(第1実施形態)
以下、液体吐出装置の実施形態について、図を参照して説明する。
本実施形態の液体吐出装置10は、液体の吐出方向Zと交差(本実施形態では直交)する搬送方向Yに搬送される用紙などの媒体Sに対して液体の一例であるインクを吐出することで記録(印刷)を行うインクジェット式のプリンターである。
図1に示すように、液体吐出装置10は、略直方体状をなす筐体11を有している。液体吐出装置10は、筐体11内に、液滴を吐出可能な1または複数のノズル12が開口する吐出部の一例としての吐出ヘッド13と、媒体Sを搬送する搬送装置16と、これら構成要素を制御する制御部100とを備える。吐出ヘッド13には、液体供給源14の液体を吐出ヘッド13に向けて供給するための供給流路15が接続されている。吐出ヘッド13が液体を吐出する位置を記録位置とすると、搬送装置16は、記録位置を通過する搬送経路に沿って媒体Sを搬送する複数の搬送ローラー17と、記録位置において媒体Sを搬送する搬送ベルト18とを備える。ここで、搬送方向Yは、記録位置における媒体Sの搬送方向をいう。なお、液体吐出装置10は、鉛直上方に画像読取機と自動給送装置が搭載された複合機とすることができる。
吐出ヘッド13は、媒体Sに対し液体を吐出する。本実施形態の吐出ヘッド13は、搬送方向Y及び吐出方向Zと交差(本実施形態では直交)する幅方向Xにおいて媒体Sの幅全域に亘り液体を同時に吐出可能なラインヘッドである。
液体供給源14は、例えば、液体吐出装置10が備える供給源用のホルダー26に着脱可能に装着されるカートリッジ式の液体収容体とすることができる。その他、液体供給源14は、ホルダー26に装着された液体タンクに液体を注入することで液体を補給するものであってもよい。
液体吐出装置10は、印刷前の媒体Sを複数収納可能な収納部の一例としてのカセット19と、筐体11の外側へ排出された印刷済みの媒体Sが積載状態で載置される載置トレイ20と、吐出ヘッド13のメンテナンスを行うメンテナンス装置21と、吐出ヘッド13のメンテナンス等に伴って生じた廃液を収容する廃液収容部50とを備える。廃液収容部50は、廃液用のホルダー30に装着されることにより、筐体11内の所定位置に配置される。カセット19は、筐体11に形成された凹部(図示略)に対して挿着方向Nに挿入することにより、筐体11に対して着脱可能な状態で挿着される。カセット19が筐体11に挿着された図1に示す状態では、カセット19に収納された媒体Sは筐体11内に位置する。
液体吐出装置10では、吐出ヘッド13において、ノズル12の目詰まりまたは異物の付着などに起因して生じる吐出不良の予防または解消のために、フラッシング、キャッピングおよび吸引クリーニングなどのメンテナンス動作を行う。メンテナンス装置21は、キャップ22と、キャップ22とホルダー30とを接続する廃液流路23と、廃液流路23の途中に設けられた吸引ポンプ24と、移動機構25とを備える。
移動機構25は、キャップ22を図1に実線で示す退避位置と吐出ヘッド13に接するキャッピング位置(図1に二点鎖線で示す)との間で移動させる。なお、搬送ベルト18は、キャップ22がキャッピング位置に移動する際には、図1に実線で示す支持位置から、図1に二点鎖線で示す退避位置に退避する。
キャップ22がキャッピング位置に移動してノズル12を囲むように吐出ヘッド13に接触することにより、キャッピングが行われる。液体の吐出を行わない時には、キャッピングを行ってノズル12の乾燥を抑制することによって、吐出不良の発生を予防する。
フラッシングとは、印刷とは無関係にノズル12から液滴を強制的に吐出(排出)することで、吐出不良の原因となる異物、気泡または増粘インクを排出するものである。フラッシングによって廃液として排出された液体は、キャップ22によって受容してもよいし、フラッシングによって排出される廃液を受容するためのフラッシングボックスを別途設けてもよい。後者の場合、フラッシングボックスに溜まった液体は定期または不定期にポンプを駆動してチューブ(いずれも図示せず)を通じて廃液収容部50に排出される。
また、キャップ22をキャッピング位置に配置した状態で吸引ポンプ24を駆動し、ノズル12に負圧を作用させると、その負圧によってノズル12から液体が吸引排出される吸引クリーニングが実行される。キャップ22に一端部が接続された廃液流路23は、吸引ポンプ24を介してその他端部がホルダー30に接続され、ホルダー30を介して廃液収容部50に連通している。廃液収容部50は、吐出ヘッド13から排出された液体を収容可能な収容部51を有している。
クリーニングによってノズル12から排出された液体は、廃液として、キャップ22に接続された廃液流路23を通じて廃液収容部50に収容される。また、フラッシングによって排出された廃液をキャップ22で受容した場合、キャップ22を吐出ヘッド13から離した状態で吸引ポンプ24を駆動することにより、キャップ22で受容された液体が廃液流路23を通じて廃液収容部50に収容される。
