JP7336419B2 - 熱硬化性エポキシ樹脂組成物、熱硬化性エポキシ樹脂シート、及びその硬化物 - Google Patents

熱硬化性エポキシ樹脂組成物、熱硬化性エポキシ樹脂シート、及びその硬化物 Download PDF

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Description

本発明は熱硬化性エポキシ樹脂組成物、該組成物をシート状に成型してなる熱硬化性エポキシ樹脂シート、及びその硬化物に関する。特には、半導体封止用の熱硬化性エポキシ樹脂シートに関する。
ICやウエハ、受動部品の封止、保護材としては、現在、液状樹脂や固形エポキシ樹脂が用いられている。
液状樹脂は、塗布量の制御に精密な粘度管理及び温度管理が必要であり厚み管理が難しい。また、塗布後硬化させる際の硬化時間が長いといった問題がある。さらに、無溶剤系液状樹脂においてはフィラーの高充填化が困難であるため、硬化後基板の反りが発生するといった問題が発生する。一方、溶剤系液状樹脂では乾燥時間の長時間化や乾燥に伴う膜厚の変化が大きいといった問題を有している。
また、固形エポキシ樹脂は一般的にトランスファー成形により封止を行うが、従来の成形方法では対応できない場合が生じてきている。また、取り個数増加による生産性向上を目的とした理由からトランスファー成形に変わる成形方法が検討されている。例えば、取り個数増加に伴い大型基板への成形を行うと、反りの問題が発生しやすく、反りを改善するために封止材中の無機充填材の含有量を多くする傾向にある。こうした無機充填材の高充填により、トランスファー成形時、樹脂の溶融粘度が高くなり充填性が低下する。その結果、充填不良、成形物中のボイドの残存、ワイヤ流れ(ボンディングワイヤの変形・破損)、及びダイシフトの増大等が生じ、成形品の品質が低下する。
これらの問題を解決するために、スチレン-イソブチレン系熱可塑樹脂を加えたシート材料が報告されているが、このスチレン-イソブチレン系熱可塑樹脂は加熱溶融混合が容易ではなく、分離しやすいためにシートの製造が難しいだけでなく、目的の効果も得られにくいという問題がある(特許文献1)。また、硬化物の耐クラック性を向上させる可とう性付与剤を添加しても、シートの可とう性の付与には効果がない(特許文献2、3)。
これらの問題を解決するためにフレキシブル性を重視した組成として結晶性エポキシ樹脂であるビフェニル型エポキシ樹脂を使用した組成にすることでフレキシブル性を大きく改善することが報告されている(特許文献4)。一方で、シート材料は成形時間の制約などから、より長い可使時間、保存安定性が望まれる。単純に硬化促進剤を減量するだけでは保存安定性には優れるが、硬化性に乏しくなることからこれらを両立したシート材料も望まれ、上記組成ではこれらを両立したシート材料としては不十分である。
また、これらシート材料の欠点としては使用するエポキシ樹脂やフェノール樹脂の特性上、ガラス転移温度が120℃以下と一般の半導体封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物と比較して低い。それに対して、近年、高信頼性がより望まれる傾向にあることからシート材料の特性はまだまだ不十分であり、現在の材料要求を満たせたものはほとんど知られていない。
特開2016-213391号公報 特開2016-108387号公報 特開2016-108388号公報 特開2016-9814号公報
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、硬化前の組成物はハンドリング性が良好であり、高いガラス転移温度を有する硬化物を与えることができ、且つ、硬化前に可とう性に優れ、保存安定性及び成形性に優れる樹脂シートを与える、半導体封止用熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意研究を重ねた結果、結晶性エポキシ樹脂、トリスフェノールアルカンエポキシ化合物、シリコーン変性エポキシ樹脂、1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物、無機充填材、及び硬化促進剤を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物であり、トリスフェノールアルカンエポキシ化合物に含まれるモノマー化合物の量を制限し、且つ、結晶性エポキシ樹脂とトリスフェノールアルカンエポキシ化合物との含有比を特定することにより、硬化前の状態において可とう性に優れるシートを与え、該組成物はハンドリング性が良好であり、且つ硬化前の樹脂シートの保存安定性及び成形性に優れ、更には硬化後に高いガラス転移温度を有する硬化物を与えることができることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明は、下記(A)~(F)成分を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物を提供する。
(A)結晶性を有するエポキシ樹脂 100質量部
(B)下記一般式(1)で示されnが0~10の整数である化合物2以上の混合物であるトリスフェノールアルカンエポキシ化合物であって、該(B)エポキシ化合物の総質量に対しn=0である化合物の量が40質量%~90質量%である、トリスフェノールアルカンエポキシ化合物 前記(A)成分と(B)成分の質量の比が(A)成分/(B)成分=5/95~40/60(質量比)となる量
Figure 0007336419000001
(式中、Rは互いに独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基から選ばれる基であり、Rは互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、及び炭素数6~12のアリール基から選ばれる基であり、及びnは0~10の整数である)
(C)下記式(2)~(4)で示される化合物から選ばれるアルケニル基含有エポキシ樹脂と下記式(6)に示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの共重合体である、シリコーン変性エポキシ樹脂 上記(A)成分100質量部当たり10~1,000質量部
