以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。本発明は、等化対象の信号の前後の伝搬路情報を用いて、独立した周波数領域等化をそれぞれ行い、周波数領域等化後の時間領域のシンボルに対して加重平均を求めることで、チャネルの時間変動を考慮した等化処理を行うことを特徴とする。
これにより、先頭のUWのみから推定した伝搬路情報を用いる従来の周波数領域等化の手法、及び等化対象の信号の前後のUWから推定した伝搬路情報の平均値を用いる従来の周波数領域等化の手法よりも、周波数領域での等化精度が向上する。つまり、高速な移動伝送またはチャネルの時間的な変動が激しい条件において、受信信号の周波数領域等化の精度を向上させ、所要C/Nを低減することができる。
〔送信装置〕
まず、本発明の実施形態による受信装置へ変調波の無線信号を送信する送信装置について説明する。この送信装置は、受信装置において周波数領域でチャネル等化を可能とするシングルキャリア方式を用いた装置である。データ部分の変調方式としては、BPSK(Binary Phase Shift Keying)、DBPSK(Differential BPSK)、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)、8PSK、16APSK(16 Amplitude and Phase Shift Keying)、32APSK、64APSK、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)、32QAM、64QAM等の任意のマッピングが用いられる。
図1は、送信装置の構成例を示すブロック図である。この送信装置100は、SC-FDE方式の無線伝送システムに用いる装置であり、送信前処理部101、マッピング部102、UW(ユニークワード)生成部103、SC(シングルキャリア)ブロック構成部104、帯域制限フィルタ部105、直交変調部106、DA(デジタルアナログ)変換部107、周波数変換部108、電力増幅部109及び送信アンテナ110を備えている。
送信前処理部101は、送信対象の情報ビット系列(データ)を入力し、情報ビット系列に対し、エネルギー拡散処理、誤り訂正符号化処理及びインタリーブ処理等の前処理を行い、符号化ビット系列を生成し、これをマッピング部102に出力する。この前処理は、任意のエネルギー拡散処理、誤り訂正符号化処理及びインタリーブ処理等を適用することができる。
ここでの情報ビット系列は、伝送制御情報、映像信号、音声信号、及びその他任意の情報であり、送信前処理部101は、これらの情報に対し、それぞれ同一または異なる処理を行い伝送することができる。また、後段のマッピング部102は、これらの情報に対し、それぞれ同一または異なる方式を選択することができる。
マッピング部102は、送信前処理部101から符号化ビット系列を入力し、32APSK等のマッピングを行い、マッピングされたデータシンボルをSCブロック構成部104に出力する。
UW生成部103は、パイロット信号となるUWを生成し、これをSCブロック構成部104に出力する。UWは、当該送信装置100と後述する受信装置2との間で既知の固定パターンであり、時間領域及び周波数領域にて振幅が一定かつ周期的自己相関特性に優れたCAZAC(Constant Amplitude Zero Auto-Correlation:定振幅零自己相関)系列、例えばZadoff-Chu系列を用いることができる。
SCブロック構成部104は、マッピング部102からデータシンボルを入力すると共に、UW生成部103からUWを入力し、データシンボルの前後にUWを挿入し、後述する図2に示すSC-FDEブロックを構成する。そして、SCブロック構成部104は、これをSC-FDEブロック系列として帯域制限フィルタ部105に出力する。
ここで、SCブロック構成部104は、SC-FDEブロックを構成する際に、予め設定されたUWのブースト比bstに従い、データシンボルの平均振幅または平均電力を基準にして、UWの平均振幅または平均電力を大きくするブースト処理を行う。これにより、後述する受信装置2において、チャネル推定精度を向上させることができる。
図2は、SC-FDEブロックの構成例を説明する図である。SC-FDEブロックは、データ(データシンボル)の前後にUWが挿入されて構成され、先頭のUW、データシンボル及び後方のUWの順番となる。SC-FDEブロックを連続して構成したSC-FDEブロック系列においては、SC-FDEブロックに含まれる後方のUWと、これに続く次のSC-FDEブロックに含まれる先頭のUWとが時間的に連続することとなる。つまり、2つのUWが、2つのデータシンボルの間に連続して挿入される。
SC-FDEシンボルの長さは2304シンボルであり、UWの長さは256シンボルであり、データシンボルの長さは1792シンボルである。等化対象は、データシンボル及び後ろのUWであり、その長さは2048シンボルである。尚、UWの長さ、及び等化対象のデータシンボル及び後ろのUWの長さが、共に2の累乗であるという条件を満たしていれば、任意の2の累乗のシンボル数を用いることができる。
図1に戻って、帯域制限フィルタ部105は、SCブロック構成部104からSC-FDEブロック系列を入力し、SC-FDEブロック系列を2倍にアップサンプリングし、帯域制限フィルタによる波形整形を行う。そして、帯域制限フィルタ部105は、波形整形処理後のSC-FDEブロック系列を直交変調部106に出力する。帯域制限フィルタとしては、一般的にルートロールオフフィルタが用いられる。
直交変調部106は、帯域制限フィルタ部105から波形整形処理後のSC-FDEブロック系列を入力し、波形整形処理後のSC-FDEブロック系列に対し直交変調処理を行い、アパーチャ補正処理を行う。そして、直交変調部106は、直交変調処理及びアパーチャ補正処理後のデジタル信号をDA変換部107に出力する。アパーチャ補正処理は、後段のDA変換部107におけるデジタル/アナログ変換によるアパーチャ効果を補正するための処理である。
DA変換部107は、直交変調部106から直交変調処理及びアパーチャ補正処理後のデジタル信号を入力し、当該デジタル信号をアナログ信号に変換し、アナログ信号を周波数変換部108に出力する。