図1に示すように、廃液収容部50は、例えば、カセット19の側方に配置されている。廃液収容部50は、筐体11に対して図1の紙面手前側の正面に設けられたカバーを開けて挿入口(いずれも図示略)から奥側へ向かって挿着され、その挿着方向が幅方向Xになっている。廃液収容部50は、例えば一方向に長い直方体形状を有しており、その長手方向が幅方向Xとなる向きに挿着される。本例では、ホルダー30は、筐体11において廃液収容部50の挿着方向の奥側となる後方に配置されている。ホルダー30には、廃液流路23の下流端部が接続されている。廃液収容部50がホルダー30に装着された状態では、廃液流路23はホルダー30を介して廃液収容部50に液体を排出可能な状態に接続される。
また、図1に示すように、液体吐出装置10は、筐体11内の湿度を調整する湿度調整部60を備える。湿度調整部60は、筐体11内を除湿する除湿機能と、筐体11内を加湿する加湿機能とのうち少なくとも一方の機能を有している。そのため、湿度調整部60は、筐体11内を除湿する除湿部と、筐体11内を加湿する加湿部とのうち少なくとも一方を備える。
本実施形態では、湿度調整部60は、筐体11内におけるカセット19の近傍位置またはカセット19に備えられている。湿度調整部60は、図1に示す例では、カセット19において媒体Sが収納される媒体収納領域19Aよりも挿着方向Nの奥側(図1の紙面と直交する方向の奥側)に配置されている。湿度調整部60は、筐体11内において廃液収容部50寄り(図1では左寄り)の位置に配置されている。
湿度調整部60は、筐体11内において特にカセット19内の湿度を調整し、カセット19に収容された印刷前の媒体Sの皺やカールを抑制する。このため、例えば、カセット19が挿着された状態において、カセット19の少なくとも媒体収納領域19Aを含む湿度調整対象領域が、筐体11内における他の部分と空気の出入りが抑制されるように略閉塞されることが好ましい。湿度調整部60は、筐体11内を除湿する除湿部を備える場合、除湿により発生した水分を貯留する。また、湿度調整部60は、筐体11内を加湿する加湿部を備える場合、加湿に使用する水分を貯留する。湿度調整部60に貯留された水分の一部は廃液収容部50に排出される。そのため、廃液収容部50は、湿度調整部60から排出される水分を収容可能に構成されている。本実施形態では、湿度調整部60から水分を排出するために延びた水分流路31が、廃液流路23の途中の箇所に接続されている。つまり、水分流路31はその一端部が湿度調整部60に接続され、その他端部が廃液流路23の途中の箇所に接続されている。水分流路31は、廃液流路23における吸引ポンプ24よりもキャップ22側となる上流側の位置で廃液流路23と合流している。つまり、湿度調整部60からの水分は水分流路31および廃液流路23を介して廃液収容部50に収容される。水分流路31には、廃液流路23との合流部までの部分の所定箇所に、水分流路31を開閉する開閉弁の一例としての電磁弁32が設けられている。図1に示す例では、電磁弁32は、水分流路31と廃液流路23との合流部に設けられ、廃液流路23と水分流路31との間で吸引ポンプ24と連通する流路を切り換える流路切換弁により構成される。
電磁弁32は、制御部100により制御される。電磁弁32は、クリーニング時には、吸引ポンプ24とキャップ22との連通を開放するとともに、吸引ポンプ24と湿度調整部60との連通を遮断する第1切換位置に制御される。また、電磁弁32は、湿度調整部60から水分または水を排出するときは、吸引ポンプ24とキャップ22との連通を遮断するとともに、吸引ポンプ24と湿度調整部60との連通を開放する第2切換位置に制御される。クリーニング時でも水分排出時でもないときは、電磁弁32はどの位置にあってもよいが、廃液流路23に残存する液体が水分流路31へ流れ込むことを防止するため、第1切換位置に配置されることが好ましい。なお、電磁弁32を、水分流路31の途中に設けた開閉弁で構成してもよい。
次に、図2を参照して、湿度調整部60の構成について説明する。図2に示すように、湿度調整部60は、湿度調整駆動部61と、水を貯留する貯留部62とを有している。貯留部62には、水分流路31の一端部が接続されている。貯留部62は、水分流路31の一端部に接続された排出管64を有している。排出管64の貯留部62内に延出する他端の開口は、貯留部62内の貯留室63の内底面から鉛直方向Zに所定の高さに位置している。貯留部62内の水面と排出管64の他端の開口の位置との上下関係に応じて、貯留部62からは排出管64を通って水分流路31へ水分(水または多湿空気)が排出される。なお、湿度調整駆動部61と貯留部62は、不図示の流路を通じて接続されている。
また、湿度調整部60が除湿部である場合、湿度調整駆動部61は除湿駆動部であり、除湿駆動部が除湿することで発生した水が貯留部62に貯留される。湿度調整駆動部61である除湿駆動部は、除湿した際に水分を発生する。除湿駆動部としては、コンプレッサー式、デシカント方式、電子冷却素子(ペルチェ素子)を用いたペルチェ式、固体高分子電解質を用いて湿気の電気分解を伴って除湿する電気分解式等のどの方式のものを用いてもよい。