Figure 0007336419000002
Figure 0007336419000003
Figure 0007336419000004
(上記式(2)~(4)において、R はグリシジル基であり、Xは水素原子又は臭素原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数である)
Figure 0007336419000005
(式(6)において、R は互いに独立に、置換または非置換の、炭素数1~10の1価炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数2~10のアルケニルオキシ基であり、pは0~1,000の整数であり、qは0~20の整数であり、1<p+q<1,000を満たす整数である)
(D)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物
上記(A)、(B)及び(C)成分中のエポキシ基の合計モルに対する(D)成分中のフェノール性水酸基のモルの比が0.5~2となる量
(E)無機充填材 上記(A)成分100質量部当たり1,500~37,000質量部、及び
(F)窒素原子含有硬化促進剤 上記(A)成分100質量部当たり1~350質量部。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、可とう性に優れるシートを与え、及び良好なハンドリング性を有する。さらに、高いガラス転移温度を有する硬化物を与え、且つ、保存安定性及び成形性に優れる熱硬化性エポキシ樹脂シートを与える。従って、半導体封止用の熱硬化性エポキシ樹脂シートとして有用である。
以下、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートについて、より詳細に説明する。
(A)結晶性エポキシ樹脂
(A)成分は結晶性を有するエポキシ樹脂であり、公知の結晶性エポキシ樹脂であればよい。結晶性エポキシ樹脂は、結晶性を有するエポキシ樹脂であれば、分子構造、分子量等に制限されることなく用いることができる。例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を併用して用いることができる。好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂である。なお、本発明において「結晶性を有する樹脂」とは、融点以上の温度で固体状から液状となり、高い流動性を有する樹脂であり、融点未満の温度で結晶化するエポキシ樹脂である。好ましくは常温で結晶化する、特には40℃以上の融点を有する、ビスフェノールA型エポキシ樹脂又はビスフェノールF型エポキシ樹脂がよい。
(B)トリスフェノールアルカンエポキシ化合物
(B)成分はトリスフェノールアルカンエポキシ化合物であり、下記一般式(1)で表され、nが0~10の整数である化合物の2以上の混合物である。該エポキシ樹脂は上述した通り結晶性を有さず、上記(A)成分には包含されない。
Figure 0007336419000006
一般式(1)において、Rは互いに独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基から選ばれる基であり、Rは互いに独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基、炭素数6~12のアリール基から選ばれる基である。Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基及びシクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくは水素原子である。Rは互いに独立に、好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基であり、特に好ましくは水素原子である。nは0~10の整数であり、好ましくはn=0~3の整数である。該(B)成分は、特にトリスフェノールメタンエポキシ化合物、及びトリスフェノールプロパンエポキシ化合物が好ましい。
本発明の(B)成分は上記一般式(1)で表されnが0~10の範囲にある化合物2以上の混合物である。より詳細にはn=0の化合物とn=1~10の化合物の混合物であり、好ましくはnの平均が0超~3の範囲となるのがよい。本発明は、該(B)成分がn=0である化合物をトリスフェノールアルカンエポキシ化合物の総質量に対し40~90質量%で有することを特徴とし、好ましくは45~85質量%であり、より好ましくは50~85質量%であるのが好ましい。該(B)成分中のn=0である化合物の含有量は、GPC測定により、例えば以下の条件で測定される。
[GPC測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/min
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL (試料濃度:0.5質量%-テトラヒドロフラン溶液)
検出器:示差屈折率計(RI)
尚、本発明の組成物は上記(B)成分に併せて、n=0である化合物の含有量が40質量%未満であるトリスフェノールアルカンエポキシ化合物を含んでいてもよい。その場合は、トリスフェノールアルカンエポキシ化合物の合計質量に対し、n=0である化合物の含有量が40質量%以上となる量とする必要がある。トリスフェノールアルカンエポキシ化合物合計質量に対するn=0である化合物の含有量が上記下限値未満では、得られる熱硬化性シートは成形性に劣る。
本発明は上記(A)結晶性エポキシ樹脂と(B)トリスフェノールアルカンエポキシ化合物との質量比が、5/95~40/60であることを特徴とし、好ましくは8/92~35/65であり、より好ましくは8/92~33/67である。(B)成分と(A)成分の合計100質量部に対する(A)成分の質量比が上記下限値未満では、未硬化のシートは可とう性に劣り、ハンドリング性が悪くなる。また上記上限値超ではタック性が強くなったり、ガラス転移温度が低下したりするおそれがある。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物において、上記(B)トリスフェノールアルカンエポキシ化合物の量は、上述した(A)成分と(B)成分の質量比を満たす量であればよく、上記(A)結晶性エポキシ樹脂100質量部に対して、180~1,900質量部であることが好ましく、より好ましくは200~1,150質量部であり、更に好ましくは200~1,000質量部である。
