JP7334849B2 - シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法 - Google Patents

シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法 Download PDF

Info

Publication number
JP7334849B2
JP7334849B2 JP2022508124A JP2022508124A JP7334849B2 JP 7334849 B2 JP7334849 B2 JP 7334849B2 JP 2022508124 A JP2022508124 A JP 2022508124A JP 2022508124 A JP2022508124 A JP 2022508124A JP 7334849 B2 JP7334849 B2 JP 7334849B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
donor
single crystal
concentration
silicon single
crystal substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2022508124A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2021186944A1 (ja
Inventor
博 竹野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Handotai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Handotai Co Ltd filed Critical Shin Etsu Handotai Co Ltd
Publication of JPWO2021186944A1 publication Critical patent/JPWO2021186944A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7334849B2 publication Critical patent/JP7334849B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic Table or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/26Bombardment with radiation
    • H01L21/263Bombardment with radiation with high-energy radiation
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L21/00Processes or apparatus adapted for the manufacture or treatment of semiconductor or solid state devices or of parts thereof
    • H01L21/02Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof
    • H01L21/04Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer
    • H01L21/18Manufacture or treatment of semiconductor devices or of parts thereof the devices having potential barriers, e.g. a PN junction, depletion layer or carrier concentration layer the devices having semiconductor bodies comprising elements of Group IV of the Periodic Table or AIIIBV compounds with or without impurities, e.g. doping materials
    • H01L21/26Bombardment with radiation
    • H01L21/263Bombardment with radiation with high-energy radiation
    • H01L21/265Bombardment with radiation with high-energy radiation producing ion implantation
    • H01L21/26506Bombardment with radiation with high-energy radiation producing ion implantation in group IV semiconductors
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L22/00Testing or measuring during manufacture or treatment; Reliability measurements, i.e. testing of parts without further processing to modify the parts as such; Structural arrangements therefor
    • H01L22/10Measuring as part of the manufacturing process
    • H01L22/12Measuring as part of the manufacturing process for structural parameters, e.g. thickness, line width, refractive index, temperature, warp, bond strength, defects, optical inspection, electrical measurement of structural dimensions, metallurgic measurement of diffusions
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L22/00Testing or measuring during manufacture or treatment; Reliability measurements, i.e. testing of parts without further processing to modify the parts as such; Structural arrangements therefor
    • H01L22/20Sequence of activities consisting of a plurality of measurements, corrections, marking or sorting steps
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C30CRYSTAL GROWTH
    • C30BSINGLE-CRYSTAL GROWTH; UNIDIRECTIONAL SOLIDIFICATION OF EUTECTIC MATERIAL OR UNIDIRECTIONAL DEMIXING OF EUTECTOID MATERIAL; REFINING BY ZONE-MELTING OF MATERIAL; PRODUCTION OF A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; SINGLE CRYSTALS OR HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; AFTER-TREATMENT OF SINGLE CRYSTALS OR A HOMOGENEOUS POLYCRYSTALLINE MATERIAL WITH DEFINED STRUCTURE; APPARATUS THEREFOR
    • C30B29/00Single crystals or homogeneous polycrystalline material with defined structure characterised by the material or by their shape
    • C30B29/02Elements
    • C30B29/06Silicon

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • High Energy & Nuclear Physics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)

