以下、図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、以下の実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
〔実施例1〕
<複写機の外観>
図1を用いて実施例1に係る画像形成装置の一例である複写機について説明する。図1は、実施例1における複写機100の外観例を示す図である。
画像形成装置としての複写機100は、プリンタ部120、リーダー部140、操作ユニット160などを備えている。
画像読取手段であるリーダー部140は、照明ランプの発光によって原稿の画像を露光走査して得られた反射光をリニアイメージセンサ(CCDセンサ)に入力することで画像の情報を電気信号に変換する。リーダー部140はさらに電気信号をレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の各色からなる輝度信号に変換し、当該輝度信号を画像データとして後述するシステムコントローラ200に出力する。
原稿は、原稿フィーダ141のトレイ142にセットされる。ユーザが操作ユニット160から読み取り開始を指示すると、システムコントローラ200は、リーダー部140に対して原稿読み取り指示を送る。リーダー部140は、この指示を受け取ると原稿フィーダ141のトレイ142から原稿を1枚ずつフィードして原稿の読み取り動作を行う。また、原稿は図示しない原稿台ガラス上に置くことで読み取ることもできる。
プリンタ部120は、システムコントローラ200から受け取った画像データに基づき記録媒体である用紙にトナー画像を形成する画像形成デバイスである。
本実施例における画像形成方式は、感光ドラムや感光ベルトなどの感光体を用いた電子写真方式である。また、プリンタ部120は、異なる用紙サイズ又は異なる用紙向きに対応可能な複数の用紙カセット121,122,123を備える。排紙トレイ124には印刷後の用紙が排出される。
<複写機-システムコントローラ>
図2を用いて実施例1に係る複写機100のハードウェア構成について説明する。図2は、本実施例の複写機100のハードウェア構成、特にシステムコントローラ200の構成例を詳細に示すブロック図である。
システムコントローラ200は、画像入力デバイスであるリーダー部140や、画像出力デバイスであるプリンタ部120や、LAN50と接続され、複写機100の動作を統括的に制御すると共に画像情報やデバイス情報の入出力制御を行う。
CPU201は、複写機全体を制御するプロセッサ(制御部)であり、ROM204に記憶された制御プログラム等に基づいて接続中の各種デバイスとのアクセスを統括的に制御する。さらに、CPU201は、システムコントローラ200内部で行われる各種処理についても統括的に制御する。RAM202は、システムワークメモリであり、画像データなどを一時記憶するための画像メモリでもある。ROM204は、ブートROMであり、システムのブートプログラムを格納する。HDD205は、ハードディスクドライブで、主に、コンピュータを起動・動作させるために必要な情報(システムソフトウェア)や画像データを格納する不揮発性の記憶部である。これらのデータは、HDD205に限らず、電源が切れても記憶保持可能な記憶媒体に格納してもよい。
LANC(LANコントローラ)203は、LAN50に接続し、ユーザPC60との間で出力用画像データの入出力や機器制御にかかわる情報の入出力を行う。
操作部IF206は、操作ユニット160に表示する画像データをシステムコントローラ200から操作ユニット160に出力する。さらに複写機の使用者が操作ユニット160から入力した情報をシステムコントローラ200に出力するためのインタフェースである。
画像処理部210は印刷すべき画像データを好適に生成するための各種画像処理ブロックを内部に持つ。画像処理部210は、画像処理ブロックとして、画像回転部211、色変換部212、ハーフトーン処理部213、画像変倍部214、圧縮伸長部215、RIP部216、ページ領域載り量検知部217、分割領域載り量検知部218を内部に持つ。以下に説明する。
まず画像回転部211は、画像データをレイアウト処理や用紙カセット121,122,123内の用紙向きに合わせて回転する処理を行う。
色変換部212は、RGBデータをトナー色にあわせてCMYK変換し、CMYKデータを生成する。この段階での画像データは画素単位の濃度を示しており、例えば0~255の8BITで表現される。具体的な値として、各色0であればトナー未使用を示し、値が大きくなるにつれて濃度は濃くなり、255で各色最大の濃さを意味する。
ハーフトーン処理部213は、色変換部212から出力されるCMYK各色のデータにハーフトーン処理を行う。ハーフトーン処理部の具体的な構成としては、スクリーン処理によるもの、あるいは誤差拡散処理によるものがある。スクリーン処理は、所定の複数のディザマトリクスおよび入力される画像データを用いて、N値化するものである。また、誤差拡散処理は、入力画像データを所定の閾値と比較することにより、N値化を行い、その際の入力画像データと閾値との差分を以降にN値化処理する周囲画素に対して拡散させる処理である。
画像変倍部214は、RGBの画像データに対して、画像拡大・画像縮小といった変倍処理を行う。変倍率は25%~400%まで1%刻みで設定可能である。また変倍処理されたRGB画像データを繰り返し画像変倍部214に入力することで、さらに変倍処理することも可能であり、レイアウト処理内容に応じて適宜実行される。
圧縮伸長部215は、多値の画像データをJPEGに、2値の画像データをJBIG、MMR、MH等に圧縮し、さらに必要に応じて圧縮された画像データを伸長する処理を行う。基本的にHDD205へ格納する画像データを格納前に圧縮し、HDD205から読み出す画像データを伸長する。また、JPEGのような不可逆圧縮方式の場合、圧縮を繰り返すほど画像データが劣化するため、圧縮回数は少ない方が望ましい。
RIP部216はLAN50を経由しユーザPC60から受信した画像データ(PDLコード)を印刷処理が可能なラスターイメージデータに展開し、RGBデータとして画素毎に出力する。