(C)シリコーン変性エポキシ樹脂
(C)成分はシリコーン変性エポキシ樹脂であり、従来公知のものであってよい。例えばアルケニル基含有エポキシ樹脂とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの共重合体が挙げられる。該アルケニル基含有エポキシ樹脂は、例えば、下記式(2)~(4)に示されるものが挙げられる。
Figure 0007336419000007
Figure 0007336419000008
Figure 0007336419000009
上記式(2)~(4)において、Rはグリシジル基(2,3-エポキシプロピル基)であり、Xは水素原子又は臭素原子であり、nは0以上の整数であり、好ましくは0~50であり、より好ましくは1~20の整数である。mは1以上の整数であり、好ましくは1~5の整数であり、より好ましくは1である。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記平均組成式(5)で示される化合物が挙げられる。
(RSiO(4-a-b)/2 (5)
上記式(5)において、Rは互いに独立に、置換または非置換の、炭素数1~10の1価炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数2~10のアルケニルオキシ基である。該1価炭化水素基としては、例えばメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、及びデシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、及びブテニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、及びフェニルエチル基等のアラルキル基や、これらの炭化水素基の水素原子の一部または全部をハロゲン原子等で置換したハロゲン置換1価炭化水素基が挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、及びn-ヘキシルオキシ基等が挙げられる。アルケニルオキシ基の例としては、ビニルオキシ基、プロペノキシ基、及びイソプロペノキシ基等が挙げられる。
a及びbは0.001≦a≦1、1≦b≦3、及び1<a+b≦4を満足する数であり、好ましくは0.01≦a≦0.1、1.8≦b≦2、及び1.85≦a+b≦2.1である。該オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子を1~1,000個、好ましくは2~400個、さらに好ましくは5~200個有するものが望ましい。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、式(6)に示される化合物が挙げられる。
Figure 0007336419000010
式(6)において、Rは上述の通りであり、好ましくはメチル基又はフェニル基である。pは0~1,000の整数、好ましくは3~400の整数であり、qは0~20の整数、好ましくは0~5の整数であり、1<p+q<1,000、好ましくは2<p+q<400、さらに好ましくは5<p+q<200を満たす整数である。
該オルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、更に好ましくは下記式の化合物を挙げることができる。
Figure 0007336419000011
オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、重量平均分子量100~100,000を有することが好ましく、より好ましくは500~20,000である。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が上記範囲内である場合、該オルガノハイドロジェンポリシロキサンと反応させるアルケニル基含有エポキシ樹脂の構造或いは重量平均分子量に応じて、オルガノハイドロジェンポリシロキサンがマトリクスに均一に分散した均一構造、或いはオルガノハイドロジェンポリシロキサンがマトリクスに微細な層分離を形成する海島構造が出現する。
オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が比較的小さい場合、特に100~10,000である場合は、均一構造が形成される。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が比較的大きい場合、特に10,000~100,000である場合は海島構造が形成される。均一構造と海島構造とは、用途に応じてどちらかを選択すればよい。オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が上記下限値未満の場合、得られる硬化物が剛直で脆くなるため好ましくない。また、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの重量平均分子量が上記上限値より大きい場合、海島構造が大きくなり、得られる硬化物に局所的な応力が発生するため好ましくない。
なお、上記の重量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によるポリスチレンを標準物質とした重量平均分子量である。例えば下記条件で測定される。
[GPC測定条件]
展開溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.6mL/min
カラム:TSK Guardcolumn SuperH-L
TSKgel SuperH4000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH3000(6.0mmI.D.×15cm×1)
TSKgel SuperH2000(6.0mmI.D.×15cm×2)
(いずれも東ソー社製)
カラム温度:40℃
