JP7335417B2 - 触媒置換を伴う連続ヒドロホルミル化の方法 - Google Patents

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Description

本発明は反応ゾーンにおいて一酸化炭素、水素および遷移金属触媒によってオレフィンからアルデヒドを製造するための連続二相ヒドロホルミル化の方法に関し、
前記遷移金属は水溶性触媒錯体の形態であり、
a)反応ゾーンにおいて水溶性有機リン配位子を有する水溶性遷移金属触媒上でオレフィン、一酸化炭素および水素を反応させることによりヒドロホルミル化するステップ;
b)反応ゾーンへのオレフィン供給を減少させ、触媒溶液の少なくとも一部を反応システムから除去することにより反応ゾーンのオレフィン濃度を減少させるステップ、ここで、触媒溶液の除去およびオレフィン濃度減少サブステップは、この順序または逆の順序で、同時にまたは順次行うことができる;
c)溶媒、遷移金属源、水溶性有機リン配位子を反応システムに供給するステップ、ここで成分の供給は、同時にまたは任意の順序で順次行うことができる;
d)反応ゾーンへのオレフィン供給量を増やし、反応ゾーンのオレフィン濃度を上昇させ、オレフィンを一酸化炭素および水素と反応させてヒドロホルミル化するステップ
を1回または複数回含むことを特徴とする。
ヒドロホルミル化の方法は、古くから様々な工程設計で知られている。それらに共通するのは、オレフィンがヒドロホルミル化触媒の存在下で水素および一酸化炭素とともにアルデヒドに変換され、後者は通常、合成ガスとして反応に一緒に供給されることである。例えば、プロピレンをヒドロホルミル化すると、直鎖のn-ブチルアルデヒドと分岐したi-ブチルアルデヒドの混合物が得られるが、経済的に望ましいのは通常n-異性体である。
この反応は、当初はコバルト触媒で行われていたが、ロジウム触媒が有利であることが分かってきた。コバルト触媒に比べ、ロジウム錯体触媒は比較的穏やかな反応条件で高い生産性と好ましいn/i比を得ることができる。また、適切な配位子を選択することで、触媒の溶解特性を一定の範囲内で調整することができ、高価な触媒の回収が容易になるほか、ロジウム-配位子複合体の触媒特性にも影響を与える。
反応の柔軟性から、ロジウム触媒を用いたヒドロホルミル化反応には2つの異なる反応方法が出現している。どちらも粗生成物を触媒から分離する方法が異なり、液体/液体工程または蒸気工程と呼ばれる。
液体/液体工程においては、粗生成物と触媒などの他の成分を相分離により液状の有機相と水相に分離する。両相は互いに独立して抜き出され、有機相に粗製品(場合によっては副産物も含む)、水相に触媒が含まれる。この作業で有利なのは、二相設計により、生成物の揮発性や副生成物の可能性などの特性に関係なく、広範囲の異なる生成物アルデヒドに対して分離操作を行うことができる点である。さらに、この作業は、大きな熱負荷をかけずに行うことができる。
第二の処理である水蒸気処理では、粗生成物は気相で分離される。使用するオレフィンの沸点の関数として、水蒸気処理は2つの異なる方法で実施することができる。低沸点の気化しやすいオレフィンから得られる、それに応じて沸点の低い低級アルデヒドは、通常、最初に凝縮して、残りのガス成分、例えば未反応オレフィンおよび合成ガスから液体として分離され、次に熱分離に供される。未反応の反応物はガス状で元の反応器またはさらに下流の反応器へ戻される。この点から、この方法はガス再循環またはガスサイクリング工程と呼ばれている。高級オレフィンは、ほとんどの場合、液体再循環工程において反応し、この工程では、溶液の量が反応ゾーンから連続的に取り出され(除去され)、単段または多段の蒸発装置に供給される。分離された触媒溶液は、再び反応器に供給される。
オレフィン原料、装置のセットアップ、および選択された反応条件の関数として、このように方法の工学的の組み合わせの選択肢が幅広くあり、異なるプロセスパラメータと触媒システムを必要とする。しかし、すべてのプロセス設計に共通しているのは、使用される触媒が反応条件下またはワークアップ操作の結果として経時的に老化(退化)することである。その結果、収率が低下したり、達成可能な異性体比率が不利にシフトしたりする。老化の結果は、例えば反応ゾーンの温度を上げるなど、反応条件を調整することによって部分的に補償することができるが、最終的には、経済的な反応を維持するために、一定の時間間隔で反応を終了させ、使用済み触媒を再処理しなければならない。
特許文献においては、長期間に渡って高い収率を実現できるはずの連続のプロセス制御に関するいくつかの提案がある。
例えば、EP2417093B1には、水溶性ロジウム錯体化合物を含む水性触媒溶液の存在下で不飽和化合物のヒドロホルミル化(第1反応段階)から生じる排ガスを、第1反応段階からの残留量のオレフィン性不飽和化合物をロジウムの錯化合物の存在下で有機リン(III)化合物と反応させる均一な反応システム(第2反応段階)へ供給する方法が開示されている。第2反応段階からの排出物は、まず脱気され、次に2つのフラッシュステージを通過して排ガスとなる。得られた液相は蒸留され、得られたロジウム含有残渣は一部が排出され、一部は新鮮なロジウムと新鮮な有機リン(III)化合物を加えて第2反応段に再利用される。さらに、この段階は、新鮮なロジウムの添加後に得られる活性が低いことを開示しており、これはおそらく触媒的に不活性な金属に起因するものであることが開示されている。
EP2836474B1には、3から20の炭素原子を有する少なくとも1つのオレフィンを含むオレフィン供給物を、有機リン配位子および遊離配位子と錯体化した均一系遷移金属触媒の存在下で合成ガスを用いて反応ゾーンで昇温および昇圧して反応させる連続ヒドロホルミル化の方法を開示している。ここで、触媒は反応ゾーンにおいてその場(in situ)で形成され、遷移金属源の溶液は触媒の損失を補償するために反応ゾーンに添加され、ヒドロホルミル化生成物の反応ゾーンの時空間収率が連続的に決定され、反応ゾーンへの遷移金属源の添加率は時空間収率の関数として制御されることを特徴とし、ここで、
-遷移金属源の反応ゾーンへの添加速度を調整する調整手段が設けられている、
-反応ゾーンのヒドロホルミル化生成物の時空間収率の目標値が定められ、
-時空間収率の実績値が測定され、
-目標値からの実測値の偏差の下限値に達した後、触媒の損失を抑制するために必要な遷移金属源の量が定められ、
-前記遷移金属源の溶液を前記反応ゾーンに添加し、前記時空間収率が前記目標値からの実測値の偏差の上限を超えないように、前記反応ゾーンに対する前記遷移金属源の添加速度を制御することを特徴とする。
