JP7325232B2 - 膜形成装置および物品製造方法 - Google Patents

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本発明は、膜形成装置および物品製造方法に関する。
基板の上に硬化性組成物を配置し、該硬化性組成物と型とを接触させ該硬化性組成物を硬化させることによって該硬化性組成物の硬化物からなる膜を形成する膜形成装置がある。パターンを有する型を使うことによって基板の上の硬化性組成物に該パターンを転写することができ、このような態様で使用される膜形成装置は、インプリント装置と呼ばれる。また、平坦面を有する型を使うことによって基板の上に硬化性組成物からなる平坦化膜を形成することができ、このような態様で使用される膜形成装置は、平坦化装置と呼ばれる。
特許文献1には、インプリント装置として構成された転写装置が記載されている。該転写装置は、モールドをZ方向に移動させてウエハに押し付ける押印機構と、ウエハをXY方向に移動させるウエハステージとを有する。該押印機構は、モールドステージと、第1モールド駆動部と、第1ガイドと、荷重センサと、第2モールド駆動部と、第2ガイドと、ボールナットと、ボールネジと、モータとを有する。該押印機構に組み込まれた該荷重センサは、モールドをウエハに押し付ける際にモールドとウエハとの間に作用する押圧力や、モールドをウエハから引き離す際にモールドとウエハとの間に作用する引っ張り力を検出する。
特開2010-56152号公報
特許文献1に記載された転写装置では、荷重センサが押印機構に組み込まれているので、押印機構が複雑化しうる。押印機構には、硬化性組成物を硬化させるための光の光路およびアラメント検出器の光路等が配置されうるので、押印機構の構造は、可能な限り単純であることが望ましい。
本発明は、型と基板との間に作用する力を検出するための検出部が型駆動機構に組み込まれることによる該型駆動機構の構造の複雑化を回避するために有利な技術を提供することを目的とする。
本発明の1つの側面は、基板の上に硬化性組成物の硬化物からなる膜を形成する膜形成装置に係り、前記膜形成装置は、前記基板を保持する基板保持部を含む基板ステージと、前記基板の上の硬化性組成物を成形するための型を駆動する型駆動機構と、前記基板ステージに配置され、前記型と前記基板との間に作用する力を検出するための検出部と、前記検出部の出力に基づいて前記型駆動機構を制御する制御部と、を備え、前記検出部は、前記型と前記基板との間に作用する力による前記基板ステージの変位を検出し、前記制御部は、前記検出部の出力に基づいて前記型と前記基板との間に作用する力を求める
本発明によれば、型と基板との間に作用する力を検出するための検出部が型駆動機構に組み込まれることによる該型駆動機構の構造の複雑化を回避するために有利な技術が提供される。
一実施形態の膜形成装置の構成を示す図。 基板駆動機構の構成例を示す図。 エアーガイドの構成例を示す図。 インプリント処理を説明する図。 インプリント処理を説明する図。 インプリント処理における型のZ位置(a)および目標力プロファイル(b)を例示する図。 検出部の構成例を示す図。 エアーガイドの剛性と浮上量との関係を例示する図。 検出部の他の構成例を示す図。 他の実施形態の膜形成装置の構成を示す図。 基板の1つのショット領域に対するインプリントシーケンスを例示する図。 目標力プロファイルを例示する図。 物品製造方法を例示する図。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
本実施形態の膜形成装置は、基板の上に硬化性組成物の硬化物からなる膜を形成するように構成されうる。該膜形成装置は、パターンを有する型を使って基板の上の硬化性組成物に該パターンを転写するインプリント装置として構成されてもよいし、平坦面を有する型を使って基板の上に硬化性組成物からなる平坦化膜を形成する平坦化装置として構成されてもよい。以下では、インプリント装置として構成された膜形成装置を例示的に説明するが、本発明の膜形成装置は、平坦化装置として構成されてもよい。
図1には、一実施形態の膜形成装置(インプリント装置)100の構成が示されている。膜形成装置100は、基板101の上にインプリント材の硬化物からなる膜を形成するインプリント処理を行う。インプリント処理は、基板101の上のインプリント材に型105を押し付ける押し付け工程と、該インプリント材を硬化させる硬化工程と、該インプリント材の硬化物から型105を分離する分離工程とを含みうる。インプリント処理により、基板101の上に型105のパターンが転写された硬化物からなる膜が形成される。本明細書および図面では、基板101の表面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系において方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸、Z軸にそれぞれ平行な方向をX方向、Y方向、Z方向とする。