ページ領域載り量検知部217は、色変換部212で生成されたレイアウト処理前のCMYKデータに対して、ページ全体の領域であるページ領域のトナー載り量の検知を行う。本検知処理はページ全体で1つの検知結果を出力するもので、トナー載り量検知の具体的な方法に関しては後述する。
分割領域載り量検知部218は、レイアウト処理後のCMYKデータに対して、ページを複数に分割した分割領域のトナー載り量を分割領域ごとに検知を行う。本検知処理はページを複数に分割した分割領域ごとに検知結果を出力するもので、分割領域ごとのトナー載り量検知の具体的な方法に関しては後述する。
ページ領域載り量検知部217または分割領域載り量検知部218によるトナー載り量検知が終了した時点で、処理した画像データのトナー載り量情報はそれぞれの検知部に保持される。それぞれの検知部に保持されたトナー載り量情報は、CPU201により読み出しが行われる。
次に、リーダー部IF207は、リーダー部140と接続し、リーダー部140に搭載されたCPUと通信を行う。また、リーダー部140で読み取った画像を受け取り、公知の技術を用いてシェーディング補正などの各種画像処理を実行する。
プリンタ部IF208は、プリンタ部120と接続し、プリンタ部120に搭載されたCPUと通信を行う。通信内容として、印刷指示の他に前述のページ領域載り量検知部217または分割領域載り量検知部218によって検知されたトナー載り量検知結果も含まれる。プリンタ部120では詳細は後述するが、主に画像形成部310において印刷用紙などの記録媒体への画像形成を行う。
<複写機-プリントコントローラ>
図3を用いて実施例1に係る複写機におけるプリンタ部のハードウェア構成について説明する。図3は、本実施例のプリンタ部120のハードウェア構成例を詳細に示すブロック図である。
プリントコントローラ300は、画像形成部310を制御し、複写機100の印刷動作を統括的に制御する。
CPU301は、プリンタ部120全体を制御するプロセッサであり、ROM303に記憶された制御プログラム等に基づいてプリンタ部120を統括的に制御する。RAM302は、プログラム格納用や、ワーク用メモリとして使用される。
コントローラIF304はシステムコントローラ200内のプリンタ部IF208と通信を行うためのIF部である。ここで通信される情報としては、システムコントローラ200からの制御信号や画像データの他、ページ領域載り量検知部217または分割領域載り量検知部218により検知されたトナー載り量情報が含まれる。
VIDEOIF305は、VIDEO同期信号に同期して画像形成部310のスキャナ部24へと画像データを転送する。画像データはシステムコントローラ200からコントローラIF304経由で送られてくる。
定着制御部306は、システムコントローラ200から受信するトナー載り量情報から算出される定着温度情報を基に、定着部31の温度制御を行う。
<複写機-プリンタ部>
図4を用いて、プリンタ部120における画像形成部310の動作を説明する。図4は、本実施例の電子写真方式の複写機の画像形成部310の一例であり、中間転写体28を採用したタンデム方式の複写機の断面図である。
画像形成部310は、所望の露光時間に応じて露光を駆動し、静電潜像を形成して、この静電潜像を現像して単色トナー像を形成する。この単色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、この多色トナー像を記録媒体11へ転写して、記録媒体11上の多色トナー像を定着させる。
感光体22Y,22M,22C,22Kは、不図示の駆動モータの駆動力が伝達されて画像形成動作に応じて反時計回り方向に回転するものであり、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の色毎に設けられている。各感光体の周囲には、感光体に作用する帯電手段、露光手段、現像手段、一次転写手段などが設けられている。
注入帯電器23Y,23M,23C,23Kは、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の色毎に感光体22Y,22M,22C,22Kを帯電させるための帯電手段である。各注入帯電器23Y,23M,23C,23Kは、スリーブ23YS,23MS,23CS,23KSを備えている。
スキャナ部24Y,24M,24C,24Kは、複数色(Y,M,C,K)の画像データに基づくレーザー光を感光体22Y,22M,22C,22Kへ照射し、感光体22Y,22M,22C,22Kの表面を選択的に露光するための露光手段である。スキャナ部24Y,24M,24C,24Kから画像データに基づく光を照射することにより、感光体22Y,22M,22C,22Kに静電潜像を形成する。
現像器26Y,26M,26C,26Kは、現像手段は、感光体22Y,22M,22C,22Kに形成された静電潜像を可視化するために、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の色毎に現像を行う現像手段である。各現像器26Y,26M,26C,26Kには、スリーブ26YS,26MS,26CS,26KSが設けられている。現像手段は、感光体に形成された静電潜像を現像して、各感光体に単色トナー像を形成するための手段である。
一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kは、中間転写体28を介して各感光体22の対向位置に設けられ、各感光体22から中間転写体28へ単色トナー像を転写するための一次転写手段である。一次転写手段は、各現像手段によって各感光体に形成された単色のトナー画像を、中間転写体に順次重ね合わせるように転写するための手段である。
各ステーションの感光体22Y,22M,22C,22Kに形成された単色のトナー像は、一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kに中間転写体28に重ね合わせるように転写される。中間転写体28に重ね合わせた多色トナー像は、中間転写体28の回転に伴い、二次転写手段としての二次転写ローラ29まで搬送される。これにタイミングを合わせて記録媒体11を用紙カセット121から二次転写ローラ29へ搬送する。そして二次転写手段としての二次転写ローラ29は、適当なバイアス電圧を印加され、中間転写体28上の多色トナー像を静電的に記録媒体11に一括転写する。