試料注入量:20μL (試料濃度:0.5質量%-テトラヒドロフラン溶液)
検出器:示差屈折率計(RI)
アルケニル基含有エポキシ樹脂とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを反応させる方法は、公知の方法に従えばよい。例えば、白金系触媒の存在下で、アルケニル基含有エポキシ樹脂とオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させる方法により、シリコーン変性エポキシ樹脂を得ることができる。オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、アルケニル基含有エポキシ樹脂が有するアルケニル基1モルに対し、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが有するSiH基が0.1~1モルとなる量で共重合させることが好ましい。
なお本発明において(C)シリコーン変性エポキシ樹脂は結晶性を有さない。従って、前記(A)成分の結晶性エポキシ樹脂とは明確に区別しうるものである。上記(C)シリコーン変性エポキシ樹脂の量は、(A)結晶性エポキシ樹脂100質量部に対して、10~1,000質量部であることが好ましく、より好ましくは20~800質量部であり、更に好ましくは50~700質量部である。
(D)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物
(D)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分であるエポキシ樹脂の硬化剤である。該(D)成分は、フェノール性水酸基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するものであればよく、公知のエポキシ樹脂フェノール硬化剤であればよい。該(D)成分としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、及びジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等が挙げられる。これらは単独又は2種以上の併用であってもよい。これらフェノール樹脂は、分子量、軟化点、及び水酸基量等に制限なく選択することができるが、軟化点が低く比較的低粘度のものが好ましい。
(D)成分としては、例えば下記式(7)で示される多官能フェノール化合物を含むことが好ましい。
Figure 0007336419000012
(式中、R11は、互いに独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基であり、R21は互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基であり、及びmは0~10の整数である)
前記式(7)において、R11は互いに独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基であり、R21は水素原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数6~12のアリール基である。R11としては、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、n-ヘキシル基及びシクロヘキシル基などが挙げられ、好ましくは水素原子である。R21は、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基であり、より好ましくは水素原子である。mは0~10の整数であり、好ましくはm=0~3である。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物において(D)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分中のエポキシ基の合計モルに対する、(D)成分中のフェノール性水酸基のモルの比が0.5~2となる量が好ましく、より好ましくは0.7~1.5となる量である。モル比が上記範囲内であれば、熱硬化性エポキシ樹脂組成物の硬化性、及び機械特性等が低下する恐れがない。
(E)無機充填材
(E)成分は無機充填材であり、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートの強度を高めるために配合される。(E)成分の無機充填材としては、通常エポキシ樹脂組成物やシリコーン樹脂組成物に配合されるものを使用することができる。例えば、球状シリカ、溶融シリカ及び結晶性シリカ等のシリカ類、窒化珪素、窒化アルミニウム、ボロンナイトライド等の無機窒化物類、アルミナ、ガラス繊維及びガラス粒子等が挙げられるが、補強効果に優れている、得られる硬化物の反りを抑えられるなどの点から、(E)成分はシリカ類を含有するものであることが好ましく、球状シリカを含有することがより好ましい。
(E)成分の無機充填材の平均粒径は特に限定されないが、平均粒径は0.1~40μmが好ましく、より好ましくは0.5~40μmである。なお、本発明において平均粒径は、レーザー光回折法による粒度分布測定における質量平均値D50(またはメジアン径)として求めた値である。
また、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートを製造する際に、該シートを構成するエポキシ樹脂組成物の高流動化の観点から、(E)成分として複数の粒径範囲の無機充填材を組み合わせたものを使用してもよい。このような場合では、0.1~3μmの微細領域、3~7μmの中粒径領域、及び10~40μmの粗領域の球状シリカを組み合わせて使用することが好ましく、これらを組み合わせた結果、(E)成分全体の平均粒径が0.5~40μmの範囲にあることがより好ましい。さらなる高流動化のためには、平均粒径がさらに大きい球状シリカを用いることが好ましい。
一方、熱硬化性エポキシ樹脂シートで半導体素子を封止する際には、コンプレッション成形やラミネート成形での成形が多く、モールドアンダーフィル(MUF)性を求められることが多くなっている。本発明においてMUF性を向上させる観点からは、球状シリカの平均粒径が2~6μm、トップカットサイズが10~20μmのものを用いることが好ましい。
