以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、図面は、発明の理解を助けるための模式的なものである。
(包装吸収性物品)
図1に、本発明の一形態による包装吸収性物品100を示す。また、図2(a)に、図1のIa-Ia線断面図を示し、図2(b)に、図1のIb-Ib線断面図を示す。
図1及び図2に示すように、包装吸収性物品100は、包装シート10と包装シート10によって包装された吸収性物品1とを含む。別言すれば、包装吸収性物品100は、その内部に1つの吸収性物品1を収容する個別包装体である。
包装シート10は、広げた状態(折り畳まれていない状態)で細長形状、例えば長方形、長楕円形等を有するものであってよい。包装シート10の寸法は、包装する吸収性物品1の大きさや形状によるが、例えば、包装シート10を広げた状態で、長手方向D1の長さを120~500mm、幅方向D2の長さ(単に幅という場合がある)を50~200、好ましくは75~180mmとすることができる。また、折り畳まれた状態での包装シート10の長手方向D1の長さ(包装吸収性物品100の長手方向D1の長さ)は50~160mmであってよい。
包装吸収性物品は、例えば、広げた包装シートに吸収性物品を載置し、少なくとも1つの折り線で、包装シートの長手方向に折り畳むことによって得ることができる。図1及び図2に示す形態では、包装シート10は、包装シート10上に載置された吸収性物品1とともに、包装シート10の長手方向D1に巻き三つ折りされている。より具体的には、包装シート10の長手方向D1の一端11を含む第1領域R1が第1折り線FL1で折り畳まれ、包装シート10の長手方向D1の他端12を含む第2領域R2が第2折り線FL2で折り畳まれている。この折り畳みの際には、第1領域R1が第2領域R2の上に重なるように配置される。なお、本形態では、第1領域R1と第2領域R2との間の領域を第3領域R3とする。
第2領域R2は、長手方向D1の一端11が、第1領域R1の折り線FL1に達するように折り畳まれてもよいし、図1に示すように、長手方向D1の一端11が第3領域上の折り線FL1から離れるような位置に配置されるように折り畳まれてもよい。また、第1領域R1に含まれる包装シート10の一端11は、第2領域R2が折られた第2折り線FL2を越えて第2領域R2からはみ出さないことが好ましい。このような端部の2領域を重ね合せる包装方法は簡単であり、且つ吸収性物品を外部環境に晒されない状態で確実に封入することができるので、好ましい。
図1及び図2に示すように、図示の例では、長手方向D1の場所によって、重ねられている包装シート10の枚数が異なっている。図1及び図2示す形態では、包装吸収性物品100の縁部は、2枚の包装シートが積層され接合された第1ゾーンZ1と、3枚の包装シートが積層され接合された第2ゾーンZ2とを有する。第1ゾーンZ1は、折り線FL1側のゾーンZ1aと、折り線FL2側のゾーンZ1bとを有する。
包装シート10が上述のように巻き三つ折りされた後、図1に示すように、第1領域R1と第2領域R2とにわたるようにタブテープ15が貼着されていることが好ましい。より具体的には、外側に配置された第1領域R1の自由端部、すなわち包装シート10の一端11を跨ぐように、第1領域R1及び第2領域R2にタブテープ15を配置する。また、タブテープ15は、包装シート10の長手方向D1に直交する方向である包装シート10の幅方向D2の中央に配置することが好ましい。タブテープ15は、例えば折り線FL2に近い側に、包装シート10に貼着されてない、使用者により把持可能なタブ部を備えていてよい。タブテープ15が設けられていることで、包装吸収性物品100の開封時には、使用者はタブテープ15を持って第1領域R1を持ち上げることができるので、開封がより容易となる。
包装シート10を構成する材料は、特に限定されず、樹脂製フィルム、不織布、不織布と樹脂フィルムとを積層させたラミネート不織布、紙等であってよい。
包装シート10に樹脂製フィルムを用いた場合、用いられる樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。樹脂製フィルムとしては、延伸加工されたものが好ましい。また、樹脂製フィルムは、非通気性フィルムであってもよいし、通気性フィルムであってもよい。樹脂製フィルムを用いた場合、印刷の輪郭が明瞭になり、着色剤の発色も良好になるので、包装シートのデザイン性を向上させることができる。