また、湿度調整部60が加湿部である場合、湿度調整駆動部61は加湿駆動部であり、貯留部62には加湿駆動部が加湿に用いるためユーザーが注入した水が貯留される。湿度調整駆動部61である加湿駆動部は、貯留部62に貯留された水を使用して加湿する。加湿駆動部としては、蒸気式、気化式、超音波式、固体高分子電解質を用いた水の電気分解を伴って加湿する電気分解式等のどの方式のものを用いてもよい。
さらに、湿度調整部60が除湿機能と加湿機能とを兼ね備える場合、湿度調整駆動部61は除湿と加湿とを行う駆動部であり、貯留部62には除湿で発生した水分と、加湿に用いるためユーザーが注入した水が貯留される。この場合、駆動部は、除湿駆動部と加湿駆動部とを別々に備えてもよいが、除湿機能と加湿機能とを兼ね備えた1つの駆動部を備えてもよい。後者の場合、湿度調整駆動部61には、例えば電気分解式を用いる。なお、水分は、水に限らず、除湿で発生した多湿な空気、または加湿に用いる水が貯留される貯留部62内における水面よりも上方空間に存在する多湿な空気が含まれる。
次に、図3を参照して、廃液収容部50について説明する。図3に示すように、廃液収容部50は、液体を収容可能な収容部51を有している。廃液収容部50は、上端が開口する直方体形状の容器52と、容器52の開口を塞ぐ蓋体53とを有している。収容部51は、容器52とその上端に接合された蓋体53とによりその内部に形成された略閉塞された内部空間よりなる。廃液収容部50の収容部51内には、液体(例えばインク)および水を吸収可能な吸収部材54が配置されている。廃液収容部50は、液体を導入する液体導入部55を有している。液体導入部55の外側端部は、廃液流路23の他端部(下流側の端部)と接続されている。液体導入部55の導入口55Aからは液体と水分とが収容部51内に導入される。また、廃液収容部50は、液体導入部55から導入される液体および水分を受容する受容部57を有している。図3に示すように、受容部57は、収容部51内において、吸収部材54の無い領域により形成されている。
なお、液体導入部55は、廃液収容部50に設けられてその挿着によってホルダー30側の流路に接続される流路部材であってもよいし、ホルダー30に設けられ、廃液収容部50のホルダー30への挿着により不図示の液漏れ防止用の弁を介して廃液収容部50内に挿入される流路部材であってもよい。このように液体導入部55は、廃液収容部50の一部でもホルダー30の一部でもよいので、図3では、ホルダー30を省略し、液体導入部55の外側端部が廃液流路23と連通していることを模式的に描いている。
廃液収容部50は、内部と外部とを連通する大気連通部53Aを有している。大気連通部53Aは、図3に示す例では、蓋体53に形成されている。大気連通部53Aの少なくとも一部は細管構造(いわゆる蛇道)となっていてもよい。ここで、細管構造とは、空気は出入りできるが、液体の出入りがかなり制限される程度に、管路が細くかつ蛇行する複雑な経路を有する管構造を指す。このため、廃液収容部50から大気連通部53Aを通じた筐体11内への水分の流出が抑制される。
次に、図4を参照して、液体吐出装置10におけるクリーニングおよび湿度調整に係る部分の電気的構成について説明する。図3に示すように、液体吐出装置10を統括的に制御する制御部100には、湿度センサー65、湿度調整部60、吸引ポンプ24および電磁弁32が電気的に接続されている。なお、制御部100には、吐出ヘッド13、搬送装置16および移動機構25も電気的に接続されている。詳しくは、搬送装置16および移動機構25はそれぞれ駆動源として電動モーターを有し、両電動モーターがそれぞれモーター駆動回路(いずれも図示略)を介して制御部100と電気的に接続されている。
湿度センサー65は、筐体11内の湿度を検出する。本実施形態では、湿度センサー65は、特にカセット19内の湿度を検出する。制御部100は、湿度センサー65からの検出信号に基づいて筐体11内の湿度が設定範囲内の値になるよう湿度調整部60を駆動制御し、カセット19内を含む筐体11内の湿度を調整する。すなわち、制御部100は、湿度センサー65からの検出信号に基づく検出湿度が設定範囲から外れると、湿度調整部60を駆動し、その検出湿度が設定範囲内の値になると、湿度調整部60の駆動を停止させる。なお、媒体Sのカールを抑制しうる適切な湿度の範囲が、媒体Sの種類(例えば用紙種)に応じて異なる場合、湿度の設定範囲を媒体Sの種類に応じて変更してもよい。
また、制御部100は、クリーニング時期になると、移動機構25を駆動して、搬送ベルト18を退避位置へ移動させるとともにキャップ22をキャッピング位置に配置する。そして、制御部100は、クリーニングを実施する前に、電磁弁32を第1切換位置とし、吸引ポンプ24とキャップ22との連通を開放するとともに、吸引ポンプ24と湿度調整部60との連通を遮断する。この状態で、制御部100は、吸引ポンプ24を駆動させてクリーニングを実施する。