(E)無機充填材としては、(A)、(B)、(C)及び(D)成分である樹脂成分との結合強度を強くするため、後述する(I)カップリング剤で予め表面処理したものを配合してもよい。
(E)無機充填材の量は、上記(A)成分100質量部に対し、1,500~37,000質量部であることが好ましく、2,000~35,000質量部であることがより好ましい。
(F)硬化促進剤
(F)硬化促進剤は、(A)、(B)、(C)成分のエポキシ樹脂と(D)成分の硬化剤との硬化反応を促進するために配合される。該(F)成分は分子中に窒素原子を含むことが好ましい。窒素原子を含む硬化促進剤を用いると、樹脂の充填性が向上し、ハンドリング性及び成形性がより良好な組成物を得ることができる。該硬化促進剤としては、例えばトリエチルアミン、ベンジルジメチルアミン、α-メチルベンジルジメチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7等の第3級アミン化合物、2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、1,1-ジメチル尿素、1,1,3-トリメチル尿素、1,1-ジメチル-3-エチル尿素、1,1-ジメチル-3-フェニル尿素、1,1-ジエチル-3-メチル尿素、1,1-ジエチル-3-フェニル尿素、1,1-ジメチル-3-(3,4-ジメチルフェニル)尿素、1,1-ジメチル3-(p-クロロフェニル)尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素(DCMU)等の尿素系硬化促進剤等が挙げられ、イミダゾール化合物及び尿素系硬化促進剤が好ましく、中でも尿素系硬化促進剤が好ましい。
硬化促進剤の量は(A)結晶性エポキシ樹脂100質量部に対して1~350質量部であることが好ましく、特に2~200質量部であることがより好ましい。0.05~6質量部であれば、組成物の硬化物の耐熱性及び耐湿性のバランスが悪くなったり、成形時の硬化速度が非常に遅く又は速くなったりするおそれがない。
(G)離型剤
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートの材料となる組成物には、(G)成分として離型剤を配合することができる。(G)成分の離型剤は、成形時の離型性を高めるために配合するものである。このような(G)成分としては、カルナバワックス、ライスワックスをはじめとする天然ワックス、酸ワックス、ポリエチレンワックス、脂肪酸エステルをはじめとする合成ワックスがあるが、離型性の観点からカルナバワックスが好ましい。
(G)成分の配合量は、(A)結晶性エポキシ樹脂100質量部に対して、1~250質量部であることが好ましく、特には2~200質量部がより好ましい。配合量が2質量部以上であれば、十分な離型性が得られなかったり、製造時の溶融混練時に過負荷が生じてしまったりするおそれがなく、200質量部以下であれば、沁み出し不良や接着性不良等が起こるおそれがない。
(H)難燃剤
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートには、難燃性を高めるために難燃剤を配合することができる。
このような(H)成分としては、特に制限されず公知のものを使用することができる。例えばホスファゼン化合物、シリコーン化合物、モリブデン酸亜鉛担持タルク、モリブデン酸亜鉛担持酸化亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化モリブデン、三酸化アンチモンなどが挙げられ、これら1種単独でも2種以上を組み合わせて使用してもよい。(H)成分の配合量は(A)結晶性エポキシ樹脂100質量部に対して、10~700質量部であることが好ましく、より好ましくは20~350質量部である。
(I)イオントラップ材
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートには、イオン不純物による信頼性の低下を防ぐためにイオントラップ材を配合することができる。
このような(I)成分としては、特に制限されず公知のものを使用することができる。例えばハイドロタルサイト類、水酸化ビスマス化合物、希土類酸化物等が使用できる。これらを1種単独で使用しても2種以上を組み合わせて使用してもよい。(I)成分の配合量は(A)結晶性エポキシ樹脂100質量部に対して、2~350質量部であることが好ましく、より好ましくは5~200質量部である。
(J)カップリング剤
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートには、(A)成分、(B)、(C)成分、及び(D)成分の樹脂成分と(E)無機充填材との結合強度を強くしたり、シリコンウエハや有機基板との接着性を高くしたりするため、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤などのカップリング剤を配合することができ、中でもシランカップリング剤が好ましい。
このようなカップリング剤としては、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等のエポキシ官能性アルコキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ官能性アルコキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト官能性アルコキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミン官能性アルコキシシランなどが挙げられる。
表面処理に用いるカップリング剤の配合量及び表面処理方法については特に制限されるものではなく、常法に従って行えばよい。また、前述したように予めカップリング剤で無機充填材を処理してもよいし、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分の樹脂成分と(E)成分の無機充填材とを混練する際に、カップリング剤を添加して表面処理しながら組成物を混練してもよい。
