JP7329121B1 - 収容庫 - Google Patents

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Abstract

Figure 0007329121000001
【課題】より適切な状態で収容物を輸送することが可能な収容庫を提供する。
【解決手段】コンテナ10は、コンテナ本体20の内部を冷却する冷却装置40と、コンテナ本体20の内部に電場を形成する電場形成部80と、を備える。コンテナ本体20の内部には、コンテナ本体20の背壁部205から扉部30に向かって延びるように形成され、且つコンテナ本体20の底壁部204から鉛直方向上方に離間して配置される遮断部材22が設けられる。遮断部材22とコンテナ本体20の底壁部204との間に形成される隙間は、空気流路S11を形成する。冷却装置40は、空気流路S11に冷風を吹き出す。遮断部材22は、空気流路S11から収容物50に向かう冷風の流れを遮断する。
【選択図】図3

Description

本発明は、収容庫に関する。
昨今、世界的な生鮮食料品等(以下、まとめて「食品」という)の需要が高まっており、冷凍していない商品は特に付加価値が高く需要も高い。そのため、チルド状態又はそれに近い状態を維持しつつその鮮度を長く保つ技術が注目されている。例えば特許文献1には、食品が保存される収容庫と、その内部に配置される電極と、電極に電圧を印加する電源とを備える電場技術を用いた冷凍庫が記載されている。この冷凍庫では、電源からの電圧の印加により、収容庫の内部に静電界が形成される。
特開2001-204428号公報
ところで、食品の鮮度保持のためには、腐敗の原因となる食品中の細菌の増殖を抑制することが重要である。そのためには、特に、生産直後の細菌数が極力少ない状態を維持することが非常に重要と考えられる。そのため、食品の生産地から消費地までの輸送環境を改善するべく、特許文献1に記載されたような電場技術を活用する取り組みが提案又は模索されつつある。
一方、電場技術を用いた食品の鮮度保持効果(賞味期限)は、食品の保管温度と密接に関わっており、水の凝固点よりも低い温度帯(0℃未満)で食品を可能な限り凍らせずに保管することが、経時的な菌数の増加の抑制に寄与すると推察される。
しかしながら、長距離の海上輸送のように輸送時間が長くなればなるほど、食品の商品価値が毀損される可能性が高まる。例えば、鮮度保持効果を最大化するために、凍結しないぎりぎりの温度で管理しようとすると、外的要因(外気温や食品の個体差、輸送日数(長いほど凍結し易くなる。)、収容庫内の積載量の多寡等)に起因して、凍結又は凍結に近い状態になってしまい、食品本来の商品価値の毀損を招くおそれがある。つまり、電場技術が採用された収容庫では、非凍結状態を確実に維持することが困難であるという課題がある。
一方、凍結のリスクが少ない保守的な(比較的高温の)温度帯で管理した場合には、腐敗や凍結に至らずに輸送することができたとしても、食品中の細菌数が比較的多くなり、賞味期限が短くなってしまう。こうなると、その食品を輸入地で販売する事業者は、そのような商品を再度凍結させて冷凍品として流通させざるを得なくなる。この場合でも、食品本来の商品価値が毀損されてしまう上に、冷凍コストの発生、冷凍過程による温室効果ガスの発生、及び、場合によっては食品廃棄の発生(フードロス)といった問題につながってしまう。
このように、電場技術を採用した収容庫に関しては未だ改善の余地が残されている。
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より適切な状態で収容物を輸送することが可能な収容庫を提供することにある。
上記課題を解決する収容庫は、前端部に開口部を有する矩形箱状の収容庫本体と、収容庫本体の開口部を開閉させる扉部と、収容庫本体の内部を冷却する冷却装置と、収容庫本体の内部に電場を形成する電場形成部と、を備える。収容庫本体において、鉛直方向下方に位置する外壁部を底壁部とし、鉛直方向上方に位置する外壁部を上壁部とし、扉部とは反対側に位置する外壁部を背壁部とするとき、収容庫本体の内部には、収容庫本体の背壁部から扉部に向かって延びるように形成され、且つ収容庫本体の底壁部から鉛直方向上方に離間して配置される遮断部材が設けられる。遮断部材と収容庫本体の底壁部との間に形成される隙間は、空気流路を形成する。冷却装置は、空気流路に冷風を吹き出す。遮断部材の上面には、収容物が配置可能である。遮断部材は、空気流路から収容物に向かう冷風の流れを遮断する。