インプリント材には、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物(未硬化状態の樹脂と呼ぶこともある)が用いられる。硬化用のエネルギーとしては、電磁波、熱等が用いられる。電磁波としては、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される、赤外線、可視光線、紫外線などの光である。
硬化性組成物は、光の照射により、あるいは、加熱により硬化する組成物である。このうち、光により硬化する光硬化性組成物は、重合性化合物と光重合開始剤とを少なくとも含有し、必要に応じて非重合性化合物または溶剤を含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。
インプリント材は、スピンコーターやスリットコーターにより基板上に膜状に付与される。或いは液体噴射ヘッドにより、液滴状、或いは複数の液滴が繋がってできた島状又は膜状となって基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。基板は、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂等が用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。基板としては、具体的に、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスなどである。
膜形成装置100は、インプリント処理を繰り返すことによって、基板の複数のショット領域のそれぞれにパターンを形成しうる。ここでは、インプリント材を硬化させる硬化エネルギーとして紫外光を利用する例を説明するが、他の波長域の光を利用することもできるし、他の形態のエネルギー(例えば、熱)を利用することもできる。
膜形成装置100は、基板駆動機構103と、型駆動機構131と、照射部(硬化部)106と、供給部107と、アライメントスコープ111と、フォーカスセンサ112と、検出部115と、制御部114とを備えうる。
図2には、基板駆動機構103の構成例が示されている。基板駆動機構103は、基板101を保持する基板保持部(基板チャック)102を含む基板ステージ121を含みうる。また、基板駆動機構103は、エアーガイド116を含む流体軸受を介して基板ステージ121をガイドするガイド面(上面)を有するガイド部材(ステージ定盤)104を含みうる。基板ステージ121は、XY方向に移動するXY可動体である。基板ステージ121は、ガイド部材104のガイド面(上面)の上に浮上状態で配置される。基板駆動機構103は、Xビーム129とともにY方向に移動するY可動体122を更に含みうる。基板ステージ121は、エアーガイド127を介してXビーム129によってガイドされながらXリニアモータによってX方向に駆動される。Xリニアモータは、基板ステージ121に組み込まれた可動子と、Xビーム129に組み込まれた固定子とを含みうる。基板ステージ121は、YリニアモータによってXビーム129がY方向に駆動されることによってY方向に移動する。Yリニアモータは、Y可動体122に連結された可動子125と、Y軸ガイド128に沿って配置された固定子126とを含みうる。Y可動体122は、Y可動体122をガイド部材104のガイド面に対してY可動体122を浮上させるエアーガイド123と、Y軸ガイド128との間に流体軸受を構成するエアーガイド124とを有しうる。
エアーガイド116を含む流体軸受による基板ステージ121の浮上量(ガイド部材104のガイド面と基板ステージ121の下面との距離)は、例えば、数μm~10数μmでありうる。このような流体軸受によって基板ステージ121を支持する構造は、基板ステージ121とそれを支持するガイド部材104との摩擦をなくし、基板ステージ121を高速、高精度、大ストロークで移動させることを可能にする。
