JP7334556B2 - ハードコート層付き有機ガラスの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコート層付き有機ガラスに関する。詳しくは、本発明は、ポリカーボネート板等の有機ガラス基材の両面に、硬化性樹脂からなるハードコート層が設けられてなるハードコート層付きの有機ガラスであって、優れた耐候性と防曇性を兼ね備えるハードコート層付き有機ガラスの製造方法に関する。
自動車のサイドウインドウ等に用いるハードコート層付き有機ガラスを構成するガラス基材として、例えば、ポリカーボネート等からなる樹脂製のガラス基材等、旧来の無機ガラスよりも成型容易性や軽量性に優れる有機ガラスが広く用いられている。これらの有機ガラスを用いたハードコート層付きの有色ガラスは、有色の有機ガラスの表面に硬化性樹脂からなるハードコート層が積層される構成とされている(特許文献1、2参照)。
このような有機ガラスに防曇機能を有するハードコート層を塗装、ディップコート等により形成することが知られているが、防曇機能を担保しているのが親水性の材料であるため、屋外での使用を想定した際に求められる耐傷性、耐候性との両立に課題がある。そこで有機ガラスの一方の面に親水性の防曇性ハードコート層を備え、他方の面に疎水性の耐傷性ハードコート層を備える構成からなるハードコート層付き有機ガラスが提案されている(特許文献3参照)。
実全昭60-36223号公報 特開2011-116182号公報 国際公開96/41831号
特許文献3においては、上記構成からなるハードコート層付き有機ガラスを得るための製造方法として、耐擦傷性有機ハードコート層と防曇性有機ハードコート層、それぞれを有する転写フィルムを用意して、これらを樹脂板の両面に転写する製造方法(請求項13、実施例)が開示されている。
しかしながら、特許文献3に開示されている製造方法によって上記構成からなるハードコート層付き有機ガラスを製造した場合においては、十分な防曇性が発現しない場合があった。これは、防曇性を発現するための親水性成分が、上記の転写フィルムの製造時に接着剤層側に偏在した状態となりやすいためであると本願発明者らは推測した。
一方、塗装やディップコートにより、有機ガラスに、直接、ハードコート層を形成する場合は、上記の問題は生じないが、両面に異なる種類のハードコート層を形成するためにはマスキング処理等の工程が必要になり、尚且つ、均質な膜の形成が困難なこともあり、品質安定性と生産性の面で改善策が求められていた。
本発明は、有機ガラスの一方の面に親水性の防曇性ハードコート層を備え、他方の面に疎水性の耐傷性ハードコート層を備える構成からなるハードコート層付き有機ガラスの製造において、安定的に十分な防曇性を発現させることができて、尚且つ、生産性にも優れる製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、防曇性ハードコート層については、親水性のハードコート層が積層されている防曇性ハードコート樹脂フィルムを有機ガラス基材に接着し、耐傷性ハードコート層については、疎水性のハードコート層が積層されている耐傷性ハードコート転写フィルムを用いた転写によって形成する製造方法により、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) ハードコート層付き有機ガラスの製造方法であって、有機ガラス基材の一方の面に、表面の水接触角が20°以下である防曇性ハードコート層を形成する、防曇性ハードコート層形成工程と、前記有機ガラス基材の他方の面に、表面の水接触角が80°以上である耐傷性ハードコート層を形成する、耐傷性ハードコート層形成工程と、を含んでなり、前記防曇性ハードコート層形成工程においては、基材フィルムの一方の表面に親水性のハードコート層が積層されている防曇性ハードコート樹脂フィルムを用いて、該防曇性ハードコート樹脂フィルムの前記基材フィルムを前記有機ガラス基材の一方の面に接着することによって防曇性ハードコート層を形成し、前記耐傷性ハードコート層形成工程においては、離型性フィルムの一方の表面に疎水性のハードコート層と接着層とがこの順で積層されている耐傷性ハードコート転写フィルムを用いて、該耐傷性ハードコート転写フィルムの前記接着層を前記有機ガラス基材の他方の面に対面させて熱転写を行うことにより耐傷性ハードコート層を形成する、ハードコート層付き有機ガラスの製造方法。
(1)の発明によれば、有機ガラスの一方の面に親水性の防曇性ハードコート層を備え、他方の面に疎水性の耐傷性ハードコート層を備える構成からなるハードコート層付き有機ガラスの製造において、安定的に十分な防曇性を発現させ、尚且つ、優れた生産性でこれを製造することができる。
