JP7180444B2 - 粒状硫安の製造方法および粒状窒素肥料の製造方法 - Google Patents

粒状硫安の製造方法および粒状窒素肥料の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、細粒硫安の圧縮造粒において造粒収率が高く、圧壊強度に優れた粒状硫安の製造方法および粒状硫安を整粒する粒状窒素肥料の製造方法に関する。
硫安(硫酸アンモニウム)は、工業的にコークス炉廃ガスを硫酸と接触させることで製造されるか、あるいはカプロラクタムの生成過程において、カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加して得られる硫安水溶液を晶析することで製造される。その用途としては、硫安中に肥料3栄養成分(窒素、リン、カリウム)の1つである窒素源を含むため、作物の葉の生育を目的として粉状あるいは粒形状肥料として利用される。特に、粒形状の硫安は、大規模農家にて広大な農地での機械施肥に有用であり、ブロードキャスター等を用いて施肥される。
粒形状の硫安は、農地への機械散布時に到達飛距離が長くて、均一に散布するため、粒形状で粒径が2~4mmに大部分が収まることが望まれる。また、肥料としてのハンドリングのためには固結が無いことが重要であり、圧壊強度が2kgf以上であり、水分が1.0%以下であることが必要である。
粒形状の硫安の製法としては、硫安晶析時の晶析時間を長くすることで粒径2mm以上に結晶成長させる方法や、粒径1.7mm以下の細粒硫安をローラーやブリケッタを用いて圧縮造粒する方法が提案されている(特許文献1~4)。中でも圧縮造粒では、造粒時の粒状硫安が高収率で、かつ圧壊強度(粒硬度)が高い粒状物を得ることが肥料としての生産性向上や高品質の要であり、従来技術では圧縮造粒条件を最適化したり、製造後の保管にて固結を生じないよう固結防止材の添加が実施されている。しかしながら、肥料としての粒形状の硫安の生産性と固結抑制の両方を満足する細粒硫安品質の制御については未だに成し遂げられていないのが現状である。
特許文献1では、粒状窒素肥料の固結防止のため配向度が0.995以上の細粒結晶硫安を造粒する技術が提案されている。特許文献2では、粒形状の窒素肥料を作製する方法としてブリケット法を採用して圧縮造粒機のポケットサイズ、造粒圧力、バリ厚みを最適化した技術が提案されている。特許文献3では、ローラコンパクタを用いて硫安圧縮物を得る方法およびプロセスが提案されている。特許文献4では、粒状窒素肥料の固結防止のため、圧縮前の細粒硫安に対してあらかじめ固結防止材を添加した混合原料を圧縮する製造方法が提案されている。
特開2017-132659号公報 特開2013-177287号公報 特開2008-127238号公報 特開2013-245147号公報
本発明の課題は、従来技術の問題点を解決し、細粒硫安の圧縮造粒時における粒状硫安の造粒収率が高く、圧壊強度に優れた粒状窒素肥料の製造方法を提供することである。
しかしながら、特許文献1~4に記載される従来技術では、圧縮造粒の収率向上や、圧縮造粒物の硬度を高めるため、造粒による生産性や、硬度に代表される粒状窒素肥料の物性が低くなるのが現状である。また、圧縮造粒後の硬度が低いと、保管中に粉化が発生して、粉体を介した固結が発生しやすくなる。特許文献1では、粒状窒素肥料の原料である細粒結晶硫安の配向度を規定することで固結を抑制しているが、圧縮造粒時の造粒収率向上への寄与はなく、収率は60%以下と低いのが現状である。特許文献2では、細粒硫安の圧縮造粒におけるブリケット装置条件を最適化したものであり、装置条件のみの最適化では造粒収率や圧縮物の物性制御は不十分である。特許文献3では、ローラコンパクタを採用した造粒プロセスにより圧縮物を製造しているが、造粒収率や圧縮物の物性の点で不十分である。さらに当該技術で得られる圧縮物は粒形状でないため、保管中に粉化しやすく、固結が発生しやすい。特許文献4では、細粒硫安に固結防止材を添加してロールによるシート状加圧成形することで粒状窒素肥料の固結を防止しているが、造粒収率や圧縮物の物性の点で十分とはいえない。
以上のように、公知の技術では、圧縮造粒時の粒状硫安の造粒収率が低くて生産効率が悪く、得られた粒状窒素肥料の硬度が低くて物性として十分なものでは無かった。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、細粒硫安として水分率が0.15%以上0.5%以下であり、かつJIS K7373(2006)に従って算出した黄色度が17以上30以下である細粒硫安を圧縮造粒することで、圧縮造粒後の粒状硫安の造粒収率が高く、圧壊強度に優れた粒状窒素肥料を得ることができることを見出した。また、このような細粒硫安を原料とする粒状窒素肥料は、圧壊強度に優れるため、保管中に粉化が生じにくく、粉体固結の発生を抑制する粒状窒素肥料の発明を創出するに到った。
また、本発明の粒状硫安の製造方法は、水分率が0.15%以上0.5%以下であり、かつJIS K7373(2006)に従って算出した黄色度が17以上30以下である細粒硫安を成形して粒径2mm以上4mm以下の粒状硫安を形成する製造方法であり、当該成形では、圧縮造粒を行って粒状物を得て、次いで整粒することで粒状窒素肥料を得る。
本発明は、以下のとおりである。
