JP7327903B2 - 端子付き電線およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は例えば自動車等に用いられる端子付き電線およびその製造方法に関するものである。
従来、自動車、OA機器、家電製品等の分野では、電力線や信号線として、電気導電性に優れた銅系材料からなる電線が使用されている。特に、自動車分野においては、車両の高性能化、高機能化が急速に進められており、車載される各種電気機器や制御機器が増加している。したがって、これに伴い、使用される端子付き電線も増加する傾向にある。
一方、環境問題が注目される中、自動車の軽量化が要求されている。したがって、ワイヤハーネスの使用量増加に伴う重量増加が問題となる。このため、従来使用されている銅線に代えて、軽量なアルミニウム電線が注目されている。
ここで、このような電線同士を接続する際や機器類等の接続部においては、接続用端子が用いられる。しかし、アルミニウム電線を用いた端子付き電線であっても、接続部の信頼性等のため、端子部には、電気特性に優れる銅が使用される場合がある。このような場合には、アルミニウム電線と銅製の端子とが接合されて使用される。
しかし、異種金属を接触させると、標準電極電位の違いから、いわゆる電食が発生する恐れがある。特に、アルミニウムと銅との標準電極電位差は大きいため、接触部への水の飛散や結露等の影響により、電気的に卑であるアルミニウム側の腐食が進行する。このため、接続部における電線と端子との接続状態が不安定となり、接触抵抗の増加や線径の減少による電気抵抗の増大、更には断線が生じて電装部品の誤動作、機能停止に至る恐れがある。
このため、電線と端子との接続部を防食材で被覆する方法が提案されている。例えば、被覆圧着部と導線圧着部との間に露出する導線等に防食材を塗布して被覆した端子付き電線が提案されている(特許文献1)。
特開2017-102998号公報
通常、被覆導線の先端近傍は、被覆部が除去されて内部の導線が露出する。しかし、被覆部の端部と導線露出部の境界部において、外径の変化に伴う微小な隙間が生じやすい。このため、十分な防食性を確保するためには、この隙間へも防食材を浸透させて硬化させる必要がある。
一方、このような端子付き電線としては、圧着部のバレル同士が重なり合うようにラップして圧着されるオーバーラップ型の被覆圧着部を有するものがある。オーバーラップ型の被覆圧着部は、金型を用いて圧着作業を行う際、一方のバレルが他方のバレルの上方に重ねられて圧着される。このようなオーバーラップ型の圧着部に対しても、圧着後に防食材を塗布することで、圧着部の防食性を確保することができる。
しかし、発明者らは、オーバーラップ型の端子では、ラップの内側に重なるバレルは、外側に重なるバレルよりも強く圧着され、対応する被覆部がより強く潰されることを知見した。したがって、前述した、被覆部の端部と導線露出部の境界部において、局所的に強く圧縮されるため、隙間がさらに小さくなり、防食材が十分に浸透されずに、導線を確実に防食材で被覆できない場合があることを見出した。このように、防食材による被覆が十分でないと、圧着部内部に水が浸入するおそれがある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、オーバーラップ型の圧着部を有した場合でも、確実に防食性を確保することが可能な端子付き電線およびその製造方法を提供することを目的とする。
前述した目的を達するために第1の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し(ただし、前記バレル間部及び前記被覆圧着部の内面に防食材を導入可能な溝が形成されたものを除き、前記バレル間部および前記被覆圧着部の圧着部の全内面は滑らかである)、前記被覆圧着部は、周方向の先端部同士が互いに重なりあい、前記被覆圧着部の圧縮率が50~70%(圧縮率70%を除く)であり、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が防食材で覆われており、かつ、前記被覆部の先端近傍において、前記被覆部から露出する前記導線の全周にわたって、50μm以上の膜厚で、長手方向に0.5mm以上の長さで前記防食材が配置され、このとき前記被覆部の先端と前記被覆圧着部との距離(F)は、バレル間部の長手方向の長さ(E)に対して、2/3以上5/6以下とされたことを特徴とする端子付き電線である。前記被覆圧着部の圧縮率は65%以下であってもよい。
