JP2022083121A - 粒状硫安組成物、混合肥料組成物、および粒状硫安組成物の製造方法 - Google Patents

粒状硫安組成物、混合肥料組成物、および粒状硫安組成物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アンモニア性窒素濃度が高く、粒硬度が高く、保管中の固結性の低い粒状硫安組成物を得る。【解決手段】粒状硫安組成物100重量部に対して、水和物を形成する金属硫酸塩類を0.05~0.5重量%含む、粒状硫安組成物【選択図】なし

Description

本発明は、粒状硫安組成物、混合肥料組成物、および粒状硫安組成物の製造方法に関するものである。
窒素肥料の一つである硫安は、工業的にはコークス炉廃ガスを硫酸と接触させることや、カプロラクタムの生成過程において、カプロラクタム硫酸塩にアンモニアを添加して得られる硫安水溶液を晶析することで得られる。肥料として求められる硫安の物理的性質は、「機械施肥に支障がないこと」「粒径2~4mmに大部分が収まること」「粒径2.0~2.8mmのものについての圧壊強度の平均が2kgf以上」「水分1.0%以下」「安息角40°以下」「製品の固結等理化学的品質に悪影響をおよぼさないこと」とされている(非特許文献1)。
硫安粉状品および細粒品は、粒が小さく舞いやすいため、機械散布時の発塵や、流路つまりが生じやすく、肥料として必須用件である「機械施肥に支障がないこと」には適さない。散布時の発塵が少なく、流路のつまりが生じづらいことは、機械散布が主流である広大な農地での施肥において重要である。
そこで、これら課題を克服すべく硫安の粉状品および細粒品を粉状窒素肥料として造粒し、粒径を2~4mm程度に粒径を大きくすることで粒径が大きいため、圧壊強度が高く、流動性が良好な肥料とすることが検討されている。
例えば、バリが少なく、圧壊強度が高く、窒素濃度が高く、固結しづらいといった肥料に適した物理的特性を持つ造粒硫安の造粒方法を提供するために、窒素肥料を圧縮造粒する際の、ポケットサイズ、造粒圧力、バリ厚みを制御することで窒素肥料を造粒する方法(特許文献1)が提案されている。
また、粒状硫安の製造においては、肥料として取り扱う際に、長期間保管した際に製造した造粒硫安同士が固まる「固結」が発生すると、機械散布時の作業性を悪化させてしまう。そのため、固結を抑制する方法が検討されている。例えば、粒状肥料を造粒するにあたり、原料の一部にワックスや界面活性剤などの固結防止材を添加してから、残り原料を混合して圧縮造粒する方法(特許文献2)や、粒状肥料にトレハロースなど糖類を溶質とする溶液を混合することで被覆し、水分の吸収及び放出を抑制して固結防止する方法(特許文献3)や粒度・純度を規定したタルクを添加・混合する方法(特許文献4)、ジシアンジアミドの添加(特許文献5)、原料の結晶硫安を二次元X線回折したとき、入射X線の方向と検出器の方向のなす角2θ=72.3°で、配向度が0.995以上である細粒結晶硫安を原料とする方法(特許文献6)、マグネシウム肥料成分を20~50重量%含む方法(特許文献7)などが知られている。
くみあい肥料の品質の考え方(全国農業共同組合連合会)
特開2013-177287号公報 特開2013-245147号公報 特開2013-163625号公報 特開2017-186200号公報 特開昭56-22697号公報 特開2017-132659号公報 特開2019-172561号公報