定着部31は、記録媒体11に転写された多色トナー像を記録媒体11に溶融定着させるために、記録媒体11を加熱する定着スリーブ32と記録媒体11を定着スリーブ32に圧接させるための加圧ローラ33を備えている。定着部31は、多色トナー像を保持した記録媒体11を定着スリーブ32と加圧ローラ33により搬送するとともに、熱および圧力を加え、トナー像を記録媒体11に定着させる。
トナー像を定着された記録媒体11は、その後図示しない排出ローラによって排紙トレイ124に排出される。そして、画像形成動作を終了する。
<複写機-定着部>
次に、定着部31について図5を用いて説明する。定着部31は、定着スリーブ32と、定着スリーブ32の内面に接触するヒータ35と、により構成される加熱部材を有する。また定着部31は、定着スリーブ32を介してヒータ35に対向し、ヒータ35と共に定着ニップ部を形成する加圧部材(対向部材)としての加圧ローラ33を有する。
ここで、ヒータ35は保持部材34に保持されている。保持部材34は、定着スリーブ32の回転を案内するガイド機能も有する。加圧ローラ33は、不図示のモータから動力を受けて反時計回り方向に回転する。そして、加圧ローラ33が回転することによって、定着スリーブ32も従動して矢印方向(時計回り方向)に回転する。
定着スリーブ32の内面には、温度検知手段として不図示のサーミスタが設置されている。サーミスタにより検知された温度に応じた電力をプリントコントローラ300にて算出し、外部電源からヒータ201へ供給することで、定着スリーブ32は設定温度に温調制御される。また、設定温度は本実施例において記録媒体上のトナー載り量に応じて変更される。そして、トナー画像を担持する記録媒体は、矢印方向から挟持搬送されつつ定着処理される。
<複写機-ヒータ部>
図6を用いて定着部におけるヒータの構成について説明する。図6は、実施例1のヒータ35の構成を示す模式図である。
図6は、定着スリーブ32の内面と接触しない側(裏面層と呼ぶ)のヒータ35の平面図を示してある。ヒータ35は、電力が供給されることで発熱する発熱体である。ヒータ35の裏面層には、導電体403と発熱抵抗体402の組からなる発熱ブロックA1~A7がヒータ35の長手方向(記録媒体の搬送方向と直交する幅方向)に複数設けられている。
本実施例のヒータ35は、ヒータ35の長手方向に、合計7つの発熱ブロックA1~A7を有する。発熱ブロックA1の図中の左端から、発熱ブロックA7の図中の右端までが発熱領域である。本例では各発熱ブロックA1~A7の長手方向の幅(長さ)は全て同じである。
発熱ブロックA1~A7は、ヒータ35の短手方向(記録媒体の搬送方向)に対称に形成された、発熱抵抗体402a-1~402a-7及び発熱抵抗体402b-1~402b-7によって、それぞれ構成されている。導電体403は、7つの発熱ブロックA1~A7に対応するため、7つの導電体403-1~403-7に分割されている。
電極401-1~401-7はそれぞれ、導電体403-1~403-7を介して、発熱ブロックA1~A7に電力供給するための電極である。
ヒータ35は、裏面層側から電力供給可能な構成となっている。また、発熱ブロックのうちの少なくとも一つの発熱ブロックに供給する電力と、他の発熱ブロックに供給する電力を独立に制御可能な構成となっている。よって各発熱ブロックは個別に温度調整(発熱量の調整)が可能な構成である。
本実施例のヒータ35において、記録媒体の幅方向に複数設けられた各発熱ブロックは記録媒体上のトナー載り量に合わせて個別に温度調整される。
<画像処理方法を示すフローチャート>
次に、図7を用いて、システムコントローラ200におけるコピー画像処理フローと、本実施例において特徴的なページ領域のトナー載り量の検知及び分割領域のトナー載り量の検知の処理内容を説明する。図7(a)はコピー画像処理の中の画像読取側の処理フローであり、図7(b)はコピー画像処理の中の画像印刷側の処理フローである。
図7(a)、図7(b)の処理フローはROM204に格納されたプログラムに従って、制御部であるCPU201および、CPU201の制御する画像処理部210により実行される。
ステップS701では、原稿フィーダ141のトレイ142にセットされた原稿または原稿台ガラス上にセットされた原稿の画像を読み取る画像読取処理がリーダー部140によって実行される。読み取られた画像データはリーダー部IF207を介してシステムコントローラ200内に入力され、RAM202に一時的に格納される。
次にステップS702では、画像変倍部214により、必要に応じて画像データの変倍処理を行う。ここで、必要に応じてとは、例えばページ集約を行う(4in1等)場合など、入力される画像データのサイズを変倍によって出力される画像データのサイズに変更する場合を指す。その場合、入力される画像サイズを縮小する必要があり、変倍によって画像データのサイズを変更する必要がある。
次にステップS703では、色変換部212によりRGBデータをトナー色にあわせてCMYK変換し、CMYKデータを生成する。すなわち色変換部212によって色処理を行う。
次にステップS704では、ページ領域載り量検知部217によりページ領域のトナー載り量の検知を行う。ここでトナー載り量検知を行う理由としては、記憶部であるHDD205に格納する前の画像データを用いて検知することで、印刷ページよりも複数ページ先(P1ページ先)のページ領域の画像のトナー載り量を検知できるためである。定着部の定着温度を急激に変化させられないことを鑑み、複数ページ先(例えば5ページ先)の画像データの高トナー載り量を検知し、5ページ前から定着温度を段階的に上げていき、印刷の生産性を保ったまま定着不良を回避することが可能となる。
次にステップS705では、ハーフトーン処理部213によって、スクリーン処理による手法、あるいは誤差拡散処理による手法により2値化などのN値化を施すハーフトーン処理を行う。
ここで、図8を用いて本実施例に係る複写機100におけるページ領域載り量検知方法について詳細に説明する。トナー載り量とは単位面積あたりのトナー量のことを意味し、単位を%として説明する。具体的には、CMYK各色の最大値を100%とした時に、最大値を2色重ねた場合にその画素では200%のトナー載り量と定義する。各色階調性を持っているため、各色0~100%までの間の値を取りうる。例えば、フルカラー印刷モードでCMYKの4色トナーをフルに利用した画像データの場合は最大トナー量が多くなり、K単色のモノクロ画像の場合は最大トナー量が少なくなる。
