以下に、本開示の実施の形態にかかるガスレーザ装置を図面に基づいて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかるガスレーザ装置100の構成例を示す図である。また、図2は、図1に示すガスレーザ装置100が備える真空容器1の断面図である。ガスレーザ装置100は、例えば、図示を省略したレーザ加工機に用いられ、ワークに向けてレーザ光10を出射する。
ガスレーザ装置100において、真空容器1の内部には、各構成部品が取り付けられていると共に、レーザ媒質2が30~300Torr程度の圧力で封入されている。レーザ媒質2は、ブロア3によって、矢印で示すように整流ダクト4から電極5へ向かって循環する。電極5には電源ユニット6から高電圧が供給され、それによって、対向する電極5の間で放電7が発生する。放電7によるエネルギーがレーザ媒質2に与えられることで、レーザ媒質2である炭酸ガスが励起する。炭酸ガスが遷移する際に放出される光子は、レーザ媒質2を挟んで対向して配置された部分反射鏡8および全反射鏡9からなる光共振器ミラーで増幅され、その一部が部分反射鏡8からレーザ光10として外部へ出射される。放電7によってエネルギーを与えられたレーザ媒質2は、温度が上昇しているため、熱交換器11によって冷却される。電極5と部分反射鏡8との間、および、電極5と全反射鏡9との間のそれぞれには、アパーチャ12が配置されている。これらのアパーチャ12は、横モード次数の決定、回折光、散乱光のカットといった役割を担っている。
一般的なガスレーザ装置は、使用を続けていくとレーザ媒質の組成が徐々に変化し、それに伴い、出射するレーザ光の出力が低下していく性質がある。ガスレーザ装置100も同様である。そのため、ガスレーザ装置100は、レーザ媒質2の組成変化が進んだ場合には、真空ポンプ13によってレーザ媒質2を排気し、新しいレーザ媒質2との入れ替えを行うように構成されている。熱交換器11および冷却が必要な部品には、冷却装置14から冷却水が供給されている(図示省略)。一連の動作は、制御装置15によって制御される。真空容器1および真空容器1の内部の各部品と、電源ユニット6と、真空ポンプ13とは、後述する出力測定部21とともにレーザ発振部20を構成する。
また、ガスレーザ装置100は、レーザ光の一部を全反射鏡9が透過させて外部に出射するよう構成されるとともに、この出射されたレーザ光の出力を測定するパワーセンサなどで構成される出力測定部21を備える。出力測定部21は、パワーセンサによる測定値に予め定められた係数を乗算してレーザ光10の出力を算出する。係数は、全反射鏡9から出射されるレーザ光の出力と部分反射鏡8から出射されるレーザ光10の出力とを事前に測定し、これらの各測定値の関係から導出しておく。出力測定部21による測定結果は制御装置15および電源ユニット6に入力される。制御装置15は、ガスレーザ装置100が出射するレーザ光の出力値に基づいて、ガスレーザ装置100の異常検出、具体的には、レーザ光10の出力低下の検出および出力低下の要因の特定を行う。なお、一般的なガスレーザ装置は、外部へ出射されるレーザ光の出力が所望の値となるよう制御するために、実際に出射されているレーザ光の出力を計測する出力測定部を有している。本実施の形態にかかるガスレーザ装置100もこの既存の出力測定部を活用することで、装置の小型化およびコストの削減を実現している。
なお、図1に示す例では、全反射鏡9がレーザ光の一部を外部に透過させ、このレーザ光の出力を出力測定部21が測定する構成としたが別の構成とすることも可能である。具体的には、部分反射鏡8から出射されるレーザ光10からレーザ光の一部をビームスプリッタなどで取り出し、取り出したレーザ光の出力を出力測定部21が測定する構成とすることも可能である。この場合も上記と同様に、出力測定部21はパワーセンサによる測定値に対して係数を乗算してレーザ光10の出力を算出する。
ここで、制御装置15が検出する異常について説明する。
上述したように、レーザ媒質2の組成が変化するとレーザ光10の出力が低下する。制御装置15は、レーザ媒質2の組成変化に伴いレーザ光10の出力が低下した場合にこれを検出する。この場合のレーザ光10の出力は、例えば図3に示すように変化する。
図3は、レーザ媒質2の組成変化に伴うレーザ光10の出力の変化の様子の一例を示す図である。図3において、実線は指令レーザ出力を示し、破線は検出レーザ出力を示す。指令レーザ出力とはレーザ光10の出力の目標値である。検出レーザ出力はレーザ光10の実際の出力の値である。また、図3において、横軸は時間を示し、縦軸は出力を示す。
