JP7248328B2 - 易解体性接着材料、接合体および解体方法 - Google Patents

易解体性接着材料、接合体および解体方法 Download PDF

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Description

本発明は、易解体性接着技術に関する。
易解体性接着材料とは、使用目的に応じた十分な接着強度と、任意のタイミングで接着強度を低下させ容易に剥離(解体)可能な性質を併せ持つ接着材料である。易解体性接着材料は、異種材料の分別回収や不良部品の修理・交換、製造工程での仮接着による生産性向上等を目的とする用途での需要が高まっている。
易解体性接着材料の「解体の仕掛け」については、接着剤として用いるポリマーの分解による機械強度の低下、高分子反応に伴う物性変化、光異性化に伴う固液変換、熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張に伴う接着剤層の膨張変形など、様々な検討・提案がされている。
熱膨張マイクロカプセルを配合した接着材に関する先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。
また、特許文献2には、アルコキシカルボニルオキシスチレン構造単位(a)及びグリシジル基含有(メタ)アクリレート構造単位(b)を有する共重合体(X)と、酸発生剤(Y)とを含有する接着剤組成物が記載されている。
本発明者は、こうした先行技術とは異なった観点から、高分子反応にともなう物性変化を利用した易解体性接着材料の設計および開発を進めてきた(非特許文献1)。非特許文献1には、側鎖にターシャルブトキシカルボニル基を有するポリマーを用い、この官能基の分解により接着強度が低下するメカニズムによる易解体性接着材料が記載されている。
特開2006-225544号公報 特開2015-7189号公報
鈴木文哉,佐藤絵理子,松本章一 日本接着学会誌,VOL.53,No.1,4-10ページ(2017)
易解体性接着材料を設計するには、一度発現させた接着強さを再び低下させる必要がある。また、経年劣化等と異なり、オンデマンドかつ短時間で解体することが要求されるため、外部刺激に応答して速やかに接着力の低下が起こるような「仕掛け」を、あらかじめ材料中に組み込んでおく必要がある。
易解体性接着材料を設計する上で最も重要な点は、使用時の高い接着強度や長期安定性と弱い力で簡単に剥がせる解体性をいかに両立させるかである。すなわち、解体のための仕掛けが接着性を阻害しないこと、および任意のタイミングで接着強さが低下することが設計上のポイントとなる。これら相反する性質の両立は容易ではない場合が多い。
以上を踏まえ、本発明は、優れた接着強度と易解体性とを兼ね備える易解体性接着材料を提供することを目的とする。
本発明者らは、以下に提供される発明を完成させ、上記課題を解決した。
本発明によれば、
第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱または活性エネルギー線を作用させることにより前記接合体を解体する用途に用いられる易解体性接着材料であって、
開口を形成している環状分子と、前記環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含み、
前記環状分子が重合性基を有する易解体性接着材料
が提供される。
また、本発明によれば、
第1の構造部材と、
第2の構造部材と、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを接合する、上記の易解体性接着材料の硬化体とを含む接合体
が提供される。
また、本発明によれば、
上記の接合体に、熱または活性エネルギー線を作用させることにより、前記接合体を解体する解体工程を含む、解体方法
が提供される。
本発明によれば、優れた接着強度と易解体性とを兼ね備える易解体性接着材料が提供される。
ポリロタキサンについて説明するための図である。 熱重量分析で得られたTG曲線を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
図面はあくまで説明用のものであり、本発明を限定するものではない。
本明細書中、数値範囲の説明における「X~Y」との表記は、特に断らない限り、X以上Y以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換か無置換かを記していない表記は、置換基を有しないものと置換基を有するものの両方を包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有しないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
<易解体性接着材料>
本実施形態の易解体性接着材料は、第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱または活性エネルギー線を作用させることによりその接合体を解体する用途に用いられる。
本実施形態の易解体性接着材料は、開口を形成している環状分子と、環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含む。そして、このポリロタキサンにおける環状分子が重合性基を有する。
以下、本実施形態の易解体性接着材料が含むことができる成分などについて説明を続ける。
(ポリロタキサン)
本実施形態の易解体性接着材料は、ポリロタキサンを含む。
ポリロタキサンは、通常、開口を形成している環状分子と、環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備える。封鎖基によって、環状分子が直鎖状分子鎖から脱離することが防がれている。1本の直鎖状分子鎖は、1または2以上の環状分子の開口を貫通することができる。
図1は、ポリロタキサンの一例を模式的に示した図である。図1におけるポリロタキサンは、環状分子であるシクロデキストリンと、そのシクロデキストリンの開口を貫通する直鎖状分子鎖であるポリエーテル鎖(ポリオキシエチレン鎖)と、そのポリエーテル鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基であるアダマンチル基と、を備える。かさ高いアダマンチル基によって、シクロデキストリンがポリエーテル鎖から脱離することが防がれている。
本実施形態において、シクロデキストリン等の環状分子は重合性基を有する。具体的には、シクロデキストリン等の環状分子には、(メタ)アクリロイル基等の重合性基が、直接または連結基を介して結合している。
図1においては、1本のポリエーテル鎖は1のみのシクロデキストリンの開口のみを貫通しているが、1本のポリエーテル鎖は2以上のシクロデキストリンの開口を貫通していてもよい。
