JP7323289B2 - 共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Description

本発明は、共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体に関する。
樹脂は、ガラスに比べ軽量であることから、ガラスの代替として様々な用途に用いられている。特にスチレン系樹脂は成形加工性に優れており、自動車部品、家電、包装容器等の用途に用いられている。また、意匠性を要求される用途にも広く用いられている。これらの用途に用いられる樹脂においては、弾性率等の強度や伸び等の物性が必要とされる。
樹脂組成物の伸びを向上させる方法として、ゴム粒子を添加する方法が知られている(特許文献1)。しかし、この様な方法では、弾性率や耐熱性の低下や、ゴム粒子が分散することにより透明性が損なわれる、等の問題があった。
特許文献2では耐擦傷性の向上のため、ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂に疎水性ポリロタキサンを添加することが提案されている。
しかし、PMMA樹脂に疎水性ポリロタキサンを添加しただけでは、弾性率や伸びを発現することは困難であった。
特開平10-110085号公報 特開2007-106861号公報
本発明は、耐熱性や透明性に優れ、伸び等の機械物性が向上した共重合体を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討し実験を重ねた結果、ラジカル重合性単量体(A)と、単一重合体としたときのガラス転移温度が40℃未満のラジカル重合性単量体(B)と、変性ポリロタキサン(C)の3成分を含有する組成物を重合した共重合体により上記課題を解決しうることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明は、以下の態様を有する。
(1)
ラジカル重合性単量体(A)と、単一重合体としたときのガラス転移温度が40℃未満であるラジカル重合性単量体(B)と、変性ポリロタキサン(C)とを含む組成物を重合してなる共重合体であって、
前記ラジカル重合性単量体(A)が芳香族ビニルモノマーであり
前記変性ポリロタキサン(C)が前記変性ポリロタキサン(C)の有する環状分子にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基を有する官能性単量体を反応させて前記ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基が導入されたものであり、
前記ラジカル重合性単量体(A)及び前記ラジカル重合性単量体(B)の合計質量(100質量部)に対して、前記ラジカル重合性単量体(A)を50~80質量部、前記ラジカル重合性単量体(B)を20~50質量部、前記変性ポリロタキサン(C)を1質量部未満含み、
ガラス転移温度を有する、
ことを特徴とする、共重合体。
(2)
Gel Permiation Chromatography(GPC法)による分子量測定により作成した分子量分布曲線において、分子量が100万以上の成分が占める面積が0.1~20%である、(1)の共重合体。
(3)
前記ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基が(メタ)アクリレート基である、(1)又は(2)の共重合体。
(4)
前記ラジカル重合性単量体(B)が(メタ)アクリレートモノマーである、(1)~(3)のいずれかの共重合体。
(5)
前記共重合体の前記ガラス転移温度が60℃以下である、(1)~(4)のいずれかの共重合体。
(6)
前記ラジカル重合性単量体(B)が、単一重合体としたときのガラス転移温度が0℃以下であるラジカル重合性単量体である、(1)~(4)のいずれかの共重合体。
(7)
前記変性ポリロタキサンが複数の環状構造を有し、少なくとも1つの前記環状構造から、1以上の分岐を有する構造を有する、(1)~(6)のいずれかの共重合体。
(8)
(1)~(7)のいずれかの共重合体を含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
(9)
(8)の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする、成形体。
本発明の共重合体は、耐熱性や透明性に優れ、伸び等の機械物性にも優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細説明する。本発明は、以下の実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「ラジカル重合性単量体」とは、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を分子内に一つ以上有する化合物を指す。