また、制御部100は、排水時期になると、電磁弁32を第1切換位置から第2切換位置に切り換え、吸引ポンプ24とキャップ22との廃液流路23を通じた連通を遮断するとともに、吸引ポンプ24と湿度調整部60との水分流路31等を通じた連通を開放する。そして、制御部100は、この状態で吸引ポンプ24を駆動させる。本実施形態では、排水時期は、少なくともクリーニング終了後の時期を含む。排水時期は、例えば、クリーニング終了の度であってもよい。なお、貯留部62内の水量を検出する水量センサーを設け、排水時期を、水量が所定の閾値を超えたときとしてもよい。また、除湿機能のみ備える場合、排水時期は、クリーニング終了後かつ貯留部62の水量が閾値を超えたときとしてもよい。これらの場合、閾値は、除湿機能のみ備える場合は、貯留部62の水量が空であるにも関わらず排水動作を行うことを回避しうる下限値とし、加湿機能を備える場合は、加湿に必要な水量を残すことができる範囲の下限値とすることが好ましい。また、排水時期は、液体吐出装置10の電源オン時と電源オフ時のうち少なくとも一方でもよい。特に、電源オフ中の液体の乾燥固化を抑制するため、排水時期は、電源オフ時を含むことが好ましい。
次に液体吐出装置10の作用について説明する。液体吐出装置10の電源オン中において、制御部100は、湿度センサー65からの検出信号に基づく検出湿度が設定範囲から外れると、湿度調整部60を駆動させる。このため、筐体11内が適切な湿度に調整される。本実施形態では、特にカセット19内が適切な湿度に調整されるため、カセット19内の媒体Sの皺やカールが抑制される。例えば検出湿度が設定範囲の上限(閾値)を超えた場合、湿度調整部60は除湿を行う。このとき、除湿で発生した水分は貯留部62に貯留される。また、検出湿度が設定範囲の下限(閾値)未満になった場合、湿度調整部60は加湿を行う。このとき、加湿で消費された分だけ貯留部62の水量が減少する。なお、湿度調整部60が除湿と加湿のうち一方の機能のみ有する場合、上記の除湿と加湿のうち機能に応じた一方のみが、検出湿度に応じて行われる。
液体吐出装置10は、ホスト装置(図示略)から印刷ジョブを受け付けると、印刷を開始する。まず制御部100が、搬送装置16を駆動させると、カセット19から媒体Sが給送され、媒体Sは搬送経路に沿って搬送される。制御部100は、媒体Sが記録位置に到達すると、印刷ジョブに含まれる印刷データに基づいて吐出ヘッド13を駆動制御する。この結果、吐出ヘッド13から液体(例えばインク)が媒体Sに向かって吐出され、媒体Sに印刷データに基づく画像等が印刷される。印刷の対象となる媒体Sはカセット19内の適度な湿度によって、皺やカールが抑えられている。このため、媒体Sのカールが原因で発生する種々の不具合が抑制される。例えば媒体Sのカールに起因するジャム、印刷位置ずれ、吐出ヘッド13におけるノズル12が開口するノズル面への媒体Sの接触による汚れなどが防止される。
また、印刷の前後または印刷の途中には、フラッシングが行われ、吐出ヘッド13からキャップ22内に液滴が吐出される。このとき、専用のフラッシングボックスを有する構成の場合は、吐出ヘッド13からフラッシングボックス内に液滴が吐出される。また、クリーニング時期になると、クリーニングが行われる。制御部100は、まず移動機構25を駆動して、搬送ベルト18を退避位置へ移動させるとともにキャップ22をキャッピング位置に配置する。また、制御部100は、クリーニングを実施する前に、電磁弁32を第1切換位置とし、吸引ポンプ24とキャップ22との連通を開放するとともに、吸引ポンプ24と湿度調整部60との連通を遮断する。この状態で、制御部100は、吸引ポンプ24を駆動させる。吸引ポンプ24が駆動されると、吸引ポンプ24が廃液流路23を通じてキャップ22内の空気を吸引し、キャップ22内が負圧になることでノズル12から液体が強制的に排出される。キャップ22内に排出された液体は廃液流路23を通じて廃液収容部50に排出される。このクリーニング中は水分流路31が遮断されているので、キャップ22に必要な負圧を確保してクリーニングを適切に行うことができるうえ、キャップ22内の液体を強い排出力によって廃液流路23を通じて廃液収容部50へ排出することができる。また、クリーニング時に廃液流路23を流れる液体の一部が水分流路31を通じて湿度調整部60へ流入することが阻止される。廃液収容部50において液体導入部55から導入された液体は受容部57に受容される。
また、湿度調整部60から水分を排出する排出時期になると、制御部100は、排水制御を行う。本実施形態では、排水時期が少なくともクリーニング終了時に設定されている。このため、クリーニングを終了すると、制御部100は、電磁弁32を第1切換位置から第2切換位置へ切り換える。この結果、吸引ポンプ24とキャップ22との連通が遮断されるとともに、吸引ポンプ24と湿度調整部60との連通が開放される。次に制御部100は、吸引ポンプ24を駆動させる。この結果、吸引ポンプ24の吸引力により湿度調整部60から水分(例えば水)が水分流路31および廃液流路23を通じて廃液収容部50へ排出される。このとき、廃液流路23内に残存する液体が水と混合されて排出されるため、廃液流路23内が洗浄される。