包装シート10に不織布を用いた場合、風合いやソフト感等を向上させることができ、好ましい。用いられる不織布としては、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布等が好ましく、これらの不織布の層を組み合わせ複数積層させたものを用いることもできる。また、不織布を構成する繊維は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン等のポリアミド等であってよい。また、不織布の表面及び/又は不織布に含まれる繊維を、親水処理又は疎水処理されたものを用いることもできる。
包装シート10に紙を用いた場合、廃棄の際の環境負担が少なく、独特の風合いを付与できるという点で好ましい。なお、本明細書において、紙とは、植物繊維その他の繊維を膠着剤で膠着させて平板状にしたものを指すことができる。特に、植物繊維(パルプ)を主原料としたもの、例えば含有繊維のうち植物繊維が50%以上であるもの、好ましくは80%以上であるものを指すことができる。紙に含まれるパルプの種類としては、木材パルプ、非木材パルプ、古紙パルプが含まれていてよく、これらは、機械パルプ、化学パルプのいずれであってもよい。紙には、添加剤が添加されていてもよい。さらに、包装シート10に用いられる具体的な紙の例としては、洋紙、和紙、加工紙、合成紙等の様々な種類の紙を挙げることができる。また、従来他の用途で使用されている紙、例えば、新聞用紙、印刷用紙(上質紙を含む)、筆記用紙、図画用紙、包装用紙、薄葉紙、雑種紙等と呼ばれる紙を未加工で又は加工して用いることもできる。
包装シート10の材料として紙を用いた場合には、吸収性物品を包装する際に折り畳みやすく、包装された後の状態を維持しやすくするために、包装シート10は、目付の低い薄葉紙とすることができる。薄葉紙は、薄口模造紙、インディアンペーパー、ライスペーパー(タバコ用巻紙等として使用)、グラシン紙、ティシュペーパー、トイレットペーパー、ろ紙等であってもよい。また、包装シート10は、抄紙後に加工が施されたものであってもよい。上記加工とは、例えば、クレープ加工、エンボス加工、カレンダー加工、撥水加工(後述の剥離加工を含む)、スリット加工、プライ加工、印刷加工等が挙げられる。クレープ加工やエンボス加工を行うことにより、強度及び柔軟性をともに向上させることができる。また、包装シート10を撥水加工する場合、例えば、シリコーン系樹脂、パラフィン系樹脂、フッ素樹脂等を含む撥水剤を、包装シート10の外面(吸収性物品1が包装された状態で外部に露出する側)及び外面と反対側の内面の少なくとも一方に塗布することができる。
包装シート10の材料として紙を用いた場合、包装シートの目付は、好ましくは50g/m2以下、より好ましくは40g/m2以下、さらに好ましくは30g/m2以下、20g/m2以下、11g/m2以下、8g/m2以下とすることができる。また、包装シート10の目付の下限は、包装シート10として機能できる限りは特に限定されないが、好ましくは5g/m2以上、より好ましくは10g/m2以上とすることができる。また、紙製の包装シート10の厚みは、好ましくは40~200μm、より好ましくは100~200μmとすることができる。
包装シート10としては、1枚の包装シート10が、上述の材料からなる単層のシートであってもよいし、1枚の包装シート10が、異なる材料からなる複数の層を積層させてなる積層シートであってもよい。よって、例えば、上述の紙製のシートに、樹脂フィルムをラミネートさせて構成したものであってもよい。
図1に示すように、包装吸収性物品100においては、巻き三つ折り(上述)された状態で幅方向D2の両縁部が接合され、シール部20、20が形成されている。本明細書において、包装吸収性物品の縁部とは、包装吸収性物品の周縁のうち、平面視で、包装された吸収性物品1が存在していない部分を指す。よって、縁部には吸収性物品1が挟まれていないので、両縁部に形成されているシール部20、20においては、2枚以上の包装シート10が直接積層され接合されている。
シール部20において積層され接合された包装シート同士は剥離可能である。ここで、剥離可能とは、使用者が通常の方法で包装吸収性物品を開封する時に、シール部における接合を解除できる、すなわち接合されていた包装シート同士を剥離できることを指す。なお、これに対し、剥離不能とは、使用者が通常の方法で包装性吸収性物品を開封する時に、シール部における接合解除が起こらない、すなわち接合されていた包装シート同士が剥離できず接合が保持されるようになっていることを指す。