「熱可塑性」とは、ガラス転移温度又は融点以上に加熱することで軟化する性質のことを指し、軟化することで容易に成形加工が可能になる。
「(メタ)アクリレート」とは、アリクレート及びメタクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種を指す。
「ガラス転移温度」とは、示差走査熱量系(DSC)の測定を行って得られる温度から定義される値を指す。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
[共重合体]
本実施形態の共重合体は、ラジカル重合性単量体(A)と、単一重合体としたときのガラス転移温度が40℃未満であるラジカル重合性単量体(B)と、変性ポリロタキサン(C)とを含む組成物を重合してなる共重合体である。
上記組成物は、ラジカル重合性単量体(A)と、単一重合体としたときのガラス転移温度が40℃未満であるラジカル重合性単量体(B)と、変性ポリロタキサン(C)とのみからなる組成物であってもよいし、さらに他の成分を含んでいてもよい。
(ラジカル重合性単量体(A))
ラジカル重合性単量体(A)としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、パラメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、ブチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン等芳香族ビニルモノマー;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、フェニルメタクリレート等のモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;等が挙げられる。
これらの中でも、得られる共重合体の吸水性がなく寸法安定性が高くなることから、芳香族ビニルモノマーが好ましく、より好ましくはスチレンである。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記組成物中の上記ラジカル重合性単量体(A)の含有量は、上記ラジカル重合性単量体(A)及び上記ラジカル重合性単量体(B)の合計質量(100質量部)に対して、50~80質量部であることが好ましく、より好ましくは50~70質量部、さらに好ましくは55~65質量部である。ラジカル重合性単量体(A)の含有量が上記下限値以上であれば、ラジカル重合性単量体(A)由来の耐熱性、弾性率を得やすく、上記上限値以下であれば、伸び等の機械物性を発現しやすい。
(ラジカル重合性単量体(B))
ラジカル重合性単量体(B)としては、例えば、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート;ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート;ポリウレタンジ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート;n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ化ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
これらの中でも、添加量が少量でも効果が高いことから、単一重合体としたときのガラス転移温度が0℃未満である(メタ)アクリレート、分子量が100以上のポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
また、重合の均一性が良好になることから、モノ(メタ)アクリレート((メタ)アクリレートモノマー)が好ましい。中でも、アルキル(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
これらを満たすものとして、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレートが好ましく、n-ブチル(メタ)アクリレートがより好ましい。
これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ラジカル重合性単量体(B)は、単一重合体としたときのガラス転移温度が40℃未満であり、20℃未満であることが好ましく、より好ましくは0℃以下である。単一重合体のガラス転移温度が上限値未満であれば、得られる共重合樹脂の伸び特性が優れる。
上記組成物中の上記ラジカル重合性単量体(B)の含有量は、上記ラジカル重合性単量体(A)及び上記ラジカル重合性単量体(B)の合計質量(100質量部)に対して、20~50質量部であることが好ましく、より好ましくは30~50質量部、さらに好ましくは35~45質量部である。ラジカル重合性単量体(B)の含有量が上記下限値以上であれば、高い耐衝撃性を発現しやすく、上記上限値以下であれば、伸びを発現しやすい。
