JP7330513B2 - 錠剤カセット - Google Patents

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Description

この発明は、病院や薬局等で行われる調剤を自動化するための錠剤フィーダにおいて被駆動部を成す錠剤カセットに関し、詳しくは、錠剤を収容する容器部と容器部の中の整列盤とを具備していて整列盤が軸回転駆動されると錠剤を整列盤の周囲に整列させながら容器部の排出口から逐次落下させる錠剤カセットに関する。
従来より多用されている錠剤フィーダは(例えば特許文献1の図1,特許文献2の図1,特許文献3の図5を参照)、給電や制御のために錠剤分包機の引出棚や錠剤分割装置の本体部などに固定して装備される駆動部と、錠剤補充作業の容易化などのため駆動部に対して着脱自在になっている錠剤カセットとからなり、多数の錠剤を錠剤カセットにランダム収容しておき、必要に応じて駆動部を間欠動作や連続動作させて錠剤カセットから錠剤を一つずつ送り出すようになっている。このような錠剤フィーダは、錠剤を上から下へ移動させながら錠剤を絞り込むことで逐次排出を行う。
また、そのような錠剤フィーダへの組み込みに最も多く用いられている錠剤カセットは、蓋を開けて補充された多数の錠剤を内部の空間に収容する容器部と、その中に軸回転可能に設けられていて駆動部の駆動を回転伝動軸にて受ける整列盤と、容器部と整列盤との環状間隙の下端部を画する容器部の底板に貫通形成された排出口に対向させて設けられ環状間隙の上端側の一部を仕切る仕切ユニットとを備えている、というものである。
さらに、この錠剤カセットでは、錠剤の整列箇所である環状間隙を錠剤一つ分ずつ区切るために、環状間隙に突き出た羽根状の隔壁が、整列盤の外周面に等ピッチで多数形成されており、隣り合う隔壁の間が、整列盤の上から落ちてきた錠剤を一個ずつ収める区画室になっている。
また、そのような錠剤カセットについて(例えば特許文献3の図1や図4(a),(c)を参照)、回転伝動軸などに下向き当接部材を少数個たとえば二個ほど付設するとともに、容器部の底部の上面に衝上部材をやはり少数個たとえば二個ほど付設して、整列盤の軸回転に伴って間欠的に即ち当接部材が衝上部材を乗り越える度に整列盤が少し突き上げられるようにしたものも実用化されている。このような突き上げ機構は、整列盤を介して整列盤の上の錠剤を揺らすので、言うなれば間接的な錠剤揺動機構と呼べる。
そのような錠剤カセットは、錠剤が塊になっていた場合でもその塊が速やかに解れるとともに、個々の錠剤が区画室に転げ落ちやすいものとなっている。
特開2005-192702号公報 特開2013-039237号公報 特開2019-141330号公報 特願2018-241162号(出願) 特願2020-035629号(出願) 特願2020-039324号(出願) 特願2020-041600号(出願)
このような錠剤カセットは、着脱式であって、而も既に多く使用されている固定式の駆動部に対して付け替え容易であるといったことから、多くの錠剤分包機や錠剤分割装置の錠剤フィーダに採用されている。
ところが、そのような駆動部に対する付け替え容易性の具有にとどまらず、カセットの取り替えを行うまでもなく種々の薬剤に共用しうるように改良することまでも求められ、かかる要請に応えるべく、錠剤を一個ずつ収める区画室のサイズを変更できるようになった区画室可変式の錠剤カセットも開発されている(特許文献4~7参照)。
具体的には、多数の錠剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部に収められて複数の区画室を画成する整列盤とを備え、前記容器部の底部に排出口が形成されていて、前記整列盤の軸回転にて前記区画室の中に落ち入った錠剤を前記排出口から逐次落下させる錠剤カセットにおいて、前記整列盤が、区画室可変機構として、区画室を周方向と径方向とに拡縮させる機構や(特許文献4,5参照)、区画室画成部材を個別に付け替える機構(特許文献6参照)、区画室画成部材を複数個一列に繋いだ区画室列設体を付け替える機構を(特許文献7参照)、装備したものとなっている。