シール部20は、接着剤を介在させた接合、シート表面の融着による接合、及び機械的な接合、並びにこれらの組合せによって形成することができる。接着剤を介在させた接合は、例えば、包装シート10を折り畳む工程で、積層される一方又は両方の包装シートに接着剤を塗布してもよいし、包装シート10間に接着成分を含むシート等を挟んでもよい。用いられる接着剤又は接着成分は特に限定されないが、熱溶融型の接着剤又は接着成分、例えばホットメルト接着剤等であると好ましい。接着剤を介在させた接合では、包装シート同士をより確実に接合できるので、包装吸収性物品を持ち運ぶ際等に使用者が意図しないで開封されてしまうことを防ぐことができる。
シート表面の融着による接合は、包装シートが溶融性の材料を含む場合に可能であり、熱を直接的に付与して又はシート表面で熱を発生させることによって、包装シートを部分的に溶融し、積層された包装シート同士を接合する方法である。このような接合としては、ヒートシール、超音波シール等が挙げられる。融着による接合には、加熱下で行うエンボス加工も含まれ得る。
機械的な接合は、包装シートの表面に変形を加え、包装シート同士を係合させる方法である。例えば、2枚の包装シートのうち、一方の包装シートに切込み線(スリット)を形成し、他方の包装シートに、上記切り込み線に挿込み可能な挿込み片を形成しておき、両者を係合させることで2枚の包装シートを係合させることができる。そして、挿込み片を切込み線から抜き取ることで、係合は解除される。切込み線及び挿込み片はいずれも、包装シートに切込みを入れることで形成できる。また、挿込み片は、先端を幅広に、必要に応じて切込み線の長さより大きな幅で形成し、挿込み片が抜き取られにくいように構成してもよい。機械的な接合は、包装シートが熱により変性しにくい材料、例えば紙等の難融性の材料である場合に有効な接合方法である。なお、機械的な結合には、非加熱で行うエンボス加工等が含まれ得る。
包装吸収性物品100内では、吸収性物品1は、長手方向D1にわたって収容されているが、図1及び図2(b)に示すように、幅方向D2の両縁部に重ならないように収容されている。すなわち、幅方向D2の端部から所定の長さ離れた位置までの間には、吸収性物品1が存在しないようになっている。よって、包装吸収性物品100の縁部では、複数の包装シート10同士が直接積層され、接合されている(図2(b))。
包装吸収性物品100における幅方向D2の縁部は、幅方向D2の端から25mm、好ましくは20mmまでの範囲とすることができる。各シール部20は、上記範囲内において上記範囲全体に又は一部に、長手方向D1に延びる帯状に形成されていてよい。シール部20の幅Wは、2~25mmであってよく、好ましくは5~15mmとすることができる。シール部20は、幅方向D2の端から幅方向D2内側へ延在していてもよいし、幅方向D2の端から所定距離離れた位置から幅方向D2内側へ延在していてもよい。各シール部20の幅は、全体として長手方向D1にわたって一定でなく、変化していてもよい。
シール部20は、シール部20全体にわたって連続して形成されている接合部分を有する、すなわち、シール部20の面積が接合部分の面積に概ね等しくなっていてよい。また、シール部20は、微視的に見て複数の接合部分の集合体となっている、すなわち、接合部分の面積の合計が、シール部20の面積より小さくなっていてもよい。後者の場合、シール部20の面積に対する接合部分の面積の合計は、50%以上であると好ましい。
このように、包装吸収性物品100の縁部では、包装シート10の複数枚が積層され、シール部20が形成されているので、縁部におけるシール部20及びその近傍の領域が硬くなる傾向がある。そして、この傾向は、特に、シール部20が、接着剤を介在させて形成されていたり、包装シート10が化学的又は物理的に変性されていたりしていると、さらに大きくなり得る。そして、縁部が硬くなると、手触りがゴワゴワしやすくなる。包装吸収性物品は平板状であるものが多いことから、使用者は包装吸収性物品を両面から片手で挟んで持つ場合が多いが、その際には、吸収性物品の縁部に触れやすい。よって、縁部の手触りは、包装吸収性物品を持った時の印象に大きな影響を与え得る。