触媒システムの効率を高める別の方法は、EP0246475A1に開示されている。この文書は、20~150℃の温度および0.1~20MPaの圧力の液相で、水および触媒としての水溶性ロジウム含有錯体化合物の存在下で、不飽和化合物を一酸化炭素および水素と反応させることによってアルデヒドを調製するための方法を教示するものであり、ここで、0.1~1.8MPaの圧力および50~100℃の温度での一酸化炭素および水素との反応によって、炭素原子数2~18のカルボン酸の脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素ロジウム塩に溶解されたヒドロホルミル化反応の開始前にロジウム錯体が予備形成され、ここで、予備形成は、水溶性トリアリールホスフィンの水溶液の存在下で行われるか、またはこの水溶液が、予め調製されたロジウム錯体化合物の予備形成の後に添加される。
EP2417093B1 EP2836474B1 EP0246475A1
したがって、どのような設計であれ、均質なヒドロホルミル化の方法の反応ゾーンに、以前に反応ゾーンから除去した再処理触媒、新鮮な触媒、または両方のタイプの触媒の組み合わせのいずれか、さらに触媒の一部を添加する多様な方法が文献から知られている。しかし、Ruhrchemie/Rhone-Poulenc方法のような二相ヒドロホルミル化の方法では、触媒を部分的に除去して添加するための対応する方法はこれまで不可能であった。したがって、より長い期間にわたって一貫して高い選択率と高い生成物収率を提供することができる、ヒドロホルミル化の連続的な大規模プロセス設計に大きな関心が持たれている。
従って、本発明の目的は、先行技術の欠点を少なくとも部分的に打ち消す、改良された連続ヒドロホルミル化の方法を提供することである。
従って、請求項1による方法が、この課題を解決するために提案される。本発明による方法の好ましい実施形態は、従属請求項に与えられている。
本発明によれば、この課題は、反応ゾーンにおいて一酸化炭素、水素および遷移金属触媒によってオレフィンからアルデヒドを製造するための連続二相ヒドロホルミル化の方法によって解決され、遷移金属は水溶性触媒錯体の形態であり、この方法は以下のステップを1回または複数回含む:
a)反応ゾーンにおいて水溶性有機リン配位子を有する水溶性遷移金属触媒上でオレフィン、一酸化炭素および水素を反応させることによりヒドロホルミル化するステップ;
b)反応ゾーンへのオレフィン供給を減少させ、触媒溶液の少なくとも一部を反応システムから除去することにより反応ゾーンのオレフィン濃度を減少させるステップ、ここで、触媒溶液の除去およびオレフィン濃度減少サブステップは、この順序または逆の順序で、同時にまたは順次行うことができる;
c)溶媒、遷移金属源、水溶性有機リン配位子を反応システムに供給するステップ、ここで成分の供給は、同時にまたは任意の順序で順次行うことができる;
d)反応ゾーンへのオレフィン供給量を増やし、反応ゾーンのオレフィン濃度を上昇させ、オレフィンを一酸化炭素および水素と反応させてヒドロホルミル化するステップ。
驚くべきことに、上記の方法ステップにより、Ruhrchemie/Rhone-Poulenc方法による連続ヒドロホルミル化は、触媒の老化により方法全体を終了させ、反応ゾーンから触媒を全体的に取り出して再処理する必要なく、ほぼ無限に実行できることが見出された。高い生産性および高い選択性を、そのようなヒドロフロミル化の方法において非常に少ない介入で長期間にわたって達成することができ、方法全体はまた、標準的な先行技術の方法と比較してより少ない触媒および配位子の投入で有利に運転することができる。高い効率を有する活性触媒を反応ゾーンで直接得ることができる。金属と配位子から形成される触媒活性錯体は互いに平衡状態にあり、化学環境や物理的境界条件に応じて、より活性な錯体だけでなく、選択的な錯体にもシフトすることが可能である。この点、反応ゾーンの反応条件下での触媒錯体の中心原子については、通常、配位子球体中で配位子が交換される。金属中心への潜在的な配位子の配位は、それによって触媒活性、特に誘導される位置選択性、ひいては粗生成物中の得られる異性体比を決定する。錯体の形成は、水素、一酸化炭素、オレフィンおよび有機リン配位子など、所望の触媒を構築するために使用される配位子によってのみならず、反応ゾーンに存在するさらなる分解および副産物によっても影響され、金属錯体の配位子球体への取り込みを通じて望ましくない特性および合成性能の劣化に寄与し得る。この点で、このような反応ゾーンの環境下で高効率触媒への転換が成功することは、これまで予見されていなかった。理論にとらわれることなく、高効率の触媒が得られたのは、少なくとも2つの原因の相乗的な相互作用によるものであると考えられる。一方では、新しい触媒金属の付加は、反応ゾーンにオレフィンが存在しない場合に起こり、他方では、分解物と副生成物によって希釈された反応ゾーンの触媒溶液は、非常に選択的で効率的な触媒錯体の形成を寄与するようである。この理論は、オレフィンの存在下および未希釈溶液中で触媒金属を添加しても、活性の顕著な増加は認められず、n/i選択性の改善も認められないという事実によって支持される。通常、ここで考察した連続的なヒドロホルミル化過程で触媒寿命を延ばすためには、さらに有機リン配位子のみを加える。これは平衡反応との関連で、配位子分解産物などの金属錯体に存在する触媒毒物を置換し、したがって、触媒をより活性の高い形に戻すことを意図する。しかし、後者の維持対策は、多量の配位子を必要とし、存在する配位子の分解により触媒毒の濃度が連続的に上昇するため、結局、連続反応の終了と触媒の総入れ替えを防止することができない。再循環工程によって反応ゾーンに戻された触媒は、新鮮な触媒金属の追加補充にもかかわらず、おそらく異なる化学環境に基づいて、および/またはそれにもかかわらず異なる体積流量のために、同様の効率の触媒錯体の形成に適していないようである。
本発明による方法は、連続的な二相ヒドロホルミル化の方法に関するものである。本発明による方法において、活性触媒金属は水相中に存在し、形成された有機アルデヒドは、形成された任意の有機副生成物と共に、それらから形成された有機相中に存在する。オレフィンの反応は、有機相と水相の二相系で行われる。活性金属錯体は水相に均質に溶解する。実際の反応を行うために、反応物は反応ゾーンに連続的に供給され、生成した生成物はそこから連続的に除去されるので、この方法は連続的な方法である。
本発明による方法によって、オレフィンからアルデヒドが製造される。例として、変換はプロペンの変換で説明することができる。
Figure 0007335417000001
ヒドロホルミル化により、直鎖のn-アルデヒドと分岐したi-アルデヒドの両方が得られる。使用できるオレフィンは、直鎖状であっても分岐状であってもよく、末端二重結合または内部二重結合を有していてもよい。このようなオレフィン類の例としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4,4-ジメチル-1-ノナン、1-ドデセンが挙げられる。好ましくは、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテンなどの炭素原子数2~8の線状オレフィン、またはそれらの少なくとも2つの可能な二重結合異性体の混合物を使用することができる。
