JP7331408B2 - 粒状肥料の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、緩効性を有し、粒径が均一で農地へ均等散布が可能な粒状肥料および粒状肥料の製造方法に関する。
近年、農業従事者の高齢化が進み、施肥作業の体力的負担をできるだけ少なくするために、ブロードキャスター等を用いた機械施肥が主流になってきている。農地への機械散布時には、到達飛距離が長くて、均一に散布するため、粒形状で粒径が2~4mmに大部分が収まる粒状肥料が求められる。また、肥料としてのハンドリングのためには固結が無いことが重要であり、圧壊強度が2kgf以上であり、水分が1.0%以下であることが必要である。
従来使用している化学肥料の代表として窒素肥料が使用されているが、硫安、尿素、塩安及び硝安などは、すべて水に溶解しやすく、土壌中で植物に吸収される前に流出することが多く、作物の育成期間中に追肥が必要となるため、粒状肥料といえども必ずしも省人化に寄与しているとはいえない状況である。
そこで、粒状肥料の中でも近年緩効性肥料が注目されている。緩効性肥料は、農地に施肥された際に、従来の化学肥料のように施肥直後に溶出せずに、肥料効果がゆっくりと発現するため、植物に吸収される前に土壌中に栄養成分が流亡することがなく、肥料効率が高く、作物に対する追肥軽減のメリットもある。この緩効性肥料の従来技術としては、たとえば、有機質原料とジジアンジアミドとを共存させてジシアンジアミドの自然分解を防いだ肥料(特許文献1)や、オキサミドを原料にスルファチアゾールを配合する肥料(特許文献2)、ポリマーを主成分とする被覆材で被覆した肥料(特許文献3)などが知られている。
一方、粒形状の肥料の製造方法として、ブリケット法を採用して圧縮造粒機のポケットサイズ、造粒圧力、バリ厚みを最適化した技術が提案されている(特許文献4)。
特開2002-193695号公報 特開2013-155060号公報 特開2000-53482号公報 特開2013-177287号公報
特許文献1および特許文献2に記載された肥料は、パン造粒、ドラム造粒で製造されているため、肥料の粒がこわれやすく、施肥が困難となるなどの課題があった。また、特許文献3に記載された肥料もサイズが不均一であるなどの課題があった。
一方、特許文献4に記載された肥料は、圧縮造粒を行っているため、粒硬度が高く、形状が均一な肥料であるが、肥料成分は硫安のみであり、緩効性を得ることはできない。
本発明の課題は、緩効性を有し、粒径が均一で粒硬度が高く農地へ均等散布が可能な粒状肥料および粒状肥料の製造方法を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、窒素肥料成分にグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物を配合し、圧縮造粒することで、緩効性を有し、粒径均一かつ圧壊強度に優れた粒状肥料を得ることができることを見出した。
また、このように製造した粒状肥料は、圧壊強度に優れるため、保管中に粉化が生じにくく、粉体固結の発生を抑制する緩効性を有する粒状肥料の発明を創出するに到った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
)窒素肥料成分100重量部に対して、グアニジル基を含む化合物6.4~10重量部を混合し、6.0kN/cm以上30kN/cm以下の造粒圧力(線圧)で圧縮造粒して、粒硬度が2kgf以上5kgf以下である粒状肥料を得る粒状肥料の製造方法。
)窒素肥料成分が、粒径0.25mmを超え、2mm以下の粒子である上記()記載の粒状肥料の製造方法。
)グアニジル基を含む化合物が、粒径0.25mmを超え、2mm以下の粒子である上記()または()記載の粒状肥料の製造方法。
)得られる粒状肥料の粒径が、2mm以上4mm以下の二次粒子である上記()~()のいずれか記載の粒状肥料の製造方法。
)前記圧縮造粒は、一対のローラーを用いたブリケット方式である上記()~()のいずれかに記載の粒状肥料の製造方法。
)圧縮造粒を行って造粒物を得て、次いで整粒する上記()~()のいずれか記載の粒状肥料の製造方法。
)前記整粒は、回転式整粒方式である上記()に記載の粒状肥料の製造方法。
本発明によれば、窒素肥料成分に対して、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物を配合し、圧縮造粒することで、緩効性を有し、粒径均一かつ圧壊強度に優れた粒状肥料を得ることができる。
<窒素肥料成分>
本発明に用いる窒素肥料成分には特に制限が無く、公知のものも含めて植物の窒素分の栄養素として作用するものを用いることができる。窒素肥料成分の具体例としては、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硝酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素等が挙げられる。このうち硫酸アンモニウムは、粒状肥料としたときの溶出性や粒硬度の点で優れるので特に好ましい。硫酸アンモニウムは、例えば、コークス炉廃ガスを硫酸と接触させて得られる硫酸アンモニウム水溶液や、カプロラクタムの製造において、カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加して得られるカプロラクタムと硫酸アンモニウム混液を得た後に、カプロラクタム水溶液と硫酸アンモニウム水溶液を分離して得られる硫酸アンモニウム水溶液から、晶析により硫酸アンモニウムを結晶化した細粒結晶硫安として使用できる。