JP7325792B2 - 皮膚透過性促進剤および皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
<1> ローズマリー抽出物を有効成分とする皮膚透過性促進剤。
<2> 皮膚透過性促進剤が、水溶性の美白剤用または水溶性の抗炎症剤用である前記<1>に記載の皮膚透過性促進剤。
<3> 水溶性の美白剤が、コウジ酸及びその誘導体またはアスコルビン酸及びその誘導体である前記<2>に記載の皮膚透過性促進剤。
<4> 水溶性の抗炎症剤が、グリチルリチン酸及びその誘導体またはアラントインである前記<2>に記載の皮膚透過性促進剤。
<5> 皮膚透過促進剤として前記<1>から<4>のいずれかに記載のローズマリー抽出物を配合してなる皮膚外用剤。
本発明のローズマリー抽出物(Rosmarinus officinalis L. Extract)とは、前処理を行ったローズマリーを一定条件下、溶媒で抽出することによって得られる抽出物である。ここでローズマリーとは、独特の芳香を持つシソ科の常緑低木であり、地中海沿岸に自生し、ヨーロッパ中部をはじめ世界各地で一般に栽培されているものである。
原料の処理工程の代表例を次に示す。先ず、ローズマリー100gに対して精製水1kgを加え、121~125℃で60分加熱後、30℃以下に冷却する。次いで、ローズマリーを回収し、精製水で洗浄、水切り後に熱風(約80℃)で15時間以上乾燥させる。更に、十分に乾燥させたローズマリーをパワーミルで粉砕し、後の抽出処理工程用の原料として冷暗所(-20℃)で保管する。
また、本発明の皮膚外用剤としては、これらの老化防止剤、美白剤、抹消血管拡張剤等に皮膚透過性促進剤としてローズマリー抽出物を配合してなる化粧料や医薬品であり、剤型としては、ローション類、乳液類、クリーム類、パック類が挙げられる。
コウジ酸の誘導体としては、コウジ酸グルコシド、コウジ酸マンノシド、コウジ酸グルコサミドやエチル化コウジ酸が挙げられ、また、グリチルリチン酸誘導体としては、グリチルリチン酸ジカリウムやグリチルリチン酸ジナトリウム等のグリチルリチン酸塩が挙げられる。
特に、美白剤としてのコウジ酸、抗炎症剤としてのグリチルリチン酸ジカリウムの皮膚透過性促進効果が顕著である。
ここで、ヒトの皮膚(以下の実験においては、親水性と疎水性の膜を組み合わせメンブランフィルターの構造によりヒトの皮膚を再現している。)を透過する際に、親水性であるコウジ酸は、疎水性の細胞間脂質にはじかれるため、コウジ酸の透過量は低くなる。このとき、ウルソール酸が共存すると、疎水性の細胞間脂質にウルソール酸が入り込むため、ウルソール酸の親水性部分がコウジ酸の通り道を作ることでコウジ酸が疎水性の細胞間脂質を透過しやすくなり、コウジ酸の皮膚透過量が上昇するものと考えられる。
乾燥したローズマリーの葉100gに水1,000gを加え、121℃で60分間加熱した。ろ過してローズマリーを回収し、80℃で15時間以上乾燥させ、あらかじめ水で抽出される成分を除いたローズマリー約60gを得た。この前処理したローズマリー60gに95%エタノール600gを加え、40℃で2時間抽出した。これをろ過したろ液に1重量%の活性炭を加え脱色し、活性炭をろ過して除き、ろ液に水をろ液/水(2:1)の割合で加えて撹拌し、析出した成分を遠心分離して分け、沈渣を80℃で乾燥させ、約3gのローズマリー抽出物を得た。本抽出物におけるウルソール酸含有量は、40~50重量%であった。
(1)メンブランフイルターとして、メンブランStrat-M(商品名:メルクミリポア社製;47mm)を使用した。
(2)使用器具
器具としては、フランツ型セル、スターラー、クリップおよび上記メンブランフィルターを使用した。
(3)セル内レセプター液の調製