この構成によれば、冷却装置から吹き出される冷風が収容物に直接当たることを遮断部材により抑制できるため、収容物が過度に冷却されることを回避できる。よって、より適切な状態で収容物を輸送することが可能となる。
本発明の収容庫によれば、より適切な状態で収容物を輸送することが可能である。
第1実施形態のコンテナの斜視構造を示す斜視図。 図1のII-II線に沿った断面構造を示す断面図。 図2のIII-III線に沿った断面構造を示す断面図。 第1実施形態の収容物の断面構造を示す断面図。 第1実施形態のケースの断面構造を示す断面図。 参考例のコンテナの断面構造を示す断面図。 発明者により行われた実験の結果を示す図表。 第1実施形態の変形例のコンテナの断面構造を示す断面図。 第2実施形態のケースの断面構造を示す断面図。
以下、収容庫の一実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態の収容庫の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面構造を示す断面図である。図3は、図2のIII-III線に沿った断面構造を示す断面図である。図1~図3において、矢印Z1で示される方向は鉛直方向上方を示し、矢印Z2で示される方向は鉛直方向下方を示す。また、矢印Xで示される方向及び矢印Yで示される方向は、鉛直方向Z1,Z2に直交する方向であって、水平方向を示す。矢印Xで示される方向及び矢印Yで示される方向は互いに直交している。以下では、矢印Xで示される方向を「幅方向X」と称し、矢印Yで示される方向を「奥行き方向Y」と称する。
図1に示されるコンテナ10は、食品を冷却保管する機能を有している。コンテナ10は、固定型コンテナとして使用されてもよく、また食品を冷却保管した状態で輸送するための輸送(移動)用コンテナとして使用することもできる。固定型コンテナとしては、食品の加工工場や建屋等の屋内に設置される形態や、それ自体が倉庫として機能する形態が挙げられる。輸送用コンテナとしては、船舶に積み込まれる海上輸送用コンテナの他、飛行機、車両等の移動体に積み込まれるコンテナ等が挙げられる。本実施形態では、コンテナ10が収容庫に相当する。
図1に示されるように、コンテナ10は、コンテナ本体20と、一対の扉部30とを備えている。本実施形態では、コンテナ本体20が収容庫本体に相当する。
コンテナ本体20は、奥行き方向Yの前方の端部である前端部20aに開口部を有する矩形箱状に形成されている。一対の扉部30は、コンテナ本体20の開口部に設けられており、当該開口部を開閉させる。コンテナ本体20及び扉部30は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属材料により形成されるとともに、電気的に接地されている。
コンテナ本体20及び扉部30のそれぞれの内面により囲まれる空間は、図2に示される内部空間S10を形成している。コンテナ本体20及び扉部30の内部には、図示しない断熱材が埋め込まれている。この断熱材は、内部空間S10からコンテナ10の外部への熱伝達を抑制することにより、コンテナ10の冷却性能を高めている。
以下では、図2に示されるコンテナ本体20の複数の外壁部のうち、鉛直方向上方Z1に配置される外壁部201を「上壁部201」と称し、扉部30から見たときに右側に配置される外壁部202を「右側壁部202」と称し、扉部30から見たときに左側に配置される外壁部203を「左側壁部203」と称し、鉛直方向下方Z2に配置される外壁部204を「底壁部204」と称し、扉部30とは反対側に位置する外壁部205を「背壁部205」と称する。
図2に示されるように、コンテナ本体20の内部には、設置部21と、遮断部材22とが設けられている。
設置部21は、幅方向Xに所定の間隔をあけて配置される複数の板状部材210及び複数の支持部材211により構成されている。図3に示されるように、各板状部材210及び各支持部材211は、コンテナ本体20の背壁部205から扉部30に向かって延びるように形成されている。各支持部材211は、コンテナ本体20の底壁部204から鉛直方向上方Z1に向かって延びるように形成されている。複数の板状部材210は、複数の支持部材211のそれぞれの上端部に固定されている。このような構造により、各板状部材210は、コンテナ本体20の底壁部204から鉛直方向上方Z1に離間した状態で支持部材211により支持されている。
