抑制し、チャージアップによる紙上かぶりを良化できる点で好ましい。Asは、ワックスの添加量や、トナー粒子の製造工程におけるワックスの添加タイミング、ワックス分散剤の併用等により制御できる。
中でも、懸濁重合法により製造されるトナー粒子は、真球に近く、表面の凹凸が少ないため、シリカ粒子をトナー粒子上に均一に拡散しやすいために好ましい。すなわち、トナー粒子が懸濁重合トナー粒子であることが好ましい。
以下に、懸濁重合法によるトナー粒子の製造法について説明する。
まず、重合性単量体並びに必要に応じて着色剤及びワックスなどその他の添加剤を含む重合性単量体組成物を調製する。
着色剤は、予め媒体撹拌ミルなどで重合性単量体中に分散させた後に他の組成物と混合してもよいし、その他の組成物と同時、又は、その他の組成物を混合した後に分散させてもよい。
(造粒工程)
水系媒体に重合性単量体組成物を投入し、分散させ、重合性単量体組成物の液滴を形成させる。造粒工程には、公知の高剪断力を有する撹拌機などを用いることができる。
上述のようにして得られた重合性単量体組成物の液滴を重合工程に導入することにより、重合体微粒子を得る。重合工程には、温度調節可能な一般的な撹拌槽を用いることができる。
重合温度は、通常40℃以上、好ましくは50~90℃で行われる。重合温度は終始一定でもよいが、所望の分子量分布を得る目的で重合工程後半に昇温してもよい。
(蒸留工程)
未反応の重合性単量体や副生成物等の揮発性不純物を除去するために、重合終了後に、重合工程より得られるトナー粒子を含む重合スラリーに対して、蒸留操作を行い、一部水系媒体を留去してもよい。蒸留工程は、常圧又は減圧下で行うことができる。
重合体微粒子の表面に付着した分散安定剤を除去する目的で、重合体微粒子の分散液を酸又はアルカリで処理をすることもできる。この後、一般的な固液分離法により重合体微粒子は液相と分離されるが、酸又はアルカリ及びそれに溶解した分散安定剤成分を完全に取り除くため、再度水を添加して重合体微粒子を洗浄してもよい。この洗浄工程を何度か繰り返し、十分な洗浄が行われた後に、再び固液分離してトナー粒子を得る。得られたトナー粒子は必要であれば公知の乾燥手段により乾燥される。
(分級工程)
こうして得られたトナー粒子を、必要に応じて風力分級機などで分級を行うことにより、所望の粒度分布から外れる粒子を分別して取り除くこともできる。
流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、必要に応じて該シリカ粒子以外の外添剤として、流動化剤、クリーニング助剤などを含有してもよい。
その他の外添剤としては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、酸化チタン微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
これらの種々の外添剤の含有量は、その合計が、トナー粒子100質量部に対して、好ましくは0.05質量部以上5.00質量部以下である。本発明の効果が阻害されない限り、外添剤種並びに含有量は、適宜選択することができる。また、外添剤としては種々のものを組み合わせて使用してもよい。
トナー粒子は、スチレン系共重合体を主成分とするコア粒子の表面が、ポリエステル樹脂を主成分とするシェルで被覆されたコアシェル構造を有することが好ましい。本発明において、主成分とは、その含有量が50質量%~100質量%(好ましくは80質量%~100質量%、より好ましくは90質量%~100質量%)であることをいう。
び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド(好ましくはエチレンオキシド及びプロピレンオキシド)付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ソルビット、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン、イソソルビド等が挙げられる。
酸成分のうち、テレフタル酸、フマル酸、トリメリット酸及びトリメリット酸無水物からなる群から選択される少なくとも一のカルボン酸成分の含有量は、50モル%~100モル%であることが好ましい。
アルコール成分のうち、エチレングリコール、及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一の脂肪族アルコール成分の含有量は、10モル%~100モル%であることが好ましく、30モル%~80モル%であることがより好ましい。
ポリエステル樹脂の酸価は、4mgKOH/g~16mgKOH/gであることが好ましい。
テレフタル酸、フマル酸、トリメリット酸及びトリメリット酸無水物からなる群から選択される少なくとも一のカルボン酸成分と、
ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物、及びビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物からなる群から選択される少なくとも一の芳香族アルコール成分と、