図3に示すように、レーザ媒質2の組成変化に伴いレーザ光10の出力が低下する場合、ガスレーザ装置100がレーザ光10の出射を開始してからある点Aまでは、指令レーザ出力に対して検出レーザ出力はほぼ追従している。通常は両者が一致するような制御を行っている。レーザ媒質2の組成変化は常に起こっているため、検出レーザ出力も常に減少するはずであるが、電源ユニット6の能力に若干の余裕を持たせているため、検出レーザ出力の減少がわずかな範囲までは、投入電力を上げることで、これを補うことができる。そのため、電源ユニット6の能力の余裕分までは、指令レーザ出力に対して検出レーザ出力はほぼ追従している。しかし、電源ユニット6の能力の余裕を超えた点A以降では、指令レーザ出力は一定であるが、検出レーザ出力はレーザ媒質2の組成変化に伴い徐々に減少する。
また、通常は、図1および図2に示すように、上下の電極5の間で放電7が発生するが、上下の電極5の間に存在するレーザ媒質2の状態が悪いと、上下の電極5の間で放電することができず、図4に示す異常放電7aのように、電極5と整流ダクト4との間で放電してしまうことがある。この場合、電極5の表面温度が沿面放電によって急激に上昇し、電極5が壊れてしまう。制御装置15は、このような、レーザ媒質2の状態が悪いために異常放電7aが発生した場合にこれを検出する。この場合のレーザ光10の出力は、例えば図5に示すように変化する。
図5は、異常放電の発生に伴うレーザ光10の出力の変化の様子の一例を示す図である。図3と同様に、図5において、実線は指令レーザ出力を示し、破線は検出レーザ出力を示す。また、横軸は時間を示し、縦軸は出力を示す。また、図5においては点Bで異常放電が発生したとする。
図5に示すように、異常放電の発生に伴いレーザ光10の出力が低下する場合、指令レーザ出力は一定であるが、異常放電7aが発生した点Bで、検出レーザ出力が一気に0近くまで減少する。正常な状態では、上下の電極5の間で放電7が発生するため、レーザ光が通る光軸(部分反射鏡8と全反射鏡9を結んだ直線)は、上下の電極5の間にくるように配置している。これによって、部分反射鏡8と全反射鏡9との間で反射を繰り返すたびに、放電による励起エネルギーを得て、レーザ光が発振および増幅する仕組みになっている。しかし、異常放電7aでは、電極5と整流ダクト4との間で放電しているため、部分反射鏡8と全反射鏡9との間で反射を繰り返しても、放電による励起エネルギーが得られず、レーザ出力がほとんど出ない。すなわち、異常放電7aが発生した場合は検出レーザ出力が0付近まで低下する。
なお、レーザ媒質2の状態が悪くなる原因は、例えば、以下の(1)~(4)に示すものがある。
(1)間違ったガス組成のレーザ媒質2が真空容器1に封入された場合
(2)ガスボンベの接続が適切に行われず、レーザ媒質2を真空容器1に封入する際に、ガスボンベと真空容器1との接続部分から多量の大気が混入した場合
(3)熱交換器11で腐食が進行し、冷却水が真空容器1の内部に漏れた場合
(4)真空ポンプ13のオイルが、真空容器1の内部に逆流した場合
放電(電流)は流れやすい経路で流れるため、上記の(1)~(4)のような原因でレーザ媒質2の状態が悪化した場合には、上下の電極5の間での放電(レーザ媒質2を横切る気中放電)よりも、電極5の表面を流れる沿面放電の方が流れやすくなってしまうためである。この場合、電極表面の温度が沿面放電によって急激に上昇し、電極5が壊れてしまう。電極5は、表面がガラスやセラミックといった誘電体で構成されているため、急激な温度上昇で、ガラスやセラミックが割れてしまう。具体的には、上記の異常放電7aが5秒以上継続した場合、および、異常放電7aの継続時間が5秒未満でも、それが繰り返し発生する場合、電極5が壊れる。電極5が壊れると、電極5を構成しているガラスやセラミックが割れて真空容器1の中に飛散したり、ガラスやセラミックを冷却している冷却水(図示省略)が真空容器1の中に漏れ出したりして、甚大な被害となり、復旧には多大な費用と時間を要することになる。そのため、異常放電が発生した場合には、速やかに装置を停止させるとともに、ユーザがガスレーザ装置100の再起動を行って異常放電を繰り返し発生させないように、措置を講じる必要がある。
また、地震、工事、接触などにより外部からガスレーザ装置100に力が加わると、光共振器ミラーの角度がずれ、外部へ出射されるレーザ光10の出力が減少してしまうことがある。具体的には、共振器ミラーの角度がずれると、アパーチャ12の開口穴の中心を通っていた光の軸(光軸)がずれることになり、アパーチャ12の開口穴を通り抜けることができない光が増えることなる。アパーチャ12の開口穴を通り抜けることができない光が増えた分だけ、レーザ光10の出力が減少する。制御装置15は、このような、外部からの力が加わることにより光共振器ミラーでずれが生じてレーザ光10の出力が低下した場合にこれを検出する。この場合のレーザ光10の出力は、例えば図6に示すように変化する。