オレフィンの反応は、一酸化炭素および水素の存在下で行われる。通常、これらの反応物は合成ガスとして一緒に使用される。水素と一酸化炭素の合計圧力は、1~200bar(100~210kPa)、好ましくは10~100bar(110~110kPa)とすることができる。合成ガスの組成、すなわち水素に対する一酸化炭素の比率は、広い範囲内で変化させることができる。一般的には、一酸化炭素と水素の体積比が1:1か、そこからわずかにずれた合成ガスが使用される。
この反応には、遷移金属触媒が用いられ、遷移金属触媒は水溶性触媒錯体の形態である。使用できる遷移金属は、例えば、第8~第10サブグループの遷移金属であり、例えば、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、白金などである。好ましくは、コバルトまたはロジウムを用いることができ、中でもロジウムが好ましい。反応および触媒作用は水相で生じ、金属錯体は水に可溶であることが必要である。通常、触媒は水相中で反応物と配位子として、また水溶性の有機リン配位子として配位して存在すると考えられ、特に後者が錯体の水溶性に寄与している。しかし、ヒドロホルミル化の過程で、化学環境の機能として、配位子球体は、例えば、水素、オレフィンまたは一酸化炭素の取り込みによって変化することがあるので、混合した異なる配位子球体を有する触媒複合体が存在することが想定され、これらの錯体(複合体)は依然として最終的に水溶性である。
本発明による方法は、請求項記載のステップのうちの1つまたは複数を含んでいてもよい。好ましくは、触媒の寿命、ひいては方法全体の持続時間を延長するために、本方法はより頻繁に実施されてもよい。例えば、現在の合成速度、測定された異性体比の関数として、または代替的に触媒水溶液の塩負荷の関数として、方法を実施することが可能である。例えば、本方法は、1~100回、好ましくは1~50回、更に好ましくは1~10回実施することができる。特に、本発明によれば、方法が連続的に、すなわちヒドロホルミル化の方法で連続的に実施されることは想定されない。このことは、触媒の連続的な分離および/または製造を伴う純粋な再循環工程を実施することは、本発明による方法下に含まれないことを意味する。
ステップa)において、ヒドロホルミル化は、反応ゾーンにおいて、水溶性有機リン配位子を含む水溶性遷移金属触媒上でオレフィンを一酸化炭素および水素と反応させることにより行われる。このステップにおいては、反応物であるオレフィンの所望のアルデヒドへの触媒的変換が行われる。この反応は、通常、反応物がガス状で供給される反応器内で行われる。反応器内では、触媒は液体水相に溶解して存在し、その中をガス反応物が流れ、飽和される。本発明によれば、反応器内のこの場所は、反応ゾーンを形成する。
水溶性有機リン配位子という用語は、例えば、分子中に1つ以上のスルホネート基またはカルボキシレート基が存在するために水に可溶なトリアリールホスフィンおよびジホスフィンのクラスからの化合物を意味すると理解することができる。水溶性のトリアリール-、特にトリフェニルホスフィンは、一般式(I)に従う。
Figure 0007335417000002
ここで、Ar、Ar、Arはそれぞれ独立してフェニル基又はナフチル基を表し、Y、Y、Yはそれぞれ独立して1~8個のC原子を有する直鎖又は分岐アルキル基、1~8個のC原子を有する直鎖又は分岐アルコキシ基、ハロゲン原子、OH、CN、NO又はNR基を表し、RおよびRはそれぞれ1~8個のC原子を有する直鎖又は分岐アルキル基を表し、X、X、Xは互いに独立にカルボキシレート(COO-)および/またはスルホネート(-SO3)基を表し、m、m、mは0~3の同一または異なる数で、m、m、mの少なくとも1つは1以上、n、n、nは同一または異なる0~5の整数を表わす。X、X、Xの負電荷は、対イオン、例えばアルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンまたは亜鉛イオン、アンモニウムイオンまたは4級アンモニウムイオンによって中和される。好ましくは、Arがそれぞれフェニル基であり、Xがそれぞれスルホネート基またはカルボキシレート基である、上述の一般式の水溶性トリアリールホスフィンである。上記で示される一般式のこのクラスの化合物の例は、トリフェニルホスフィントリ-トリスルホン酸ナトリウム(TPPTS)、トリフェニルホスフィントリ-(テトラアルキルアンモニウム)トリスルホネート、トリフェニルホスフィントリ-トリカルボン酸ナトリウムである。スルホン化またはカルボキシル化されたアリールホスフィンは、純粋な化合物として使用することができる。しかしながら、異なる数のスルホネート基またはカルボキシレート基を有するホスフィンの混合物もまた使用することができる。特に好ましくは、水溶性有機リン錯体配位子として、式(II)によるトリフェニルホスフィントリ-トリスルホン酸ナトリウムを使用することができる;
Figure 0007335417000003
また、水溶性ジホスフィンとしては、一般式(III)および(IV)のスルホン化ジホスフィンも好適である。
Figure 0007335417000004
(III)において、nおよびnはそれぞれ独立に0または1を表し、式(III)の化合物は最大6個の-SOM基を含むことができる。
(IV)において、各n、n、nおよびnは独立して0または1を表し、式(IV)の化合物は4個~8個の-SOM基を含む。
式(III)および(IV)において、Mはアンモニウム、1価の金属又は多価の金属、特にナトリウム、カリウム、カルシウム又はバリウムの当量を表す。
ステップb)において、反応ゾーンへのオレフィン供給量を減少させることにより、反応ゾーンにおけるオレフィンの濃度を減少させ、触媒溶液の少なくとも一部を反応システムから除去するが、触媒溶液の除去およびオレフィン濃度の減少のサブステップは、この順序または逆の順序で、同時にまたは順次実施することができる。オレフィンの濃縮は、例えば、供給を停止し、反応器内にまだ残っている化合物を反応させることによって達成されてもよい。より好都合には、このステップにおけるオレフィンのモル濃度は、ステップa)において一般的なオレフィン濃度に対して、10%、好ましくは5%、より好ましくは1%未満とされる。触媒溶液の部分量は、例えば連続循環工程において、反応ゾーンから除去される部分よりも大きい触媒溶液の多くの部分からなる。部分量は、全触媒水溶液の5%より大きい、好ましくは10%より大きい、より好ましくは15%より大きい、更に好ましくは20%より大きい体積からなることができる。このステップは、例えば、触媒水溶液を除去することによって開始されてもよい。その後、オレフィン濃度を低下させてもよい。しかし、好ましくは、触媒溶液の除去は、オレフィン濃度の低減の後に行われてもよい。
反応システムは、反応器内の反応ゾーンと、必要に応じて触媒循環流のような更なる装置とによって形成される。従って、触媒は必ずしも反応ゾーンから直接的に除去する必要はない。触媒を循環させ、触媒の除去を回路内の別の地点で行うことも可能である。この措置も、必然的に反応ゾーンにおける触媒の量を減らすことにつながる。