エチレングリコール、及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一の脂肪族アルコール成分と、の縮重合体であることがより好ましい。
トナー粒子は表面にポリエステル樹脂を含有していればよく、その含有量は特に制限されない。結着樹脂中のポリエステル樹脂の含有量は、1質量%~100質量%が好ましく、4質量%~100質量%がより好ましい。
例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンのような芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレートのような二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物が挙げられる。これらは単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
マゼンタ用着色顔料としては、C.I.ピグメントレッド3、5、17、22、23、38、41、112、122、123、146、149、150、178、179、190、202、C.I.ピグメントバイオレット19、23が挙げられる。これらの顔料は、単独で使用しても良く、染料と顔料を併用してもよい。
シアン用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:3又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック、アニリンブラック、アセチレンブラック、チタンブラック及び上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
着色剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して3.0質量部以上15.0質量部以下であることが好ましい。
より具体的には、四三酸化鉄(Fe3O4)、三二酸化鉄(γ-Fe2O3)、酸化鉄亜鉛(ZnFe2O4)、酸化鉄銅(CuFe2O4)、酸化鉄ネオジウム(NdFe2O3)、酸化鉄バリウム(BaFe12O19)、酸化鉄マグネシウム(MgFe2O4
)、酸化鉄マンガン(MnFe2O4)が挙げられる。上述した磁性材料を単独で又は2種類以上を組合せて使用する。特に好適な磁性材料は、四三酸化鉄又はγ-三二酸化鉄の微粉末である。
磁性体は、結着樹脂100質量部に対して、10質量部以上200質量部以下の範囲で用いることが好ましく、より好ましくは20質量部以上150質量部以下である。
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して総量で2.5質量部以上40.0質量部以下であることが好ましく、3.0質量部以上15.0質量部以下であることがより好ましい。また、これらの離型剤は単一又は2種類以上を併用してもよく、好ましくは炭化水素ワックスとエステルワックスを併用することが定着性の観点で好ましい。
例えば、有機金属化合物、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物がある。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類などがある。
さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン、樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート等の4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサ
イド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイド等のジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;樹脂系帯電制御剤等が挙げられる。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。
使用するキャリアの平均粒径は、好ましくは10~100μm、より好ましくは20~50μmである。また、これらのキャリアとトナーを混合して二成分系現像剤を調製する場合の現像剤中のトナー濃度は、好ましくは2~15質量%程度である。
<シリカ粒子の円相当径の測定>
シリカ粒子の一次粒子を走査型電子顕微鏡SEM(Scanning Electron Microscope)装置((株)日立製作所製:S-4100)により観察して画像を撮影し、この画像を画像解析装置(LUZEXIII、(株)ニレコ製)に取り込み、一次粒子の画像解析によって粒子ごとの面積を測定し、この面積値から円相当径を算出する。この円相当径の算出をシリカ粒子100個について実施してその相加平均を平均円相当径とする。
シリカ粒子の疎水化度は、粉体濡れ性試験機「WET-100P」(レスカ社製)によって測定する。