基板ステージ121を大ストロークで駆動する際の速度および加速度は、可能な限り大きいことが望ましい。しかしながら、重心位置や力点の位置等のレイアウト上の制約もあり、加減速時には、慣性力によって基板ステージ121のローリング、ピッチング、ヨーイング等でエアーガイド116による基板ステージ121の浮上量が小さくなりうる。ガイド部材104のガイド面と基板ステージ121またはエアーガイド116とが干渉する可能性もある。そのため、エアーガイド116を含む流体軸受の剛性を高くすることによって、基板ステージ121の加減速時にかかるエアーガイド116への荷重に対する抵抗力を増加させ、これにより浮上量の低減を抑えることが望ましい。
図3には、エアーガイド116の構成例が示されている。エアーガイド116は、エアーを吹き出す吹き出し孔118と、吹き出し孔118から吹き出されたエアーが流れる溝119とを含みうる。溝119は、例えば、矩形の4辺を構成する溝と、該矩形を4つの小矩形に分割する溝とを含み、該矩形の中心に吹き出し孔118が配置されうる。溝119は、この例に限定されるものではなく、円形または他の形状を有していてもよいが、吹き出し孔118に関して対称な構造を有することが望ましい。基板ステージ121の浮上量の管理する方法として、例えば、ガイド部材104を磁性体で構成し、基板ステージ121に予圧磁石を配置する方法、または、真空吸引を用いる方法などがある。
インプリント装置として構成される膜形成装置100においては、表面にパターンを有する型105が使用される。該パターンは、凹部によって構成されうる。型105は、基板101の上の硬化性組成物を成形するために使用される。型駆動機構131は、型105を保持する型保持部と、該型保持部を駆動する駆動機構とを含みうる。該駆動機構は、例えば、1又は複数のアクチュエータを含みうる。該駆動機構は、基板101の上のインプリント材に対する型105の押し付け、および、硬化したインプリント材からの型105の分離を行うために型105をZ方向に関して駆動しうる。型105の背圧を制御しながら押し付けをしてもよい。型105を基板101に向けて凸形状にし、凸形状の先端からインプリント材に接触させることにより、押し付け時のガストラップを低減できる。
照射部(硬化部)106は、例えば、型105を介して、基板101の上のインプリント材に硬化エネルギーとしての紫外光を照射して該インプリント材を硬化させうる。照射部106は、例えば、i線、g線等の紫外線を発生させるハロゲンランプなどの光源と、該光源からの紫外光を基板101の上のインプリント材に照射するための光学系とを含みうる。供給部107は、基板101の上にインプリント材を供給あるいは配置する。供給部107は、例えば、未硬化のインプリント材を収容するタンク108と、インプリント材を吐出するディスペンサ107aと、タンク108に収容されたインプリント材をディスペンサ107aに供給する供給管109とを含みうる。膜形成装置100は、ディスペンサ107aを移動させる移動機構110を備えてもよい。
アライメントスコープ111は、基板101の上にインプリント材が供給された後に、型105と基板101のショット領域とのアライメント(位置合わせ)を行う際に用いられうる。アライメントスコープ111は、例えば、型105のアライメントマークと基板101のアライメントマークとの相対位置を検出するために使用されうる。フォーカスセンサ112は、基板ステージ121の基板保持部102によって保持された基板101の高さ方向の位置を検出する。また、フォーカスセンサ112を使って基板101の複数の箇所の高さ方向の位置を検出することで、基板101の平坦度を求めることも可能である。膜形成装置100は、型駆動機構131、照射部106、ディスペンサ107a、タンク108、供給管109、移動機構110、アライメントスコープ111およびフォーカスセンサ112を支持する支持構造113を備えうる。
検出部115は、基板ステージ121に配置され、型105と基板101との間に作用する力を検出するために使用される。検出部115は、型105と基板101との間に作用する力そのものを検出してもよいし、該力に換算可能な情報を検出してもよい。そのような換算は、制御部114によってなされてもよい。一例において、検出部115は、型105と基板101との間に作用する力による基板ステージ121の変位を検出し、制御部114は、検出部115の出力に基づいて型105と基板101との間に作用する力を求める。
検出部115を基板ステージ121に配置することにより、型駆動機構131の構造の複雑化を回避することができる。検出部115を基板ステージ121に配置することは、型駆動機構131が有するアクチュエータ等からの熱の影響を受けずに基板101と型105との間に作用する力を検出するために有利である。パターンを有する型を用いたインプリント装置では、基板101と型105との間に作用する力(押し付け力)の制御精度が、転写されるパターンの歪みに影響を与えうる。特に、半導体素子を形成するためのインプリント装置は、基板に既に形成されている下層パターンに対して転写されるパターンを精度よく重ね合わせる必要がある。本実施形態において、制御対象である型駆動機構131ではなく基板ステージ121に検出部115を配置することで、ドリフトを低減し、基板101と型105との間に作用する力の制御精度を向上させることができる。検出部115は、ガイド部材104のガイド面と検出部115との距離の変化を検出するセンサを含みうる。