図2に示されるように、遮断部材22は設置部21の板状部材210の上面に取り外し可能に設置されている。遮断部材22は断熱材により形成されている。例えば、遮断部材22は、気泡を含むポリスチレン、いわゆる発泡スチロールにより形成される。遮断部材22は矩形板状に形成されている。幅方向Xにおける遮断部材22の右側面221はコンテナ本体20の右側壁部202の内面に略接触しており、遮断部材22の左側面222はコンテナ本体20の左側壁部203の内面に略接触している。図3に示されるように、奥行き方向Yにおける遮断部材22の後端面223はコンテナ本体20の背壁部205の内面に略接触している。奥行き方向Yにおける遮断部材22の前端面224は扉部30の内面から離間して配置されている。したがって、遮断部材22の前端面224と扉部30の内面との間には隙間60が形成されている。以下では、この隙間60を「連通流路60」と称する。
図3に示されるように、遮断部材22は、コンテナ本体20の内部空間S10を鉛直方向Z1,Z2において空間S11及び空間S12に区画している。一方の空間S11は、遮断部材22とコンテナ本体20の底壁部204との間に形成されている。以下では、この空間S11を「空気流路S11」と称する。他方の空間S12は、遮断部材22とコンテナ本体20の上壁部201との間に形成されている。以下では、この空間S12を「収容空間S12」と称する。空気流路S11及び収容空間S12はコンテナ10の前方において連通流路60を介して互いに連通されている。
図3に示されるように、コンテナ10の内部に収容される収容物50は、遮断部材22の上面に単数又は複数配置可能である。したがって、コンテナ本体20の収容空間S12は、収容物50を配置可能な空間として用いられる。収容物50は、例えば図4に示されるような構造を有している。
図4に示されるように、収容物50は、例えば複数のケース51と、ストレッチフィルム52とを備えている。
ケース51は段ボール等により形成されている。ケース51の内部には、図5に示されるような食品包装体70が単数又は複数収容されている。食品包装体70に含まれる「食品」としては、特に制限されず、例えば牛肉や豚肉等の食肉、魚や貝等の魚介類、鶏卵、魚卵、牛乳やチーズ等の乳製品、小麦粉やそば粉等の穀物の粉体から作られる麺類、いちごやりんご等の果物、キャベツやトマト等の野菜、及び、それらの加工食品が挙げられる。これらのなかでも、牛肉や豚肉等の食肉、魚や貝等の魚介類、鶏卵、魚卵、牛乳やチーズ等の乳製品等の動物性食品は、長期の保管や輸送における鮮度保持効果が特に渇望される食品であり、本実施形態の食品包装体70に包含される対象として好適である。
さらに、食品包装体70は、それらの少なくとも1種類又は1形態の食品が、熱収縮性及び高真空性を有する包装材により被覆されたものである。なお、ここでの食品の「形態」としては、例えば、同じ種類でも、性状、形状、産地、産生時期、真空シュリンクラッピングの状態等が異なることが挙げられる。また、「包装材」は、食品用の真空パック(梱包材)の一種である。このような「包装材」によって被覆された食品包装体70としては、熱収縮性フィルムを含む包装材で食品が被覆されて真空シュリンクラッピングされることにより形成されたものが好ましく例示される。なお、食品包装体70のラッピング状態に関しては、同一種類の食品の全てが同一のラッピング状態を必ずしも有している必要はなく、同一種類の食品のそれぞれが異なるラッピング状態を有していても良い。
また、「真空シュリンクラッピング」とは、食品を包含した包装材の内部を減圧(真空引き)しながら、又は、全体を減圧(真空)環境下において包装材を加熱し、熱収縮性フィルムの熱収縮により、その食品を密封ラッピングする手法である。ここで、包装材に含まれる「熱収縮性フィルム」は、特に制限されず、熱収縮温度(例えば70℃~110℃)における熱収縮時の収縮率が1%~70%であり、所定の引張弾性率を有するフィルムが挙げられる。また、熱収縮性フィルムは、延伸されていても延伸されていなくてもよい。さらに、熱収縮性フィルムの種類として、公知の熱可塑性樹脂によるフィルムを使用でき、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エチレン酢酸ビニル共重合、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)等が挙げられる。