Description

本発明は、シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法に関する。
スイッチング素子のIGBT(Insulated Gate Bipolor Transistor、絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)やダイオードにおいては、高速化、低損失化のために、薄ウエーハの裏面側にフィールドストップ層(あるいは、バッファ層)を形成した構造が用いられている(特許文献1)。また、ソフトリカバリー特性も兼ね備えるように、ウエーハ厚み方向の中央付近にブロードバッファ層を形成した構造も提案されている(特許文献2)。
バッファ層やブロードバッファ層を形成する方法として、プロトン照射と熱処理によりドナーを形成する方法がある。例えば、特許文献1では、ウエーハを薄くした後にプロトン照射を行い、熱処理(例えば、300℃~500℃)を施してバッファ層を形成する方法が開示されている。また、特許文献2では、プロトン照射する際のプロトンのドーズ量を1×1011atoms/cm以上1×1014atoms/cm以下とし、250℃以上500℃以下の熱処理を行うことにより、ブロードバッファ層を形成する方法が開示されている。
プロトン照射と熱処理によりバッファ層を形成する方法では、一般的なドーパントのイオン注入と活性化熱処理によりバッファ層を形成する場合と比較して、幅広いバッファ層を深い領域にも形成できることにより、デバイス特性の向上が期待でき、また、低い温度の熱処理でドナーを形成できることにより、ウエーハを薄板化した後のプロセスにおける割れやキズなどの問題を軽減できるという利点がある。
一方で、プロトン照射と熱処理により形成されるドナーの濃度は、シリコン単結晶基板中の軽元素不純物である酸素や炭素の濃度の影響を受けることが知られている。
例えば、特許文献2では、プロトン照射と熱処理によりブロードバッファ層を形成する領域の酸素原子の濃度は1×1016atoms/cm以上であることが良いと記載されている。また、非特許文献1では、プロトン照射と熱処理により形成したフィールドストップ層の積分ドナー濃度は、酸素濃度が高いほど高くなり、炭素濃度が高いほど高くなる傾向が示されている。
このように、プロトン照射と熱処理により形成されるドナーの濃度は、シリコン単結晶基板中の酸素や炭素の濃度の影響を受けるため、ドナー濃度はシリコン単結晶基板によってばらつく場合がある。
プロトン照射と熱処理によりドナーが形成されるメカニズムは、次のように考えられている。シリコン単結晶基板に対して、プロトン照射を行うと、水素が導入されると同時に、格子位置のシリコン原子が弾き出されて、格子間シリコン(以下、Iと称する)とその抜け殻である空孔(以下、Vと称する)が生成される。過剰に生成されたIやVは、単体では不安定なため、再結合したり(V+I→0)、I同士やV同士がクラスタリングしたり、シリコン単結晶基板中に含まれる酸素や炭素などの軽元素不純物と反応して複合体を形成する。そして、プロトン照射と熱処理により、IやVのクラスターや、IやVと軽元素不純物の複合体に水素が結合することによりドナーが形成されると考えられている。このことから、プロトン照射と熱処理により形成されるドナーは複数種あり、その種類や濃度はシリコン単結晶基板中の軽元素不純物の濃度によって変化すると考えられる。
特許第3684962号 特許第5104314号
H. J. Schulze et. al, Proceedings of the 2016 28th International Symposium on Power Semiconductor Devices and ICs (ISPSD), p.355.
プロトン照射と熱処理によりドナーを形成する方法は、デバイス特性の向上やプロセス負荷の軽減に有効な方法であるが、ドナーの挙動は、真性点欠陥(V、I)や軽元素の影響により複雑になるため、ドナー濃度を厳密に制御することが難しい。
一般的には、プロトン照射におけるプロトンの加速電圧が同じで、プロトン照射後の熱処理条件も同じであれば、プロトン照射と熱処理により形成されるドナーの濃度は、プロトン照射におけるプロトンのドーズ量と単調な関係にあると考えられるが、実際には必ずしもそうではなく、目標のドナー濃度が得られるプロトンのドーズ量を探し出すのに手間とコストがかかるという問題があった。さらに、プロトン照射と熱処理により形成されるドナーの濃度は、シリコン単結晶基板中の軽元素不純物の濃度によっても変化するため、プロトン照射条件と熱処理条件が同じでも、シリコン単結晶基板によってドナーの濃度がばらつくという問題があった。
本発明は、前述のような問題に鑑みてなされたものであって、プロトン照射と熱処理によりドナー濃度を制御するデバイスの製造工程において、目標のドナー濃度が得られ、かつ、シリコン単結晶基板によるばらつきを低減できるプロトンのドーズ量を簡便に決定することができるシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、
ドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板にプロトンを照射する第2のプロトン照射工程と、
該第2のプロトン照射工程後の前記シリコン単結晶基板に熱処理を施す第2の熱処理工程と、
を行うことでドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法であって、
前記第2のプロトン照射工程を行う前に予め、試験用シリコン単結晶基板にプロトンを照射する第1のプロトン照射工程、
該第1のプロトン照射工程の後の前記試験用シリコン単結晶基板中の水素濃度の深さ方向分布を測定する水素濃度測定工程、
前記第1のプロトン照射工程の後の前記試験用シリコン単結晶基板に前記第2の熱処理工程と同じ条件の熱処理を施す第1の熱処理工程、
該第1の熱処理工程の後に前記試験用シリコン単結晶基板中に発生したドナー増加量の深さ方向分布を測定するドナー濃度測定工程、
前記水素濃度測定工程で測定した前記水素濃度の深さ方向分布と前記ドナー濃度測定工程で測定した前記ドナー増加量の深さ方向分布から、前記試験用シリコン単結晶基板中の水素濃度と前記試験用シリコン単結晶基板中に発生したドナー増加量との相関関係を取得する相関関係取得工程と、
を有し、
取得した前記相関関係に基づいて、前記第2の熱処理工程後の前記ドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値になるように、前記第2のプロトン照射工程で照射するプロトンのドーズ量を調整するシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法を提供する。
このようなシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法であれば、予め試験用のシリコン単結晶基板から得た、プロトン照射後の水素濃度と、プロトン照射と熱処理を施した後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量との相関関係に基づいて、ドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板へのプロトン照射におけるプロトンのドーズ量を調整することによりドナー濃度を制御すれば、精度よく目標のドナー濃度が得られ、かつシリコン単結晶基板によるばらつきを低減できるプロトンのドーズ量を簡便に決定することができる。
このとき、前記相関関係に基づく前記第2のプロトン照射工程で照射するプロトンのドーズ量の調整において、
前記第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量と前記試験用シリコン単結晶基板中の前記水素濃度の深さ方向分布における水素の最大濃度から係数を求め、
前記相関関係に基づき前記第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値となるような水素濃度を求め、該水素濃度と前記係数を用いることで、前記第2のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量を求めることとすることができる。
これにより、第2のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量をより正確に求めることができ、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量をより目標値に近づけることができる。
このとき、前記第1のプロトン照射工程における前記プロトンのドーズ量を1×1014atoms/cm以上とすることができる。
前記水素濃度測定工程において、シリコン単結晶基板中の水素濃度の深さ方向分布を測定する方法として、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS)がある。前記第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量を1×1014atoms/cm以上とすることにより、シリコン単結晶基板中の水素濃度の深さ方向分布をSIMS等により高精度で測定できる。
このとき、前記第2のプロトン照射工程で照射する前記プロトンのドーズ量の調整を結晶ブロック毎に行うことができる。
これにより、実際にドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ結晶ブロック、あるいは同じ仕様で製造された結晶ブロック毎にドナー濃度を制御することで、シリコン単結晶基板によるドナー濃度のばらつきをより低減することができる。
以上のように、本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法であれば、予め試験用のシリコン単結晶基板から得た、プロトン照射後の水素濃度と、プロトン照射と熱処理を施した後のドナー増加量との相関関係に基づいて、プロトン照射におけるプロトンのドーズ量を調整することによりドナー濃度を制御することができるので、目標のドナー濃度が得られ、また、シリコン単結晶基板によるドナー濃度のばらつきを低減することができるプロトンのドーズ量を簡便に決定することができる。
本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法の一例を示す図である。 実施例1において得られた水素濃度の深さ方向分布を示す図である。 実施例1において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 実施例1において得られた水素濃度とドナー増加量との関係を示す図である。 実施例1において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 実施例2において得られた水素濃度の深さ方向分布を示す図である。 実施例2において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 実施例2において得られた水素濃度とドナー増加量との関係を示す図である。 実施例2において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 実施例3において得られた水素濃度の深さ方向分布を示す図である。 実施例3において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 実施例3において得られた水素濃度とドナー増加量との関係を示す図である。 図12に表面側と裏面側の境界線を点線で示した図である。 実施例3において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 実施例4において得られた水素濃度の深さ方向分布を示す図である。 実施例4において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 実施例4において得られた水素濃度とドナー増加量との関係を示す図である。 実施例4において得られたドナー増加量の深さ方向分布を示す図である。 比較例1において得られたドナー増加量とプロトンドーズ量との関係を示す図である。 比較例2において得られたドナー増加量とプロトンドーズ量との関係を示す図である。