図1において、mおよびnは、それぞれ独立に0以上の整数であり、好ましくは0または1以上、より好ましくは1~30、さらに好ましくは5~15である。また、xは、直鎖状分子鎖を構成するエーテル単位の繰り返しの数を表し、xは例えば100~5000、好ましくは100~3000、さらに好ましくは100~1000である。
ポリロタキサン中の環状分子は、直鎖状分子鎖が貫通可能な開口を形成している分子であれば、特に制限されない。環状分子は、開口を貫通する直鎖状分子鎖が脱離することがなければ、共有結合によって完全に閉環していなくてもよい。
環状分子としては、例えば、シクロデキストリン、クラウンエーテル、ベンゾクラウン、ジベンゾクラウン、ジシクロヘキサノクラウン、および、これらの誘導体又は変性体を挙げることができる。直鎖状分子鎖の包接能の観点から、環状分子は、好ましくはシクロデキストリン又はこれの誘導体若しくは変性体である。シクロデキストリンは、α型、β型、γ型のいずれであってもよい。
環状分子がシクロデキストリン又はこれの誘導体若しくは変性体である場合、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の一部または全部は、何らかの基によって置換されていてもよい。
環状分子が直鎖状分子鎖により貫通される場合において、環状分子が直鎖状分子鎖に最大限に包接される量を1とした場合、包接される環状分子の相対量(モル比)の下限値は、例えば0.001、好ましくは0.01、より好ましくは0.1以上であり、上限値は、例えば0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下である。環状分子の包接量が上記範囲内にあることにより、直鎖状分子鎖上での環状分子の運動性が保たれやすい。
ポリロタキサン中の直鎖状分子鎖は、環状分子を貫通しうる分子鎖であって、環状分子が直鎖状分子鎖上で移動可能である限り、特に限定されない。直鎖状分子鎖は、実質的に直鎖状の部分を含んでいればよく、分岐鎖又は環状の置換基等を有することも許容される。直鎖状の部分の長さや分子量は特に制限されない。
直鎖状分子鎖としては、例えば、アルキレン鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアミド鎖、ポリアクリレート鎖を挙げることができる。これらの中でも、直鎖状分子鎖自体の柔軟性の観点などから、ポリエステル鎖またはポリエーテル鎖が好ましく、ポリエーテル鎖がより好ましい。ポリエーテル鎖として好ましくは、ポリエチレングリコール鎖(ポリオキシエチレン鎖)などを挙げることができる。
ポリロタキサン中の封鎖基は、直鎖状分子鎖の両末端に配置され、直鎖状分子鎖が環状分子を貫通した状態を保持できる基である限り、特に限定されない。
封鎖基としては、環状分子の開口より大きな構造を有する基、イオン性の相互作用により環状分子の開口を通過し得ない基などが挙げられる。封鎖基として具体的には、アダマンチル基、シクロデキストリンを含む基、アントラセン基、トリフェニレン基、ピレン基、トリチル基及びこれらの異性体、誘導体などが挙げられる。
ポリロタキサンにおいて、環状分子と直鎖状分子鎖との組み合わせは、好ましくは、環状分子としてのα-シクロデキストリン又はその誘導体と、直鎖状分子鎖としてのポリエチレングリコール鎖又はその誘導体との組み合わせである。この組み合わせとすることで、直鎖状分子鎖上を環状分子が移動しやすくなる。また、この組み合わせは合成が比較的容易であるというメリットもある。
前述のように、本実施形態においては、ポリロタキサン中の環状分子が重合性基を有する。この重合性基が重合することにより、易解体性接着材料は硬化し、接着性が発現する。また、環状分子が重合性基を有することで、熱硬化後も、環状分子が直鎖状分子鎖に沿ってスライド可能な状態が維持される。このことは、易解体性接着材料の硬化物の高い靭性に寄与する。
重合性基は、シクロデキストリン等の環状分子に直接結合していてもよいし、何らかの連結基を介してシクロデキストリン等の環状分子に結合していてもよい。
接着性および易解体性が発現する限り、重合性基の種類は特に限定されないが、良好な接着性および易解体性、常温での安定性などの点で、好ましい重合性基としては重合性炭素-炭素二重結合を含む基を挙げることができる。
重合性炭素-炭素二重結合を含む基としては、(メタ)アクリロイル基やビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
その他、重合性基として、エポキシ基やオキセタニル基などのカチオン重合性基を挙げることもできる。
好ましい態様として、環状分子はシクロデキストリンであり、そのシクロデキストリンに重合性基が直接または連結基を介して結合している態様を挙げることができる。
特に好ましい態様として、環状分子がシクロデキストリンであり、そのシクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が以下一般式(I)で表される基により置換されている態様を挙げることができる。
Figure 0007248328000001
一般式(I)中、
Rは水素原子またはメチル基であり、
Aは単結合、-COO-または-CONH-であり、
Bは単結合、または、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、
Lは単結合またはカルボニル基であり、
pは0~10の整数であり、
qは0以上の整数である。
Aは、好ましくは-CONH-である。
Bは、好ましくは直鎖アルキレン基である。Bの炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4である。
Lは、好ましくはカルボニル基である。
pは、好ましくは1~8、より好ましくは4~6、さらに好ましくは5~6の整数であり、特に好ましくは5である。ただし、Lが単結合である場合には、pは、好ましくは2~4、より好ましくは2~3である。
qは、好ましくは0または1以上、より好ましくは1~30、さらに好ましくは5~15の整数である。
環状分子は、1のみの重合性基を有していてもよいし、複数の重合性基を有していてもよい。環状分子が複数の重合性基を有する場合、複数の重合性基の化学構造は同一であってもよいし、互いに異なっていてもよい。
ポリロタキサンの重量平均分子量は、適度な塗布性(粘度)、接着材料としての強度、耐久性などの観から、例えば10,000~1,000,000、好ましくは100,000~1,000,000、より好ましくは200,000~800,000である。
ポリロタキサンは、公知の方法を参考にして合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。市販品としては、アドバンスト・ソフトマテリアルズ株式会社から販売されている「セルム」(登録商標、アルファベットではSeRM)シリーズを挙げることができる。