(変性ポリロタキサン(C))
変性ポリロタキサン(C)は、環状分子(環状構造)の開口部に直鎖状分子(直鎖状構造)が貫通し、直鎖状分子の両末端にブロック基(封鎖基)を有する変性ポリロタキサンであって、環状分子に官能性単量体を反応させて変性させたものである。
変性ポリロタキサン(C)としては、環状構造が直鎖状構造上を自由に動くことができるものが好ましい。環状構造が直鎖状構造上を自由に動きやすい点から、環状構造の包接率が理論上の飽和値の50質量%以下であることが好ましい。
環状構造としては、特に限定されないが、入手しやすさの観点から、シクロデキストリンが好ましい。シクロデキストリンとしては、α-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンが好ましく、α-シクロデキストリンが最も好ましい。シクロデキストリンは、化学修飾されていてもよい。ラジカル重合性単量体(A)、(B)との相分離等が生じにくい点で、シクロデキストリンの水酸基がイソプロピル基、カプロラクトン基等で修飾されていることが好ましい。
変性ポリロタキサン(C)を構成する環状構造は、ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基を有することが好ましく、(メタ)アクリレート基を有することがより好ましい。環状構造が(メタ)アクリレート基を有する場合、ラジカル重合性単量体(A)及びラジカル重合性単量体(B)と重合により一体化し、効果を発揮しやすくなる。
上記(メタ)アクリレート基は、シクロデキストリンの水酸基を修飾したイソプロピル基、カプロラクトン基を介して上記シクロデキストリンに結合してよい。
変性ポリロタキサン(C)を構成する直鎖状構造としては、特に限定されないが、耐衝撃性の発現のしやすさから、ガラス転移温度が低いものが好ましい。
ガラス転移点が低い直鎖状構造としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリブチレングリコール、シリコーン樹脂、ポリブタジエン等が挙げられる。中でも、入手しやすさの観点から、ポリエチレングリコールが最も好ましい。
上記直鎖状構造の重量平均分子量は、5000~10万が好ましく、1万~4万がより好ましい。上記下限値以上であれば、耐衝撃性を発現しやすく、上記上限値以下であれば、ラジカル重合性単量体(A)、(B)との相分離を抑えやすい傾向がある。
なお、重量平均分子量は、後述の実施例のGPC法により測定することができる。
変性ポリロタキサン(C)を構成する封鎖基は、環状構造の直鎖状構造からの脱離を防止する基であり、例えばアダマンチル基等が挙げられる。
変性ポリロタキサン(C)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記組成物中の上記変性ポリロタキサン(C)の含有量は、上記ラジカル重合性単量体(A)及び上記ラジカル重合性単量体(B)の合計質量(100質量部)に対して、1質量部未満であることが好ましく、より好ましくは0.03~0.5質量部、さらに好ましくは0.05~0.3質量部、特に好ましくは0.1~0.2質量部である。変性ポリロタキサン(C)の含有量を、上記上限値以下とすることにより、重合時にゲル成分や架橋成分が生成しにくく、成形加工が容易となり、優れた物性を得ることができる。
(重合開始剤)
上記組成物は、さらに、熱重合開始剤等の重合開始剤を含んでいてもよい。
本実施形態の共重合体は、ラジカル重合性単量体(A)とラジカル重合性単量体(B)と変性ポリロタキサン(C)とを、熱重合開始剤を用いて重合させた共重合体としてよい。
上記熱重合開始剤の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)等のアゾ系重合開始剤;1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等のパーオキシケタール類;ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;ベンゾイルパーオキサイド、m-トルオイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジミリスチルパーオキシジカーボネート等のパーオキシエステル類;シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;p-メンタハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;2,2-ビス(4,4-ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジターシャリーアミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2-ビス(4,4-ジターシャリーブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタン、2,2-ビス(4,4-ジクミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等の多官能過酸化物類;等を挙げることができる。