このような区画室可変式の錠剤カセットでは、整列盤の外周面のうち隣り合う区画室と区画室との間に位置する外周面部分が小径の内周寄り外周面部分になっており、その内周寄り外周面部分の外径側に、区画室に似ているが区画室ではない謂わば区画外空間が出来てしまっている。そして、その区画外空間に錠剤が不所望に落ち込むのを防止するために、整列盤において区画外空間の上方・上面に当たる部位には、張出部が突き出ている。
ところが、このような張出部が存在していると、その上に来た錠剤は区画室に落下するまでの時間が長くなりがちなので、錠剤の処理能率の低下を招きやすい。
もっとも、それについては、既述した当接部材と衝上部材とによる整列盤の間欠的な突き上げといった対策を講じることで(特許文献3参照)、或る程度は改善可能である。
しかしながら、この間接的な錠剤揺動機構を用いた対策では、容器部だけでなく整列盤にも部材を追加するため、整列盤の構造が複雑化する。
特に区画室可変式の錠剤カセットでは整列盤の構造の複雑化が激しい。しかも、整列盤は、改造負担が相対的に大きくて、容器部のように追加工で済ませるのが難しい。
そこで、整列盤を改造しなくてもカセット内の錠剤滞留を解消できる錠剤カセットを実現することが基本的な技術課題となる。
また、整列盤の張出部の上の錠剤が区画室へ誘導されるような錠剤カセットを実現することが更なる技術課題となる。
本発明の錠剤カセットは(解決手段1)、このような課題を解決するために創案されたものであり、
多数の錠剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部に収められて複数の区画室を画成する整列盤と、前記整列盤の上の錠剤に作用して該錠剤を揺らす錠剤揺動機構と、前記容器部の上面部に装備された開閉用の上蓋とを備え、前記容器部の底部に排出口が形成されていて、前記整列盤の軸回転にて前記区画室の中に落ち入った錠剤を前記排出口から逐次落下させる錠剤カセットにおいて、
前記錠剤揺動機構が、前記上蓋の下面に設けられた支持部と、一端部が前記支持部に連結された棒状の揺動部と、前記揺動部材の他端部に付設された重し部とを具備したものである、ことを特徴とする。
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段2)、上記解決手段1の錠剤カセットであって、前記揺動部が、可撓性の筒部材と、前記筒部材の中空に収められた弾性部材とを具備したものである、ことを特徴とする。
さらに、本発明の錠剤カセットは(解決手段3)、上記解決手段2の錠剤カセットであって、前記弾性部材がコイルスプリングであり、前記重し部が前記コイルスプリングには連結されているが前記筒部には連結されていない、ことを特徴とする。
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段4)、上記解決手段1~3の錠剤カセットであって、前記支持部が、前記揺動部と前記重し部との何れか一方または双方を乗載して置ける載置部を具備したものであり、その乗載状態では、前記揺動部が前記上蓋の下面に沿って横向きになり、前記重し部が前記上蓋の下面に寄るようになっている、ことを特徴とする。
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段5)、上記解決手段1~4の錠剤カセットであって、前記重し部が自由状態では前記区画室の移動経路の上方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする。
また、本発明の錠剤カセットは(解決手段6)、上記解決手段5の錠剤カセットであって、前記整列盤が、前記の複数の区画室のうち隣り合う二室の間に存在する区画外空間の上に突き出た張出部を具備したものであり、前記重し部が、自由状態では前記張出部の移動経路の上方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする。