(J)成分の配合量は、(A)結晶性エポキシ樹脂100質量部に対して、0.5~350質量部とすることが好ましく、特に1.0~250質量部とすることが好ましい。1.0質量部以上であれば、基材への接着効果が十分に得られ、また250質量部以下であれば、粘度が極端に低下して、ボイドの原因になるおそれがない。
<その他の添加剤>
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートには、更に必要に応じて各種の添加剤を配合することができる。例えば、樹脂の性質を改善する目的でヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基などの反応性官能基を有するオルガノポリシロキサン、無官能性シリコーンオイル、熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、有機合成ゴム、又は酸化防止剤、光安定剤等の添加剤、着色の観点からカーボンブラックのような顔料などを添加配合することができる。
また必要に応じて、上記(A)、(B)、(C)成分以外の結晶性を有さないエポキシ樹脂を併用することができる。該エポキシ樹脂としては、非結晶性ビスフェノールA型エポキシ樹脂、非結晶性ビスフェノールF型エポキシ樹脂、3,3’,5,5’-テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、及び4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂等のビフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンジオール型エポキシ樹脂、テトラキスフェニロールエタン型エポキシ樹脂、及びフェノールジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂の芳香環を水素化したエポキシ樹脂、及び脂環式エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
熱硬化性エポキシ樹脂シートの製造方法
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、上述の(A)、(B)、及び(C)成分であるエポキシ樹脂、(D)フェノール硬化剤、(E)無機充填材、(F)硬化促進剤、及びその他の添加物を所定の組成比で配合し、これをミキサー等によって十分均一に混合して得られる。さらに該エポキシ樹脂組成物をシート状に成型することで熱硬化性エポキシ樹脂組成物シートを得る。成形は、例えば先端にTダイを設置した二軸押し出し機を用いたTダイ押し出し法等により行うことができる。他には、熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等による溶融混合処理を行い、次いで冷却固化させ、適当な大きさに粉砕して得られた熱硬化性エポキシ樹脂組成物の粉砕品を加圧部材間で70~120℃で加熱溶融し、圧縮してシート状に成形することもできる。本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートは、厚さ0.1~5.0mmを有することが好ましく、0.15~3.0mmであることがより好ましい。
本発明の熱硬化性エポキシ樹組成物から得られるシートは、硬化前の状態において可とう性に優れる。また該組成物はハンドリング性が良好であり、硬化により高いガラス転移温度を有しながらも、保存安定性及び成形性にも優れる熱硬化性エポキシ樹脂シートを与える。本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートの硬化条件は特に制限されるものでない。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂シートを半導体封止用として好適に用いるには、該樹脂シートを成形圧力6.9N/mmで、175℃で180秒間加圧成形した後、180℃で4時間二次硬化した硬化物が、熱機械分析(TMA)によるガラス転移温度170℃以上を有することが好ましく、170℃以上であることがより好ましい。硬化物のガラス転移温度が170℃以上であることにより、硬化後の熱硬化性エポキシ樹脂シートは、より耐熱信頼性に優れた封止材となる。好ましくは硬化物のガラス転移温度は170℃~250℃であり、より好ましくは175℃~225℃を有する。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
実施例、比較例で使用した原料を以下に示す。
(A)結晶性エポキシ樹脂
(A1):ビフェニル型エポキシ樹脂(YX-4000:三菱ケミカル社製、エポキシ当量190、融点105℃、常温で固形、結晶性)
(A2):ビスフェノールA型エポキシ樹脂(YL-6810:三菱ケミカル社製、エポキシ当量170、融点45℃、常温で固形、結晶性)
(B)トリスフェノールアルカンエポキシ化合物
(B1):下記式で表されるトリスフェノールメタンエポキシ化合物(EPPN-501H:日本化薬社製、エポキシ当量168、軟化点53℃、n=0~10の範囲にある化合物2以上の混合物であり、n=0の化合物の含有量は68質量%)
Figure 0007336419000013
(B2):下記式で表されるトリスフェノールメタンエポキシ化合物(HP-7250:DIC社製、エポキシ当量164、n=0~3の範囲にある化合物2以上の混合物であり、n=0の化合物の含有量は85質量%)
Figure 0007336419000014
(B’1):下記式で表されるトリスフェノールメタンエポキシ化合物(EPPN-502H:日本化薬社製、エポキシ当量168、軟化点65℃、n=0~10の範囲にある化合物2以上の混合物であり、n=0の化合物の含有量は31質量%)
Figure 0007336419000015
(B’2):クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(EPICLON N-665:DIC社製、エポキシ当量210、軟化点65℃)
(B’3):ナフタレン型エポキシ樹脂(EPICLON HP-4710:DIC社製、エポキシ当量170、融点95℃)
(C)シリコーン変性エポキシ樹脂
リフラックスコンデンサー、温度計、撹拌機及び滴下ロートを具備した内容積1リットルの四つ口フラスコへ、下記式(8)