(1)水分率が0.15%以上0.5%以下であり、かつJIS K7373(2006)に従って算出した黄色度が17以上30以下である細粒硫安を圧縮造粒する粒状硫安の製造方法であって、前記細粒硫安が、カプロラクタム合成工程由来で得られる硫安水溶液を晶析することで得られる細粒硫安である粒状硫安の製造方法。
(2)前記細粒硫安が、粒径が0.71mm以上1.7mm未満の割合が75%以上の粒径分布を有する上記(1)に記載の粒状硫安の製造方法。
(3)前記細粒硫安のアンモニア性窒素が20.5%以上である上記(1)または(2)に記載の粒状硫安の製造方法。
)一対のローラーを用いたブリケット方式で圧縮する上記(1)~()いずれかに記載の粒状硫安の製造方法。
)上記(1)~()いずれかに記載の粒状硫安の製造方法により粒状硫安を得、次いで整粒する粒状窒素肥料の製造方法。
)得られる粒状窒素肥料の粒径が、2mm以上4mm以下の割合が90重量%以上の粒径分布を有する上記()に記載の粒状窒素肥料の製造方法。
)得られる粒状窒素肥料の圧壊強度が2.0kgf以上である上記()または()に記載の粒状窒素肥料の製造方法。
本発明によれば、適度な水分、および黄色度を有する細粒硫安を圧縮造粒することで、細粒硫安の圧縮造粒時に細粒硫安どうしの接着性が高いため、粒状硫安の造粒収率が高く、本発明で得られる粒状硫安を整粒して得られる粒状窒素肥料は圧壊強度が高く、固結しにくい粒状窒素肥料とすることができる。
<細粒硫安>
細粒硫安は、カプロラクタムの製造において、カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加してカプロラクタムと硫酸アンモニウムを得た後に、カプロラクタム水溶液と硫安水溶液を分離して得られる硫安水溶液や、コークス炉ガスを硫酸と接触させて得られる硫安水溶液から、晶析により結晶化されたものであり、結晶と母液の分離については、公知の方式で行われる。例えば、遠心によって液体から分離した後、場合によっては、結晶を乾燥することで得られる。細粒硫安の由来はカプロラクタムあるいはコークス炉ガスどちらでも構わないが、カプロラクタム由来の細粒硫安は、晶析における結晶成長過程で、粒状硫安を得る際にバインダの役割を有する水分や粘性のラクタム微量成分を結晶中に取り込むため好ましい。
細粒硫安の晶析は、晶析装置としてドラフトチューブ&バッフル(DTB)型あるいはダブルプロペラ(DP)型と呼ばれる方式がある。DTB型は、硫安水溶液を過飽和度の高い硫安水溶液蒸発面に効率良く送り込むことで結晶核を多く発生させて粒径の小さな硫安結晶を多数得るのに有利である。一方で、DP型は、DTB型に比較して撹拌速度が小さくて撹拌速度に依存する硫安水溶液の過飽和度も小さくなるため、硫安結晶核の数が少なくなり、硫安結晶1個あたりの結晶サイズを大きくするのに有利である。粒状窒素肥料を圧縮造粒にて得るためには、晶析装置としてDTB型、DP型どちらでも構わない。
細粒硫安の過飽和度は、晶析缶への硫安水溶液循環量に対する結晶生産量(kg/m)で表され、0.65kg/m以上1.20kg/m以下の範囲であることが好ましい。細粒硫安の過飽和度は、0.65kg/m未満であると硫安結晶が生成しにくく、1.20kg/mを超えると硫安の微小結晶が多くなり、粒状窒素肥料の圧縮で必要となる水分やラクタム微量成分が不足して造粒収率が低くなる。0.70kg/m以上1.10kg/m以下がより好ましく、0.80kg/m以上1.00kg/m未満が最も好ましい。この細粒硫安の過飽和度は、晶析装置における撹拌速度の上昇とともに小さくなり、撹拌速度の低下とともに過飽和度が大きくなる傾向である。晶析装置における撹拌速度は、羽根先端速度(m/s)として表され、10.0m/s以上20.0m/s以下であることが好ましい。11.0m/s以上17.0m/s以下であることがより好ましく、12.0m/s以上16.0m/s以下であることが最も好ましい。
細粒硫安を圧縮造粒することで、粒状硫安の造粒収率が高く、整粒後の圧壊強度(硬度)の高い粒状窒素肥料を得るためには、原料である細粒硫安の水分率が0.15%以上0.5%以下であり、かつJIS K7373(2006)に従って算出した黄色度が17以上30以下である必要がある。水分率あるいは黄色度のいずれか一方のみが上記範囲を満たす場合には、目的とする粒状硫安が得られないため、水分率と黄色度の両方が上記範囲を満たす必要がある。
原料の細粒硫安の水分率が、0.15%未満の場合、圧縮造粒の際にバインダの役割を有する水分が不足するため粒状硫安の造粒収率が低くなり、整粒後の粒状窒素肥料の圧壊強度が低くなる。一方、水分率が0.5%を超えると粒状窒素肥料の水分移動が多くなり、固結の発生や肥料としてのハンドリング性が悪化する原因となり好ましくない。0.18%以上0.4%以下であることがより好ましく、0.2%以上0.35%以下が最も好ましい。細粒硫安の晶析では、晶析時の撹拌速度を小さくして硫安水溶液の過飽和度を大きくすると、硫安の結晶核が多量に生成する。その結果、細粒硫安結晶1個あたりの粒径は小さくなり、硫安結晶中に取り込む水分量が少なくなるため水分率は低くなる傾向である。一方、晶析時の撹拌速度を大きくすると硫安水溶液の過飽和度は小さくなって硫安結晶核生成量は少なくなる。その結果、細粒硫安結晶は結晶成長しやすく粒径が大きくなり、硫安結晶中に取り込む水分量は多くなるため水分率は高くなる傾向である。なお、細粒硫安の水分率は、公定肥料分析法に従い加熱減量法で測定した値である。