図6は、光共振器ミラーの角度のずれの発生に伴うレーザ光10の出力の変化の様子の一例を示す図である。図3と同様に、図6において、実線は指令レーザ出力を示し、破線は検出レーザ出力を示す。また、横軸は時間を示し、縦軸は出力を示す。また、図6においては点Cで光共振器ミラーの角度のずれが発生したとする。
図6に示すように、光共振器ミラーの角度のずれの発生に伴いレーザ光10の出力が低下する場合、指令レーザ出力は一定であるが、光共振器ミラーの角度のずれが発生した点Cで、検出レーザ出力が一気に減少する。しかし、0近くまで減少するのではなく、ある程度の出力(図6の例では7割程度の出力)は維持される。また、検出レーザ出力が一気に減少した後の変動幅が大きいという特徴がある。この特徴は以下の理由で発生する。光共振器ミラー(部分反射鏡8および全反射鏡9)はミラー押さえ(図示せず)によって固定されているが、光軸がずれると、増幅される過程にあるレーザ光の成分の一部がミラー押さえに照射される。この結果、ミラー押さえがレーザ光により熱変形し、ミラー押さえに押さえられていた光共振器ミラーの角度がさらにずれる、といったことが繰り返され、検出レーザ出力の変動幅が大きくなる。
また、上述したように、真空容器1の内部には、ブロア3、整流ダクト4、電極5、熱交換器11およびアパーチャ12といった様々な部品が存在する。これらの各部品は洗浄を行い、組み立てはクリーンルームの中で行っているが、それでも、微小な粉塵までを完全にゼロにすることはできず、各部品には微小な粉塵が付着している。粉塵が付着する工程には、各部品の加工時(切削加工など)に、切削粉や大気中の粉塵が部品に付着する、各部品の保管時に、大気中に漂っていた粉塵が部品に付着する、各部品の運搬時に、大気中に漂っていた粉塵や手に付いていた粉塵が部品に付着する、各部品の組立時に、大気中に漂っていた粉塵や手に付いていた粉塵が部品に付着する、といったものがある。これらの部品に付着した微小な粉塵が、ブロア3によって循環されるレーザ媒質2の流れによって舞い上げられ、それが部分反射鏡8または全反射鏡9の表面近傍にやってきた場合、粉塵にレーザ光が照射され、粉塵が部分反射鏡8または全反射鏡9の表面(以降はミラー表面と記載する)に焼き付くことになる。ミラー表面に粉塵が焼き付いた場合、外部へ出射されるレーザ光10の出力が減少することになる。制御装置15は、このような、粉塵がミラー表面に焼き付くことによりレーザ光10の出力が低下した場合にこれを検出する。この場合のレーザ光10の出力は、例えば図7に示すように変化する。
図7は、光共振器ミラーの表面への粉塵の焼き付き発生に伴うレーザ光10の出力の変化の様子の一例を示す図である。図3と同様に、図7において、実線は指令レーザ出力を示し、破線は検出レーザ出力を示す。また、横軸は時間を示し、縦軸は出力を示す。また、図7においては点Dでミラー表面への粉塵の焼き付きが発生したとする。
図7に示すように、ミラー表面への粉塵の焼き付きの発生に伴いレーザ光10の出力が低下する場合、指令レーザ出力は一定であるが、ミラー表面への粉塵の焼き付きが発生した点Dで、検出レーザ出力が一気に減少する。しかし、0近くまで減少するのではなく、ある程度の出力(図7の例では6割程度の出力)は維持される。また、一気に減少といっても、上述した図6で示した光共振器ミラーの角度のずれが発生した場合のように完全に直線的な減少ではなく、ややガタツキがある。このガタツキは、微小な粉塵がミラー表面に焼き付くと同時にミラーの反射コーティングの損傷が発生して進行していくが、その損傷の進行過程によるガタツキだと推測する。
以上のように、レーザ光10の出力が低下する理由には様々なものがあるが、レーザ光10の出力低下が始まった後の変化の挙動はそれぞれ異なる。よって、指令レーザ出力(Psとする)に対する検出レーザ出力(Pkとする)の減少量(ΔP=Ps-Pk)、減少量(ΔP)の変化速度、減少後の挙動に着目することで、どの異常が発生してレーザ光の出力が低下したのかを判別することができる。
そこで、本実施の形態にかかるガスレーザ装置100の制御装置15は、レーザ発振部20から出射されるレーザ光10の出力を監視し、レーザ光10の出力の挙動からどの異常が発生したのかを特定する。
図8は、実施の形態1にかかるガスレーザ装置100が備える制御装置15の構成例を示す図である。図8に示すように、制御装置15は、ガスレーザ装置100の動作異常を検出する異常検出部51と、電源ユニット6、真空ポンプ13および冷却装置14を制御してガスレーザ装置100からレーザ光10を出射させる動作制御部52と、異常検出部51で検出された異常動作の内容、ユーザへの通知内容などを表示する表示部53を備える。上述した様々な異常状態の検出は異常検出部51が行う。