このような本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段1)、整列盤の上の錠剤に作用して該錠剤を揺らす錠剤揺動機構を、上蓋の下面に設けられた支持部と、一端部が支持部に連結された棒状の揺動部と、この揺動部の他端部に付設された重し部とで、構成したことにより、錠剤揺動機構の装着先が容器部の上蓋だけでも足りるようになって、容器部の本体部分も、それに内装される整列盤も、錠剤揺動機構を装着しないで済むものとなる。しかも、錠剤カセットに錠剤揺動機構を装着するのは、新規カセットの製造時に限られず、既存の上蓋に追加工等にて支持部を取り付ける遣り方でも、錠剤揺動機構を装着した上蓋にて既存の上蓋を付け替える遣り方でも、簡便に実行することができる。
そして、上蓋の下面の支持部から揺動部を介して垂れ下がった重し部は、整列盤の軸回転に伴って移動して来た錠剤が当接すると、その錠剤に押されて揺動部と共に揺動したり更には揺動部の変形にて遊動したりもするため、錠剤に対して直に而も穏やかに干渉するので、要所に集中しながらも無理なく作用してカセット内の錠剤を揺り動かす。
したがって、この発明によれば、整列盤を改造しなくてもカセット内の錠剤滞留を解消しうる錠剤カセットを実現することができ、上述した基本的な技術課題が解決される。
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段2)、揺動部を可撓性の筒部材とその中空内の弾性部材との組み合わせにて具体化したことにより、適度な変形能と適度な復元力とを兼ね備えた揺動部を簡便に実現することができる。
さらに、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段3)、弾性部材にコイルスプリングを採用して弾性部材が長手方向にも容易に伸縮変形しうるようにしたうえで、そのコイルスプリングに重し部は連結されるが筒部材は連結されないようにしたことにより、重し部に揺動方向とは異なる方向の外力たとえば揺動部を長手方向へ引き伸ばそうとする外力が作用したとき等には、コイルスプリングが伸びて、外力の急な作用について衝撃性を緩和するとともに、重し部の遊動性を高めて重し部を早々に逃がすので、重し部が錠剤に対して直に干渉する方式であっても、干渉の穏便さが担保される。
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段4)、支持部に係合部を設けて揺動部や重し部を着脱できるようにしたことにより、錠剤揺動機構を使用しないときには係合部に着けて揺動部や重し部を上蓋に寄せておき、錠剤揺動機構を使用するときには係合部から外して揺動部や重し部を垂れ下げておくことで、簡便に使い分けることができる。
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段5)、錠剤揺動機構の使用時に錠剤収容量が少なくなったときには重し部が区画室の移動経路の上方(なるべく直ぐ上)に垂れ下がってくるようにもしたことにより、整列盤のうち区画室を画成する部分などに留まっていた錠剤が、重し部と干渉して、主に区画室の移動経路に沿った方向へ移動するので、効率良く区画室へ誘導されることとなる。
また、本発明の錠剤カセットにあっては(解決手段6)、区画外空間の上に張出部が突き出ている整列盤では上述のように張出部の上に錠剤が滞留しやすいところ、そのような張出部の上方(なるべく直ぐ上)に重し部が垂れ下がってくるようにもしたことにより、張出部の上の滞留錠剤が重し部との干渉にて効率良く区画室へ誘導されることとなる。
したがって、この発明によれば、整列盤の張出部の上の錠剤が区画室へ誘導されるような錠剤カセットを実現することができ、上述した更なる技術課題までも解決される。