ステップc)において、溶媒、遷移金属源および水溶性有機リン配位子を反応システムに供給するが、これにより、各成分を同時に供給してもよいし、任意の順序で1つずつ供給してもよい。したがって、除去された触媒の体積は、部分的に、全部または過剰に、例えば水などの溶媒で置換されてもよい。次に、反応ゾーン内の今や希釈された触媒溶液に、遷移金属源、次いで水溶性有機リン配位子を添加することができる。後者の添加は、例えば、溶媒の一部を含む濃縮水溶液の形態であってもよい。しかし、成分、溶媒、遷移金属源および錯体配位子のすべてを1つの溶液として反応システムに供給することも可能である。成分は、反応ゾーンまたは反応システムにおいて集結させることができる。さらに、錯体配位子を、少なくとも部分的に、すでに遷移金属源の一部として供給することも可能である。これは、例えば、水溶性有機リン錯体配位子を有する予備形成された触媒錯体(触媒複合体)を、遷移金属源として既に使用することができることを意味する。可能な非予備形成の水溶性遷移金属源はロジウム源であり、例えば、[Rh(オクタノエート)、[Rh(acac)(CO)]、[Rh(2-エチルヘキサノエート)]、[Rh(2-エチルヘキサノエート)、[Rh(acac)(cod)]、[Rh(cod)Cl]、[Rh(acac)]、[Rh(cod)]BF、[Rh(OAc)]またはこれらの混合物であってもよい。成分を供給した後、新しい触媒溶液を合成ガス下で一定時間予備形成し、適用された化学的および物理的条件下で、対応する水溶性有機リン配位子の存在下で、遷移金属源を活性触媒に変換することが可能である。
ステップd)においては、次に、反応ゾーンへのオレフィン供給量を増加させ、オレフィンを一酸化炭素および水素と反応させることによってヒドロホルミル化することによって、反応ゾーンにおけるオレフィンの濃度を増加させる。この点、反応ゾーンにおけるオレフィン濃度の増加は、ガス状オレフィンの供給を開始することにより達成することができる。好都合なことに、オレフィン濃度は、ステップa)において存在したような値まで増加させることができる。しかしながら、触媒活性の増加により、より高いオレフィン濃度を供給することも可能である。オレフィンを再び反応ゾーンに供給することにより、合成ガスによって金属触媒アルデヒドが再び生成される。
方法の好ましい実施形態において、ステップb)において、オレフィン濃度を減少させるサブステップは、触媒溶液の部分的な除去の前に行われてもよい。オレフィン濃度の低減が触媒溶液の部分的な除去の前に行われることは、ヒドロホルミル化の中断時間のために特に有利であることが見出されている。この実施形態では、より大きな触媒濃度が存在するので、触媒溶液の一部が既に取り出された(除去された)であろう実施形態と比較して、オレフィン濃度をより迅速に減少させることができる。有利には、この実施形態では、部分的な触媒溶液とともに排出されるオレフィンはより少ない。
方法の好ましい実施形態において、ステップb)において、反応ゾーンにおけるオレフィンのモル濃度を、ステップa)における反応ゾーンにおけるオレフィンの濃度に対して50%以上、100%以下に低減させることができる。触媒溶液の部分置換後に可能な限り活性な触媒を得るためには、反応ゾーン中のオレフィン含量が有意に低下することが特に有利であることが判明している。特に好ましくは、置換は、反応ゾーン中のオレフィンの非存在下で完全に実施されることができる。これは、置換後の反応ゾーンにおいて特に活性で選択的な触媒をもたらすことができ、方法全体の経済性を向上させる。GC法は、反応ゾーンにまだ存在するオレフィンの濃度を決定するために使用することができる。
方法の好ましい態様においては、ステップb)において、10%以上50%以下の体積の水性触媒溶液が反応システムから除去され得る。可能な限り経済的な方法を得るために、上記に示した部分的な除去量が特に好適であることが見出されている。除去量が少ないと触媒活性の回復が不十分となり、除去量が多いと反応ゾーンの平衡が過剰に乱れる可能性がある。好ましくは、部分除去量は、さらに≧15%および≦45%、さらに好ましくは≧20%および≦40%であってよい。
本方法のさらなる実施形態において、方法c)において供給される液体成分の体積は、ステップb)において除去された触媒溶液に対して20%以上、200%以下であってよい。干渉する触媒毒の含有量が比較的少ない非常に活性な再活性化触媒溶液を得るためには、反応ゾーンから除去された部分除去量の体積が、新たに供給される成分の体積によりほぼ補償されることが特に好適であることが見い出されている。上記に示したように、より大きな体積の供給による更なる希釈は、通常、示された範囲内では無害であり、触媒水溶液中の塩分または有機成分のさらなる低減に寄与し得る。さらに、これらの供給量は、触媒溶液の効率の上昇に対応するためのさらなる作動成分となり得る。より少量であれば、反応ゾーンにおける全触媒相の希釈が不十分となる可能性があるため、不利となる場合がある。
方法のさらなる実施形態では、ステップc)において、Rh-2-エチルヘキサノエート、-アセテート、-オキサレート、-プロピオネート、-マロネート、Rh(NO、Rh(SO、RhCl、などのロジウム(III)塩の群から選択されるロジウム化合物、またはシクロペンタジエニルロジウム化合物、[RhCl(シクロオクタジエン-1,5)]、ロジウムアセチルアセトネートなどのロジウム錯体化合物、Rh(CO)12、Rh(CO)16などのロジウムカルボニル化合物、または各種ロジウム酸化物またはその少なくとも二つの化合物の混合物の形態が添加される。このグループのRh化合物は、特に適切なロジウム源であることが証明されている。これらの化合物は、反応システムまたは反応ゾーンの物理的および化学的条件下で、所望の活性触媒種に迅速に変換され、短い予備形成時間後に高い生産性および選択性を提供することができる。これにより、方法の経済性や寿命の向上に寄与することができる。特に、これらのロジウム源を使用すると、触媒の形成、すなわち水素、一酸化炭素および水溶性有機リン錯体配位子による活性触媒への変換が反応ゾーン自体で行われるので、触媒を予備形成するためのさらなるセットアップが不要とすることができる。
方法の別の好ましい態様において、遷移金属源として、有機リン配位子を有する予備形成ロジウム錯体を、ステップc)において反応システムに添加してもよい。反応ゾーンにおける触媒の予備形成時間を短縮するために、既に予備形成された触媒をロジウム源として反応ゾーンに供給することが有利であることが見出されている。このゾーンでは、反応条件への平衡化と適応がより速く行われる。このようにして、触媒溶液の交換のための合成の中断が非常に短くなることが保証される。
方法のさらなる実施形態においては、有機リン配位子は、ステップc)において、ステップb)において除去された遷移金属の量に対して20以上、400以下のモル比で添加され得る。上記に示した配位子の添加は、できるだけ活性の高い反応ゾーンに完全な触媒を迅速にセットするために特に好適であることが分かっている。この量は、有機リン配位子の添加によって新たに形成されたロジウム-ホスフィン錯体の特に迅速な予備形成に寄与し、さらに、反応ゾーンに残存する触媒の再活性化にも寄与し得る。後者は、触媒毒によって合成性能と選択性が損なわれている可能性がある。高い比率は水相の有機物/塩の過剰な担持につながり、低い比率は触媒の金属中心の不十分な再活性化につながる可能性がある。