また、熱収縮性フィルムを構成する樹脂中に、適宜の顔料、充填剤、染料、熱安定剤、酸化防止剤、可塑剤、帯電防止剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。さらに、ここでの包装材は、熱収縮性フィルムに非熱収縮性フィルムが積層された複合フィルムであってもよい。この非熱収縮性のフィルムも特に制限されず、組み合わせて使用される熱収縮性フィルムよりも、同温度での熱収縮率が低いものであれば制限されず、例えば70℃~110℃の加熱温度における熱収縮率が1%未満であるものが挙げられる。
図4に示されるように、複数のケース51は、水平方向X,Yに並べられ、且つ鉛直方向Z1,Z2に積み重ねられて配置されている。複数のケース51は、ストレッチフィルム52により巻回されることにより、一つの収容物50としてまとめられている。
図3に示されるように、コンテナ10は、コンテナ本体20の背壁部205に設けられる冷却装置40を更に備えている。本実施形態のコンテナ10は、冷却装置40により内部の温度を調整することが可能な、いわゆるリーファーコンテナである。
冷却装置40は、コンテナ本体20の内部又は外部に設けられた電源(図示せず)に接続されており、電力供給によって駆動される。冷却装置40は、コンテナ本体20の内部空間S10に冷風を供給して冷却する。具体的には、冷却装置40は、図2に示されるように、コンテナ本体20の内部空間S10に開口する吸入口41及び吹出口42をコンテナ本体20の背壁部205に有している。吸入口41は、コンテナ本体20の背壁部205の上方に設けられており、コンテナ本体20の収容空間S12の上部に開口している。吹出口42は、コンテナ本体20の背壁部205の下方に設けられており、コンテナ本体20の空気流路S11に開口している。
図2及び図3に示されるように、コンテナ10は、コンテナ本体20の上壁部201の内側付近に配置された電場形成部80を更に備えている。電場形成部80は、絶縁部材81と、電源(図示せず)に接続された電極部材82とを備えている。電場形成部80は、電力供給によって駆動され、収容空間S12の内部に電場を形成する。
図2に示されるように、電場形成部80の幅方向Xの一端部及び他端部は、それぞれ、コンテナ本体20の右側壁部202及び左側壁部203のそれぞれの上方に設けられる載置部91,92上に載置され、また、奥行き方向Yに延在している。載置部91,92の種類は、特に限定されず、電気的な絶縁性を有する絶縁材料(例えば樹脂)でもよく、或いは、鉄やステンレス等の導電性材料により形成することができる。載置部91,92は、それぞれ、右側壁部202及び左側壁部203に固定される部位910,920と、電場形成部80の一端部が載置される部位911,921とを有しており、共に奥行き方向Yに直交する断面形状がL字状をなす、いわゆるL字状アングル部材として構成されている。
次に、本実施形態のコンテナ10の動作例について説明する。
本実施形態のコンテナ10では、冷却装置40が、図2に示される吸入口41を介して収容空間S12内の空気を吸入するとともに、吸入した空気を冷却して吹出口42から空気流路S11に吹き出す。空気流路S11に吹き出された冷風は、図3に矢印で示されるように流れる。すなわち、冷風は、空気流路S11に沿ってコンテナ本体20の背壁部205から扉部30に向かって流れた後、連通流路60を通じて収容空間S12内に流入する。遮断部材22は、空気流路S11を流れる冷風が収容物50に直接当たることを抑制している。収容空間S12内に流入した冷風は、鉛直方向上方Z1に流れた後、コンテナ本体20の上壁部201に沿って扉部30からコンテナ本体20の背壁部205に向かって流れる。コンテナ本体20の背壁部205まで流れた冷風は吸入口41から冷却装置40に再び取り込まれる。本実施形態のコンテナ10では、空気流路S11から連通流路60を通じて収容空間S12に流れる冷風により収容空間S12内が冷却されることで、収容物50が冷却状態で保存される。
また、電場形成部80は電極部材82に所定の高電圧を印加することにより収容空間S12の内に電場を形成する。この際、電極部材82に印加される高電圧は、例えば時間の経過に伴って周期的に大きさや向きが変化する交番(交流)電圧であってもよいし、時間の経過に伴って大きさや向きが変化しない一定(直流)電圧であってもよい。電極部材82に印加される電圧は、任意の大きさに設定可能であるが、例えば数百V~数万Vの高電圧に設定される。