前記の通り、様々な粒状窒素肥料やその製造方法が提案されており、粒状硫安の長期保管中に問題となる固結についてはその防止対策が実施されているが、十分な効果が得られていない。特許文献1では、固結防止については、粒状品であれば、粒径が大きいため圧壊強度が高く、比表面積が低いため、水分が低く固結が発生しづらいと記載されているが、圧壊強度が高く、比表面積が低ければ、必ずしも水分が低いわけではなく、水分が多ければ粒径が大きくても固結が発生する。特許文献2では、原料硫安の一部にワックスや界面活性剤などの固結防止材を添加してから、残りの硫安を混合して圧縮造粒することで固結防止材の表面分布を不均一として固結防止しているが、この方法では、固結防止材と原料の混合工程に加えてさらに混合物と硫安との混合工程が必要となる。特許文献3では、粒状窒素肥料にトレハロースなど糖類を溶質とする溶液を混合することで被覆し、水分の吸収及び放出を抑制して固結防止しているが、固結防止材の添加を行う場合は、添加のために溶媒と混合する工程や溶媒を蒸散させる乾燥工程のコストが必要となる。特許文献4では、固結防止材として粒度10μm以下、純度90%以上のタルクを添加、混合しているが、記載の品質のタルクを選別、あるいは購入することは通常のタルク購入と比較して困難であり、コストがかかる。またタルクは発がん性物質である結晶質シリカを通常含んでおり、使用にはタルクの産地の選定や、粉塵対策のコストがかかる。特許文献5には、ジシアンジアミドを添加することで固結が抑制できると記載があるが、データの記載がなく、定量的な固結抑制効果の把握ができず、固結抑制のメカニズムも明らかになっていない。
特許文献6には、結晶配向した、結晶性の高い細粒結晶硫安を原料とすることで固結を防止でき、結晶性の高い硫安結晶を得るためには、晶析時の圧力10.1kPaABS以上で維持する必要があると記載があるが、一般的に連続晶析では、結晶粒径や性状が変動し、結晶性を指標とした運転条件の維持は困難である。また特許文献7には、マグネシウム肥料成分を20~50重量%含むことで、粒硬度が高く、固結が発生しにくくなると記載があるが、マグネシウム肥料量が多いため、硫安の肥料成分であるアンモニア性窒素濃度が下がってしまい、硫安としての肥料効果を発揮することができなくなる。
本発明は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、
1.粒状硫安組成物100重量部に対して、水和物を形成する金属硫酸塩類を0.05~0.5重量%含む、粒状硫安組成物
2.金属硫酸塩が、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マンガン、硫酸コバルト、硫酸鉄からなる群より選ばれた1種以上の化合物である、1に記載の粒状硫安組成物
3.アンモニア性窒素が20.5%以上である、1または2に記載の粒状硫安組成物
4.固結強度が2.0kg/cm2以下である、1~3のいずれかに記載の粒状硫安組成物
5.固結率が90%以下である、1~4のいずれかに記載の粒状硫安組成物
6.粒硬度が2.0~5.0kgfである、1~5のいずれかに記載の粒状硫安組成物
7.1~6のいずれかに記載の粒状硫安組成物に、リン成分を含有する粒状肥料および/またはカリウム成分を含有する粒状肥料を含む、混合肥料組成物
8.下記の2工程を含む、1~7に記載の粒状硫安組成物の製造方法。
1)水和物を形成する金属硫酸塩を細粒結晶硫安に混合し、造粒して粒状にする工程
2)1)で得られた粒状硫安組成物を整粒し形状を調節する工程
9.下記の3工程を含む、1~8に記載の粒状硫安組成物の製造方法。
1)細粒結晶硫安を造粒して粒状にする工程
2)1)で得られた粒状硫安を整粒し形状を調節する工程
3)2)で得られた形状が調節された粒状硫安に水和物を形成する金属塩を被覆する工程。
10.造粒が圧縮成型方式であることを特徴とする、8または9に記載の粒状硫安組成物の製造方法。
11.原料を一対のローラーを用いたブリケット方式により圧縮して造粒物を製造することを特徴とする、10に記載の粒状硫安組成物の製造方法。
本発明によれば、固結防止材として金属硫酸塩をごく微量含む粒状硫安組成物とすることで、高アンモニア性窒素で、粒硬度が高く、保管時に固結しにくい粒状硫安組成物を得ることができる。
以下、本発明について、実施形態とともに詳細に説明する。