まず、ページ領域載り量検知部217はCMYKデータを受信すると、画素ごとに必要なトナー載り量を算出する。図8(a)はページ領域載り量検知部217が処理する画像データの一部を表しており、501で示される最小単位が1画素を表し、502は4×4画素単位の画素ブロックを表している。また、図8(a)の1画素内の枠に示した数値がページ領域載り量検知部217により検知した画素ごとのトナー載り量(%)を表しているものとする。
続いてページ領域載り量検知部217は4×4画素の画素ブロックを単位として、画素ブロック内のトナー載り量の平均値を算出する。ここで、画素ブロック内の平均値を算出する理由としては、一般に画像を定着するために必要な温度は1画素単位のトナー載り量ではなく、一定範囲内のトナー量に依存することが多いためである。なお図8(b)の503は1画素ブロック(図8(a)の502は4×4画素単位の画素ブロック)を表しており、1画素ブロックの枠内に記載した数値は各画素ブロック内のトナー載り量の平均値を表している。
続いて、ページ領域載り量検知部217は、処理した画素ブロック内のトナー載り量の平均値の算出が終了した段階で、処理した画像データ内の全てのブロックの平均値の中からその最大値を対象ページのトナー載り量情報として保持する。これがページ領域載り量検知結果であるページ領域載り量情報である。この情報の意味するところはページ内で最も濃いトナー載り量である画素ブロックのトナー載り量情報である。このトナー載り量情報はページ領域で1つであるため、画像変倍や画像回転といったレイアウト処理の影響を受けずに算出することが可能である。もし、本実施例と異なり、変倍処理の前段でページ領域のトナー載り量を検知する場合には、画素ブロックのサイズを変倍率に応じて変更すれば、本実施例と類似のトナー載り量情報を検知することが可能である。例えば等倍の画素ブロックを4×4画素とすると、50%縮小変倍するのであれば、画素ブロックの2倍の8×8画素とすればよい。
次に図7(a)のステップS706では、圧縮伸長部215によりCMYKのハーフトーン画像データを圧縮する圧縮処理を行う。本実施例ではハーフトーン処理後の画像データを圧縮するため、圧縮方式としてJBIGを用いる。本実施例と異なり、ハーフトーン処理前の画像データ(コントーン画像)を圧縮する場合にはJPEGを用いる。
次にステップS707では、圧縮されたハーフトーン画像データをHDD205に格納する。HDD205は一般的に容量が大きく、さらに画像データも圧縮されているため、低コストに大量の画像データを蓄積することが可能である。
以上で図7(a)のコピー画像処理の中の画像読取側の処理フローは終了する。例えば、本処理フローを画像印刷側の処理フローよりも5ページ先行で実行している場合、HDD205には5ページ分の画像データが蓄積される。そして、ページ領域載り量検知処理は印刷ページよりも5ページ先(P1ページ先)のページ領域のトナー載り量情報を算出することが可能となる。
次に図7(b)のコピー画像処理の中の画像印刷側の処理フローについて説明する。
ステップS711では、HDD205にスプールされた画像データを読み出し、圧縮伸長部215によりCMYKのハーフトーン画像データを伸長する伸長処理を行う。本実施例ではハーフトーン処理後の画像データを伸長するため、伸長方式としてJBIGを用いる。
次にステップS712では、画像回転部211により、必要に応じて画像の回転処理を行う。ここで、必要に応じてとは、例えばA4縦の原稿をリーダー部140で読み取った場合に、記録媒体である印刷用紙が用紙カセットにA4横に置かれていた場合などである。この場合、読み取った画像データは用紙カセットにセットされた状態に合わせて90°回転させる必要がある。また、4in1といったページ集約処理を行う場合でも必要に応じて回転処理が実行される。
次に、ステップS713では、ステップS712で処理した画像データをRAM202に一時蓄積するスプール処理を行う。ここで、本ステップS713において、ページ集約等のレイアウト処理を実行する場合は、レイアウト処理後の画像を置く位置を考慮し、RAM202上に画像データを格納していく。例として、4in1のページ集約を行うレイアウト処理の場合には、前述の画像読取フローにより記憶部であるHDD205にスプールされた画像データを4ページ分用いて、ステップS711からステップS713の処理を4回繰り返す。そして、このレイアウト処理後の画像データの位置を考慮し、RAM202上に画像データをスプールする。これを面付け処理を呼ぶ。
また、ステップS714では、面付け処理後の画像データを用いて分割領域載り量検知部218によりページ内の分割領域のトナー載り量の検知を行う。ここで分割領域載り量検知を行う理由としては、面付け処理後の画像データを用いて検知することで、ページ内の分割領域とその領域内の画像領域のトナー載り量の対応が取れた状態で載り量検知ができるためである。
なお、トナー載り量検知方法は図8の方法と同様である。しかし、ステップS714で行う載り量検知は、ステップS704にてハーフトーン処理された後のハーフトーン画像である。そのため、例えば1ビット諧調(2値化データ)であれば載り量は1色当たり0%または100%の2通りである。また、2ビット諧調(4値化データ)であれば載り量は1色当たり0%、33%、67%、100%の4通りである。そこで、ステップS714で行う載り量検知は、ステップS705で行う載り量検知に比べて、画素ブロックサイズをさらに大きくすることで精度よく載り量を検知する。例えば、32×32や64×64画素のサイズで画素ブロックを形成し、その平均値を持って画素ブロックの載り量情報とする。
ここで、図9を用いて本実施例に係る複写機100における分割領域載り量検知方法について詳細に説明する。
図9(a)、図9(b)は、4ページの入力画像データをそれぞれ1/4に縮小及び90°回転し、1ページの出力画像データにレイアウトして出力する4in1の場合の例である。