すなわち、異常検出部51は、図1に示す出力測定部21で測定されたレーザ光10の出力値に基づいて、複数種類の異常状態を検出する。また、動作制御部52は、異常検出部51が検出した異常状態の種類に応じた制御動作を行う。
具体的には、異常検出部51は、レーザ媒質2の組成変化によりレーザ光10の出力が減少する第1の異常状態と、光共振器ミラーの角度ずれの発生、または、ミラー表面への粉塵の焼き付きによりレーザ光10の出力が減少する第2の異常状態と、異常放電(図4に示す異常放電7a)の発生によりレーザ光10の出力が減少する第3の異常状態と、を検出する。
動作制御部52は、異常検出部51で第1の異常状態が検出されると、レーザ光10の出射を停止させる制御と、真空容器1内のレーザ媒質2を交換するための制御とを電源ユニット6および真空ポンプ13に対して行う。動作制御部52は、レーザ媒質2の交換が終了した後はレーザ光10の出射を再開させる。また、動作制御部52は、異常検出部51で第2の異常状態が検出されると、レーザ光10の出射を停止させる制御を電源ユニット6に対して行うとともに、異常の解消を促すメッセージを表示部53に表示させる。また、動作制御部52は、異常検出部51で第3の異常状態が検出されると、レーザ光10の出射を停止させる制御を電源ユニット6に対して行う。動作制御部52は、第3の異常状態が検出されたことに伴いレーザ光10の出射を停止させた後、装置保護のために、ガスレーザ装置100を再起動させる操作をユーザから受け付けない状態、すなわち、ユーザがガスレーザ装置100を再起動させることができない状態に移行する。
異常検出部51は、上記の第1の異常状態~第3の異常状態を以下のようにして判定する。
(第1の異常状態の判定)
図3を用いて説明したように、レーザ媒質2の組成変化によるレーザ光10の出力の減少は、徐々に進行する。すなわち、レーザ光10の出力が減少する速度が遅い。そのため、異常検出部51は、例えば、指令レーザ出力Psが4000[W]の場合には、「200[W]≦ΔP<400[W]」の時に第1の異常状態と判定する。
(第2の異常状態の判定)
図6および図7を用いて説明したように、光共振器ミラーの角度ずれ、または、ミラー表面への粉塵の焼き付きによるレーザ光10の出力の減少は、レーザ媒質2の組成変化によるものよりも大きい。すなわち、レーザ光10の出力が減少する速度が速い。しかし、値が0付近まで減少するのではなく、ある程度の出力値が維持される。そのため、異常検出部51は、例えば、指令レーザ出力Psが4000[W]の場合には、「400[W]≦ΔP<3200[W]」の時に第2の異常状態と判定する。
(第3の異常状態の判定)
図5を用いて説明したように、異常放電の発生によりレーザ光10の出力が減少する場合、第2の異常状態と同様に、レーザ光10の出力が急速に減少するが、出力値は0付近まで減少する。そのため、異常検出部51は、例えば、指令レーザ出力Psが4000[W]の場合には、「3200[W]≦ΔP」の時に第3の異常状態と判定する。
すなわち、指令レーザ出力Psが4000[W]の場合、異常検出部51は、減少量ΔPが200[W]以上かつ400[W]未満であれば第1の異常状態と判定し、減少量ΔPが400[W]以上かつ3200[W]未満であれば第2の異常状態と判定し、減少量ΔPが3200[W]以上であれば第3の異常状態と判定する。
上記の例では、異常検出部51は、出力の減少量ΔPが200[W]未満の場合は異常状態と判定しない。これは、指令レーザ出力Ps=4000[W]に対して200[W]はその5%にあたるが、レーザ出力の減少が5%未満であれば、良好なレーザ加工が継続できるように加工条件(切断速度など)が設定されているためである。なお、異常状態と判定する減少量ΔPの下限値を指令レーザ出力Psの5%とすることは必須ではなく、ガスレーザ装置100が適用されるレーザ加工機の性能などを考慮して設定すればよい。
また、上記のΔP=200[W]、400[W]、3200[W]とは、Ps=4000[W]に対して5[%]、10[%]、80[%]ということである。実際は、指令レーザ出力Psは4000[W]だけでなく、様々な値を取るため、上記のように割合[%]で判定基準を設定する。
しかし、上記のように減少量ΔPを設定しただけでは、複数の異常状態を正確に判定することはできない。その理由を以下に述べる。