また、ポリロタキサンの入手/合成については、特表2015-521210号公報の実施例の記載なども参照することができる。念のため述べておくと、この特許文献は、光硬化性コーティング組成物およびコーティングフィルムに関するものであり、易解体性接着材料に関するものではない。
本実施形態の易解体性接着材料は、ポリロタキサンを1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
ちなみに、本実施形態の易解体性接着材料がポリロタキサンを含むことにより、易解体性接着材料の硬化物中の応力が緩和される、硬化物が外力により変形しても自己修復可能となる、耐衝撃性が高まる、などのうちの少なくともいずれかの効果を得やすい傾向がある。
(重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物)
本実施形態の易解体性接着材料は、ポリロタキサンとは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を含んでもよい。このような化合物を用いることで、特に、解体処理前における接着強度を高められる傾向がある。
重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物として、単官能(メタ)アクリレートおよび/または多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。多官能(メタ)アクリレート1分子が有する(メタ)アクリロイル基の数は、例えば2~8、好ましくは2~6、より好ましくは2~4である。
単官能(メタ)アクリレートとしての具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のベンジルアクリレート;
フェノキシエチルアクリレート、フェノキシメチルアクリレート等のフェノキシ基含有アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ化ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、1,2,3-プロパントリオール1,3-ジメタクリラート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマーを挙げることができる。
また、多官能(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどの3官能以上の多官能(メタ)アクリレートも挙げることができる。
重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物として、上述した単量体以外に、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーやポリエステル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートオリゴマーを用いることができる。
重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を用いる場合、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を1種のみ用いてもよいし、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を複数種用いてもよい。
重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を用いる場合、その量は、ポリロタキサン100質量%に対して、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、最も好ましくは5質量%以上とする。当該量の上限については、ポリロタキサン100質量%に対して、例えば900質量%以下、好ましくは600質量%以下、より好ましくは300質量%以下、最も好ましくは100質量%以下とする。
(重合開始剤)
本実施形態の易解体性接着材料は、重合開始剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。重合開始剤は、ポリロタキサンの環状分子が有する重合性基を重合可能なものである限り特に限定されない。重合開始剤は、典型的には、熱および/または光(好ましくは熱)により重合性基を重合させる活性化学種を発生するものである。
重合開始剤を用いる場合、1のみの重合開始剤を用いてもよいし、2以上の重合開始剤を用いてもよい。
好ましい重合開始剤として、アゾ系熱重合開始剤、有機過酸化物熱重合開始剤などが挙げられる。これらの中でも、低温硬化性に優れる点で、有機過酸化物熱重合開始剤が好ましい。
有機過酸化物熱重合開始剤として具体的には、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、パーオキシケタールなどが挙げられる。より具体的には、ジアルキルパーオキサイドとしては、t―ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ヘキシルパーオキサイドなどが挙げられる。ジアシルパーオキサイドとしては、ジイソブチリルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジスクシン酸パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイドなどが挙げられる。また、パーオキシジカーボネートとしては、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネートなどが挙げられる。パーオキシエステルとしては、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、2,5-ジメチル-2,5ジ(2-エチルへキサノイルパーオキシ)ヘキサンなどが挙げられる。パーオキシケタールとしては、2,2-ビス(4,4-ジーt-ブチルパーオキシシクロへキシル)プロパン、1,1-ジ(t-ヘキサパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、4,4-(ジ-ブチルパーオキシ)ペンタン酸n-ブチル、2,2-ジ(t-ブチルパーオキシ)ブタンなどが挙げられる。