これに対し、本形態によれば、シール部20に加え、柔軟化部30が形成されている。柔軟化部30は、包装吸収性物品100の縁部をより柔らかくした部分、別言すると、縁部全体の剛性を小さくした部分である。包装吸収性物品が柔軟化部30を有することで、縁部を柔らかくすることができ、使用者が包装吸収性物品を持った時に違和感なく、手に馴染むと感じられるようにすることができる。すなわち、包装吸収性物品の手触りを良好にすることができる。
また、包装吸収性物品の縁部が硬くなっていると、複数の包装吸収性物品をパッケージに詰める際に、パッケージを傷つけ、パッケージが裂けてしまう可能性がある。しかしながら、本形態によれば、そのようなパッケージの損傷も防止することができる。
柔軟化部30が形成されている範囲(幅方向D2の長さ)、すなわち柔軟化部30の幅wは、3~15mmであると好ましく、5~10mmであるとより好ましい。柔軟化部30の幅wが3mm以上であることで、柔軟化部30が十分に機能することができる。また、柔軟化部の幅wが15mm以下であることで、縁部の強度が低下し、包装シートが破けやすくなることを防止できる。
柔軟化部30は、縁部を柔らかくし、手触りを向上させるものであれば、その構成は特に限定されない。柔軟化部30は、包装シート10の材料自体の変性又は構造変更によって形成されるものであってもよいし、縁部の構造を物理的に変更することによって形成されるものであってもよい。以下、柔軟化部30の形態について、より具体的に説明する。
(第1実施形態)
第1実施形態における柔軟化部30は、図1に示すような複数の切込み31、31、…を含む。この切込み31、31、…は、縁部を幅方向D2の外側から切り込む、すなわち裂目を形成することによって、長手方向D1に切断したものである。切込み31、31、…により、長手方向D1の包装シート10の材料の連続性を複数箇所で遮断することができ、縁部内に、独立して動くことができる部分を複数形成することができる。これにより、外部から受ける力に対して縁部が容易に変形可能となる、すなわち、縁部全体の剛性を小さくすることができる。
柔軟化部30とシール部20との位置関係は、特に限定されない。しかし、縁部においてシール部20が形成されている領域は、特に硬くなりやすいので、柔軟化部30は、シール部20と重なり合って形成されていると好ましい。これにより、シール部20が全体的に又は部分的に柔軟化され、柔軟化部30が良好に機能する。
シール部20が、接着剤を介在させた接合によって形成されている場合、特に縁部が硬くなる傾向があるが、そのようなシール部20を有する形態であっても、柔軟化部30が形成されていることで、包装吸収性物品、縁部の手触りを良好に改善することができる。
図1の例では、柔軟化部30は、シール部20が形成されている領域に含まれるように形成されている。そして、柔軟化部30は、シール部20の幅方向D2の内端を越えないように形成されている。このような構成では、柔軟化部30の切込み31、31、…を通して、外部の塵等が包装吸収性物品100の内部に入り込むことを防止することができるので、衛生的に好ましい。
図1の例では、幅方向D2に水平に延びている、幅方向D2の同じ長さの複数の直線状の切込み31、31、…が形成されているが、切込み31は、直線状であってもよいし、曲線状になっていてもよい。また、切込み31、31、…の延在方向は、幅方向D2に水平な方向に限られず、例えば図3に示すように傾斜していてもよい。切込み31が傾斜している場合、切込み31の幅方向D2の外側が折り線FL1(第1領域R1の折り線)に近付くように傾斜していてもよい(図3(a))。また、切込み31の幅方向D2の内側が折り線FL1から遠ざかるように傾斜していてもよい(図3(b))。
図3(a)及び(b)に示すように切込み31が傾斜していると、包装吸収性物品100を開封する際に、包装シート10を剥がしやすくすることができる。例えば、包装吸収性物品100の開封時には、まず外側に配置されている第1領域R1を折り線FL1に向かう方向に捲って剥がし、その後、第2領域R2を折り線FL2に向かう方向に捲って剥がす。ここで、例えば前者の剥がしステップでは、包装シート10の剥がされる前の部分と既に剥がされた後の部分との境界線は、幅方向D2に水平ではなく、幅方向D2の内側が幅方向D2に対して折り線FL1に近付くように傾斜した線に沿っており、シール部20の位置で見ると、この境界線に直交する方向に包装シート10が剥がされている。