以下、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
上記のように、一般的には、プロトン照射におけるプロトンの加速電圧が同じで、プロトン照射後の熱処理条件も同じであれば、プロトン照射と熱処理により形成されるドナーの濃度は、プロトン照射におけるプロトンのドーズ量と単調な関係にあると考えられるが、実際には必ずしもそうではなく、目標のドナー濃度が得られるプロトンのドーズ量を探し出すのに手間とコストがかかるという問題があった。
さらに、プロトン照射と熱処理により形成されるドナーの濃度は、シリコン単結晶基板中の軽元素不純物の濃度によっても変化するため、プロトン照射条件と熱処理条件が同じでも、シリコン単結晶基板によってドナーの濃度がばらつくという問題があった。
本発明者は上記課題について鋭意検討を重ねたところ、試験用シリコン単結晶基板において、プロトン照射後の水素濃度の深さ方向分布と、プロトン照射と熱処理を施した後のドナー増加量の深さ方向分布を対応させて得た、水素濃度とドナー増加量との相関関係に基づいて、ドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板の目標のドナー増加量となる水素濃度を求め、その水素濃度から求められるプロトンドーズ量となるように、ドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板にプロトン照射を行えば、プロトン照射と熱処理を施した場合に高精度で目標のドナー増加量が得られることを見出し、本発明を完成させた。
以下、図1を参照して、本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法の一例を説明する。尚、図1の括弧内のシリコン単結晶基板は、各工程において処理されるシリコン単結晶基板を示している。
[準備工程 S0]
まず、試験用シリコン単結晶基板を用意する。ここで用意する試験用シリコン単結晶基板は、実際にドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(以下、制御対象シリコン単結晶基板とも称する)と同じ結晶ブロック、あるいは同じ仕様で製造された結晶ブロックから作製されたものとするのが好ましい。
この試験用シリコン単結晶基板を用意する方法は、本発明において特に限定されない。例えば、チョクラルスキー法やフローティングゾーン法により育成されたシリコン単結晶からシリコンウェーハを切り出し、切断ダメージを取り除くためにシリコンウェーハに化学的エッチング処理を行った後、機械的化学的研磨を行うことにより試験用シリコン単結晶基板を用意できる。
[第1のプロトン照射工程 S1]
次に、試験用シリコン単結晶基板にプロトンを照射する第1のプロトン照射工程を行う(図1のS1)。このとき、プロトン照射の前に、シリコン単結晶基板に酸化膜等を形成しても良い。
第1のプロトン照射工程において、プロトンの加速電圧は、対象とする半導体デバイスの製造プロセスのプロトン照射工程、即ち後に詳細を説明するドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板にプロトンを照射する第2のプロトン照射工程(図1のS6)で使用される加速電圧に合わせる。また、プロトンの飛程を調整するためにアブソーバー等を用いてもよく、その場合、その材質や厚みも第2のプロトン照射工程の条件に合わせる。加速電圧は、例えば、8MVとすることができる。
このとき、第1のプロトン照射工程において、第1のプロトンのドーズ量D1は1×1014atoms/cm以上とすることが好ましい。このことにより、第1のプロトン照射工程後の水素濃度の深さ方向分布を、例えば、二次イオン質量分析法(SIMS)により高精度で測定することができる。また、プロトンドーズ量の上限は特に問わないが、ドーズ量が高くなるとプロトン照射のコストが高くなるので、1×1016atoms/cm以下とすることがより好ましい。
また、第1のプロトン照射後のシリコン単結晶基板を2つ以上に分割してもよい。後述する水素濃度測定工程、第1の熱処理工程及びドナー濃度測定工程は、第1のプロトン照射後のシリコン単結晶基板であれば特に制限はされないが、2つ以上に分割すれば水素濃度測定工程と第1の熱処理工程及びドナー濃度測定工程をもともと同じ基板を分割したそれぞれの基板に同時に行うことができるため、測定精度および効率が上がる上に低コストとなる。
[水素濃度測定工程 S2]
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板において、水素濃度の深さ方向分布を測定する水素濃度測定工程(図1のS2)を行う。水素濃度の深さ方向分布は、例えば、SIMSにより測定することができる。
次に、水素濃度測定工程において測定した水素濃度の深さ方向分布のデータに対して、例えば、下記式(1)のガウス関数をフィッティングすることにより、係数N、中央値μ、及び標準偏差σを求める。ここで、N(x)は深さxにおける水素濃度であり、N(μ)が水素濃度の深さ方向分布における水素の最大濃度となる。
Figure 0007334849000001
次に、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1と、式(1)により計算される水素の最大濃度N(μ)を用いて、下記式(2)により係数Aを求めることができる。
Figure 0007334849000002
[第1の熱処理工程 S3]
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板に熱処理を施す第1の熱処理工程(図1のS3)を行う。
第1の熱処理工程において施す熱処理の条件は、対象とする半導体デバイスの製造プロセスの熱処理工程、即ち後に詳細を説明するドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板における第2の熱処理工程(図1のS7)で施される熱処理の条件に合わせる。
[ドナー濃度測定工程 S4]
次に、第1の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布を測定するドナー濃度測定工程(図1のS4)を行う。ドナー濃度の深さ方向分布は、例えば、拡がり抵抗測定法(SR法)により測定することができる。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求める。
次に、ドナー増加量を求めた各深さxにおける水素濃度N(x)を上記式(1)により計算することができる。
[相関関係取得工程 S5]
次に、水素濃度測定工程(S2)及びドナー濃度測定工程(S4)で求めた各深さxにおける水素濃度N(x)とドナー増加量ΔN(x)とを対応させることで、水素濃度とドナー増加量との相関関係を取得する相関関係取得工程を行う(図1のS5)。
このとき、上記のように取得した相関関係に基づいて、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値となるような水素濃度N’を求め、さらに、該求めた水素濃度N’と上記式(2)で求めた係数Aを用いて、プロトンのドーズ量D2(=A×N’)を求めることが好ましい。このようにすれば、第2のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量をより正確に求めることができ、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量をより高精度で目標値に近づけることができる。
[第2のプロトン照射工程 S6]
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して、プロトンのドーズ量が上記求めたD2になるように第2のプロトン照射工程を行う(図1のS6)。
第2のプロトン照射工程において、プロトンの加速電圧は、第1のプロトン照射工程で使用した加速電圧と同じにする。
このとき、第2のプロトン照射工程で照射するプロトンのドーズ量の調整を結晶ブロック毎に行うことが好ましい。このようにすれば、制御対象シリコン単結晶基板と同じ結晶ブロック、あるいは同じ仕様で製造された結晶ブロック毎にドナー濃度を制御することで、シリコン単結晶基板のブロック等によるドナー濃度のばらつきをより低減することができる。
[第2の熱処理工程 S7]
次に、プロトンを照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して第2の熱処理工程を行う(図1のS7)。第2の熱処理工程で施される熱処理の条件は、第1の熱処理工程と同じ条件とし、例えば、熱処理条件を、熱処理温度を300~500℃、処理時間を20分~3時間、窒素、酸素、あるいは水素などの雰囲気下として行うことができる。
以上のような、本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法であれば、予め試験用のシリコン単結晶基板から得た、プロトン照射後の水素濃度と、プロトン照射と熱処理を施した後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量との相関関係に基づいて、ドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)へのプロトン照射におけるプロトンのドーズ量を調整することによりドナー濃度を制御することができる。これにより、どのような酸素濃度や炭素濃度であっても目標のドナー濃度が得られ、この場合、ドナー増加量の目標値は深さ方向の分布の最大値とすることができる。また、シリコン単結晶基板によるドナー濃度のばらつきを低減することができるプロトンのドーズ量を簡便に決定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明について詳細に説明するが、これは本発明を限定するものではない。
(実施例1)
プロトン照射と熱処理により形成するドナー増加量の目標値を約1×1014/cmとして、図1に示すような、本発明のドナー濃度の制御方法でシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御を行った。
まず、ドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ結晶ブロックから試験用シリコン単結晶基板を用意した(図1のS0)。この結晶ブロックは、チョクラルスキー(CZ)法により育成されたものである。シリコン単結晶基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位は、以下の通りである。