制御部114は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Arrayの略。)などのPLD(Programmable Logic Deviceの略。)、又は、ASIC(Application Specific Integrated Circuitの略。)、又は、プログラムが組み込まれた汎用又は専用のコンピュータ、又は、これらの全部または一部の組み合わせによって構成されうる。制御部114は、基板駆動機構103、型駆動機構131、照射部106と、供給部107、アライメントスコープ111、フォーカスセンサ112および検出部115を制御しながらインプリント処理を制御しうる。制御部114は、検出部115を使って検出される力が目標力プロファイルの許容範囲内になるように型駆動機構131を制御しうる。
以下、図4、図5を参照しながら膜形成装置100におけるインプリント処理を説明する。まず、図4(a)に示すように、基板101が基板ステージ121の基板保持部102によって保持される。次いで、図4(b)に示すように、ディスペンサ107aの吐出位置に基板101のショット領域が位置するように基板ステージ121が駆動される。
次に、図4(c)に示すように、ディスペンサ107aから未硬化のインプリント材を吐出させながら、基板ステージ121を移動させることで、基板上のショット領域にインプリント材が供給あるいは配置される。ここで、基板ステージ121を図4(a)の状態から図4(b)の状態に移動させる間にフォーカスセンサ112によって基板101のZ位置および/または平坦度を検出し、基板101のそれらに異常がない場合に基板101にインプリント材が供給されてもよい。
次いで、図4(d)及び図5(a)に示すように、型105の下に基板101のショット領域(インプリント材が供給されたショット領域)が位置するように、基板ステージ121が駆動される。そして、型駆動機構131によって型105を降下させて、基板101の上のインプリント材に型105が押し付けられる(換言すると、基板101の上のインプリント材に型105が接触する)。基板101の上のインプリント材と型105とが接触した状態において、型105のアライメントマークと基板101のアライメントマークとの相対位置がアライメントスコープ111を使って検出され、型105と基板101との相対位置が調整される。
次いで、図5(b)に示すように、照射部106から型105を介して基板101と型105との間のインプリント材に紫外光を照射し、インプリント材を硬化させる。次いで、図5(c)に示すように、型駆動機構131によって型105を上昇させて、基板101の上の硬化したインプリント材から型105が分離される。以上のようにして、基板101のショット領域の上に、型105のパターンが転写されたインプリント材の硬化物からなる膜が形成される。
図6(a)には、インプリント処理における型105のZ位置(Z方向の位置)のプロファイルが例示されている。図6(a)の横軸は時間であり、図6(a)の縦軸は型105のZ位置である。図6(b)には、インプリント処理において基板101と型105との間に作用する力のプロファイル(目標力プロファイル)が例示されている。図6(b)の横軸は時間であり、図6(b)の縦軸は基板101と型105との間に作用する力である。図6(a)、図6(b)の例では、型105の駆動を制御するメイン制御ループは、基板101の上のインプリント材と型105とが接触するコンタクト位置に型105が達するまでは、型105の目標位置に従う位置制御である。また、図6(a)、図6(b)の例では、型105の駆動を制御するメイン制御ループは、型105がコンタクト位置に達した後は、型105に与える力を制御する力制御である。
