以下、本発明の詳細を説明する。
(導電性粒子)
本発明に係る導電性粒子は、導電部を有し、上記導電部の外表面に、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基と加熱により反応可能な熱反応性官能基を有する。上記熱硬化性官能基は、グリシジル基であってもよく、(メタ)アクリロイル基であってもよい。
本発明に係る導電性粒子では、上記の構成が備えられているので、導電接続時の導電性粒子の配置精度を高めることができる。本発明に係る導電性粒子では、接続されるべき上下の電極間に配置される導電性粒子の数が多くなり、接続抵抗が低くなる。また、接続されるべきではない横方向に隣接する電極間が、電気的に接続され難く、ショートの問題が生じ難くなる。
本発明に係る導電性粒子は、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基を有する熱硬化性化合物を含むバインダー樹脂中に分散されて好適に用いられる。本発明に係る導電性粒子をこのようなバインダー樹脂中に分散させた導電材料では、導電接続における加熱時に、導電部の表面の上記熱反応性官能基と、上記熱硬化性化合物のグリシジル基又は(メタ)アクリロイル基とが反応する。このため、導電接続における加熱時に、バインダー樹脂の粘度が過度に低下しても、該反応によってバインダー樹脂に対して導電部が固定される。結果として、加熱された導電材料中で導電性粒子が過度に流動し難くなり、導電性粒子の意図しない領域への流出を抑えることができる。
上記熱硬化性官能基は、触媒の存在しない環境下で、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基と加熱により反応可能であることが好ましい。
上記熱硬化性官能基は、重合開始剤の存在しない環境下で、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基と加熱により反応可能であることが好ましい。
導電性粒子の配置精度をより一層高めたり、導電接続を効果的に行ったりする観点からは、上記熱硬化性官能基は、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基と170℃での加熱により反応可能であることが好ましい。
上記熱反応性官能基としては、アミノ基、イミダゾール基、酸無水物基、メルカプト基、カルボキシ基及びヒドラジド基等が挙げられる。導電性粒子の配置精度をより一層高め、接続抵抗を効果的に低くし、ショートリスクを効果的に低くする観点からは、上記熱硬化性官能基は、アミノ基、イミダゾール基、酸無水物基又はメルカプト基であることが好ましい。上記熱硬化性官能基は、アミノ基であってもよく、アミノ基でなくてもよい。上記熱硬化性官能基は、イミダゾール基であってもよく、イミダゾール基でなくてもよい。上記熱硬化性官能基は、酸無水物基であってもよく、酸無水物基でなくてもよい。上記熱硬化性官能基は、メルカプト基であってもよく、メルカプト基でなくてもよい。
上記導電部の外表面に上記熱硬化性官能基を導入する方法としては特に限定されないが、例えば、カップリング剤により導電部の表面に水酸基へ導入する方法、及びリン酸基を介して熱硬化性官能基を導入する方法等が挙げられる。
導電性粒子の配置精度をより一層高め、接続抵抗を効果的に低くし、ショートリスクを効果的に低くする観点からは、上記熱反応性官能基が、Si-O基を介して上記導電部に修飾されていることが好ましい。
導電性粒子の配置精度をより一層高め、接続抵抗を効果的に低くし、ショートリスクを効果的に低くする観点からは、上記導電部が、熱反応性官能基を2個以上有するシランカップリング剤により表面処理されていることが好ましい。
上記導電性粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上であり、好ましくは1000μm以下、より好ましくは100μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。上記導電性粒子の粒子径が、上記下限以上及び上記上限以下であると、上記導電性粒子を用いて電極間を接続した場合に、導電性粒子と電極との接触面積が十分に大きくなり、かつ導電部を形成する際に凝集した導電性粒子が形成され難くなる。また、導電性粒子を介して接続された電極間の間隔が大きくなりすぎず、かつ導電部が基材粒子の表面から剥離し難くなる。
上記導電性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。上記導電性粒子の粒子径は、例えば、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各導電性粒子の粒子径の平均値を算出したり、粒度分布測定装置を用いたりして求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の導電性粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの導電性粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記導電性粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて算出することが好ましい。
上記導電性粒子の粒子径の変動係数(CV値)は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下である。上記導電性粒子の粒子径の変動係数が、上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記変動係数(CV値)は、以下のようにして測定できる。
CV値(%)=(ρ/Dn)×100
ρ:導電性粒子の粒子径の標準偏差
Dn:導電性粒子の粒子径の平均値
上記導電性粒子の形状は特に限定されない。上記導電性粒子の形状は、球状であってもよく、球状以外の形状であってもよく、扁平状等の形状であってもよい。
以下、図面を参照しつつ、本発明を具体的に説明する。なお、図1及び後述する図において、異なる箇所は互いに置き換え可能である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図1に示す導電性粒子1は、基材粒子2と、導電部3とを有する。導電部3は、基材粒子2の表面上に配置されている。第1の実施形態では、導電部3は、基材粒子2の表面に接している。導電性粒子1は、基材粒子2の表面が導電部3により被覆された被覆粒子である。
導電性粒子1では、導電部3は、単層の導電層である。上記導電性粒子では、上記導電部が上記基材粒子の表面の全体を覆っていてもよく、上記導電部が上記基材粒子の表面の一部を覆っていてもよい。上記導電性粒子では、上記導電部は、単層の導電層であってもよく、2層以上の層から構成される多層の導電層であってもよい。
導電性粒子1は、後述する導電性粒子11,21とは異なり、芯物質を有さない。導電性粒子1は表面に突起を有さない。導電性粒子1は球状である。導電部3は外表面に突起を有さない。このように、本発明に係る導電性粒子は導電性の表面に突起を有していなくてもよく、球状であってもよい。また、導電性粒子1は、後述する導電性粒子11,21とは異なり、絶縁性物質を有さない。但し、導電性粒子1は、導電部3の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。
図2は、本発明の第2の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図2に示す導電性粒子11は、基材粒子2と、導電部12と、複数の芯物質13と、複数の絶縁性物質14とを有する。導電部12は、基材粒子2の表面上に基材粒子2に接するように配置されている。
導電性粒子11では、導電部12は、単層の導電層である。上記導電性粒子では、上記導電部が上記基材粒子の表面の全体を覆っていてもよく、上記導電部が上記基材粒子の表面の一部を覆っていてもよい。上記導電性粒子では、上記導電部は、単層の導電層であってもよく、2層以上の層から構成される多層の導電層であってもよい。
