JP7332369B2 - ゴムホース補強用アラミド繊維コードおよび繊維補強ゴムホース - Google Patents
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Description
アラミド繊維コードのアラミドにはパラ系芳香族ポリアミドを用い、好ましくはポリパラフェニレンテレフタルアミドまたはコポリパラフェニレン・3,4’オキシジフェニレン・テレフタルアミドを用いる。アラミド繊維コードとして、アラミドの繊維、例えばフィラメント糸やスパン糸を撚糸したものを用いることができる。
本発明では、上記のアラミド繊維コードを、まず、第一の処理剤で処理する。この処理は、アラミド繊維コードに第一の処理剤の固形分成分を付着させる処理である。これは、アラミド繊維コードに第一の処理剤を浸漬または塗布することで行うことができる。塗布は例えばローラーにより行ってもよく、吹き付けにより行ってもよい。
第二の処理剤による処理は、第二の処理剤の固形分成分をアラミド繊維コードに付着させる処理である。これは、第一の処理剤による処理をした後、すなわち、第一の処理剤の固形分成分部をアラミド繊維コードに付着させる処理をした後、一旦乾燥および熱処理したアラミド繊維コードに対して行う。この処理は、アラミド繊維コードに第二の処理剤を浸漬または塗布することで行うことができる。塗布は例えばローラーにより行ってもよく、吹き付けにより行ってもよい。
本発明において第一の処理剤に含有されるポリエポキシド化合物は、1分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を該化合物の100g当たり0.2g当量以上含有する化合物である。このポリエポキシド化合物は、エチレングリコール、グリセロール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類とエビクロルヒドリンといったハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、レゾルシン・ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルメタン、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂、レゾルシン・ホルムアルデヒド樹脂等の多価フェノール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酢酸または過酸化水素等で不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物などである。
ブロックドポリイソシアネート化合物は、ポリイソシアネート化合物とブロック化剤との付加物である。これは、加熱によりブロック成分が遊離して活性なポリイソシアネート化合物を生ぜしめる。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスは、一般的にRFLと呼ばれるものであり、レゾルシンとホルムアルデヒドの初期縮合物とゴムラテックスとを混合熟成したものである。このレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスにおけるレゾルシンとホルムアルデヒドのモル比は、例えば1:0.1~1:8、好ましくは1:0.5~1:5である。ゴムラテックとして、好ましくはスチレンブタジエンビニルピリジンラテックス(VPラテックス)およびクロロプレンラテックスのブレンドを用いる。
ブロックドポリイソシアネート化合物としては、第一の処理剤として説明したものを用いることができる。第一の処理剤として用いたものと同じものを用いてもよく、異なるものを用いてもよい。
クロロフェノール化合物としては、パラクロルフェノールとレゾルシンとホルムアルデヒドとを共縮合した化合物であることが好ましい。クロロフェノール化合物として具体的には、下記の構造式で表される3核体((I)の化合物)、5核体((II)の化合物)または7核体((III)の化合物)を用いることが好ましい。クロロフェノール化合物は、これらの混合物であってもよい。
最終的にアラミド繊維コードに付着する第一の処理剤と第二の処理剤に由来する固形分(ポリエポキシド化合物、ブロクッドポリイソシアネート化合物、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス、ブロックドポリイソシアネート化合物およびクロロフェノール化合物)の合計量は、付着前の繊維コードの重量100重量%に対して、好ましくは1~6重量%、さらに好ましくは2~5重量%である。1重量%未満であると接着力が不足しやすく好ましくなく、6重量%を超えるとスカムが発生しやすく好ましくない。
本発明のゴムホース補強用アラミド繊維コードは、撚糸を行ったアラミド繊維コードを、先ずポリエポキシド化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第一の処理剤で処理し、次にレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス、ブロックドポリイソシアネート化合物およびクロロフェノール化合物を含む第二の処理剤で処理することによって製造することができる。