(1)の発明の奏する効果は、より詳細には、疎水性の樹脂層からなる耐傷性ハードコート層の形成を、膜厚を均一に維持することが容易で生産性に優れる転写フィルムを用いた製法で行う一方で、親水性材料を含有する防曇性ハードコート層の形成については、敢えてそのような転写によるハードコート層の形成法を選択せず、接着よる接合法とすることによって生じる特段の効果である。これにより、有機ガラス基材の両面のハードコート層を転写する際に問題となっていた、親水性材料の有機樹脂基材側への偏在を防止して、上記の通りの効果を享受することができる。
(2) 前記防曇性ハードコート層形成工程と、前記耐傷性ハードコート層形成工程と、を樹脂基材の押出成型の製造ラインにおいて、同時に並行して行う、(1)に記載のハードコート層付き有機ガラスの製造方法。
(2)の発明によれば、(1)の発明において、ハードコート層付き有機ガラスの生産性を更に優れたものとすることができる。
(3) 射出成型金型の一方の面側に前記防曇性ハードコート樹脂フィルムを配置し、前記射出成型金型の他方の面側に前記耐傷性ハードコート転写フィルムを配置した後、前記射出成型金型内に有機ガラス基材成型用の樹脂を射出して、前記有機ガラス基材を成型すると同時に前記有機ガラス基材の一方の面に前記防曇性ハードコート樹脂フィルムの前記基材フィルムを接着し、同時に有機ガラス基材の他方の面に前記耐傷性ハードコート転写フィルムの前記接着層を接着する、(1)に記載のハードコート層付き有機ガラスの製造方法。
(3)の発明によれば、インモールドやインサート成型によって、成型と同時に各ハードコートフィルムを貼合する製法において、(1)の製造方法を適用して、その効果を享受することができる。
(4) 有機ガラス基材の一方の面に、厚さ38μm以上250μm以下の中間樹脂層と、表面の水接触角が20°以下である防曇性ハードコート層がこの順で積層されていて、前記有機ガラス基材の他方の面には、前記中間樹脂層を介さずに、表面の水接触角が80°以上である耐傷性ハードコート層が積層されている、ハードコート層付き有機ガラス。
(4)の発明によれば、安定的に十分な防曇性を発現するハードコート層付き有機ガラスを得ることができる。
(5) 前記基材フィルムがアクリル系樹脂である、(4)に記載のハードコート層付き有機ガラス。
(5)の発明によれば、(6)の発明において、基材フィルムとしてアクリル系樹脂をベース樹脂とする樹脂フィルムを用いることにより、成型性、耐久性を更に高めることができる。
本発明によれば、有機ガラスの一方の面に親水性の防曇性ハードコート層を備え、他方の面に疎水性の耐傷性ハードコート層を備える構成からなるハードコート層付き有機ガラスの製造において、安定的に十分な防曇性を発現させ、尚且つ、優れた生産性でこれを製造することができる。
本発明のハードコート層付き有機ガラスの層構成を模式的に示す断面図である。 本発明のハードコート層付き有機ガラスの製造に用いる防曇性ハードコート樹脂フィルムの層構成を模式的に示す断面図である。 本発明のハードコート層付き有機ガラスの製造に用いる耐傷性ハードコート転写フィルムの層構成を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。尚、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
<ハードコート層付き有機ガラス>
先ずは、以下において、本発明の製造方法によって得ることができるハードコート層付き有機ガラスの詳細について説明する。
[全体構成]
図1に示すように、本発明のハードコート層付き有機ガラス10は、有機ガラス基材11の一方の表面に、接着層121、中間樹脂層122、及び、一方の最表面に露出する防曇性ハードコート層123Aが、この順で積層されており、有機ガラス基材11の他方の表面に、接着層121、及び、他方の最表面に露出する耐傷性ハードコート層123Bが、この順で積層されている層構成を基本構成とする。
尚、ハードコート層付き有機ガラス10の防曇性ハードコート層123Aの側において、接着層121と中間樹脂層122とは、製造時においては、それぞれ別途の樹脂層として異なる機能を発揮するが、完成品においては、両層が一体化していて同一の樹脂からなる単一の樹脂層を形成していてもよい(この場合は、この単一の樹脂層を中間樹脂層とみなすものとする)。このように両層が完成品としては一体化している場合であっても、本発明の製造方法によって製造された物であれば、当然に本発明の技術範囲内にあるハードコート層付き有機ガラスである。