周波数変換部108は、DA変換部107からアナログ信号を入力し、アナログ信号の周波数を無線周波数に変換し、無線周波数の変調信号を電力増幅部109に出力する。
電力増幅部109は、周波数変換部108から無線周波数の変調信号を入力し、無線周波数の変調信号を所定の電力になるように増幅する。そして、増幅された無線周波数の変調信号は、変調波の無線信号として送信アンテナ110を介して送信される。
〔受信装置〕
次に、本発明の実施形態による受信装置について説明する。この受信装置は、周波数領域でZF基準またはMMSE基準等によるチャネル等化を可能とするシングルキャリア方式を用いた装置であり、受信信号のデータ部分の変調方式として、任意のマッピングが用いられるものとする。
図3は、本発明の実施形態による受信装置の構成例を示すブロック図である。この受信装置2は、受信アンテナ201、周波数変換部202、AD変換部203、直交復調部204、帯域制限フィルタ部205、ブロック同期部206、加重平均等化部30、シンボル判定部214及び復号部215を備えている。
この受信装置2と図12に示した従来の受信装置200とを比較すると、両受信装置2,200は、受信アンテナ201、周波数変換部202、AD変換部203、直交復調部204、帯域制限フィルタ部205、ブロック同期部206、シンボル判定部214及び復号部215を備えている点で共通する。これに対し、受信装置2は、加重平均等化部30を備えている点で、等化部207を備えている受信装置200と相違する。
尚、ここでは受信ブランチ数を1とするが、2以上としてもよい。受信ブランチ数が2以上の場合、ダイバーシチ合成が可能であるものとする。また、周波数領域等化の処理においては、ZF基準またはMMSE基準等の任意の基準を用いることが可能であるものとする。
受信装置2は、図1に示した送信装置100から送信された変調波の無線信号を、受信アンテナ201を介して受信する。周波数変換部202は、受信アンテナ201を介して受信した変調波の無線信号の無線周波数を、中間周波数に変換し、中間周波数信号としてAD変換部203に出力する。
AD変換部203は、周波数変換部202から中間周波数信号を入力し、中間周波数信号のアナログ信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号を直交復調部204に出力する。
直交復調部204は、AD変換部203からデジタル信号を入力し、デジタル信号に対し自動周波数制御を行い、周波数ずれを補正しながら直交復調を行い、2倍アップサンプリング(オーバーサンプリング)での複素ベースバンド信号を生成する。そして、直交復調部204は、周波数補正処理後の2倍アップサンプリングでの複素ベースバンド信号を帯域制限フィルタ部205に出力する。2倍アップサンプリングは、送信シンボルのシンボルクロックに対して2倍のサンプリングを意味する。
帯域制限フィルタ部205は、直交復調部204から周波数補正処理後の2倍アップサンプリングでの複素ベースバンド信号を入力する。そして、帯域制限フィルタ部205は、周波数補正処理後の2倍アップサンプリングでの複素ベースバンド信号に対し、帯域制限フィルタ処理による波形整形を行い、波形整形処理後の2倍アップサンプリングでの複素ベースバンド信号をブロック同期部206に出力する。帯域制限フィルタとしては、一般的にルートロールオフフィルタが用いられる。
ブロック同期部206は、帯域制限フィルタ部205から波形整形処理後の2倍アップサンプリングでの複素ベースバンド信号を入力する。そして、ブロック同期部206は、波形整形処理後の2倍アップサンプリングでの複素ベースバンド信号に対し、UWの部分のIQ信号に基づいて、SC-FDEブロックの同期タイミングを検出する。そして、ブロック同期部206は、SC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を抽出すると共に、その後に続くデータに関する時間領域の信号及び後方のUWの部分に関する時間領域の信号を抽出する。抽出される信号は2倍アップサンプリングのものである。
ブロック同期部206は、SC-FDEブロック毎に、先頭のUWの部分に関する時間領域の信号、その後に続くデータに関する時間領域の信号及び後方のUWの部分に関する時間領域の信号を加重平均等化部30に出力する。
加重平均等化部30は、ブロック同期部206から、SC-FDEブロック毎に、先頭のUWの部分に関する時間領域の信号、その後に続くデータに関する時間領域の信号及び後方のUWの部分に関する時間領域の信号を入力する。
加重平均等化部30は、等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を用いて、前方の伝搬路情報を求め、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を用いて、後方の伝搬路情報を求める。また、加重平均等化部30は、等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUW及びこの手前の連続するUWの部分に関する時間領域の信号を用いて、前方のS/Nを求め、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUW及びこの手前の連続するUWの部分に関する時間領域の信号を用いて、後方のS/Nを求める。
加重平均等化部30は、前方の伝搬路情報及び後方の伝搬路情報を用いて、前記式(1)によるZF基準のチャネル等化をそれぞれ行うか、または、前方の伝搬路情報及びS/N、並びに後方の伝搬路情報及びS/Nを用いて、前記式(2)によるMMSE基準のチャネル等化をそれぞれ行う。
加重平均等化部30は、周波数領域等化後の時間領域の信号のそれぞれに対して加重平均を求めることで、チャネルの時間変動を考慮した等化処理を行い、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号を生成する。加重平均等化部30は、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号をシンボル判定部214に出力する。加重平均等化部30の詳細については後述する。