結晶と母液の分離については、公知の方式で行うことができる。例えば、遠心分離によって液体から分離した後、乾燥することで得られる。細粒結晶硫安は、晶析時に過飽和度が高すぎると結晶が急激に凝集して母液を取り込み、粒径が大きく、水分が高く、不純物が多くなるため、圧力10.1kPaABS以上の圧力として晶析することで、結晶配向した、結晶性の高い細粒結晶硫安を得ることができる。結晶性の高さは、二次元X線回折を行うことで測定することができ、測定結果から求められる配向度が0.995以上であることが好ましい。さらに好ましくは配向度が0.997以上であり、配向度が1.0であれば、結晶性が最も高い場合であり、最も好ましい。また細粒結晶硫安が硫酸アンモニウムを含む割合は、好ましくは95重量%以上であり、98重量%以上であれば、結晶性の高い細粒結晶硫酸アンモニウムとなり、最も好ましい。なお、配向度とは、結晶の揃い具合を示す指標であり、二次元X線回折において、あおり角χ(°)に応じて得られた配向性ピークの半値幅(°)より下記式(1)で示される。
配向度=(180-配向性ピーク半値幅)/180 ・・・(1) 。
こうして得られる細粒結晶硫安はそのまま本発明の粒状肥料の構成要素として使用できる。この場合、硫酸アンモニウム水溶液母液由来の硫酸アンモニウム以外の成分は該細粒結晶硫安中、好ましく0.3重量%未満、更に好ましく0.2重量%未満である。
また細粒結晶硫安の粒径は、結晶同士が凝集して母液を取り込んでいない小さい粒径ほど固結性の改善につながるため、1.7mm以下が好ましい。より好ましくは、1.4mm以下であり、さらに好ましくは1.18mm以下である。細粒結晶硫安の粒径は、篩(目開き10メッシュ=1.7mm、12メッシュ=1.4mm、14メッシュ=1.18mm)で分級して求めることができる。
細粒結晶硫安中のアンモニア性窒素の含有率は、単位重量あたりの窒素源としての肥料効果の面から、20.5%以上が好ましく、21.0%以上がさらに好ましい。なお、細粒結晶硫安中のアンモニア性窒素の含有率は、公定肥料分析法に従いホルムアルデヒド法で測定した値である。
窒素肥料成分の水分率は、5重量%以下であることが好ましい。より好ましくは4重量%以下であり、さらに好ましくは3重量%以下である。窒素肥料成分が細粒結晶硫安の場合の水分率は、0.3重量%以下であることが好ましい。より好ましくは0.2重量%以下であり、さらに好ましくは0.1重量%以下であり、完全に水分を乾燥させた0%であれば最も好ましい。なお、窒素肥料成分の水分率は、公定肥料分析法に従い加熱減量法で測定した値である。本発明の粒状肥料は、窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物とが一体化して二次粒子を形成した粒状肥料である。すなわち、粒状肥料中には異なる粒子が顕微鏡を用いて観察することができる。
本発明の粒状肥料の製造に用いる窒素肥料成分は、粒径としては、2mm以下であるものが窒素肥料成分全体の70重量%以上であることが好ましい。より好ましくは1.7mm以下が70重量%以上であり、さらに好ましくは1.4mm以下が70重量%以上である。化合物の粒径および量は、篩(目開き10メッシュ=1.7mm、12メッシュ=1.4mm、14メッシュ=1.18mm)で分級して求めることができる。
本発明の粒状肥料の製造に用いる窒素肥料成分のかさ密度は、好ましくは0.90g/ml以上1.1g/ml以下である。搬送時の飛散を防止したり、造粒時の造粒収率を高くするために、かさ密度は0.93g/ml以上1.1g/ml以下であることがより好ましく、0.96g/ml以上1.1g/ml以下であることがさらに好ましい。なお、窒素肥料成分のかさ密度は、「JIS R 1628:1997 ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に準じて測定する。
<緩効性肥料成分>
本発明に用いる緩効性肥料成分としては、グアニジル基、チアゾール環、トリアゾール環を少なくとも1つを含む化合物には特に制限が無く、公知のものも含めて用いることができる。具体例としては、グアニジル基を有する化合物としては、ジシアンジアミド、1-アミジノ-2-チオウレアなどが挙げられ、チアゾール環を有する化合物としては、2-メルカプトベンゾチアゾールなどが挙げられる。また、トリアゾール環を有する化合物としては、2-アミノ-4-クロル-6-メチルピリミジンあるいは4-アミノ-1,2,4-トリアゾール塩酸塩などが挙げられる。
本発明に用いる緩効性肥料成分の水分率は、2重量%以下であることが好ましい。より好ましくは1重量%以下であり、更に好ましくは0.5重量%以下である。なお、水分率は、公定肥料分析法に従い加熱減量法で測定した値である。
本発明の粒状肥料の製造に用いる緩効性肥料成分は、その粒径としては、2mm以下であるものが緩効性肥料成分全体の70重量%以上であることが好ましい。より好ましくは1.7mm以下が70重量%以上であり、さらに好ましくは1.4mm以下が70重量%以上である。化合物の粒径および量は、篩(目開き10メッシュ=1.7mm、12メッシュ=1.4mm、14メッシュ=1.18mm)で分級して求めることができる。