そして、上記の層構成からなるハードコート層付き有機ガラス10においては、両最表面の防曇性ハードコート層123A及び耐傷性ハードコート層123Bが、表面保護層として機能する。そして、特に、防曇性ハードコート層123Aは、同層が露出する面における優れた防曇性をハードコート層付き有機ガラス10に付与し、一方、特に、耐傷性ハードコート層123Bは、同層が露出する面における優れた耐傷性をハードコート層付き有機ガラス10に付与する。
上記のように各表面において、それぞれ異なる特性を有するハードコート層付き有機ガラス10は、例えば、車両の窓ガラスやライトカバー等として用いる場合であれば、防曇性ハードコート層123Aを車両の内部側に向け、耐傷性ハードコート層123Bを車両の外部側に向けて配置することによって、防曇性と耐傷性とに優れる窓ガラス等を形成することができる。又、ハードコート層付き有機ガラス10は、発熱量が小さくカバーに結露が起こりやすいLEDランプを光源とするライトのカバーとして用いる場合において、防曇性が特に有効に作用しやすい。
尚、ハードコート層付き有機ガラス10の全体形状は、図1に示すような平板状のものに限られない。用途に応じて様々な形状に成型することができる。例えば、ハードコート層付き有機ガラス10を、曲面を含む形状に成型された各種のハードコート層付き有機ガラス成型品とすることもできる。
[防曇性ハードコート層]
防曇性ハードコート層123Aは、表面の水接触角が20°以下である親水性の樹脂層である。又、防曇性ハードコート層123Aは、硬化性樹脂及び親水性材料を含んでなる樹脂組成物からなる層である。
ここで、本明細書における「水接触角」とは、JIS R3257に準じて測定した値のことを言うものとする。又、本明細書において樹脂層等の表面が「親水性」を有するとは、上記定義による「水接触角」が20°以下であることを言うものとする。尚、同じく、樹脂層等の表面が「疎水性」を有するとは、上記定義による「水接触角」が80°以上であることを言うものとする。
防曇性ハードコート層123Aを形成する硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、或いは、電離放射線硬化性樹脂を、適宜選択して用いることができる。防曇性ハードコート層123Aを形成するための硬化性樹脂として熱硬化性樹脂を用いる場合、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、尿素樹脂、熱硬化性アクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を用いることができる。
防曇性ハードコート層123Aを形成するための硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合、従来から電離放射線硬化性を有する樹脂として慣用されている重合性オリゴマーやプレポリマーの中から適宜選択して用いることができる。そのような重合性オリゴマーやプレポリマーとしては、分子中にラジカル重合性不飽和基を持つオリゴマーやプレポリマー、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系やポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレートやカプロラクトン系ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート系、ポリエーテル(メタ)アクリレート系のオリゴマーやプレポリマー等を好ましく用いることができる。防曇性ハードコート層123Aを形成するための硬化性樹脂として電離放射線硬化性樹脂を用いる場合、これらの樹脂に照射する電離放射線としては、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合或いは架橋し得るエネルギー量子を有するもの、例えば、紫外線(UV)又は電子線(EB)を選択することができる。又、その他、X線、γ線等の電磁波、α線、イオン線等の荷電粒子線も選択することができる。
防曇性ハードコート層123Aに含有される親水性材料は、特に限定されないが、例えば、特許文献3に開示されているような、各種のノニオン系界面活性剤、或いは、アニオン系界面活性剤等、従来公知の親水性材料を用いることができる。これらの親水性材料の含有量は、防曇性ハードコート層123Aの表面の水接触角を20°以下に維持できる限りにおいて特定範囲には限定されない。例えば、上記の何れかの界面活性剤を用いる場合であれば、主材樹脂である硬化性樹脂に対する親水性材料の含有量比が、0.1質量%以上50質量%以下の範囲内であることが好ましい。又、市販の親水性樹脂であって、硬化膜表面の水接触角が20°以下のもの(例えば、「ノストラDBH(PGM)(商品名)、三井化学社製」、水接触角10°)を入手して、これを、防曇性ハードコート層123Aを形成する樹脂材料として用いることもできる。