導電性粒子11は導電性の表面に、複数の突起11aを有する。導電部12は外表面に、複数の突起12aを有する。複数の芯物質13が、基材粒子2の表面上に配置されている。複数の芯物質13は、導電部12内に埋め込まれている。芯物質13は、突起11a,12aの内側に配置されている。導電部12は、複数の芯物質13を被覆している。複数の芯物質13により導電部12の外表面が隆起されており、突起11a,12aが形成されている。
導電性粒子11は、導電部12の外表面上に配置された絶縁性物質14を有する。導電部12の外表面の少なくとも一部の領域が、絶縁性物質14により被覆されている。絶縁性物質14は絶縁性を有する材料により形成されており、絶縁性粒子である。このように、本発明に係る導電性粒子は、導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を有していてもよい。但し、本発明に係る導電性粒子は、絶縁性物質を必ずしも有していなくてもよい。
図3は、本発明の第3の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図3に示す導電性粒子21は、基材粒子2と、導電部22と、複数の芯物質13と、複数の絶縁性物質14とを有する。導電部22は全体で、基材粒子2側に第1の導電部22Aと、基材粒子2側とは反対側に第2の導電部22Bとを有する。
導電性粒子11と導電性粒子21とでは、導電部のみが異なっている。すなわち、導電性粒子11では、1層構造の導電部12が形成されているのに対し、導電性粒子21では、2層構造の第1の導電部22A及び第2の導電部22Bが形成されている。第1の導電部22Aと第2の導電部22Bとは別の導電部として形成されている。
第1の導電部22Aは、基材粒子2の表面上に配置されている。基材粒子2と第2の導電部22Bとの間に、第1の導電部22Aが配置されている。第1の導電部22Aは、基材粒子2に接している。第2の導電部22Bは、第1の導電部22Aに接している。従って、基材粒子2の表面上に第1の導電部22Aが配置されており、第1の導電部22Aの表面上に第2の導電部22Bが配置されている。導電性粒子21は導電性の表面に、複数の突起21aを有する。導電部22は外表面に複数の突起22aを有する。第1の導電部22Aは外表面に、複数の突起22Aaを有する。第2の導電部22Bは外表面に、複数の突起22Baを有する。
図4は、本発明の第4の実施形態に係る導電性粒子を示す断面図である。
図4に示す導電性粒子31は、全体が導電部である。導電性粒子31は、中心部分及び表面部分の双方が、導電部により形成されている。導電性粒子31は、基材粒子を有さない。
導電性粒子1,11,21は、導電部3,12,22の外表面に、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基と加熱により反応可能な熱反応性官能基を有する。導電部である導電性粒子31は外表面に、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基と加熱により反応可能な熱反応性官能基を有する。グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基と加熱により反応可能な熱反応性官能基は、導電部の外表面上に配置された被膜として形成されていてもよい。
以下、導電性粒子の他の詳細について説明する。
(基材粒子)
上記基材粒子の材料は特に限定されない。上記基材粒子の材料は、有機材料であってもよく、無機材料であってもよい。上記有機材料のみより形成された基材粒子としては、樹脂粒子等が挙げられる。上記無機材料のみにより形成された基材粒子としては、金属を除く無機粒子等が挙げられる。上記有機材料と上記無機材料との双方により形成された基材粒子としては、有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。初期の接続抵抗をより一層低くし、導通信頼性をより一層高める観点からは、上記基材粒子は、樹脂粒子又は有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましく、樹脂粒子であることがより好ましい。
上記基材粒子は、金属粒子でなくてもよい。
上記有機材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン等のポリオレフィン樹脂;ポリメチルメタクリレート及びポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂;ポリカーボネート、ポリアミド、フェノールホルムアルデヒド樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミンホルムアルデヒド樹脂、尿素ホルムアルデヒド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ジビニルベンゼン重合体、並びにジビニルベンゼン共重合体等が挙げられる。上記ジビニルベンゼン共重合体等としては、ジビニルベンゼン-スチレン共重合体及びジビニルベンゼン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記基材粒子の圧縮特性を好適な範囲に容易に制御できるので、上記基材粒子の材料は、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を1種又は2種以上重合させた重合体であることが好ましい。
上記基材粒子を、エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させて得る場合、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体としては、非架橋性の単量体と架橋性の単量体とが挙げられる。
上記非架橋性の単量体としては、ビニル化合物として、スチレン、α-メチルスチレン、クロルスチレン等のスチレン単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等の酸ビニルエステル化合物;塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリル化合物として、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の酸素原子含有(メタ)アクリレート化合物;(メタ)アクリロニトリル等のニトリル含有単量体;トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等のハロゲン含有(メタ)アクリレート化合物;α-オレフィン化合物として、ジイソブチレン、イソブチレン、リニアレン、エチレン、プロピレン等のオレフィン化合物;共役ジエン化合物として、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
上記架橋性の単量体としては、ビニル化合物として、ジビニルベンゼン、1,4-ジビニロキシブタン、ジビニルスルホン等のビニル単量体;(メタ)アクリル化合物として、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート化合物;アリル化合物として、トリアリル(イソ)シアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル;シラン化合物として、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソプロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、トリメトキシシリルスチレン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のシランアルコキシド化合物;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメトキシメチルビニルシシラン、ジメトキシエチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシエチルビニルシラン、エチルメチルジビニルシラン、メチルビニルジメトキシシラン、エチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン、エチルビニルジエトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性二重結合含有シランアルコキシド;デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状シロキサン;片末端変性シリコーンオイル、両末端シリコーンオイル、側鎖型シリコーンオイル等の変性(反応性)シリコーンオイル;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸等のカルボキシル基含有単量体等が挙げられる。