このような電場環境で収容物50が冷却状態で保存されることにより、収容物50に収容される食品包装体70内の食品の少なくとも一部が凍結寸前の状態(チルド状態)となるように冷却されるとともに、その状態が保持される。なお、食品の少なくとも一部とは、一つの食品内の少なくとも一部分、あるいは複数の食品のうちの少なくとも一つの食品を示す。また、凍結寸前の状態には、例えば半冷凍や半解凍のような状態や、若干表面が固くなっている状態、あるいは指で押せば1mm~2mmだけ凹むような完全凍結ではないものの、その一歩手前(解凍の初期段階)等が含まれる。
さらに、本実施形態のコンテナ10では、食品包装体70として、熱収縮性及び高真空性を有する包装材で食品を真空シュリンクラッピングしたものが用いられている。このような食品包装体70が電場環境で保存されることにより、真空シュリンクラッピングを施さない場合(脱気パックや非シュリンク真空パック等)と比較すると、食品の非凍結温度を更に低下させることができる。このように非凍結温度を更に低下させることができる理由は、上述の電場環境による効果に加え、真空シュリンクラッピングの場合、食品が接触する空気量及びその気中水分量が低減されることにより水の凝固点(0℃)以下での凍結自体がより生じ難くなることが要因の一つとして推察される(但し、作用はこれに限定されない。)。これにより、食品をチルド状態で凍らせずにより安定的に保持することができるので、腐敗の原因である食品中の細菌の増殖を更に抑制して、食品の鮮度を長期に亘って保持することが可能となる。
ところで、電場環境及び真空シュリンクラッピングを利用して食品包装体70を凍結寸前の状態に保存しようとした場合であっても、冷却装置40から送風される冷風が収容物50に直接当たると、食品包装体70が凍結し易くなることが発明者の実験により確認されている。
具体的には、発明者は、図1~図3に示される本実施形態のコンテナ10における食品包装体70の凍結状態と、図6に示される参考例のコンテナ100における食品包装体70の凍結状態とを実験的に比較した。図6に示される参考例のコンテナ100は、遮断部材22が設けられていない点を除き、本実施形態のコンテナ10と同一の構造を有している。図6に示されるように、参考例のコンテナ100では、設置部21の板状部材210の上面に収容物50が直接配置されている。したがって、参考例のコンテナ100では、空気流路S11を流れる冷風が各板状部材210の隙間を通じて収容物50に直接当たる構造となっている。このような参考例のコンテナ100における食品包装体70の凍結状態と、図1~図3に示される本実施形態のコンテナ10における食品包装体70の凍結状態とを発明者が実験的に確認した。
図7は、発明者により行われた実験の条件及び結果を示したものである。図7に示されるように、実験では、本実施形態のコンテナ10及び参考例のコンテナ100のいずれでもコンテナ内の温度は「-3.0[℃]」に設定された。また、食品包装体70として、生の豚肩ロース肉を真空シュリンクラッピングしたものを用いた。さらに、一つのケース51には4つの食品包装体70を収容した。4つの食品包装体70が収容された一つのケース51の総重量は「10[kgs]」であった。また、各コンテナ10,100内での保管期間は20日に設定した。
保管期間が経過した後、ケース51に収容される4つの食品包装体70の凍結状態を確認したところ、本実施形態のコンテナ10では、4つの食品包装体70のいずれも非凍結状態であった。これに対して、参考例のコンテナ100では、4つの食品包装体70のうちの3つが非凍結状態であり、1つが凍結状態であった。この実験結果により、参考例のコンテナ100のように、冷却装置40から吹き出される冷風が収容物50に直接当たるような構造の場合、食品包装体70が凍結し易くなることが分かる。これは、以下の理由によるものと考えられる。