本発明の粒状肥料の製造に用いる緩効性肥料成分のかさ密度は、好ましくは0.60g/ml以上0.90g/ml以下である。搬送時の飛散を防止したり、造粒時の造粒収率を高くするために、かさ密度は0.63g/ml以上0.90g/ml以下であることがより好ましく、0.66g/ml以上0.90g/ml以下であることがさらに好ましい。なお、緩効性肥料成分のかさ密度は、「JIS R 1628:1997 ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に準じて測定する。
<粒状肥料の製造方法>
混合機で窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物とを混合し、造粒、解砕、整粒、分級を順次行うことで肥料として好ましい硬度、かさ密度、および形状を有する粒状肥料を得ることができる。
なお、本発明の要旨を逸脱せず、また、目的を阻害しない限りにおいて、窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物以外の成分を用いることは差し支えない。たとえば、他の栄養素において肥効を持つ物質、結着剤などの保型性を改良する水、バインダー物質、無機フィラーや有機フィラーなどの添加剤が挙げられる。
窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物との混合方法は、均一に混合できれば混合機の種類に特に制限はなく、水平円筒型、∨型、ダブルコーン型等の容器回転型混合機や、リボン型、スクリュー型、パドル型等の容器固定型の混合機を使用することができるが、連続処理が可能であることからパドル型混合機が好ましく用いられる。混合時間は、2分以上15分以下が好ましく、さらに好ましくは5分以上10分以下である。混合時間が2分より短くなると、混合物中で窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物が均一に分散せず、粒状化した際に各粒子の偏りが生じる。混合時間が15分を超えて長くなると、肥料の連続製造においては混合機容量を大きくすることとなるため経済的に不利である。
窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物とを混合する際に存在せしめる水の量は窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物の重量の総和を100重量部としたとき、0.1~1.9重量部とすることが好ましい。より好ましくは0.3~1.7重量部である。存在せしめる水の量が0.3重量部より低くなると、造粒時に窒素肥料成分と、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物の結合力が不足して造粒収率の低下を招き、保管時に硬度が不足して粒状肥料が粉化しやすくなる。存在せしめる水の量が1.7重量部を超えて高くなると、混合物を混合機から排出して造粒機へ搬送する際に機器への付着量が多くなって収量が低下したり、粒状肥料の保管時に固結性が悪化する。
本発明におけるグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物添加量は、多く入れすぎると作物に対する障害が懸念され、また、圧縮造粒の際に造粒性が悪化するため重要である。グアニジル基化合物添加量は、窒素肥料成分100重量部に対し、0.1~10重量部、好ましくは0.5~7.0重量部である。また、チアゾール環化合物添加量は、窒素肥料成分100重量部に対し、0.1~3重量部、好ましくは0.5~1.5重量部である。また、トリアゾール環添加量は、窒素肥料成分100重量部に対し、0.1~1.0重量部、好ましくは0.1~0.5重量部である。
粒状肥料の成型方法としては、公知の方法が取り得るが、中でも圧縮造粒法が好ましい。圧縮造粒の方式は、タブレット方式、板状方式、ブリケット方式の何れを用いても問題ないが、タブレット方式では生産効率が低く粒状肥料の大量生産が困難であり、また板状方式では球形でバリの少ない粒状肥料を生産することが困難であるため、ブリケット方式を用いることが好ましい。ブリケット方式の圧縮造粒装置としては、例えばブリケッタ(登録商標)BSS型(新東工業製)などを好ましく用いることができる。
粒状肥料の原料を圧縮造粒装置に供給する方法は、特に制限はされないが、例えば原料をホッパーに充填し、ホッパーに付帯した搬送コンベアより造粒装置に直接供給するか、またはホッパー搬送コンベアからベルトコンベアやバケットコンベア等を経由して造粒装置へ供給することができる。
造粒圧力とは、造粒原料に加わる総荷重を有効幅で割った値(線圧)を示し、有効幅とは、造粒原料に荷重が加わる部分における、圧縮機側の長径を示す。例えば、タブレット方式であれば有効幅はタブレット部分の長径であり、ローラーを用いたブリケット方式であれば、有効幅はローラーにて造粒原料が圧縮されている部分の長さである。造粒圧力は、6.0kN/cm以上30.0kN/cm以下の範囲内にあることが好ましい。より好ましくは7.0kN/cm以上30.0kN/cm以下であり、さらに好ましくは8.0kN/cm以上30.0kN/cm以下である。造粒圧力が6.0kN/cm未満の場合、圧力不足のため、造粒原料の造粒自体が起こらない。造粒圧力が30.0kN/cmを超えて高くなると、過剰な圧力により得られた造粒物に亀裂が生じたり、圧縮造粒機に必要以上の荷重がかかるため、装置寿命が著しく低下する。
造粒ローラー回転数とは、ローラーを用いて圧縮造粒するブリケット方式および板状方式におけるローラーの回転速度であり、40rpm以上が好ましい。より好ましくは50rpm以上であり、さらに好ましくは60rpm以上である。造粒ローラー回転数が40rpm未満の場合、原料への造粒圧力が高くなって造粒物に亀裂が生じたり、生産量が低下する。