前記防食材は、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であることが望ましく、さらに、前記防食材は、紫外線硬化性と湿気硬化性を有することが望ましい。
前記防食材は、-40℃での伸び率が100%以上であることが望ましい。
第1の発明によれば、被覆圧着部の圧縮率を50%以上とすることで、内側に位置するバレルにおいても、被覆部が強く圧縮され過ぎることを抑制することができる。また、被覆圧着部の圧縮率が70%以下であるため、被覆部を確実に圧着することができる。また、このようにすることで、被覆部の先端近傍において、被覆部から露出する導線の全周にわたって、50μm以上の膜厚で、長手方向に0.5mm以上の長さで防食材を配置することができ、この結果、十分な防食性を確保することができる。
また、防食材が、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であれば、短時間で硬化させることができる。特に、防食材は、紫外線硬化性と湿気硬化性を有することで、紫外線の影になる部位についても、空気中や端子に付着するわずかな湿気によって、短時間で防食材を硬化させることができる。
また、防食材の-40℃での伸び率が100%以上であれば、低温においても防食材に割れ等が生じにくく、自動車等に要求される耐サーマルショック性を確保することが可能である。
第2の発明は、被覆導線と端子とが接続される端子付き電線の製造方法であって、前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し(ただし、前記バレル間部及び前記被覆圧着部の内面に防食材を導入可能な溝が形成されたものを除き、前記バレル間部および前記被覆圧着部の圧着部の全内面は滑らかである)、前記導線圧着部で前記導線を圧着するとともに、前記被覆圧着部で前記被覆部を圧着し、前記被覆圧着部は、圧着時に周方向の先端部同士が互いに重なりあい、前記被覆圧着部の圧縮率が50~70%(圧縮率70%を除く)であり、前記被覆部の先端と前記被覆圧着部との距離(F)が、バレル間部の長手方向の長さ(E)に対して、2/3以上5/6以下になるように設定し、少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位に600mPa・s以下の粘度の防食材を塗布して硬化させることを特徴とする端子付き電線の製造方法である。防食材の製造時の粘度が100Pa・s以上であることがより望ましい。
第2の発明によれば、被覆圧着部の圧縮率を50%~70%とすることで、局所的に被覆部が強く圧縮され過ぎることを抑制することができるとともに、被覆部を確実に圧着することができる。また、防食材の粘度を600mPa・s以下とすることで、被覆部の先端近傍において、被覆部から露出する導線の全周にわたって防食材を浸透させることができる。
本発明によれば、オーバーラップ型の圧着部を有した場合でも、確実に防食性を確保することが可能な端子付き電線およびその製造方法を提供することができる。
端子付き電線10を示す斜視図。 端子付き電線10を示す断面図。 (a)は図2のA部拡大図、(b)は、(a)のB-B線断面図。 深部硬化性の測定治具19を示す図で、(a)は平面図、(b)は(a)のE-E線断面図。 正圧シール性を測定する方法を示す図。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。図1は、端子付き電線10を示す斜視図であり、図2は断面図である。なお、図1は、防食材17を透視した図である。端子付き電線10は、端子1と被覆導線11が接続されて構成される。
被覆導線11は、アルミニウムまたはアルミニウム合金製である導線13と、導線13を被覆する被覆部15からなる。すなわち、被覆導線11は、被覆部15と、その先端から露出する導線13とを具備する。導線13は、例えば、複数の素線が撚り合わせられた撚り線である。