図6のような冷却装置40が搭載されるコンテナ100では、図6に二点鎖線の矢印で示されるように冷風が流れるというのが一般的なユーザの認識である。すなわち、図2に示される冷却装置40の吹出口42から吹き出された冷風は、図6に二点鎖線の矢印で示されるようにコンテナ100の空気流路S11を扉部30に向かって流れた後、扉部30に沿って鉛直方向上方Z1に向かって流れ、続いてコンテナ100の上壁部201に沿って流れて、図2に示される冷却装置42の吸入口41に取り込まれるものと考えられていた。この点に関して本願の発明者が実験等を行ったところ、図6に実線の矢印で示されるように、実際には空気流路S11から各板状部材210の隙間を通じて収容物50に向かう冷風の流れが存在することを新たに発明者が発見した。そして、これが、収容物50内の食品包装体70の予期せぬ凍結を招いていることを発明者が新たに見いだした。
一方、本実施形態のコンテナ10では、図6に実線の矢印で示されるような空気流路S11から各板状部材210の隙間を通じて収容物50に向かう冷風の流れの対策として、図3に示されるように板状部材210の上面に遮断部材22を設置することが有効であることを新たに発見した。これにより、遮断部材22が、冷却装置40から吹き出される冷風が収容物50に直接当たることを抑制するため、収容物50の過度の冷却が抑制される。よって、本実施形態のコンテナ10では、参考例のコンテナ100と比較すると、食品包装体70が凍結し難くなっていると考えられる。
以上説明した本実施形態のコンテナ10によれば、以下の(1)~(4)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)コンテナ本体20の内部には遮断部材22が配置されている。遮断部材22は、コンテナ本体20の背壁部205から扉部30に向かって延びるように形成され、且つコンテナ本体20の底壁部204から鉛直方向上方に離間して配置されている。遮断部材22とコンテナ本体20の底壁部204との間に形成される隙間は空気流路S11を形成している。冷却装置40は、空気流路S11に冷風を吹き出す。遮断部材22の上面には収容物50が配置可能である。遮断部材22は、空気流路S11から収容物50に向かう方向の冷風の流れを遮断する。この構成によれば、冷却装置40から吹き出される冷風が収容物50に直接当たることを抑制できるため、収容物50が過度に冷却されることを回避できる。よって、より適切な状態で収容物50を輸送することが可能となる。
(2)遮断部材22は、断熱材である発泡スチロールにより形成されている。この構成によれば、空気流路S11を流れる冷風と収容物50とが更に熱交換し難くなるため、収容物50の過度の冷却を更に抑制することができる。
(3)遮断部材22は、設置部21の上面に取り外し可能に設けられている。設置部21は、幅方向Xに所定の間隔をあけて配置される複数の板状部材210を有している。この構成によれば、コンテナ10の内部に遮断部材22を容易に設置することが可能となる。
(4)電場形成部80は、コンテナ本体20の上壁部201に設けられている。この構成によれば、より均一な電場をコンテナ本体20の収容空間S12内に形成し易くなるため、より適切な状態で食品包装体70を保管し易くなる。
(変形例)
次に、第1実施形態のコンテナ10の変形例について説明する。
図8に示されるように、本変形例のコンテナ10では、遮断部材22が、コンテナ本体20の背壁部205からコンテナ本体20の奥行き方向Yの中央部付近まで配置されている。設置部21において遮断部材22が配置されていない部分に設けられる板状部材210の上面には、図8に示されるように別の収容物50aを直接配置することが可能である。なお、収容物50aは、収容物50と同一の食品を収容するものであってもよいし、収容物50とは異なる食品を収容するものであってもよい。
この構成によれば、収容物50aには、空気流路S11を流れる冷風が直接当たるようになるため、収容物50aの冷却効果を高めることができる。そのため、本変形例の構成は、より温度が低い状態で保存することが望ましい食品が収容物50a内に収容されている場合に有効である。
一方、同一の食品が包装された単数又は複数の食品包装体70をケース51に梱包する際に、その梱包方法の差異により食品の凍結温度が変化することがある。そのような場合、本変形例の構成を採用することで、例えば食品の凍結温度に応じて遮断部材22の上面及び板状部材210の上面のいずれに収容物50を配置するかを判断してもよい。
さらに、図8に示されるように遮断部材22を敷く範囲を制限したとしても、遮断部材22が配置されていない領域が、冷却装置40が配置されるコンテナ本体20の背壁部205から6m~8m程度離れていれば、空気流路S11からコンテナ本体20の上壁部201に向かって流れる冷風の勢いは減少している。そのため、遮断部材22が存在しない部分に配置された収容物50aは凍結し難いと考えられる。