図9(a)は、図7(a)に示す画像読取フローにて生成した読取画像(HDDにスプールされた画像データ)を示す。読取画像の1ページ目と4ページ目にはトナー載り量100%の文字が、2ページ目はトナー載り量200%のイメージが、3ページ目はトナー載り量150%のイメージがそれぞれ図示の位置に記載されている。図9(b)は、図7(b)に示す画像印刷フローのステップS713の面付け処理でRAM202にスプールし、4in1レイアウトが終了した印刷画像を示す。
図7(b)に示すステップS714の分割領域載り量検知は、図9(b)に示す印刷画像(レイアウト処理後の画像データ)に対して実行される。このとき、本実施例では分割領域は印刷画像の主走査方向(用紙の搬送方向と直交する幅方向)に複数設けられ、図9(b)において分割領域A1~A7までの7つの領域である。この7つの分割領域は図6で示したヒータ35の発熱ブロックA1~A7と同様の領域を示している。よって分割領域載り量検知とは個別に温度調整可能な発熱ブロックA1~A7に合わせて、トナー載り量を検知する処理である。例えば分割領域A1では載り量検知結果として文字部の100%が算出される。また、分割領域A2~A4では文字部よりも高トナー載り量のイメージ部の150%が載り量検知結果として算出される。さらに分割領域A5~A7では最も高トナー載り量のイメージ部の200%が載り量検知結果として算出される。このようにレイアウト処理後の印刷画像を用いて分割領域載り量を検知することで、ヒータ35の発熱ブロック(分割領域)A1~A7に対応した載り量情報を正しく検知・算出することが可能となる。
しかし、一方で複数ページ先(例えば5ページ先)の画像データの分割領域ごとの高トナー載り量を検知することは困難となる。複数ページ先(P1ページ先)の載り量検知を実現しようとすると、ステップS713でレイアウト処理した画像データをRAM202に一次蓄積するスプール処理を5ページ分実行する必要がある。しかし、そのように多くの画像データをRAM202に蓄積すると、RAM202の容量が増大し、高コストになってしまう。また、ここで画像を再圧縮すると、圧縮伸長部が追加で必要となり、それも高コスト化を招く。さらにHDDスプールなどを再度実行しようとすると、HDD205-RAM202間を往復する画像データ量が増加し、DRAMといったRAMのメモリ帯域を圧迫し、性能低下を招く恐れもある。そこで、分割領域載り量検知情報は、ページ領域載り量検知情報のP1ページ先までのページ数より少ないP2ページ先までをRAM202に蓄積可能であるものとする。本実施例では分割領域載り量検知情報はRAM202に2ページ分のみ蓄積可能であるものとする。
また、レイアウト処理はユーザ指示設定の他、カセットに格納される印刷用紙の向き等に合わせて処理内容が決定される。そのため、ステップS714のように分割領域のトナー載り量の検知処理を行うのは、画像処理フローの中で、画像読取側ではなく、これよりも後段の画像印刷側で実行される。また、そうすることでHDDにスプールされている画像を操作ユニット160からの指示により、印刷する所謂BOXプリントの場合であってもコピー時の画像印刷側フローと同様の処理フローでレイアウト可能となる。
図7(b)に示すステップS715では、図2で示したプリンタ部IF208を介してプリントコントローラ300に印刷画像データを送信する。
以上で図7(b)のコピー画像処理の中の画像印刷側の処理フローは終了する。もし、コピー画像処理ではなくユーザPC60からのプリント画像処理であった場合、S701の画像読取処理がRIP部216を用いたラスターイメージデータ生成処理に置き換わる。それ以降はコピー画像処理と同様の処理フローとなる。
また、本実施例のように読取側と印刷側をHDDスプールによって分けることでリーダー部140による読取動作とプリンタ部120による印刷動作を非同期にすることが可能となる。これにより異なる速度による読取・印刷動作やページ差をつけた読取・印刷動作が可能となる。
<トナー載り量に基づく定着温度の算出方法>
次に、出力する画像データの定着に最低限必要な定着温度の算出方法について図10を用いて説明する。
前述したように、トナー載り量とは画像上の単位面積あたりのトナー量のことを意味している。定着不良なくトナーを定着させるためには、定着部の温度を対象領域中のトナー載り量の最大値が確実に定着できる定着温度に設定する必要がある。
印刷する画像データにより、最大トナー載り量が異なるため、定着に必要な定着温度も画像データごとに異なり、最大トナー載り量が大きいほど定着に必要な定着温度も高くなる。
図10は本実施例に係る複写機100のトナー載り量と定着温度の関係を示した図である。図10において、横軸はトナー載り量を表しており、縦軸は定着に必要な定着温度を示している。
図10より、例えばページ領域載り量検知部または分割領域載り量検知部による検知結果が200%の場合、定着に必要な最低温度はT1となり、検知結果が100%の場合、対象領域の定着に必要な最低温度はT5となることが読み取れる。
印刷ページ中に現れる最大トナー載り量を定着可能な温度まで定着部のヒータ35の温度が上がっていれば、画像全体で定着不良等の問題が起ることはない。そのため、前述したそれぞれの載り量検知部により検知したトナー載り量情報を基に、出力するページの定着に必要な最低温度を求めることが可能になる。
図10のグラフで示される関係は定着部の温度制御で用いられるため、例えばルックアップテーブルの形でRAM302等に記憶しておく。そして、プリントコントローラ300のCPU304によって、システムコントローラ200から受け取ったトナー載り量情報を基に、定着温度への変換が実行される。そして定着部31の温度制御は定着制御部306を介して実行される。本変換処理は分割領域載り量であれば、分割領域毎(ヒータの発熱ブロックA1~A7毎)に実行される。
<トナー載り量検知結果に基づく定着温調制御>
図11を用いて本実施例に係る複写機100におけるトナー載り量検知結果を用いた定着温度の制御処理について説明する。
図11(a)はROM204に格納されたプログラムに従って、システムコントローラ200のCPU201の制御のもと実行される処理を示す。また、図11(b)はROM303に格納されたプログラムに従って、プリントコントローラ300のCPU301の制御のもと実行される処理を示している。
まず、システムコントローラ200のCPU201の制御に基づき実行する処理について図11(a)を用いて説明する。