正常時は、指令レーザ出力Psが4000[W]の場合、検出レーザ出力Pkもほぼ4000[W]である。この場合は、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔP(ΔP=Ps-Pk)はほぼ0[W]である。何らかの異常が生じた場合には、指令レーザ出力Psが4000[W]であるにも関わらず、検出レーザ出力Pkが4000[W]より減少し、減少量ΔP[W]が生じることになる。ここで、正常時に、突然、上記の異常放電7aによるレーザ出力の減少が発生し、検出レーザ出力Pkが4000[W]から150[W]になったとする。指令レーザ出力Psは4000[W]のままなので、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔPは、ΔP=Ps-Pk=4000-150=3850[W]であるから、この場合は、第3の異常状態と判定したい。しかし、実際の検出レーザ出力Pkは4000[W]から150[W]に一気に飛ぶのではない。出力測定部21を構成するパワーセンサには応答の時定数があるため、検出レーザ出力Pkは、例えば、4000→3900→3800→…のように徐々に減少していき最終的に150[W]となる。そのため、減少量ΔPは、まず、第1の異常状態と判定する判定基準すなわち「200[W]≦ΔP<400[W]」を満たし、少し時間が経つと、第2の異常状態と判定する判定基準すなわち「400[W]≦ΔP<3200[W]」を満たし、さらに時間が経つと、ようやく第3の異常状態と判定する判定基準すなわち「3200[W]≦ΔP」を満たすことになる。つまり、減少量ΔPのみを用いて判定を行う場合、ΔPが徐々に変化していく過程で必ず第1の異常状態として判定することになり、複数種類の異常状態を判別することができない。
そこで、本実施の形態では、第1の異常状態~第3の異常状態のそれぞれに対応する判定基準に、タイマーT1[s]、T2[s]、T3[s]を持たせ、これらの時間の関係を0≦T3<T2<T1とする。つまり、異常検出部51は、減少量ΔPが第1の異常状態に対応する判定基準を満たす状態がT1時間継続した場合に、第1の異常状態と判定する。同様に、異常検出部51は、減少量ΔPが第2の異常状態に対応する判定基準を満たす状態がT2時間継続した場合に、第2の異常状態と判定し、減少量ΔPが第3の異常状態に対応する判定基準を満たす状態がT3時間継続した場合に、第3の異常状態と判定する。
例えば、T3=0[s]、T2=1[s]、T1=2[s]とした場合、異常検出部51は、第3の異常状態に対応する判定基準「3200[W]≦ΔP」が一瞬でも満たされれば第3の異常状態と判定する。また、異常検出部51は、第2の異常状態に対応する判定基準「400[W]≦ΔP<3200[W]」がT2=1[s]以上継続して満たされると第2の異常状態と判定し、第1の異常状態に対応する判定基準「200[W]≦ΔP<400[W]」がT1=2[s]以上継続して満たされると第1の異常状態と判定する。
パワーセンサの応答性による4000[W]から150[W]への低下の時定数は100[ms]程度であるので、上記のように、T2=1[s]、T1=2[s]としておけば、異常検出部51は、第1の異常状態または第2の異常状態と判定する前に、第3の異常状態と判定できる。
なお、実際にはT3=0.5[s]、T2=2[s]、T1=3[s]といった値を採用することが考えられる。これは、ガスレーザ装置100をレーザ発振させていない状態から、指令レーザ出力Ps=4000[W]でレーザ発振させた場合の発振開始直後においては、検出レーザ出力Pkが0[W]から4000[W]になるまでにパワーセンサの応答性による検出遅れがあり、それによる減少量ΔPが存在するためである。この時の誤判定を防ぐため、T3=0[s]とせず、パワーセンサの応答性の時定数より長い、T3=0.5[s]などに設定するのが望ましい。
つづいて、ガスレーザ装置100の動作について、図9を参照しながら説明する。図9は、実施の形態1にかかるガスレーザ装置100の動作の一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートは、ガスレーザ装置100がレーザ光10の出射を開始した後に異常発生の有無を確認し、異常発生時に対処を実施する動作の一例を示す。図9に示す動作は、例えば、ガスレーザ装置100が起動してレーザ光10の出射を開始した後に開始となる。