また、廃液収容部50においては、液体導入部55内を残存液体と水とが混合された希釈液が流れるため、液体導入部55内が希釈液によって洗浄される。このため、仮に液体導入部55内で、残存した希釈液が乾燥固化してもその固形物は少量なので、液体導入部55が固形物に起因し閉塞する事態は防止される。また、液体導入部55から導入された水(希釈液)は、液体と同じ受容部57に受容される。この結果、受容部57における液体は水と混合され希釈される。クリーニング時に受容部57に受容された液体および排水時に受容部57に受容された希釈液は、吸収部材54に到達することで吸収される。
ここで、従来においては廃液収容部50へは液体のみが導入されるため、例えば液体が吸収部材54に吸収され終わるまでに、受容部57の液体が増粘し徐々に流動性を失う。このため、受容部57には液体が乾燥してできた乾燥固形物が堆積し易い。この種の堆積物は液体導入部55から導入された液体が受容部57から吸収部材54側へ流れて吸収部材54に吸収されることを妨げるうえ、受容部57における堆積物の成長を促進する。この場合、吸収部材54を有効に活用できず、廃液収容部50の実質的な廃液収容量を減少させる。
これに対して、本実施形態では、受容部57における液体は水(希釈液)と混合して希釈されるため、増粘するまでに時間を要し、増粘して流動性を失う前に吸収部材54に吸収される。また、仮に増粘しても、その後に導入される希釈液により溶解されるため、流動性を回復して吸収部材54に吸収される。このため、廃液収容部50内の受容部57に固形物が堆積しにくい。よって、吸収部材54を有効に活用でき、廃液収容部50の想定廃液収容量を確保できる。
なお、貯留部62内の水量が少なく排出管64の下端よりも水面が低い場合、排水制御時に、湿度調整部60から水分として多湿な空気が水分流路31を通じて廃液流路23へ送られることになる。このとき、廃液流路23内の残留液体の一部が吸引気流により下流側へ排出されるうえ、多湿な空気中の水分にさらされることで残留液体の乾燥固化を遅らせることができる。この結果、廃液流路23内が液体の乾燥固化による固形物によって閉塞する事態を回避できる。
以上詳述した実施形態によれば、以下に示す効果を得ることができる。
(1)液体吐出装置10は、媒体Sに対し液体を吐出する吐出ヘッド13と、吐出ヘッド13から排出された液体を収容可能な収容部51を有する廃液収容部50と、吐出ヘッド13を収容する筐体11と、筐体11内の湿度を調整する湿度調整部60とを備える。廃液収容部50は、湿度調整部60から排出される水分を収容可能に構成されている。よって、筐体11内の湿度調整と、吐出ヘッド13からメンテナンスで排出した液体(廃液)に起因する不都合の低減とを、簡単な構成で実現できる。
(2)媒体Sを収納するカセット19(収納部の一例)を備え、湿度調整部60は、カセット19内の湿度を調整する。よって、媒体Sのカセット19内の湿度を調整できるので、媒体Sのカールを効果的に低減できる。
(3)液体は廃液流路23を介して廃液収容部50に収容され、水分は水分流路31および廃液流路23を介して廃液収容部50に収容される。よって、湿度調整部60から水分流路31を通って排出された水分が廃液流路23内に残存する液体と混合する。よって、廃液流路23内で液体の乾燥固化を抑制できる。例えば、液体の乾燥固化に起因する廃液流路23の閉塞を抑制できる。
(4)水分流路31を開閉する電磁弁32(開閉弁の一例)を更に備える。よって、電磁弁32で水分流路31を開けることで湿度調整部60からの水分を、水分流路31および廃液流路23を介して廃液収容部50へ排出することができる。また、電磁弁32で水分流路31を閉じることで、湿度調整部60への液体の流入を抑制できる。
(5)湿度調整部60が除湿部を備える場合、吐出ヘッド13からの廃液を収容する廃液収容部50を、除湿により発生した水の収容部としても兼用できる。これにより湿度調整系の装置の簡略化が可能であるとともに液体吐出装置10の大型化を抑制できる。
(6)湿度調整部60が加湿部を備える場合、加湿に用いる水の一部を利用して廃液流路23に残存する液体を水分と混合させることができるうえ、加湿に用いる水の一部を廃液収容部50に排出することにより、廃液収容部50における液体の乾燥に起因する不都合、例えば液体(廃液)が乾燥してできる固形物の堆積を抑制できる。
(7)大気連通部53Aは少なくとも一部が細管構造を有するので、廃液収容部50内の湿気が外部に放出されることを抑制できる。このため、筐体11内を適度な湿度に安定的に維持できる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について図5~図8を参照して説明する。図5に示す液体吐出装置10の記録に係る基本的構成は、第1実施形態と同様であり、湿度調整部60から水分を排出するための水分流路を含む排水系の装置および廃液収容部50の構成が、第1実施形態と異なる。