細粒硫安の水分率は、上記の晶析時撹拌速度の変更による硫安の過飽和度を制御により制御が可能な他、晶析終了後の加熱乾燥により低水分化することも可能である。乾燥機の種類について特に制限はなく、回転式乾燥機、流動層乾燥機、振動乾燥機など熱風受熱式乾燥機や、攪拌乾燥機、赤外線加熱乾燥機など伝導伝熱型乾燥機が用いられるが、乾燥機の導入コストが低いことや、乾燥効率を考慮して振動乾燥機が好ましく用いられる。乾燥温度は、60~150℃が好ましく、さらに好ましくは、100~130℃である。乾燥温度が上記を超えて低くなると、乾燥による水分低減が不十分となり、乾燥時間を長時間要して生産性の悪化を招き、乾燥温度が150℃を超えて高くなると、細粒硫安の分解により、アンモニア性窒素濃度の低下を引き起こす。乾燥時間は、0.5~10分が好ましく、さらに好ましくは、1~5分である。乾燥時間が上記を超えて短くなると、乾燥効果が低く、水分低減が不十分となり、乾燥時間が上記を超えて長くなると、長時間加熱により生産性が低下する。
細粒硫安の黄色度は、硫安水溶液中に含まれる着色性のラクタム微量成分を定量したものであり、微量成分としては、メチルバレロラクタム、メチルカプロラクタム、ビシクロラクタム、アジピミド等が100ppm以下で含まれる。このラクタム微量成分は色調を有する他、粘性も有するため細粒硫安を圧縮造粒して粒状硫安を得る際には水分と同様バインダとしての役割を有する。黄色度は、19以上27以下であることがより好ましく、21以上25以下であることが最も好ましい。黄色度が17未満の場合、細粒硫安の圧縮造粒にてバインダの役割を有するラクタム微量成分が不足して粒状硫安の造粒収率および整粒後の粒状窒素肥料の圧壊強度が低くなる。一方、黄色度が30を超えると、細粒硫安に含まれるラクタム微量成分が多くなるため、硫安の純度低下によるアンモニア性窒素量の低下や、ラクタム微量成分の高粘性のため、粒状窒素肥料どうしの固結が発生する。細粒硫安を晶析で得る際に、晶析時の撹拌速度を小さくして硫安水溶液の過飽和度を大きくすると、硫安の結晶核が多量に生成する。その結果、細粒硫安結晶1個あたりの粒径は小さくなり、硫安結晶中に取り込むラクタム微量成分が少なくなるため黄色度は低くなる傾向である。一方、晶析時の撹拌速度を大きくすると硫安水溶液の過飽和度は小さくなって硫安結晶核生成量は少なくなる。その結果、細粒硫安結晶は結晶成長しやすく粒径が大きくなり、硫安結晶中に取り込むラクタム微量成分は多くなるため黄色度は高くなる傾向である。なお、黄色度(YI)は、JIS K7373(2006)「プラスチック-黄色度および黄変度の求め方」に記載される方法にて、光沢計の測定条件として標準イルミナントD65を使用して10度視野にて定量したX10、Y10、Z10の値を用いて下記式(1)より算出する。
黄色度(YI)=100(1.3013X10-1.1498Z10)/Y10・・・(1)
細粒硫安中のアンモニア性窒素の含有率は、単位重量あたりの窒素源としての肥料効果の面から、20.5%以上が好ましく、21.0%以上がさらに好ましい。なお、細粒結晶硫安中のアンモニア性窒素の含有率は、公定肥料分析法に従いホルムアルデヒド法で測定した値である。
細粒硫安の粒径は、圧縮造粒にて得られる粒状窒素肥料を構成する細粒硫安どうしの接着性向上や、得られた粒状窒素肥料の圧壊強度や粒径ばらつきを抑制するため、1.7mm以下が好ましい。特に、細粒硫安の晶析では、圧縮造粒で必要となる水分やラクタム不純物を硫安中に取り込むために、0.71mm以上1.7mm以下の粒径割合が75%以上であることが好ましい。さらに好ましくは、0.71mm以上1.4mmの粒径割合が75%以上である。細粒硫安の粒径は篩(目開き10メッシュ=1.7mm、12メッシュ=1.4mm、25メッシュ=0.71mm)で分級して算出が可能である。
<粒状窒素肥料>
本発明では、水分が0.15~0.5%の範囲で、かつ黄色度の高い細粒硫安を原料として圧縮造粒することにより、造粒時の粒状硫安の収率が高く、整粒後に硬度の高い粒状窒素肥料を得ることができることを特徴としている。
粒状窒素肥料のアンモニア性窒素濃度は、単位重量当たりの窒素源としての肥料効果の面から、20.5%以上が好ましく、21.0%以上がさらに好ましい。通常、粒状窒素中のアンモニア性窒素濃度の上限は通常21.2%である。なお、粒状窒素肥料中のアンモニア性窒素の含有率は、公定肥料分析法に従いホルムアルデヒド法で測定した値である。
粒状窒素肥料の粒径は、機械施肥において、肥料を均一に散布するため、2mm以上4mm以下の割合が90重量%以上が好ましい。より好ましくは2.5mm以上3.5mm以下が90重量%以上である。所定の粒径の粒状肥料は、分級機を用いて分級することで得ることができ、乾式分級が好ましく採用できる。乾式分級機の種類には特に制限はないが、振動篩を用いることが好ましい。篩の目開きは、所定の粒径を得られる大きさであれば特に制限はないが、1.8~2.2mm、および3.8~4.2mmの目開きであることが好ましく、これら目開きを有する篩を組み合わせて粒径2.0~4.0mmの粒状窒素肥料を得る分級方法が好ましい。粒状窒素肥料の粒径は、篩(目開き5メッシュ=4.0mm、6メッシュ=3.5mm、8メッシュ=2.5mm、9メッシュ=2.0mm)で分級して求めることができる。