端子1は、オープンバレル型であり、銅または銅合金製である。端子1には被覆導線11が接続される。端子1は、端子本体3と圧着部5とがトランジション部4を介して連結されて構成される。圧着部5と端子本体3の間に位置するトランジション部4は、上方が開口する。
端子本体3は、所定の形状の板状素材を、断面が矩形の筒体に形成したものである。端子本体3は、内部に、板状素材を矩形の筒体内に折り込んで形成される弾性接触片を有する。端子本体3は、前端部から雄型端子などが挿入されて接続される。なお、以下の説明では、端子本体3が、雄型端子等の挿入タブ(図示省略)の挿入を許容する雌型端子である例を示すが、本発明において、この端子本体3の細部の形状は特に限定されない。例えば、雌型の端子本体3に代えて例えば雄型端子の挿入タブを設けてもよい。
圧着部5は、被覆導線11と圧着される部位であり、圧着前においては、端子1の長手方向に垂直な断面形状が略U字状のバレル形状を有する。端子1の圧着部5は、被覆導線11の先端側に被覆部15から露出する導線13を圧着する導線圧着部7と、被覆導線11の被覆部15を圧着する被覆圧着部9と、導線圧着部7と被覆圧着部9の間のバレル間部8からなる。
導線圧着部7の内面の一部には、幅方向(長手方向に垂直な方向)に、図示を省略したセレーションが設けられる。このようにセレーションを形成することで、導線13を圧着した際に、導線13の表面の酸化膜を破壊しやすく、また、導線13との接触面積を増加させることができる。
被覆圧着部9は、対向するバレルの先端同士が互いに重なりあうように、断面が円形の筒体となるように板状素材が丸められる。すなわち、被覆圧着部9は、圧着時に、周方向の先端部同士が互いに重なりあうオーバーラップ型である。
被覆導線11の先端は、被覆部15が剥離され、内部の導線13が露出する。被覆導線11の被覆部15は、端子1の被覆圧着部9によって圧着される。また、被覆部15が剥離されて露出する導線13は、導線圧着部7により圧着される。導線圧着部7において、導線13と端子1とが電気的に接続される。なお、被覆部15の端面は、被覆圧着部9と導線圧着部7の間のバレル間部8に位置する。
本発明では、少なくとも、被覆部15から露出する導線13が、防食材17で覆われる。すなわち、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位が防食材17で覆われており、導線13は、防食材17によって外部に露出しない。
図3(a)は、図2のA部拡大図であり、図3(b)は、図3(a)のB-B線断面図である。前述したように、被覆部15から導線13が露出する部位の境界部近傍においては、隙間が小さくなる。このため、防食材17が深部まで浸透しにくくなる。特に、オーバーラップ型の被覆圧着部9においては、内側になる側(図3(b)の左半分)において、隙間が潰れやすい。
ここで、圧着前の被覆部15における断面積をA0とし、圧着された後の被覆圧着部9の内部(被覆部15)の断面積をA1とすると、被覆圧着部9の圧縮率=A1/A0は、50%~70%とする。圧縮率が70%を超えると、被覆部15の圧着が弱く被覆導線11の端子1からの抜けの恐れがある。一方、圧縮率が50%未満では、被覆部15が強く圧縮され、特に内側となるバレル側において、前述した隙間が小さくなりすぎ、防食材17の浸透が困難となる。
なお、防食材17を確実に導線13の下部まで浸透させるためには、防食材17の粘度としては、600mPa・s以下であることが望ましい。すなわち、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位に600mPa・s以下の粘度の防食材17を塗布して硬化させることで、より確実に、深部まで防食材17を浸透させて導線13を被覆することができる。なお、防食材17の粘度が低すぎると、十分な膜厚を確保することが困難となるため、防食材17の粘度としては、100mPa・s以上であることが望ましい。
防食材17としては、例えばシリコーンアクリレート、ウレタンアクリレート、アクリルアクリレートなどを主成分とした樹脂が適用可能であり、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であることが望ましい。特に、防食材17が、紫外線硬化性と湿気硬化性の両方の特性を併せ持つことで、紫外線の届きにくい部位においても、大気中や端子等の表面の水分によって、直ちに防食材17を硬化させることができる。さらに、紫外線硬化によるウレタンと金属との水素結合に加えて、湿気硬化部分のシリコン変性アクリレートのアルコキシ基の加水分解物が、端子等の表面にある水酸基と脱水縮合反応を経て強固な共有結合を形成し、金属との接着力向上に大きく寄与させることができる。
