JP7248328B2 - 易解体性接着材料、接合体および解体方法 - Google Patents
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Description
易解体性接着材料の「解体の仕掛け」については、接着剤として用いるポリマーの分解による機械強度の低下、高分子反応に伴う物性変化、光異性化に伴う固液変換、熱膨張性マイクロカプセルの熱膨張に伴う接着剤層の膨張変形など、様々な検討・提案がされている。
また、特許文献2には、アルコキシカルボニルオキシスチレン構造単位(a)及びグリシジル基含有(メタ)アクリレート構造単位(b)を有する共重合体(X)と、酸発生剤(Y)とを含有する接着剤組成物が記載されている。
第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱または活性エネルギー線を作用させることにより前記接合体を解体する用途に用いられる易解体性接着材料であって、
開口を形成している環状分子と、前記環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含み、
前記環状分子が重合性基を有する易解体性接着材料
が提供される。
第1の構造部材と、
第2の構造部材と、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを接合する、上記の易解体性接着材料の硬化体とを含む接合体
が提供される。
上記の接合体に、熱または活性エネルギー線を作用させることにより、前記接合体を解体する解体工程を含む、解体方法
が提供される。
図面はあくまで説明用のものであり、本発明を限定するものではない。
本明細書における「(メタ)アクリル」との表記は、アクリルとメタクリルの両方を包含する概念を表す。「(メタ)アクリレート」等の類似の表記についても同様である。
本明細書における「有機基」の語は、特に断りが無い限り、有機化合物から1つ以上の水素原子を除いた原子団のことを意味する。例えば、「1価の有機基」とは、任意の有機化合物から1つの水素原子を除いた原子団のことを表す。
本実施形態の易解体性接着材料は、第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱または活性エネルギー線を作用させることによりその接合体を解体する用途に用いられる。
本実施形態の易解体性接着材料は、開口を形成している環状分子と、環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含む。そして、このポリロタキサンにおける環状分子が重合性基を有する。
本実施形態の易解体性接着材料は、ポリロタキサンを含む。
ポリロタキサンは、通常、開口を形成している環状分子と、環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備える。封鎖基によって、環状分子が直鎖状分子鎖から脱離することが防がれている。1本の直鎖状分子鎖は、1または2以上の環状分子の開口を貫通することができる。
本実施形態において、シクロデキストリン等の環状分子は重合性基を有する。具体的には、シクロデキストリン等の環状分子には、(メタ)アクリロイル基等の重合性基が、直接または連結基を介して結合している。
図1においては、1本のポリエーテル鎖は1のみのシクロデキストリンの開口のみを貫通しているが、1本のポリエーテル鎖は2以上のシクロデキストリンの開口を貫通していてもよい。
図1において、mおよびnは、それぞれ独立に0以上の整数であり、好ましくは0または1以上、より好ましくは1~30、さらに好ましくは5~15である。また、xは、直鎖状分子鎖を構成するエーテル単位の繰り返しの数を表し、xは例えば100~5000、好ましくは100~3000、さらに好ましくは100~1000である。
環状分子としては、例えば、シクロデキストリン、クラウンエーテル、ベンゾクラウン、ジベンゾクラウン、ジシクロヘキサノクラウン、および、これらの誘導体又は変性体を挙げることができる。直鎖状分子鎖の包接能の観点から、環状分子は、好ましくはシクロデキストリン又はこれの誘導体若しくは変性体である。シクロデキストリンは、α型、β型、γ型のいずれであってもよい。
環状分子がシクロデキストリン又はこれの誘導体若しくは変性体である場合、シクロデキストリン中のヒドロキシ基の一部または全部は、何らかの基によって置換されていてもよい。
環状分子が直鎖状分子鎖により貫通される場合において、環状分子が直鎖状分子鎖に最大限に包接される量を1とした場合、包接される環状分子の相対量(モル比)の下限値は、例えば0.001、好ましくは0.01、より好ましくは0.1以上であり、上限値は、例えば0.7以下、好ましくは0.6以下、より好ましくは0.5以下である。環状分子の包接量が上記範囲内にあることにより、直鎖状分子鎖上での環状分子の運動性が保たれやすい。