本発明の実施例1について、錠剤カセットの構造を示し、(a)が錠剤カセットの縦断面図、(b)が整列盤と錠剤揺動機構とに係る外観斜視図である。 錠剤揺動機構の展開斜視図である。 錠剤揺動機構の外観斜視図であり、(a)が揺動部を垂れ下げて揺動可能にした状態を示し、(b)が揺動部を上げて載置部に保持させた状態を示している。 本発明の実施例2ついて、錠剤揺動機構の構造を示し、その外観斜視図である。 本発明の実施例3について、整列盤と錠剤揺動機構とに係る外観斜視図である。 本発明の実施例4について、整列盤と錠剤揺動機構とに係る外観斜視図である。
このような本発明の錠剤カセットについて、これを実施するための具体的な形態を、以下の実施例1~4により説明する。
図1~図3に示した実施例1は、上述した解決手段1~6(出願当初の請求項1~6)を総て具現化したものであり、図4に示した実施例2は、錠剤揺動機構の変形例であり、図5に示した実施例3と、図6に示した実施例4は、他の整列盤への応用例である。
本発明の錠剤カセットの実施例1について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図1は、(a)が錠剤カセット10の縦断面図であり、(b)が整列盤40と錠剤揺動機構60とに係る外観斜視図である。また、図2は、錠剤揺動機構60の展開斜視図である。さらに、図3は、錠剤揺動機構60の外観斜視図であり、(a)が揺動部を下げて揺動可能にした状態を示し、(b)が揺動部を上げて載置部に保持させた状態を示している。
錠剤カセット10は(図1参照)、従来品(例えば特許文献1~3参照)を部分的に改造した容器部20と、容器部20やその従来品に対する組み込み互換性を維持しながら区画室42bの可変機能を付加するために一体物や少部品組合せ物の整列盤から幾つかの部品を組み合わせた整列盤に変貌させるに際して部品や製造コストの増加を抑制した整列盤40とを具備している。
容器部20は(図1(a)参照)、プラスチックの射出成型などで量産される箱形の容器本体21を主体にしたものであり、容器本体21の外側には持ち運び用の把手23が設けられている。容器本体21の下部が図示しない駆動部に対する着脱部24であり、容器本体21の内部空間が多数の錠剤をランダム収容しうる錠剤収容空間22であり、錠剤補充時等には上蓋29にて錠剤収容空間22の上面を開閉しうるようになっている。
上蓋29は、概ね平らな板状体からなり、開閉時には一辺(図では左端)を支点として揺動させうるものであり、平面視では略長方形のものが多いが限定される訳ではない。
また、容器部20は、容器本体21の底部25のうち一カ所に(図1(a)では左側)、排出口28が貫通形成されており、整列盤40の軸回転にて錠剤が排出口28の上に運ばれてくると、その錠剤を排出口28を通して下方へ落下させるようになっている。
さらに、容器部20は、容器本体21に仕切ユニット30を着脱できるようにもなっている。そして、仕切保持部31を容器本体21に外側から装着して、仕切作用部32を容器本体21のスリットから錠剤収容空間22へ差し込むと、仕切作用部32が排出口28の上方に来て、それより下の錠剤は落下させるが上の錠剤の落下を阻止することで、錠剤の落下を逐次に行わせるものとなる。
それに加え、この容器部20は、ベルト保持部33も容器本体21に対して外側から装着できる又は着脱できるようになっている。
ベルト保持部33は、例えば丸紐状のゴム製で伸縮性を有する無端ベルト34を張った状態で保持するものであり、仕切ユニット30を容器本体21に装着して、無端ベルト34を容器本体21のスリットから錠剤収容空間22へ差し込むと、無端ベルト34が排出口28及び仕切作用部32の上方に来るようになっている。
整列盤40は(図1参照)、従来品と同様に(例えば特許文献1~3参照)、軸回転可能な状態で容器部20に収められて錠剤収容空間22の底部の内周面27との間に複数の区画室42bを画成するものであり、その区画室42bの中に落ち入った錠剤を軸回転時に区画室42bと共に排出口28のところへ移送することで、錠剤を28から逐次落下させるようになっている。