直径5cm及び厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に、フッ素樹脂コーティングされた長さ25mm及び最大胴径8mmの紡錘型回転子を入れる。上記円筒型ガラス容器中にメタノール50体積%と水50体積%とからなる含水メタノール液70mlを入れた後、シリカ粒子0.5gを添加し、粉体濡れ性試験機にセットした。マグネティックスターラーを用いて、回転数3.3回/秒で撹拌しながら、上記粉体濡れ性試験機を通して、メタノールを0.8mL/分の速度で液中に添加する。波長780nmの光で透過率を測定し、透過率が50%に達した時のメタノールの体積百分率(=(メタノールの体積/混合物の体積)×100)により表される値を疎水化度とする。試料の疎水化度に応じて、最初のメタノールと水の体積比率は適宜調整する。
シリカ粒子の平均細孔径及び全細孔容積は、細孔分布測定装置Tristar3000(島津製作所社製)を用いて、試料表面に窒素ガスを吸着させるガス吸着法により測定する。測定方法は、島津製作所社発行の操作マニュアルに従う。
まず、試料管にサンプル約0.5gを入れ、100℃で24時間真空引きを行う。真空引き終了後サンプル重量を精秤し、サンプルを得る。得られたサンプルから、上記細孔分布測定装置を用いて、BJH法により、平均細孔径及び細孔径1.7nm以上300.0
nm以下の範囲における全細孔容積を求めることができる。測定に必要な密度の値には、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定される真密度の値を用いる。
酸価は試料1gに含まれる酸を中和するために必要な水酸化カリウムのmg数である。本発明における酸価は、JIS K 0070-1992に準じて測定されるが、具体的には、以下の手順に従って測定する。
0.1モル/l水酸化カリウムエチルアルコール溶液(キシダ化学社製)を用いて滴定を行う。上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液のファクターは、電位差滴定装置(京都電子工業株式会社製 電位差滴定測定装置AT-510)を用いて求めることができる。0.100モル/l塩酸100mlを250mlトールビーカーに取り、上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液で滴定し、中和に要した上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液の量から求める。上記0.100モル/l塩酸は、JIS K 8001-1998に準じて作製されたものを用いる。
下記に酸価測定の際の測定条件を示す。
滴定装置:電位差滴定装置AT-510(京都電子工業株式会社製)
電極:複合ガラス電極ダブルジャンクション型(京都電子工業株式会社製)
滴定装置用制御ソフトウエア:AT-WIN
滴定解析ソフト:Tview
滴定時における滴定パラメーター及び制御パラメーターは下記のように行う。
滴定パラメーター
滴定モード:ブランク滴定
滴定様式:全量滴定
最大滴定量:20ml
滴定前の待ち時間:30秒
滴定方向:自動
制御パラメーター
終点判断電位:30dE
終点判断電位値:50dE/dmL
終点検出判断:設定しない
制御速度モード:標準
ゲイン:1
データ採取電位:4mV
データ採取滴定量:0.1ml
本試験;
測定サンプル0.100gを250mlのトールビーカーに精秤し、トルエン/エタノール(3:1)の混合溶液150mlを加え、1時間かけて溶解する。上記電位差滴定装置を用い、上記水酸化カリウムエチルアルコール溶液を用いて滴定する。
空試験;
試料を用いない(すなわちトルエン/エタノール(3:1)の混合溶液のみとする)以外は、上記操作と同様の滴定を行う。
得られた結果を下記式に代入して、酸価を算出する。
A=[(C-B)×f×5.611]/S
(式中、A:酸価(mgKOH/g)、B:空試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(ml)、C:本試験の水酸化カリウムエチルアルコール溶液の添加量(ml)、f:水酸化カリウム溶液のファクター、S:試料の質量(g)である。)
ポリエステル樹脂の軟化点の測定は、定荷重押し出し方式の細管式レオメータ「流動特
性評価装置 フローテスターCFT-500D」(島津製作所社製)を用い、装置付属のマニュアルに従って行う。本装置では、測定試料の上部からピストンによって一定荷重を加えつつ、シリンダに充填した測定試料を昇温させて溶融し、シリンダ底部のダイから溶融された測定試料を押し出し、この際のピストン降下量と温度との関係を示す流動曲線を得ることができる。
本発明においては、「流動特性評価装置 フローテスターCFT-500D」に付属のマニュアルに記載の「1/2法における溶融温度」を軟化点とする。なお、1/2法における溶融温度とは、次のようにして算出されたものである。まず、流出が終了した時点におけるピストンの降下量Smaxと、流出が開始した時点におけるピストンの降下量Sminとの差の1/2を求める(これをXとする。X=(Smax-Smin)/2)。そして、流動曲線においてピストンの降下量がXとSminの和となるときの温度が、1/2法における溶融温度である。