圧縮造粒機のバリ厚みとは、造粒原料に荷重が加わる部分における造粒原料の最短径を示す。例えばタブレット方式であれば、バリ厚みはタブレット部分の短径であり、ローラーを用いたブリケット方式であれば、バリ厚みは造粒して得た造粒物の板状部分の厚みの長さである。バリ厚みは、1.0mm以上2.5mm以下の範囲内にあることが好ましく、1.2mm以上2.0mm以下の範囲内にあることがより好ましい。バリ厚みが1.2mm未満であると、粒状肥料の圧壊強度・収量ともに低下する傾向にある。バリ厚みが2.0mmを超えて厚くなると、粒状肥料の形状が肥料散布に不適となることや、造粒した粒状肥料を、例えば解砕ボールを用いた振動篩で解砕し粒径を揃える場合、篩の目詰まりの原因となるため好ましくない。
バリが少なく、圧壊強度が強く、粉塵の発生も少なく、固結が起こりにくい粒状肥料を得るために、圧縮造粒機を用いて原料を造粒し、解砕機を用いて圧縮造粒後の造粒物を解砕し、球形整粒機を用いて造粒物を整粒し、分級機を用いて整粒の粒状肥料を分級することが好ましい。各工程における粒状肥料の輸送方法に制限はないが、自然落下・コンベア輸送・風送などを用いることが可能であり、コンベア輸送で造粒原料を造粒機に輸送した後、自然落下で解砕機・球形整粒機・分級機へ輸送する方法が好ましい。これら輸送機器を含めた機器の接粉部分については、粒状肥料に耐食性を持つ材質を用いることが好ましく、SUS316Lまたは樹脂を用いることが好ましい。
圧縮造粒機で造粒した粒状肥料は、解砕、整粒、分級を行うことで肥料として好ましい硬度、かさ密度、および形状を有する粒状肥料を得ることができる。
粒径の揃った粒状肥料を得るために、解砕機を用いて圧縮造粒後の粒状肥料を解砕することが好ましい。解砕機の種類に特に制限は無く、例えば、ジョークラッシャー・ロールクラッシャーなどの各種クラッシャーや、ローラーミル・カッティングミルなどの各種ミル、解砕メディアを添加した振動篩などが好ましく用いられる。また、これらの解砕機を組み合わせ用いることも可能である。
球形でバリの少ない粒状肥料を得るために、整粒機を用いて整粒することが好ましい。整粒機の種類に特に制限はなく、例えば高速転動方法、オシレータ式、架砕方式、遠心回転方式などが好ましく用いられ、高速転動方式の球形整粒機であるマルメライザー(登録商標:ダルトン製)を用いて粒状肥料を整粒することがより好ましい。
整粒機の処理時間は、0.2~5.0分の範囲内にあることが好ましく、0.3~3.0分の範囲内であることがより好ましい。整粒機の処理時間が上記を超えて低くなると、粒状肥料のバリ除去が不十分となる。整粒機の処理時間が上記を超えて高くなると、バリ以外の部分が切削される量が増加し、粒状肥料の収量が低下する。さらに整粒処理に必要な時間が多くなるため、単位時間あたりの粒状肥料収量も低下する。
整粒機の回転速度は、50~2000回転/分の範囲内にあることが好ましく、100~1500回転/分の範囲内にあることがより好ましい。整粒機の回転速度が上記の範囲より低くなると、粒状肥料のバリ除去が不十分となり、さらに整粒処理に必要な時間が多くなるため、単位時間あたりの粒状肥料収量も低下する。整粒機の回転速度が上記の範囲を超えて高くなると、騒音増加および機器寿命の低下といった問題が生ずる。
所定の粒径以上の粒状肥料を得るために、分級機を用いて粒状肥料を分級することが望ましい。乾式分級が可能なものであれば、分級機の種類に特に制限はないが、振動篩を用いることが好ましい。篩の目開きは、所定の粒径を得られる大きさであれば特に制限はないが、1.8~2.2mm、および3.8~4.2mmの目開きであることが好ましく、これら目開きを有する篩を組み合わせて粒径2.0~4.0mmの粒状肥料を得る分級方法が好ましい。
<粒状肥料>
粒状肥料の二次粒子形成後の粒硬度は、二次粒子形成から時間経過すると若干変動しうるが、使用時および運搬時を想定しての製品として流通される際の本発明の粒状肥料の粒硬度としては、2kgf以上であることが好ましい。粒硬度が2kgf未満であると、粒状肥料の保管中や運搬中にも粉化が発生しやすく、粉体を介しての粒状物どうしの固結の原因となる。また散布時には粒が崩壊して均一な施肥が困難となる。一方、上限としては特に制限が無いが、5kgf以下であることが好ましく、5kgfを越える場合は、土壌中での粒状肥料の溶解性が悪く、肥効が低下することがある。より好ましくは3kgf以上5kgf以下であり、さらに好ましくは3.5kgf以上4.5kgf以下である。なお、粒状肥料の粒硬度は木屋式硬度計で粒状肥料20粒の粒硬度を測定し、これら粒硬度の平均値を粒硬度とする。
圧縮造粒機を用いて原料を造粒し、解砕機を用いて圧縮造粒後の造粒物を解砕し、また球形整粒機を用いて造粒物を整粒し、分級機を用いて整粒後の粒状肥料を分級した際に得られる篩下の微粉は、原料中にリサイクルして混合し、原料として使用することができる。粒状肥料の収率は、造粒時および整粒時の粒状肥料の廃棄量をできるだけ削減するため、あるいは廃棄せずに造粒工程へリサイクルするためには60%以上であることが好ましい。より好ましくは65%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、完全に回収できた場合100%が最も好ましい。なお、収率とは、造粒機に投入する肥料組成物造粒原料の重量に対する造粒および整粒して得られた粒状肥料の重量割合であって、下記式(2)で示される。