粒状硫安の固結は、原料中の遊離水分が表面に移動することや、空気中の水分を吸収することで表面が溶解、再結晶して液架橋が固架橋となることで粒同士を接着することで発生する。金属硫酸塩は、分子構造に極性があり、水和物を形成するものが多い。そのため、水和によって遊離水分の移動を抑制し、粒同士の架橋生成を抑制していると考えられる。これにより、固結防止の効果があり、また水分を粒中にとどめることにより水分によるバインダー効果を発揮し、粒硬度を高める効果もある。またマグネシウムやカルシウムなど金属成分は、植物の光合成に必要な葉の「葉緑素」を作る重要な成分であり、硫酸マグネシウムや硫酸亜鉛など、金属硫酸塩は、それ自体が肥料として販売されており、肥料としての効果を高める働きがある。
本発明の粒状硫安組成物は、原料として、硫酸マグネシウムや硫酸亜鉛など水和物を形成する金属硫酸塩を固結防止材としてごく微量加えることで、高アンモニア性窒素を維持したまま、著しい固結防止の効果があり、粒硬度が高く、金属硫酸塩による肥料効果がある粒状硫安組成物となることを見出した。
すなわち、本発明では、硫酸マグネシウムや硫酸亜鉛など水和物を形成する金属硫酸塩成分を硫安にごく微量、被覆または混合して造粒することで、硫安の肥料成分であるアンモニア性窒素濃度を高く維持したまま、保管中の固結を抑制すること、粒硬度が高いことから粉化しにくく、取り扱いや機械散布が容易になり、さらに硫酸マグネシウムや硫酸亜鉛など金属硫酸塩を含むことで植物の成長に必要な肥料成分を追加で含む粒状硫安組成物とすることが可能となる。
<粒状硫安組成物>
本発明が対象とする粒状硫安組成物の水分率は、長期保管中の粒状硫安組成物どうしの固結を防止する観点で0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは0.3%以下であり、さらに好ましくは0.2%以下であり、完全に水分を乾燥させた0%であれば全く固結しないため最も好ましい。なお、粒状硫安組成物の水分率は、公定肥料分析法に従い加熱減量法で測定した値である。
粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は、単位重量当たりの窒素源としての肥料効果の面から、20.5%以上が好ましく、21.0%以上がさらに好ましい。
粒状硫安組成物の粒径は、機械施肥において、肥料の到達距離を確保するため、2.0~4.0mmが好ましい。より好ましくは2.5~3.5mmである。
粒状硫安組成物の形状は、機械施肥をした場合、作物の葉などに付着せず土壌に落下するよう丸形状であることが好ましい。丸形状ではない、例えば平らな形状の圧片肥料であると、葉に付着して落下せず栄養分供給が乏しくなるため好ましくない。粒状硫安組成物の粒径は、篩い分けを行って測定する。
粒状硫安組成物の粒硬度は、2.0~5.0kgfの範囲であることが好ましい。粒硬度が2.0kgf未満であると、製造時に粒状硫安組成物が粉化しやすく、製造時の収率が低下する傾向にある。また、粒状硫安組成物の保管中にも粉化が発生しやすく、粒状硫安組成物どうしの固結の原因となる。一方、粒硬度が5.0kgfを越える場合は、土壌中での粒状硫安組成物の崩壊性が悪く、肥効が低下する傾向にある。より好ましくは2.5~4.5kgfの範囲である。なお、粒状硫安組成物の粒硬度は木屋式硬度計で20粒を測定し、その平均値を粒硬度とする。
粒状硫安組成物の取り扱いを容易にするため固結強度が、2.0kg/cm2以下であることが好ましい。固結強度は、山中式土壌硬度計を使用して針部を肥料上面に対して垂直に圧入して測定した値である。また固結率は、90%以下であることが好ましい。固結強度が2.0kg/cm2以下であれば、通常は、疑似固結であり、簡単に固結が崩れ施肥上の問題はないが、固結率が90%を越えると流動性が悪くなり、機械施肥ができない可能性があり、好ましくない。なお、固結率は粒状硫安組成物150gに対して80kgの錘で一ヶ月荷重後の粒状硫安組成物のうち固結部分重量の割合であり、下記式で示される。
固結率= (一ヶ月間荷重後の固結部分重量(g)) /150×100
<固結防止材>