図5に示すように、湿度調整部60は、第1実施形態と同様に、筐体11内におけるカセット19の近傍位置またはカセット19に備えられている。本実施形態では、湿度調整部60と廃液収容部50とが水分流路31を通じて接続されている。水分流路31の途中には排水用のポンプ33が設けられている。制御部100によりポンプ33が駆動されることにより、湿度調整部60から排出された水分は、水分流路31を通じて廃液収容部50に収容される。湿度調整部60の構成は、第1実施形態における図2に示すものと同様であり、湿度調整駆動部61と貯留部62とを備える。水分流路31は、貯留部62に挿通された排出管64(図2を参照)に一端部が接続され、他端部がホルダー30に接続されており、さらにホルダー30を介して廃液収容部50に連通している。なお、湿度調整部60は、図5に二点鎖線で示すように筐体11内におけるメンテナンス装置21よりも上方位置に配置されてもよい。この場合、湿度調整部60の貯留部62(図2参照)内の水は、同図に二点鎖線で示す水分流路31の途中に設けられた不図示の開閉弁を開けると、水頭差により貯留部62から水分流路31を通じて排出され、廃液収容部50内に収容される。この場合、湿度調整部60により筐体11内を適切な湿度に保つことができ、カセット19内の媒体Sの皺やカールが抑制される。筐体11内における湿度調整部60による湿度調整対象領域は、少なくとも印刷中を除き、筐体11の外部との空気の出入りが抑制されるように略閉塞された空間とされることが好ましい。
図5に示すように、廃液収容部50には、廃液流路23および水分流路31がホルダー30を介して連通している。本実施形態の廃液収容部50は、図6に示す構成、図7に示す構成、図8および図9に示す構成のいずれかの構成を有する。以下、これらの構成を順に説明する。
図6に示すように、廃液収容部50の収容部51内には、液体および水分を吸収可能な吸収部材54が配置されている。廃液収容部50は、液体(例えばインク)を導入する液体導入部55と、水分を導入する水分導入部56とを有している。液体導入部55および水分導入部56は、液体導入部55から導入される液体と、水分導入部56から導入される水分とが、収容部51内の比較的近い領域に排出されるように構成される。廃液収容部50は、液体導入部55から導入される液体を受容する受容部57を有している。受容部57は、水分導入部56から導入される水分も受容する。このため、受容部57では、液体と水とが混合され、液体が希釈されるため、液体が乾燥固化しにくい。
図7に示す廃液収容部50の構成は、図6に示す廃液収容部50の構成とほぼ同様であり、廃液収容部50の収容部51内には、液体および水を吸収可能な吸収部材54が配置されている。また、廃液収容部50は、液体を導入する液体導入部55と、水分を導入する水分導入部56とを備えている。そして、液体導入部55および水分導入部56は、それぞれ液体と水の導入箇所が比較的近くなる位置に配置されている。図6と同様に、廃液収容部50は、液体導入部55から導入される液体を受容する受容部57を有しており、受容部57は、水分導入部56から導入される水分も受容する。
図7に示す例では、水分導入部56は、液体導入部55の鉛直上方に配置されている。このため、水分導入部56の導入口56Aから流出または滴下した水が、液体導入部55に付着するようになっている。つまり、水分導入部56から導入された水は、例えば導入口55Aに直接付着するか、液体導入部55に付着した後に導入口55Aに至る。そして、導入口55Aにおいて液体導入部55内の液体と水とが混合されるので、導入口55Aの近傍で液体が乾燥固化しにくい。
また、図8、図9に示す例では、廃液収容部50には、液体を導入する液体導入部55と、水分を導入する水分導入部56とが、例えば、廃液収容部50の長手方向(図8では左右方向)の両側に設けられている。収容部51内には、液体および水分を吸収可能な吸収部材54が配置されている。図8、図9に示す例では、吸収部材54は、容器52の長手方向の両側の内壁面との間に隙間を形成するように収容部51の長手方向における略中央部に配置されている。収容部51内には、吸収部材54に対して長手方向の両側の隙間によって形成された2つの受容部57A,57Bが設けられている。第1受容部57Aには、液体導入部55の導入口55Aから導入された液体が受容される。また、第2受容部57Bには、水分導入部56の導入口56Aから導入された水が受容される。
図8、図9に示すように、吸収部材54は少なくとも一部が収容部51の底面51Aと接しない状態で設けられる。例えば、吸収部材54の底部には、その長手方向の全域に亘り凹設されてなる連通部54Aが設けられている。そして、吸収部材54は連通部54Aの部分で底面51Aと接していない。このため、収容部51内において吸収部材54を長手方向に挟む両側に位置する第1受容部57Aと第2受容部57Bは、連通部54Aを介して連通している。これにより、第1受容部57Aに受容された液体と、第2受容部57Bに受容された水は、連通部54Aを介して混合する。この結果、第1受容部57Aにおいて液体が乾燥固化することを抑制できる。
図6~図9に示すいずれの廃液収容部50の構成でも、受容部57または第1受容部57Aに受容された液体が水分と混合されるので、液体の乾燥固化が抑制される。この結果、受容部57,57Aにおいて液体の乾燥固化による堆積物が生成されにくい。堆積物が無いまたは少ないため、受容部57,57Aの液体が吸収部材54へ向かう流動が阻害されにくく、吸収部材54に吸収され易い。