ドーパント種/濃度:リン/7.7×1013atoms/cm
酸素濃度:3.8ppma、
炭素濃度:0.04ppma、
直径:200mm、
結晶面方位:(100)。
酸素濃度は赤外吸収法により測定し(JEIDAにより規定された換算係数を用いた)、炭素濃度は二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した。実施例1における、ドナー増加量の目標値、シリコン単結晶の製造方法、ドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位を表1に示す。
Figure 0007334849000003
次に、試験用シリコン単結晶基板にプロトンを照射する第1のプロトン照射工程を行った(図1のS1)。このとき、プロトンのドーズ量は2×1014atoms/cm、加速電圧は8MVとした。また、プロトンの飛程を約15μmとするために、プロトン照射時に、厚みの合計が約410μmとなる複数枚のアルミ箔をアブゾーバーとしてシリコン単結晶基板の上流側に設置した。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割し、そのうちの1つにおいて、水素濃度の深さ方向分布を測定する水素濃度測定工程(図1のS2)を行った。水素濃度の深さ方向分布は、SIMSにより測定した。
次に、水素濃度測定工程において測定した水素濃度の深さ方向分布のデータに対して、式(1)をフィッティングすることにより、係数N、中央値μ、及び標準偏差σを求めた。その結果、Nは1.8×1018atoms/cm、μは15.2μm、σは8.9μmと求まった。
第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板における水素濃度の深さ方向分布を図2に示す。図2中の印はSIMSによる測定結果で、各深さxにおける水素濃度からバックグラウンド(深さ約48~50μmにおける水素濃度の平均値)を引いた値である。また図2中の実線は、式1による計算結果である。
次に、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1と、式(1)により計算した水素の最大濃度N(μ)を用いて、式(2)により係数Aを求めた。その結果、Aは約2.4×10-3cmと求まった。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割した残りの1つにおいて、熱処理を施す第1の熱処理工程(図1のS3)を行った。このとき、熱処理の温度は400℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。実施例1における、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1、加速電圧、プロトンの飛程、アブゾーバー基材、アブゾーバーの合計の厚み、熱処理の温度、熱処理の時間、雰囲気を表2に示す。
Figure 0007334849000004
次に、第1の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布を測定するドナー濃度測定工程(図1のS4)を行った。ドナー濃度の深さ方向分布は、拡がり抵抗測定法(SR法)により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)から、マトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。このように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図3に示す。
次に、ドナー増加量を求めた各深さxにおける水素濃度N(x)を式(1)により計算し、N(x)とドナー増加量ΔN(x)とを対応させることで、水素濃度とドナー増加量との相関関係を取得する相関関係取得工程を行った(図1のS5)。このように取得した水素濃度とドナー増加量との関係を図4に示す。
次に、相関関係取得工程で取得した相関関係(図4)に基づいて、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値(約1×1014/cm)となるような水素濃度N’を求めた結果、N’の範囲は4×1014~1×1016atoms/cmと求まった。
さらに、該求めた水素濃度N’の範囲(4×1014~1×1016atoms/cm)と上記求めた式(2)の係数A(2.4×10-3cm)を用いて、第2のプロトン照射工程のプロトンのドーズ量D2(=A×N’)の範囲は9.6×1011~2.4×1013atoms/cmと求まった。
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して、プロトンのドーズ量が上記求めたD2の範囲になるように第2のプロトン照射工程を行った(図1のS6)。このとき、プロトンのドーズ量は3×1012atoms/cmとし、加速電圧は8MVとした。実施例1における、係数N、中央値μ、標準偏差σ、係数A、水素濃度N’、第2のプロトン照射工程のプロトンドーズ量を表3に示す。
Figure 0007334849000005
次に、プロトンを照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して第2の熱処理工程を行った(図1のS7)。このとき、熱処理の温度は400℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布をSR法により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。
上述のように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図5に示す。この結果から、ドナー増加量は目標値の約1×1014/cmとなっていることが確認できた。このように、実施例1では本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法により、目標値のドナー増加量が得られることが確認できた。
(実施例2)
プロトン照射と熱処理により形成するドナー増加量の目標値を約2×1014/cmとして、図1に示すような、本発明のドナー濃度の制御方法でシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御を行った。
まず、ドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ結晶ブロックから試験用シリコン単結晶基板を用意した(図1のS0)。この結晶ブロックは、チョクラルスキー(CZ)法により育成されたものである。シリコン単結晶基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位は、以下の通りである。
ドーパント種/濃度:リン/9.4×1013atoms/cm
酸素濃度:3.3ppma、
炭素濃度:0.05ppma、
直径:200mm、
結晶面方位:(100)。
酸素濃度は赤外吸収法により測定し(JEIDAにより規定された換算係数を用いた)、炭素濃度は二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した。実施例2におけるドナー増加量の目標値、シリコン単結晶の製造方法、ドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位を表1に併せて示す。
次に、試験用シリコン単結晶基板にプロトンを照射する第1のプロトン照射工程を行った(図1のS1)。このとき、プロトンのドーズ量は1×1014atoms/cm、加速電圧は8MVとした。また、プロトンの飛程を約15μmとするために、プロトン照射時に、厚みの合計が約410μmとなる複数枚のアルミ箔をアブゾーバーとしてシリコン単結晶基板の上流側に設置した。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割し、そのうちの1つにおいて、水素濃度の深さ方向分布を測定する水素濃度測定工程(図1のS2)を行った。水素濃度の深さ方向分布は、SIMSにより測定した。
次に、水素濃度測定工程において測定した水素濃度の深さ方向分布のデータに対して、式(1)をフィッティングすることにより、係数N、中央値μ、及び標準偏差σを求めた。その結果、Nは9.64×1017atoms/cm、μは14.7μm、σは8.9μmと求まった。
第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板における水素濃度の深さ方向分布を図6に示す。図6中の印はSIMSによる測定結果で、各深さxにおける水素濃度からバックグラウンド(深さ約48~50μmにおける水素濃度の平均値)を引いた値である。また、図6中の実線は、式1による計算結果である。
次に、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1と、式(1)により計算した水素の最大濃度N(μ)を用いて、式(2)により係数Aを求めた。その結果、Aは約2.5×10-3cmと求まった。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割した残りの1つにおいて、熱処理を施す第1の熱処理工程(図1のS3)を行った。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。実施例2における、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1、加速電圧、プロトンの飛程、アブゾーバー基材、アブゾーバーの合計の厚み、熱処理の温度、熱処理の時間、雰囲気を表2に併せて示す。
次に、第1の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布を測定するドナー濃度測定工程(図1のS4)を行った。ドナー濃度の深さ方向分布は、拡がり抵抗測定法(SR法)により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。このように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図7に示す。
次に、ドナー増加量を求めた各深さxにおける水素濃度N(x)を式(1)により計算し、N(x)とドナー増加量ΔN(x)とを対応させることで、水素濃度とドナー増加量との相関関係を取得する相関関係取得工程を行った(図1のS5)。このように取得した水素濃度とドナー増加量との関係を図8に示す。
次に、相関関係取得工程で取得した相関関係(図8)に基づいて、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値(約2×1014/cm)となるような水素濃度N’を求めた結果、N’の範囲は4×1015~6×1015atoms/cmと求まった。
さらに、該求めた水素濃度N’の範囲(4×1015~6×1015atoms/cm)と上記求めた式(2)の係数A(2.5×10-3cm)を用いて、第2のプロトン照射工程のプロトンのドーズ量D2(=A×N’)の範囲は1.0×1013~1.5×1013atoms/cmと求まった。