防曇性ハードコート層123Aの厚さは、特に制限されないが、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、1μm以上4μm以下であることがより好ましい。
又、防曇性ハードコート層123Aを形成する樹脂組成物には、その性能を阻害しない範囲でその他の各種添加剤を含有させることができる。各種添加剤とは、例えば、紫外線吸収剤、重合禁止剤、架橋剤、帯電防止剤、接着性向上剤、酸化防止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、カップリング剤、可塑剤、消泡剤、充填剤、溶剤、無機顔料、無機粒子等である。
[中間樹脂層]
中間樹脂層122としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、又は、ポリカーボネート系樹脂をベース樹脂とする各種の樹脂フィルムを適宜選択して用いることができる。中でも、成型性、耐久性の観点からアクリル系樹脂をベース樹脂とする樹脂フィルムを好ましく用いることができる。
尚、本発明の製造方法によってハードコート層付き有機ガラス10が製造される場合には、基材フィルム122と防曇性ハードコート層123Aとが積層されてなる防曇性ハードコート樹脂フィルム12(図2参照)の基材フィルム122が、そのまま中間樹脂層122となる。
中間樹脂層122の厚さは、特に制限されないが、38μm以上250μm以下であることが好ましく、50μm以上200μm以下であることがより好ましい。
[耐傷性ハードコート層]
耐傷性ハードコート層123Bは、表面の水接触角が80°以上である疎水性の樹脂層である。又、耐傷性ハードコート層123Bは、硬化性樹脂を主たる材料とする樹脂組成物からなる層である。
耐傷性ハードコート層123Bを形成する硬化性樹脂としても、防曇性ハードコート層123Aと同様の上述の各熱硬化性樹脂、或いは、各電離放射線硬化性樹脂を、適宜選択して用いることができる。
耐傷性ハードコート層123Bの厚さは、特に制限されないが、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、1μm以上4μm以下であることがより好ましい。
[有機ガラス基材]
有機ガラス基材11を形成する樹脂材料としては、従来公知の各種の有機ガラス用の樹脂材料を適宜選択することができる。ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、或いは、アクリル系樹脂を好ましい有機ガラス板の樹脂材料の具体例として挙げることができる。
有機ガラス基材11の厚さは、用途や成型形状に応じて所望の厚さとすることができるが、1mm以上20mm以下であることが好ましく、1.5mm以上15mm以下であることがより好ましい。
[接着層]
有機ガラス基材11の各面に各ハードコート層(防曇性ハードコート層123A、耐傷性ハードコート層123B)を接合する接着層121は、必要な接合強度を担保できるものであればよく、例えば、以下に具体例を示すヒートシール層であればよく、特定の材料、構成には限定されない。又、防曇性ハードコート樹脂フィルム12(図2参照)を構成する基材フィルム122が、有機ガラス基材11に対する良好な接着性を有する樹脂であって実質的に接着層として機能する場合には、当該基材フィルムとは別途の独立した接着層121は必須の構成ではない。
一方、転写による接合が前提となる耐傷性ハードコート層123Bの側の接着層121については、耐傷性ハードコート層123Bの側から順に、プライマー層とヒートシール層(両層については図示せず)とが配置されてなる2層構成であることが好ましい。この場合において、プライマー層は、ハードコート層に対する応力緩和層として補助的機能を発揮するとともに、有機ガラス基材11に対するハードコート層の密着性を向上させる。又、この場合におけるヒートシール層は、熱融着性を有する樹脂からなり、ハードコート層と有機ガラス基材11との間の十分な接着強度を確保する機能を発揮する。
上記のプライマー層を形成する樹脂の具体例として、例えば、ポリウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ブチラール樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン等を挙げることができる。これらの各樹脂は、単独で用いられてもよく、2種以上が組合せされて用いられてもよい。