シンボル判定部214は、加重平均等化部30からデータ及びUWの部分に関する時間領域の信号を入力し、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号からデータの信号を抽出する。そして、シンボル判定部214は、データの信号に対し、デマッピング及び尤度計算を行い、シンボル判定を行う。
シンボル判定部214は、シンボル判定として硬判定を行う場合、シンボルを構成する符号化ビット系列(誤り訂正の符号化が施されたデータ)を形成し、符号化ビット系列を復号部215に出力する。一方、シンボル判定部214は、シンボル判定として軟判定を行う場合、符号化ビット系列に対応した尤度系列を形成し、尤度系列を復号部215に出力する。
復号部215は、シンボル判定部214から符号化ビット系列、または符号化ビット系列に対応した尤度系列を入力する。そして、復号部215は、符号化ビット系列または尤度系列に対し、図1に示した送信装置100の送信前処理部101に対応したデインタリーブ処理、誤り訂正復号処理及びエネルギー逆拡散処理等を行い、情報ビット系列(データ)を復号し出力する。
〔加重平均等化部30〕
次に、図3に示した加重平均等化部30について詳細に説明する。この加重平均等化部30は、図12に示した従来の等化部207に置き換わるものであり、ブロック同期部206とシンボル判定部214との間で機能する。
以下に説明する実施例1の加重平均等化部30-1は、データに対して前方のUW及び後方のUWを用いて伝搬路情報を推定し、MMSE基準によりチャネル等化を行うものである。実施例2の加重平均等化部30-2は、後方のUWを用いて伝搬路情報を推定すると共に、1SC-FDEブロックの処理を遅延させることで前方のUWに対応する伝搬路情報を推定し、MMSE基準によりチャネル等化を行うものである。
実施例3の加重平均等化部30-3は、データに対して前方のUW及び後方のUWを用いて伝搬路情報を推定し、ZF基準によりチャネル等化を行うものである。実施例4の加重平均等化部30-4は、後方のUWを用いて伝搬路情報を推定すると共に、1SC-FDEブロックの処理を遅延させることで前方のUWに対応する伝搬路情報を推定し、ZF基準によりチャネル等化を行うものである。
(実施例1)
まず、実施例1の加重平均等化部30-1について説明する。前述のとおり、実施例1の加重平均等化部30-1は、データに対して前方UW及び後方のUWを用いて伝搬路情報を推定し、MMSE基準によりチャネル等化を行うものである。
図4は、実施例1の加重平均等化部30-1の構成例を示すブロック図である。図5は、前方等化処理を説明する図であり、図6は、後方等化処理を説明する図である。
この加重平均等化部30-1は、フーリエ変換部31、前方UWフーリエ変換部32、前方チャネル推定部33、前方S/N測定部34、前方周波数領域等化部35-1、前方逆フーリエ変換部36、後方UWフーリエ変換部37、後方チャネル推定部38、後方S/N測定部39、後方周波数領域等化部40-1、後方逆フーリエ変換部41及びシンボル加重平均部42を備えている。
フーリエ変換部31は、ブロック同期部206から、SC-FDEブロック毎に、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータ及び後方のUWの部分に関する時間領域の信号を入力する。そして、フーリエ変換部31は、データ及び後方のUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の受信信号Yにフーリエ変換する(ステップS501,S601)。
フーリエ変換が行われる信号は2倍アップサンプリングされた信号であるため、そのポイント数は、データのポイント数1792×2及びUWのポイント数256×2の加算結果である4096となる。フーリエ変換部31は、データ及び後方のUWの部分に関する周波数領域の受信信号Yを前方周波数領域等化部35-1及び後方周波数領域等化部40-1に出力する。
前方UWフーリエ変換部32は、ブロック同期部206から、SC-FDEブロック毎に、等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を入力する。そして、前方UWフーリエ変換部32は、先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の信号(前方信号)UWpreにフーリエ変換する(ステップS502)。
フーリエ変換が行われる信号は2倍アップサンプリングされた信号であるため、そのポイント数は、UWのポイント数256×2=512となる。前方UWフーリエ変換部32は、先頭のUWの部分に関する周波数領域の信号UWpreを前方チャネル推定部33に出力する。
前方チャネル推定部33は、前方UWフーリエ変換部32から先頭のUWの部分に関する周波数領域の信号UWpreを入力する。そして、前方チャネル推定部33は、既知の周波数領域のUWの信号を参照信号UWrefとして、当該周波数領域の信号UWpreを参照信号UWrefで除算することでチャネル推定を行う(ステップS503)。前方チャネル推定部33は、チャネル推定にて得られた伝搬路情報(前方の伝搬路情報)Hpreを前方周波数領域等化部35-1に出力する。伝搬路情報Hpreは、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、前方のUW(等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUW)から求めたチャネルの情報である。
前方S/N測定部34は、ブロック同期部206から、SC-FDEブロック毎に、等化対象の1つ手前のSC-FDEブロックにおける後方のUWの部分に関する時間領域の信号及び等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を入力する。図5において、#1に示すUWが、等化対象の1つ手前のSC-FDEブロックにおける後方のUWの部分に関する時間領域の信号であり、#2に示すUWが、等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号である。