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して、プロトンのドーズ量が上記求めたD2になるように第2のプロトン照射工程を行った(図1のS6)。このとき、プロトンのドーズ量は1×1013atoms/cmとし、加速電圧は8MVとした。実施例2における、係数N、中央値μ、標準偏差σ、係数A、水素濃度N’、第2のプロトン照射工程のプロトンドーズ量を表3に併せて示す。
次に、プロトンを照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して第2の熱処理工程を行った(図1のS7)。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布をSR法により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。
上述のように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図9に示す。この結果から、ドナー増加量は目標値の約2×1014/cmとなっていることが確認できた。
このように、実施例2では本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法により、目標値のドナー増加量が得られることが確認できた。
(実施例3)
プロトン照射と熱処理により形成するドナー増加量の目標値を約3×1014/cmとして、図1に示すような、本発明のドナー濃度の制御方法でシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御を行った。
まず、ドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ結晶ブロックから試験用シリコン単結晶基板を用意した(図1のS0)。この結晶ブロックは、フローティングゾーン(FZ)法により育成されたものである。シリコン単結晶基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位は、以下の通りである。
ドーパント種/濃度:リン/6.9×1013atoms/cm
酸素濃度:0.04ppma、
炭素濃度:0.02ppma、
直径:200mm、
結晶面方位:(100)。
酸素濃度及び炭素濃度は二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した。実施例3におけるドナー増加量の目標値、シリコン単結晶の製造方法、ドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位を表1に併せて示す。
次に、試験用シリコン単結晶基板にプロトンを照射する第1のプロトン照射工程を行った(図1のS1)。このとき、プロトンのドーズ量は2×1014atoms/cm、加速電圧は8MVとした。また、プロトンの飛程を約15μmとするために、プロトン照射時に、厚みの合計が約410μmとなる複数枚のアルミ箔をアブゾーバーとしてシリコン単結晶基板の上流側に設置した。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割し、そのうちの1つにおいて、水素濃度の深さ方向分布を測定する水素濃度測定工程(図1のS2)を行った。水素濃度の深さ方向分布は、SIMSにより測定した。
次に、水素濃度測定工程において測定した水素濃度の深さ方向分布のデータに対して、式(1)をフィッティングすることにより、係数N、中央値μ、及び標準偏差σを求めた。その結果、Nは1.79×1018atoms/cm、μは15.4μm、σは8.8μmと求まった。
第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板における水素濃度の深さ方向分布を図10に示す。図10中の印はSIMSによる測定結果で、各深さxにおける水素濃度からバックグラウンド(深さ約48~50μmにおける水素濃度の平均値)を引いた値である。また、図10中の実線は、式1による計算結果である。
次に、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1と、式(1)により計算した水素の最大濃度N(μ)を用いて、式(2)により係数Aを求めた。その結果、Aは約2.5×10-3cmと求まった。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割した残りの1つにおいて、熱処理を施す第1の熱処理工程(図1のS3)を行った。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。実施例3における、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1、加速電圧、プロトンの飛程、アブゾーバー基材、アブゾーバーの合計の厚み、熱処理の温度、熱処理の時間、雰囲気を表2に併せて示す。
次に、第1の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布を測定するドナー濃度測定工程(図1のS4)を行った。ドナー濃度の深さ方向分布は、拡がり抵抗測定法(SR法)により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。このように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図11に示す。
次に、ドナー増加量を求めた各深さxにおける水素濃度N(x)を式(1)により計算し、N(x)とドナー増加量ΔN(x)とを対応させることで、水素濃度とドナー増加量との相関関係を取得する相関関係取得工程を行った(図1のS5)。このように取得した水素濃度とドナー増加量との関係を図12に示す。
図12において、水素濃度とドナー増加量との相関関係が二重になっているのは、ドナー増加量の深さ方向分布が、水素濃度が最大となる深さμを基準に非対称であるためである。ドナー増加量の深さ方向分布が非対称になるのは、プロトン照射の照射ダメージによるキャリア濃度の減少が、プロトンの飛程付近から表面側の方が裏面側よりも大きいことによる。図13に、図12で示した水素濃度とドナー増加量との関係における表面側と裏面側の境界線を点線で示した図を示す。このような場合は、プロトンの飛程付近から裏面側での相関関係から、目標のドナー増加量が得られる水素濃度を求める。
次に、相関関係取得工程で取得した相関関係(図12)に基づいて、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値(約3×1014/cm)となるような水素濃度N’を求めた結果、N’の範囲は3×1016~4×1016atoms/cmと求まった。
さらに、該求めた水素濃度N’の範囲(3×1016~4×1016atoms/cm)と上記求めた式(2)の係数A(2.5×10-3cm)を用いて、第2のプロトン照射工程のプロトンのドーズ量D2(=A×N’)の範囲は7.5×1013~1.0×1014atoms/cmと求まった。
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して、プロトンのドーズ量が前記求めたD2になるように第2のプロトン照射工程を行った(図1のS6)。このとき、プロトンのドーズ量は1×1014atoms/cmとし、加速電圧は8MVとした。実施例3における、係数N、中央値μ、標準偏差σ、係数A、水素濃度N’、第2のプロトン照射工程のプロトンドーズ量を表3に併せて示す。
次に、プロトンを照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して第2の熱処理工程を行った(図1のS7)。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布をSR法により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。
上述のように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図14に示す。この結果から、ドナー増加量は目標値の約3×1014/cmとなっていることが確認できた。
このように、実施例3では本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法により、目標値のドナー増加量が得られることが確認できた。
(実施例4)
プロトン照射と熱処理により形成するドナー増加量の目標値は決めずに、ドナー増加量ができるだけ高くなるように、図1に示すような、本発明のドナー濃度の制御方法でシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御を行った。
まず、ドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ結晶ブロックから試験用シリコン単結晶基板を用意した(図1のS0)。この結晶ブロックは、チョクラルスキー(CZ)法により育成されたものである。シリコン単結晶基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位は、以下の通りである。
ドーパント種/濃度:リン/1.3×1014atoms/cm
酸素濃度:10.3ppma、
炭素濃度:0.06ppma、
直径:200mm、
結晶面方位:(100)。
酸素濃度は赤外吸収法により測定し(JEIDAにより規定された換算係数を用いた)、炭素濃度は二次イオン質量分析法(SIMS)により測定した。実施例4におけるドナー増加量の目標値、シリコン単結晶の製造方法、ドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位を表1に併せて示す。
次に、試験用シリコン単結晶基板にプロトンを照射する第1のプロトン照射工程を行った(図1のS1)。このとき、プロトンのドーズ量は2×1014atoms/cm、加速電圧は8MVとした。また、プロトンの飛程を約15μmとするために、プロトン照射時に、厚みの合計が約410μmとなる複数枚のアルミ箔をアブゾーバーとしてシリコン単結晶基板の上流側に設置した。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割し、そのうちの1つにおいて、水素濃度の深さ方向分布を測定する水素濃度測定工程(図1のS2)を行った。水素濃度の深さ方向分布は、SIMSにより測定した。
次に、水素濃度測定工程において測定した水素濃度の深さ方向分布のデータに対して、式1をフィッティングすることにより、係数N、中央値μ、及び標準偏差σを求めた。その結果、Nは1.84×1018atoms/cm、μは15.3μm、σは9.0μmと求まった。
第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板における水素濃度の深さ方向分布を図15に示す。図15中の印はSIMSによる測定結果で、各深さxにおける水素濃度からバックグラウンド(深さ約48~50μmにおける水素濃度の平均値)を引いた値である。また、図15中の実線は、式1による計算結果である。
次に、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1と、式(1)により計算した水素の最大濃度N(μ)を用いて、式(2)により係数Aを求めた。その結果、Aは約2.4×10-3cmと求まった。