測定試料は、約1.0gのポリエステル樹脂を、25℃の環境下で、錠剤成型圧縮機(例えば、NT-100H、エヌピーエーシステム社製)を用いて約10MPaで、約60秒間圧縮成型し、直径約8mmの円柱状としたものを用いる。
CFT-500Dの測定条件は、以下の通りである。
試験モード:昇温法
開始温度:50℃
到達温度:200℃
測定間隔:1.0℃
昇温速度:4.0℃/min
ピストン断面積:1.000cm2
試験荷重(ピストン荷重):2.0kgf(0.9807MPa)
予熱時間:300秒
ダイの穴の直径:1.0mm
ダイの長さ:1.0mm
TOF-SIMSを用いたトナー粒子表面のポリエステル量の測定には、例えば、ポリエステル樹脂がフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸由来の構造を有する場合、アルバック・ファイ社製、TRIFT-IVを使用できる。分析条件は以下の通り行った。
サンプル調整:トナー粒子をインジウムシートに付着させる。なお、トナーからシリカ粒子を分離して得られたトナー粒子を試料として用いてもよい。
サンプル前処理:なし
一次イオン:Au+
加速電圧:30kV
電荷中和モード:On
測定モード:Positive
ラスター:100μm
エステル基を含むフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸由来のピーク強度(EI)の算出:アルバック・ファイ社標準ソフト(Win Cadense)に従い、質量数148~150の合計カウントピーク数をピーク強度(EI)とする。
その他の樹脂由来ピーク強度の算出:アルバック・ファイ社標準ソフト(Win Cadense)に従い、質量数90~105の合計カウントピーク数をその他の樹脂由来のピーク強度とした。このピーク強度と上記エステル基を含むフタル酸、イソフタル酸又はテレフタル酸由来のピーク強度(EI)の合計値をトナー粒子表面の樹脂由来のピーク強度(ZI)とする。
EI/ZIを上記ピーク強度より算出する。例えばEI/ZI≧0.5の場合にトナー粒子表面にポリエステル樹脂が存在すると判断する。
トナー粒子の粒径は細孔電気抵抗法により測定することができる。例えば「コールター・カウンター Multisizer 3」と、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3Version3.51」(ベックマン・コールター株式会社製)を用いて測定及び算出することができる。
細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置(商品名:コールター・カウンター Multisizer 3)と、専用ソフト(商品名:ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51、ベックマン・コールター社製)を用いる。アパーチャー径は100μmを用い、実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで測定し、測定データの解析を行い、算出する。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、ベックマン・コールター社製のISOTON II(商品名)が使用できる。
なお、測定、解析を行う前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOM)を変更画面」において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は(標準粒子10.0μm、ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。閾値/ノイズレベルの測定ボタンを押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON II(商品名)に設定し、測定後のアパーチャーチューブのフラッシュにチェックを入れる。
専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定画面」において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μm以上60μm以下に設定する。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。ここにコンタミノンN(商品名)(精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業(株)製)をイオン交換水で3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器(商品名:Ultrasonic Dispersion System Tetora150、日科機バイオス(株)製)
