JP2018203830A - 硬化性樹脂組成物、及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
Description
反応性官能基を有するポリロタキサンは、開口を形成している環状分子と、環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを有する。封鎖基によって直鎖状分子鎖から環状分子が脱離することが防がれている。1本の直鎖状分子鎖が複数の環状分子の開口を貫通していてもよい。環状分子が1又は2以上の反応性官能基を有していてもよい。硬化性樹脂組成物が反応性官能基を有するポリロタキサンを含むことにより、硬化後に環動構造が形成され得る。環動構造は、適度な弾性率と形状回復性とを有しつつ、破断伸び及び耐溶剤性を両立させた硬化物の形成に寄与し得る。
環状分子は、直鎖状分子鎖が貫通可能な開口を形成している分子であれば、特に制限されない。環状分子は、開口を貫通する直鎖状分子鎖が脱離することがなければ、共有結合によって完全に閉環していなくてもよい。
直鎖状分子鎖は、環状分子を貫通しうる分子鎖であって、環状分子が直鎖状分子鎖上で移動可能であれば、特に制限されない。直鎖状分子鎖は、実質的に直鎖状の部分を含んでいればよく、上記要件を満たせば、分岐鎖又は環状の置換基等を有していてもよい。直鎖状の部分の長さ及び分子量は特に制限されない。
封鎖基は、直鎖状分子鎖の両末端にそれぞれ配置され、直鎖状分子鎖が環状分子を貫通した状態を保持できる基であれば、特に制限されない。封鎖基としては、例えば、環状分子の開口より大きな構造を有する基、又はイオン性の相互作用により環状分子の開口を通過し得ない基が挙げられる。封鎖基としては、具体的には、アダマンチル基、シクロデキストリンを含む基、アントラセン基、トリフェニレン基、ピレン基、トリチル基及びこれらの異性体、誘導体等が挙げられる。
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、ポリロタキサン以外の化合物である一種以上のラジカル重合性モノマーを含有する。ラジカル重合性モノマーは、一実施形態において、五員環以上の環を含む基を有するモノマーを含むことができる。モノマーが五員環以上の環を含む基を有することにより、硬化後のポリマー鎖の運動性が制限され、硬化物の引張弾性率が増加し、形状保持性が向上する。形状保持性とは、応力により形状が変化した後、変形後の形状を維持する性質のことを指す。五員環以上の環は、五員環、六員環、七員環又は八員環であってもよい。
硬化性樹脂組成物は、ラジカル重合性モノマーの重合のためのラジカル重合開始剤を含有していてもよい。ラジカル重合開始剤は、熱ラジカル重合開始剤、光ラジカル重合開始剤、又はこれらの組み合わせであってよい。ラジカル重合開始剤の含有量は、通常の範囲で適宜調整されるが、例えば、硬化性樹脂組成物全量を基準として0.001〜5質量%であってもよい。
本実施形態に係る硬化性樹脂組成物の硬化物は、形状回復性を有する。「形状回復性」とは、引張又は折り曲げ等の応力を受けて変形した後、加熱によって元の形状を回復する性質を意味する。本明細書において「形状回復性を有する」とは、例えば、引張応力によって50%の歪みを与えた硬化物が、加熱によって歪み5%以下にまで元の形状を回復することを指す。形状回復のための加熱の温度は、形状の回復が生じるように適宜設定すればよいが、例えば、硬化物のガラス転移温度以上であってもよい。ガラス転移温度を室温付近に調節することにより、応力による変形が室温で徐々に回復する設計も可能である。本明細書において、硬化物のガラス転移温度が室温(例えば23℃)以下である場合、室温に放置することも形状回復のための「加熱」に含まれる。
1.硬化性樹脂組成物
表1及び表2に示す質量比で各原料を混合して、硬化性樹脂組成物を調製した。表中の数値は質量部である。表中の符号は、以下の原料を示す。ここに示されるガラス転移温度は、各モノマーが単独で重合したときに形成されるホモポリマーのガラス転移温度を示す。
A1:ジシクロペンタニルアクリレート(ガラス転移温度:120℃)
A2:ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート(ガラス転移温度:20℃)
A3:アクリロニトリル(ガラス転移温度:100℃)
B1:メチルメタクリレート(ガラス転移温度:100℃)
B2:2−エチルヘキシルアクリレート(ガラス転移温度:−50℃)
B3:ブチルアクリレート(ガラス転移温度:−54℃)
C1:セルムスーパーポリマー(アクリロイル基(反応性官能基)を有するポリロタキサン、SA2403P、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社製)
D1:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパノン
得られた硬化性樹脂組成物を、離型処理が施されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に滴下して、硬化性樹脂組成物の塗膜を形成した。塗膜との間に0.2mmのギャップを開けながら、離型処理が施されたPETフィルムで塗膜を被覆した。PETフィルムの上から365nmの紫外線を1000mJ/cm2の積算光量で照射することで塗膜を硬化させて、硬化物フィルムを形成させた。比較例1では、評価に供するための自立した硬化物フィルムが得られず、各評価項目の測定が行えなかった。比較例2では、硬化物が砕けてフィルム状にならず、各評価項目の測定が行えなかった。