図9に示す動作では、制御装置15の異常検出部51が、まず、ガスレーザ装置100が、「th1≦ΔP<th2」が成り立つかを確認する(ステップS11)。ここで、ΔPは、上述した指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量である。また、th1は第1閾値であり、上述した第1の異常状態と判定する範囲の下限値に対応する。th2は第2閾値であり、上述した第1の異常状態と判定する範囲の上限値に対応する。よって、ステップS11では、異常検出部51が、ΔPが第1の異常状態に対応する判定基準を満たすかを確認する。なお、th2は、上述した第2の異常状態と判定する範囲の下限値でもあり、第1の異常状態と判定する範囲と第2の異常状態と判定する範囲との境界となる。
ΔPが第1の異常状態に対応する判定基準を満たす場合(ステップS11:Yes)、異常検出部51は、「T1<t1」が成り立つかを確認する(ステップS12)。ここで、T1は第1時間であり上述したタイマーT1に対応する。t1はΔPが第1の異常状態に対応する判定基準を満たす状態となってからの経過時間である。「T1<t1」が成り立たない場合(ステップS12:No)、異常検出部51はステップS11に戻る。
「T1<t1」が成り立つ場合(ステップS12:Yes)、異常検出部51は、上記の第1の異常状態、すなわち、レーザ媒質2の組成変化によりレーザ光10の出力が減少したと判断し、動作制御部52が第1の対処を実施する(ステップS13)。第1の対処では、レーザ光10の出射を停止して真空容器1内のレーザ媒質2を交換する。すなわち、動作制御部52は、ステップS13では、レーザ光10の出射を停止させる制御と、真空容器1内のレーザ媒質2を交換するための制御とを電源ユニット6および真空ポンプ13に対して行う。動作制御部52は、レーザ媒質2の交換が完了するとレーザ光10の出射を再開させる。
ΔPが第1の異常状態に対応する判定基準を満たさない場合(ステップS11:No)、異常検出部51は、「th2≦ΔP<th3」が成り立つかを確認する(ステップS14)。ここで、th3は第3閾値であり、上述した第2の異常状態と判定する範囲の上限値に対応する。よって、ステップS14では、異常検出部51が、ΔPが第2の異常状態に対応する判定基準を満たすかを確認する。なお、th3は、上述した第3の異常状態と判定する範囲の下限値でもあり、第2の異常状態と判定する範囲と第3の異常状態と判定する範囲との境界となる。
ΔPが第2の異常状態に対応する判定基準を満たす場合(ステップS14:Yes)、異常検出部51は、「T2<t2」が成り立つかを確認する(ステップS15)。ここで、T2は第2時間であり上述したタイマーT2に対応する。t2はΔPが第2の異常状態に対応する判定基準を満たす状態となってからの経過時間である。「T2<t2」が成り立たない場合(ステップS15:No)、異常検出部51はステップS11に戻る。
「T2<t2」が成り立つ場合(ステップS15:Yes)、異常検出部51は、上記の第2の異常状態、すなわち、光共振器ミラーの角度ずれの発生、または、ミラー表面への粉塵の焼き付きによりレーザ光10の出力が減少したと判断し、動作制御部52が第2の対処を実施する(ステップS16)。第2の対処では、レーザ光10の出射を停止し、異常の解消を促すメッセージをユーザに行う。すなわち、動作制御部52は、ステップS16では、レーザ光10の出射を停止させる制御を電源ユニット6に対して行うとともに、異常の解消をユーザに促すメッセージを表示部53に表示させる。
ΔPが第2の異常状態に対応する判定基準を満たさない場合(ステップS14:No)、異常検出部51は、「th3≦ΔP」が成り立つかを確認する(ステップS17)。このステップS17では、異常検出部51が、ΔPが第3の異常状態に対応する判定基準を満たすかを確認する。ΔPが第3の異常状態に対応する判定基準を満たさない場合(ステップS17:No)、異常検出部51はステップS11に戻る。
ΔPが第3の異常状態に対応する判定基準を満たす場合(ステップS17:Yes)、異常検出部51は、「T3<t3」が成り立つかを確認する(ステップS18)。ここで、T3は第3時間であり上述したタイマーT3に対応する。t3はΔPが第3の異常状態に対応する判定基準を満たす状態となってからの経過時間である。「T3<t3」が成り立たない場合(ステップS18:No)、異常検出部51はステップS11に戻る。
「T3<t3」が成り立つ場合(ステップS18:Yes)、異常検出部51は、上記の第3の異常状態、すなわち、異常放電の発生によりレーザ光10の出力が減少したと判断し、動作制御部52が第3の対処を実施する(ステップS19)。第3の対処では、レーザ光10の出射を停止し、ガスレーザ装置100を再起動させる操作をユーザから受け付けない状態に移行する。すなわち、動作制御部52は、ステップS19では、レーザ光10の出射を停止させる制御を電源ユニット6に対して行うとともに、ガスレーザ装置100を再起動させる操作をユーザから受け付けない状態に移行する。