粒状窒素肥料の形状は、農地へ機械施肥をした場合に作物の葉などに付着せず土壌に落下するため、粒状肥料の長軸径と短軸径の比(長軸径/短軸径)が1.0以上1.4以下であることが好ましく、1.0以上1.3以下であることがより好ましく、1.0以上1.2以下であることがさらに好ましい。球形状ではない、例えば平らな形状の圧片肥料であると、葉に付着して落下せず葉やけを生じたり、土への栄養分供給が乏しくなることがある。
粒状窒素肥料の圧壊強度(粒硬度)は、圧縮造粒後に時間が経過すると若干変動しうるが、使用時および運搬時を想定しての製品として流通される際の粒状窒素肥料の圧壊強度としては、2kgf以上であることが好ましい。圧壊強度が2kgf未満であると、保管中や運搬中にも粉化が発生しやすく、粉体を介しての粒状物どうしの固結の原因となる。また、散布時には粒が崩壊して均一な施肥が困難となる。一方、上限としては特に制限が無いが、5kgf以下であることが好ましい。5kgfを越える場合は、土壌中での粒状窒素肥料の溶解性が悪く、肥効が低下することがある。より好ましくは3kgf以上5kgf以下であり、さらに好ましくは3.5kgf以上4.5kgf以下である。なお、粒状窒素肥料の圧壊強度(粒硬度)は木屋式硬度計で粒状肥料20粒の粒硬度を測定し、これら圧壊強度(粒硬度)の平均値を圧壊強度(粒硬度)とする。
粒状窒素肥料のかさ密度は、機械施肥において均一散布できかつ水田等において着水後すぐに沈降して土壌に着地するよう0.90g/ml以上1.1g/ml以下であることが好ましく、0.92g/ml以上0.98g/ml以下であることがより好ましく、0.94g/ml以上0.96g/ml以下であることがさらに好ましい。なお、粒状肥料のかさ密度は、「JIS R 1628:1997 ファインセラミックス粉末のかさ密度測定方法」に準じて測定する。
粒状窒素肥料の水分率は、長期保管中の粒状窒素肥料どうしの固結を防止する観点で0.3%以下であることが好ましい。より好ましくは0.2%以下であり、さらに好ましくは0.1%以下であり、完全に水分を乾燥させた0%であれば、固結が発生しないため最も好ましい。なお、粒状窒素肥料の水分率は、公定肥料分析法に従い加熱減量法で測定した値である。
粒状窒素肥料の粉化率は、保管時の固結を防ぐため1.0%以下であることが好ましい。粉化率が1.0%を越えると粉化した粉体を介して保管時に固結しやすく、さらには機械施肥において生育させる植物まで粒状肥料をまくことができないなどハンドリング性に劣る。より好ましくは0.5%以下であり、さらに好ましくは0.3%以下であり、全く粉化がない0%が最も好ましい。なお、粉化率は粒状肥料750gに対して60kgの錘で1ヶ月荷重後の粒状肥料のうち、目開き2mmの篩いを使用して得た粒径が2mm以下のものの割合(%)であり、下記式(2)で示される。
粉化率 = (粒径2mm以下の重量)/750×100 ・・・(2)
固結とは、粒どうしが接触部分で架橋して塊になる現象であり、機械散布する際に塊により散布が困難となり、施肥効率が低下するだけでなく、均一に散布できなかった場合には作物の生育にも悪影響を与える。粒状肥料の固結率は、取り扱いを容易にするため20%以下であることが好ましい。固結率が20%を超えると、例えば機械施肥時のブロードキャスターホッパーからの流動性が低下し、機械施肥が困難になることがある。より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下であり、全く固結がない0%が最も好ましい。なお、固結率はポリ製小袋に充填した粒状肥料750gを上部と下部にダミーの肥料袋1袋(1袋あたり750g)ずつ置き、その上部に木製板を置いて堆積し、60kgの錘で1ヶ月荷重後の粒状肥料のうち固結部分重量の割合(%)であり、下記式(3)で示される。
固結率= (1ヶ月間荷重後の固結部分重量) /750×100 ・・・(3)
粒状窒素肥料の固結強度は、1kg/cm以下であることが好ましい。1kg/cm以上であると、例えば固結部分がフレコンから流れ出にくいため、ホッパーに投入することが容易ではない、あるいは機械施肥において生育させる植物まで粒状肥料を均一に散布できないなど、取り扱い性に劣る。より好ましくは固結強度が0.5kg/cm以下であり、さらに好ましくは0.2kg/cm以下である。なお、固結強度は、山中式土壌硬度計を使用して針部を肥料上面に対して垂直に圧入して測定した値である。
<粒状窒素肥料の製造方法>
粒状窒素肥料の造粒方法は、圧縮造粒が好ましく、圧縮造粒装置は、タブレット方式、板状方式、ブリケット方式の何れを用いても問題ないが、タブレット方式では生産効率が低く粒状窒素肥料の大量生産が困難であり、また板状方式では球形でバリの少ない造粒窒素肥料を生産することが困難である。一方で、ブリケット方式は板状方式に比較して生産量が高く、ブリケットロールのポケット形状により粒径の揃った粒状物を容易に得ることができるため好ましい。ブリケット方式の圧縮造粒装置としては、例えばブリケッタ(登録商標)BSS型(新東工業製)などを好ましく用いることができる。