上記基材粒子は、上記エチレン性不飽和基を有する重合性単量体を重合させることによって得ることができる。上記の重合方法としては特に限定されず、ラジカル重合、イオン重合、重縮合(縮合重合、縮重合)、付加縮合、リビング重合、及びリビングラジカル重合等の公知の方法が挙げられる。また、他の重合方法としては、ラジカル重合開始剤の存在下での懸濁重合が挙げられる。
上記無機材料としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア、カーボンブラック、ケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、ソーダ石灰ガラス及びアルミナシリケートガラス等が挙げられる。
上記基材粒子は、有機無機ハイブリッド粒子であってもよい。上記基材粒子は、コアシェル粒子であってもよい。上記基材粒子が有機無機ハイブリッド粒子である場合に、上記基材粒子の材料である無機物としては、シリカ、アルミナ、チタン酸バリウム、ジルコニア及びカーボンブラック等が挙げられる。上記無機物は金属ではないことが好ましい。上記シリカにより形成された基材粒子としては特に限定されないが、加水分解性のアルコキシシリル基を2つ以上持つケイ素化合物を加水分解して架橋重合体粒子を形成した後に、必要に応じて焼成を行うことにより得られる基材粒子が挙げられる。上記有機無機ハイブリッド粒子としては、架橋したアルコキシシリルポリマーとアクリル樹脂とにより形成された有機無機ハイブリッド粒子等が挙げられる。
上記有機無機ハイブリッド粒子は、コアと、該コアの表面上に配置されたシェルとを有するコアシェル型の有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。上記コアが有機コアであることが好ましい。上記シェルが無機シェルであることが好ましい。上記基材粒子は、有機コアと上記有機コアの表面上に配置された無機シェルとを有する有機無機ハイブリッド粒子であることが好ましい。
上記有機コアの材料としては、上述した有機材料等が挙げられる。
上記無機シェルの材料としては、上述した基材粒子の材料として挙げた無機物が挙げられる。上記無機シェルの材料は、シリカであることが好ましい。上記無機シェルは、上記コアの表面上で、金属アルコキシドをゾルゲル法によりシェル状物とした後、該シェル状物を焼成させることにより形成されていることが好ましい。上記金属アルコキシドはシランアルコキシドであることが好ましい。上記無機シェルはシランアルコキシドにより形成されていることが好ましい。
上記基材粒子の粒子径は、上記導電性粒子の粒子径を考慮して、選択することができる。上記基材粒子の粒子径は、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは1μm以上である。上記基材粒子の粒子径は、好ましくは1000μm以下、より好ましくは500μm以下、より一層好ましくは300μm以下、さらに好ましくは50μm以下、さらに一層好ましくは10μm以下、特に好ましくは3μm以下である。上記基材粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子と電極との接触面積が大きくなるため、電極間の導通信頼性をより一層高めることができ、導電性粒子を介して接続された電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。さらに、基材粒子の表面に導電部を無電解めっきにより形成する際に、凝集した導電性粒子を形成され難くすることができる。上記基材粒子の粒子径が上記上限以下であると、導電性粒子が十分に圧縮されやすく、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができ、さらに電極間の間隔をより小さくすることができる。
上記基材粒子の粒子径は、1μm以上3μm以下であることが特に好ましい。上記基材粒子の粒子径が、1μm以上3μm以下の範囲内であると、基材粒子の表面に導電部を形成する際に凝集し難くなり、凝集した導電性粒子が形成され難くなる。
上記基材粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。上記基材粒子の粒子径は、任意の基材粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各基材粒子の粒子径の平均値を算出したり、粒度分布測定装置を用いたりして求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの基材粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の基材粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの基材粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記基材粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて算出することが好ましい。導電性粒子において、上記基材粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子の含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。検査用埋め込み樹脂中に分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率を25000倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の基材粒子を観察する。各導電性粒子における基材粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して基材粒子の粒子径とする。
(導電部)
本発明に係る導電性粒子は、導電部を有する。本発明に係る導電性粒子は、基材粒子と、上記基材粒子の表面上に配置された導電部とを備えていてもよい。上記導電部は、金属を含むことが好ましい。上記導電部を構成する金属は特に限定されない。
上記導電部を構成する金属としては、金、銀、パラジウム、銅、白金、亜鉛、鉄、錫、鉛、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、タリウム、ゲルマニウム、カドミウム、ケイ素、タングステン、モリブデン及びこれらの合金等が挙げられる。また、上記導電部を構成する金属としては、錫ドープ酸化インジウム(ITO)及びはんだ等が挙げられる。上記導電部を構成する金属は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くする観点からは、上記導電部は、ニッケル、金、パラジウム、銀、又は銅を含むことが好ましく、ニッケル、金又はパラジウムを含むことがより好ましく、ニッケルを含むことが特に好ましい。
ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは50重量%以上、より一層好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。上記ニッケルを含む導電部100重量%中のニッケルの含有量は、97重量%以上であってもよく、97.5重量%以上であってもよく、98重量%以上であってもよく、100重量%であってもよい。