以上のように、ガスレーザ装置100は、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔP、およびΔPがそれぞれの異常状態の判定基準を満たす状態となってからの経過時間t1,t2,t3に基づいて複数種類の異常を検出し、検出結果に適した対処を実施することが可能である。
つづいて、ガスレーザ装置100が備える制御装置15のハードウェア構成について説明する。図10は、実施の形態1にかかるガスレーザ装置100が備える制御装置15を実現するハードウェアの一例を示す図である。制御装置15は、図10に示したプロセッサ101、メモリ102および表示器103により実現することができる。プロセッサ101の例は、CPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP(Digital Signal Processor)ともいう)またはシステムLSI(Large Scale Integration)である。メモリ102の例は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリー等の不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク等などである。表示器103の例は、液晶ディスプレイなどである。
制御装置15の異常検出部51および動作制御部52は、これらの各部として動作するためのプログラムをプロセッサ101が実行することにより実現される。異常検出部51および動作制御部52として動作するためのプログラムはメモリ102に予め格納されている。プロセッサ101は、プログラムをメモリ102から読み出して実行することにより、異常検出部51および動作制御部52として動作する。また、表示部53は表示器103により実現される。
以上説明したように、実施の形態1にかかるガスレーザ装置100において、レーザ光10を出射するレーザ発振部20を制御する制御装置15は、レーザ光10の出力を監視し、出力の挙動に基づいて複数種類の異常状態を検出する。具体的には、制御装置15の異常検出部51が、レーザ光10の減少量ΔPと複数の閾値(第1閾値,第2閾値,第3閾値)との大小関係と、大小関係が変化することなく継続する時間の長さとに基づいて、複数種類の異常状態(第1の異常状態,第2の異常状態,第3の異常状態)を検出する。実施の形態1にかかるガスレーザ装置100によれば、装置構成が複雑化するのを抑制しつつ、レーザ光10の出力低下が発生する複数種類の異常状態を検出することができる。
また、ガスレーザ装置100は、レーザ媒質2の組成変化によりレーザ光10の出力が減少する第1の異常状態を検出できるため、レーザ媒質2の組成変化の状況に応じたタイミングでレーザ媒質2を交換することが可能となる。この結果、予め定められた封じ切り時間でレーザ媒質の交換を行う従来の構成と比較して、レーザ媒質を交換する頻度を少なくすることができ、レーザ媒質2の購入費用を削減できるとともに、レーザ媒質の交換に伴うダウンタイムを削減できる。
また、ガスレーザ装置100は、光共振器ミラーの角度ずれの発生、または、ミラー表面への粉塵の焼き付きによりレーザ光10の出力が低下する第2の異常状態を検出できるため、異常の解消を促すメッセージをユーザに行うことができる。例えば、ガスレーザ装置100がユーザによる光軸の調整が可能な構成の場合、ガスレーザ装置100は、光軸を調整して光共振器ミラーの角度ずれを解消させる方法をユーザに提示して作業を促すことができる。また、ガスレーザ装置100がユーザによる光共振器ミラーの交換が可能な構成の場合、ガスレーザ装置100は、光共振器ミラーを交換する方法をユーザに提示して作業を促すことができる。この結果、第2の異常状態が発生した場合にガスレーザ装置100を復旧させるための作業をサービスマンに別途依頼するといったことが不要となり、復旧に要する費用を削減できるとともに、復旧するまでの所要時間を短くすることができる。
また、ガスレーザ装置100は、異常放電の発生によりレーザ光10の出力が減少する第3の異常状態を検出できるため、レーザ光10の出射を速やかに停止するとともに、ガスレーザ装置100を再起動させる操作をユーザから受け付けない状態に移行することができる。この結果、異常放電が長時間継続したり、短時間であっても繰り返し発生することにより、電極5を構成するガラスやセラミックが破損するのを防ぐことができる。
なお、本実施の形態では、レーザ光10の出力の減少量から3種類の異常状態を検出する構成について説明したが、レーザ光10の出力の減少量を判定するための閾値を追加することで、4種類以上の異常状態を検出する構成とすることも可能である。
実施の形態2.