本発明における固結防止材は、水和物を形成する金属硫酸塩であれば、特に制限はないが、肥料成分として用いられる硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸銅、硫酸亜鉛、硫酸マンガン、硫酸コバルトなどであれば、肥料としての効果が期待でき望ましい。
本発明における粒状硫安組成物の固結防止材添加濃度は、粒状硫安組成物100重量部に対して、水和物を形成する金属硫酸塩を0.05~0.5重量%含むことが望ましい。0.05重量%より低いと固結防止の効果が低く、粒硬度上昇の効果も低くなり、金属硫酸塩の肥料成分としての効果も低くなる。また0.5重量%を越えると、粒状硫安組成物のアンモニア性窒素濃度が低くなり、硫安肥料として使用する際の肥料効果が下がることから、より好ましくは、0.1~0.3重量%である。
<粒状硫安組成物の製造方法>
粒状硫安組成物の製造方法としては、原料である細粒結晶硫安と固結防止材を混合する場合は、混合機にて混合を行う。均一に混合できれば混合機の種類に特に制限はなく、水平円筒型、V型、ダブルコーン型等の容器回転型混合機や、リボン型、スクリュー型、パドル型等の容器固定型の混合機を使用することができるが、連続処理が可能であることからパドル型混合機が好ましく用いられる。
粒状硫安組成物の造粒方法は、圧縮造粒が好ましく、圧縮造粒装置は、タブレット方式、板状方式、ブリケット方式のいずれを用いても問題ないが、タブレット方式では生産効率が低く粒状硫安組成物の大量生産が困難であり、また板状方式では球形でバリの少ない造粒肥料を生産することが困難であるため、ブリケット方式を用いることが好ましい。ブリケット方式の圧縮造粒装置としては、例えばブリケッタ(登録商標)BSS型(新東工業製)などを好ましく用いることができる。
原料の細粒結晶硫安と固結防止材を混合した細粒結晶硫安混合物を圧縮造粒装置に供給する方法は、特に制限はされないが、例えば細粒結晶硫安をホッパーに貯蔵し、ホッパーに付帯した搬送コンベアより造粒装置に直接供給、またはホッパー搬送コンベアからベルトコンベアやバケットコンベア等を経由して造粒装置へ供給することができる。
造粒圧力とは、原料の細粒結晶硫安混合物に加わる総荷重を有効幅で除算した値(線圧)を示し、有効幅とは、原料の細粒結晶硫安混合物に荷重が加わる部分における、圧縮機側の長径を示す。例えば、タブレット方式であれば有効幅はタブレット部分の長径であり、ローラーを用いたブリケット方式であれば、有効幅はローラーにて原料の細粒結晶硫安混合物が圧縮されている部分の長さである。造粒圧力は、0.6~30.0kN/cmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは3.0~20.0kN/cmであり、さらに好ましくは、5.0~15.0kN/cmである。造粒圧力が上記を超えて低くなると、圧力不足のため、細粒結晶硫安混合物の造粒自体が起こらない。造粒圧力が上記を超えて高くなると、圧縮造粒機に必要以上の荷重がかかるため、装置寿命が著しく低下する。
圧縮造粒機のバリ厚みとは、原料の細粒結晶硫安混合物に荷重が加わる部分における原料の細粒結晶硫安混合物の短径を示す。例えばタブレット方式であれば、バリ厚みはタブレット部分の短径であり、ローラーを用いたブリケット方式であれば、バリ厚みはロール間距離(クリアランス)の最も短い長さのことである。バリ厚みは、1.00~2.50mmの範囲内にあることが好ましく、1.20~2.00mmの範囲内にあることがより好ましい。バリ厚みが上記を超えて低くなると、粒状硫安組成物の圧壊強度・収量ともに低下する傾向にある。バリ厚みが上記を超えて高くなると、粒状硫安組成物の形状が肥料散布に不適となることや、造粒した粒状硫安組成物を、例えば解砕ボールを用いた振動篩で解砕し粒径を揃える場合、篩いの目詰まりの原因となるため好ましくない。
圧縮造粒機で造粒した粒状硫安組成物は、解砕、整粒、分級を行うことで、肥料として好ましい形状の粒状硫安組成物を得ることができる。