図7には、検出部115の構成例が模式的に示されている。検出部115は、ガイド部材104のガイド面と検出部115との距離の変化を検出するセンサ115aを含みうる。センサ115aは、例えば、静電容量センサでありうる。押し付け工程において、基板101の上のインプリント材と型105とが接触する。これにより、基板101と型105との間に押し付け力が発生し、エアーガイド116で浮上している基板ステージ121の浮上量(ガイド部材104のガイド面と基板ステージ121の下面との距離)がΔdだけ変化する。浮上量の変化Δdは、検出部115を使って検出される。制御部114は、検出部115を使って検出された浮上量の変化Δdに基づいて押し付け力(基板101と型105との間に作用する力)を求め、この押し付け力が図6(b)の目標力プロファイルの許容範囲内になるように型駆動機構131を制御しうる。
図8は、エアーガイド116の剛性と基板ステージ121の浮上量との関係が例示されている。1つのエアーガイド116に作用する力をF1、エアーガイド116の剛性をn、浮上量の変化をΔdとすると、これらの間には、式(1)で表現される関係がある。
F1=n×Δd ・・・式(1)
押し付け力をF、エアーガイド116の個数をNとすると、式(2)で表現される関係がある。
F=F1×N ・・・式(2)
よって、制御部114は、式(1)、式(2)に従って押し付け力Fを求めて、これに基づいて型駆動機構131を制御することができる。
図9には、検出部115の他の構成例が示されている。検出部115は、ガイド部材104のガイド面と検出部115との距離の変化を検出する複数のセンサ115aを含みうる。図9の例では、ガイド部材104の上に基板ステージ121を浮上させるための流体軸受は、4つのエアーガイド116を含み、検出部115は、ガイド部材104のガイド面と検出部115との距離の変化を検出する4つのセンサ115aを含みうる。各センサ115aは、それに対応するエアーガイド116の近傍に配置されうる。4つのセンサ115aは、基板ステージ121の4隅に配置されうる。
基板101を介して基板ステージ121に押し付け力Fが作用すると、基板ステージ121にチルト(X軸周りの回転、Y軸周りの回転)が発生しうる。このチルトは、基板101あるいは基板ステージ121の中心軸からショット領域までの距離に応じて大きくなりうる。したがって、押し付け工程時における基板ステージ121の浮上量は、ショット領域に応じて異なりうる。そこで、複数のセンサ115aを使って検出された浮上量の変化Δdと基板ステージ121の位置とに基づいて押し付け力Fを求めることが好ましい。これにより、押し付け力Fをより正確に検出し、制御することができる。
ここで、4つのセンサ115aのそれぞれによって検出される浮上量の変化をΔd1、Δd2、Δd3、Δd4とする。また、4つのセンサ115aにそれぞれ対応する4つのエアーガイド116に作用する力をF1、F2、F3、F4とする。このとき、F1、F2、F3、F4は、式(1)と同様に、式(3)のように表現される。
F1=n×Δd1
F2=n×Δd2
F3=n×Δd3
F4=n×Δd4
・・・式(3)
押し付け力Fは、式(4)で表現される。
F=F1+F2+F3+F4 ・・・式(4)
インプリント処理を行うショット領域の位置を(x,y)、エアーガイド116の位置を(X,Y)とすると、図9(c)の配置より、式(5)が得られる。
F1・X+F4・X=F・x+F2・X+F3・X
F1・Y+F2・Y=F・y+F3・Y+F4・Y
・・・式(5)
よって、制御部114は、式(3)、式(4)、式(6)に従って押し付け力Fを求めて、これに基づいて型駆動機構131を制御することができる。
図10には、膜形成装置100の他の実施形態が示されている。図10に示された実施形態では、膜形成装置100は、エアーガイド116の剛性を変更する変更器120を備えている。変更器120は、例えば、エアーガイド116に供給する圧力を変更することによってエアーガイド116の剛性を変更するように構成されうる。エアーガイド116の剛性を低くすると、基板ステージ121の浮上量の変化Δdが大きくなり、押し付け力の検出精度が向上しうる。変更器120は、例えば、電磁弁を含み、該電磁弁の制御によって、エアーガイド116に供給される圧力を変更し、これによってエアーガイド116の剛性を変更することができる。圧力を変更するラインは、プレッシャーラインまたはバキュームラインのいずれか、または、双方でありうる。
図11には、基板101の1つのショット領域に対するインプリントシーケンスが例示されている。図11に示されたインプリントシーケンスは、制御部114によって制御される。図12には、基板101の1つのショット領域に対するインプリントシーケンスにおいて基板101と型105との間に作用する力Fのプロファイル(目標力プロファイル)が例示されている。
工程S1101において、基板101のショット領域に対してディスペンサ107aからのインプリント材の吐出と基板ステージ121の駆動によってインプリント材が配置される。工程S1102において、インプリント材が配置されたショット領域が型105の直下のインプリント位置に移動するように基板ステージ121が駆動される。