Figure 0007336419000016
で表されるアリルグリシジルエーテルで変性されたフェノールノボラック樹脂(フェノール当量125、アリル当量1,100)200g、クロロメチルオキシラン800g、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド0.6gをそれぞれ入れて加熱し、温度110℃で3時間撹拌混合した。これを冷却して温度70℃とし、160mmHgに減圧してから、この中に水酸化ナトリウムの50%水溶液128gを共沸脱水しながら3時間かけて滴下した。得られた内容物を減圧して溶剤を留去し、次いでメチルイソブチルケトン300gとアセトン300gの混合溶剤にて溶解させた後、水洗し、これを減圧下で溶剤留去して下記式(9)
Figure 0007336419000017
で表されるアリル基含有のエポキシ樹脂(アリル当量1590、エポキシ当量190)を得た。このエポキシ樹脂とメチルイソブチルケトン170g、トルエン330g、2質量%の白金濃度の2-エチルヘキサノール変性塩化白金酸溶液0.07gを入れ、1時間の共沸脱水を行ない、還流温度にて下記式(10)
Figure 0007336419000018
で表されるオルガノポリシロキサン133gを滴下時間30分にて滴下した。更に、同一温度で4時間撹拌して反応させた後、得られた内容物を水洗し、溶剤を減圧下で留去したところ黄白色不透明固体の共重合体が得られた。エポキシ当量は280であり、ASTM D4287に従い、コーン/プレート粘度計を用いて測定した150℃でのICI溶融粘度は800mPa.sであり、ケイ素含有量31質量%であった。
(D)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物
(D1):トリスフェノールメタン型フェノール樹脂(MEH-7500:明和化成社製、水酸基当量97)
(D2):ノボラック型フェノール樹脂(DL-92:明和化成(株)製、水酸基当量107)
(E)無機充填材
(E1):球状溶融シリカ:質量平均粒径14μmの溶融球状シリカ(龍森社製)
(F)硬化促進剤
(F1):2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール(2PHZ-PW、四国化成社製)
(F2):脂肪族ジメチルウレア(U-CAT 3513N、サンアプロ社製)
(F3):トリフェニルホスフィン(TPP、北興化学社製)
(G)離型剤
(G-1)カルナバワックス(TOWAX-131:東亜化成(株)製)
(H)難燃材
(H-1):モリブデン酸亜鉛担持酸化亜鉛(KEMGARD 911C:シャーウィンウィリアムズ製)
(I)イオントラップ材
(I-1):ハイドロタルサイト類化合物(DHT-4C:協和化学工業(株)製)
<実施例1~14、比較例1~9>
上記各成分を表1及び3に示す配合(質量部)で、あらかじめヘンシェルミキサーでプレ混合した後、Tダイを取り付けた2軸押し出し機を用いて幅300mm、厚さ0.5mmのシート状のエポキシ樹脂組成物を得た。尚、下記実施例及び比較例において、(D)成分の配合量は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分中のエポキシ基の合計モルに対し、(D)成分中のフェノール性水酸基のモルの比が1.0となる量である。
[最低溶融粘度及び保存安定性試験]
高化式フローテスター((株)島津製作所製 製品名 フローテスターCFT-500型)を用い、25kgfの加圧下、直径1mmのノズルを用い、温度150℃で各熱硬化性エポキシ樹脂組成物の最低溶融粘度を測定した。さらに、シート状の各熱硬化性エポキシ樹脂組成物を40℃に設定した恒温槽に入れ、72時間放置後の最低溶融粘度も同様の条件で測定した。結果を表2及び表4に示す。
[ガラス転移温度]
EMMI規格に準じた金型を使用して、成形温度175℃、成形圧力6.9N/mm、成形時間180秒の条件で、上記厚さ0.5mmのシート状熱硬化性エポキシ樹脂組成物を硬化し、180℃で4時間ポストキュアーした。ポストキュアーした硬化物から作製した試験片のガラス転移温度及び熱膨張係数をTMA(TMA8310リガク(株)製)で測定した。
昇温プログラムを昇温速度5℃/分に設定し、49mNの一定荷重が、ポストキュアーした硬化物の試験片に加わるように設定した後、25℃から300℃までの間で試験片の寸法変化を測定した。この寸法変化と温度との関係をグラフにプロットした。このようにして得られた寸法変化と温度とのグラフから、実施例及び比較例におけるガラス転移温度を求めた。結果を表2及び表4に示す。
[シート性]
上記と同様に、縦100mm、横100mm、厚さ0.5mmの熱硬化性エポキシ樹脂シートを作製し、未硬化状態で、該シートの折り曲げ試験を実施した。シートが割れることなく2つ折り可能なものを○、折り曲げ時にシートが割れてしまったものを×とした。結果を表2及び表4に示す。
[シートの成形性]
Tダイ押し出し法で製造した0.5mmの厚さを有する熱硬化性エポキシ樹脂シートを直径150mm(6インチ)に切り出した。該熱硬化性エポキシ樹脂シートを、直径200mm(8インチ)で厚さが725μmのシリコンウエハの上にセットし、さらに熱硬化性エポキシ樹脂シートの上にPET製離型フィルムをセットした。これを150℃、300秒キュアにセットされた真空プレスを用いて真空圧縮成形することで硬化封止した。その後、剥離フィルムをはがし、180℃で4時間ポストキュアーした。ポストキュアー後、充填性及び外観を確認した。
(充填性)
問題なく充填できた(未充填の箇所が全くない)ものを○、未充填の箇所が1か所生じたものを△、未充填の箇所が2か所以上生じたものを×として表2及び4に記載した。
(外観)
外観がきれいなもの(フローマークなどが全くない)を○、表面にピンホールまたはフローマークいずれかが生じたものを△、フローマークとピンホールが両方とも発生し、外観に問題を生じたものを×として表2及び4に記載した。
(信頼性)
充填性及び外観試験で得られた硬化後の熱硬化性エポキシ樹脂シート付ウエハから、ダイシングブレードを備えるダイシングソー(DAD685、DISCO社製、スピンドル回転数は40,000rpm、切断速度は20mm/sec)を使用して、10mm×10mm角の試験片を得た。得られた試験片(各10片づつ)を175℃のオーブンに供し、1,000時間保管後の熱硬化性エポキシ樹脂シートのウエハからの剥離状態を確認した。10片の試験片のうち、1つも剥離を生じなかったものを○、1つでも剥離を生じたものを×として判定した。結果を表2及び4に示す。