粒径の揃った粒状硫安組成物を得るために、解砕機を用いて圧縮造粒後の粒状硫安組成物を解砕することが好ましい。解砕機の種類に特に制限は無く、例えば、ジョークラッシャー・ロールクラッシャーなどの各種クラッシャーや、ローラーミル・カッティングミルなどの各種ミル、解砕メディアを添加した振動篩などが好ましく用いられる。また、これらの解砕機を組み合わせ用いることも可能である。
球形でバリの少ない粒状硫安組成物を得るために、整粒機を用いて整粒することが好ましい。整粒機の種類に特に制限はなく、例えば高速転動方法、オシレータ式、架砕方式、遠心回転方式などが好ましく用いられ、高速転動方式の球形整粒機であるマルメライザー(登録商標:ダルトン製)を用いて粒状硫安組成物を整粒することがより好ましい。
整粒機の処理時間は、0.2~5.0分の範囲内にあることが好ましく、0.3~3.0分の範囲内であることがより好ましい。整粒機の処理時間が上記を超えて低くなると、粒状硫安組成物のバリ除去が不十分となる。整粒機の処理時間が上記を超えて高くなると、バリ以外の部分が切削される量が増加し、粒状硫安組成物の収量が低下する。さらに整粒処理に必要な時間が多くなるため、単位時間あたりの粒状硫安組成物収量も低下する。
整粒機の回転速度は、50~2000回転/分の範囲内にあることが好ましく、100~1500回転/分の範囲内にあることがより好ましい。整粒機の回転速度が上記の範囲より低くなると、粒状硫安組成物のバリ除去が不十分となり、さらに整粒処理に必要な時間が多くなるため、単位時間あたりの粒状硫安組成物収量も低下する。整粒機の回転速度が上記の範囲を超えて高くなると、騒音増加および機器寿命の低下といった問題が生ずる。
所定の粒径以上の粒状硫安組成物を得るために、分級機を用いて粒状硫安組成物を分級することが望ましい。乾式分級が可能なものであれば、分級機の種類に特に制限はないが、振動篩を用いることが好ましい。篩の目開きは、所定の粒径を得られる大きさであれば特に制限はないが、1.8~2.2mm、および3.8~4.2mmの目開きであることが好ましく、これら目開きを有する篩を組み合わせて粒径2.0~4.0mmの粒状硫安組成物を得る分級方法が好ましい。
バリが少なく、圧壊強度が強く、窒素濃度が高く、粉塵の発生も少なく、固結が起こりづらい粒状硫安組成物を得るために、圧縮造粒機を用いて細粒結晶硫安混合物を原料として造粒し、解砕機を用いて圧縮造粒後の粒状硫安組成物を解砕した後、球形整粒機を用いて解砕後の粒状硫安組成物を整粒し、分級機を用いて整粒の粒状硫安組成物を分級することが好ましい。
各工程における粒状硫安組成物の輸送方法に制限はないが、自然落下・コンベア輸送・風送などを用いることが可能であり、コンベア輸送で原料を造粒機に輸送した後、自然落下で解砕機・整粒機・分級機へ輸送する方法が好ましい。これら輸送機器を含めた機器の接粉部分については、粒状硫安組成物に耐食性を持つ材質を用いることが好ましく、SUS316Lまたは樹脂を用いることが好ましい。
圧縮造粒機を用いて原料である細粒結晶硫安混合物を造粒し、解砕機を用いて圧縮造粒後の粒状硫安組成物を解砕した際、また整粒機を用いて解砕後の粒状硫安組成物を整粒し、分級機を用いて整粒の粒状硫安組成物を分級した際に得られる篩下の微粉は、原料にリサイクルして混合し、原料として使用することができる。
固結防止材を混合するのではなく、被覆する場合は、細粒結晶硫安を造粒および整粒して粒状硫安を製造した後、粒状硫安に、固結防止材として、水和物を形成する金属硫酸塩を粒状硫安表面に被覆して粒状硫安組成物肥料とすることができる。被覆する方法としては、粒状硫安を造粒および整粒し、分級機で分級した後に均一に被覆されていれば、分級機出口で添加してもよいし、ミキサーを用いて混合し被覆してもよいし、ベルトコンベア上で吹き付けを行って被覆してもよい。
粒状硫安組成物に対する固結防止材の添加量は、粒状硫安組成物100重量部に対して0.05~0.5重量%が好ましく、装置への付着によるロスや、単位重量当たりの窒素含有量への影響がなく、肥料として崩壊性のよい粒硬度の肥料を得るためには粒状硫安組成物100重量部に対して0.1~0.2重量%がより好ましい。