中でも、ラジカル重合性単量体(A)、ラジカル重合性単量体(B)、変性ポリロタキサン(C)を効率よく重合でき、分子量が均一な重合体が得られやすく、弾性率と伸びに優れる重合体が得られやすい観点から、アゾ系重合開始剤が好ましく、より好ましくは2,2’-アゾビスイソブチロニトリルである。
上記組成物中の上記重合開始剤の含有量は、ラジカル重合性単量体(A)とラジカル重合性単量体(B)と変性ポリロタキサン(C)との合計質量(100質量部)に対して、0.01~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~5質量部である。重合開始剤の含有量が上記下限値以上であれば、重合が進行しやすく、上記上限値以下であれば、ゲル等の生成が起こらず重合により得られる共重合体の強度がより優れる傾向がある。
(他の成分)
上記組成物は、さらに、他の成分を含んでいてもよい。
上記他の成分としては、例えば滑剤、可塑剤、離型剤、抗菌剤、防カビ剤、光安定剤、紫外線吸収剤、ブルーイング剤、染料、顔料、帯電防止剤、熱安定剤、消泡剤、分散剤等が挙げられる。
上記組成物中の上記他の成分の含有量は、ラジカル重合性単量体(A)及びラジカル重合性単量体(B)の合計質量(100質量部)に対して、3質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。他の成分の含有量が少ない方が、得られる成形体が良好な特性を発現しやすい。
(共重合体の製造方法)
本実施形態の成形体は、例えば、上述の組成物を、温度50~150℃で3~100時間重合する方法等により得ることができる。
本実施形態の共重合体は、例えば、成形品の成形材料等として用いることができる。
(共重合体の特性)
本実施形態の共重合体はガラス転移温度を有する。
上記ガラス転移温度としては、弾性率及び伸びに一層優れた成形体が得られる観点から、60℃以下であることが好ましくは、より好ましくは40~50℃である。
なお、ガラス転移温度は、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の共重合体は、Gel Permiation Chromatography(GPC法)による分子量測定により作成した分子量分布曲線において、曲線と横軸とに囲まれる全面積に対する、分子量100万以上の高分子量成分が占める面積が0.1~20%であることが好ましく、より好ましくは0.2~5%、さらに好ましくは0.3~3%である。高分子成分量が上記下限値以上であれば、伸びが発現しやすく、上記上限値以下であれば架橋体の形成等が起こらず成形性を保持可能である。
高分子成分量は、例えば、重合に用いる単量体の種類、重合温度、重合時間等により上記範囲に調節することができる。
本実施形態の共重合体は、超分岐構造を有することが好ましい。
超分岐構造としては、例えば、変性ポリロタキサンが複数の上記環状構造を有し、少なくとも1つの環状構造から、1以上の分岐を有する構造が挙げられる。
上記分岐としては、例えば、ラジカル重合性単量体(A)の単独重合体、ラジカル重合性単調体(B)の単独重合体、ラジカル重合性単量体(A)とラジカル重合性単量体(B)との共重合体等が挙げられる。
分岐の数としては、変性ポリロタキサン(C)1分子当たり、5個以上であることが好ましく、10個以上であることがより好ましい。
超分岐構造の有無はMALS検出器を用いたGPC等により解析することが可能である。
[熱可塑性樹脂組成物]
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、上述の実施形態の共重合体を含む。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、さらに添加剤を含んでいてもよい。
上記添加剤としては、例えば、上述の他の成分、溶媒等が挙げられる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物中の上記共重合体の含有量は、弾性率及び伸びが一層優れた成形体が得られる観点から、熱可塑性樹脂組成物100質量に対して、10~100質量部であることが好ましく、より好ましくは20~60質量部である。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、上記共重合体と、必要に応じて他の成分等を、混練機等を用いて混合する方法等により得ることができる。
本実施形態の熱可塑性樹脂組成物は、例えば、成形品の成形材料等として用いることができる。
[成形体]