の水槽内にイオン交換水所定量とコンタミノンN(商品名)を約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー(粒子)約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナー(粒子)を分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、重量平均粒径(D4)を算出する。なお、専用ソフトでグラフ/体積%と設定したときの、分析/体積統計値(算術平均)画面の「平均径」が重量平均粒径(D4)である。専用ソフトでグラフ/個数%と設定したときの、「分析/個数統計値(算術平均)」画面の「平均径」が個数平均粒径(D1)である。
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA-3000」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定及び解析条件で測定する。
具体的な測定方法は、以下の通りである。まず、ガラス製の容器中に予め不純固形物などを除去したイオン交換水約20mlを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.2ml加える。更に測定試料を約0.02g加え、超音波分散器を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。超音波分散器としては、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散器(例えば「VS-150」(ヴェルヴォクリーア社製))を用い、水槽内には所定量のイオン交換水を入れ、この水槽中に前記コンタミノンNを約2ml添加する。
測定には、対物レンズとして「LUCPLFLN」(倍率20倍、開口数0.40)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調製した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測する。そして、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定し、トナー粒子の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scien
tific社製の「RESEARCH AND TEST PARTICLES Latex Microsphere Suspensions 5100A」をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用する。解析粒子径を円相当径1.977μm以上、39.54μm未満に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行う。
トナーの断面を透過型電子顕微鏡で観察し、ワックスによって形成されたドメインの断面積からAsを算出し、任意に選択したトナー10個の平均値を採用する。詳細には、トナーを可視光硬化性包埋樹脂(D-800、日新EM社製)で包埋し、超音波ウルトラミクロトーム(EM5、ライカ社製)により60nm厚に切削し、真空染色装置(フィルジェン社製)によりRu染色(RuO4ガス500Pa雰囲気で15分間染色)を行う。
その後、透過型電子顕微鏡(H7500、日立社製)により加速電圧120kVで観察を行う。観察するトナー断面は、重量平均粒子径から±2.0μm以内のものを10個選んで撮影を行う。得られた画像に画像処理ソフト(Photoshop 5.0、Adobe製)を用い、しきい値調整により2諧調化することでワックスのドメインと結着樹脂の領域の区別を明確化する。
トナー粒子の表面(断面の輪郭)から1.0μmまで(1.0μmの境界を含む)の領域を残しマスキングを行い、残った領域の面積におけるワックスのドメインの占有面積百分率を算出し、トナー10個の平均値をAs(面積%)とする。
撹拌器、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置にテレフタル酸 47モル部、イソフタル酸 3モル部、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物) 26モル部、エチレングリコール 18モル部及びテトラブトキシチタン 1000ppmを入れ、190℃でエステル化反応を行った。
その後、無水トリメリット酸(TMA) 6モル部を加え、220℃に昇温すると共に系内を徐々に減圧し、150Paで重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂1を得た。得られたポリエステル樹脂1の物性を表1に示す。
ポリエステル樹脂1の製造例に記載のモノマーを表1に記載のモノマーに変更する以外は同様に行いポリエステル樹脂2~7を得た。物性を表1に示す。
撹拌機、滴下ノズル、温度計を具備した1.5Lのガラス製反応容器にメタノール500部、10質量%アンモニア水で用いてpHを7.2に調整した水70部を添加して混合し、触媒溶液を得た。
このアルカリ触媒溶液を30℃に調整した後、撹拌しながら、テトラメトキシシラン(TMOS)100部とジメチルホルムアミド20部と1.0質量%アンモニア水20部とを同時に60分かけ滴下して、親水性のシリカ粒子分散液を得た。