なお、導電部の表面には、酸化により水酸基が存在することが多い。一般的に、ニッケルにより形成された導電部の表面には、酸化により水酸基が存在する。このような水酸基を有する導電部の表面(導電性粒子の表面)に、化学結合を介して、絶縁性物質を配置できる。
上記導電部は、1つの層により形成されていてもよい。上記導電部は、複数の層により形成されていてもよい。すなわち、上記導電部は、2層以上の積層構造を有していてもよい。上記導電部が複数の層により形成されている場合には、最外層を構成する金属は、金、ニッケル、パラジウム、銅又は錫と銀とを含む合金であることが好ましく、金であることがより好ましい。最外層を構成する金属がこれらの好ましい金属である場合には、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。また、最外層を構成する金属が金である場合には、耐腐食性がより一層高くなる。最外層を構成する金属は、ニッケルであってもよい。
上記基材粒子の表面上に導電部を形成する方法は特に限定されない。上記導電部を形成する方法としては、無電解めっきによる方法、電気めっきによる方法、物理的な衝突による方法、メカノケミカル反応による方法、物理的蒸着又は物理的吸着による方法、並びに金属粉末もしくは金属粉末とバインダーとを含むペーストを基材粒子の表面にコーティングする方法等が挙げられる。上記導電部を形成する方法は、無電解めっき、電気めっき又は物理的な衝突による方法であることが好ましい。上記物理的蒸着による方法としては、真空蒸着、イオンプレーティング及びイオンスパッタリング等の方法が挙げられる。また、上記物理的な衝突による方法としては、シーターコンポーザ(徳寿工作所社製)等が用いられる。
上記導電部の厚みは、好ましくは0.005μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、さらに好ましくは0.3μm以下である。上記導電部の厚みは、導電部が多層である場合には導電部全体の厚みである。導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、十分な導電性が得られ、かつ導電性粒子が硬くなりすぎずに、電極間の接続の際に導電性粒子を十分に変形させることができる。
上記導電部が複数の層により形成されている場合に、最外層の導電部の厚みは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上であり、好ましくは0.5μm以下、より好ましくは0.1μm以下である。上記最外層の導電部の厚みが、上記下限以上及び上記上限以下であると、最外層の導電部による被覆が均一になり、耐腐食性が十分に高くなり、かつ電極間の接続抵抗を十分に低くすることができる。また、上記最外層を構成する金属が金である場合には、最外層の厚みが薄いほど、コストを低くすることができる。
上記導電部の厚みは、例えば透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、導電性粒子の断面を観察することにより測定できる。上記導電部の厚みについては、任意の導電部の厚み5箇所の平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することが好ましく、導電部全体の厚みの平均値を1個の導電性粒子の導電部の厚みとして算出することがより好ましい。上記導電部の厚みは、任意の導電性粒子10個について、各導電性粒子の導電部の厚みの平均値を算出することにより求めることが好ましい。
(芯物質及び突起)
上記導電性粒子は、上記導電部の外表面に突起を有することが好ましい。上記突起は、複数であることが好ましい。導電性粒子により接続される電極の表面には、酸化被膜が形成されていることが多い。導電部の表面に突起を有する導電性粒子を用いた場合には、電極間に導電性粒子を配置して圧着させることにより、突起により上記酸化被膜を効果的に排除できる。このため、電極と導電部とがより一層確実に接触し、電極間の接続抵抗がより一層低くなる。さらに、導電性粒子が絶縁性物質を備える場合に、又は導電性粒子がバインダー樹脂に分散されて導電材料として用いられる場合に、導電性粒子の突起によって、導電性粒子と電極との間の絶縁性物質又はバインダー樹脂をより一層効果的に排除できる。このため、電極間の接続抵抗をより一層低くすることができる。
上記導電性粒子は、上記導電部内において、複数の上記突起を形成するように、上記導電部内において、上記導電部の表面を隆起させている複数の芯物質を備えることが好ましい。
上記突起を形成する方法としては、基材粒子の表面に芯物質を付着させた後、無電解めっきにより導電部を形成する方法、並びに基材粒子の表面に無電解めっきにより導電部を形成した後、芯物質を付着させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等が挙げられる。また、上記突起を形成するために、上記芯物質を用いなくてもよい。
上記突起を形成する他の方法としては、基材粒子の表面上に導電部を形成する途中段階で、芯物質を添加する方法等が挙げられる。また、突起を形成するために、上記芯物質を用いずに、基材粒子に無電解めっきにより導電部を形成した後、導電部の表面上に突起状にめっきを析出させ、さらに無電解めっきにより導電部を形成する方法等を用いてもよい。
基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法としては、基材粒子の分散液中に、芯物質を添加し、基材粒子の表面に芯物質を、ファンデルワールス力により集積させ、付着させる方法、並びに基材粒子を入れた容器に、芯物質を添加し、容器の回転等による機械的な作用により基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法等が挙げられる。付着させる芯物質の量を制御する観点からは、基材粒子の表面に芯物質を付着させる方法は、分散液中の基材粒子の表面に芯物質を集積させ、付着させる方法であることが好ましい。
上記芯物質を構成する物質としては、導電性物質及び非導電性物質が挙げられる。上記導電性物質としては、金属、金属の酸化物、黒鉛等の導電性非金属及び導電性ポリマー等が挙げられる。上記導電性ポリマーとしては、ポリアセチレン等が挙げられる。上記非導電性物質としては、シリカ、アルミナ及びジルコニア等が挙げられる。酸化被膜をより一層効果的に排除する観点からは、上記芯物質は硬い方が好ましい。電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くする観点からは、上記芯物質は、金属であることが好ましい。
上記金属は特に限定されない。上記金属としては、金、銀、銅、白金、亜鉛、鉄、鉛、錫、アルミニウム、コバルト、インジウム、ニッケル、クロム、チタン、アンチモン、ビスマス、ゲルマニウム及びカドミウム等の金属、並びに錫-鉛合金、錫-銅合金、錫-銀合金、錫-鉛-銀合金及び炭化タングステン等の2種類以上の金属で構成される合金等が挙げられる。電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くする観点からは、上記金属は、ニッケル、銅、銀又は金であることが好ましい。上記金属は、上記導電部(導電層)を構成する金属と同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記芯物質の形状は特に限定されない。芯物質の形状は塊状であることが好ましい。芯物質としては、粒子状の塊、複数の微小粒子が凝集した凝集塊、及び不定形の塊等が挙げられる。
上記芯物質の粒子径は、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記芯物質の粒子径が、上記下限以上及び上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