本実施形態の成形体は、上述の実施形態の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形体である。上記成形体の製造方法としては、例えば、混練した上記熱可塑性樹脂組成物を金型に流し込み、成形する方法等が挙げられる。
上記成形体は、例えば、車両内装用部品、家電製品の筐体、食品包装の容器等に用いることができる。
(作用効果)
本実施形態の成形体は、ラジカル重合性単量体(A)と、ラジカル重合性単量体(B)と、変性ポリロタキサン(C)とを特定の比率で含む組成物を重合した共重合体を含むと、充分な透明性及び弾性率を保持したまま、一層優れた伸びを示す。
ラジカル重合性単量体(A)のみを重合した重合体は、弾性率、透明性は高いが、伸びずに破断する。ラジカル重合性単量体(A)に対し、ラジカル重合性単量体(B)及び変性ポリロタキサン(C)を組み合わせることで、充分な弾性率を保持しつつ伸びを高めることができる。これは、充分な伸びを示すラジカル重合性単量体(B)由来の単位に加えて、変性ポリロタキサン(C)由来の擬似架橋を有する高分子量成分が関与しているためと考えられる。
上記成形体は、非常に高い均質性を示すため、透明性も良好である。
以下、本発明について、実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
後述の各例で用いた評価方法を以下に示す。
<評価方法>
(引張試験)
ISO37 type2 厚み2mmのダンベル試験片を用いて、次の条件で引張試験を実施した。
機種:INSTRON社製 5564
引張速度:5mm/min
チャック間距離:25mm
試験片破断時のひずみと最大応力を読み取った。
(ガラス転移温度)
ガラス転移温度は次の条件で測定した。
機種:NETZSCH社製 DSC3500
測定条件:窒素雰囲気下、-20~150℃ 温度変化20K/min
2ndスキャン時のデータをガラス転移温度として読み取った。
(分子量100万以上の成分の割合)
分子量100万以上の成分の割合は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ―(GPC)を用いて、次の条件で測定した。
GPC機種:東ソー社製 HPLC-8320
カラム:Shodex社製 K-803L、K-806M
移動相:クロロホルム 1.0ml/min
試料濃度:0.2質量%
温度:オーブン40℃、注入口35℃、検出器35℃
検出器:示差屈折計
単分散ポリスチレンの溶出曲線により各溶出時間における分子量を算出し、ポリスチレ
ン換算の分子量として算出した。
<実施例1>
(熱可塑性樹脂組成物の作製)
ラジカル重合性単量体(A)として、スチレン60質量部、ラジカル重合性単量体(B)として、アクリル酸n-ブチル(東京化成(株)製、単一重合時ガラス転移温度-55℃、以下「nBA」という。)40質量部、変性ポリロタキサン(C)として、セルム(登録商標)スーパーポリマーSA1313P(アドバンスト・ソフトマテリアルズ(株)製、以下「SA1313P」という。)0.3質量部、重合開始剤として、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部、エチルベンゼン10質量部を混合し、80℃で8時間、110℃で4時間、130℃で4時間加熱することで共重合体を得た。
得られた共重合体をエタノール中で再沈殿させた後に、真空乾燥して、共重合体(熱可塑性樹脂組成物)を回収した。得られた共重合体は超分岐構造を有していた。この共重合体を用いて、ガラス転移温度、分子量100万以上の成分の割合を測定した。
(成形体の作製)
上記共重合体を、混錬機(Xplore MC15、レオ・ラボ株式会社製)にて160℃窒素雰囲気下で5分間スクリューを100rpmで回転させ混錬をおこなった。混錬後、溶融樹脂を30℃に保持したISO37 type2の金型に流し込み40秒間保持することで小型試験片を取得した。この試験片を用いて引張試験を行った。
<実施例2>
スチレンを70質量部、nBAを30質量部とし、成形体の作製を180℃で実施した以外は、実施例1と同様にして共重合体及び成形体を作製し、引張試験を行った。
<実施例3>
ラジカル重合性単量体(B)として2-エチルヘキシルアクリレート(東京化成(株)製、単一重合時ガラス転移温度-70℃)を用いた以外は、実施例1と同様にして共重合体及び成形体を作製し、引張試験をおこなった。
<実施例4>
変性ポリロタキサン(C)を0.4質量部とした以外は、実施例1と同様にして共重合体及び成形体を作成し、引張試験をおこなった。
<比較例1>
スチレンを100質量部用い、ラジカル重合性単量体(B)及び変性ポリロタキサン(C)を用いなかったこと、成形体の作製を220℃で実施した以外は、実施例1と同様にして共重合体及び成形体を作製し、引張試験の測定を行った。
<比較例2>