収率=(粒状肥料の重量)/(造粒機に投入する造粒原料の重量)×100(%) ・・・(2) 。
粒状肥料の形状は、機械施肥をした場合に作物の葉などに付着せず土壌に落下するよう、粒状肥料の長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)が1.0以上1.4以下であることが好ましく、1.0以上1.3以下であることがより好ましく、1.0以上1.2以下であることがさらに好ましい。球形状ではない、例えば平らな形状の圧片肥料であると、葉に付着して落下せず葉やけを生じたり、土への栄養分供給が乏しくなることがある。
粒状肥料の粒径は、機械施肥において、肥料を均一に散布するため、2mm以上4mm以下のものが全肥料の90重量%以上を占めることが好ましい。より好ましくは2.5mm以上3.5mm以下のものが90重量%以上を占めることである。所定の粒径の粒状肥料は、分級機を用いて分級することで得ることができ、乾式分級が好ましく採用できる。乾式分級機の種類には特に制限はないが、振動篩を用いることが好ましい。篩の目開きは、所定の粒径を得られる大きさであれば特に制限はないが、1.8~2.2mm、および3.8~4.2mmの目開きであることが好ましく、これら目開きを有する篩を組み合わせて粒径2.0~4.0mmの粒状肥料を得る分級方法が好ましい。篩(目開き5メッシュ=4.0mm、6メッシュ=3.5mm、8メッシュ=2.5mm、9メッシュ=2.0mm)で分級して求めることができる。
粒状肥料の水分率は、長期保管中の粒状肥料どうしの固結を防止する観点で2.0重量%以下であることが好ましい。より好ましくは1.8重量%以下であり、さらに好ましくは1.5重量%以下である。また、下限としては0.3重量%以上であることが好ましい。粒状肥料の水分率が2.0重量%を超える場合は、粒状肥料の保管時に、粒状肥料どうしの接触部分で肥料成分が溶出・固化して粒同士が架橋し、凝集して取扱い性が悪化することがある。水分率が0.3重量%未満となる場合は、粒状肥料中に含まれる原料同士の結合力が低下して粒状肥料の硬度の低下に繋がることがある。粒状肥料の水分率は、公定肥料分析法に従い加熱減量法で測定した値である。
固結とは、粒どうしが接触部分で架橋して塊になる現象であり、機械散布する際に塊により散布がしにくかったり、できなかったりして施肥効率が低下するだけでなく、均一に散布できなかった場合には作物の生育にも悪影響を与える。粒状肥料の固結率は、取り扱いを容易にするため20%以下であることが好ましい。固結率が20%を超えるとホッパーからの流動性が低下し、機械施肥が困難になることがある。より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、全く固結がない0%が最も好ましい。なお、固結率はポリ製小袋に充填した粒状肥料750gを上部と下部にダミーの肥料袋1袋(1袋あたり750g)ずつ置き、その上部に木製板を置いて堆積し、60kgの錘で一ヶ月荷重後の粒状肥料のうち固結部分重量(g)の割合(%)であり、下記式(3)で示される。
固結率(重量 %)=(一ヶ月間荷重後の固結部分重量)/750×100 ・・・(3) 。
粒状肥料の固結強度は、1kg/cm以下であることが好ましい。1kg/cm以上であると、例えば固結部分がフレコンから流れ出にくいため、ホッパーに投入することが容易ではない、あるいは機械施肥において生育させる植物まで粒状肥料を均一に散布できないなど、取り扱い性に劣る。より好ましくは固結強度が0.5kg/cm以下であり、さらに好ましくは0.2kg/cm以下である。最も好ましく、かつ理想的には、0kg/cmである。なお、固結強度は、山中式土壌硬度計を使用して針部を肥料上面に対して垂直に圧入して測定した値である。
粒状肥料の粉化率は、保管時の固結を防ぐため1.0%以下であることが好ましい。粉化率が1.0%を越えると粉化した粉体を介して保管時に固結しやすく、さらには機械施肥において生育させる植物まで粒状肥料をまくことができないなど、取り扱い性に劣る。より好ましくは0.5%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下であり、全く粉化がない0%が最も好ましい。なお、粉化率は粒状肥料750gに対して60kgの錘で一ヶ月荷重後の粒状肥料のうち、目開き2mmの篩いを使用して得た粒径が2mm以下のものの割合(%)であり、下記式(4)で示される。
粉化率(重量 %)=(粒径2mm以下のものの重量(g))/750×100 ・・・(4) 。
造粒、解砕、整粒、および分級して粒状肥料を製造した後、粒状肥料に、固結防止材としてタルク、クレー、カオリン、ベントナイト、ポリエチレングリコール、ステアリン酸金属塩、ラウリル硫酸金属塩、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、テレフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、およびフッ化リチウムから選ばれる少なくとも一種を粒状肥料表面に被覆して粒状肥料とすることができる。被覆する方法としては、造粒原料を造粒および整粒し、分級機で分級した後に均一に被覆されていれば、分級機出口で添加してもよいし、ミキサーを用いて混合し被覆してもよいし、ベルトコンベア上で吹き付けを行って被覆してもよい。