また、コンテナ10では、コンテナ本体20の背壁部205から扉部30に向かうほど冷却装置40から遠ざかることになるため、コンテナ本体20の背壁部205から扉部30に向かうほど環境温度が上昇するような温度分布が生じやすい。そのため、図8に示されるように、コンテナ本体20の背壁部205の付近に配置される収容物50に対しては遮断部材22により冷風を直接当てないようにする一方、扉部30の付近に配置される収容物50aに対しては冷風を直接当てるようにすることで、収容物50及び収容物50aのそれぞれの温度を均一化させることも可能である。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態のコンテナ10について説明する。以下、第1実施形態のコンテナ10との相違点を中心に説明する。
本変形例のコンテナ10では、ケース51として、図9に示されるような発砲スチロール製のケースが用いられている。ケース51の内部には飽和食塩水510が封入されている。食品包装体70は、飽和食塩水510に浸水した状態でケース51の内部に収容されている。本実施形態では、飽和食塩水510が、水よりも凝固点が低い液体、導電性を有する液体、電解質を溶解させた液体、及び電解質の飽和溶液にそれぞれ相当する。
以上説明した本実施形態のコンテナ10によれば、以下の(5)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
(5)空気は絶縁抵抗値が非常に高い一方、食塩水510は導電性が高いことが知られている。そのため、ケース51の内部を飽和食塩水510で満たすことにより、電場形成部80により形成された電場が、より強く食品包装体70に作用するようになる。したがって、食品包装体70に対する電場効果をより高めることが可能である。また、食塩水510は、水よりも低い凝固点を有しているため、コンテナ10内を0℃未満に冷却した場合であっても凍結し難い。そのため、食品包装体70を0℃未満の環境で保存するような場合には、ケース51内に封入する液体として飽和食塩水510を用いることが特に有効である。
<他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第2実施形態のケース51に封入される液体は、飽和食塩水510に限らず、飽和状態でない食塩水であってもよい。また、ケース51に封入される液体は、食塩水に限らず、水よりも低い凝固点を有する任意の液体、あるいは導電性を有する任意の液体であってもよい。
・遮断部材22は、発泡スチロールに限らず、任意の断熱材、例えばベニヤ板や段ボール等により形成されていてもよい。また、遮断部材22は、空気流路を流れる冷風を遮断することができるのであれば、断熱性の低い材料により形成されていてもよい。なお、発泡スチロール(ポリスチレン)は、1016Ω以上の高い絶縁抵抗値を有する素材であり、そのような絶縁抵抗値の高い物体が遮断部材22として電場の発生場所(コンテナ本体20の上壁部201)とアース(コンテナ本体20の底壁部204)との間に存在する場合、食品包装体70内の食品に作用する電場効果が弱まる可能性がある。結果的に、相対的に温度が高いコンテナ10の内部環境でも食品包装体70内の食品が凍結するリスクが上昇する可能性がある。そのため、遮断部材22の素材としては、発泡スチロールと比べて絶縁抵抗値が低く(より電気を通しやすい)、且つ断熱性が低い素材を用いることも可能である。
・遮断部材22は設置部21の板状部材210の上面に接着等により固定されていてもよい。
・食品包装体70に対して施す処理としては、真空シュリンクラッピングに限らず、食品包装体70の内部の真空度を高める処理であれば任意の処理を採用することができる。なお、食品包装体70の内部の真空度を高める処理とは、食品包装体70の内部の圧力を大気圧よりも低くする処理である。このような処理としては、例えば食品包装体70の内部から空気を引き抜く、いわゆる脱気処理を行うことにより、シュリンクラッピングを行うことなく食品包装体70の内部を高真空にする処理を用いることができる。このようなシュリンクラッピングを伴わない真空パックや脱気パックを用いた場合でも、上記実施形態に類似の作用及び効果を得ることは可能である。なお、魚介類等の水産物(例えばサーモン)のセミドレスのように現状、真空パックが施されずに裸の状態で輸送及び保管されているものに関しては、非シュリンク真空パックを用いることができる。また、豚肉等の畜肉に関しては、ルーズな真空パックではなく、敢えて真空シュリンクラッピングを用いることが望ましい。このように、食品包装体70は、真空シュリンクラッピング、非真空シュリンクラッピング、真空パック、及び脱気パック等が施されたものであればよい。