ここで、切込み31の幅方向D2の外側が折り線FL1に近付くように傾斜している例(図3(a))では、切込み31が、第1領域R1が剥がされる方向への剥がし工程を方向付けることができるので、第1領域R1を剥がしやすくなる。同様の理由で、切込み31の幅方向D2の外側が折り線FL2に近付くように傾斜している例(図3(b))では、切込み31が、第2領域R2が剥がされる方向への剥がし工程を方向付けることができるので、第2領域R2を剥がしやすくなる。
切込み31の傾斜の角度αは、傾斜が上述のどちらであっても(図3(a)及び(b)に示すどちらの場合でも)、好ましくは20~70°、より好ましくは30~60°であってよい。
切込みにより形成された本形態のいずれの例(図1及び図3)でも、複数の切込み31、31、…の幅方向D2の長さは、同じであってもよいし異なっていてもよい。切込み31の幅方向D2の長さは、3~15mmであると好ましく、5~10mmであるとより好ましい。
複数の切込み31、31、…の幅方向D2の長さが同じである場合、柔軟化部30の幅wは、上記切込み31の幅に相当する。一方、切込み31、31、…の長さが異なる場合には、柔軟部30の幅wは、幅方向D2の端から最も内側まで延びている切込みの幅方向D2の長さ、又は切込みの平均の幅方向D2の長さとすることができる。
また、第1実施形態のいずれの例でも、柔軟化部30に含まれる複数の切込み31、31、…の間隔dは同じであってもよいし異なっていてもよい。また、切込み31、31、…の間隔dは、10mm以下であると好ましく、5mm以下であるとより好ましく、3mm以下であるとさらに好ましい。また、間隔dは、製造の容易性という観点からは2mm以上であると好ましい。ここで、複数の切込み31、31、…の間隔dが異なっている場合、間隔dは平均値とすることができる。
図4に、第1実施形態の変形例を示す。図4の例は、柔軟化部30の構成が異なっていること以外は、図1~図3の例と同様の構成である。本例の包装吸収性物品100も、包装シート10が吸収性物品1とともに折り畳まれ、縁部においてシール部20と柔軟化部30とが形成されたものである。
図1及び図2を参照して上述したように、本例においても、包装吸収性物品100の縁部においては、積層された包装シートの枚数が場所によって異なっている。すなわち、本例でも、包装吸収性物品100は、接合された包装シートの枚数が最少の第1ゾーンと、第1ゾーンより接合されている包装シートの枚数が多い第2ゾーンとを有し得る。図示の例では、2枚の包装シートが積層され接合された第1ゾーンZ1と、3枚の包装シートが積層され接合された第2ゾーンZ2とを有する。第1ゾーンZ1は、折り線FL1側のゾーンZ1aと、折り線FL2側のゾーンZ1bとを有する。
第1ゾーンZ1のうち折り線FL1側のゾーンZ1aでは、包装シート10の第3領域R3と第1領域R1とが接合されている。また、第1ゾーンZ1のうち折り線FL2側のゾーンZ1bでは、包装シート10の第3領域R3と第2領域R2とが接合されている。さらに、第2ゾーンZ2では、包装シート10の第3領域R3、第2領域R2、及び第1領域R1がこの順で重ねられ接合されている。
ここで、包装シートの枚数が多い第2ゾーンZ2では、第1ゾーンZ1よりも、シール部20が硬くなる傾向があり、ひいては第2ゾーンを含む縁部が硬くなる傾向がある。特に、接着剤を介する接合によってシール部20が形成されている場合には、第2ゾーンZ2が硬くなる傾向はより大きい。
本例では、第2ゾーンZ2に形成された柔軟化部30の幅w2は、第1ゾーンZ1に形成された柔軟化部30の幅w1よりも大きくなっている。また、第2ゾーンZ2に形成された柔軟化部30の間隔d2は、第1ゾーンZ1に形成された柔軟化部30の間隔d1よりも大きい。これにより、より硬くなる傾向のある第2ゾーンZ2において、切込み31、31、…がより密集するように柔軟化部30を構成することができる。よって、包装吸収性物品100の縁部全体にわたって均一に手触りを向上させることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態による包装吸収性物品200における柔軟化部30は、図5に示すような複数の切欠き32A、32A、…を含む。切欠きは、縁部の端を含む小部分を除去して形成された部分である。よって、切欠き32A、32A、…は、縁部に形成された凹部に相当する部分である。