実施の形態2にかかるガスレーザ装置について説明する。なお、ガスレーザ装置の構成は実施の形態1と同様である(図1参照)。
実施の形態1で説明したように、レーザ媒質2の組成変化によるレーザ光10の出力の減少は非常にゆっくりであり、一方、光共振器ミラーの角度ずれによるレーザ光10の出力の減少、および、ミラー表面への粉塵の焼き付きによるによるレーザ光10の出力の減少は急激である。従って、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔPの変化速度によって、両者を切り分けることができる。
そのため、制御装置15の異常検出部51は、実施の形態1で説明した動作に加えて、以下の動作を実行する。異常検出部51は、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔPの変化速度に対し、切り分けのための速度閾値を設定し、設定された速度閾値よりも変化速度が大きい場合に第2の異常状態と判定し、速度変化が速度閾値以下の場合に第1の異常状態と判定する。例えば、異常検出部51は、図9に示すフローチャートのステップS12の判定が「Yes」の場合、さらに、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔPの変化速度と速度閾値とを比較し、変化速度が速度閾値以下であれば第1の異常状態と判定してステップS13(第1の対処)を実施する。一方、変化速度が速度閾値以下でなければ、異常検出部51はステップS13を実施せずにステップS11に戻る。また、異常検出部51は、図9に示すフローチャートのステップS15の判定が「Yes」の場合も、さらに、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔPの変化速度と速度閾値とを比較し、変化速度が速度閾値よりも大きければ第2の異常状態と判定してステップS16(第2の対処)を実施する。一方、変化速度が速度閾値よりも大きくなければ、異常検出部51はステップS16を実施せずにステップS11に戻る。
以上のように、実施の形態1で説明した動作に加え、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔPの変化速度も考慮して異常状態を判別する動作を異常検出部51が行う構成とすることで、異常状態の判定精度を高めることができる。この理由について以下に説明する。
実施の形態1で説明したように、外部からガスレーザ装置100に力が加わり光共振器ミラーの角度がずれた場合はレーザ光10の出力が減少する。このとき、外部から加わる力の大きさによって角度のずれ量が変わり、レーザ光10出力の減少の程度も変わる。そのため、実施の形態1では、光共振器ミラーの角度ずれ、または、ミラー表面への粉塵の焼き付きによる第2の異常状態と判定する場合のレーザ光10の出力の減少量の範囲をΔP=400~3200[W]と大きい範囲とすることでカバーしている。発明者は、実際に外部から加わる力を様々に変えて実験を行ったが、上記のΔP=400~3200[W]の範囲を超える程度にレーザ光10の出力が大きく減少することは無かった。また、ミラー表面への粉塵の焼き付きによるレーザ光10の出力減少については、ミラー表面に焼き付く粉塵の大きさが大きいほど、レーザ光10の出力の減少量も大きくなり、大きな粉塵がミラー表面に焼き付いた場合には、上手く判定が行えないのではないかと懸念する人がいるかも知れない。つまり、上記のΔP=400~3200[W]の範囲を超える程度にレーザ光10の出力が大きく減少してしまい、上述した第3の異常状態(レーザ光10の出力の減少量ΔPの範囲が3200~4000[W]となる異常状態)と誤判定してしまうのではないかと懸念するかもしれない。しかしながら、発明者のこれまでの経験では、ミラー表面への粉塵の焼き付きが原因で上記のΔP=400~3200[W]の範囲を超える程度にレーザ光10の出力が大きく減少した事例はない。これは、大きな粉塵の場合、質量が大きいので、実施の形態1で説明したような、ブロア3によって循環されるレーザ媒質2の流れによって大きな粉塵が舞い上げられてミラー表面付近まで到達することが無いためである。ミラー表面付近まで粉塵が到達しなければ、ミラーに焼き付くことはない。
上述したように、第2の異常状態である、光共振器ミラーの角度ずれ、または、ミラー表面への粉塵の焼き付きによるレーザ光10の出力の減少が第3の異常状態と誤判定されてしまうことはないが、一方で、外部から加わる力が小さい場合、および、極めて小さな粉塵がミラー表面に焼き付いた場合には、レーザ光10の出力の減少量が小さいので、実施の形態1で説明した第1の異常状態、すなわち、レーザ媒質2の組成変化によるレーザ光10の出力の減少と誤判定されてしまうことがある。実施の形態1で説明したように、第1の異常状態と判定する場合のレーザ光10の出力の減少量の範囲はΔP=200~400[W]であり、第2の異常状態と判定する場合のレーザ光10の出力の減少量の範囲(ΔP=400~3200[W])よりも非常に小さいので、この誤判定の確率は小さいものであるが、この誤判定を完全に無くすことが望ましい。
このような事情から、実施の形態2では、指令レーザ出力Psに対する検出レーザ出力Pkの減少量ΔPの変化速度に着目し、上述したように、減少量ΔPの変化速度が速度閾値よりも大きければ第2の異常状態と判定し、速度変化が速度閾値以下の場合に第1の異常状態と判定する。これにより、第1の異常状態と第2の異常状態とのどちらに該当するかの判定精度が高まる。
なお、各実施の形態では、レーザ媒質2として炭酸ガスを用いる例について説明したがレーザ媒質2は炭酸ガスに限定されない。炭酸ガス以外のガスをレーザ媒質2として用いる場合も各実施の形態は成り立つ。
以上の実施の形態に示した構成は、一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、実施の形態同士を組み合わせることも可能であるし、要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。