粒状肥料に対する固結防止材の添加量は、粒状肥料100重量部に対して0.05~3.0重量部が好ましく、装置への付着によるロスや、単位重量当たりの肥料成分含有量への影響がなく、肥料として溶解性がよい肥料を得るためには粒状肥料組成物100重量部に対して0.1~0.3重量部がより好ましい。装置への付着ロスをより少なくするためには、粒状肥料100重量部に対して0.15~0.25重量部がさらに好ましい。
本発明の粒状肥料を用いるにおいては、単肥、あるいは他の粒状肥料をドライブレンドして得られるバルクブレンド肥料のいずれとしても良い。この混合肥料は任意の割合でブレンドできるため、作物毎に対応したブレンドを行うことができる。
粒状肥料の窒素成分の溶出率は、300mlの栓付き三角フラスコに粒状肥料12.5gを入れ、イオン交換水250gを添加して浸漬し、栓をして25℃の恒温槽に静置し、一定期間静置したのち、溶液を化学濾紙で濾過して水中に溶出した窒素成分をケルダール法で定量し、また、初期の量を測定し、下記式(5)から求められる。
窒素肥料成分の溶出割合=
(水中に溶出したN分の量)/(粒状肥料12.5gに含まれるN分の量) ・・・(5) 。
粒状肥料の溶出時間は、配合する緩効性肥料成分が多くなるほど遅くなる。追肥量を削減するためにも7日後の窒素溶出率が10%以上90%以下であることが好ましい。より好ましくは30日後の窒素溶出率が10%以上90%以下であり、さらに好ましくは60日後の窒素溶出率が10%以上90%以下である。
本発明の態様を更に具体的に実施例を用いて以下に説明するが、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
物性等の測定方法は以下のとおりである。また、特に断らない限り10サンプルについて測定し、算術平均として求めた。
(1)窒素肥料成分とグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物の成型前の粒径分布
窒素肥料成分と粒子Bの成型前段階での粒径は、目開き9メッシュ=2.0mm、および目開き60メッシュ=0.25mmの篩を使用して、下記式により0.25mmを超え2mm以下の粒径の割合を算出した。
0.25mmを超え2mm以下の粒径粒子の割合(重量%)=(粒径0.25mmを超え2mm以下の粒子の重量)/(篩分け前の粒子の重量)×100 。
(2)窒素肥料成分とグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物の成形前の水分率
窒素肥料成分とグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物の成形前での水分率は、加熱前の窒素肥料成分またはグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物を130℃で3時間加熱後に重量測定を行った際の加熱減量により求めた値であり、下記式で算出した。
窒素肥料成分の水分率(重量%)=((加熱前の窒素肥料成分重量)-(加熱後の窒素肥料成分重量))/(加熱前の窒素肥料成分重量)×100 。
グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物の水分率(重量%)=((加熱前のグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物重量)-(加熱後のグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物重量))/(加熱前のグアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物重量)×100 。
(3)粒状肥料の収率
粒状肥料の収率は、造粒機に投入する造粒原料の重量に対する造粒および整粒して得られた粒状肥料の重量であって、下記式により算出した。
粒状肥料の収率(%)=(粒状肥料の重量)/(造粒原料の重量)×100 。
(4)粒状肥料の二次粒子形成後の粒硬度
粒状肥料の二次粒子形成後(成型後)の粒硬度は、木屋式硬度計で造粒物20粒の粒硬度を測定し、これら粒硬度の平均を求めたものである。
(5)粒状肥料の粒径
粒状肥料の粒径は、目開き9メッシュ=2.0mmおよび5メッシュ=4.0mmの篩を使用して、下記式により2mm以上4mm以下の粒径のものの割合を算出した。
粒状肥料の2mm以上4mm以下のものの割合(重量%)=(粒径2mm以上4mm以下の粒径のものの重量)/(篩分け前の粒状肥料の重量)×100 。
(6)粒状肥料の長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)
粒状肥料の長軸径と短軸径の比は、粒状肥料の写真撮影画像を使用して画像解析式の粒径測定装置により長軸径と短軸径を測定し、長軸径を短軸径で割ることで算出した。
(7)粒状肥料の水分率
粒状肥料の水分率は、加熱前の粒状肥料を130℃で3時間加熱後に重量測定を行った際の加熱減量により求めた値であり、下記式で算出した。
粒状肥料の水分率(重量%)=((加熱前の粒状肥料重量)-(加熱後の粒状肥料重量))/(加熱前の粒状肥料重量)×100 。
(8)粒状肥料の固結率
粒状肥料の固結率は、ポリ製小袋に充填した粒状肥料750gを上部と下部にダミーの肥料袋1袋ずつ置き、その上部に木製板を置いて堆積し、60kgの錘で一ヶ月間荷重後の粒状肥料のうち固結部分重量(g)の割合であり、下記式で算出した。
粒状肥料の固結率(%)= (一ヶ月間荷重後の固結部分重量)/750×100 。
(9)粒状肥料の固結強度
粒状肥料の固結強度は、山中式土壌硬度計を使用して針部を肥料上面に対して垂直に圧入して測定した値である。