Figure 0007336419000019
Figure 0007336419000020
Figure 0007336419000021
Figure 0007336419000022
表3及び4に示す通り、(B)成分がn=0であるモノマーを含まない又はn=0であるモノマーの含有量が下限値未満である組成物及び(A)成分と(B)成分比率が本発明の範囲を満たさない組成物は、いずれも、硬化前のシート状樹脂組成物が可とう性に劣る(比較例1~5及び7~9)。また(C)成分を含まない組成物及び(B)成分がn=0であるモノマーを含まない組成物は樹脂の充填性が十分でなく、シートの成形性に劣る(比較例2、3、及び6)。
これに対し表1及び2に示す通り、本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、ハンドリング性に優れ、また保存安定性及び成形性も良好である。またシートは硬化前の状態において可とう性が良好である。さらに得られる硬化物はガラス転移温度が高く、半導体素子封止時の充填性及び信頼性も良好である。
本発明の熱硬化性エポキシ樹脂組成物は、良好なハンドリング性を有し、且つ、可とう性に優れ、保存安定性及び成形性に優れる熱硬化性エポキシ樹脂シートを与える。さらに、硬化後には高いガラス転移温度を有する硬化物を与え、半導体素子封止用として好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. 下記(A)~(F)成分を含む熱硬化性エポキシ樹脂組成物
    (A)結晶性を有するエポキシ樹脂 100質量部
    (B)下記一般式(1)で示されnが0~10の整数である化合物2以上の混合物であるトリスフェノールアルカンエポキシ化合物であって、該(B)エポキシ化合物の総質量に対しn=0である化合物の量が40質量%~90質量%である、トリスフェノールアルカンエポキシ化合物 前記(A)成分と(B)成分の質量の比が(A)成分/(B)成分=5/95~40/60(質量比)となる量
    Figure 0007336419000023
    (式中、Rは互いに独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基から選ばれる基であり、Rは互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、及び炭素数6~12のアリール基から選ばれる基であり、及びnは0~10の整数である)
    (C)下記式(2)~(4)で示される化合物から選ばれるアルケニル基含有エポキシ樹脂と下記式(6)に示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンとの共重合体である、シリコーン変性エポキシ樹脂 上記(A)成分100質量部当たり10~1,000質量部
    Figure 0007336419000024
    Figure 0007336419000025
    Figure 0007336419000026
    (上記式(2)~(4)において、R はグリシジル基であり、Xは水素原子又は臭素原子であり、nは0以上の整数であり、mは1以上の整数である)
    Figure 0007336419000027
    (式(6)において、R は互いに独立に、置換または非置換の、炭素数1~10の1価炭化水素基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、又は炭素数2~10のアルケニルオキシ基であり、pは0~1,000の整数であり、qは0~20の整数であり、1<p+q<1,000を満たす整数である)
    (D)1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール化合物
    上記(A)、(B)及び(C)成分中のエポキシ基の合計モルに対する(D)成分中のフェノール性水酸基のモルの比が0.5~2となる量
    (E)無機充填材 上記(A)成分100質量部当たり1,500~37,000質量部、及び
    (F)窒素原子含有硬化促進剤 上記(A)成分100質量部当たり1~350質量部。
  2. 前記(D)成分が下記一般式(7)で示されるフェノール化合物を含む、請求項1記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物
    Figure 0007336419000028
    (式中、R11は互いに独立に、水素原子、または炭素数1~6のアルキル基から選ばれる基であり、R21は互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、及び炭素数6~12のアリール基から選ばれる基であり、及びmは0~10の整数である)。
  3. 前記(E)成分が球状シリカを含む、請求項1又は2記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  4. 上記式(2)~(4)において、nは0~50の整数であり、mは1~5の整数である、請求項1~3のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  5. 前記窒素原子含有硬化促進剤が、尿素系硬化促進剤又はイミダゾール系硬化促進剤から選ばれる、請求項4記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項記載の熱硬化性エポキシ樹脂組成物をシート状に成形してなる、熱硬化性エポキシ樹脂シート。
  7. 厚さ0.1~5mmを有する、請求項6記載の熱硬化性エポキシ樹脂シート。
  8. 請求項6又は7記載の熱硬化性エポキシ樹脂シートの硬化物であり、熱機械分析(TMA)によるガラス転移温度170℃以上を有する、熱硬化性エポキシ樹脂硬化物。
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