上記芯物質の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることがより好ましい。芯物質の粒子径は、任意の芯物質50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各芯物質の粒子径の平均値を算出することや、粒度分布測定装置を用いて求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの芯物質の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の芯物質の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの芯物質の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記芯物質の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて算出することが好ましい。
初期の接続抵抗をより一層低くし、高温高湿下での導通信頼性をより一層高める観点からは、上記導電部の外表面の全表面積100%中、上記突起がある部分の表面積は好ましくは25%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上である。上記突起がある部分の表面積は、95%以下であってもよく、90%以下であってもよく、80%以下であってもよい。
上記導電性粒子1個当たりの上記突起の数は、好ましくは3個以上、より好ましくは5個以上である。上記突起の数の上限は特に限定されない。上記突起の数の上限は導電性粒子の粒子径等を考慮して適宜選択できる。上記突起の数が、上記下限以上であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
上記突起の数は、任意の導電性粒子を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察して算出することができる。上記突起の数は、任意の導電性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各導電性粒子における突起の数の平均値を算出することにより求めることが好ましい。
上記突起の高さは、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.05μm以上であり、好ましくは0.9μm以下、より好ましくは0.2μm以下である。上記突起の高さが、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。
上記突起の高さは、任意の導電性粒子における突起を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察して算出することができる。上記突起の高さは、導電性粒子1個当たりのすべての突起の高さの平均値を1個の導電性粒子の突起の高さとして算出することが好ましい。上記突起の高さは、任意の導電性粒子50個について、各導電性粒子の突起の高さの平均値を算出することにより求めることが好ましい。
(絶縁性物質)
導通性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備えていなくてもよい。絶縁信頼性をより一層高める観点からは、上記導電性粒子は、上記導電部の外表面上に配置された絶縁性物質を備えることが好ましい。この場合には、上記導電性粒子を電極間の接続に用いると、隣接する電極間の短絡をより一層効果的に防止できる。具体的には、複数の導電性粒子が接触したときに、複数の電極間に絶縁性物質が存在するので、上下の電極間ではなく横方向に隣り合う電極間の短絡を防止できる。なお、電極間の接続の際に、2つの電極で導電性粒子を加圧することにより、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質を容易に排除できる。さらに、導電部の外表面に突起を有する導電性粒子である場合には、導電性粒子の導電部と電極との間の絶縁性物質をより一層容易に排除できる。
上記絶縁性物質としては、絶縁層及び絶縁性粒子等が挙げられる。電極間の圧着時に上記絶縁性物質をより一層容易に排除できることから、上記絶縁性物質は、絶縁性粒子であることが好ましい。
上記絶縁性物質の材料としては、上述した有機材料、上述した無機材料、及び上述した基材粒子の材料として挙げた無機物等が挙げられる。上記絶縁性物質の材料は、上述した有機材料であることが好ましい。
上記絶縁性物質の他の材料としては、ポリオレフィン化合物、(メタ)アクリレート重合体、(メタ)アクリレート共重合体、ブロックポリマー、熱可塑性樹脂、熱可塑性樹脂の架橋物、熱硬化性樹脂及び水溶性樹脂等が挙げられる。上記絶縁性物質の材料は、1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ポリオレフィン化合物としては、ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びエチレン-アクリル酸エステル共重合体等が挙げられる。上記(メタ)アクリレート重合体としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート及びポリステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記ブロックポリマーとしては、ポリスチレン、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、SB型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、及びSBS型スチレン-ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらの水素添加物等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ビニル重合体及びビニル共重合体等が挙げられる。上記熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、フェノール樹脂及びメラミン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂の架橋物としては、ポリエチレングリコールメタクリレート、アルコキシ化トリメチロールプロパンメタクリレートやアルコキシ化ペンタエリスリトールメタクリレート等の導入が挙げられる。上記水溶性樹脂としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキシド及びメチルセルロース等が挙げられる。また、重合度の調整に、連鎖移動剤を使用してもよい。連鎖移動剤としては、チオールや四塩化炭素等が挙げられる。
上記導電部の表面上に上記絶縁性物質を配置する方法としては、化学的方法、及び物理的もしくは機械的方法等が挙げられる。上記化学的方法としては、界面重合法、粒子存在下での懸濁重合法及び乳化重合法等が挙げられる。上記物理的もしくは機械的方法としては、スプレードライ、ハイブリダイゼーション、静電付着法、噴霧法、ディッピング及び真空蒸着による方法等が挙げられる。電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性及び導通信頼性をより一層効果的に高める観点からは、上記導電部の表面上に上記絶縁性物質を配置する方法は、物理的方法であることが好ましい。
上記導電部の外表面、及び上記絶縁性物質の外表面はそれぞれ、反応性官能基を有する化合物によって被覆されていてもよい。上記導電部の外表面と上記絶縁性物質の外表面とは、直接化学結合していなくてもよく、反応性官能基を有する化合物によって間接的に化学結合していてもよい。上記導電部の外表面にカルボキシル基を導入した後、該カルボキシル基がポリエチレンイミン等の高分子電解質を介して絶縁性物質の外表面の官能基と化学結合していても構わない。