スチレンを60質量部用い、ラジカル重合性単量体(B)としてnBAを40質量部用い、変性ポリロタキサン(C)を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして共重合体及び成形体を作製し、引張試験の測定を行った。
<比較例3>
スチレンを100質量部用い、ラジカル重合性単量体(B)を用いなかったこと、成形体の作製を220℃で実施した以外は、実施例1と同様にして共重合体及び成形体を作製し、引張試験の測定を行った。
実施例1~4及び比較例1~3で用いたラジカル重合性単量体(A)、ラジカル重合性単量体(B)及び変性ポリロタキサン(C)の種類及び量、並びに引張試験の測定結果を表1に示した。
表1中、ラジカル重合性単量体(A)、ラジカル重合性単量体(B)及び変性ポリロタキサン(C)の欄に示す数値は、芳香族ビニルモノマー(A)、ラジカル重合性単量体(B)の合計100質量部に対する割合(質量部)である。
実施例1~4より、ラジカル重合性単量体(A)とラジカル重合性単量体(B)と変性ポリロタキサン(C)とを含む組成物を重合して得られた共重合体を成形した成形体は、充分に高い弾性率を保持しつつ、大きな伸びを示すことが確認できた。また、何れのサンプルでも、耐熱性及び透明性を保持していることを確認した。
ラジカル重合性単量体(B)及び変性ポリロタキサン(C)を含まない組成物を重合して得られた共重合体を成形した成形体(比較例1)は、弾性率は高いものの伸びが非常に低かった。
変性ポリロタキサン(C)を含まない組成物を重合して得られた共重合体を成形した成形体(比較例2)はやや伸びが改善されたが不十分であった。
Figure 0007323289000001
上記のとおり、ラジカル重合性単量体(A)と、単一重合体としたときのガラス転移温度が40℃未満のラジカル重合性単量体(B)と、変性ポリロタキサン(C)との少なくとも3成分を共重合させることで、弾性率と耐衝撃性とを両立する成形体が得られ、この成形体は、耐熱性、透明性にも優れる。
本発明の成形体は、強度及び透明性に優れるものであり、車両内装用部品や、家電製品の筐体、射出成形における食品包装の容器等幅広い分野で好適に利用できる。

Claims (9)

  1. ラジカル重合性単量体(A)と、単一重合体としたときのガラス転移温度が40℃未満であるラジカル重合性単量体(B)と、変性ポリロタキサン(C)とを含む組成物を重合してなる共重合体であって、
    前記ラジカル重合性単量体(A)が芳香族ビニルモノマーであり
    前記変性ポリロタキサン(C)が前記変性ポリロタキサン(C)の有する環状分子にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基を有する官能性単量体を反応させて前記ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基が導入されたものであり、
    前記ラジカル重合性単量体(A)及び前記ラジカル重合性単量体(B)の合計質量(100質量部)に対して、前記ラジカル重合性単量体(A)を50~80質量部、前記ラジカル重合性単量体(B)を20~50質量部、前記変性ポリロタキサン(C)を1質量部未満含み、
    ガラス転移温度を有する、
    ことを特徴とする、共重合体。
  2. Gel Permiation Chromatography(GPC法)による分子量測定により作成した分子量分布曲線において、分子量が100万以上の成分が占める面積が0.1~20%である、請求項1に記載の共重合体。
  3. 前記ラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する基が(メタ)アクリレート基である、請求項1又は2に記載の共重合体。
  4. 前記ラジカル重合性単量体(B)が(メタ)アクリレートモノマーである、請求項1~3のいずれか1項に記載の共重合体。
  5. 前記共重合体の前記ガラス転移温度が60℃以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の共重合体。
  6. 前記ラジカル重合性単量体(B)が、単一重合体としたときのガラス転移温度が0℃以下であるラジカル重合性単量体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の共重合体。
  7. 前記変性ポリロタキサンが複数の環状構造を有し、少なくとも1つの前記環状構造から1以上の分岐を有する構造を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の共重合体。
  8. 請求項1~7のいずれか1項に記載の共重合体を含むことを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項8に記載の熱可塑性樹脂組成物を成形してなることを特徴とする、成形体。
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