前方S/N測定部34は、これらのUWが連続していることを利用して、これらの連続しているUWの部分に関する時間領域の信号に基づいて、例えばUWの平均信号電力及び平均雑音電力を求め、UWの前方のS/N(SN比)を測定する。そして、前方S/N測定部34は、S/Nを前方周波数領域等化部35-1に出力する。このS/Nは、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、前方の連続するUW(等化対象の1つ手前のSC-FDEブロックにおける後方のUW及び等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUW)から求めた情報である。
尚、S/Nの測定方法は既知であり、任意の方法を用いることができる。また、前述の非特許文献2に記載のように、S/Nを調整するようにしてもよい。
前方周波数領域等化部35-1は、フーリエ変換部31からデータ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Yを、前方チャネル推定部33から伝搬路情報Hpreを、前方S/N測定部34からS/Nをそれぞれ入力する。そして、前方周波数領域等化部35-1は、データ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Y、伝搬路情報Hpre及びS/Nを用いて、前記式(2)によるMMSE基準のチャネル等化を行う(ステップS504)。チャネル等化の際には、伝搬路情報Hpreのポイント数512は、8倍の4096に補間される。
前方周波数領域等化部35-1は、周波数領域でチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号(前方信号)X~preを前方逆フーリエ変換部36に出力する。周波数領域の信号X~preは、前方の伝搬路情報Hpre等から得られた周波数領域の等化後の受信信号である。
尚、チャネル等化された信号はシンボルクロックに対して2倍アップサンプリングされた信号であるため、前方周波数領域等化部35-1は、以下の非特許文献に記載されたチャネル合成を行う。
[非特許文献3]
中川、濱住、池田、“SC-FDEのミリ波帯FPUへの適用検討”、映像情報メディア学会技術報告、Vol.36、No.15、BCT2012-50、pp.7-12、Mar.2012
前方周波数領域等化部35-1は、チャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~preをシンボルクロックに対して等倍にしてから前方逆フーリエ変換部36に出力する。
前方逆フーリエ変換部36は、前方周波数領域等化部35-1からチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の等倍の信号X~preを入力する。そして、前方逆フーリエ変換部36は、チャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の等倍の信号X~preを時間領域の信号(前方信号)x~preに逆フーリエ変換する(ステップS505)。
逆フーリエ変換が行われる信号は、シンボルクロックに対して等倍の信号X~preであるため、そのポイント数は、2048となる。前方逆フーリエ変換部36は、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号x~preをシンボル加重平均部42に出力する。時間領域の信号x~pre は、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、前方のUW(等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUW)から求めた伝搬路情報Hpre 等に基づいて周波数領域等化した時間領域の信号である。
後方UWフーリエ変換部37は、ブロック同期部206から、SC-FDEブロック毎に、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を入力する。そして、後方UWフーリエ変換部37は、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の信号(後方の信号)UWpostにフーリエ変換する(ステップS602)。
フーリエ変換が行われる信号は2倍アップサンプリングされた信号であるため、そのポイント数は、UWのポイント数256×2=512となる。後方UWフーリエ変換部37は、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する周波数領域の信号UWpostを後方チャネル推定部38に出力する。
後方チャネル推定部38は、後方UWフーリエ変換部37から、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する周波数領域の信号UWpostを入力する。そして、後方チャネル推定部38は、既知の周波数領域のUWの信号を参照信号UWrefとして、周波数領域の信号UWpostを参照信号UWrefで除算することでチャネル推定を行う(ステップS603)。後方チャネル推定部38は、チャネル推定にて得られた伝搬路情報(後方の伝搬路情報)Hpostを後方周波数領域等化部40-1に出力する。伝搬路情報Hpostは、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、後方のUW(等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUW)から求めたチャネルの情報である。
後方S/N測定部39は、ブロック同期部206から、SC-FDEブロック毎に、等化対象のSC-FDEブロックにおける後方のUWの部分に関する時間領域の信号及び等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を入力する。図6において、#3に示すUWが、等化対象のSC-FDEブロックにおける後方のUWの部分に関する時間領域の信号であり、#4に示すUWが、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号である。