上記絶縁性物質が絶縁性粒子である場合、上記絶縁性粒子の粒子径は、導電性粒子の粒子径及び導電性粒子の用途等によって適宜選択できる。上記絶縁性粒子の粒子径は、好ましくは10nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは300nm以上、特に好ましくは500nm以上であり、好ましくは4000nm以下、より好ましくは2000nm以下、さらに好ましくは1500nm以下、特に好ましくは1000nm以下である。絶縁性粒子の粒子径が上記下限以上であると、導電性粒子がバインダー樹脂中に分散されたときに、複数の導電性粒子における導電部同士が接触し難くなる。絶縁性粒子の粒子径が上記上限以下であると、電極間の接続の際に、電極と導電性粒子との間の絶縁性粒子を排除するために、圧力を高くしすぎる必要がなくなり、高温に加熱する必要もなくなる。
上記絶縁性粒子の粒子径は、平均粒子径であることが好ましく、数平均粒子径であることが好ましい。絶縁性粒子の粒子径は、任意の絶縁性粒子50個を電子顕微鏡又は光学顕微鏡にて観察し、各絶縁性粒子の粒子径の平均値を算出したり、粒度分布測定装置を用いたりして求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察では、1個当たりの絶縁性粒子の粒子径は、円相当径での粒子径として求められる。電子顕微鏡又は光学顕微鏡での観察において、任意の50個の絶縁性粒子の円相当径での平均粒子径は、球相当径での平均粒子径とほぼ等しくなる。粒度分布測定装置では、1個当たりの絶縁性粒子の粒子径は、球相当径での粒子径として求められる。上記絶縁性粒子の平均粒子径は、粒度分布測定装置を用いて算出することが好ましい。上記導電性粒子において、上記絶縁性粒子の粒子径を測定する場合には、例えば、以下のようにして測定できる。
導電性粒子を含有量が30重量%となるように、Kulzer社製「テクノビット4000」に添加し、分散させて、導電性粒子検査用埋め込み樹脂を作製する。その検査用埋め込み樹脂中の分散した導電性粒子の中心付近を通るようにイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製「IM4000」)を用いて、導電性粒子の断面を切り出す。そして、電界放射型走査型電子顕微鏡(FE-SEM)を用いて、画像倍率5万倍に設定し、50個の導電性粒子を無作為に選択し、各導電性粒子の絶縁性粒子を観察する。各導電性粒子における絶縁性粒子の粒子径を計測し、それらを算術平均して絶縁性粒子の粒子径とする。
上記導電性粒子の粒子径の、上記絶縁性粒子の粒子径に対する比(導電性粒子の粒子径/絶縁性粒子の粒子径)は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上であり、好ましくは200以下、より好ましくは100以下である。上記比(導電性粒子の粒子径/絶縁性粒子の粒子径)が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間を電気的に接続した場合に、絶縁信頼性及び導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。
また、上記絶縁性物質が表面に、絶縁性物質が表面に、グリシジル基を有さないことが好ましく、(メタ)アクリロイル基を有さないことが好ましい。上記絶縁性物質が表面に、グリシジル基及び(メタ)アクリロイル基の双方を有さないことが好ましい。
本発明に係る導電性粒子では、上記熱反応性官能基は、上記導電部と上記絶縁性物質と結合させる目的以外の目的で、導入されていることが好ましい。上記導電部と上記絶縁性物質とが、上記導電部の上記熱反応性官能基が反応した基により結合していないことが好ましい。
(導電材料)
本発明に係る導電材料は、上述した導電性粒子と、バインダー樹脂とを含む。上記導電性粒子は、バインダー樹脂中に分散されて用いられることが好ましく、バインダー樹脂中に分散されて導電材料として用いられることが好ましい。上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。上記導電材料は、電極間の電気的な接続に用いられることが好ましい。上記導電材料は回路接続用導電材料であることが好ましい。上記導電材料では、上述した導電性粒子が用いられているので、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができ、導電性粒子同士の凝集の発生をより一層効果的に抑制することができる。上記導電材料では、上述した導電性粒子が用いられているので、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができる。
上記バインダー樹脂は特に限定されない。上記バインダー樹脂として、公知の絶縁性の樹脂が用いられる。上記バインダー樹脂は、熱可塑性成分(熱可塑性化合物)又は硬化性成分を含むことが好ましく、硬化性成分を含むことがより好ましい。上記硬化性成分としては、光硬化性成分及び熱硬化性成分が挙げられる。上記光硬化性成分は、光硬化性化合物及び光重合開始剤を含むことが好ましい。上記熱硬化性成分は、熱硬化性化合物及び熱硬化剤を含むことが好ましい。
上記バインダー樹脂としては、ビニル樹脂、熱可塑性樹脂、硬化性樹脂、熱可塑性ブロック共重合体及びエラストマー等が挙げられる。上記バインダー樹脂は1種のみが用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記ビニル樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂及びスチレン樹脂等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体及びポリアミド樹脂等が挙げられる。上記硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂等が挙げられる。なお、上記硬化性樹脂は、常温硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、光硬化型樹脂又は湿気硬化型樹脂であってもよい。上記硬化性樹脂は、硬化剤と併用されてもよい。上記熱可塑性ブロック共重合体としては、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体の水素添加物、及びスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の水素添加物等が挙げられる。上記エラストマーとしては、スチレン-ブタジエン共重合ゴム、及びアクリロニトリル-スチレンブロック共重合ゴム等が挙げられる。
導電性粒子の配置精度を高め、接続抵抗を効果的に低くする観点からは、上記バインダー樹脂は、グリシジル基又は(メタ)アクリロイル基を有する熱硬化性化合物を含むことが好ましい。上記熱硬化性化合物は、グリシジル基を有していてもよく、(メタ)アクリロイル基を有していてもよい。
上記導電材料は、上記導電性粒子及び上記バインダー樹脂の他に、例えば、充填剤、増量剤、軟化剤、可塑剤、重合触媒、硬化触媒、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤及び難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法は、従来公知の分散方法を用いることができ、特に限定されない。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を分散させる方法としては、以下の方法等が挙げられる。上記バインダー樹脂中に上記導電性粒子を添加した後、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記導電性粒子を水又は有機溶剤中にホモジナイザー等を用いて均一に分散させた後、上記バインダー樹脂中に添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。上記バインダー樹脂を水又は有機溶剤等で希釈した後、上記導電性粒子を添加し、プラネタリーミキサー等で混練して分散させる方法。