造粒および整粒して粒状硫安組成物を製造した後、粒状硫安組成物を乾燥して低水分化することも可能である。乾燥機の種類について特に制限はなく、回転式乾燥機、流動層乾燥機など熱風受熱式乾燥機や、攪拌乾燥機、赤外線加熱乾燥機など伝導伝熱型乾燥機が用いられるが、乾燥機の導入コストが低いことや、乾燥時の回転による整粒効果が見られることから、回転式乾燥機が好ましく用いられる。乾燥温度は、60~150℃が好ましく、さらに好ましくは、100~130℃である。乾燥温度が上記を超えて低くなると、乾燥による水分低減が不十分となり乾燥時間を長時間要して装置内部での粉化や生産性の悪化を招き、乾燥温度が上記を超えて高くなると、粒状硫安組成物の分解により、アンモニア性窒素濃度の低下を引き起こす。乾燥時間は、5~60分が好ましく、さらに好ましくは、10~30分である。乾燥時間が上記を超えて低くなると、乾燥効果が低く、水分低減が不十分となり、乾燥時間が上記を超えて高くなると、長時間加熱により装置内部での粉化や生産性の悪化を招く。
本発明の実施例を以下に示すが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。ここで、実施例中の部数は、重量部を示す。物性等の測定方法は以下のとおりである。
(1)粒状硫安組成物の粒硬度
木屋式硬度計で粒状硫安組成物20粒それぞれの粒硬度を測定し、その平均を求めた値である。
(2)アンモニア性窒素
公定肥料分析方法に定められたアンモニア性窒素測定方法のうち、アンモニウムイオンをヘキサチナレンテトラミンとし、遊離する酸を滴定するホルムアルデヒド法で測定した値である。
(3)粒状硫安組成物の水分率
粒状硫安組成物の水分率は、乾燥前の粒状硫安組成物を130℃で3時間乾燥後重量測定を行った際の加熱減量により求めた値であり、下記式で算出した。
水分率(%)=(乾燥前の粒状硫安組成物重量-乾燥後の粒状硫安組成物重量)/(加熱前の粒状硫安組成物重量)×100
(4)粒状硫安組成物の固結強度
山中式土壌硬度計を使用して針部を肥料上面に対して垂直に圧入して測定した値である。
(5)粒状硫安組成物の固結率
粒状硫安組成物150gに対して80kgの錘で一ヶ月間荷重後の粒状硫安組成物のうち固結部分重量の割合であり、下記式で算出した。
固結率(%)= (一ヶ月間荷重後の固結部分重量(g)) /150×100
(実施例1)
細粒結晶硫安99.9重量部に対して硫酸マグネシウム・1水和物を0.1重量部添加し、混合機としてダウ・ミキサー(株式会社新日南製)に供給して混合した。該原料を造粒機としてブリケッタ(登録商標)BSS-IH型(新東工業製)に供給し、ロール有効幅を185mm、ロール圧力を8.3kN/cm、バリ厚みを1.70mm、ポケットサイズを3.9mm×0.94mm、ローラー回転数85rpmで造粒を行い、粗砕機にて破砕した後、目開き6.7mm、5.2mm、2.2mmの篩いを有する3段解砕篩機(興和工業所製)に投入し、解砕メディア(ナイロン硬球ボール上段200個、下段200個)で解砕し、篩上品を回収した。続いて、マルメライザー(ダルトン製)に篩上解砕品を投入し、回転速度225rpmで15秒間整粒処理を行った後に、目開き2mmの篩を有する円形振動篩機(ダルトン製)に送り、分級を行った後、目開き2mmの篩上品を粒状硫安組成物として回収した。粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は21.1%、水分率は0.1%、粒硬度は、3.2kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は0.0%、固結強度は0.0kg/cm2であった。結果を表1に示す。
Figure 2022083121000001
(実施例2)