もっとも、この整列盤40は、複数の区画室42bのサイズを簡便に変更できるようにするために、従来は無かった複数の区画室画成部材42aを具備している。
そして、それらの区画室画成部材42aは、整列盤胴部の回転盤42に外装されて、整列盤脚部の回転伝動軸41の軸回転に随伴して循環的に移動するようになっている。
回転伝動軸41は、容器部20の底部25の貫通穴26に挿入されて、底部25を軸回転可能な状態で貫き、その下端部が外へ突き出ていて図示しない駆動部の回転駆動軸と嵌合・噛合することで、軸回転駆動されるようになっている。
このように容器部20の内底に対して整列盤40を装着すると、容器本体21の内周面27(整列盤内挿空間)と整列盤40の胴部の外周部の区画室画成部材42aとの間に、本例では、四つの区画室42bが画成されるようになっている(図1(b)参照)。
また、整列盤40は、対をなす区画室画成部材42a,42aを周方向に離接移動させることで、その対向面間の区画室42bを錠剤のサイズに合わせて拡縮することができ、更に区画室42bの奥の部材を径方向に移動させることもできるようになっている。
しかも、整列盤40は、そのように区画室42bを挟んで対をなす区画室画成部材42a,42aを周方向移動可能にした副作用として、複数の区画室42b…42bのうち隣り合う二室42b,42bの間に区画外空間42cが存在することになったため、整列盤頭部の傘部43から転げ落ちてきた錠剤が区画外空間42cへ不所望に入り込んでしまうのを阻止する必要が生じた。そして、その対策として、区画外空間42cに対応して張出部44が形成されており、傘部43の下端部から区画外空間42cの上へ突き出た張出部44によって区画外空間42cの上方が覆われている(特許文献5参照)。
錠剤揺動機構60は(図2参照)、上述した上蓋29の下面に取り付けて固定される支持部61と、支軸63にて支持部61に取り付けられて使用時には揺動可能状態にされる揺動部64及び重し部67とを具備したものである。
支持部61は、概ね横長のものであり、その上部の両端には掛止用の端部69,69が形成されている。支持部61の下部のうち一方の端部69の近くには、支軸63を軸回転可能に保持する軸支部62が形成されており、支持部61の下部のうち他方の端部69の近くには、揺動部64を使用時に載せて置くための載置部68が形成されている。
揺動部64は、適度な弾撥力を持ったコイルスプリングからなる弾性部材65と、それと同じ長さかそれより少しだけ短いプラスチックチューブ等の可撓性部材からなる筒部材66とを組み合わせた直棒状のものであり、弾性部材65が筒部材66の中空に収められており、弾性部材65の一端部が支軸63に連結され、弾性部材65の他端部が重し部67に連結されている。これに対し、筒部材66は、支軸63にも重し部67にも連結されていないが、中空の径が何れの部材63,67よりも小さいので、弾性部材65から抜け落ちるといったことがなく、両部材63,67の間に留まり続けるようになっている。
重し部67は、当たりの柔らかな全ゴム製の球体や、その芯部に金属等の錘部材を収めて重量を増した球状体である。
このような重し部67と上述した揺動部64とが、支軸63の軸支部62への挿着によって支持部61と連結されることで、錠剤揺動機構60が組み上がる(図3参照)。
そして、錠剤揺動機構60は、揺動部64も重し部67も拘束されない自由状態では(図3(a)参照)、重し部67を最下にして重し部67と揺動部64とが垂れ下がり、揺動部64と重し部67とのうち例えば揺動部64が載置部68に載せ置かれた拘束状態(乗載状態)では(図3(b)参照)、揺動部64が支持部61の上部ひいては上蓋29の下面に沿って横向きになり、重し部67が上蓋29の下面に近寄るものとなる。