原料の細粒硫安を圧縮造粒装置に供給する方法は、特に制限はされないが、例えば細粒硫安をホッパーに充填し、ホッパーに付帯した搬送コンベアより造粒装置に直接供給するか、またはホッパー搬送コンベアからベルトコンベアやバケットコンベア等を経由して造粒装置へ供給することができる。
造粒圧力とは、原料の細粒硫安に加わる総荷重を有効幅で除算した値(線圧)を示し、有効幅とは、原料の細粒硫安に荷重が加わる部分における、圧縮機側の長径を示す。例えば、タブレット方式であれば有効幅はタブレット部分の長径であり、ローラーを用いたブリケット方式であれば、有効幅はローラーにて原料の細粒硫安が圧縮されている部分の長さである。造粒圧力は、0.6~30.0kN/cmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは3.0~20.0kN/cmであり、さらに好ましくは、5.0~15.0kN/cmである。造粒圧力が上記を超えて低くなると、圧力不足のため、細粒硫安の造粒自体が起こらない。造粒圧力が上記を超えて高くなると、圧縮造粒機に必要以上の荷重がかかるため、装置寿命が著しく低下する。
圧縮造粒機のバリ厚みとは、原料の細粒硫安に荷重が加わる部分における原料の細粒結晶硫安の短径を示す。例えばタブレット方式であれば、バリ厚みはタブレット部分の短径であり、ローラーを用いたブリケット方式であれば、バリ厚みはロール間距離(クリアランス)の最も短い長さのことである。バリ厚みは、1.00~2.50mmの範囲内にあることが好ましく、1.20~2.00mmの範囲内にあることがより好ましい。バリ厚みが上記を超えて低くなると、粒状窒素肥料の圧壊強度・収量ともに低下する傾向にある。バリ厚みが上記を超えて高くなると、粒状窒素肥料の形状が肥料散布に不適となることや、造粒した粒状硫安を、例えば解砕ボールを用いた振動篩で解砕し粒径を揃える場合、篩いの目詰まりの原因となるため好ましくない。
粒径の揃った粒状窒素肥料を得るために、圧縮造粒機で得られた板状造粒物を解砕機にて解砕することが好ましい。解砕機の種類に特に制限は無く、例えば、ジョークラッシャー・ロールクラッシャーなどの各種クラッシャーや、ローラーミル・カッティングミルなどの各種ミル、解砕メディアを添加した振動篩などが好ましく用いられる。また、これらの解砕機を組み合わせ用いることも可能である。解砕して得られた粒状物は、振動篩い等で分級することで、得られた篩下の粉体は原料中にリサイクルして混合し、原料として再利用することができる。
ここで、圧縮造粒機へ投入した細粒硫安の量(W0)に対して、圧縮造粒した後に解砕を行い、振動篩いにて8メッシュ(目開き2.18mm)以上4メッシュ(目開き5.15mm)未満範囲の造粒物の重量(W1)の割合を粒状硫安の造粒収率として下記式(4)で示される。
造粒収率 = W1/W0×100(%)・・・(4)
分級により得られた造粒物は、整粒による球形化の前に、造粒物の圧壊強度を2kgf以上に上昇させる必要がある。造粒物の圧壊強度上昇方法は、以下の3つが挙げられる。(A)造粒物を100℃以上150℃以下で5分以上加熱する。(B)造粒物を10℃以上40℃以下で6時間以上保管する。(C)造粒物を10kPa以下の減圧下で20時間以上保管する。なお、これら3つの方法を組み合わせても構わない。また、いずれの場合においても、空気中でも窒素雰囲気下でも構わない。
(A)造粒物を100℃以上150℃以下で加熱する場合は、特に加熱機を用いて加熱すればよくて、加熱機の種類については特に制限はなく、回転式乾燥機、流動層乾燥機など熱風受熱式乾燥機や、攪拌乾燥機、赤外線加熱乾燥機、結晶化乾燥機など伝導伝熱型乾燥機や、恒温恒湿機が用いられるが、加熱機の導入コストが低いこと、均一に温度を上昇させられること、連続処理が可能であることから回転式乾燥機が好ましく用いられる。加熱温度は100以上150℃以下が好ましく、さらに好ましくは110℃以上140℃以下である。加熱温度が100℃未満であると、圧壊強度が2kgf以上に到達せず装置内部での粉化や生産性の悪化を招き、加熱温度が150℃を超えて高くなると、造粒物の変色や加熱後の吸湿を引き起こす。加熱時間は、5分以上60分以下が好ましく、さらに好ましくは、10以上30分以下である。加熱時間が5分より短くなると、加熱効果が低いため粒硬度が3kgf以上に到達せず、加熱時間が60分を超えて長くなると、肥料の連続製造においては加熱機容量が大きくなったり、加熱に莫大なエネルギーを要するため好ましくない。
(B)10℃以上40℃以下で6時間以上保管する場合は、保管方法に制限はなく、倉庫に堆積させてもよいし、コンテナ等の容器内でも構わない。保管温度は10℃以上40℃以下が好ましく、さらに好ましくは25℃以上30℃以下である。保管温度が10℃未満であると、圧壊強度上昇に時間を要し、2kgf以上到達しない場合がある。また、保管中の粉化や生産性が悪化する。一方、保管温度が40℃を超えて高くなると、整粒工程前に冷却工程が必要であり、高温のため吸湿しやすくなる。保管時間は6時間以上24時間以下が好ましく、さらに好ましくは10時間以上20時間以下である。保管時間が6時間より短くなると、加熱効果が低いため粒硬度が2kgf以上に到達せず、加熱時間が24時間を超えて長くなると、生産性が悪化したり、機械から出た後に造粒物が吸湿しやくなる。保管湿度は低いほうが好ましく、湿度60%RH以下が好ましい。