(10)粒状肥料の粉化率
粒状肥料の粉化率は、粒状肥料750gに対して60kgの錘で一ヶ月間荷重後の粒状肥料組成物のうち、目開き2mmの篩を使用して得た粒径が2mm以下のものの割合であり、下記式で算出した。
粒状肥料の粉化率(%)= (粒径2mm以下のものの重量(g))/750×100 。
比較例4
粒径0.25mmを超え2mm以下の粒子である硫酸アンモニウム粒子100重量部と
粒径0.25mmを超え2mm以下の粒子であるジシアンジアミド1.0重量部を、混合
機としてダウ・ミキサー(株式会社新日南製)に供給して10分間混合した。次いで、該
混合物を造粒機としてブリケッタ(登録商標)BSS-IV型(新東工業製)に供給し、
ロール有効幅を185mm、ロール圧力を8.3kN/cm、バリ厚みを1.70mm、
ポケットサイズをΦ3.9mm×0.94mm、ローラー回転数50rpmで造粒を行い
、粗砕機にて破砕した後、目開き6.7mm、5.2mm、2.2mmの篩いを有する3
段解砕篩機(興和工業所製)に投入し、解砕メディア(ナイロン硬球ボール上段200個
、下段200個)で解砕した。続いて、該造粒物をマルメライザー(ダルトン製)に篩上
解砕品を投入し、回転数225rpmで20秒間整粒処理を行った後に、目開き2mmの
篩を有する円形振動篩機(ダルトン製)に供給して分級を行い、目開き2mmの篩上品を
粒状肥料として回収した。粒状肥料の収率は60%、2mm以上4mm以下粒径の割合は
96%で、長軸径は3.9mm、短軸径は3.52mmであって、長軸径と短軸径の比(
長軸径/短軸径)は1.11。また、粒状肥料の粒硬度は3.0kgf、水分率は0.3
重量%、固結テスト1ヶ月後の固結率は0%、固結強度は0kg/cm、粉化率は0.
2%であった。
比較例5
ジシアンジアミドの混合量を3.2重量部とする以外は比較例4と同様の方法で粒状肥
料を作製した。その結果、粒状肥料の収率は63%、2mm以上4mm以下粒径の割合は
95%で、長軸径は3.9mm、短軸径は3.54mmであって、長軸径と短軸径の比(
長軸径/短軸径)は1.10。また、粒状肥料の粒硬度は3.0kgf、水分率は0.3
重量%、固結テスト1ヶ月後の固結率は0%、固結強度は0kg/cm、粉化率は0.
2%であった。
(実施例3)
ジシアンジアミドの混合量を6.4重量部とする以外は比較例4と同様の方法で粒状肥
料を作製した。その結果、粒状肥料の収率は63%、2mm以上4mm以下粒径の割合は
95%で、長軸径は3.9mm、短軸径は3.55mmであって、長軸径と短軸径の比(
長軸径/短軸径)は1.10。また、粒状肥料の粒硬度は2.7kgf、水分率は0.3
重量%、固結テスト1ヶ月後の固結率は0%、固結強度は0kg/cm2、粉化率は0.
1%であった。
比較例6
緩効性肥料成分を1-アミジノ-2-チオウレアに変更し、その混合量を0.5重量部
とする以外は比較例4と同様の方法で粒状肥料を作製した。その結果、粒状肥料の収率は
62%、2mm以上4mm以下粒径の割合は96%で、長軸径は3.92mm、短軸径は
3.53mmであって、長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)は1.11。また、粒状
肥料の粒硬度は2.2kgf、水分率は0.3重量%、固結テスト1ヶ月後の固結率は0
%、固結強度は0kg/cm2、粉化率は0.1%であった。
比較例7
緩効性肥料成分を2-メルカプトベンゾチアゾールに変更し、その混合量を1.5重量
部とする以外は比較例4と同様の方法で粒状肥料を作製した。その結果、粒状肥料の収率
は62%、2mm以上4mm以下粒径の割合は95%で、長軸径は3.91mm、短軸径
は3.5mmであって、長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)は1.12。また、粒状
肥料の粒硬度は2.8kgf、水分率は0.3重量%、固結テスト1ヶ月後の固結率は0
%、固結強度は0kg/cm2、粉化率は0.2%であった。
比較例8
緩効性肥料成分を2-アミノ-4-クロル-メチルピリミジンに変更し、その混合量を
0.5重量部とする以外は比較例4と同様の方法で粒状肥料を作製した。その結果、粒状
肥料の収率は60%、2mm以上4mm以下粒径の割合は96%で、長軸径は3.91m
m、短軸径は3.52mmであって、長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)は1.12
。また、粒状肥料の粒硬度は2.5kgf、水分率は0.3重量%、固結テスト1ヶ月後
の固結率は0%、固結強度は0kg/cm2、粉化率は0.2%であった。
(比較例1)
粒径0.25mmを超え2mm以下の粒子である硫酸アンモニウム粒子100重量部の
みで実施した以外は、比較例4と同様にして粒状肥料を作製した。
粒状肥料の収率は60%、2mm以上4mm以下粒径の割合は95%で、長軸径は3.9mm、短軸径は3.55mmであって、長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)は1.10。また、粒状肥料の粒硬度は3.1kgf、水分率は0.3重量%、固結テスト1ヶ月後の固結率は2.4%、固結強度は1.2kg/cm、粉化率は0.5%であった。
(比較例2)
ジシアンジアミドの混合量を15.0重量部とする以外は比較例4と同様の方法で粒状
肥料を作製した。その結果、
粒状肥料の収率は59%、2mm以上4mm以下粒径の割合は95%で、長軸径は3.