また、アゾ系熱重合開始剤としては、例えば、2,2'-アゾビスイソブチロニトリル、2,2'-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1'-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2'-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2'-アゾビス[2-(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]、2,2'-アゾビス(2、4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル、4,4'-アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2'-アゾビス{2-メチル-N-[1,1-ビス(ヒドロキシメチル)-2-ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}などを例示することができる。
一態様として、本実施形態の易解体性接着材料は、全不揮発成分中、好ましくは1質量%以上、より好ましくは1~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%の重合開始剤を含むことが好ましい。
本実施形態の易解体性接着材料が適度な量の重合開始剤を含むことで、比較的低温においても、ポリロタキサンおよび/または重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物中の重合性基を重合させることができる。つまり、比較的低温での加熱でも物品を接着することができる。
一方、別の態様として、本実施形態の易解体性接着材料は、重合開始剤を含まないか、含むとしても全不揮発成分中1質量%未満(さらに好ましくは0.5質量%未満)の重合開始剤を含むことが好ましい。本実施形態の易解体性接着材料が重合開始剤を含まないか、含むとしても少量であることで、重合開始剤の分解物がガスとして放出されることを抑制することができる。ガス放出が抑えられることにより、例えば、構造部材の汚染や腐食を抑えることができたり、接着強度の低下を抑えたりすることができたりする。また、ガス放出が抑えられることにより、例えば電子デバイス製造分野など、高い清浄性が求められる用途への応用もしやすくなる。
ちなみに、本実施形態の易解体性接着材料が重合開始剤を含まなくとも、十分に高い温度での加熱により、ポリロタキサンおよび/または重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物中の重合性基は重合して、易解体性接着材料は硬化する。
(その他の成分)
本実施形態の易解体性接着材料は、ポリロタキサン以外のポリマーを含んでいてもよい。例えば、エポキシ樹脂を併用して接着力を高めてもよい。
また、本実施形態の易解体性接着材料は、揮発性有機溶剤を含んでもよい。揮発性有機溶剤を用いることで、易解体性接着材料を構造部材に塗布しやすくなる。
揮発性有機溶剤としては、ポリロタキサンを溶解または分散可能なものであり、通常の接着プロセス(塗布、加熱など)により十分に揮発するものを特に制限なく挙げることができる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を挙げることができる。
上記の中でも、アセトン、MEK、酢酸エチル、DMF等が、ポリロタキサンの溶解性が高く、また、使用時に揮発しやすい傾向にあるため好ましい。揮発性有機溶剤は、1種を単独で使用しても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の易解体性接着材料が揮発性有機溶剤を含む場合、その量は、易解体性接着材料の不揮発成分濃度が10~50質量%となる量とすることが好ましい。不揮発成分濃度は、より好ましくは10~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
揮発性有機溶剤の量が適度に多いことにより、より良好な塗布性を得ることができる。一方、有機溶剤の量が多すぎないことは、易解体性接着材料が「濡れ広がりすぎる」ことの抑制や、乾燥時間の短縮につながる。
念のため述べておくと、構造部材を接合することが可能である限り、本実施形態の易解体性接着材料は、有機溶剤を含まなくてもよい。
また、本実施形態の易解体性接着材料は、種々の任意成分を含まなくてもよいし、含んでもよい。任意成分としては、例えば、シリカ、アルミナ等の無機粒子、ガラス繊維、炭素繊維等の繊維フィラー、熱可塑性エラストマー、難燃剤、消泡剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
(易解体性接着材料の物性)
本実施形態の易解体性接着材料において、以下の条件で測定されるF2およびF1の比(F2/F1)は、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下である。下限については特に制限がなく0であってもよいが、例えば0.01以上あるいは0.1以上とすることで十分である。こうすることにより、使用時の高い接着強度と弱い力で簡単に剥がせる解体性を、高いレベルで両立させることができる。
[条件]
(i)2枚のステンレス板(SUS304)同士を易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(ii)易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1のせん断接着強度をF1とし、易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、200℃2時間の第2熱処理条件で加熱処理して得られる試料2のせん断接着強度をF2とする。
F2/F1の値の技術的意義は以下の通りである。F2/F1の値は、加熱による解体容易性を示す。F2/F1が1より小さいということは、第2熱処理条件での加熱処理により、引張せん断接着強さが低下することを意味する。熱硬化性樹脂を用いた接着材料では、一般的には高温での熱処理により熱硬化性樹脂の架橋が進み、硬化体のせん断接着力が向上する。これに対して本実施形態の易解体性接着材料は、第2熱処理条件での加熱処理により、引張せん断接着強さが低下する。F2/F1の値はこの低下の程度を示したものであり、この値は加熱による解体の容易性を現す指標となる。
ちなみに、測定の誤差/ばらつきの影響を小さくする観点から、F1を求めるに際しては、少なくとも3回の測定を行って、得られた3つ以上の値の平均値をF1として採用することが好ましい。F2についても同様である。
また、安定した測定値を得るなどの観点で、第1熱処理条件での加熱処理の前に、ステンレス板に付着させた易解体性接着材料を十分に乾燥させることが好ましい。乾燥条件は、例えば、50℃、10~100Paの減圧条件下で一晩程度(8~16時間程度)とすることができる。
第1熱処理条件での加熱処理の後(硬化後)にも、試料を乾燥させてもよい。ここでの乾燥条件は、例えば、室温、10~100Paの減圧条件下で15~20時間程度(具体例として17.5時間)とすることができる。または、第1熱処理条件での加熱処理の後(硬化後)に、室温、常圧下で試料を15~20時間程度(具体例として17.5時間)静置することで、試料を落ち着かせてもよい。