(C)10kPa以下で保管する場合は、減圧保管環境に制限は無く、タンク、サイロ、減圧乾燥機を用いて保管して構わない。また攪拌しても構わない。保管圧力は10kPa以下が好ましく、より好ましくは5kPa以下であり、最も好ましくは0kPaである。保管圧力が10kPaを超えて高くなると、圧壊強度上昇に時間がかかり、生産性が悪化する。保管時間は20時間以上48時間以下が好ましく、さらに好ましくは22時間以上26時間以下である。保管時間が20時間より短くなると、乾燥効果が低いため粒硬度が3kgf以上に到達せず、乾燥時間が48時間を超えて長くなると、生産性が悪化をする。保管温度は0℃以上150℃以下が好ましく、より好ましくは10℃以上100℃以下であり、最も好ましくは25℃以上50℃以下である。保管温度が0℃未満であると、造粒物内部での水分の凍結を招き、保管温度が150℃を超えて高くなると、造粒物の変色を引き起こす。これら(A)~(C)のうちの1つまたは組み合わせて実施する圧壊強度上昇操作により、圧壊強度は2kgf以上となる。
各工程における粒状肥料の輸送方法に制限はないが、自然落下・コンベア輸送・風送などを用いることが可能であり、コンベア輸送で造粒原料を造粒機に輸送した後、自然落下で解砕機・球形整粒機・分級機へ輸送する方法が好ましい。これら輸送機器を含めた機器の接粉部分については、粒状肥料に耐食性を持つ材質を用いることが好ましく、SUS316Lまたは樹脂を用いることが好ましい。
球形でバリの少ない粒状窒素肥料を得るためには、圧壊強度の上昇した造粒物を整粒機にて整粒することが好ましい。整粒機の種類に特に制限はなく、例えば高速転動方法、オシレータ式、架砕方式、遠心回転方式などが好ましく用いられ、高速転動方式の球形整粒機であるマルメライザー(登録商標:ダルトン製)を用いて粒状窒素肥料を整粒することがより好ましい。
整粒機の処理時間は、0.2~5.0分の範囲内にあることが好ましく、0.3~3.0分の範囲内であることがより好ましい。整粒機の処理時間が上記を超えて低くなると、粒状窒素肥料のバリ除去が不十分となる。整粒機の処理時間が上記を超えて高くなると、バリ以外の部分が切削される量が増加し、粒状窒素肥料の収量が低下する。さらに整粒処理に必要な時間が多くなるため、単位時間あたりの造粒状窒素肥料収量も低下する。
整粒機の回転速度は、50~2000回転/分の範囲内にあることが好ましく、100~1500回転/分の範囲内にあることがより好ましい。整粒機の回転速度が上記の範囲より低くなると、粒状硫安のバリ除去が不十分となり、さらに整粒処理に必要な時間が多くなるため、単位時間あたりの粒状窒素肥料収量も低下する。整粒機の回転速度が上記の範囲を超えて高くなると、騒音増加および機器寿命の低下といった問題が生じる。
造粒および整粒して粒状窒素肥料を製造した後、粒状窒素肥料に、固結防止材としてタルク、ポリエチレングリコール、ステアリン酸金属塩、ラウリル硫酸金属塩、カオリン、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、テレフタル酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、リン酸カルシウム、フッ化リチウムから選ばれる少なくとも一種を粒状窒素肥料表面に被覆して粒状窒素肥料とすることができる。被覆する方法としては、粒状窒素肥料を造粒および整粒し、分級機で分級した後に均一に被覆されていれば、分級機出口で添加してもよいし、ミキサーを用いて混合し被覆してもよいし、ベルトコンベア上で吹き付けを行って被覆してもよい。
粒状窒素肥料に対する固結防止材の添加量は、粒状窒素肥料100重量部に対して0.05~0.5重量部が好ましく、装置への付着によるロスや、単位重量当たりの窒素含有量への影響がなく、肥料として崩壊性がよい硬度の肥料を得るためには粒状窒素肥料100重量部に対して0.1~0.3重量部がより好ましい。装置への付着ロスをより少なくするためには、粒状窒素肥料100重量部に対して0.15~0.25重量部がさらに好ましい。
造粒および整粒して粒状窒素肥料を製造した後、粒状窒素肥料を乾燥して低水分化することも可能である。乾燥機の種類について特に制限はなく、回転式乾燥機、流動層乾燥機など熱風受熱式乾燥機や、攪拌乾燥機、赤外線加熱乾燥機など伝導伝熱型乾燥機が用いられるが、乾燥機の導入コストが低いことや、乾燥時の回転による整粒効果が見られることから、回転式乾燥機が好ましく用いられる。乾燥温度は、60~150℃が好ましく、さらに好ましくは、100~130℃である。乾燥温度が上記を超えて低くなると、乾燥による水分低減が不十分となり、乾燥時間を長時間要して装置内部での粉化や生産性の悪化を招き、乾燥温度が上記を超えて高くなると、粒状窒素肥料の分解により、アンモニア性窒素濃度の低下を引き起こす。乾燥時間は、5~60分が好ましく、さらに好ましくは、10~30分である。乾燥時間が上記を超えて低くなると、乾燥効果が低く、水分低減が不十分となり、乾燥時間が上記を超えて高くなると、長時間加熱により装置内部での粉化や生産性が低下する。
本発明の実施例を以下に示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。ここで、実施例中の部数は、重量部を示す。物性等の測定方法は以下のとおりである。
過飽和度