なお、防食材17には、例えばオリゴマーに使用しているポリオールにソフトセグメントが導入され、硬化後の-40℃での伸び率が、100%以上であることが望ましい。オリゴマーとしてポリエーテル系ウレタンアクリレートを使用する場合は、ポリオールは、例えば、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリオールを使用することができる。ポリテトラメチレングリコールを中間ブロックとし、骨格成分として、その両末端の水酸基に、芳香族系ジイソシアネートを介して、紫外線に対して反応性を有する不飽和二重結合を有するヒドロキシ化合物を結合させたオリゴマーを使用することが好ましい。使用するオリゴマーは、重量平均分子量が500~5000のものを使用することが好ましく、2000~5000のものを使用することが特に好ましい。これにより、低温での伸びを維持することができ、このようにすることで、耐サーマルショック性を確保することができる。
このように、被覆圧着部9の圧着を弱め、かつ、低粘度の防食材17を用いることで、被覆部15の先端近傍において、被覆部15から露出する導線13の全周にわたって、50μm以上の膜厚(図3(b)のD)で、長手方向に0.5mm以上(図3(a)のC)の長さで防食材が配置することができる。すなわち、少なくとも長手方向に0.5mmの範囲内においては、防食材17の全周にわたって、50μm以上の厚みを確保することができる。このようにすることで、高い防食性を確保することができる。
なお、前述したように、被覆圧着部9における内側のバレルに対応する部位において、特に被覆部15が潰れやすく、導線13と端子1との隙間が小さくなりやすい。このため、この影響を小さくするため、被覆部15の先端と被覆圧着部9との距離(図中F)は、バレル間部8の長手方向の長さ(図中E)に対して、2/3以上である。このように、被覆部15の先端と被覆圧着部9との距離を離すことで、オープンバレル型の被覆圧着部9による、局所的な被覆部15先端近傍の潰れを抑制することができる。なお、被覆部15の先端が導線圧着部7に近くなりすぎると、導線13の圧着の影響を受けやすくなるため、被覆部15の先端と被覆圧着部9との距離(図中F)は、バレル間部8の長手方向の長さ(図中E)に対して、5/6以下である。
次に、端子付き電線10の製造方法について説明する。まず、被覆導線11と端子1とを圧着により接続する。この際、被覆圧着部9の圧縮率を50%~70%とする。次に、少なくとも、バレル間部8から導線圧着部7までの導線13が露出する部位に防食材17を塗布し、防食材17を硬化させる。以上により、端子付き電線10を製造することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、被覆圧着部9の圧縮率を50%以上とすることで、内側に位置するバレルについても、被覆部15が強く圧縮され過ぎることを抑制することができる。また、防食材17の粘度を600mPa・s以下とすることで、被覆部15の先端近傍において、被覆部15から露出する導線13の全周にわたって防食材17を浸透させることができる。このため、被覆部15の先端近傍において、被覆部15から露出する導線13の全周にわたって、厚さが50μm以上で、長手方向に0.5mm以上の長さで防食材を配置することができ、十分な防食性を確保することができる。
また、防食材17が、特に、紫外線硬化性と湿気硬化性を併せ持つことで、紫外線の影になる部位についても、空気中や端子に付着するわずかな湿気によって、短時間で防食材17を硬化させることができる。
また、防食材の-40℃での伸び率が100%以上であれば、低温においても防食材に割れ等が生じにくく、耐サーマルショック性を確保することが可能である。
端子付き電線を各種の条件で製造し、防食材の浸透長、端子付き電線の正圧シール性および引張試験について評価した。図4(a)は、使用する防食材の深部硬化性の測定治具19を示す平面図であり、図4(b)は図4(a)のE-E線断面図である。