レセプター液は、生理食塩水として、リン酸緩衝液でpHを4.5に調製した。その後、レセプター液をセルの中に18mL入れて充満させ、恒温槽を用いてレセプター液を32℃に保ち、スターラーで常時攪拌した。
(1)ローズマリーエキス濃度の違いによるコウジ酸の皮膚透過性を下記試料(1)~(3)のクリーム剤型試料により比較した。
試料(1):ローズマリーエキス無配合
試料(2):ローズマリーエキスを0.2重量%配合
試料(3):ローズマリーエキスを0.4重量%配合
これら試料の含有成分名および組成割合(重量%)を表1に示した。なお、表中の精製水は、バランスとして全体が100重量%となるように残部を調製したことを表す(以下の表も同じ。)。
24時間後にサンプリングしたレセプター液について、高速液体クロマトグラフィー(HPLC:株式会社島津製作所製;CBM-20A、カラム:関東化学株式会社製;RP-18 150-4.6(5μm))によりメンブランを透過したコウジ酸(KA)含有量(重量%)を測定した。
メンブランフィルターに試料を塗布してから24時間経過後のレセプター液中のコウジ酸濃度の平均は、試料(1)が2.75μg/mL、試料(2)が4.48μg/mL、また、試料(3)が6.01μg/mLであった。
図1から分かるように、ローズマリーエキスを配合した製剤の方が、コウジ酸の皮膚透過性が高かった。また、ローズマリーエキスの配合量を増やすと、コウジ酸の皮膚透過性も高くなる傾向にあった。
(1)実施例1と同様に実施し、ローズマリーエキス濃度の違いによるコウジ酸の皮膚透過性を下記試料(4)~(5)のローション剤型試料により比較した。
試料(4):ローズマリーエキスを0.2%配合
試料(5):ローズマリーエキス無配合
これら試料の含有成分名および組成割合(重量%)を表2に示した。
メンブランフィルターに試料を塗布してから24時間経過後のレセプター液中のコウジ酸濃度の平均は、試料(4)が3.65μg/mL、また、試料(5)が2.91μg/mLであった。
図2から分かるように、ローズマリーエキスを配合したほうが、コウジ酸の皮膚透過性が高くなる結果となった。
(1)実施例1と同様に実施し、コウジ酸のクリーム剤型試料サンプルについてローズマリーエキスとイソステアリン酸の透過度を比較検討した。
試料(3’):ローズマリーエキスを0.4重量%配合
試料(6):イソステアリン酸を0.4重量%配合
これら試料の含有成分名および組成割合(重量%)を表3に示した。
(1)実施例2と同様に実施し、ローション剤型試料サンプルについてコウジ酸の代わりにグリチルリチン酸ジカリウム(GK2)を使用し、透過度を下記試料(7)、(8)により比較した。
試料(7):ローズマリーエキスを0.2重量%配合
試料(8):ローズマリーエキス無配合
これら試料の含有成分名および組成割合(重量%)を表4に示した。
グリチルリチン酸ジカリウムを用いた試験でもコウジ酸と同様にローズマリーエキスを配合することにより皮膚透過性が高くなることが分かる。
Claims (4)
- ウルソール酸を40~50重量%含有するローズマリー抽出物を有効成分とすることを特徴とする水溶性の美白剤用または水溶性の抗炎症剤用皮膚透過性促進剤。
- 水溶性の美白剤が、コウジ酸及びその誘導体またはアスコルビン酸及びその誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚透過性促進剤。
- 水溶性の抗炎症剤が、グリチルリチン酸及びその誘導体またはアラントインであることを特徴とする請求項1に記載の皮膚透過性促進剤。
- 水溶性の美白剤がコウジ酸及びその誘導体であり、水溶性の抗炎症剤がグリチルリチン酸及びその誘導体であることを特徴とする請求項1に記載の皮膚透過性促進剤。
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