後方S/N測定部39は、前方S/N測定部34と同様に、これらのUWが連続していることを利用して、これらの連続しているUWの部分に関する時間領域の信号に基づいて、UWの後方のS/N(SN比)を測定する。そして、後方S/N測定部39は、S/Nを後方周波数領域等化部40-1に出力する。このS/Nは、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、後方の連続するUW(等化対象のSC-FDEブロックにおける後方のUW及び等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUW)から求めた情報である。
後方周波数領域等化部40-1は、フーリエ変換部31からデータ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Yを、後方チャネル推定部38から伝搬路情報Hpostを、後方S/N測定部39からS/Nをそれぞれ入力する。そして、後方周波数領域等化部40-1は、データ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Y、伝搬路情報Hpost及びS/Nを用いて、前記式(2)によるMMSE基準のチャネル等化を行う(ステップS604)。チャネル等化の際には、伝搬路情報Hpostのポイント数512は、8倍の4096に補間される。
後方周波数領域等化部40-1は、周波数領域でチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号(後方信号)X~postを後方逆フーリエ変換部41に出力する。周波数領域の信号X~postは、後方の伝搬路情報Hpost等から得られた周波数領域の等化後の受信信号である。
尚、チャネル等化された信号はシンボルクロックに対して2倍アップサンプリングされた信号であるため、後方周波数領域等化部40-1は、前述の非特許文献3に記載されたチャネル合成を行う。
後方周波数領域等化部40-1は、チャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~postをシンボルクロックに対して等倍にしてから後方逆フーリエ変換部41に出力する。
後方逆フーリエ変換部41は、後方周波数領域等化部40-1からチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の等倍の信号X~postを入力する。そして、後方逆フーリエ変換部41は、チャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の等倍の信号X~postを時間領域の信号(後方信号)x~postに逆フーリエ変換する(ステップS605)。
逆フーリエ変換が行われる信号は、シンボルクロックに対して等倍の信号X~postであるため、そのポイント数は、2048となる。後方逆フーリエ変換部41は、データ及びUWの部分に関する時間領域の信号x~postをシンボル加重平均部42に出力する。時間領域の信号x~post は、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、後方のUW(等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUW)から求めた伝搬路情報Hpost等に基づいて周波数領域等化した時間領域の信号である。
シンボル加重平均部42は、前方逆フーリエ変換部36から、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、前方のUWから求めた伝搬路情報Hpre等に基づいて周波数領域等化した時間領域の信号x~preを入力する。また、シンボル加重平均部42は、後方逆フーリエ変換部41から、後方のUWから求めた伝搬路情報Hpost等に基づいて周波数領域等化した時間領域の信号x~postを入力する。
シンボル加重平均部42は、チャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する時間領域の信号x~pre,x~postを用いてシンボル加重平均処理を行い、時間領域の信号x~を求めてシンボル判定部214に出力する。
具体的には、シンボル加重平均部42は、以下の式により、時間領域の信号x~
pre(i),x~
post(i)を用いて、チャネルの時間変動を考慮したシンボル加重平均処理を行い、時間領域の信号x~(i)を求める。iはシンボル番号であり、整数である。
図7は、前記式(3)において、加重平均処理の重みa1,a2を説明する図である。シンボル番号iにおける信号x~pre(i)の重みをa1、信号x~post(i)の重みをa2とする。重みa1=2047-iであり、重みa2=iである。i=0の場合、重みa1=100%(2047),a2=0%(0)となり、i=2047の場合、重みa1=0%(0),a2=100%(2047)となる。
図7において、直角を挟む2辺をiの長さの辺及びa2の長さの辺とした直角三角形A1と、直角を挟む2辺を(2047-i)の長さの辺及びa1の長さの辺とした直角三角形A2とは、相似の関係にある。このため、a1:a2=(2047-i):iの関係が成り立つ。これにより、信号x~pre(i),x~post(i)に対して重みa1,a2を用いた加重平均処理を表す前記式(3)が導出される。
以下の式は、前記式(3)を一般化した式である。
2
nは、時間領域のデータ及び後方のUWの部分のシンボル数であり、逆フーリエ変換を行う際のポイント数でもある。
尚、シンボル加重平均部42の実際の処理としては、ジッター等により、ブロック同期部206の処理にて得られる同期位置が揺らいでしまうことを考慮して、フーリエ変換の位置を前方へずらすオフセット処理が行われる。つまり、図4に示した加重平均等化部30-1におけるフーリエ変換部31~後方逆フーリエ変換部41の各構成部は、SC-FDEブロックの信号に対し所定のオフセット量だけ前方へずらし、当該ずらした後の信号に対して処理を行う。