硬化物フィルムから5mm×50mmのサイズを有する試験片を打ち抜いた。引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ−TEST)を用いて、測定温度が25℃、引張速度が10mm/min、チャック間距離が30mmの条件で引張試験を行った。引張初期の応力−歪み曲線の傾きを引張弾性率とし、破断した際の伸び率を破断伸びとした。
硬化物フィルムから幅5mm、長さ50mmの短冊状の試験片を打ち抜いた。試験片からPETフィルムを剥離してから、動的粘弾性測定装置(RSA−G2、TAインスツルメント株式会社製)を用いて、チャック間距離20mm、測定周波数10Hzの条件でtanδの温度変化を測定した。tanδがピークとなる温度をガラス転移温度とした。
硬化物フィルムから5mm×50mmのサイズを有する試験片を打ち抜いた。引張試験機(株式会社島津製作所製、EZ−TEST)を用いて、測定温度が25℃、引張速度が10mm/min、チャック間距離が30mmの条件で、歪みが50%になるまで試験片に引張荷重を印加して、引張試験を終了した。破断伸びが50%以下の試験片については、予測される破断伸びの80%の歪みになるまで試験片に引張荷重を印加して、引張試験を終了した。伸長した試験片を、引張試験を終了してから常温で1分間放置し、その時点での歪みが48%以上のものをA、45〜48%のものをB、45%未満のものをCとして形状保持性(引張)を評価した。その後さらに、試験片を70℃の温水に10秒間浸漬した。浸漬後、歪みが3%以内のものをA、3〜5%のものをB、5%以上のものをCとして、加熱による形状回復性(引張)を評価した。
硬化物フィルム(50mm×50mm×0.2mm)を2回折りたたみ、その状態で折り目に垂直に1N/cm2の圧力を5分間加えた。圧力を開放した時に、折り曲げた状態が実質的に保持され、元に戻らないものをA、元に戻るものをB、折り曲げによって折り曲げ前と比較して外観上の変化、白化及びボイドなどの異常が認められるものをCとして、形状保持性(折り曲げ)を評価した。さらに、折り曲げた試験片を70℃の温水に10秒間浸漬した。浸漬後、ほぼ完全に元の形状を回復するものをA、元の形状に近い形状を回復するものをB、形状の回復が認められないものをCとして形状回復性(折り曲げ)を評価した。
硬化物フィルム(10mm×10mm×0.2mm)をテトラヒドロフランに24時間浸漬し、その後乾燥した。乾燥後のフィルムの質量の、浸漬前の質量からの変化率が3%未満のものをA、該変化率が3%以上のものをBとした。
Claims (8)
- 反応性官能基を有するポリロタキサンと、前記ポリロタキサン以外の化合物である一種以上のラジカル重合性モノマーとを含有し、
前記ラジカル重合性モノマーが、五員環以上の環を含む基を有するモノマーを含み、
硬化後に形状回復性を示す、硬化性樹脂組成物。 - 前記ラジカル重合性モノマーが、
単独で重合したときに50℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する第一のモノマーと、
単独で重合したときに20℃以下のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する第二のモノマーと、を含み、
前記第一のモノマー又は前記第二のモノマーのうち少なくとも一方が、前記五員環以上の環を含む基を有するモノマーを含んでいてもよい、請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。 - 反応性官能基を有するポリロタキサンと、前記ポリロタキサン以外の化合物である一種以上のラジカル重合性モノマーとを含有し、
前記ラジカル重合性モノマーがアクリロニトリルを含み、
硬化後に形状回復性を示す、硬化性樹脂組成物。 - 前記ラジカル重合性モノマーが、
単独で重合したときに50℃以上のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する第一のモノマーと、
単独で重合したときに20℃以下のガラス転移温度を有するホモポリマーを形成する第二のモノマーと、を含み、
前記第一のモノマーが前記アクリロニトリルを含む、請求項3に記載の硬化性樹脂組成物。 - 前記ポリロタキサンが、開口を形成している環状分子と、前記環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端に結合した封鎖基とを有し、
前記環状分子が前記反応性官能基を有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。 - 前記反応性官能基が(メタ)アクリロイル基である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 前記五員環以上の環を含む基を有するモノマーが、脂環基を有するモノマーである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
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JP2020105414A (ja) * | 2018-12-28 | 2020-07-09 | 旭化成株式会社 | 共重合体、熱可塑性樹脂組成物及び成形体 |
WO2021205984A1 (ja) * | 2020-04-06 | 2021-10-14 | 学校法人日本大学 | 形状記憶性樹脂組成物及び成形体 |
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