上記のヒートシール層を形成する熱融着性を有するものの具体例として、例えば、アクリル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、塩素化ポリプロピレン、塩素化ゴム、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、スチレン樹脂等を挙げることができる。
プライマー層及びヒートシール層等からなる接着層121には、耐候性を更に向上させるため、紫外線吸収剤や光安定剤等の各種の耐候性改善剤を含有させることができる。
接着層121の厚さは、特に制限されないが、0.2μm以上10μm以下であることが好ましい。又、プライマー層の厚さは、0.1μm以上5μm以下であることが好ましく、1μm以上4μm以下であることがより好ましい。ヒートシール層の厚さは、1μm以上7μm以下であることが好ましく、1μm以上6μm以下であることがより好ましい。
[ハードコート層付き有機ガラスの製造方法]
以下に詳細を説明する各工程を順次、或いは、並行して同時に行う、本発明独自の製造方法によって製造することにより、高い生産性の下で、安定的に十分な防曇性を有するハードコート層付き有機ガラスを製造することができる。
(防曇性ハードコート層形成工程)
防曇性ハードコート層形成工程は、有機ガラス基材の一方の面に、親水性の防曇性ハードコート層を形成する工程である。この工程においては、図2に示す防曇性ハードコート樹脂フィルム12を用いて、図1に示す通り、有機ガラス基材11の一方の面に防曇性ハードコート層123Aを形成する。
防曇性ハードコート樹脂フィルム12は、基材フィルム122と防曇性ハードコート層123Aとが積層されてなる多層の樹脂フィルム材料である。この防曇性ハードコート樹脂フィルム12は、例えば、基材フィルム122上に防曇性ハードコート層123Aを形成する硬化性樹脂組成物をグラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の手段によって塗工し、硬化することによって得ることができる。
防曇性ハードコート層形成工程においては、この防曇性ハードコート樹脂フィルム12の基材フィルム122の側の面を有機ガラス基材11の一方の面に直接、又は接着材を介して接着することによって、防曇性ハードコート層123Aが形成される。
尚、上記の基材フィルム122の有機ガラス基材11への接着は一般的なドライラミネーション法によるものであってもよいし、或いは、ヒートシール層を介した熱融着であってもよいし、基材フィルム122と有機ガラス基材11が同種の樹脂からなる場合のように接着性が良好な場合であれば接着材を介さず直接、接した状態での熱融着であってもよい。但し、有機ガラス基材11の押出成型工程の生産ラインにおいて、樹脂ガラス基材の両面への作業を並行して行う場合は、防曇性ハードコート層形成工程における熱転写と同様にヒートシール層を介した熱融着とすることが好ましい。
(耐傷性ハードコート層形成工程)
耐傷性ハードコート層形成工程は、有機ガラス基材の他方の面に、疎水性の耐傷性ハードコート層を形成する工程である。この工程においては、図3に示す耐傷性ハードコート転写フィルム13を用いて、図1に示す通り、有機ガラス基材11の一方の面に耐傷性ハードコート層123Bを形成する。
耐傷性ハードコート転写フィルム13は、PET等からなる離型性フィルム124に、耐傷性ハードコート層123B、接着層121が順次積層されてなる、多層の樹脂フィルム材料である。この耐傷性ハードコート転写フィルム13は、例えば、離型性フィルム124に、耐傷性ハードコート層123Bを形成する樹脂組成物をグラビアコート、バーコート、ロールコート、リバースロールコート、コンマコート等の方式により塗布しその後硬化させ、更に、公知の各方法によってプライマー層、ヒートシール層からなる接着層121を更に積層形成することにより得ることができる。
耐傷性ハードコート層形成工程においては、この耐傷性ハードコート転写フィルム13の接着層121の側の面を有機ガラス基材11の他方の面に向けて積層して加熱圧着によって熱転写した後、離型性フィルム124を耐傷性ハードコート層123Bから剥離することで、耐傷性ハードコート層123Bが形成される。
尚、上述した通り、防曇性ハードコート層形成工程と耐傷性ハードコート層形成工程とを、有機ガラス基材11の押出成型工程の製造ラインにおいて、同時に並行して行うことが可能であり、これにより、本発明の製造方法によるハードコート層付き有機ガラスの製造の生産性を更に好ましいものとすることができる。
[ハードコート層付き有機ガラスの製造方法の他の実施態様]