解体容易性とは異なる観点として、本実施形態の易解体性接着材料の硬化物は、低温下または高温下に置かれてその後室温に戻された場合に、接着強度が低下しにくい傾向を有する。このことは、本実施形態の易解体性接着材料を、例えば自動車の製造の際に好ましく適用可能であることを意味する。
具体的には、以下の条件で測定されるF2'およびF1'の比(F2'/F1'、耐寒性の指標)は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上である。
[条件]
(a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(b)易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1'のせん断接着強度をF1'とし、易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、-30℃で2時間冷却して得られる試料2'のせん断接着強度をF2'とする。
念のため述べておくと、F1'は、F1と基本的に同義である。
また、以下の条件で測定されるF2''およびF1''の比(F2''/F1''、耐熱性の指標)は、好ましくは0.6以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上である。
[条件]
(a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(b)易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1''のせん断接着強度をF1''とし、易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、150℃で2時間加熱して得られる試料2''のせん断接着強度をF2''とする。
念のため述べておくと、F1''は、F1と基本的に同義である。
さらに異なる観点として、易解体性接着材料またはその硬化物の「熱的安定性」が良好であることが好ましい。定量的には以下の通りである。
易解体性接着材料(未硬化)を熱重量分析したときの0.5%分解温度は、例えば200~220℃、好ましくは210~220℃である。また、易解体性接着材料(未硬化)を熱重量分析したときの1%分解温度は、例えば230~260℃、好ましくは240~260℃である。
易解体性接着材料を150℃で7時間加熱して硬化させた硬化物を熱重量分析したときの0.5%分解温度は、例えば230~260℃、好ましくは230~250℃である。また、上記硬化物を熱重量分析したときの1%分解温度は、例えば250~280℃、好ましくは250~270℃である。
熱重量分析の条件の詳細については、後掲の実施例を参照されたい。
<解体方法および物品>
本実施形態の易解体性接着材料は、好ましくは、以下の(1)および(2)のようなプロセスに用いることができる。
(1)第1の構造部材と第2の構造部材により解体性接着材料を挟み、第1の熱処理により解体性接着材料を加熱硬化させる。これにより、第1の構造部材と、第2の構造部材と、第1の構造部材と第2の構造部材とを接合する易解体性接着材料の硬化体と、を含む物品を得る。
(2)上記(1)で得られた物品に、第2の熱処理を行うことにより、第1の構造部材と第2の構造部材とを解体する。
加熱硬化(第1の熱処理)にあたって採用する温度条件を第1温度条件とし、解体(第2の熱処理)にあたって採用する温度条件を第2温度条件とすると、第2温度条件は第1温度条件に比べて、より高い温度とすることが好ましい。
第1の構造部材および第2の構造部材の素材や性状は特に限定されない。素材としては、例えばアルミニウム、アルムニウム合金、SUS等の金属や、ポリプロピレンやポリエチレン、ナイロン等のプラスチック、セラミックス等を挙げることができる。本実施形態においては、第1の構造部材と第2の構造部材とは、ともに、金属製の構造部材であることが好ましい。
構造部材には各種の表面処理がなされていてもよいし、表面処理がなされていなくてもよい。接着強度および解体のしやすさの点では、構造部材の表面に易解体性接着剤を付着させる前に、構造部材の表面を洗浄するなどして、異物/汚染を除去しておくことが好ましい。
ちなみに、良好な接着性や耐久性などの観点から、第1の構造部材および第2の構造部材の一方または両方は、樹脂フィルムではないことが好ましい。
また、本実施形態の易解体性接着材料は、第1の構造部材と第2の構造部材とを接着する用途に用いられる。よって、通常、易解体性接着材料の硬化体は、第1の構造部材と第2の構造部材との間に挟まれて存在し、露出はしていない。
第1の構造部材および/または第2の構造部材の表面に易解体性接着材料を付着させる方法は特に限定されない。易解体性接着材料が塗布可能な粘度を有している場合には、公知の塗布法により構造部材表面に易解体性接着材料を塗布すればよい。
構造部材の表面に易解体性接着材料を付着させた(塗布した)後、第1の熱処理による易解体性接着材料の加熱硬化前には、減圧下(具体的には10~100Pa下)での乾燥処理が行われることが好ましい。十分な乾燥処理を行うことで、易解体性接着材料中の溶剤が十分に除去され、その結果、接着強度をより高めることができると考えられる。ここでの乾燥処理は、室温(加熱無し)で行われてもよいし、30~100℃程度での加熱とともに行われてもよい。ここでの乾燥処理の時間は、例えば3~24時間程度である。
念のため述べておくと、十分な接着強度および接着後の易解体性が発現する限り、乾燥処理を行わずともよいし、また、何らかの処理を行う場合であってもその具体的条件は特に限定されない。
また、易解体性接着材料の加熱硬化後においても、減圧下(具体的には10~100Pa下)での乾燥処理が行われてもよい。ここでの乾燥処理は、例えば30~100℃、具体的には30~50℃程度での加熱とともに行われてもよいが、好ましくは室温(加熱無し)で行われる。ここでの乾燥処理の時間は、例えば1~24時間程度である。
念のため述べておくと、十分な接着強度および接着後の易解体性が発現する限り、減圧下での乾燥処理を行わずともよいし、また、何らかの処理を行う場合であってもその具体的条件は特に限定されない。加熱硬化後の易解体性接着材料を、単に室温で1~24時間程度静置するだけでも十分な場合がある。
第1温度条件の温度をT1とし、第2温度条件の温度をT2とすると、(T2-T1)の値を、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、さらに好ましく50℃以上である。こうすることにより、十分な硬化体強度と解体容易性を実現することができる。
(T2-T1)の値の上限については、解体工程の省エネルギー化の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