その後、得られたシリカ粒子分散液をロータリーフィルターR-ファイン(寿工業社製)で固形分濃度40質量%まで濃縮してシリカ粒子分散液を得た。
シリカ粒子分散液250部に、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)40部を添加し、130℃で2時間反応させた後、冷却した後、噴霧乾燥により乾燥し、第1のシリカ粒子1を得た。得られたシリカ粒子1の物性を表2に示す。
シリカ粒子1の製造条件の一部を表2に示す条件に変更した以外はシリカ粒子1と同様にしてシリカ粒子2~10を作製した。物性を表2に示す。なお、触媒溶液に添加する水のpHは、10質量%アンモニア水及び10質量%塩酸を使用して調整した。
爆燃法により体積平均粒径(Dv)100nmのシリカ粒子(ヒュームドシリカ)を作製した。これを分級し、体積平均粒径(Dv)68nmの未処理のシリカ粒子を得た。未処理のシリカ粒子をシリカ粒子1と同様にHMDSにて表面処理し、シリカ粒子11を得た。得られたシリカ粒子11の物性を表2に示す。
(水系媒体の調製)
造粒タンクにイオン交換水100.0部、リン酸ナトリウム2.0部、10質量%塩酸0.9部を添加し、50℃に加熱保持した。これに、イオン交換水8.2部に塩化カルシウム6水和物1.2部を溶解し塩化カルシウム水溶液を添加し、TK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて周速25m/sにて30分撹拌することで、難水溶性無機微粒子を含有する水系媒体を得た。
(顔料分散組成物の調整)
スチレン 39.0部
Nipex35 6.5部
荷電制御剤(ボントロンE88;オリエント化学工業社製) 0.5部
上記材料を、アトライター(日本コークス社製)に導入し、半径1.25mmのジルコニアビーズを用いて200rpmにて25℃で180分間撹拌を行い、顔料分散組成物を調製した。
下記材料を同一容器内に投入しTK式ホモミキサー(特殊機化工業製)を用いて、周速20m/sにて混合・分散した。
・顔料分散組成物 46.0部
・スチレン 33.0部
・n-ブチルアクリレート 28.0部
・ポリエステル樹脂1 6.0部
・スルホン酸基含有樹脂(アクリベースFCA-1001-NS、藤倉化成製)
1.0部
さらに、60℃に加温した後、ジペンタエリスリトール5.0部、炭化水素ワックス(吸熱ピークが最大となる温度77℃)7.5部を投入し、30分間分散・混合を行い、着色剤含有組成物を調製した。
難水溶性無機微粒子を含有する水系分散媒体中に着色剤含有組成物を投入し、温度60℃、窒素雰囲気下において、TK式ホモミキサーにて周速30m/sで撹拌した。
これに、重合開始剤t-ヘキシルパーオキシピバレート(日本油脂社製、商品名「パーヘキシルPV」、分子量:202、10時間半減期温度:53.2℃)5.0部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
重合性単量体組成物の分散液を別のタンクに移し、パドル撹拌翼で撹拌しつつ温度70℃に昇温し、6時間反応させた。その後、更に90℃に昇温し、6時間反応させた。
重合工程終了後、重合スラリーに120℃の水蒸気を30.0部/hrの流量で供給を開始した。水蒸気供給開始後、98℃に達した時点から蒸留開始とし、8時間蒸留を行った。
冷却後、塩酸を加えpHを1.4にし、2時間撹拌しトナー粒子の分散液を得た。トナー粒子の分散液を濾別し、水洗後に温度40℃にて48時間乾燥し、分級することでトナー粒子1を得た。得られたトナー粒子1の物性を表3に示す。
[外添工程]
得られたトナー粒子1: 100.0部に対して、下記材料をヘンシェルミキサー(三井三池化工機(株)製FM-10型)で混合して、トナー1を得た。なお、ヘンシェルミキサーのジャケットは、30℃になるように温度調整を行った。
・シリカ粒子1 1.0部
・ヘキサメチルジシラザン25質量%で表面処理した一次粒子の個数平均粒径20nmの疎水性シリカ微粒子 0.5部
トナー粒子1の製造例において、ポリエステル樹脂を表3に記載のように変更する以外は同様に行いトナー粒子2を得た。物性を表3に示す。
(ポリエステル樹脂粒子分散液の調製)
・ポリエステル樹脂2 200部
・イオン交換水 500部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1mol/L炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくした。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部とイオン交換水297部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散することでポリエステル樹脂粒子分散液を得た。
このポリエステル樹脂粒子分散液の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれるポリエステル樹脂粒子分散液の個数平均粒径は、0.25μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