このような錠剤揺動機構60の支持部61は(図1(a)参照)、容器部20の上蓋29の下面への取り付けに際して、軸支部62が、整列盤40の回転盤42の回転時に区画室42bの移動する経路およびそれより少し高い張出部44の移動経路の上方に当たる部位に対して取り付けられる。そして、揺動部64と重し部67を自由状態にすると、重し部67も、揺動部64も、区画室42bの移動経路の上方さらには張出部44の移動経路の上方に垂れ下がるようになる。
そのような重し部67のサイズは、拡大時の区画室42bの開口サイズや、区画外空間42cひいては張出部44のサイズより、大きいのが好ましい。
この実施例1の錠剤カセット10について、その使用態様及び動作を、上述した図面を引用して説明する。
整列盤40については既に区画室画成部材42aを手動で操作して総ての区画室42bのサイズを錠剤に適合させるといった調整を終えて容器部20に挿着されており、仕切ユニット30についても仕切作用部32の位置合わせ等の調整が済んでいるものとする(図1(a)参照)。
そうすると、錠剤カセット10が所望の錠剤のランダム収容および逐次排出に使用できる状態になっているので、上蓋29を開けて錠剤カセット10の錠剤収容空間22に適量の錠剤を投入して補充するとともに、錠剤揺動機構60についても使用に備える。
具体的には、揺動部64が載置部68に収められていれば(図3(b)参照)、揺動部64を載置部68から外して、それと重し部67とを一緒に揺動しうる状態にすることで(図3(a)参照)、重し部67を区画室42bや張出部44の移動経路の上方に垂れ下がりうる自由状態にする(図1参照)。そこに錠剤が無ければ重し部67はぶら下がり状態になるが、錠剤が溜まっていれば重し部67は錠剤の上に乗って落ち着く。
それから、容器部20の上蓋29を閉めて(図1(a)参照)、錠剤が錠剤収容空間22から零れ出ないようにして、錠剤カセット10を図示しない駆動部に取り付ける。
そして、錠剤カセット10が駆動部にて駆動されると、整列盤40が軸回転して、区画室画成部材42aひいては区画室42bが順送りされ、その度に、区画室42bに入って仕切作用部32の下へ運ばれて来た錠剤が、一つずつ排出路24から下方へ落下する。
その際、整列盤40の上に乗っていた錠剤が傘部43の上や張出部44の上から転げ落ちるようにして区画室42bに入り込み、更にそれらの錠剤の上に乗っていた錠剤が傘部43の上や張出部44の上に近づいて来る。そして、何れの錠剤も、程度の差はあるが、整列盤40の軸回転運動に引きずられて、円状・環状の経路を移動しやすい。
そのような謂わば随伴的循環移動では、整列盤40の上に多数の錠剤が乗っている場合、それらの錠剤が恰も塊のように纏まって移動することも起こり得るが、その循環経路の上に重し部67が位置しているため、錠剤の疑似塊ができたとしてもしてもそれが重し部67との干渉によって速やかに而も優しく解きほぐされるので、錠剤は整列盤40の上方に留まることなく次々に下降して整列盤40の上に乗ってくる。
そして、傘部43の上に乗ってきた錠剤は、斜面によって区画室42bや張出部44の上へ向けて付勢されて、そこへ移動し、そこへ直に来ていた錠剤に加わる。
錠剤の逐次排出が進んで、整列盤40の上に残っている錠剤が少なくなると、傘部43の斜面上や容器部20の内壁斜面上には錠剤が留まれないため、区画室42bに入り損ねた錠剤の残存箇所は、張出部44の上に絞られるが、そこも整列盤40の軸回転に伴って重し部67の所を通過することから、張出部44の上の錠剤も、重し部67の干渉を受けるので、そこに留まることなく速やかに、区画室67の中へ落ちていく。
このようにして、整列盤40の上の錠剤が、なかでも張出部44の上の錠剤が、錠剤揺動機構60の重し部67の直接的な作用によって突き動かされることで、より強く、より確実に、揺り動かされるため、効率良く区画室42bに入り込んでいく。
本発明の錠剤カセットの実施例2について、その具体的な構成を、図面を引用して説明する。図4は、錠剤揺動機構70の外観斜視図である。