なお、図6~図9において、液体導入部55および水分導入部56は、廃液収容部50に設けられ、廃液収容部50の挿着によってホルダー30側の流路に接続される流路部材でもよいし、ホルダー30に設けられ、廃液収容部50のホルダー30への挿着により不図示の液漏れ防止用の弁を介して廃液収容部50に挿入される流路部材であってもよい。このように液体導入部55および水分導入部56は、廃液収容部50の一部でもホルダー30の一部でもよい。
第2実施形態によれば、第1実施形態における前記(1),(2),(5)~(7)の効果が同様に得られる他、以下に示す効果が得られる。
(8)図6に示す構成では、廃液収容部50において、液体導入部55から導入される液体を受容する受容部57は、水分導入部56から導入される水分も受容する。よって、液体導入部55から導入されて受容部57に受容された液体の上に水が排出されるため、収容部51内における液体の乾燥による固形物の堆積を抑制できる。
(9)図7に示す構成では、水分を導入する水分導入部56が、液体を導入する液体導入部55の鉛直上方に配置されている。よって、水分導入部56から導入された水分が液体導入部55にも付着するため、液体導入部55における液体の乾燥固化を抑制できる。例えば、液体の乾燥固化に起因する液体導入部55の閉塞を抑制できる。
(10)図8、図9に示す構成では、廃液収容部50内に、液体および水分を吸収可能に配置された吸収部材54は、液体導入部55から導入される液体を受容する第1受容部57Aと、水分導入部56から導入された水分を受容する第2受容部57Bとの間において、少なくとも一部が収容部51の底面51Aと接しない状態で設けられている。よって、液体導入部55から導入された液体と、水分導入部56から導入された水分とが、吸収部材54の少なくとも一部が底面51Aと接しない部分によってできた連通部54Aを介して混合される。この結果、受容部57,57Aにおいて液体が乾燥してできる固形物の生成およびその堆積が抑制される。
上記実施形態は、以下に示す変更例のように変更してもよい。上記実施形態に含まれる構成と、下記変更例に含まれる構成とを任意に組み合わせてもよいし、下記変更例に含まれる構成同士を任意に組み合わせてもよい。
・第1実施形態において、湿度調整部60は、筐体11内におけるカセット19から離れた位置に配置してもよい。
・カセット19を備えない液体吐出装置10でもよい。例えば筐体11の外側に設けられた給送トレイに載置した媒体を筐体11内へ給送する液体吐出装置でもよい。この構成でも、筐体11内が適切な湿度に調整されるので、筐体11内で媒体Sのカールを抑制できる。
・図7において、廃液収容部50内の受容部57を無くし、導入部55,56からの液体と水分を吸収部材54の上面に落としてもよい。この構成でも、水分導入部56から導入された水が、液体導入部55にも付着するため、液体導入部55における液体の乾燥固化を抑制できる。
・図8、図9において、収容部51の底面51Aの少なくとも一部を傾斜面とし、第2受容部57Bの水が傾斜面に沿って第1受容部57Aへ流動する構成としてもよい。この場合、第1受容部57Aの液体が水分と混合し易くなる。よって、第1受容部57Aにおいて液体が乾燥した固形物の堆積を抑制できる。
・図8、図9において、吸収部材54をその底面全体が、収容部51の底面51Aと接しない状態に設けてもよい。例えば収容部51の底面周縁の一部に台部を設け、吸収部材54を台部に載置する。この場合、収容部51内で吸収部材54が底面51Aと接しない部分で液体と水を混合できるうえ、吸収部材54の底面と収容部51の底面51Aとの離間距離を相対的に短くすれば、液体および水分を吸収部材54に吸収させることができる。
・湿度センサー65の無い構成でもよい。制御部100は、液体吐出装置10の電源オン時と省電モードからの復帰時に湿度調整部60を駆動し、駆動開始から所定時間の経過後または省電モードになると、湿度調整部60の駆動を停止させる。予め多湿環境または乾燥環境で使用されることが既知であれば、湿度調整部60の駆動により筐体11内を適切な湿度に調整できる。
・クリーニングはノズル12から液体を吸引する方法に限らず、液体供給源14内の液体を加圧してノズル12から液体を排出させる方法でもよいし、吐出ヘッド13内の液体を加圧してノズル12から液体を排出させる方法でもよい。
・フラッシングボックスを有する構成では、フラッシングボックスからの液体(廃液)を廃液収容部50へ排出するための廃液流路23に対して吸引ポンプ24よりも上流側の位置で水分流路31を接続してもよい。
・湿度調整部60が除湿機能と加湿機能とを備える場合、除湿部と加湿部とを異なる位置に配置してもよい。例えば除湿部はカセット19内を直接除湿できる位置に配置し、加湿部はカセット19内に連通する筐体11内の別の空間を加湿できる位置に配置する。この構成によれば、加湿部が微細な水滴を発生する構成である場合、加湿による微細な水滴がカセット19内の媒体群の特定個所(例えば最上位の媒体)を濡らすことを抑え、微細な水滴が気化した適度な湿度の空気をカセット19内に供給できる。