・イオン交換水 500部
・ワックス(炭化水素ワックス;吸熱ピークが最大となる温度77℃) 250部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1mol/L炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくした。その後、
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部とイオン交換水245部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散してワックス粒子分散液を得た。
このワックス粒子分散液に含まれるワックス粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれるワックス粒子の個数平均粒径は、0.35μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
・Nipex35 100部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 5部
・イオン交換水 400部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液に含まれる着色剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の個数平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
・ポリエステル樹脂粒子分散液 500部
・着色剤粒子分散液 50部
・ワックス粒子分散液 50部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 5部
反応器(容積1リットルフラスコ、バッフル付きアンカー翼)にポリエステル樹脂粒子分散液、ワックス粒子分散液及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを仕込み、均一に混合した。一方、500mLビーカーに着色剤粒子分散液を均一に混合しておき、これを撹拌しながら反応器に徐々に添加し混合分散液を得た。得られた混合分散液を撹拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を固形分として0.5部、滴下し凝集粒子を形成させた。
滴下終了後、窒素を用いて系内を置換し、50℃にて1時間、さらに55℃にて1時間保持した。
その後昇温して90℃にて30分保持した。その後、63℃まで降温したのち3時間保持させ、融合粒子を形成させた。このときの反応は窒素雰囲気下で行った。所定時間終了後、毎分0.5℃の降温速度にて室温になるまで冷却を行った。
冷却後、反応生成物を10L容量の加圧濾過器にて、0.4MPaの圧力下で固液分離を行い、トナーケーキを得た。その後、イオン交換水を加圧濾過器に満水になるまで加え、0.4Mpaの圧力で洗浄した。さらに同様に洗浄して、計3回洗浄し固液分離をした。
固液分離をしたのち、45℃で流動層乾燥を行い、分級することでトナー粒子3を得た。得られたトナー粒子3の物性を表3に示す。
トナー粒子1の製造例において、ポリエステル樹脂を表3に記載のように変更する以外は同様に行いトナー粒子4~7を得た。物性を表3に示す。
トナー粒子3の製造例において、使用するポリエステル樹脂2をポリエステル樹脂7に変更する以外はトナー3の製造例と同様にして、トナー粒子8を得た。物性を表3示す。
トナー1の製造例において、用いるトナー粒子及びシリカ粒子の組み合わせを表4のように変更して、それぞれトナー2~17を得た。
<画像評価>
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタ〔HP Color LaserJet Enterprise M855]
を一部改造して評価を行った。改造は一色のトナーカートリッジとイメージングドラムを装着するだけでも作動するよう改良した。また、プロセススピードを55ppmになるよう改造した。さらに、定着器を任意の温度に変更できるように改造した。
また、イメージングドラムの現像ローラー及びトナー供給ローラー部周りのギアを変更することで、現像ローラー部とトナー供給ローラー部の回転方向が同方向回転から逆方向回転になるよう改造した。
このカラーレーザープリンタに搭載されていたブラックトナー用のトナーカートリッジ及びイメージングドラムの中に入っているトナーを抜き取り、エアーブローにて内部を清掃した後、トナーカートリッジに評価するトナー(425g)を、イメージングドラムに評価するトナー(127g)を導入した。トナーを詰め替えたトナーカートリッジ及びイメージングドラムをカラーレーザープリンタに装着し、以下の画像評価を行った。具体的
な画像評価項目は下記の通りである。
低温低湿環境下(15℃、10%RH)及び高温高湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、横線で1%の印字率の画像を30000枚プリントアウト試験した。試験終了後、48時間放置してからさらにプリントアウトした画像の非画像部の反射率(%)を「REFLECTOMETER MODEL TC-6DS」(東京電色社製)で測定した。