尚、上記においては、本発明の製造方法について、予め用意された有機ガラス基材11に対して防曇性ハードコート樹脂フィルム12及び耐傷性ハードコート転写フィルム13を用いて防曇性ハードコート層123A及び耐傷性ハードコート層123Bを形成する実施態様についてその詳細を説明したが、本発明の製造方法はかかる実施態様には限定されない。有機ガラス基材11を成型すると同時に、その面上に防曇性ハードコート層123A及び耐傷性ハードコート層123Bを形成する実施態様であってもよい。次段落において、かかる実施態様の具体例について説明する。
この実施態様においては、先ず、有機ガラス基材11を成型するための射出成型金型の一方の面側に、防曇性ハードコート樹脂フィルム12を、その基材フィルム122側が射出成型金型の内側を向き、その防曇性ハードコート層123A側が射出成型金型の外側を向くように配置する。又、射出成型金型の他方の面側に、耐傷性ハードコート転写フィルム13を、その接着層121側が射出成型金型の内側を向き、離型性フィルム124側が射出成型金型の外側を向くように配置する。ここで、各フィルムは射出成型金型の形状に追従するように予備成型されていてもよい。そして、各フィルムが射出成型金型内に配置された状態で型締めを行った後、有機ガラス基材を形成するための樹脂を射出成型金型内に射出することによって有機ガラス基材11が成型される。この際に、射出樹脂の熱と圧力を利用し、成型と同時に各フィルムを有機ガラス基材11の各面に接着する。金型を開いて得られた成型品を取り出した後、又は、取り出すと同時に、離型性フィルム124が剥離されて耐傷性ハードコート層123Bの転写が完了する。これにより、有機ガラス基材11の一方の面に防曇性ハードコート層123Aが形成され、他方の面に耐傷性ハードコート層123Bが形成されたハードコート層付き有機ガラス1を得ることができる。
1 ハードコート層付き有機ガラス1
11 有機ガラス基材
12 防曇性ハードコート樹脂フィルム
13 耐傷性ハードコート転写フィルム
121 接着層
122 基材フィルム、中間樹脂層
123A 防曇性ハードコート層
123B 耐傷性ハードコート層
124 離型性フィルム

Claims (5)

  1. ハードコート層付き有機ガラスの製造方法であって、
    有機ガラス基材の一方の面に、表面の水接触角が20°以下である防曇性ハードコート層を形成する、防曇性ハードコート層形成工程と、
    前記有機ガラス基材の他方の面に、表面の水接触角が80°以上である耐傷性ハードコート層を形成する、耐傷性ハードコート層形成工程と、
    を含んでなり、
    前記防曇性ハードコート層形成工程においては、基材フィルムの一方の表面に親水性のハードコート層が積層されている防曇性ハードコート樹脂フィルムを用いて、該防曇性ハードコート樹脂フィルムの前記基材フィルムを前記有機ガラス基材の一方の面に接着することによって防曇性ハードコート層を形成し、
    前記耐傷性ハードコート層形成工程においては、離型性フィルムの一方の表面に疎水性のハードコート層と接着層とがこの順で積層されている耐傷性ハードコート転写フィルムを用いて、該耐傷性ハードコート転写フィルムの前記接着層を前記有機ガラス基材の他方の面に対面させて転写を行うことにより耐傷性ハードコート層を形成する、
    ハードコート層付き有機ガラスの製造方法。
  2. 前記防曇性ハードコート層形成工程と、
    前記耐傷性ハードコート層形成工程と、
    を樹脂基材の押出成型の製造ラインにおいて、同時に並行して行う、
    請求項1に記載のハードコート層付き有機ガラスの製造方法。
  3. 射出成型金型の一方の面側に前記防曇性ハードコート樹脂フィルムを配置し、
    前記射出成型金型の他方の面側に前記耐傷性ハードコート転写フィルムを配置した後、
    前記射出成型金型内に有機ガラス基材成型用の樹脂を射出して、前記有機ガラス基材を成型すると同時に前記有機ガラス基材の一方の面に前記防曇性ハードコート樹脂フィルムの前記基材フィルムを接着し、同時に有機ガラス基材の他方の面に前記耐傷性ハードコート転写フィルムの前記接着層を接着する、
    請求項1に記載のハードコート層付き有機ガラスの製造方法。
  4. 有機ガラス基材の一方の面に、厚さ38μm以上250μm以下の中間樹脂層と、表面の水接触角が20°以下である防曇性ハードコート層がこの順で積層されていて、
    前記有機ガラス基材の他方の面には、前記中間樹脂層を介さずに、表面の水接触角が80°以上である耐傷性ハードコート層が積層されている、
    ハードコート層付き有機ガラス。
  5. 前記中間樹脂層がアクリル系樹脂である、請求項4に記載のハードコート層付き有機ガラス。
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