細粒硫安の過飽和度は、晶析缶への硫安水溶液循環量に対する結晶生産量(kg/m)を重量測定して算出した。
水分率(細粒硫安)
細粒硫安の水分率は、乾燥前の細粒硫安を130℃で3時間乾燥後に重量測定した際の加熱減量より算出した値であり、下記式にて算出した。
水分率(%)=(乾燥前の細粒硫安重量-乾燥後の細粒硫安重量)/(乾燥前の粒状窒素肥料重量)×100
黄色度
細粒硫安の黄色度は、JIS K7373(2006)「プラスチック-黄色度および黄変度の求め方」に記載される方法にて、光沢計の測定条件として標準イルミナントD65を使用して10度視野にて定量したX10、Y10、Z10の値を用いて下記式より算出した。
黄色度(YI)=100(1.3013X10-1.1498Z10)/Y10
粒径割合(細粒硫安)
細粒硫安の粒径割合は、25メッシュ篩い(目開き0.71mm)と10メッシュ篩い(目開き1.7mm)を用いて、粒径0.71mm以上1.7mm以下の粒径割合を下記式より算出した。
0.71~1.7mm粒径割合(%)=(0.71~1.7mmの篩分け用細粒硫安重量)/(篩分け用細粒硫安全重量)×100
アンモニア性窒素(細粒硫安)
細粒硫安のアンモニア性窒素は、公定肥料分析方法に定められたアンモニア性窒素測定方法のうち、アンモニウムイオンをヘキサチナレンテトラミンとし、遊離する酸を滴定するホルムアルデヒド法で測定した値である。
造粒収率
粒状硫安の造粒収率は、圧縮造粒機へ投入した細粒硫安の量(W0)に対して、圧縮造粒した後に解砕を行い、振動篩いにて8メッシュ(目開き2.18mm)以上4メッシュ(目開き5.15mm)未満範囲の造粒物の重量(W1)の割合として下記式より算出した。
造粒収率 = W1/W0×100(%)
長軸径/短軸径比
粒状窒素肥料の形状は、造粒および整粒後の粒状窒素肥料の長軸径と短軸径を計測して、長軸径/短軸径比を算出した。
粒径割合(粒状窒素肥料)
粒状窒素肥料の粒径割合は、造粒および整粒後の粒状窒素肥料につき9メッシュ篩い(目開き2mm)と5メッシュ篩い(目開き4mm)を用いて、粒径2mm以上4mm以下の粒径割合を下記式より算出した。
2~4mm粒径割合(%)=(粒径2~4mmの篩い分け用粒状窒素肥料重量)/(篩分け用粒状窒素肥料全重量)×100
圧壊強度(粒硬度)
粒状窒素肥料の圧壊強度(粒硬度)は、造粒および整粒後の粒状窒素肥料を、20℃雰囲気下で12時間保管した後の粒状窒素肥料のうち20粒を木屋式硬度計にて測定した各々の粒硬度を、平均した値である。
水分率(粒状窒素肥料)
粒状窒素肥料の水分率は、乾燥前の粒状窒素肥料を130℃で3時間乾燥後に重量測定した際の加熱減量により求めた値であり、下記式で算出した。
水分率(%)=(乾燥前の粒状窒素肥料重量-乾燥後の粒状窒素肥料重量)/(乾燥前の粒状窒素肥料重量)×100
粉化率
粒状窒素肥料の粉化率は、粒状窒素肥料750gに対して60kgの錘で1ヶ月荷重後の粒状窒素肥料のうち、9メッシュ(目開き2mm)の篩いを使用して得た粒径が2mm以下の粒状窒素肥料粉体の割合(%)であり、下記式にて算出した。
粉化率 = (粒径2mm以下の重量)/750×100
固結率
粒状窒素肥料の固結率は、粒状窒素肥料750gに対して60kgの錘にて1ヶ月間荷重下で堆積した後に、開封した際の固結部分重量の割合であり、下記式で算出した。
固結率(%)= (1ヶ月間荷重下堆積後の固結部分重量(g))/750×100
固結強度
粒状窒素肥料の固結強度は、粒状窒素肥料750gに対して60kgの錘で一ヶ月間荷重後の粒状窒素肥料のうち固結部分について、山中式土壌硬度計を使用して針部を肥料上面に対して垂直に圧入して測定した値である。
(実施例1~6)
原料の細粒硫安は、カプロラクタム合成過程でラクタム水溶液と硫安水溶液を油水分離した後、DTB型の晶析缶内で硫安水溶液を晶析することで細粒硫安を得た。晶析缶内運転は、42%硫安水溶液を10kPaの減圧下にて撹拌しながら行った。ここで、晶析する細粒硫安の過飽和度を制御して、得られる細粒硫安の水分率および黄色度を変えるために晶析時の撹拌速度を表1に示す条件に設定した。その結果、実施例1~6では、水分率は0.15~0.5%、黄色度は17以上30以下の範囲内の細粒硫安が得られた。また、細粒硫安の粒径割合は、実施例1~6いずれにおいても75%以上であった。
粒状硫安は、実施例1~6に示される水分率および黄色度の異なる細粒硫安を圧縮造粒して製造した。当該細粒硫安を、造粒機としてブリケッタ(登録商標)BSS-IH型(新東工業製)に供給し、ロール有効幅を150mm、ロール圧力を8.3kN/cm、バリ厚みを1.70mm、ポケットサイズを3.3mm、ローラー回転数85rpmで造粒を行った。続いて、造粒物を粗砕機にて破砕した後、目開き6.47mm、5.15mm、2.18mmの篩いを有する3段解砕篩機(興和工業所製)に投入し、解砕メディア(ナイロン硬球ボール上段200個、下段200個)で解砕し、篩上品を粒状硫安として回収した。次に、粒状窒素肥料は、粒状硫安をマルメライザー(ダルトン製)に投入し、回転速度225rpmで15秒間整粒処理を行った後に、目開き2mmの篩を有する円形振動篩機(ダルトン製)に送り、分級を行った後、目開き2mmの篩上品を粒状窒素肥料として回収した。