複数の切欠き32A、32A、…によって、長手方向D1の連続性が遮断されている。これにより、縁部内に、独立して動くことができる部分を複数形成することができる。これにより、縁部は、外部から受ける力に対して容易に変形可能となる、すなわち、縁部全体の剛性を小さくすることができる。
図5に示す形態では、縁部に形成された切欠き32Aの形状(凹部の形状、又は除去された材料の形状)は、三角形であるが、切欠き32Aの形状は、三角形以外の多角形、部分円形、部分楕円形等であってもよい。また、切欠き32Aは、切欠きの形成後に縁部の幅方向D2外側の輪郭が曲線となるような形状であると、切欠きによって形成され得る角部を減らすことができるため、手触りを一層向上させることができ好ましい。
図5の例では、切欠き32Aは、同じ形状及び大きさで、同じ間隔で長手方向D1に形成されているが、切欠き32Aの形状及び大きさ並びに間隔は、長手方向D1で異ならせることができる。本例では、柔軟化部30の幅は、切欠き32Aの幅(幅方向D2長さ)に相当する。また、
図6に、第2実施形態の変形例を示す。図6の例では、図5に示す複数の切欠き32A、32A、…に代えて、複数の開孔32B、32B、…が形成されている。このような開孔32B、32B、…は、切り取り、打ち抜き等により形成することができる。
本例のように、開孔32Bを形成することにより柔軟化部30を構成した場合でも、上述の切込み31や切欠き32Bを形成した場合と同様に、縁部の材料の連続性を遮断することができるので、縁部全体の剛性を小さくすることができ、縁部を柔軟化できる。また、本例のように、柔軟化部30が開孔32Bを含む場合、縁部の幅方向D2の外端の連続性を維持できることから、縁部が幅方向D2に裂けにくいので、包装吸収性物品100をパッケージから取り出す際、或いは吸収性物品100をバッグに入れて持ち歩いた場合等に、バック内の別の物品と接触した際に、縁部が裂けて包装吸収性物品100が意図せず開封されることを防止することができる。
開孔32Bは、図6(a)の例では円形であり、図6(b)~(d)の例では菱形であるが、開孔32Bの形状は特に限定されない。開孔32Bの形状は、図6に示す円形、菱形(ダイヤ形)以外の形状、例えば、三角形及び四角形を含む多角形、楕円形や、ハート形、星形、所定のマーク、花、動物等を象った形状、並びにこれらの形状の部分の形状であってもよい。よって、このように、柔軟化部30を複数の開孔32Bによって形成することで、デザイン性を向上させることができる。
また、図6(a)の例では、開孔32Bを含む柔軟化部30は、シール部20が形成されている領域に含まれるように形成されている。一方、図6(b)及び(c)の例では、開孔32Bを含む柔軟化部30は、シール部20に重ならず、シール部20の幅方向D2の外側に形成されている。図6(b)及び(c)の例では、シール部20に柔軟化部30が重なっていないため、シール部20が十分なシール機能を発揮することができる。よって、シール部20と柔軟化部30とが重なっている場合と比較し、シール部20の幅を小さくすることができ、シール部を形成するために要する熱量や接着剤等を節約することができる。
図6(b)の例では、菱形の開孔32B、32B、…が複数、長手方向D1に1列に並んで形成されている。一方、図6(c)の例では、2列の複数の開孔32B、32B、…が、長手方向D1に沿って形成されている。図6(c)の2列の開孔32B、32B、…は、互いに長手方向D1ずらされて形成されている。また、図6(c)の例では、柔軟化部30は、図6(b)に示す例よりもサイズの小さい開孔32Bを、より多く有する。よって、図6(c)に示す例では、縁部において、柔軟化の作用を有する開孔がより分散されているので、縁部全体がより均一に柔軟化され得る。
図6(d)に示す例では、開孔32B、32B、…を含む柔軟化部30とシール部20とが幅方向D2で重なっている。このように、柔軟化部30がシール部20に重なっていたり、シール部20に含まれていたり(図6(a))する構成は、シール部20が、例えば接着剤を介する接合により形成されている場合等、硬く形成されている場合に、縁部の柔軟化を効果的にできるので、好ましい。
図7に、第2実施形態の変形例を示す。図7の例では、柔軟化部30は、菱形の開孔32B1、32B1、…と円形の開孔32B2、32B2、…との組合せから構成されている。このように、2種以上の異なる形状の開孔を組み合わせて、且つ/又は2種以上の異なるサイズの開孔を組み合わせて柔軟化部30を形成することができる。これにより、縁部のデザイン性を向上させることができる。