9mm、短軸径は3.53mmであって、長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)は1.
10。また、粒状肥料の粒硬度は1.7kgf、水分率は0.3重量%、固結テスト1ヶ
月後の固結率は1.2%、固結強度は1.5kg/cm2、粉化率は1.1%であった。
(比較例3)
粒径0.25mmを超え2mm以下の粒子である硫酸アンモニウム粒子100重量部と粒径0.25mmを超え2mm以下の粒子であるジシアンジアミド6.4重量部を、混合機としてダウ・ミキサー(株式会社新日南製)に供給して10分間混合した。次いで、該混合物を造粒機としてパン造粒機にいれ、充分混合し、25%濃度の糖蜜水を滴下しながら造粒した。続いて、該造粒物を105℃の棚段式乾燥機に4時間入れた後、室温まで冷却した。目開き2mmの篩を有する円形振動篩機(ダルトン製)に供給して分級を行い、目開き2mmの篩上品を粒状肥料として回収した。粒状肥料の収率は55%、2mm以上4mm以下粒径の割合は66%で、長軸径は3.82mm、短軸径は3.68mmであって、長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)は1.04。また、粒状肥料の粒硬度は1.2kgf、水分率は1.8重量%、固結テスト1ヶ月後の固結率は3.2%、固結強度は2.8kg/cm、粉化率は6.2%であった。
物性をまとめた結果を表1に示した。
Figure 0007331408000001
(溶出試験)
溶出試験は実施例および比較例1~8で作製した粒状肥料をそれぞれ12.5g
採取し、250gのイオン交換水に投入し、25℃の恒温槽内に保管して所定時間経過後
に取り出し、水中に溶出した窒素成分を定量して求めた。窒素成分はケルダール法で測定
し、溶出率を算出した。溶出試験結果を表2に示した。
Figure 0007331408000002
1日後の窒素成分の溶出率は、いずれの粒状肥料においても同等であったが、比較例1の粒状肥料は、7日経過時の窒素成分の溶出率が98%に達し、緩効性が認められなかった。
(背負い式動力散布機による散布試験)
動力散布機による肥料散布試験を実施した。背負い式動力散布機(商品名:DMC80
0 共立(株)製)のホッパーに実施例および比較例1~8の粒状肥料を20kg
入れ、エンジンスロットル:5、開口部開度:7にて肥料粒を散布した。
(評価基準)
背負い式動力散布機から散布された粒状肥料の散布距離を測定し、それぞれの飛距離に到達した粒状肥料の割合を算出した。散布試験評価結果を表3に示した。
Figure 0007331408000003
実施例1~5および比較例1の粒状肥料は、飛距離も十分で、散布距離のばらつきが小さい結果であったが、比較例2の粒状肥料は、飛距離が短く、比較例3の粒状肥料は、飛距離が短く、散布距離のばらつきも大きい結果であった。
以上に説明されるとおり、窒素肥料成分100重量部に対して、グアニジル基、チアゾール環、およびトリアゾール環から選ばれる少なくとも1種を含む化合物を配合し、圧縮造粒することで、緩効性を有し、かつ粒径が均一で農地へ均一散布が可能な粒状肥料を得ることができることが判る。
本発明による粒状肥料は、粒径が均一であり、かつ緩効性成分を含有するため、農作物に対する機械施肥において散布ムラが発生せずに均一施肥が可能であり、施肥された土壌において緩効性の肥料効果を発揮する。この施肥効果により土壌に対する肥料栄養分流亡を回避して作物に対して無駄なく効率良く肥料栄養成分を吸収させることが可能となる。また、用途・目的に応じて粒状肥料を他の粒状肥料と任意の割合でドライブレンドしたバルクブレンド肥料にできるため、米、野菜、果物等の生育に使用することができる。

Claims (7)

  1. 窒素肥料成分100重量部に対して、グアニジル基を含む化合物6.4~10重量部を混合し、6.0kN/cm以上30kN/cm以下の造粒圧力(線圧)で圧縮造粒して、粒硬度が2kgf以上5kgf以下である粒状肥料を得る粒状肥料の製造方法。
  2. 窒素肥料成分が、粒径0.25mmを超え、2mm以下の粒子である請求項記載の粒状肥料の製造方法。
  3. グアニジル基を含む化合物が、粒径0.25mmを超え、2mm以下の粒子である請求項または記載の粒状肥料の製造方法。
  4. 得られる粒状肥料の粒径が、2mm以上4mm以下の二次粒子である請求項のいずれか記載の粒状肥料の製造方法。
  5. 前記圧縮造粒は、一対のローラーを用いたブリケット方式である請求項のいずれかに記載の粒状肥料の製造方法。
  6. 圧縮造粒を行って造粒物を得て、次いで整粒することを特徴とする請求項のいずれか記載の粒状肥料の製造方法。
  7. 前記整粒は、回転式整粒方式であることを特徴とする請求項に記載の粒状肥料の製造方法。
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