本発明のゴムホース補強用アラミド繊維コードは、公知の方法で筒状に編組してその内層と外層にゴム層を設けることで、繊維補強層を有する繊維補強ゴムホースとすることができる。この場合、内層と外層のゴム層は、いずれもエチレンプロピレンから構成されることが好ましい。
コード引抜接着力は、アラミド繊維コードとゴムとの引抜接着力を示すものである。接着処理された繊維コードを1cm幅のEPDM系未加硫ゴムに埋め込み、150℃の温度で30分間蒸気加硫行うことでテストピースを作成した。このテストピースにおいて繊維コードをゴムから引き抜くときに要した力(N)をコード引抜接着力とした。コード引抜接着力の評価に使用したゴムの配合比率は以下のとおりである。なお、EPDMはエチレンプロピレンジエンゴムを意味し、JSR(株)製EPを用いた。HAF-カーボンブラックとして旭カーボン(株)製#70を用いた。
EPDM 100重量部
HAF-カーボンブラック 120重量部
プロセスオイル(パラフィン系) 90重量部
亜鉛華 5重量部
ステアリン酸 3重量部
加硫剤 3.5重量部
加硫促進剤 2.5重量部
(2)編組時スカム脱落
接着処理された繊維コードを、ブレーダーを使用して編組した。このときのガイド付近に発生するディップカスの様子を目視で確認した。スカムがほとんど発生することなく良好な工程通過性を示した場合は○、スカムが発生しブレーダー装置に付着した場合は×として評価した。
(3)ホース膨張量
編組した繊維コード繊維補強層として用い、内層ゴム層と外層ゴム層との間に繊維補強層を有する繊維補強ゴムホースを作成した。この繊維補強ゴムホースのホース膨張量を、JIS D2601「自動車部品-非鉱油系液圧ブレーキホースアセンブリ」に準じて測定した。
第一の処理剤として、ポリエポキシド化合物(商品名:デナコールEX611;ナガセ化成(株)製、ソルビトールグリシジルエーテル)とブロックドポリイソシアネート化合物(商品名:エラストロンE-37;第一工業製薬(株)製)をポリエポキシド化合物とブロックドポリイソシアネート化合物との重量比率で20:80に混合したものを、これらの成分の合計が5重量%の濃度となる水分散液に調製した。
第一の処理剤による処理を行わないほかは実施例1と同様に実施した。熱処理後のアラミド繊維コードには処理剤の固形分が5重量%付着していた。評価結果を表1に示す。
第一の処理剤にポリブロックドイソシアネート化合物を含有させないほかは実施例1と同様に実施した。熱処理後のアラミド繊維コードには処理剤の固形分が5重量%付着していた。評価結果を表1に示す。
Claims (3)
- 内層ゴム層と外層ゴム層との間に繊維補強層を有する繊維補強ゴムホースの繊維補強層として用いられるゴムホース補強用アラミド繊維コードであって、撚糸を行ったアラミド繊維を、先ずポリエポキシド化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第一の処理剤で処理し、次にレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス、ブロックドポリイソシアネート化合物およびクロロフェノール化合物を含む第二の処理剤で処理することで製造され、第一の処理剤におけるポリエポキシド化合物とブロックドポリイソシアネート化合物との配合比率は、ポリエポキシド化合物1重量部に対してブロックドポリイソシアネート化合物が2~9重量部であることを特徴とする、自動車のブレーキホースとして用いられるゴムホース補強用アラミド繊維コード。
- 請求項1記載のゴムホース補強用アラミド繊維コードを含む補強層、その一方の面に設けられた第一のゴム層および該繊維コード補強層の他方の面に設けられた第二のゴム層を含み、かつ第一のゴム層および第二のゴム層がエチレンプロピレン系ゴムからなる、自動車のブレーキホースとして用いられる繊維補強ゴムホース。
- 内層ゴム層と外層ゴム層との間に繊維補強層を有する繊維補強ゴムホースの繊維補強層として用いられるゴムホース補強用アラミド繊維コードの製造方法であって、撚糸を行ったアラミド繊維コードを、先ずポリエポキシド化合物およびブロックドポリイソシアネート化合物を含む第一の処理剤で処理し、次にレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス、ブロックドポリイソシアネート化合物およびクロロフェノール化合物を含む第二の処理剤で処理し、第一の処理剤におけるポリエポキシド化合物とブロックドポリイソシアネート化合物との配合比率は、ポリエポキシド化合物1重量部に対してブロックドポリイソシアネート化合物が2~9重量部であることを特徴とする、自動車のブレーキホースとして用いられるゴムホース補強用アラミド繊維コードの製造方法。
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