・液体吐出装置10は、ライン記録方式に限らず、吐出ヘッドが媒体Sの搬送方向Yと交差する走査方向に移動して記録するシリアル記録方式、または吐出ヘッドが主走査方向と副走査方向との2方向に移動可能なラテラル記録方式でもよい。
・媒体Sは、カセット19に収容される単票紙に限らず、ロール紙等の長尺状の媒体でもよい。長尺状の媒体であっても、例えば長尺状の媒体が巻回された供給側のロール体が筐体11内に収容されれば、印刷前の媒体のカールを低減できる。また、供給側のロール体が筐体外に配置される構成であっても、媒体が供給された筐体内でカールを低減できる。
・媒体Sは、紙に限定されず、合成樹脂製のシートやフィルム、布等であってもよく、例えば、プラスチックフィルムまたは薄い板材などでもよいし、捺染装置などに用いられる布帛でもよい。なお、合成樹脂製であっても、水性であれば媒体Sの皺やカールを湿度調整により低減できる。
・液体吐出装置10は、印刷技術(インクジェット技術)を用いて電子部品の一部を製造する工業用の装置でもよい。例えば、吐出ヘッド13が、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイおよび面発光ディスプレイの製造などに用いられ、電極材または色材(画素材料)などを液体の吐出により形成してもよい。さらに液体吐出装置10は、樹脂液等の液体を吐出して3次元造形物を製造する3次元用インクジェットプリンターでもよい。3次元造形物を造形する下地のシート(媒体の一例)の皺やカールを湿度調整により低減できる。
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
[思想1]
媒体に対し液体を吐出する吐出部と、
前記吐出部から排出された前記液体を収容可能な収容部を有する廃液収容部と、
前記吐出部を収容する筐体と、
前記筐体内の湿度を調整する湿度調整部と、を備え、
前記廃液収容部は、前記湿度調整部から排出される水分を収容可能に構成されていることを特徴とする液体吐出装置。
この構成によれば、筐体内の湿度調整と、吐出部から排出されて廃液収容部に収容される液体の乾燥に起因する不都合の低減とを、簡単な構成で実現できる。
[思想2]
前記媒体を収納する収納部を備え、
前記湿度調整部は、前記収納部内の湿度を調整することを特徴とする[思想1]に記載の液体吐出装置。
この構成によれば、媒体の収納部内の湿度を調整できるので、媒体のカールを効果的に抑制できる。
[思想3]
前記液体は廃液流路を介して前記廃液収容部に収容され、
前記湿度調整部から前記水分を排出する水分流路を更に備え、
前記水分は前記水分流路および前記廃液流路を介して前記廃液収容部に収容されることを特徴とする[思想1]または[思想2]に記載の液体吐出装置。
この構成によれば、水分が水分流路および廃液流路を介して廃液収容部に収容されるため、水分流路を通った水分が廃液流路を流れることで、廃液流路内に残存した液体が水分と混合される。よって、廃液流路内での液体の乾燥固化を抑制できる。
[思想4]
前記水分流路を開閉する開閉弁を更に備えることを特徴とする[思想3]に記載の液体吐出装置。
この構成によれば、開閉弁を開けることで、湿度調整部からの水分を、水分流路および廃液流路を介して廃液収容部へ排出できる。また、開閉弁を閉じることで、液体が廃液流路を通じて廃液収容部へ排出される過程で、湿度調整部への液体の流入を抑制できる。
[思想5]
前記廃液収容部に前記液体を導入する液体導入部と、
前記廃液収容部に前記水分を導入する水分導入部と、を更に備え、
前記廃液収容部は、前記液体および前記水分を吸収可能な吸収部材を有し、
前記吸収部材は、前記液体導入部から導入される前記液体を受容する第1受容部と、前記水分導入部から導入された水分を受容する第2受容部との間において、少なくとも一部が前記底面と接しない状態で設けられることを特徴とする[思想1]または[思想2]に記載の液体吐出装置。
この構成によれば、液体導入部から導入された液体と、水分導入部から導入された水分とが、吸収部材の少なくとも一部が収容部の底面と接しない部分にできた空間(連通部)を通じて混合されることにより、液体を受容する部分において液体が乾燥してできた乾燥固形物の堆積を抑制できる。
[思想6]
前記廃液収容部は前記液体を導入する液体導入部と、
前記廃液収容部に前記水分を導入する水分導入部と、を更に備え、
前記水分導入部は、前記液体導入部の鉛直上方に配置されていることを特徴とする[思想1]または[思想2]に記載の液体吐出装置。
この構成によれば、水分導入部から導入された水分が液体導入部にも付着するため、液体導入部の残存液体の乾燥に起因する閉塞を抑制できる。
[思想7]
前記廃液収容部は、前記液体導入部から導入される前記液体を受容する受容部を有し、
前記受容部は、前記水分導入部から導入される前記水分も受容することを特徴とする請求項6に記載の液体吐出装置。
この構成によれば、液体導入部から導入された液体の上に水分が排出されるため、収容部内で液体の乾燥による固形物の堆積を抑制できる。