細粒結晶硫安99.8重量部に対して硫酸マグネシウム・1水和物を0.2重量部添加し、混合機としてダウ・ミキサー(株式会社新日南製)に供給して混合した後、実施例1と同様の方法で粒状硫安組成物を製造した。粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は21.1%、水分率は0.1%、粒硬度は、3.4kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は0.0%、固結強度は0.0kg/cm2であった。
(実施例3)
細粒結晶硫安99.9重量部に対して硫酸亜鉛・1水和物を0.1重量部添加し、混合機としてダウ・ミキサー(株式会社新日南製)に供給して混合した後、実施例1と同様の方法で粒状硫安組成物を製造した。粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は21.1%、水分率は0.2%、粒硬度は、2.8kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は0.0%、固結強度は0.0kg/cm2であった。
(実施例4)
細粒結晶硫安99.8重量部に対して硫酸亜鉛・1水和物を0.2重量部添加し、混合機としてダウ・ミキサー(株式会社新日南製)に供給して混合した後、実施例1と同様の方法で粒状硫安組成物を製造した。粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は21.1%、水分率は0.2%、粒硬度は、2.9kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は0.0%、固結強度は0.0kg/cm2であった。
(実施例5)
細粒結晶硫安100重量部を原料とした。該原料を造粒機としてブリケッタ(登録商標)BSS-IH型(新東工業製)に供給し、ロール有効幅を185mm、ロール圧力を8.3kN/cm、バリ厚みを1.70mm、ポケットサイズを3.9mm×0.94mm、ローラー回転数85rpmで造粒を行い、粗砕機にて破砕した後、目開き6.7mm、5.2mm、2.2mmの篩いを有する3段解砕篩機(興和工業所製)に投入し、解砕メディア(ナイロン硬球ボール上段200個、下段200個)で解砕し、篩上品を回収した。続いて、マルメライザー(ダルトン製)に篩上解砕品を投入し、回転速度225rpmで15秒間整粒処理を行った後に、目開き2mmの篩を有する円形振動篩機(ダルトン製)に送り、分級を行った後、目開き2mmの篩上品を粒状硫安として回収した。円形振動篩い工程の回収部において粒状硫安99.8重量部に対して0.2重量部の硫酸マグネシウム・1水和物を添加して、粒状硫安表面を被覆処理した。この粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は21.1%、水分率は0.2%、粒硬度は、2.6kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は82%、固結強度は1.6kg/cmであった。
(実施例6)
実施例5と同様の方法で粒状硫安を製造した後、円形振動篩い工程において粒状硫安99.8重量部に対して0.2重量部の硫酸亜鉛・1水和物を添加して、粒状硫安表面を被覆処理した。この粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は21.1%、水分率は0.2%、粒硬度は、2.7kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は78%、固結強度は1.7kg/cmであった。
(比較例1)
実施例5と同様の方法で粒状硫安を製造した。微量成分の被覆処理は行わなかった。この粒状硫安のアンモニア性窒素は21.2%、水分率は0.2%、粒硬度は、1.8kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は99%、固結強度は8.5kg/cm2であった。
(比較例2)