工程S1103では、変更器120を制御することによって、エアーガイド116の剛性が第1剛性から第2剛性に下げられる。ここで、第2剛性は、第1剛性よりも低い剛性である。工程S1104では、型駆動機構131によって型105を降下させることによって、基板101のショット領域の上のインプリント材に型105が押し付けられる。工程S1104は、工程S1103と同時に開始されうる。工程S1104から工程S1107において、制御部114は、基板101と型105との間に作用する力が図12に示された目標力プロファイルの許容範囲内になるように、検出部115を使って検出される力Fに基づいて型駆動機構131を制御する。
工程S1105では、アライメントスコープ111を使って基板101のショット領域のアライメントマークと型105のアライメントマークとの相対位置を検出しながら、該ショット領域と型015とのアライメントがなされる。このアライメントは、基板ステージ121の駆動を含む。工程S1106では、インプリント材が硬化させるように、照射部106によってインプリント材に硬化エネルギーとしての紫外光が照射される。工程S1107では、型駆動機構131によって型105を上昇させることによって、基板101のショット領域の上のインプリント材の硬化物から型105が分離される。工程S1108では、変更器120を制御することによって、エアーガイド116の剛性が第2剛性から第1剛性に上げられる。工程S1108は、工程S1107の終了と同時に実行されうる。工程S1109では、例えば、次のショット領域のインプリント処理のために、基板ステージ121が駆動される。
以上のように、基板ステージ121を高速、高精度で移動させる時(例えば、あるショット領域が型105の直下位置する状態から次のショット領域をディスペンサ107aの下に移動させる時)を移動させる場合には、エアーガイド116の剛性が高く設定される。一方、基板101と型105との間に作用する力を制御する時は、エアーガイド116の剛性が低く設定される。他の観点で表現すると、押し付け工程の開始から分離工程の終了までの期間におけるエアーガイド116の剛性は、押し付け工程の開始前の期間および分離工程の終了後の期間におけるエアーガイド116の剛性よりも低く設定されうる。これにより、スループットを高くしつつ、インプリント処理において基板と型との間に作用する力を高い精度で制御し歩留まりを向上させることができる。また、別の形態として、基板101上にパターンを形成するシーケンスにおいてエアーガイド116の剛性を第1の剛性とし、センサを校正するためにキャリブレーションシーケンスにおいて第1の剛性よりも低い第2の剛性としてもよい。
インプリント装置を用いて形成した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、型等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。型としては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストマスクとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストマスクは除去される。
次に、インプリント装置として構成された膜形成装置によって基板にパターンを形成し、該パターンが形成された基板を処理し、該処理が行われた基板から物品を製造する物品製造方法について説明する。図13(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に形成されたシリコンウエハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面にインプリント材3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になったインプリント材3zが基板上に付与された様子を示している。
図13(b)に示すように、インプリント用の型4zを、その凹凸パターンが形成された側を基板上のインプリント材3zに向け、対向させる。図13(c)に示すように、インプリント材3zが付与された基板1zと型4zとを接触させ、圧力を加える。インプリント材3zは型4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を型4zを介して照射すると、インプリント材3zは硬化する。