なお、図4では、上蓋29の下面に形成された係合部29aに対して錠剤揺動機構60の端部69が掛止されている状態も図示した。
この錠剤カセットが上述した実施例1のものと相違するのは、錠剤揺動機構60が錠剤揺動機構70になっている点であり、錠剤揺動機構70が錠剤揺動機構60と相違するのは、ゴム製の球体だった重し部67が、短い金属製の円錐台付き円柱からなる重し部77になっている点である。
この場合、重し部77が重くなっているので、錠剤を揺さぶる力が増す。
また、錠剤カセット10の上蓋29が係合部29aを具備したものである場合、その係合部29aに対する支持部61の端部69の掛止を実行/解除するすることで錠剤揺動機構70を上蓋29に対して着脱できるので、錠剤揺動機構70の着脱や、更には錠剤揺動機構70と錠剤揺動機構60との付け替えなども、簡便に行うことができる。
しかも、そのような錠剤カセット10では容器本体21に対する上蓋29の付け替えも容易に行えるので、錠剤揺動機構60,70を装備していなかった錠剤カセットを、錠剤揺動機構60,70を装備した錠剤カセット10や、錠剤揺動機構60,70を即時に取付可能な錠剤カセットに、グレードアップすることも、簡便に行うことができる。
図5に整列盤40と錠剤揺動機構60とに係る外観斜視図を示した本発明の錠剤カセットが上述した実施例1のものと相違するのは、区画室画成部材42aが着脱式であって個別に付け替えられるようになっている点である(特許文献6参照)。
このように、整列盤40の区画室42bを画成する区画室画成部材42aが、個別着脱式のものであっても、錠剤揺動機構60(70)は有用である。
なお、本質的な相違点では無いが、区画外空間42cの上の張出部44が傘部43の下端部でなく回転盤42の上端部から突き出ている点も、実施例1と相違している。
図6に整列盤40と錠剤揺動機構60とに係る外観斜視図を示した本発明の錠剤カセットが上述した実施例3のものと相違するのは、区画室画成部材42aが着脱式であって巻き付けにて纏めて付け替えられるようになっている点である(特許文献7参照)。
このように、整列盤40の区画室42bを画成する区画室画成部材42aが、一括着脱式のものであっても、錠剤揺動機構60(70)は有用である。
[その他]
図示は割愛したが、上述した実施例1の錠剤カセット10と同様に区画室を周方向と径方向とに拡縮させる機構を具備した特許文献4記載の錠剤カセットについても、実施例1と同様にして、錠剤揺動機構60,70を装備させることができる。
また、区画室固定式の錠剤カセットについても(例えば特許文献1~3参照)、錠剤揺動機構60,70を装備させることができる。区画室固定式の錠剤カセットでは区画外空間やその上の張出部が存在しないのが通常であり、その場合、重し部が自由状態では張出部の移動経路の上方に垂れ下がるという要件が不要なので、重し部が自由状態では区画室の移動経路の上方に垂れ下がるという要件を満たせば本発明を適用することができる。
上記実施例では、整列盤40の軸心位置から容器部20の把手23へ寄った部位に重し部67が垂れ下がるように錠剤揺動機構60が配設されていたが(図1(a)参照)、重し部67の揺動範囲が限定されなければ錠剤揺動機構60の配置は任意である。
排出口28の上方など、無端ベルト34と重し部67とが干渉するような部位は、避けざるを得ないが、その上流側や(例えば図1(a)では紙面の手前側)、下流側は(例えば図1(a)では紙面の裏側)、重し部67の揺動範囲を広く確保しやすい所であり、特に下流側は、把手23の上方に延びた錠剤収容空間22の張出部分に載置部68を置ける点でも錠剤揺動機構60を配置し易い。
上記実施例では、錠剤揺動機構60の載置部68が揺動部64と重し部67とのうち揺動部64だけを乗載して置くようになっていたが、錠剤揺動機構60の載置部68は、揺動部64と重し部67とのうち重し部67だけを乗載して置くようになっていても良く、揺動部64と重し部67との双方を乗載して置くようになっていても良い。何れの場合でも、連結されている揺動部64と重し部67は、共に垂れ下がるか(図3(a)参照)、共に上蓋29に沿って横たわるか(図3(b)参照)、何れか一方の姿勢をとる。