実施例5と同様の方法で粒状硫安を製造した後、円形振動篩い工程において粒状硫安99.8重量部に対して0.2重量部のタルク(浅田製粉SW-A)を添加して、粒状硫安表面をタルクで被覆処理した。この粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は21.1%、水分率は0.1%、粒硬度は、2.0kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は98%、固結強度は7.4kg/cmであった。
(比較例3)
細粒結晶硫安96重量部と硫酸マグネシウム・1水和物4重量部とを、混合器としてダウ・ミキサー(株式会社新日南製)に供給して混合した。該原料を造粒機としてブリケッタ(登録商標)BSS-IH型(新東工業製)に供給し、ロール有効幅を185mm、ロール圧力を8.3kN/cm、バリ厚みを1.70mm、ポケットサイズを3.9mm×0.94mm、ローラー回転数85rpmで造粒を行い、粗砕機にて破砕した後、目開き6.7mm、5.2mm、2.2mmの篩いを有する3段解砕篩機(興和工業所製)に投入し、解砕メディア(ナイロン硬球ボール上段200個、下段200個)で解砕し、篩上品を回収した。続いて、マルメライザー(ダルトン製)に篩上解砕品を投入し、回転速度225rpmで15秒間整粒処理を行った後に、目開き2mmの篩を有する円形振動篩機(ダルトン製)に送り、分級を行った後、目開き2mmの篩上品を粒状硫安組成物として回収した。粒状硫安組成物のアンモニア性窒素は20.4%、水分率は0.2%、粒硬度は、3.5kgf、固結テスト1ヶ月後の固結率は0.0%、固結強度は0.0kg/cm2であった。
本発明により、細粒結晶硫安を原料として、肥料成分であるアンモニア性窒素濃度を高く維持したまま、粒硬度が高く、保管中の固結性の低い粒状硫安組成物を得ることができ、肥料としての取り扱いや、機械散布が容易になる。

Claims (11)

  1. 粒状硫安組成物100重量部に対して、水和物を形成する金属硫酸塩を0.05~0.5重量%含む、粒状硫安組成物
  2. 金属硫酸塩が、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カルシウム、硫酸カリウム、硫酸マンガン、硫酸コバルト、硫酸鉄からなる群より選ばれた1種以上の化合物である、請求項1に記載の粒状硫安組成物
  3. アンモニア性窒素が20.5%以上である、請求項1または2に記載の粒状硫安組成物
  4. 固結強度が2.0kg/cm2以下である、請求項1~3のいずれかに記載の粒状硫安組成物
  5. 固結率が90%以下である、請求項1~4のいずれかに記載の粒状硫安組成物
  6. 粒硬度が2.0~5.0kgfである、請求項1~5のいずれかに記載の粒状硫安組成物
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の粒状硫安組成物に、リン成分を含有する粒状肥料および/またはカリウム成分を含有する粒状肥料を含む、混合肥料組成物
  8. 下記の2工程を含む、請求項1~7に記載の粒状硫安組成物の製造方法
    1)水和物を形成する金属硫酸塩を細粒結晶硫安に混合し、造粒して粒状にする工程
    2)1)で得られた粒状硫安組成物を整粒し形状を調節する工程
  9. 下記の3工程を含む、請求項1~8に記載の粒状硫安組成物の製造方法
    1)細粒結晶硫安を造粒して粒状にする工程
    2)1)で得られた粒状硫安を整粒し形状を調節する工程
    3)2)で得られた形状が調節された粒状硫安に水和物を形成する金属塩を被覆する工程。
  10. 造粒が圧縮成型方式であることを特徴とする、請求項8または9に記載の粒状硫安組成物の製造方法
  11. 原料を一対のローラーを用いたブリケット方式により圧縮して造粒物を製造することを特徴とする、請求項10に記載の粒状硫安組成物の製造方法
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