図11に示すフローチャートの説明におけるページとは、出力する1ページの画像データのことであり、ページ集約などのレイアウト処理が行われる場合は、レイアウト処理後の画像データのことと解釈する。
ステップS1101において、CPU201は、リーダー部140から入力されたコピージョブを受け取る。そして、ステップS1102において、図7(a)に示した画像読取フローを実行する。なお、本実施例に係る複写機100においては定着部の温度は急激に変化させることができないため、生産性を落とさずに定着部の温度制御を行うためには、数ページ先に定着するページのトナー載り量を先行で検知する必要がある。
ここでは説明の簡略化のため、これから定着するページを1ページ後として、5ページ後に定着するページのトナー載り量を事前に検知する必要がある複写機100として説明する。また、印刷開始直後に関しては、トナー載り量を検知してから定着部の温度を制御した場合、ユーザーからの印刷指示にただちに反応できず、生産性が落ちてしまう。そのため、ここでは印刷開始4ページまでは定着温度制御は行わず、複写機100として考えられる最大トナー載り量を定着可能な定着温度に制御し、印刷開始5ページ目の画像データからトナー載り量を検知して温調制御をする複写機100として説明する。
ステップS1103において、CPU201は画像処理するページが定着温調制御を開始するNページ目以降であるか、ここでは5ページ目以降であるかどうかの判断を行う。ステップS1103において画像処理するページが定着温調制御を開始する5ページ目以降であった場合、ステップS1104に進む。
ステップS1104において、本実施例にてページ領域載り量検知部217を用いて出力する対象ページのページ領域載り量情報を算出する。ここで、例えば後段で4in1レイアウトされる場合では、リーダー部140で読み取られる4枚の画像データのうち、最も高トナー載り量のページ領域載り量情報を印刷される1ページ目のページ領域載り量情報として算出する。ここではページ領域載り量情報を印刷ページよりP1ページ先までの算出が可能なものとする。具体的には5ページ先までの算出が可能なものとする。
ステップS1105において、CPU201はステップS1104で算出した対象ページのページ領域載り量情報をプリンタ部IF208を通してプリントコントローラ300のCPU301に通知する。
ステップS1106において、CPU201は印刷を開始するかどうかを判断する。例えば4in1レイアウトの場合は、4ページ読取終了するまで印刷を開始できないので、S1102に戻る。印刷が可能であればS1107へ進む。
ステップS1107において、図7(b)に示した画像印刷フローを実行する。なお、本実施例に係る複写機100においては定着部の温度は急激に変化させることができないため、生産性を落とさずに定着部の温度制御を行うためには、数ページ先に定着するページのトナー載り量を先行で検知する必要がある。
ステップS1108ではS1103と同様に、CPU201は画像処理するページが定着温調制御を開始するNページ目以降であるか、ここでは5ページ目以降であるかどうかの判断を行う。ステップS1108において画像処理するページが定着温調制御を開始する5ページ目以降であった場合、ステップS1109に進む。
ステップS1109において、本実施例にて分割領域載り量検知部218を用いて出力する対象ページの分割領域載り量情報を算出する。ここで、例えば対象ページが4in1レイアウトされた場合では、レイアウト後の画像データに対して分割領域ごと(ヒータの発熱ブロックA1~A7ごと)に分割領域載り量情報を算出する。この算出処理は前述のとおりページ領域載り量情報の算出と比較して、印刷ページよりも先のページ(P1ページ先まで)の算出がRAM202の容量制約により困難である。ここでは分割領域載り量情報を算出する処理は、P1ページ先までのページ数より少ないP2ページ先までの算出が可能なものとする。具体的には2ページ先までの算出が可能なものとする。
ステップS1110において、CPU201はステップS1109で算出した対象ページの分割領域載り量情報をプリンタ部IF208を通してプリントコントローラ300のCPU301に通知する。
ステップS1111において、CPU201は印刷を終了するかどうかを判断する。コピージョブに次のページがあればS1102に戻る。次のページがなければ本フローチャートは終了する。
次に、プリントコントローラ300のCPU301の制御に基づき実行する処理について図11(b)を用いて説明する。
ステップS1121において、CPU301はシステムコントローラ200からの印刷指示を待つ。システムコントローラ200からの印刷指示があった場合、ステップS1122に進む。
ステップS1122において、生産性を落とさずに最初の4ページを印刷するために定着制御部306は定着部の各ヒータの温度を最大トナー載り量の定着が可能な温度Tmax(図10における定着温度T1)に制御し、印刷を開始する。
ステップS1123において、システムコントローラ200から対象ページの定着温度の調整に必要なトナー載り量情報の受信待ちになる。ステップS1123でシステムコントローラ200からトナー載り量情報を受信した場合、ステップS1124に進む。なお、ここで受信するトナー載り量情報は図7(a)のステップS705で算出したページ領域載り量検知結果と図7(b)のステップS714で算出した分割領域載り量検知結果の双方である。ページ領域載り量検知結果はこれから定着するページを1ページ先として、5ページ先(P1ページ先)までのページ領域載り量情報である。分割領域載り量検知結果はこれから定着するページを1ページ先として、2ページ先(P2ページ先)までの分割領域載り量情報である。
ステップS1124において、定着制御部306はすでに通知されている5ページ先までのページ領域載り量情報および2ページ先までの分割領域載り量情報から、最大トナー載り量(最大の定着温度)のページを制御目標ページとする。
ステップS1125において、現在の定着温度と、ステップS1124で決定した制御目標ページの定着温度を考慮し、定着部の温度を制御する。具体的には制御目標ページまでに目標の温度に到達するために必要であれば定着部の温度を複数ページにまたがって段階的に上げる。あるいは目標温度に対し、定着温度を下げることが可能であれば温度を下げる制御を行う。ステップS1124およびステップS1125の制御に関しては図12、図13で詳細を後述する。