図13(d)に示すように、インプリント材3zを硬化させた後、型4zと基板1zを引き離すと、基板1z上にインプリント材3zの硬化物のパターンが形成される。この硬化物のパターンは、型の凹部が硬化物の凸部に、型の凸部が硬化物の凹部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zに型4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
図13(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングマスクとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図13(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが形成された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
100:膜形成装置、121:基板ステージ、131:型駆動機構、114:制御部、115:検出部

Claims (11)

  1. 基板の上に硬化性組成物の硬化物からなる膜を形成する膜形成装置であって、
    前記基板を保持する基板保持部を含む基板ステージと、
    前記基板の上の硬化性組成物を成形するための型を駆動する型駆動機構と、
    前記基板ステージに配置され、前記型と前記基板との間に作用する力を検出するための検出部と、
    前記検出部の出力に基づいて前記型駆動機構を制御する制御部と、を備え、
    前記検出部は、前記型と前記基板との間に作用する力による前記基板ステージの変位を検出し、
    前記制御部は、前記検出部の出力に基づいて前記型と前記基板との間に作用する力を求める、
    ことを特徴とする膜形成装置。
  2. ガイド面を有するガイド部材を更に備え、
    前記基板ステージは、流体軸受を介して前記ガイド面によってガイドされ、
    前記検出部は、前記ガイド面に対する前記基板ステージの浮上量の変化を前記変位として検出する、
    ことを特徴とする請求項1に記載の膜形成装置。
  3. 前記検出部は、前記ガイド面と前記検出部との距離の変化を検出するセンサを含む、
    ことを特徴とする請求項2に記載の膜形成装置。
  4. 前記センサは、静電容量センサである、
    ことを特徴とする請求項3に記載の膜形成装置。
  5. 前記流体軸受は、複数のエアーガイドを含み、前記検出部は、前記ガイド面と前記検出部との距離の変化を検出する複数のセンサを含む、
    ことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の膜形成装置。
  6. 前記複数のセンサは、前記複数のエアーガイドに対応して設けられ、
    前記複数のセンサの各々は、前記複数のエアーガイドのうち対応するエアーガイドの近傍に配置されている、
    ことを特徴とする請求項5に記載の膜形成装置。
  7. 前記基板の上に硬化性組成物の硬化物からなる膜を形成する処理は、前記基板の上の該硬化性組成物に前記型を押し付ける押し付け工程と、該硬化性組成物を硬化させる硬化工程と、該硬化性組成物の硬化物からなる膜から前記型を分離する分離工程とを含み、
    前記押し付け工程の開始から前記分離工程の終了までの期間における前記流体軸受の剛性は、前記押し付け工程の開始前の期間および前記分離工程の終了後の期間における前記流体軸受の剛性よりも低い、
    ことを特徴とする請求項2乃至6のいずれか1項に記載の膜形成装置。
  8. 前記制御部は、前記検出部を使って検出される力が目標力プロファイルの許容範囲内になるように前記型駆動機構を制御する、
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の膜形成装置。
  9. インプリント装置として構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の膜形成装置。
  10. 平坦化装置として構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の膜形成装置。
  11. 請求項1乃至10のいずれか1項に記載の膜形成装置を用いて基板の上に膜を形成する工程と、
    前記工程において前記膜が形成された基板の加工を行う工程と、
    を含み、前記加工が行われた前記基板から物品を製造することを特徴とする物品製造方法。
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