図7の例では、シール部20は、菱形の開孔32B1、32B1、…を含むように形成されている。本例では、シール部20の内端の輪郭は直線状ではなく、柔軟化部30の内端に沿うように形成されており、凹凸が形成されている。また、円形の開孔32B2、32B2、…が、シール部20よりも幅方向D2内側に形成されているが、開孔32B2、32B2、…の周囲が、シール部20と同じ手段又は別の手段でシールされていてよい。これにより、シール部20の幅方向D2内側に形成された開孔を介して塵等が侵入することを防ぐことができる。
図8に、第2実施形態の別の変形例を示す。図8には、包装吸収性物品100の両縁部の柔軟化部30が左右で異なる例を示す。図8の例における右側の縁部には、図6(b)に示す例と同様に、シール部20と、菱形の開孔32Bを含む柔軟化部30とが形成されている。一方、図8の例における左側の縁部における柔軟化部30は、右側の柔軟化部30とは異なり、ハート形の開孔32Bを含んでいる。
このように、第2実施形態における柔軟化部30を構成する切欠き32A及び開孔32Bの数、大きさ、形状、配置は、包装吸収性物品100の種類、用途、大きさ等に応じて、様々に組み合わせることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態による包装吸収性物品300における柔軟化部30は、図9に示すように、脆弱化部33を含む。ここで、脆弱化部とは、縁部における包装シートの材料の連続性を遮断することなく、包装シートの材料の強度を弱めたり、厚みを小さくしたり、又は材料を変性することによって、柔軟化された部分である。
脆弱化部33は、例えば、ブラシやコーム等で擦ること等により、包装吸収性物品300の縁部の包装シートの表面の構造を変化させることによって形成することができる。包装シート10に紙が使用されている場合には、紙の繊維の一部を切断したり、繊維の配向状態を部分的に変化させたりしてもよい。また、脆弱化部33は、包装シート10の材料に薬液を塗布したり含浸させたりすることによって、縁部を柔軟化させた部分であってもよい。
脆弱化部33を含む柔軟化部30は、図9に示すようにシール部20と重なっていてもよい。また、脆弱化部33とシール部20とが重ならないように、隣接して形成されていてもよいし、シール部20から間隔を置いて形成されていてもよい。本形態は、例えば、シール部20を形成した後にシール部20を含む領域を脆弱化してもよいし、縁部を脆弱化した後にシール部20を形成してもよい。また、柔軟化部30は、柔軟化部30全体に分散されて形成された複数の脆弱化部33を含んでいてもよい。
以上、いくつかの実施形態を挙げて包装吸収性物品について説明したが、各実施形態で説明した各特徴は任意に組合せすることができる。例えば、縁部に切込みが形成された第1実施形態(図1)において、さらに、切欠きや開孔を形成することができる。また、脆弱化部が形成された第3実施形態(図9)において、さらに切込み、切欠き、及び開孔の1種以上を形成することもできる。
また、上述の形態はいずれも、包装シートが三つ折りされて構成された包装吸収性物品であったが、包装シートが四つ折り以上されて構成された包装吸収性物品も、縁部にシール部と柔軟化部とを有するよう構成でき、上述と同様の効果を得ることができる。包装シート10が四つ折り以上される場合、例えば、第2領域R2(図1)を折り線FL2で折る前に、第2領域R2のうち他端12の側の部分を内側又は外側に予め折り込むことができる。その際、吸収性物品は包装シートとともに折り畳まれてもよいし、ともに折り畳まれなくてもよい。
(包装吸収性物品の製造方法)
図10は、本開示による包装吸収性物品の製造方法の一例を概略的に示す。図10は、例として第1実施形態による包装吸収性物品100の製造方法を説明する図であるが、第2実施形態による包装吸収性物品200及び第3実施形態による包装吸収性物品300も、同様に製造することができる。
図10に示すように、まず、長尺の包装シート原紙10aに吸収性物品1を所定間隔を置いて複数配置した後、包装シート原紙10aを、その両縁が重なるように、吸収性物品1とともに、吸収性物品1の長手方向に(得ようとする包装休性物品100における包装シート10の長手方向D1に)折り畳む。その後、複数の吸収性物品1、1間に、縁部の接合及び柔軟化を行ってシール部20及び柔軟化部30を形成した後、各吸収性物品を切断して分離する。上記工程は、コンベア等により搬送されながら行うことができるが、搬送方向Tは、得ようとする包装休性物品100における包装シート10の幅方向D2とすることができる。その場合、シール部20及び柔軟化部30は、長手方向D1を軸方向として配置された一対のローラを用いて形成することができる。シール部20及び柔軟化部30は、同時に形成することもできるし、順次形成することもできる。後者の場合、形成順序は問われない。