上記導電材料の25℃での粘度(η25)は、好ましくは30Pa・s以上、より好ましくは50Pa・s以上であり、好ましくは400Pa・s以下、より好ましくは300Pa・s以下である。上記導電材料の25℃での粘度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の絶縁信頼性をより一層効果的に高めることができ、電極間の導通信頼性をより一層効果的に高めることができる。上記粘度(η25)は、配合成分の種類及び配合量により適宜調整することができる。
上記粘度(η25)は、例えば、E型粘度計(東機産業社製「TVE22L」)等を用いて、25℃及び5rpmの条件で測定することができる。
本発明に係る導電材料は、導電ペースト及び導電フィルム等として使用され得る。本発明に係る導電材料が、導電フィルムである場合には、導電性粒子を含む導電フィルムに、導電性粒子を含まないフィルムが積層されていてもよい。上記導電ペーストは、異方性導電ペーストであることが好ましい。上記導電フィルムは、異方性導電フィルムであることが好ましい。
上記導電材料100重量%中、上記バインダー樹脂の含有量は、好ましくは10重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上、特に好ましくは70重量%以上であり、好ましくは99.99重量%以下、より好ましくは99.9重量%以下である。上記バインダー樹脂の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間に導電性粒子が効率的に配置され、導電材料により接続された接続対象部材の接続信頼性をより一層高めることができる。
上記導電材料100重量%中、上記導電性粒子の含有量は、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.1重量%以上であり、好ましくは80重量%以下、より好ましくは60重量%以下、さらに好ましくは40重量%以下、特に好ましくは20重量%以下、最も好ましくは10重量%以下である。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の接続抵抗をより一層効果的に低くすることができる。上記導電性粒子の含有量が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高めることができる。
(接続構造体)
本発明に係る接続構造体は、第1の電極を表面に有する第1の接続対象部材と、第2の電極を表面に有する第2の接続対象部材と、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とを接続している接続部とを備える。本発明に係る接続構造体では、上記接続部の材料が、上述した導電性粒子とバインダー樹脂とを含む導電材料である。本発明に係る接続構造体では、上記第1の電極と上記第2の電極とが上記導電性粒子により電気的に接続されている。
上記接続構造体は、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材との間に、上記導電性粒子又は上記導電材料を配置する工程と、熱圧着することにより導電接続する工程とを経て、得ることができる。上記導電性粒子が上記絶縁性物質を有する場合には、上記熱圧着時に、上記絶縁性物質が上記導電性粒子から脱離することが好ましい。
上記導電性粒子が単独で用いられた場合には、接続部自体が導電性粒子である。即ち、上記第1の接続対象部材と上記第2の接続対象部材とが上記導電性粒子により接続される。上記接続構造体を得るために用いられる上記導電材料は、異方性導電材料であることが好ましい。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る導電性粒子を用いた接続構造体を模式的に正面断面図である。
図5に示す接続構造体51は、第1の接続対象部材52と、第2の接続対象部材53と、第1,第2の接続対象部材52,53を接続している接続部54とを備える。接続部54は、導電性粒子1を含む導電材料を硬化させることにより形成されている。なお、図5では、導電性粒子1は、図示の便宜上、略図的に示されている。導電性粒子1に代えて、導電性粒子11,21等の他の導電性粒子を用いてもよい。
第1の接続対象部材52は表面(上面)に、複数の第1の電極52aを有する。第2の接続対象部材53は表面(下面)に、複数の第2の電極53aを有する。第1の電極52aと第2の電極53aとが、1つ又は複数の導電性粒子1により電気的に接続されている。従って、第1,第2の接続対象部材52,53が導電性粒子1により電気的に接続されている。
上記接続構造体の製造方法は特に限定されない。接続構造体の製造方法の一例としては、第1の接続対象部材と第2の接続対象部材との間に上記導電材料を配置し、積層体を得た後、該積層体を加熱及び加圧する方法等が挙げられる。上記熱圧着の圧力は好ましくは40MPa以上、より好ましくは60MPa以上であり、好ましくは90MPa以下、より好ましくは70MPa以下である。上記熱圧着の加熱の温度は、好ましくは80℃以上、より好ましくは100℃以上であり、好ましくは140℃以下、より好ましくは120℃以下である。上記熱圧着の圧力及び温度が、上記下限以上及び上記上限以下であると、電極間の導通信頼性及び絶縁信頼性をより一層高めることができる。また、上記導電性粒子が上記絶縁性粒子を有する場合には、導電接続時に導電性粒子の表面から絶縁性粒子が容易に脱離できる。
上記導電性粒子が上記絶縁性粒子を有する場合には、上記積層体を加熱及び加圧する際に、上記導電性粒子と、上記第1の電極及び上記第2の電極との間に存在している上記絶縁性粒子を排除することができる。例えば、上記加熱及び加圧の際には、上記導電性粒子と、上記第1の電極及び上記第2の電極との間に存在している上記絶縁性粒子が、上記導電性粒子の表面から容易に脱離する。なお、上記加熱及び加圧の際には、上記導電性粒子の表面から一部の上記絶縁性粒子が脱離して、上記導電部の表面が部分的に露出することがある。上記導電部の表面が露出した部分が、上記第1の電極及び上記第2の電極に接触することにより、上記導電性粒子を介して第1の電極と第2の電極とを電気的に接続することができる。
上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、特に限定されない。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材としては、具体的には、半導体チップ、半導体パッケージ、LEDチップ、LEDパッケージ、コンデンサ及びダイオード等の電子部品、並びに樹脂フィルム、プリント基板、フレキシブルプリント基板、フレキシブルフラットケーブル、リジッドフレキシブル基板、ガラスエポキシ基板及びガラス基板等の回路基板等の電子部品等が挙げられる。上記第1の接続対象部材及び第2の接続対象部材は、電子部品であることが好ましい。
上記接続対象部材に設けられている電極としては、金電極、ニッケル電極、錫電極、アルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極、SUS電極、及びタングステン電極等の金属電極が挙げられる。上記接続対象部材がフレキシブルプリント基板である場合には、上記電極は金電極、ニッケル電極、錫電極、銀電極又は銅電極であることが好ましい。上記接続対象部材がガラス基板である場合には、上記電極はアルミニウム電極、銅電極、モリブデン電極、銀電極又はタングステン電極であることが好ましい。なお、上記電極がアルミニウム電極である場合には、アルミニウムのみで形成された電極であってもよく、金属酸化物層の表面にアルミニウム層が積層された電極であってもよい。上記金属酸化物層の材料としては、3価の金属元素がドープされた酸化インジウム及び3価の金属元素がドープされた酸化亜鉛等が挙げられる。上記3価の金属元素としては、Sn、Al及びGa等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。本発明は、以下の実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)導電性粒子本体の作製
粒子径が3.0μmであるジビニルベンゼン共重合体樹脂粒子(積水化学工業社製「ミクロパールSP-203」)を用意した。