シンボル加重平均部42は、以下の式により、時間領域の信号x~
pre(i),x~
post(i)を用いて、チャネルの時間変動及びオフセットを考慮したシンボル加重平均処理を行い、時間領域の信号x~(i)を求める。offsetは、2倍アップサンプリングされた時間領域の信号におけるオフセット量である。floor()は、実数に対しそれ以下の最大の整数を対応付ける床関数である。
図8は、前記式(5)において、オフセットがある場合の加重平均処理の重みb1,b2を説明する図である。シンボル番号iにおける信号x~pre(i)の重みをb1、信号x~post(i)の重みをb2とする。また、floor(offset/2)=Fとする。オフセット量offsetを2で除算した結果を床関数にて演算し、オフセット量Fを求めるのは、2倍アップサンプリングされた時間領域の信号を元のサンプリングの信号に戻すためである。重みb1=2047-i-Fであり、重みb2=i+Fである。
i=-Fの場合、重みb1=100%(2047),b2=0%(0)となり、i=(2047-F)の場合、重みb1=0%(0),b2=100%(2047)となる。
図8において、直角を挟む2辺を(i+F)の長さの辺及びb2の長さの辺とした直角三角形B1と、直角を挟む2辺を(2047-i-F)の長さの辺及びb1の長さの辺とした直角三角形B2とは、相似の関係にある。このため、b1:b2=(2047-i-F):(i+F)の関係が成り立つ。これにより、信号x~pre(i),x~post(i)に対して重みb1,b2を用いた加重平均処理を表す前記式(5)が導出される。
尚、オフセット量offsetは、2倍アップサンプリングでの値(整数)であるため、オフセット量offset=1の場合、前記式(3)を適用する。
以上のように、実施例1の加重平均等化部30-1を備えた受信装置2によれば、フーリエ変換部31は、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータ及び後方のUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の受信信号Yにフーリエ変換する。
前方UWフーリエ変換部32は、等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の信号UWpreにフーリエ変換する。前方チャネル推定部33は、周波数領域の信号UWpreを用いてチャネル推定を行い、伝搬路情報Hpreを求める。
前方S/N測定部34は、等化対象の1つ手前のSC-FDEブロックにおける後方のUWの部分に関する時間領域の信号及び等化対象のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を用いて、前方のS/Nを測定する。
後方UWフーリエ変換部37は、等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を周波数領域の信号UWpostにフーリエ変換する。後方チャネル推定部38は、周波数領域の信号UWpostを用いてチャネル推定を行い、伝搬路情報Hpostを求める。
後方S/N測定部39は、等化対象のSC-FDEブロックにおける後方のUWの部分に関する時間領域の信号及び等化対象の次のSC-FDEブロックにおける先頭のUWの部分に関する時間領域の信号を用いて、後方のS/Nを測定する。
前方周波数領域等化部35-1は、データ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Y、伝搬路情報Hpre及び前方のS/Nを用いてMMSE基準のチャネル等化を行い、データ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~preを求める。前方逆フーリエ変換部36は、周波数領域の等倍の信号X~preを時間領域の信号x~preに逆フーリエ変換する。
後方周波数領域等化部40-1は、データ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Y、伝搬路情報Hpost及び後方のS/Nを用いてMMSE基準のチャネル等化を行い、データ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~postを求める。後方逆フーリエ変換部41は、周波数領域の等倍の信号X~postを時間領域の信号x~postに逆フーリエ変換する。
シンボル加重平均部42は、時間領域の信号x~pre,x~postを加重平均し、加重平均処理後の時間領域の信号x~を求める。
このように、等化対象のSC-FDEブロックにおけるデータを基準にして、前方のUWから求めた伝搬路情報Hpre等に基づいて周波数領域等化した時間領域の信号x~pre、及び後方のUWから求めた伝搬路情報Hpost等に基づいて周波数領域等化した時間領域の信号x~postを用いて加重平均処理が行われ、時間領域の信号x~が得られる。
これにより、先頭のUWのみから推定した伝搬路情報を用いる従来の周波数領域等化の手法、及び等化対象の信号の前後のUWから推定した伝搬路情報の平均値を用いる従来の周波数領域等化の手法よりも、周波数領域での等化精度が向上する。したがって、高速な移動伝送またはチャネルの時間的な変動が激しい条件において、周波数領域での受信信号の等化精度を向上させ、所要C/Nを低減することができる。
(実施例2)
次に、実施例2の加重平均等化部30-2について説明する。前述のとおり、実施例2の加重平均等化部30-2は、後方のUWを用いて伝搬路情報を推定すると共に、1SC-FDEブロックの処理を遅延させることで前方のUWに対応する伝搬路情報を推定し、MMSE基準によりチャネル等化を行うものである。
図9は、実施例2の加重平均等化部30-2の構成例を示すブロック図である。この加重平均等化部30-2は、フーリエ変換部31、チャネル遅延部43、S/N遅延部44、前方周波数領域等化部35-1、前方逆フーリエ変換部36、後方UWフーリエ変換部37、後方チャネル推定部38、後方S/N測定部39、後方周波数領域等化部40-1、後方逆フーリエ変換部41及びシンボル加重平均部42を備えている。