なお、ステップS1124およびステップS1125は個別に定着温度を制御可能な分割領域(ヒータ35の発熱ブロックA1~A7)ごとに実行される。つまり、定着温度を上げるまたは下げる制御は分割領域に対応するヒータ35の発熱ブロックA1~A7ごとに個別に実行される。
ステップS1126において、CPU301はページ終了かの判断を行い、ページが終了していなければステップS1123からの処理を繰り返す。
<定着部の温度制御>
図12は本実施例における印刷ページとそのページ内の載り量情報およびその定着に必要な最低温度を示した表である。本実施例では図12に示した15ページを印刷するものとして、具体的な定着部の温度制御に関して説明する。
図12の横軸は印刷ページ数を表しており、縦軸はその印刷ページごとの分割領域ID(ヒータの発熱ブロックA1~A7)をそれぞれ表している。また、分割領域IDと印刷ページ数が交わるそれぞれの数値は、そのページのその分割領域のトナー載り量情報を%で示しており、さらに括弧内の数値が定着に必要な最低温度を示している。例えば、分割領域A1の1ページ目はトナー載り量情報は100%であり、その定着に必要な最低温度はT5である。
なお、本実施例における複写機100において、トナー載り量と定着に必要な最低温度との関係は図10に示した通りである。よって、トナー載り量200%の画像を定着するために必要な温度をT1、トナー載り量150%の画像を定着するために必要な温度をT3とし、トナー載り量100%の画像を定着するために必要な温度をT5とする。
理想的には図12で示す温度で各ページの各分割領域を定着できることが望ましい。しかし、生産性を落とさず印刷するためには各ページ間で定着部の温度を変化させられる量に制限が出る。本実施例ではT1~T5の5段階の温度を各ページ間では1段階ずつしか変化させられないものとする。よって、T5からT3といった温度変化は1ページの間に実施することはできず、T5―T4―T3と複数ページにまたがって段階的に温度を変化させる必要がある。よって実際の温度制御は図12に示す温度とは異なるものとなる。
図13を用いて、本実施例における温度制御の一例を示す。図13(a)の左側の表は図12に示した10ページ目を印刷開始する前の状態のトナー載り量情報を示している。このとき、分割領域載り量検知結果はP2ページ先(ここでは2ページ先)まで算出されているため、図示したように10ページ目および11ページ目は分割領域A1~A7それぞれのトナー載り量情報および定着に必要な最低温度が算出されている。一方で、ページ領域載り量検知結果はP2ページ先までのページ数より多いP1ページ先(ここでは5ページ先)まで算出されている。そのため、図示したように12ページ目から14ページ目までは、ページ領域のトナー載り量情報および定着に必要な最低温度が算出されている。このページ領域のトナー載り量情報は、ページ内で最も濃い(最も高い温度を必要とする)トナー載り量の情報であって、本実施例では分割領域A1~A7の定着温度を決定する上で各領域が共通で参照する情報である。
このときの10ページ目の温度決定結果を図13(a)の右側に設定値として示す。図13(a)の左側の表において、1ページ先である10ページ目の分割領域A3および分割領域A4の温度はT5であるが、2ページ先である11ページ目の分割領域A3および分割領域A4の温度がT3であるため、温度T3が制御目標となる。そのため、10ページ目を印刷するにあたって、その温度決定結果は、図13(a)の右側の表に示すように、10ページ目の分割領域A3および分割領域A4の温度をT5からT4に制御する。10ページ目のその他の分割領域は、3ページ先である12ページ目のページ領域の温度T3が制御目標となるが、まだ温度はT5のままでよいため、T5となる。これは、2ページ先である11ページ目の時点で温度を1段階上げれば、3ページ先である12ページ目の時点でさらに温度を1段階上げることで、目標温度であるT3に制御できるからである。そのため、10ページ目の時点では、分割領域A3,A4の温度をT5からT4に制御し、その他の分割領域はまだ温度はT5のままでよいため、T5となる。
次に図13(b)の左側の表は図12に示した11ページ目を印刷開始する前の状態のトナー載り量情報を示している。このときの11ページ目の温度決定結果を図13(b)の右側に示す。図13(b)の左側の表において、1ページ先である11ページ目の分割領域A3および分割領域A4の温度はT3であり、現在定着を行っている10ページ目の分割領域A3および分割領域A4の温度はT4であるため、温度T3が制御目標となる。そのため、11ページ目を印刷するにあたって、その温度決定結果は、図13(b)の右側の表に示すように、分割領域A3および分割領域A4の温度をT4からT3に制御する。11ページ目のその他の分割領域は、4ページ先である14ページ目のページ領域の温度T3が制御目標となるが、まだ温度はT5のままでよいため、T5となる。これは、3ページ先である13ページ目の時点で温度を1段階上げれば、4ページ先である14ページ目の時点でさらに温度を1段階上げることで、目標温度であるT3に制御できるからである。そのため、11ページ目の時点では、分割領域A3,A4の温度をT4からT3に制御し、その他の分割領域はまだ温度はT5のままでよいため、T5となる。
ここで、もしページ領域載り量情報だけを用いて温度制御していた場合、図13(a)ではすべての領域で2ページ先(11ページ目)の温度T3が制御目標となり、すべての領域が温度T4に制御されてしまう。同様に図13(b)ではすべての領域で1ページ先(11ページ目)の温度T3が制御目標となり、すべての領域が温度T3に制御されてしまう。よって温度制御による定着部の消費電力の削減効果が低下してしまう。
一方で、もし分割領域載り量情報だけを用いて温度制御していた場合、3ページ先(12ページ目)のトナー載り量が把握できない。よって図13(a)では、12ページ目のトナー載り量が把握できず、例えば分割領域A3,A4以外の領域で温度の上昇が2段階以上ある場合に、事前に段階的な温度制御ができない。そのため、定着温度不足による定着不良を防止するためには、その領域が最大温度に上昇するまで待つ必要がある。図13(b)も同様で3ページ先の13ページ目にトナー載り量が把握できず、同様に温度の上昇が2段階以上ある場合に、事前に段階的な温度制御ができない。そのため、定着温度不足による定着不良を防止するためには、その領域が最大温度に上昇するまで待つ必要がある。よって温度制御による定着部の生産性が低下してしまう。