次に、第1のプロトン照射工程後のシリコン単結晶基板を2つに分割した残りの1つにおいて、熱処理を施す第1の熱処理工程(図1のS3)を行った。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。実施例4における、第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量D1、加速電圧、プロトンの飛程、アブゾーバー基材、アブゾーバーの合計の厚み、熱処理の温度、熱処理の時間、雰囲気を表2に併せて示す。
次に、第1の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布を測定するドナー濃度測定工程(図1のS4)を行った。ドナー濃度の深さ方向分布は、拡がり抵抗測定法(SR法)により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。このように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図16に示す。
次に、ドナー増加量を求めた各深さxにおける水素濃度N(x)を式(1)により計算し、N(x)とドナー増加量ΔN(x)とを対応させることで、水素濃度とドナー増加量との相関関係を取得する相関関係取得工程を行った(図1のS5)。
相関関係取得工程で取得した水素濃度とドナー増加量との関係を図17に示す。この結果から、最も高いドナー増加量は約5×1014/cmであることがわかった。
次に、相関関係取得工程で取得した相関関係(図17)に基づいて、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量が約5×1014/cmとなるような水素濃度N’を求めた結果、N’の範囲は4×1015~1×1016atoms/cmと求まった。
さらに、該求めた水素濃度N’の範囲(4×1015~1×1016atoms/cm)と上記求めた式(2)の係数A(2.4×10-3cm)を用いて、第2のプロトン照射工程のプロトンのドーズ量D2(=A×N’)の範囲は9.6×1012~2.4×1013atoms/cmと求まった。
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して、プロトンのドーズ量が上記の求めたD2になるように第2のプロトン照射工程を行った(図1のS6)。このとき、プロトンのドーズ量は2×1013atoms/cmとし、加速電圧は8MVとした。実施例4における、係数N、中央値μ、標準偏差σ、係数A、水素濃度N’、第2のプロトン照射工程のプロトンドーズ量を表3に併せて示す。
次に、プロトンを照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して第2の熱処理工程を行った(図1のS7)。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布をSR法により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。
上述のように求めたドナー増加量の深さ方向分布を図18に示す。この結果から、ドナー増加量は目標値の約5×1014/cmとなっていることが確認できた。
このように、実施例4では本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法により、ドナー増加量を効率的に高くできる条件を決定できることが確認できた。
以上のように、実施例1~4では、目標のドナー濃度が得られ、また、シリコン単結晶基板によるドナー濃度のばらつきを低減することができるプロトンのドーズ量を簡便に決定することができた。
(比較例1)
プロトン照射と熱処理により形成するドナー増加量の目標値を約1×1014/cmとしたが、本発明のドナー濃度の制御方法でシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御を行わずに、以下のように行った。
まず、ドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ結晶ブロックから試験用シリコン単結晶基板を8枚用意した。この結晶ブロックは、チョクラルスキー法により育成された実施例1と同じ結晶ブロックであり、シリコン単結晶基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位は、実施例1と同じである。
次に、8枚の試験用シリコン単結晶基板の各々に異なるドーズ量でプロトンを照射した。このとき、プロトンのドーズ量は、3×1010、1×1011、3×1011、1×1012、3×1012、1×1013、3×1013、2×1014atoms/cmと振り、加速電圧は8MVとした。また、プロトンの飛程を約15μmとするために、プロトン照射時に、厚みの合計が約410μmとなる複数枚のアルミ箔をアブゾーバーとしてシリコン単結晶基板の上流側に設置した。
次に、プロトン照射後の8枚のシリコン単結晶基板に熱処理を施した。このとき、熱処理の温度は400℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、熱処理後の8枚のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布を拡がり抵抗測定法(SR法)により測定した。
次に、測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。さらに、ドナー増加量が最大となる深さにおけるドナー増加量(最大ドナー増加量)を求めた。
上述のように求めた最大ドナー増加量とプロトンドーズ量との関係を図19に示す。この結果から、ドナー増加量が目標値(約1×1014/cm)となるようなプロトンドーズ量を求めた結果、プロトンドーズ量の範囲は約1×1012~1×1013atoms/cmと求まった。
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して、ドーズ量が3×1012atoms/cmとなるようにプロトンを照射した。プロトンの加速電圧は8MVとした。
次に、プロトンを照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して熱処理を施した。このとき、熱処理の温度は400℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、熱処理後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布をSR法により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。
上述のようにドナー増加量の深さ方向分布を求めた結果、図5と略同じ結果が得られた。この結果から、ドナー増加量は目標値の約1×1014/cmとなっていることが確認できた。
このように、比較例1では、目標のドナー増加量が得られたものの、本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法を用いなかったため、試験用シリコン単結晶基板の枚数が多くなり、また、プロトン照射とドナー濃度測定の回数が多くなり、手間とコストがかかってしまった。
(比較例2)
プロトン照射と熱処理により形成するドナー増加量の目標値を約3×1014/cmとしたが、本発明のドナー濃度の制御方法でシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御を行わずに、以下のように行った。
まず、ドナー濃度を制御する対象となるシリコン単結晶基板(制御対象シリコン単結晶基板)と同じ結晶ブロックから試験用シリコン単結晶基板を5枚用意した。この結晶ブロックは、フローティングゾーン法により育成された実施例3と同じ結晶ブロックであり、シリコン単結晶基板のドーパント種、ドーパント濃度、酸素濃度、炭素濃度、直径、結晶面方位は、実施例3と同じである。
次に、5枚の試験用シリコン単結晶基板の各々に異なるドーズ量でプロトンを照射した。このとき、プロトンのドーズ量は、3×1012、1×1013、3×1013、1×1014、2×1014atoms/cmと振り、加速電圧は8MVとした。また、プロトンの飛程を約15μmとするために、プロトン照射時に、厚みの合計が約410μmとなる複数枚のアルミ箔をアブゾーバーとしてシリコン単結晶基板の上流側に設置した。
次に、プロトン照射後の5枚のシリコン単結晶基板に熱処理を施した。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、熱処理後の5枚のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布を拡がり抵抗測定法(SR法)により測定した。
次に、測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。さらに、ドナー増加量が最大となる深さにおけるドナー増加量(最大ドナー増加量)を求めた。
上述のように求めた最大ドナー増加量とプロトンドーズ量との関係を図20に示す。この結果から、ドナー増加量が目標値(約3×1014/cm)となるようなプロトンドーズ量を求めた結果、プロトンドーズ量は1×1014atoms/cmと求まった。
次に、準備した制御対象シリコン単結晶基板に対して、ドーズ量が1×1014atoms/cmとなるようにプロトンを照射した。プロトンの加速電圧は8MVとした。
次に、プロトンを照射した制御対象シリコン単結晶基板に対して熱処理を施した。このとき、熱処理の温度は350℃、時間は60分、雰囲気は窒素雰囲気下とした。
次に、熱処理後のシリコン単結晶基板において、ドナー濃度の深さ方向分布をSR法により測定した。
次に、ドナー濃度測定工程において測定された各深さxにおけるドナー濃度N(x)からマトリックス(ドナー濃度がほぼ一定となる深い領域)におけるドナー濃度(深さ約60~70μmにおけるドナー濃度の平均値)を差し引いて、各深さxにおけるドナー増加量ΔN(x)を求めた。
上述のようにドナー増加量の深さ方向分布を求めた結果、図14と略同じ結果が得られた。この結果から、ドナー増加量は目標値の約3×1014/cmとなっていることが確認できた。
このように、比較例2では、目標のドナー増加量が得られたものの、本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法を用いなかったため、試験用シリコン単結晶基板の枚数が多くなり、また、プロトン照射とドナー増加量測定の回数が多くなり、手間とコストがかかってしまった。
以上詳述したように、比較例1及び比較例2では、本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法を用いなかったため、試験用シリコン単結晶基板の枚数が多くなり、また、プロトン照射とドナー増加量測定の回数が多くなり、手間とコストがかかってしまった。
一方、本発明のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法を用いた実施例1~4では、低コストで目標のドナー濃度が得られ、また、シリコン単結晶基板によるドナー濃度のばらつきを低減することができるプロトンのドーズ量を簡便に決定することができた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。