このように、本開示は、包装シートと、前記包装シートによって包装された吸収性物品とを備える包装吸収性物品であって、前記包装シートが、前記長手方向の一端を含む第1領域と前記長手方向の他端を含む第2領域とを有し、前記第1領域が前記第2領域に重ねられるように折り畳まれ、前記長手方向に直交する幅方向の縁部において、シール部及び柔軟化部を有する包装吸収性物品の製造方法であって、包装シート原紙に、複数の吸収性物品を搬送方向に所定間隔をあけて並べて載置し、前記包装シート原紙を、前記吸収性物品と共に、前記包装シート原紙の、前記搬送方向に直交する直交方向の一端を含む第1領域が、前記直交方向の他端を含む第2領域に重なるように折って吸収性物品を包み、前記吸収性物品間にシール部及び柔軟化部を形成し、前記吸収性物品が分離するように切断して包装吸収性物品を得る、包装吸収性物品の製造方法であってもよい。
(吸収性物品)
本発明の実施形態において用いられる吸収性物品1は、生理用ナプキン、パンティライナー(おりものシート)、軽失禁用パッド等であってよい。本明細書では、吸収性物品1平面視で細長形状を有しているが、吸収性物品1の平面視形状は図示のものに限られない。吸収性物品1は、例えば、包装シートとともに折り畳まずに包装シートによって包装される形状のもの、例えば正方形を含む正多角形、円形等の形状の体液吸収パッド等であってもよい。吸収性物品1が細長形状である場合、吸収性物品1の全長は、130~460mmとすることができ、吸収性物品1の幅は50~200mmとすることができる。
吸収性物品1は、液不透過性の裏面シート、吸収体、及び液透過性の表面シートがこの順に積層されてなる構造を有していてよい。裏面シートとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂シート等の少なくとも遮水性を有するシート材を用いることができる。ポリエチレンシート等に不織布を積層したラミネート不織布や、さらには防水フィルムを介在させて実質的に不透液性を確保した不織布の積層シート等を用いることができる。また、透湿性を有するものが用いられてもよい。
表面シートとしては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシート等が好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン、ポリエステル、ポリアミド等の合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維、及びこれらの混紡繊維、並びに綿等の天然繊維を単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
吸収体は、体液を吸収して保持できる材料であれば限定されないが、綿状パルプと吸水性ポリマーとを含むことが好ましい。吸水性ポリマーとしては、高吸水ポリマー粒状粉(superabsorbent poLymer(SAP))、高吸水ポリマー繊維(superabsorbent fiber(SAF))及びこれらの組合せを用いることができる。パルプとしては、木材から得られる化学パルプ、溶解パルプ等のセルロース繊維、レーヨン、アセテート等の人工セルロース繊維からなるものが挙げられる。
吸収体の厚みは、0.5~25mmの範囲内とすることができ、1.5~6.5mmの範囲であると好ましい。吸収体は、体液排出口に対応させる領域(体液排出口対応領域)や、体液排出口対応領域より後方の、臀部の溝に対向する領域を、膨出させた構造とすることもできる。
上記吸収体4は、表面シート及び裏面シートからはみ出さない寸法及び形状を有し、吸収体の前方及び後方の端縁部では、裏面シートと表面シートとの外縁がホットメルト等の接着剤やヒートシール、超音波シール等の接着手段によって接合されている。また、吸収体の側方の外方においては、幅方向両端部に長手方向に沿ってサイド不織布が設けられていてもよい。サイド不織布としては、撥水処理不織布又は親水処理不織布を使用することができる。