本方法の好ましい実施形態において、有機リン配位子を含むロジウム化合物の溶液を、ステップc)において反応システムに供給することができる。供給ステップを簡略化し、平衡調整を迅速に行うために、水溶性有機リン配位子も含むロジウム化合物の非予備形成溶液を同時に添加することが特に適していることが判明している。このプロセス制御により、触媒の予備形成のための更なる技術的なセットアップが不要になる。さらに、反応ゾーンでの予備形成は、成分の別個の添加と比較してより速く行うことができる。好ましくは、添加はまた、反応ゾーンに直接行うことができる。
方法の好ましい態様において、有機リン配位子は、遷移金属源の供給の前に、ステップc)において反応システムに供給され得る。触媒溶液が、不利に変化/劣化した異性体比または非常に不十分な活性などの高度な老化を既に示している場合、新鮮な遷移金属源を加える前に、反応ゾーンに残っている触媒溶液の残留量を最初に水溶性有機リン配位子と接触させることが有利であることが証明されている。このプロセス制御は、残存する触媒のより選択的な活性化に寄与し、遷移金属源と有機リン配位子を同時に添加する場合と比較して、全体としてより活性でより選択的な触媒が反応ゾーンで得られるようにすることができる。有機リン配位子は、反応ゾーンに直接添加してもよいし、例えば、反応システム内の触媒回路への添加を介して添加してもよい。
方法のさらなる、好ましい実施形態によれば、ステップc)において、まず溶媒の一部、次に溶媒に溶解した遷移金属源、次に有機リン配位子を反応システムに供給することができる。このステップにおける添加が、上記に示した順序で進行することが、制御された反応制御に特に好適であることが見出されている。順次添加することにより、常に希薄な触媒水溶液を反応ゾーンで最初に得ることができ、これにさらなる成分を添加することができる。適切な技術的手段または反応ゾーンでの溶液の合成ガス対流によって、平衡化はさらに促進される。
方法の好ましい特徴によれば、ステップb)およびc)は、ステップa)の終了時における反応ゾーンの水溶液中の有機配位子および塩の濃度と比較して、反応ゾーンの水溶液中に存在する有機配位子および塩の合計濃度を10%以上、50%以下低減することが可能である。驚くべきことに、本発明による方法は、反応ゾーンの水性触媒溶液中の塩含有量および/または有機負荷を著しく低減することができることが示された。特に、配位子分解生成物の濃度を低減することができ、それによって、反応ゾーンにおける触媒の全体的な寿命を向上させることができる。水溶液中の有機リン系配位子の量は、例えば、HPLC測定により測定することができる。特に、TPPTS分解物の量を低減することができ、異性体比の向上につながる。ここで、有機配位子としては、特に、炭素骨格とヘテロ原子とを有し、ヘテロ原子を介して錯体形成が進行する錯化剤を挙げることができる。したがって、有機配位子には、所望の機能的な有機リン配位子およびその分解生成物が含まれる。さらに、有機配位子群には、水溶性の付加された遷移金属源の配位子も含まれ、例えば、炭素およびヘテロ原子部分を有する酢酸または同様の化合物の形態である。
方法のさらなる実施形態においては、ステップc)において、反応ゾーンの水溶液中のpHは、成分の添加後、pH4以上、pH10以下の範囲に調整することができる。また、できるだけ高い触媒活性を得るために、添加手順の後に、反応ゾーンの触媒水溶液のpHを調整することも有用であることが見出されている。これは、無機酸または塩基のような既知の調整剤によって行うことができる。また、新たに添加される量の触媒をこれらと共にすでに供給し、その結果、プロセス/再活性化時間の加速を達成することも可能である。さらなる好ましい実施形態において、pHは、pH5以上とpH8以下との間で調整することができ、さらに好ましくはpH5.5以上とpH7以下との間で調整することができる。
本方法のさらなる実施形態において、ステップc)において添加される遷移金属に対する有機リン配位子のモル比は、20以上、500以下であってよい。遷移金属源を安定化させ、平衡化を促進させるために、このステップで水溶性有機リン配位子を高過剰に使用することが有益であることが分かっている。好ましい比率は、さらに120以上と450以下との間であり、好ましくは150以上と400以下との間である。
方法のさらなる好ましい実施形態によれば、反応ゾーンの溶液中の無機カチオンの濃度は、ステップb)およびc)により5%以上低減させることができる。また、反応ゾーンの有機配位子の濃度を低減することに加えて、無機カチオンの量も低減することが非常に有利であることが見出されている。無機カチオンとしては、例えば、アルカリイオン、アルカリ土類イオンなどが挙げられる。理論にとらわれることなく、これらのイオンは、見かけ上、触媒錯体の一部であるか、水相と有機相との間のオレフィンの分配平衡を変化させてオレフィンの水相への溶解性を向上させることに寄与することが可能である。したがって、カチオンの濃度を下げることにより、水相の極性が減少し、オレフィンに対してより有利な相平衡を達成することができる。特に後者は、反応速度の向上に寄与し得る。特に好ましい実施形態においては、反応ゾーン溶液中の無機カチオンの濃度を10%以上、より好ましくは15%以上低減させることができる。これらの範囲のカチオンの低減は、触媒活性の特に効率的な回復に寄与し得る。濃度の測定は、例えば、ICP法により行うことができる。
本発明の主題の更なる詳細、特徴および利点は、従属請求項並びに図および関連する例の以下の説明から明らかになるであろう。
図1は、連続的なRuhrchemie/Rhone-Poulencヒドロホルミル化の方法の工程シーケンス(手順)を概略的に示している。 図2は、本発明によるヒドロホルミル化の方法を実施する際の工程シーケンス(手順)を概略的に示す。
図1は、連続的なRuhrchemie/Rhone-Poulencヒドロホルミル化の方法の実施を模式的に示している。反応ゾーン内の水溶性活性触媒水溶液に、オレフィン出発物質および合成ガスが連続的に供給される。この反応条件により、触媒が化学的に劣化し、合成性能と反応選択性が低下する。この劣化に対して、TPPTSのような水溶性有機リン錯体配位子を時間差で反応ゾーンに追加添加する。新たに添加された配位子との平衡反応と、金属錯体から触媒毒が一部置換されることにより、合成効率と異性体比率の両方が向上する。その後、合成ガスとオレフィンを添加しながら、再び通常通りヒドロホルミル化を行う。しかし、水溶性有機リン錯体配位子の添加を繰り返すと、触媒溶液中の塩と有機物の負荷が高くなり、反応を終了して触媒溶液全体を精査する必要がある。