実用上、好ましい温度条件としては、T1は20~160℃、T2は170~250℃である。
第1の熱処理の時間は、易解体性接着材料が十分に硬化する限り、特に限定されない。一例として、第1の熱処理の時間は、1~24時間である。
第2の熱処理の時間は、易解体性が発現する限り特に限定されない。一例として、第2の熱処理の時間は、5分~6時間である。
ちなみに、解体性が発現する限りにおいて、第2の熱処理に替えて/第2の熱処理とともに、硬化体に活性エネルギー線を作用させてもよい。
<易解体性接着材料の例>
易解体性接着材料は、例えば、以下の(A)および(B)を含む構成とすることができる。
(A)重合性基を有するとともに開口を形成している環状分子と、この環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサン
(B)上記(A)とは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物
上記(A)における重合性基は、重合性炭素-炭素二重結合を含む基であることが好ましく、例えば(メタ)アクリロイル基とすることができる。上記(A)における環状分子はシクロデキストリンであり、このシクロデキストリンに前記重合性基が直接または連結基を介して結合している態様が好ましい。環状分子の好ましい態様はシクロデキストリンであり、このシクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が以下一般式(I)で表される基により置換されているものがより好ましい。
Figure 0007248328000002
一般式(I)中、Rは水素原子またはメチル基であり、Aは単結合、-COO-または-CONH-であり、Bは単結合、または、直鎖または分岐のアルキレン基であり、Lは単結合またはカルボニル基であり、pは0~10の整数であり、qは0以上の整数である。
上記(A)および(B)を含む易解体性接着材料の態様として、以下のものが挙げられる。
[態様1]
以下の(A)および(B1)を含む易解体性接着材料。
(A)成分
シクロデキストリンと、シクロデキストリンの開口を貫通する直鎖状分子鎖とを含むロタキサンであって、シクロデキストリンに、(メタ)アクリロイル基が、直接または連結基を介して結合しており、直鎖状分子鎖は、その両端にそれぞれ結合した封鎖基を有する、ロタキサン(以下、ロタキサンaという)
(B1)成分
分子内に重合性炭素-炭素二重結合を一つ有する単量体
[態様2]
以下の(A)と、(B1)および/または(B2)を含む易解体性接着材料。
(A)成分
ロタキサンa
(B1)成分
分子内に重合性炭素-炭素二重結合を一つ有する単量体
(B2)成分
分子内に重合性炭素-炭素二重結合を二以上有する多官能単量体
態様1の例としては、以下のものが挙げられる。
[例1-1]
以下の(A)および(B1)を含む易解体性接着材料。
(A)ロタキサンa
(B1)n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のベンジルアクリレート;
フェノキシエチルアクリレート、フェノキシメチルアクリレート等のフェノキシ基含有アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ化ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
態様2の例としては、以下のものが挙げられる。
[例2-1]
以下の(A)および(B2)を含む易解体性接着材料。
(A)ロタキサンa
(B2)トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマー:
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
[例2-2]
以下の(A)と、(B1)および(B2)の一方または両方とを含む易解体性接着材料。
(A)ロタキサンa
(B1)n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のベンジルアクリレート;
フェノキシエチルアクリレート、フェノキシメチルアクリレート等のフェノキシ基含有アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ化ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
(B2)トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマー:
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
上記の各例において、アクリレートオリゴマーや他のオリゴマーを配合してもよい。また、重合開始剤を配合してもよい。
[例3-1:重合開始剤を含む配合例]
後掲の実施例1で用いられているポリロタキサン30mgに対し、アセトンなどの溶媒0.25mLを加え、さらに、ジクミルパーオキサイドを、ポリロタキサン:ジクミルパーオキサイド=100:1~1000:1(質量比)となるように添加したもの。
[例3-2:重合開始剤を含む配合例]
後掲の実施例1で用いられているポリロタキサン30mgに対し、アセトンなどの溶媒0.25mLを加え、さらに、2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチルを、ポリロタキサン:2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル=100:1~1000:1(質量比)となるように添加したもの。
[例4:多官能アクリレートを併用する例]
後掲の実施例1で用いられているポリロタキサン:多分岐高分子=100:5~100:100(質量比)の混合物30mgに対し、アセトンなどの溶媒を0.1~0.3mLを加えたもの。多分岐高分子は、例えば特許第6516319号公報記載の方法で合成される。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することができる。また、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれる。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱または活性エネルギー線を作用させることにより前記接合体を解体する用途に用いられる易解体性接着材料であって、
開口を形成している環状分子と、前記環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含み、
前記環状分子が重合性基を有する易解体性接着材料。
2.
1.に記載の易解体性接着材料であって、
前記重合性基は重合性炭素-炭素二重結合を含む基である易解体性接着材料。
3.