図4に示した実施例1の加重平均等化部30-1とこの実施例2の加重平均等化部30-2とを比較すると、両加重平均等化部30-1,30-2は、フーリエ変換部31、前方周波数領域等化部35-1、前方逆フーリエ変換部36、後方UWフーリエ変換部37、後方チャネル推定部38、後方S/N測定部39、後方周波数領域等化部40-1、後方逆フーリエ変換部41及びシンボル加重平均部42を備えている点で共通する。
一方、加重平均等化部30-2は、チャネル遅延部43及びS/N遅延部44を備えている点で、前方UWフーリエ変換部32、前方チャネル推定部33及び前方S/N測定部34を備えている加重平均等化部30-1と相違する。図9において、図4と共通する部分には図4と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
図4に示した実施例1の加重平均等化部30-1において、前方チャネル推定部33が出力する伝搬路情報Hpreと、後方チャネル推定部38が出力する伝搬路情報Hpostとを比較すると、両情報はタイミングの違いのみであって情報自体は同じである。つまり、伝搬路情報Hpreは、1SC-FDEブロック前の伝搬路情報Hpostと同じである。言い換えると、前方チャネル推定部33が出力する伝搬路情報Hpreは、後方チャネル推定部38が出力する伝搬路情報Hpostを1SC-FDEブロック分遅延させたものと同じである。
これは、前方S/N測定部34が出力するS/N及び後方S/N測定部39が出力するS/Nについても同様である。つまり、前方S/N測定部34が出力するS/Nは、後方S/N測定部39が出力するS/Nを1SC-FDEブロック分遅延させたものと同じである。
このため、加重平均等化部30-2は、加重平均等化部30-1に備えた前方UWフーリエ変換部32、前方チャネル推定部33及び前方S/N測定部34の代わりに、チャネル遅延部43及びS/N遅延部44を備えている。
後方チャネル推定部38は、チャネル推定にて得られた伝搬路情報Hpostを、後方周波数領域等化部40-1及びチャネル遅延部43に出力する。
チャネル遅延部43は、後方チャネル推定部38から伝搬路情報Hpostを入力し、伝搬路情報Hpostを1SC-FDEブロック分(1つのSC-FDEブロックに相当する時間だけ)遅延させる。そして、チャネル遅延部43は、1SC-FDEブロック分遅延させた伝搬路情報Hpostを伝搬路情報Hpreとして前方周波数領域等化部35-1に出力する。
後方S/N測定部39は、測定した後方のS/Nを後方周波数領域等化部40-1及びS/N遅延部44に出力する。
S/N遅延部44は、後方S/N測定部39から後方のS/Nを入力し、後方のS/Nを1SC-FDEブロック分遅延させる。そして、S/N遅延部44は、1SC-FDEブロック分遅延させた後方のS/Nを前方のS/Nとして前方周波数領域等化部35-1に出力する。
前方周波数領域等化部35-1は、フーリエ変換部31からデータ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Yを、チャネル遅延部43から伝搬路情報Hpreを、S/N遅延部44から前方のS/Nをそれぞれ入力する。そして、前方周波数領域等化部35-1は、MMSE基準のチャネル等化を行い、周波数領域でチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~preを前方逆フーリエ変換部36に出力する。
以上のように、実施例2の加重平均等化部30-2を備えた受信装置2によれば、チャネル遅延部43は、後方チャネル推定部38から入力した伝搬路情報Hpostを1SC-FDEブロック分遅延させ、伝搬路情報Hpreとして出力するようにした。
これにより、チャネル遅延部43が出力する伝搬路情報Hpreは、図4に示した実施例1の加重平均等化部30-1に備えた前方チャネル推定部33が出力する伝搬路情報Hpreと同じになる。
また、S/N遅延部44は、後方S/N測定部39から入力した後方のS/Nを1SC-FDEブロック分遅延させ、前方のS/Nとして出力するようにした。
これにより、S/N遅延部44が出力するS/Nは、図4に示した実施例1の加重平均等化部30-1に備えた前方S/N測定部34が出力するS/Nと同じになる。
したがって、実施例1と同様に、高速な移動伝送またはチャネルの時間的な変動が激しい条件において、周波数領域での受信信号の等化精度を向上させ、所要C/Nを低減することができる。
また、実施例2では、実施例1の前方UWフーリエ変換部32、前方チャネル推定部33及び前方S/N測定部34の代わりに、チャネル遅延部43及びS/N遅延部44を備えればよいから、簡易な構成で済み、計算負荷を低減することができる。
(実施例3)
次に、実施例3の加重平均等化部30-3について説明する。前述のとおり、実施例3の加重平均等化部30-3は、データに対して前方UW及び後方のUWを用いて伝搬路情報を推定し、ZF基準によりチャネル等化を行うものである。
図10は、実施例3の加重平均等化部30-3の構成例を示すブロック図である。この加重平均等化部30-3は、フーリエ変換部31、前方UWフーリエ変換部32、前方チャネル推定部33、前方周波数領域等化部35-2、前方逆フーリエ変換部36、後方UWフーリエ変換部37、後方チャネル推定部38、後方周波数領域等化部40-2、後方逆フーリエ変換部41及びシンボル加重平均部42を備えている。
図4に示した実施例1の加重平均等化部30-1とこの実施例3の加重平均等化部30-3とを比較すると、両加重平均等化部30-1,30-3は、フーリエ変換部31、前方UWフーリエ変換部32、前方チャネル推定部33、前方逆フーリエ変換部36、後方UWフーリエ変換部37、後方チャネル推定部38、後方逆フーリエ変換部41及びシンボル加重平均部42を備えている点で共通する。