図2は、本発明による方法の工程順序を模式的に示したものである。ヒドロホルミル化の一定期間の処理の後、先行技の方法と同様に金属触媒の部分的な失活が起こり、これは収率の悪化および/または異性体比の悪化によって顕著になる。この場合、触媒溶液の一部分が反応ゾーンまたは反応システムから排出される。排出された部分は溶媒で置換され、希釈された触媒溶液が得られる。さらに、排出の前または後に、反応ゾーンでのオレフィン量を同時に減少させる。後者は、例えば、オレフィンの供給を停止し、反応ゾーン位にまだ存在するオレフィンを反応させることによって達成することができる。オレフィンが枯渇した反応ゾーンに、今度はロジウム源、さらに、水溶性有機リン錯体配位子を同時にまたは順次供給する。この補充された触媒溶液は、オレフィンの非存在下および合成ガスの存在下で、活性触媒に予備形成される。予備形成後、オレフィン供給が再開され、より優れた合成効率と異性体比でヒドロホルミル化が行われる。このようにして、先行技術の方法と比較して、連続的なヒドロホルミル化反応をかなり長い時間にわたって安定して継続させることができる。
また、本発明は以下の項目を含む。
[項目1]
反応ゾーンにおいて一酸化炭素、水素および遷移金属触媒によってオレフィンからアルデヒドを製造するための連続二相ヒドロホルミル化の方法であって、
前記遷移金属は水溶性触媒錯体の形態であり、
a)反応ゾーンにおいて水溶性有機リン配位子を有する水溶性遷移金属触媒上でオレフィン、一酸化炭素および水素を反応させることによりヒドロホルミル化するステップ;
b)反応ゾーンへのオレフィン供給を減少させ、触媒溶液の少なくとも一部を反応システムから除去することにより反応ゾーンのオレフィン濃度を減少させるステップ、ここで、触媒溶液の除去およびオレフィン濃度減少サブステップは、この順序または逆の順序で、同時にまたは順次行うことができる;
c)溶媒、遷移金属源、水溶性有機リン配位子を反応システムに供給するステップ、ここで成分の供給は、同時にまたは任意の順序で順次行うことができる;
d)反応ゾーンへのオレフィン供給量を増やし、反応ゾーンのオレフィン濃度を上昇させ、オレフィンを一酸化炭素および水素と反応させてヒドロホルミル化するステップ
を1回または複数回含むことを特徴とする前記方法。
[項目2]
ステップb)において、オレフィン濃度を減少させるサブステップが、触媒溶液の部分的な除去の前に行われる、項目1に記載の方法。
[項目3]
ステップb)において、反応ゾーンにおけるオレフィンのモル濃度が、ステップa)における反応ゾーンにおけるオレフィンの濃度を基準として50%以上、100%以下だけ減少する、項目1~2のいずれか一つに記載の方法。
[項目4]
ステップb)において、10%以上50%以下の体積の水性触媒溶液が反応システムから除去される、項目1~3のいずれか1項に記載の方法。
[項目5]
工程c)で供給される液体成分の体積が、工程b)で除去された触媒溶液に対して20%以上、200%以下である、項目1~4のいずれか1項に記載の方法。
[項目6]
ステップc)において、遷移金属源として、ロジウム(III)塩の群から選択されるロジウム化合物、例えば、Rh-2-エチルヘキサノエート、-アセテート、-オキサレート、-プロピオネート、-マロネート、Rh(NO 3 3 、Rh(SO 4 3 、RhCl 3 、またはロジウム錯体化合物、例えば、シクロペンタジエニルロジウム化合物、[RhCl(シクロオクタジエン-1,5)] 2 、ロジウムアセチルアセトネート、または、ロジウムカルボニル化合物、例えば、Rh 3 (CO) 12 、Rh 6 (CO) 16 、または各種ロジウム酸化物、またはその少なくとも二つの化合物の混合物の形態で添加される、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
[項目7]
ステップc)において、有機リン配位子を有する予備形成されたロジウム錯体を遷移金属源として反応システムに添加する、項目1~5のいずれか1項に記載の方法。
[項目8]
ステップc)において、有機リン配位子を、ステップb)において除去した遷移金属の量に対して20以上、400以下のモル比で添加する、項目1~7のいずれか1項に記載の方法。
[項目9]
ステップc)において、有機リン配位子を含むロジウム化合物の溶液を反応システムに供給する、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
[項目10]
ステップc)において、遷移金属源の供給前に、有機リン配位子を反応システムに供給する、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
[項目11]
ステップc)において、最初に溶媒の一部、次に溶媒に溶解した遷移金属源、次に有機リン配位子を反応システムに供給する、項目1~8のいずれか1項に記載の方法。
[項目12]
ステップb)およびc)により、ステップa)の終了時における反応ゾーンの水溶液中の有機配位子および塩の濃度と比較して、反応ゾーンの水溶液中に存在する有機配位子および塩の合計濃度を10%以上、50%以下だけ低減する、項目1~11のいずれか1項に記載の方法。
[項目13]
ステップc)において、反応ゾーンの水溶液のpHを、pH4以上、pH10以下の範囲に調整する、項目1~12のいずれか1項に記載の方法。
[項目14]
ステップc)において、添加されたロジウムに対する添加された有機リン配位子のモル比が、20以上、500以下である、項目1~13のいずれか1項に記載の方法。
[項目15]
ステップb)およびc)により、反応ゾーン溶液中の無機カチオンの濃度が5%以上減少する、項目1~14のいずれか1項に記載の方法。

本発明による方法の利点は、以下の例によって説明される。
例1(本発明によるものではない、添加はオレフィンの存在下で行われる)
使用した触媒水溶液(有機リン配位子としてTPPTSを有するRh、配位子比P(III):Rhは約90:1)を半連続装置に用い、合成ガス圧50bar、137℃、pH6.0、プロピレン供給量60g/hで14時間運転した。触媒生産性の指標として、初期レベルとして0.272(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)のp値が得られている。その後、触媒溶液の20%と35%を2段階で除去し、それぞれ適量の脱イオン水に置き換えた。この2回の部分排除により反応ゾーン位のロジウム量は約半分になったが、p値は約20%しか減少しなかった。しかし、触媒溶液の希釈により、n-アルデヒドに対する位置選択性は91%から89%に低下した。
その後、進行中のヒドロホルミル化、すなわち合成ガスと供給オレフィンの添加中に酢酸ロジウム(III)を添加することにより、反応器内のロジウムの元の量を回復させた。酢酸ロジウム(III)の添加により、P(III):Rh比が低下した(219対112ppmまたは74:1対43:1)が、配位子比の低下は生産性と選択性に影響を与えなかった。実際には、さらにロジウムを添加することにより、活性が有意に上昇する。さらに、P(III):Rhの比率が低くなると、位置選択性はさらに低下する。実験の結果、次のような値が得られた:
Figure 0007335417000005