本発明の錠剤カセットは、既述した薬剤分包機のように庫部などに多数の駆動部を組み込んだ装置にも、錠剤分割装置のように一台だけしか搭載していない装置にも、使用することが可能である。また、一個の錠剤カセットを幾つかの駆動部に付け替えて使用することや、一個の駆動部に幾つかの錠剤カセットを付け替えて使用することも可能である。
本発明の錠剤揺動機構は、揺動対象の錠剤に対して直に当接するので直接的な錠剤揺動機構と言えるが、既述した特許文献3記載の間接的な錠剤揺動機構とは、機構の装備箇所も、錠剤との作用位置も、錠剤に対する揺動態様も、異なるので、併用が可能である。
本発明の錠剤カセットで取り扱う錠剤の典型例は大きめで縦長の丸筒状カプセル剤であるが、取り扱える錠剤がそれに限定される訳でなく、紡錘状や円盤状といった他の剤形や他のサイズの錠剤でも取り扱えるものは多い。
10…錠剤カセット、
20…容器部、
21…容器本体、22…錠剤収容空間、23…把手、24…着脱部、25…底部、
26…貫通穴、27…内周面(整列盤内挿空間)、28…排出口、29…上蓋、
30…仕切ユニット、
31…仕切保持部、32…仕切作用部、33…ベルト保持部、34…無端ベルト、
40…整列盤、
41…回転伝動軸(整列盤脚部)、42…回転盤(整列盤胴部)、
42a…区画室画成部材(拡縮式,個別着脱式,一括着脱式)、
42b…区画室、42c…区画外空間、43…傘部(整列盤頭部)、44…張出部、
60…錠剤揺動機構、
61…支持部、62…軸支部、63…支軸、
64…揺動部、65…弾性部材(コイルスプリング)、
66…筒部材、67…重し部、68…載置部、69…端部、
70…錠剤揺動機構、77…重し部

Claims (6)

  1. 多数の錠剤を収容しうる容器部と、軸回転可能な状態で前記容器部に収められて複数の区画室を画成する整列盤と、前記整列盤の上の錠剤に作用して該錠剤を揺らす錠剤揺動機構と、前記容器部の上面部に装備された開閉用の上蓋とを備え、前記容器部の底部に排出口が形成されていて、前記整列盤の軸回転にて前記区画室の中に落ち入った錠剤を前記排出口から逐次落下させる錠剤カセットにおいて、
    前記錠剤揺動機構が、前記上蓋の下面に設けられた支持部と、一端部が前記支持部に連結された棒状の揺動部と、前記揺動部材の他端部に付設された重し部とを具備したものである、ことを特徴とする錠剤カセット。
  2. 前記揺動部が、可撓性の筒部材と、前記筒部材の中空に収められた弾性部材とを具備したものである、ことを特徴とする請求項1記載の錠剤カセット。
  3. 前記弾性部材がコイルスプリングであり、前記重し部が前記コイルスプリングには連結されているが前記筒部には連結されていない、ことを特徴とする請求項2記載の錠剤カセット。
  4. 前記支持部が、前記揺動部と前記重し部との何れか一方または双方を乗載して置ける載置部を具備したものであり、その乗載状態では、前記揺動部が前記上蓋の下面に沿って横向きになり、前記重し部が前記上蓋の下面に寄るようになっている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載された錠剤カセット。
  5. 前記重し部が自由状態では前記区画室の移動経路の上方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載された錠剤カセット。
  6. 前記整列盤が、前記の複数の区画室のうち隣り合う二室の間に存在する区画外空間の上に突き出た張出部を具備したものであり、前記重し部が、自由状態では前記張出部の移動経路の上方に垂れ下がるようになっていることを特徴とする請求項5記載の錠剤カセット。
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