パラジウム触媒液を5重量%含むアルカリ溶液100重量部に、上記樹脂粒子10重量部を、超音波分散器を用いて分散させた後、溶液をろ過することにより、樹脂粒子を取り出した。次いで、樹脂粒子をジメチルアミンボラン1重量%溶液100重量部に添加し、樹脂粒子の表面を活性化させた。表面が活性化された樹脂粒子を十分に水洗した後、蒸留水500重量部に加え、分散させることにより、懸濁液を得た。
また、硫酸ニッケル0.23mol/L、ジメチルアミンボラン0.92mol/L、及びクエン酸ナトリウム0.5mol/Lを含むニッケルめっき液(pH8.5)を用意した。
得られた懸濁液を60℃にて攪拌しながら、上記ニッケルめっき液を懸濁液に徐々に滴下し、無電解ニッケルめっきを行った。樹脂粒子の表面に、厚み0.08μm程度の導電層(ニッケルとボロンとを含むニッケル-ボロン導電層)が形成されたときに、無電解めっき液の滴下を終了した。その後、懸濁液をろ過することにより、粒子を取り出し、水洗し、乾燥することにより、樹脂粒子の表面上にニッケル-ボロン導電層(厚み0.1μm)を有する導電性粒子を導電性粒子本体Aとして得た。
(2)導電性粒子本体の表面修飾処理
95重量%エタノール水150重量部に、得られた導電性粒子本体Aを5重量部と、3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-903」)1.5重量部とを添加し、50℃で20分間超音波分散した。導電層の外表面にアミノ基を有する導電性粒子を得た。
(実施例2)
3-アミノプロピルトリメトキシシランをリン酸エタノールアミン(東京化成社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面にアミノ基を有する導電性粒子を得た。
(実施例3)
3-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部を有機ポリマー型多官能アミノシランカップリング剤(信越化学工業社製「X-12-972F」)3.0重量部に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面にアミノ基を有する導電性粒子を得た。
(実施例4)
3-アミノプロピルトリメトキシシランをアミノ基含有ポリオルガノアルコキシシラン化合物(信越化学工業社製「KBP-90」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面にアミノ基を有する導電性粒子を得た。
(実施例5)
3-アミノプロピルトリメトキシシランを3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製「KBM-803」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面にメルカプト基を有する導電性粒子を得た。
(実施例6)
3-アミノプロピルトリメトキシシランを有機ポリマー型多官能メルカプトシランカップリング剤(信越化学工業社製「X―12―1154」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面にメルカプト基を有する導電性粒子を得た。
(実施例7)
3-アミノプロピルトリメトキシシランを3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(信越化学工業社製「X―12―967C」)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面に酸無水物基を有する導電性粒子を得た。
(実施例8)
3-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部を有機ポリマー型多官能アミノシランカップリング剤(信越化学工業社製「X-12-972F」)1.5重量部とリン酸2-エチルヘキシル0.5重量部(東京化成社製)とに変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面にアミノ基とアルキル基を有する導電性粒子を得た。
(比較例1)
実施例1における導電性粒子本体A(導電性粒子の表面修飾処理をしていない)を、比較例1の導電性粒子として用意した。
(比較例2)
3-アミノプロピルトリメトキシシラン1.5重量部をリン酸2-エチルヘキシル1.5重量部(東京化成社製)に変更したこと以外は実施例1と同様にして、導電層の外表面にアルキル基を有する導電性粒子を得た。
(評価)
後述する評価を行うために、導電材料及び接続構造体を以下のようにして作製した。
(1)導電性材料の作製
以下の材料を配合して、配合物を得た。
熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(ナガセケムテックス社製「EP-3300P」)20重量部
熱硬化性化合物であるエポキシ化合物(DIC社製「EPICLON HP-4032D」)15重量部
熱硬化剤であるイミダゾールのアミンアダクト体(味の素ファインテクノ社製「PN-F」)10重量部
硬化促進剤である2-エチル-4-メチルイミダゾール1重量部
フィラーであるアルミナ(平均粒子径0.5μm)20重量部
得られた配合物に対して、得られる異方性導電ペースト中の導電性粒子の含有量が10重量%となるように導電性粒子を添加して、遊星式攪拌機を用いて2000rpmで5分間攪拌することにより、異方性導電ペーストを得た。
(2)接続構造体の作製
L/Sが30μm/30μmのAl-Ti4%電極パターン(Al-Ti4%電極厚み1μm)を上面に有するガラス基板を用意した。また、L/Sが30μm/30μmの金電極パターン(金電極厚み20μm)を下面に有する半導体チップを用意した。
上記ガラス基板の上面に、作製直後の異方性導電ペーストを厚さ20μmとなるように塗工し、異方性導電材料層を形成した。次に、異方性導電材料層の上面に上記半導体チップを、電極同士が対向するように積層した。その後、異方性導電材料層の温度が170℃となるようにヘッドの温度を調整しながら、半導体チップの上面に加圧加熱ヘッドを載せ、3.0MPaの圧力をかけて、異方性導電材料層を170℃で硬化させて、接続構造体を得た。
得られた接続構造体について、以下の評価を実施した。
(3)上下の電極間の導通特性
得られた接続構造体(n=15個)において、上下の電極間の接続抵抗をそれぞれ、4端子法により測定した。接続抵抗の平均値を算出した。なお、電圧=電流×抵抗の関係から、一定の電流を流した時の電圧を測定することにより接続抵抗を求めることができる。導通特性を下記の基準で判定した。
[導通特性の判定基準]
〇〇:接続抵抗の平均値が2.0Ω以下
○:接続抵抗の平均値が2.0Ωを超え、5.0Ω以下
△:接続抵抗の平均値が5.0Ωを超え、10.0Ω以下
×:接続抵抗の平均値が10.0Ωを超える
(4)隣接する電極間の絶縁信頼性
得られた接続構造体(n=15個)において、85℃、85%の雰囲気中に100時間放置後、隣接する電極間が絶縁状態か導通状態かを25か所で測定した。絶縁信頼性を下記の基準で判定した。
[絶縁信頼性の判定基準]
〇〇:絶縁状態の電極間が25か所
○:絶縁状態の電極間が20か所以上、25か所未満
△:絶縁状態の電極間が15か所以上、20か所未満
×:絶縁状態の電極間が15か所未満
(5)配置精度(圧痕の状態)
得られた接続構造体(n=15個)において、85℃、85%の雰囲気中に100時間放置した。その後微分干渉顕微鏡を用いて、接続構造体のガラス基板側から、ガラス基板に設けられた電極を観察し、導電性粒子が接触した電極の圧痕の形成の有無を観察した。導電性粒子の配置精度(圧痕の状態)を下記の基準で判定した。
[配置精度(圧痕の状態)の判定基準]
〇〇:電極50個中、粒子圧痕が鮮明に出ない電極数が0
○:電極50個中、粒子圧痕が鮮明に出ない電極数が1以上4以下
△:電極50個中、粒子圧痕が鮮明に出ない電極数が5以上9以下
×:電極50個中、粒子圧痕が鮮明に出ない電極数が10以上
結果を下記の表1に示す。電極上に導電性粒子が適切に配置されているほど、粒子圧痕は電極上に鮮明に出る。そのため、粒子圧痕が鮮明に出ない電極の数が少なければ少ないほど、導電性粒子が適切に配置されている割合が高いことを意味し、すなわち配置精度が高いことを意味する。