1.または2.に記載の易解体性接着材料であって、
前記重合性基は(メタ)アクリロイル基である易解体性接着材料。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
前記環状分子はシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンに前記重合性基が直接または連結基を介して結合している易解体性接着材料。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
前記環状分子はシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が前掲の一般式(I)で表される基により置換されている易解体性接着材料。
一般式(I)中、
Rは水素原子またはメチル基であり、
Aは単結合、-COO-または-CONH-であり、
Bは単結合、または、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、
Lは単結合またはカルボニル基であり、
pは0~10の整数であり、
qは0以上の整数である。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
前記ポリロタキサンとは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を含む易解体性接着材料。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
全不揮発成分中の重合開始剤の含有量が1質量%未満である易解体性接着材料。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
揮発性有機溶剤を含み、
当該易解体性接着材料の不揮発成分濃度が10~50質量%である易解体性接着材料。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
第1の構造部材と第2の構造部材により当該易解体性接着材料を挟み、第1の熱処理を行うことにより、前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とが接着した物品を得た後、該物品に第2の熱処理を行うことにより前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを解体するのに用いられる、易解体性接着材料。
10.
1.~9.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
以下の条件で測定されるF2に対するF1の比(F2/F1)が0.9以下である、易解体性接着材料。
[条件]
(i)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(ii)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1のせん断接着強度をF1とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、200℃2時間の第2熱処理条件で加熱処理して得られる試料2のせん断接着強度をF2とする。
11.
1.~10.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
以下の条件で測定されるF2'に対するF1'の比(F2'/F1')が0.6以上である、易解体性接着材料。
[条件]
(a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(b)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1'のせん断接着強度をF1'とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、-30℃で2時間冷却して得られる試料2'のせん断接着強度をF2'とする。
12.
第1の構造部材と、
第2の構造部材と、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを接合する、1.~11.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料の硬化体とを含む接合体。
13.
12.に記載の接合体であって、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とは、ともに、金属製の構造部材である接合体。
14.
12.または13.に記載の接合体に、熱または活性エネルギー線を作用させることにより、前記接合体を解体する解体工程を含む、解体方法。
15.
14.に記載の解体方法であって、
前記解体工程は、前記接合体に、170~250℃の熱を作用させる工程を含む、解体方法。
本発明の実施態様を、実施例および比較例に基づき詳細に説明する。念のため述べておくと、本発明は実施例のみに限定されない。
<実施例1>
[易解体性接着材料の調製]
まず、特開2011-46917号公報の記載を参考に、全体分子量:40万g/mol、直鎖状分子鎖部分の分子量:2万g/molのポリロタキサンを合成した。このポリロタキサンは、図1に示されるような、環状分子であるシクロデキストリンの開口を貫通するポリエーテル鎖と、そのポリエーテル鎖の両端にそれぞれ結合したアダマンチル基とを備える。また、シクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部は、前述の一般式(I)で表される基により置換されている(Rはメチル基、Aは-CONH-、Bは-CHCH-、Lはカルボニル基、pは5、qは8~10程度)。
このポリロタキサン30mgを、0.25mLのアセトンに溶解して、塗布可能な易解体性接着材料を調製した。
[熱的性質の測定]
上記の易解体性接着材料そのものと、上記の易解体性接着材料を150℃で7時間、10時間または16時間加熱して硬化させた硬化物とを、それぞれ熱重量分析して、TG曲線を描いた。熱重量分析の条件は以下の通りである。
・測定開始温度:室温
・昇温速度:10℃/分
・雰囲気:窒素ガス
易解体性接着材料を150℃で7時間硬化させた硬化物のTG曲線から、0.5%分解温度と、1%分解温度とを求めた。結果を表1に示す。
また、参考のため、TG曲線そのものを図2に示す。
Figure 0007248328000003
[接合体の作製]
以下要領で、評価用の接合体を作製した。
(1)第1の構造部材への易解体性接着材料の塗布
第1の構造部材として、ステンレス板(SUS304)を準備した。このステンレス板の表面の1cm×1cmの領域に、調製した易解体性接着材料25μLを塗布し、50℃、10~100Paの減圧条件下で一晩乾燥させた。
(2)第2の構造部材への易解体性接着材料の塗布
第2の構造部材として、上記(1)とは別のステンレス板(SUS304)を準備した。このステンレス板に、上記(1)と同様の方法・条件で、調製した易解体性接着材料を塗布し、乾燥させた。
(3)接着
上記(1)および(2)で準備した2枚のステンレス板の、易解体性接着材料が塗布された1cm×1cmの領域同士を重ねて、ステンレス板同士を貼り合わせた。その後、150℃で7時間加熱し、易解体性接着材料を硬化させた。さらにその後、室温、10~100Paの減圧条件下で17.5時間静置した。
以上により、2枚のステンレス板が接合した接合体を得た。
[せん断接着強度の評価]
上記[接合体の作製]で得られた接合体のせん断接着強度を、JIS K 6850:1999に準拠して、室温(23℃)、試験速度1mm/minの条件で測定した。