Claims (4)

  1. ドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板にプロトンを照射する第2のプロトン照射工程と、
    該第2のプロトン照射工程後の前記シリコン単結晶基板に熱処理を施す第2の熱処理工程と、
    を行うことでドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法であって、
    前記第2のプロトン照射工程を行う前に予め、試験用シリコン単結晶基板にプロトンを照射する第1のプロトン照射工程、
    該第1のプロトン照射工程の後の前記試験用シリコン単結晶基板中の水素濃度の深さ方向分布を測定する水素濃度測定工程、
    前記第1のプロトン照射工程の後の前記試験用シリコン単結晶基板に前記第2の熱処理工程と同じ条件の熱処理を施す第1の熱処理工程、
    該第1の熱処理工程の後に前記試験用シリコン単結晶基板中に発生したドナー増加量の深さ方向分布を測定するドナー濃度測定工程、
    前記水素濃度測定工程で測定した前記水素濃度の深さ方向分布と前記ドナー濃度測定工程で測定した前記ドナー増加量の深さ方向分布から、前記試験用シリコン単結晶基板中の水素濃度と前記試験用シリコン単結晶基板中に発生したドナー増加量との相関関係を取得する相関関係取得工程と、
    を有し、
    取得した前記相関関係に基づいて、前記第2の熱処理工程後の前記ドナー濃度を制御するシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値になるように、前記第2のプロトン照射工程で照射するプロトンのドーズ量を調整することを特徴とするシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法。
  2. 前記相関関係に基づく前記第2のプロトン照射工程で照射するプロトンのドーズ量の調整において、
    前記第1のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量と前記試験用シリコン単結晶基板中の前記水素濃度の深さ方向分布における水素の最大濃度から係数を求め、
    前記相関関係に基づき前記第2の熱処理工程後のシリコン単結晶基板中のドナー増加量が目標値となるような水素濃度を求め、該水素濃度と前記係数を用いることで、前記第2のプロトン照射工程におけるプロトンのドーズ量を求めることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法。
  3. 前記第1のプロトン照射工程における前記プロトンのドーズ量を1×1014atoms/cm以上とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法。
  4. 前記第2のプロトン照射工程で照射する前記プロトンのドーズ量の調整を結晶ブロック毎に行うことを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法。
JP2022508124A 2020-03-17 2021-02-08 シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法 Active JP7334849B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020046938 2020-03-17
JP2020046938 2020-03-17
PCT/JP2021/004559 WO2021186944A1 (ja) 2020-03-17 2021-02-08 シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2021186944A1 JPWO2021186944A1 (ja) 2021-09-23
JP7334849B2 true JP7334849B2 (ja) 2023-08-29