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。また、本開示において、例えば1つの「工程」、「ステップ」、「部」、「体」、「室」、「装置」、「機」、「器」、「手段」、「機構」、「システム」、及びそれらの一部や全部の機能や構成が、それらの2つ以上によって実現されてもよく、或いは、それらの2つ以上が、1つによって実現されてもよい。
S11:空気流路、10:コンテナ(収容庫)、20:コンテナ本体(収容庫本体)、21:設置部、22:遮断部材、30:扉部、40:冷却装置、50,50a:収容物、51:ケース、70:食品包装体、80:電場形成部、201:上壁部、204:底壁部、205:背壁部、210:板状部材、510:飽和食塩水。

Claims (14)

  1. 前端部に開口部を有する矩形箱状の収容庫本体と、
    前記収容庫本体の開口部を開閉させる扉部と、
    前記収容庫本体の内部を冷却する冷却装置と、
    前記収容庫本体の内部に電場を形成する電場形成部と、を備え、
    前記収容庫本体において、鉛直方向下方に位置する外壁部を底壁部とし、鉛直方向上方に位置する外壁部を上壁部とし、前記扉部とは反対側に位置する外壁部を背壁部とするとき、
    前記収容庫本体の内部には、前記収容庫本体の前記背壁部から前記扉部に向かって延びるように形成され、且つ前記収容庫本体の前記底壁部から鉛直方向上方に離間して配置される遮断部材が設けられ、
    前記遮断部材と前記収容庫本体の前記底壁部との間に形成される隙間は、空気流路を形成し、
    前記冷却装置は、前記空気流路とは異なる場所に設けられ、前記空気流路に冷風を吹き出し、
    前記遮断部材の上面には、収容物が配置可能であり、
    前記遮断部材は、前記空気流路から前記収容物に向かう冷風の流れを遮断する
    収容庫。
  2. 前記遮断部材は、断熱材である
    請求項1に記載の収容庫。
  3. 前記収容庫本体の内部には、前記収容庫本体の前記背壁部から前記扉部に向かって延びるように形成され、且つ前記収容庫本体の前記底壁部から鉛直方向上方に離間して配置される設置部が更に設けられ、
    前記遮断部材は、前記設置部の上面に設けられている
    請求項1に記載の収容庫。
  4. 前記設置部は、前記収容庫本体の前記背壁部から前記扉部に向かって延びるように形成され、且つ水平方向に所定の間隔をあけて配置される複数の板状部材を有する
    請求項3に記載の収容庫。
  5. 前記遮断部材は、前記設置部に対して取り外し可能に設けられている
    請求項3に記載の収容庫。
  6. 前記遮断部材は、発泡スチロール、ベニヤ板、及び段ボールのうちのいずれかにより形成されている
    請求項1に記載の収容庫。
  7. 前記電場形成部は、前記収容庫本体の前記上壁部に設けられている
    請求項1に記載の収容庫。
  8. 前記収容物は、包装体により食品を包装した食品包装体である
    請求項1に記載の収容庫。
  9. 前記収容物は、包装材により食品を被覆して真空シュリンクラッピング、非真空シュリンクラッピング、真空パック、及び脱気パックのいずれかが施された食品包装体である
    請求項1に記載の収容庫。
  10. 前記食品包装体は、導電性を有する液体が封入されたケースの内部に収容されている
    請求項8又は9に記載の収容庫。
  11. 前記導電性を有する液体は、電解質を溶解させた液体である
    請求項10に記載の収容庫。
  12. 前記電解質を溶解させた液体は、前記電解質の飽和溶液である
    請求項11に記載の収容庫。
  13. 前記食品包装体は、水よりも低い凝固点を有する液体が封入されたケースに収容されている
    請求項8又は9に記載の収容庫。
  14. 前記液体は、飽和食塩水である
    請求項13に記載の収容庫。
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