図14を用いて本実施例における定着温度の推移を示す。図14は一例として図12に示した15ページを印刷する場合の分割領域A7の定着温度の推移を示すものである。図14の横軸は印刷ページ数を表しており、縦軸は分割領域A7における定着温度を表している。
本実施例における特徴的な効果として、ページ領域載り量検知結果を5ページ先まで把握できるため、9ページ目から12ページ目までを最低温度のT5とすることができている。また、分割領域載り量検知結果も温度制御に用いているため、11ページ目や12ページ目の分割領域A3やA4といった領域のトナー載り量情報の影響を受けずに分割領域A7の定着温度を11ページ目以降も必要最低限に抑えることができている。
以上のような制御を行うことによって、レイアウト処理を行う場合であっても、印刷の生産性を落とすことなく分割領域ごと(定着部の発熱体ごと)に定着温度の調整を行い、定着温度不足による定着不良を防止しつつ、消費電力を低減することができる。
以上説明したように、ページ領域載り量検知と分割領域載り量検知の双方を用いることで、レイアウト処理が行われた場合であっても適切に分割領域(定着部の発熱領域)ごとの定着温度の調整を行うことができる。よって、出力する画像データの画像を保証しつつ、省電力制御が可能な画像形成装置を提供することが可能となる。
〔実施例2〕
実施例1では、定着温度の制御を開始する場合にページ領域載り量検知処理と分割領域載り量検知処理を毎ページ常に実行する方法について説明した。実施例2においては、ページ領域載り量検知処理を毎ページ常に実行し、分割領域載り量検知処理を必要に応じて実行する方法について説明する。
本実施例における画像形成装置の構成や画像処理フロー、トナー載り量検知処理内容は実施例1の図1~図10と同様であるため省略する。
実施例1の図11(a)に示す制御フローであるが、フロー内の一部のステップにおいて、詳細な制御内容が本実施例では異なる。本実施例では、実施例1との差分のみ説明する。
図15に実施例2における複写機100のトナー載り量検知結果を用いた定着温度の制御処理について説明する。なお、図15はROM204に格納されたプログラムに従って、システムコントローラ200のCPU201の制御のもと実行される処理を示す。また、プリントコントローラ300のCPU301の制御のもと実行される処理は図11(b)と同様のため省略する。
図15においてステップS1501からステップS1508までの処理は図11(a)のステップS1101からステップS1108と同様である。
ステップS1509においてCPU201はページ領域載り量検知結果が閾値以上か否かを判定する。このページ領域載り量検知結果はステップS1504で算出したページ領域載り量の検知結果である。ページ領域載り量検知処理は分割領域載り量検知処理に対して数ページ先行して実行されているが、ここで参照するのは、これからステップS1510で分割領域載り量を算出しようとしているページと同じページのページ領域載り量検知処理の結果である。
また、ステップ1509における閾値は、定着部31における定着温度の設定範囲の下限に基づいて決定されるものであり、定着温度制御における最低温度で定着可能なトナー載り量の値である。本実施例では図10で示したT5が定着温度制御における最低温度であるため、閾値はそのトナー載り量の値である100%となる。この閾値は基本的にはトナー載り量と定着温度の関係に応じて変わる。
本実施例では閾値以上か否かとは、ページ領域における最大トナー載り量が100%以上か否かを示す。よって、もしページ領域載り量情報が100%未満であればそのページの分割領域A1~A7のすべての領域で分割領域載り量情報が100%未満であることが推測できる。その場合、そのページではすべての分割領域において最低温度(T5)であっても定着可能であることが推測できるため、ステップS1510の分割領域載り量算出制御およびステップS1511のプリントコントローラ300のCPU301への通知を割愛できる。言い換えると、分割領域載り量検知部218による分割領域のトナー載り量の検知を実行しないで、最低温度(T5)に制御することが可能である。
よってステップS1509においてページ領域載り量検知結果が閾値未満(NO)の場合にはステップS1512に進み、ステップS1509においてページ領域載り量検知結果が閾値以上(YES)の場合にはステップS1510へ進む。
図15においてステップS1510からステップS1512までの処理は図11(a)のステップS1109からステップS1111の処理と同様である。
以上説明したように、分割領域載り量検知処理をページ領域載り量検知結果に基づいて必要に応じて実行する。具体的には、ページ領域載り量検知部により検知したページ領域のトナー載り量が閾値未満であった場合に、分割領域載り量検知部による分割領域のトナー載り量の検知を実行しない。このような場合であっても、実施例1と同様に、印刷の生産性を落とすことなく定着温度の調整を行い、定着温度不足による定着不良を防止しつつ、消費電力を低減することができる。これにより、分割領域載り量検知処理をソフトウェアプログラムとしてCPU201が実行する形態の場合において、トナー載り量検知結果に基づく定着温調制御フローを高速化することが可能となる。
〔他の実施例〕
前述した実施例では、画像形成装置として複写機を例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばプリンタ、ファクシミリ装置等の他の画像形成装置や、或いはこれらの機能を組み合わせた複合機等の他の画像形成装置であってもよい。また中間転写体を使用し、該中間転写体に各色のトナー像を順次重ねて転写し、該中間転写体に担持されたトナー像を記録媒体に一括して転写する画像形成装置を例示したが、これに限定されるものではない。記録媒体担持体を使用し、該記録媒体担持体に担持された記録媒体に各色のトナー像を順次重ねて転写する画像形成装置であっても良い。これらの画像形成装置に本発明を適用することにより同様の効果を得ることができる。