一方、加重平均等化部30-3は、前方S/N測定部34及び後方S/N測定部39を備えておらず、加重平均等化部30-1の前方周波数領域等化部35-1及び後方周波数領域等化部40-1とは異なる前方周波数領域等化部35-2及び後方周波数領域等化部40-2を備えている点で、加重平均等化部30-1と相違する。図10において、図4と共通する部分には図4と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
前方周波数領域等化部35-2は、フーリエ変換部31からデータ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Yを、前方チャネル推定部33から伝搬路情報Hpreをそれぞれ入力する。そして、前方周波数領域等化部35-2は、データ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Y及び伝搬路情報Hpreを用いて、前記式(1)によるZF基準のチャネル等化を行う。チャネル等化の際には、伝搬路情報Hpreのポイント数512は、8倍の4096に補間される。
前方周波数領域等化部35-2は、周波数領域でチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~preを前方逆フーリエ変換部36に出力する。
尚、チャネル等化された信号はシンボルクロックに対して2倍アップサンプリングされた信号であるため、前方周波数領域等化部35-2は、前方周波数領域等化部35-1と同様に、チャネル合成を行う。
前方周波数領域等化部35-2は、チャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~preをシンボルクロックに対して等倍にしてから前方逆フーリエ変換部36に出力する。
後方周波数領域等化部40-2は、フーリエ変換部31からデータ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Yを、後方チャネル推定部38から伝搬路情報Hpostをそれぞれ入力する。そして、後方周波数領域等化部40-2は、データ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Y及び伝搬路情報Hpostを用いて、前記式(1)によるZF基準のチャネル等化を行う。チャネル等化の際には、伝搬路情報Hpostのポイント数512は、8倍の4096に補間される。
後方周波数領域等化部40-2は、周波数領域でチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~postを後方逆フーリエ変換部41に出力する。
尚、チャネル等化された信号はシンボルクロックに対して2倍アップサンプリングされた信号であるため、後方周波数領域等化部40-2は、後方周波数領域等化部40-1と同様に、チャネル合成を行う。
後方周波数領域等化部40-2は、チャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~postをシンボルクロックに対して等倍にしてから後方逆フーリエ変換部41に出力する。
以上のように、実施例3の加重平均等化部30-3を備えた受信装置2によれば、実施例1と同様に、高速な移動伝送またはチャネルの時間的な変動が激しい条件において、周波数領域での受信信号の等化精度を向上させ、所要C/Nを低減することができる。
(実施例4)
次に、実施例4の加重平均等化部30-4について説明する。前述のとおり、実施例4の加重平均等化部30-4は、後方のUWを用いて伝搬路情報を推定すると共に、1SC-FDEブロックの処理を遅延させることで前方のUWに対応する伝搬路情報を推定し、ZF基準によりチャネル等化を行うものである。
図11は、実施例4の加重平均等化部30-4の構成例を示すブロック図である。この加重平均等化部30-4は、フーリエ変換部31、チャネル遅延部43、前方周波数領域等化部35-2、前方逆フーリエ変換部36、後方UWフーリエ変換部37、後方チャネル推定部38、後方周波数領域等化部40-2、後方逆フーリエ変換部41及びシンボル加重平均部42を備えている。
図10に示した実施例3の加重平均等化部30-3とこの実施例4の加重平均等化部30-4とを比較すると、両加重平均等化部30-3,30-4は、フーリエ変換部31、前方周波数領域等化部35-2、前方逆フーリエ変換部36、後方UWフーリエ変換部37、後方チャネル推定部38、後方周波数領域等化部40-2、後方逆フーリエ変換部41及びシンボル加重平均部42を備えている点で共通する。
一方、加重平均等化部30-4は、前方UWフーリエ変換部32及び前方チャネル推定部33を備えておらず、チャネル遅延部43を備えている点で、加重平均等化部30-3と相違する。図11において、図10と共通する部分には図10と同一の符号を付し、その詳しい説明は省略する。
実施例2にて説明したとおり、図10の前方チャネル推定部33が出力する伝搬路情報Hpreは、図11の後方チャネル推定部38が出力する伝搬路情報Hpostを1SC-FDEブロック分遅延させたものと同じである。
このため、加重平均等化部30-4は、加重平均等化部30-3に備えた前方UWフーリエ変換部32及び前方チャネル推定部33の代わりに、チャネル遅延部43を備えている。
前方周波数領域等化部35-2は、フーリエ変換部31からデータ及びUWの部分に関する周波数領域の受信信号Yを、チャネル遅延部43から伝搬路情報Hpreをそれぞれ入力する。そして、前方周波数領域等化部35-2は、ZF基準のチャネル等化を行い、周波数領域でチャネル等化されたデータ及びUWの部分に関する周波数領域の信号X~preを前方逆フーリエ変換部36に出力する。
以上のように、実施例4の加重平均等化部30-4を備えた受信装置2によれば、実施例3と同様に、高速な移動伝送またはチャネルの時間的な変動が激しい条件において、周波数領域での受信信号の等化精度を向上させ、所要C/Nを低減することができる。
また、実施例4では、実施例3の前方UWフーリエ変換部32及び前方チャネル推定部33の代わりに、チャネル遅延部43を備えればよいから、簡易な構成で済み、計算負荷を低減することができる。
以上、実施例1~4を挙げて本発明を説明したが、本発明は前記実施例1~4に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。