測定は3回行い、平均値をF1とした。
[易解体性の評価]
まず、上記[接合体の作製]で得られた接合体を、200℃で2時間加熱した(解体処理)。そして、室温で30分静置(放冷)した。
その後、上記[せん断接着強度の評価]と同様の条件で、接合体のせん断接着強度を測定した。
測定は3回行い、平均値をF2とした。
結果を表2に示す。
Figure 0007248328000004
表2に示されるとおり、特定のポリロタキサンを含む接着材料の硬化物を加熱すると、易解体性が発現した。
[耐寒性の評価]
上記[接合体の作製]に記載のようにして得られた接合体を、-30℃で2時間冷却し、その後室温に戻して、そして、[せん断接着強度の評価]に記載のようにして、せん断接着強度F2'(3回の平均値)を求めた。
また、せん断接着強度F1'(3回の平均値)としては、上記F1の値である2.48MPaを採用した。
結果を表3に示す。
Figure 0007248328000005
表3に示されるとおり、冷却による接着強度の低下は抑えられていた。
[耐熱性の評価]
上記[接合体の作製]に記載のようにして得られた接合体を、150℃で2時間加熱し、その後室温に戻して、そして、[せん断接着強度の評価]に記載のようにして、せん断接着強度F2''(9回の平均値)を求めた。
また、せん断接着強度F1''(3回の平均値)としては、上記F1の値である2.48MPaを採用した。
結果を表4に示す。
Figure 0007248328000006
表4に示されるとおり、加熱(解体温度より低い温度での加熱)によっても接着強度は低下しなかった。
<実施例2>
実施例1で用いたものと同じポリロタキサンと、市販のトリメチロールプロパントリメタクリレート(TTMA)とを、ポリロタキサン/TTMA=9/1(w/w)で混合して混合物を得た。この混合物30mgを、0.25mLのアセトンに溶解して、塗布可能な易解体性接着材料を調製した。
調製した易解体性接着材料を用い、実施例1とほぼ同様にして、接合体の作製、せん断接着強度の評価(F1の測定)および易解体性の評価(F2の測定)を行った。ただし、数値の信頼性をより高めるため、F1については、9回の測定の平均値を採用した。
結果を表5に示す。
Figure 0007248328000007
表5に示されるとおり、実施例2の、特定のポリロタキサンと重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物とを併用した接着材料の硬化物も、易解体性を示した。
特に、実施例2においては、F1すなわち解体処理前のせん断接着強度が実施例1よりも顕著に大きく、一方でF2の大きさは実施例1と同程度であった。すなわち、実施例2の接着材料は実施例1の接着材料よりも構造部材同士を強く接着することができるが、解体に必要な力は実施例1の接着材料と実施例2の接着材料で同程度であった。解体処理前の接合強度を高める観点では、特定のポリロタキサンと重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物とを併用することが好ましいと言える。

Claims (9)

  1. 第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱を作用させることにより前記接合体を解体する用途に用いられる易解体性接着材料であって、
    開口を形成している環状分子と、前記環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含み、
    前記環状分子が重合性基を有し、
    前記環状分子はシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が以下一般式(I)で表される基により置換されており、
    第1の構造部材と第2の構造部材により当該易解体性接着材料を挟み、第1の熱処理を行うことにより、前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とが接着した物品を得た後、該物品に第2の熱処理を行うことにより前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを解体するのに用いられる易解体性接着材料。
    Figure 0007248328000008
    一般式(I)中、
    Rは水素原子またはメチル基であり、
    Aは単結合、-COO-または-CONH-であり、
    Bは単結合、または、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、
    Lはカルボニル基であり、
    pは5であり、
    qは8~10の整数である。
  2. 請求項1に記載の易解体性接着材料であって、
    前記ポリロタキサンとは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を含む易解体性接着材料。
  3. 請求項1または2に記載の易解体性接着材料であって、
    全不揮発成分中の重合開始剤の含有量が1質量%未満である易解体性接着材料。
  4. 請求項1~のいずれか1項に記載の易解体性接着材料であって、
    揮発性有機溶剤を含み、
    当該易解体性接着材料の不揮発成分濃度が10~50質量%である易解体性接着材料。
  5. 請求項1~のいずれか1項に記載の易解体性接着材料であって、
    以下の条件で測定されるF2に対するF1の比(F2/F1)が0.9以下である、易解体性接着材料。
    [条件]
    (i)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
    (ii)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1のせん断接着強度をF1とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、200℃2時間の第2熱処理条件で加熱処理して得られる試料2のせん断接着強度をF2とする。
  6. 請求項1~のいずれか1項に記載の易解体性接着材料であって、
    以下の条件で測定されるF2'に対するF1'の比(F2'/F1')が0.6以上である、易解体性接着材料。
    [条件]
    (a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
    (b)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1'のせん断接着強度をF1'とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、-30℃で2時間冷却して得られる試料2'のせん断接着強度をF2'とする。
  7. 第1の構造部材と、
    第2の構造部材と、
    前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを接合する、請求項1~のいずれか1項に記載の易解体性接着材料の硬化体とを含む接合体。
  8. 請求項に記載の接合体であって、
    前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とは、ともに、金属製の構造部材である接合体。
  9. 請求項またはに記載の接合体に、熱を作用させることにより、前記接合体を解体する解体工程を含み、
    前記解体工程は、前記接合体に、170~250℃の熱を作用させる工程を含む、解体方法。
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