Family

ID=77771836

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022508124A Active JP7334849B2 (ja) 2020-03-17 2021-02-08 シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法

Country Status (4)

Country Link
EP (1) EP4123686A4 (ja)
JP (1) JP7334849B2 (ja)
CN (1) CN115280472A (ja)
WO (1) WO2021186944A1 (ja)

Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006344977A (ja) 2005-06-08 2006-12-21 Infineon Technologies Ag 阻止ゾーンを半導体基板に製造する方法、および、阻止ゾーンを有する半導体部品
WO2007055352A1 (ja) 2005-11-14 2007-05-18 Fuji Electric Device Technology Co., Ltd. 半導体装置およびその製造方法
WO2011052787A1 (ja) 2009-11-02 2011-05-05 富士電機システムズ株式会社 半導体装置および半導体装置の製造方法
WO2013141221A1 (ja) 2012-03-19 2013-09-26 富士電機株式会社 半導体装置の製造方法
JP2015037194A (ja) 2013-08-14 2015-02-23 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag 半導体ディスクの後ドーピング方法
JP2016096338A (ja) 2014-11-14 2016-05-26 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag 半導体装置を形成する方法および半導体装置
JP2017063187A (ja) 2015-08-26 2017-03-30 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag 半導体デバイス、シリコンウェハ、及びシリコンウェハの製造方法
JP2019062189A (ja) 2017-08-18 2019-04-18 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag Cz半導体ボディを含む半導体装置およびcz半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法
WO2019239762A1 (ja) 2018-06-12 2019-12-19 信越半導体株式会社 シリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3341378B2 (ja) * 1993-08-25 2002-11-05 富士通株式会社 シリコン結晶中の水素濃度測定方法及びシリコン結晶の製造方法
JPH07301592A (ja) * 1994-05-09 1995-11-14 Fujitsu Ltd 半導体装置の製造方法及び気体中の水素濃度測定方法
JP3684962B2 (ja) 1999-12-01 2005-08-17 富士電機デバイステクノロジー株式会社 半導体装置の製造方法

Patent Citations (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006344977A (ja) 2005-06-08 2006-12-21 Infineon Technologies Ag 阻止ゾーンを半導体基板に製造する方法、および、阻止ゾーンを有する半導体部品
WO2007055352A1 (ja) 2005-11-14 2007-05-18 Fuji Electric Device Technology Co., Ltd. 半導体装置およびその製造方法
WO2011052787A1 (ja) 2009-11-02 2011-05-05 富士電機システムズ株式会社 半導体装置および半導体装置の製造方法
WO2013141221A1 (ja) 2012-03-19 2013-09-26 富士電機株式会社 半導体装置の製造方法
JP2015037194A (ja) 2013-08-14 2015-02-23 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag 半導体ディスクの後ドーピング方法
JP2016096338A (ja) 2014-11-14 2016-05-26 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag 半導体装置を形成する方法および半導体装置
JP2017063187A (ja) 2015-08-26 2017-03-30 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag 半導体デバイス、シリコンウェハ、及びシリコンウェハの製造方法
JP2019062189A (ja) 2017-08-18 2019-04-18 インフィネオン テクノロジーズ アーゲーInfineon Technologies Ag Cz半導体ボディを含む半導体装置およびcz半導体ボディを含む半導体装置を製造する方法
WO2019239762A1 (ja) 2018-06-12 2019-12-19 信越半導体株式会社 シリコン単結晶基板中の欠陥密度の制御方法

Also Published As

Publication number Publication date
WO2021186944A1 (ja) 2021-09-23
JPWO2021186944A1 (ja) 2021-09-23
EP4123686A1 (en) 2023-01-25
CN115280472A (zh) 2022-11-01
EP4123686A4 (en) 2024-05-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20210082702A1 (en) Semiconductor device and manufacturing method thereof
US8815708B2 (en) Method for improving the quality of a SiC crystal
US5198371A (en) Method of making silicon material with enhanced surface mobility by hydrogen ion implantation
KR102029647B1 (ko) 실리콘 단결정 기판의 결함 농도 평가 방법
JP6292131B2 (ja) シリコン基板の選別方法
JP6083412B2 (ja) 再結合ライフタイムの制御方法及びシリコン基板の製造方法
US9312120B2 (en) Method for processing an oxygen containing semiconductor body
JP7334849B2 (ja) シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法
EP3808879B1 (en) Method for controlling defect density in silicon single crystal substrate
JP6881292B2 (ja) 再結合ライフタイムの制御方法
Ozturk et al. Very shallow p+‐n junction formation by low‐energy BF+ 2 ion implantation into crystalline and germanium preamorphized silicon
JP7264100B2 (ja) シリコン単結晶基板中のドナー濃度の制御方法
WO2019208013A1 (ja) シリコン単結晶基板の選別方法及びシリコン単結晶基板
WO2019102759A1 (ja) シリコン単結晶基板の選別方法及びシリコン単結晶基板
JP6777046B2 (ja) 再結合ライフタイムの制御方法
US20240153829A1 (en) Method for manufacturing semiconductor device
Denhoff et al. In situ doping by As ion implantation of silicon grown by molecular‐beam epitaxy
JP5737202B2 (ja) 半導体素子、及びその形成方法
JP7218733B2 (ja) シリコン試料の酸素濃度評価方法
JP7103314B2 (ja) シリコン単結晶基板中の炭素濃度評価方法
Antonova et al. Thermal donor and oxygen precipitate formation in silicon during 450° C treatments under atmospheric and enhanced pressure
RU2176422C2 (ru) Способ геттерирующей обработки эпитаксиальных слоев полупроводниковых структур
JP2020092169A (ja) シリコン単結晶基板中の窒素濃度評価方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220823

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20230718

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20230731

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7334849

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150