上の表から明らかなように、反応ゾーンのオレフィン濃度を下げずに抽出ロジウムを補充しても、合成効率の向上は不十分で、n:i異性体比も改善されないだけである。これらの値は時間の関数としても改善されないので、この効果は、実際の活性触媒種を形成するのに十分な時間がないなどの速度論的効果に起因するものではない。おそらく、酢酸ロジウム(III)として導入された金属は、反応条件下で触媒活性のあるロジウム(I)錯体に全く変換されないか、不十分な程度にしか変換されなかったと考慮される。しかし、配位子分解生成物との望ましくない競合的な錯体形成により、新たに添加されたロジウムの失活が進む可能性もある。特定の状況下では、添加されたロジウム(III)は、反応ゾーンに存在するオレフィンと安定なロジウム(III)-アルケニル錯体を形成し得るが、これはヒドロホルミル化不活性であり、反応ゾーンの条件下で触媒活性ロジウム(I)錯体に変換されることはあり得ない。
例2(本発明による方法、オレフィンの非存在下での添加)
126℃、50bar、プロピレン供給量60g/h、pH6.0において、使用した触媒溶液の基本性能を約23時間にわたり、p=0.155(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)およびn-アルデヒド含有量90.9%で測定した。その後、触媒溶液の21%を除去し、体積減少分を水で補った。p値は0.138(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)に減少し、n-アルデヒド率は90.0%になった。36時間後、システムを10barまで減圧し、次に合成ガスで50barの圧力に調整し、反応器内に存在するプロピレンを除去した。酢酸ロジウム(III)を先に除去した触媒の量に応じて添加し、触媒溶液を50barの合成ガス圧、121℃で3時間攪拌した。その後、プロピレンの添加を再開した。この手順の後、0.169(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)という有意に増加したp値が得られた。この合成性能の値は、初期レベルを超えており、126℃の使用済みリフレッシュ触媒としては高い値である。また、p値から、触媒量および時間あたりに得られる生成物の量を示すことができる。しかし、n-アルデヒドの選択性は89.8%に低下した。48時間後、配位子TPPTSを添加し、P(III):Rhを>90:1超える比率まで増加させた。TPPTSの添加により触媒サイクルが大幅に希釈され、それに伴いロジウム濃度も低下したため、p値はp=0.130(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)に減少した。しかしながら、希釈を考慮すると、例1と比較して著しく活性の高い触媒が得られている。また、選択率もn-割合が90.7%まで上昇した。このように、例1とは対照的に、添加後に高い生産性と改善された異性体比が得られることから、添加中にプロピレンが存在しないことが効果的なロジウム(III)添加に重要であると思われる。さらに、添加後に温度を再び下げることができ、これは方法のさらなる経過において触媒寿命を再び増加させることができる。
Figure 0007335417000006
例3(本発明による)
例2に記載した手順を、50bar、126℃、140g/hプロピレン供給およびpH6で別の実験において4回繰り返した。新しい触媒溶液の添加は、常に反応物オレフィンの非存在下で実施された。ヒドロホルミル化ベースラインは、p=0.166(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)、92.5%n-C4-alと測定された。除去した触媒量を補充したところ、触媒溶液の活性はベースラインを超え、平均でp=0.178(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)まで上昇した。位置選択性は3回目の後に低下し、P(III):Rhが60:1のときn-含有率90.6%となり、4回目のさらなる配位子添加により80:1の比率に増加し、選択性が91.1%となった。
Figure 0007335417000007
部分置換は、失活成分(不活性化成分)を排出することで使用する触媒溶液の活性を上げることを目的としているため、対応する分解生成物の濃度もモニターした(表3.2)。最初の触媒除去前のTPPOTS濃度は4.4%であり、配位子分解生成物の1つ(K5)である濃度は7.9%であった。このように、分解生成物には、反応溶液中の有機化合物のうち、使用した有機配位子の骨格の少なくとも一部を持ち、反応ゾーンで優勢な化学条件を介して少なくとも一部が化学的に修飾されたものすべてが含まれる。使用される配位子の化学的修飾は、例えば、1つまたは複数の酸化/還元工程、および1つ以上の官能基またはCH基の開裂を含んでもよい。
HPLC分析により測定した触媒溶液の総塩分量は29.1%であった。ロジウムとTPPTSの添加を含む最初の置換手順の後、TPPOTSの濃度は3.5%、K5の濃度は6.1%であった。総塩濃度は23.2%で、この点では初期レベルより有意に低くなっている。TPPTSの含有量は、従来の11.8%に対し、補給により9.8%となった。
Figure 0007335417000008
全体として、1回目の置換で塩分濃度を20%以上低減することが可能であった。一方,TPPTSの含有量は、添加によって比較的安定に保たれた。データとしては、P(III)分解が最初の置換手順でバランスしていなかったことに注意する必要がある。最後の手順においてのみ、TPPTSが大幅に過剰に添加され、TPPTS含有量は12.5%または>80:1のP(III):Rh比になった。
例4(個々の金属源と配位子添加の組合せ)
この実験では、139℃、50bar、プロピレン供給量145g/h、pH6.0において、427時間、活性と選択性の低下をモニターし、この触媒溶液はP(III):Rh比<50:1という非常に低いものであった。P値は0.237(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)から0.123まで反応時間内に着実に減少した。その後、触媒量の20%の置換を開始した。プロピレンの供給を停止し、反応器内のプロピレンを転換し、触媒ループから20%の触媒体積を除去した。不足する触媒体積は、TPPTS水溶液に溶解した適量の酢酸ロジウム(III)(約30質量%;結果としてP(III):Rh=102:1)で直接置換された。反応温度(138℃)および合成ガス雰囲気(50bar)下、ほぼプロピレンを含まない反応混合物を3時間撹拌した後、プロピレン供給をゆっくりと開始し、145g/hまで増加させた。置換後の最初の20時間において、p値は0.123(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)から0.184(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)に、続く24時間でさらに0.209(kgアルデヒド/L触媒溶液x時間)に増加した。さらに、ここでの置換は、1段階で、すなわち、配位子を有する溶液中または同時添加のロジウム源の同時添加によって行われたので、TPPTSによる触媒溶液の事前の安定化は必要なかった。この手順の結果は以下の通りである:
Figure 0007335417000009
例5(老化(退化)触媒溶液)
好ましい工程の変形として、非常に非常に老化された触媒溶液で置換シークエンスを実施する試みを行った。50bar、138℃、140g/hのプロピレン投入量およびpH6.0において、反応のベースレベルが測定され、置換手順は、除去および希釈を伴って開始された。この時点でヒドロホルミル化が崩れ、実験を終了せざるを得なくなった.触媒の再活性化は不可能であった。
Figure 0007335417000010
非常に古くなった(老化した)触媒溶液で、すでに配位子とロジウムの比率が低い場合、金属を置換するだけでは触媒溶液を再活性化することはできない。このような場合、配位子が決定要因であり、金属ではない。それにもかかわらず、本発明の工程を介して再活性化を達成することができる。これらの場合の可能な工程を、例6に示す。
例6(老化(退化)触媒溶液)
条件を変更し、まず例5で使用した触媒溶液に配位子を追加して系を安定化させた(50bar、136℃、40g/hプロピレン投入、pH6.0)。すでに配位子のみの添加で、選択性だけでなく活性も明らかに向上しており、配位子濃度が触媒の生産性を決定する要因であることが証明された。配位子添加による安定化後、本発明による置換手順を2回実施し、予備形成時間は各場合とも3時間であった。安定化後の136℃から131℃への温度の低下、および置換後のオレフィン投入量のそれぞれの可能な増加(40g/h→45g/h→55g/h)は、触媒活性の明確な増加の兆候である。この結果は、非常に不活性な触媒溶液も、置換して再活性化できることを示している。しかし、この目的のためには、これらの特殊な触媒溶液は、まず、さらなる配位子添加によって安定化させる必要がある。置換の結果を表6に示す。
Figure 0007335417000011

Claims (15)

  1. 反応ゾーンにおいて一酸化炭素、水素および遷移金属触媒によってオレフィンからアルデヒドを製造するための連続二相ヒドロホルミル化の方法であって、
    前記遷移金属は水溶性触媒錯体の形態であり、
    a)反応ゾーンにおいて水溶性有機リン配位子を有する水溶性遷移金属触媒上でオレフィン、一酸化炭素および水素を反応させることによりヒドロホルミル化するステップ;
    b)反応ゾーンへのオレフィン供給を減少させ、触媒溶液の少なくとも一部を反応システムから除去することにより反応ゾーンのオレフィン濃度を減少させるステップ、ここで、触媒溶液の除去およびオレフィン濃度減少サブステップは、この順序または逆の順序で、同時にまたは順次行うことができる;
    c)溶媒、遷移金属源、水溶性有機リン配位子を反応システムに供給するステップ、ここで成分の供給は、同時にまたは任意の順序で順次行うことができる;
    d)反応ゾーンへのオレフィン供給量を増やし、反応ゾーンのオレフィン濃度を上昇させ、オレフィンを一酸化炭素および水素と反応させてヒドロホルミル化するステップ
    を1回または複数回含むことを特徴とする前記方法。
  2. ステップb)において、オレフィン濃度を減少させるサブステップが、触媒溶液の部分的な除去の前に行われる、請求項1に記載の方法。
  3. ステップb)において、反応ゾーンにおけるオレフィンのモル濃度が、ステップa)における反応ゾーンにおけるオレフィンの濃度を基準として50%以上、100%以下だけ減少する、請求項1~2のいずれか一つに記載の方法。
  4. ステップb)において、10%以上50%以下の体積の水性触媒溶液が反応システムから除去される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 工程c)で供給される液体成分の体積が、工程b)で除去された触媒溶液に対して20%以上、200%以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ステップc)において、遷移金属源として、ロジウム(III)塩であるロジウム化合物、またはロジウム錯体化合物、または、ロジウムカルボニル化合物、またはその少なくとも二つの化合物の混合物添加される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ステップc)において、有機リン配位子を有する予備形成されたロジウム錯体を遷移金属源として反応システムに添加する、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
  8. ステップc)において、有機リン配位子を、ステップb)において除去した遷移金属の量に対して20以上、400以下のモル比で添加する、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
  9. ステップc)において、有機リン配位子を含むロジウム化合物の溶液を反応システムに供給する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. ステップc)において、遷移金属源の供給前に、有機リン配位子を反応システムに供給する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  11. ステップc)において、最初に溶媒の一部、次に溶媒に溶解した遷移金属源、次に有機リン配位子を反応システムに供給する、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
  12. ステップb)およびc)により、ステップa)の終了時における反応ゾーンの水溶液中の有機配位子および塩の濃度と比較して、反応ゾーンの水溶液中に存在する有機配位子および塩の合計濃度を10%以上、50%以下だけ低減する、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
  13. ステップc)において、反応ゾーンの水溶液のpHを、pH4以上、pH10以下の範囲に調整する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
  14. ステップc)において、添加されたロジウムに対する添加された有機リン配位子のモル比が、20以上、500以下である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. ステップb)およびc)により、反応ゾーン溶液中の無機カチオンの濃度が5%以上減少する、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
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