得られた反射率を、同様にして測定した未使用のプリントアウト用紙(標準紙)の反射率(%)から差し引いた数値(%)を用いて、下記基準で評価した。数値が小さい程、画像カブリが抑制されていることになる。評価は、グロス紙モードで、普通紙(HP Brochure Paper 200g , Glossy、HP社製、200g/m2)を用いて行った。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:0.5%未満
B:0.5%以上1.5%未満
C:1.5%以上3.0%未満
D:3.0%以上
低温低湿環境下(15℃、10%RH)及び高温高湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、初期にハーフトーン画像を出力し、画像上に濃淡ムラがないことを確認した。その後、縦線で30%の印字率の画像を50000枚印字した。なお、本試験にあたり、トナーカートリッジの容量が無くなったら新しく用意したトナーカートリッジに差し替えながら試験を実施した。
50000枚印字した後、ハーフトーン画像を出力して、ハーフトーン画像上に印字画像部と非印字画像部の間で濃淡ムラが発生していないか目視で評価した。その後、トナー担持体表面のトナーをエアーで吹き、トナー担持体表面の観察を行い、以下の基準で評価した。C以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:画像上に濃淡ムラの発生がなく、トナー担持体表面にフィルミングがない
B:画像上に濃淡ムラの発生はないが、トナー担持体表面に若干のフィルミングが確認される
C:画像上に軽度な濃淡ムラ発生
D:画像上に醜い濃淡ムラ発生
高温高湿環境下(温度33℃/湿度85%RH)において、ベタ画像(印字率100%)の画像を連続で200枚印字した。200枚全ての画像を目視で以下の基準により評価した。B以上を良好と判断した。
(評価基準)
A:200枚全てきれいなベタ画像であった
B:端部にトナーが供給されていないような画像が1、2枚ほど確認された
C:端部にトナーが供給されていないような画像が3~10枚ほど確認された
実施例1の結果を表5に示す。表5に示すように、実施例1の結果はいずれも良好であった。
実施例2~13では、トナーとして、トナー2~13をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表5に示す。尚、実施例6~10及び12は参考例として評価を行った。
比較例1~4では、トナーとしてトナー14~17をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表5に示す。
Claims (7)
- 結着樹脂を含有するトナー粒子、及び、
シリカ粒子
を含有するトナーであって、
該トナー粒子の表面が、ポリエステル樹脂を含有し、
該ポリエステル樹脂のエステル基濃度が、20質量%以上50質量%以下であり、
該シリカ粒子のBJH法により算出される平均細孔径が、5.0nm以上20.0nm以下であり、
細孔径1.7nm以上300.0nm以下の範囲でBJH法により測定される該シリカ粒子の全細孔容積が、0.2cm3/g以上1.2cm3/g以下であり、
該シリカ粒子の平均円相当径が、10nm以上50nm以下であり、
該シリカ粒子の該平均細孔径(nm)に対する該全細孔容積(cm 3 /g)の比の値(全細孔容積/平均細孔径)が、0.07以上0.17以下である、
ことを特徴とするトナー。 - 前記シリカ粒子が、湿式シリカである、請求項1に記載のトナー。
- 前記シリカ粒子の疎水化度が、40%以上65%以下である、請求項1又は2に記載のトナー。
- 飛行時間型二次イオン質量分析法TOF-SIMSによる前記トナー粒子の表面の樹脂由来のイオンフラグメントのピーク強度の和(ZI)に対するエステル基由来のイオンフラグメントのピーク強度(EI)の和の比の値(EI/ZI)が、0.5以上である、請求項1~3のいずれか一項に記載のトナー。
- 前記ポリエステル樹脂が、
テレフタル酸、フマル酸、トリメリット酸及びトリメリット酸無水物からなる群から選択される少なくとも一のカルボン酸成分と、
エチレングリコール、及びネオペンチルグリコールからなる群から選択される少なくとも一の脂肪族アルコール成分と、
を含有するモノマーの縮重合体である、
請求項1~4のいずれか一項に記載のトナー。 - 前記トナー粒子が、ワックスを含有し、
透過型電子顕微鏡を用いた前記トナーの断面観察において、前記トナー粒子の表面から1.0μmまでの領域におけるワックスの占める面積の割合をAsとしたとき、Asが、5%以上40%以下である、
請求項1~5のいずれか一項に記載のトナー。 - 前記トナー粒子が、懸濁重合トナー粒子である、請求項1~6のいずれか一項に記載のトナー。
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