測定治具19は、アルミニウム製であり、中央部に所定の深さの穴21が形成される。穴21の下端からは穴21の直径と同一幅の間隙25が長手方向に向けて形成される。なお、穴21の径は1mmφとし、穴21の深さ(図4(b)のF)は、1mmとし、間隙25の高さ(図4(b)のG)は、100μmとした。
穴21および間隙25に防食材17を充填し、穴21の上方からLED23によって紫外線を照射した(図4(b)矢印H)。LED23で照射する紫外線は、波長365nmであって、1000mW/cmとした。また、照射時間は10秒とした。
LED23によって紫外線を照射した後、25℃-湿度50%の室温で5日間放置した後に測定治具19を分解して洗浄し、残った硬化物の距離(図中矢印Iであって、硬化物の長さから穴21の径を除いた距離)を深部硬化性として測定した。
このような防食材を用いて、圧縮率を変えて端子付き電線を製造し、被覆部先端部との境界部近傍における導線を被覆する防食材の長さと厚み(それぞれ周方向における最小値)を測定した。また、硬化後の樹脂の伸び率は、-40℃において防食材の伸び率を測定した。
正圧シール性は、端子付き電線の被覆導線から端子に向かって空気を送り、後端部から空気が漏れるか否かについて評価した。図5には、実験方法の概要を示す。実験は、水を入れた水槽31中に端子付き電線10の一端(端子1)を入れ、被覆導線11の端部から端子1に向かってレギュレータ32によって加圧空気を送った。なお、エア圧は30kPaとした。
また、引張試験は、JIS C 2805に準じて行った。各端子付き電線の条件と結果を表1に示す。
Figure 0007327903000001
硬化形態が「UV」とあるのは紫外線硬化性樹脂であることを示し、「UV+湿気」とあるのは、紫外線硬化性と湿気硬化性を併せ持つ樹脂であることを示す。深部硬化性の試験の結果、紫外線硬化性のみの場合には、深部硬化性は1mmであったが、紫外線硬化性と湿気硬化性とを併せ持つ樹脂は、深部硬化性が2mmと、より深い位置まで硬化させることができた。
正圧シール性は、n=5で試験を行い、リークしたものがなかったものを「◎」とし、1~2件のリークがあったものを「〇」とし、それ以上のリークがあったものを×とした。また、引張試験は、端子から被覆導線の抜けがなかったものを「〇」とし、抜けがあったものを「×」とした。
なお、防食材17の材質としては、硬化後の-40℃の引張破断伸びが100%以上であることが望ましい。硬化後の-40℃での引張破断伸びは、200μm厚さの防食材を用いて、JIS K 6251に準じて硬化後の-40℃における引張破断伸びを測定することで得ることができる。200μm厚さの防食材は、硬化前の液状の防食材を、基材に均一に塗布し、紫外線照射して200μmの厚さとなるように防食材を調整することで得ることができる。照射する紫外線は、波長365nmであって、照度は1000mW/cmとした。また、照射時間は10秒とした。
実施例1~6に用いた樹脂は、いずれも-40℃における引張破断伸びが100%以上であり、耐サーマルショック性を有していた。また、いずれも、樹脂の粘度が600mPa・s以下であり、被覆圧着部の圧縮率が50%~70%であるため、樹脂の浸透長として、50μm以上の厚みで0.5mm以上の長さを確保することができた。このため、正圧シール性および引張試験は全て〇以上となった。
なお、樹脂の粘度が100mPa・sの実施例5、6は、樹脂の厚みがやや薄くなった。
一方、比較例1は、樹脂粘度が高すぎるため、防食材が隙間まで浸透せず、正圧シール性が×となった。
また、比較例2は、被覆圧着部の圧縮率が小さいため、被覆部の先端部近傍の潰れ量が大きく、隙間が小さくなったため、防食材が浸透せず、正圧シール性が×となった。
また、比較例3は、被覆圧着部の圧縮率が大きいため、確実に被覆部を圧着することができず、引張試験が×となった。また、被覆部と被覆圧着部の隙間が生じ、この隙間に樹脂が流れ込んだため、被覆部の先端部近傍における導線13と端子1との隙間へ樹脂が十分に浸透せず、正圧シール性も×となった。
また、比較例4は、樹脂の粘度が低すぎるため、樹脂が流出して膜厚を確保することができず、正圧シール性が×となった。