実施例1~6で得られた粒状硫安および粒状窒素肥料の物性は、表1に示す通りである。粒状硫安の造粒収率はいずれも60%以上、粒状窒素肥料の形状を示す長軸径/短軸径比は1.0~1.2の範囲内で球形状であり、粒径2~4mmの割合は90%以上、造粒12時間保管後の圧壊強度は2kgf以上であった。また、粒状窒素肥料の荷重下1ヶ月間堆積試験後の固結率は20%以下、固結強度は0.6kg/cm2以下であり、粒状窒素肥料として良好な物性であった。
(比較例1、2)
実施例1~6の細粒硫安の晶析方法にて、撹拌速度設定を、比較例1では9.3m/s、比較例2では21.0m/sとして細粒硫安を製造した。得られた細粒硫安の物性は表1に示すように、比較例1では水分率が0.12%(0.15%未満)、黄色度は15(17以下)であり、比較例2では水分率が0.58%(0.5%以上)、黄色度は33(30以上)であった。
粒状硫安および粒状窒素肥料は、実施例1~6と同様の方法にて製造した結果、粒状硫安の造粒収率はいずれも60%未満であった。粒状窒素肥料の物性は、比較例1にて圧壊強度が2kgf未満であり、比較例2では、堆積試験後の固結率が75%以上、固結強度が3.1kg/cm2と高く、実施例1~6の粒状窒素肥料の物性に比較して劣るものであった。
(比較例3、4)
細粒硫安の製造は、実施例1~6と同様の方法にて晶析撹拌速度を表1に示す値に設定して晶析を行った。さらに、比較例3、4では晶析後に振動乾燥機にて加熱を行うことで細粒硫安の水分率を低減した。この結果、細粒硫安物性は比較例3にて水分率が0.09%(0.15%未満)、黄色度は22、アンモニア性窒素は20.4%であり、比較例4では水分率が0.29%、黄色度は33(30以上)、アンモニア性窒素は20.4%であった。
粒状硫安および粒状窒素肥料は、実施例1~6と同様の方法で製造した結果、比較例3では粒状硫安の造粒収率が47%(60%未満)であり、粒状窒素肥料の圧壊強度は1.3kgfと2kgf未満であり、堆積試験後の固結評価では、固結率15%、固結強度は1.2kg/cm2であった。一方、比較例4では、粒状硫安の造粒収率は63%、粒状窒素肥料の圧壊強度2.5kgfと良好であったが、堆積試験後の固結率は43%、固結強度は1.7kgfであった。以上より、比較例3、4に示す細粒硫安物性として水分率が0.15%以上0.5%以下、あるいは黄色度が17以上30以下のいずれか一方のみを満たす細粒硫安を用いた粒状窒素肥料では、実施例1~6に比較して物性が劣るものであった。
(比較例5)
細粒硫安としてコークス炉ガスを硫酸と接触させて得られる硫安水溶液から晶析にて得られた硫安(新日鉄住金化学製)を用いて粒状窒素肥料を製造した。当該細粒硫安の物性は、水分率が0.26%であり、黄色度は1(17未満)であった。
粒状硫安および粒状窒素肥料は、実施例1~6と同様の方法で製造した結果、粒状硫安の造粒収率は50%(60%未満)、粒状窒素肥料の圧壊強度は1.7kgfであり、2kgfには到達しなかった。さらに、荷重下堆積試験後の固結率は21%(20%以上)、固結強度は0.8kgfであり、当該細粒硫安を用いた粒状窒素肥料は、実施例1~6に比較して物性が劣るものであった。
Figure 0007180444000001
以上のように、水分率が0.15%以上0.5%以下であり、かつJIS K7373(2006)に従って算出した黄色度が17以上30以下である細粒硫安を原料として粒状窒素肥料を製造することで、細粒硫安の圧縮造粒時における粒状硫安の造粒収率が高く、圧壊強度に優れた粒状窒素肥料が得られるとともに、荷重下堆積試験において固結の発生を抑制することができた。
本発明による粒状窒素肥料は、細粒硫安の圧縮造粒時に粒状硫安の造粒収率が高く、圧壊強度に優れるため、肥料生産性が向上するとともに粒状窒素肥料の機械散布に適した機械物性を有する。また、肥料保管中の粉化発生が少ないため、固結の発生を抑制することができる。さらに、用途・目的に応じて粒状窒素肥料を、単肥あるいは他の粒状肥料と任意の割合でドライブレンドしたバルクブレンド肥料として使用できるため、米、野菜、果物等の幅広い作物の生育に使用することができる。

Claims (7)

  1. 水分率が0.15%以上0.5%以下であり、かつJIS K7373(2006)に従って算出した黄色度が17以上30以下である細粒硫安を圧縮造粒する粒状硫安の製造方法であって、前記細粒硫安が、カプロラクタム合成工程由来で得られる硫安水溶液を晶析することで得られる細粒硫安である粒状硫安の製造方法。
  2. 前記細粒硫安が、粒径が0.71mm以上1.7mm未満の割合が75%以上の粒径分布を有する請求項1に記載の粒状硫安の製造方法。
  3. 前記細粒硫安のアンモニア性窒素が20.5%以上である請求項1または2に記載の粒状硫安の製造方法。
  4. 一対のローラーを用いたブリケット方式で圧縮する請求項1~いずれかに記載の粒状硫安の製造方法。
  5. 請求項1~いずれかに記載の粒状硫安の製造方法により粒状硫安を得、次いで整粒する粒状窒素肥料の製造方法。
  6. 得られる粒状窒素肥料の粒径が、2mm以上4mm以下の割合が90重量%以上の粒径分布を有する請求項に記載の粒状窒素肥料の製造方法。
  7. 得られる粒状窒素肥料の圧壊強度が2.0kgf以上である請求項またはに記載の粒状窒素肥料の製造方法。
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