なお、上記試験は、図3(a)における被覆部の露出長さFが、バレル間距離Eの1/2の場合を示すが、Fを大きくしていくことで、浸透長(厚さおよび長手)が大きくなる傾向が確認された。
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
1………端子
3………端子本体
4………トランジション部
5………圧着部
7………導線圧着部
8………バレル間部
9………被覆圧着部
10………端子付き電線
11………被覆導線
13………導線
15………被覆部
17………防食材
19………測定治具
21………穴
23………LED
25………間隙
31………水槽
32………レギュレータ

Claims (7)

  1. 被覆導線と端子とが接続されるオーバーラップ型端子付き電線であって、
    前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
    前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
    前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し(ただし、前記バレル間部及び前記被覆圧着部の内面に防食材を導入可能な溝が形成されたものを除き、前記バレル間部および前記被覆圧着部の圧着部の全内面は滑らかである)、
    前記被覆圧着部は、周方向の先端部同士が互いに重なりあい、前記被覆圧着部の圧縮率が50~70%(圧縮率70%を除く)であり、
    少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位が防食材で覆われており、かつ、前記被覆部の先端近傍において、前記被覆部から露出する前記導線の全周にわたって、50μm以上の膜厚で、長手方向に0.5mm以上の長さで前記防食材が配置され、
    このとき前記被覆部の先端と前記被覆圧着部との距離(F)は、バレル間部の長手方向の長さ(E)に対して、2/3以上5/6以下とされたことを特徴とする端子付き電線。
  2. 前記防食材は、紫外線硬化性、湿気硬化性または嫌気硬化性の少なくとも1種以上の硬化性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の端子付き電線。
  3. 前記防食材は、紫外線硬化性と湿気硬化性を有することを特徴とする請求項1記載の端子付き電線。
  4. 前記防食材は、-40℃での伸び率が100%以上であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の端子付き電線。
  5. 前記被覆圧着部の圧縮率が65%以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の端子付き電線。
  6. 被覆導線と端子とが接続されるオーバーラップ型端子付き電線の製造方法であって、
    前記被覆導線は、被覆部と、前記被覆部の先端から露出する導線とを具備し、
    前記端子は、端子本体と圧着部とを有し、
    前記圧着部は、前記導線が圧着される導線圧着部と、前記被覆部が圧着される被覆圧着部と、前記導線圧着部と前記被覆圧着部との間のバレル間部と、を具備し(ただし、前記バレル間部及び前記被覆圧着部の内面に防食材を導入可能な溝が形成されたものを除き、前記バレル間部および前記被覆圧着部の圧着部の全内面は滑らかである)、
    前記導線圧着部で前記導線を圧着するとともに、前記被覆圧着部で前記被覆部を圧着し、
    前記被覆圧着部は、圧着時に周方向の先端部同士が互いに重なりあい、前記被覆圧着部の圧縮率が50~70%(圧縮率70%を除く)であり、
    前記被覆部の先端と前記被覆圧着部との距離(F)が、バレル間部の長手方向の長さ(E)に対して、2/3以上5/6以下になるように設定し、
    少なくとも、前記バレル間部から前記導線圧着部までの前記導線が露出する部位に600mPa・s以下の粘度の防食材を塗布して硬化させることを特徴とする端子付き電線の製造方法。
  7. 前記防食材の製造時の粘度が100Pa・s以上である請求項6に記載の端子付き電線の製造方法。
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