直鎖状分子鎖としては、例えば、アルキレン鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアミド鎖、ポリアクリレート鎖を挙げることができる。これらの中でも、直鎖状分子鎖自体の柔軟性の観点などから、ポリエステル鎖またはポリエーテル鎖が好ましく、ポリエーテル鎖がより好ましい。ポリエーテル鎖として好ましくは、ポリエチレングリコール鎖(ポリオキシエチレン鎖)などを挙げることができる。
封鎖基としては、環状分子の開口より大きな構造を有する基、イオン性の相互作用により環状分子の開口を通過し得ない基などが挙げられる。封鎖基として具体的には、アダマンチル基、シクロデキストリンを含む基、アントラセン基、トリフェニレン基、ピレン基、トリチル基及びこれらの異性体、誘導体などが挙げられる。
重合性基は、シクロデキストリン等の環状分子に直接結合していてもよいし、何らかの連結基を介してシクロデキストリン等の環状分子に結合していてもよい。
重合性炭素-炭素二重結合を含む基としては、(メタ)アクリロイル基やビニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
その他、重合性基として、エポキシ基やオキセタニル基などのカチオン重合性基を挙げることもできる。
特に好ましい態様として、環状分子がシクロデキストリンであり、そのシクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が以下一般式(I)で表される基により置換されている態様を挙げることができる。
Rは水素原子またはメチル基であり、
Aは単結合、-COO-または-CONH-であり、
Bは単結合、または、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、
Lは単結合またはカルボニル基であり、
pは0~10の整数であり、
qは0以上の整数である。
Bは、好ましくは直鎖アルキレン基である。Bの炭素数は、好ましくは1~6、より好ましくは1~4である。
Lは、好ましくはカルボニル基である。
pは、好ましくは1~8、より好ましくは4~6、さらに好ましくは5~6の整数であり、特に好ましくは5である。ただし、Lが単結合である場合には、pは、好ましくは2~4、より好ましくは2~3である。
qは、好ましくは0または1以上、より好ましくは1~30、さらに好ましくは5~15の整数である。
また、ポリロタキサンの入手/合成については、特表2015-521210号公報の実施例の記載なども参照することができる。念のため述べておくと、この特許文献は、光硬化性コーティング組成物およびコーティングフィルムに関するものであり、易解体性接着材料に関するものではない。
本実施形態の易解体性接着材料は、ポリロタキサンとは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を含んでもよい。このような化合物を用いることで、特に、解体処理前における接着強度を高められる傾向がある。
ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のベンジルアクリレート;
フェノキシエチルアクリレート、フェノキシメチルアクリレート等のフェノキシ基含有アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ化ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を用いる場合、その量は、ポリロタキサン100質量%に対して、例えば0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、最も好ましくは5質量%以上とする。当該量の上限については、ポリロタキサン100質量%に対して、例えば900質量%以下、好ましくは600質量%以下、より好ましくは300質量%以下、最も好ましくは100質量%以下とする。
本実施形態の易解体性接着材料は、重合開始剤を含んでもよいし、含まなくてもよい。重合開始剤は、ポリロタキサンの環状分子が有する重合性基を重合可能なものである限り特に限定されない。重合開始剤は、典型的には、熱および/または光(好ましくは熱)により重合性基を重合させる活性化学種を発生するものである。
重合開始剤を用いる場合、1のみの重合開始剤を用いてもよいし、2以上の重合開始剤を用いてもよい。
本実施形態の易解体性接着材料が適度な量の重合開始剤を含むことで、比較的低温においても、ポリロタキサンおよび/または重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物中の重合性基を重合させることができる。つまり、比較的低温での加熱でも物品を接着することができる。
ちなみに、本実施形態の易解体性接着材料が重合開始剤を含まなくとも、十分に高い温度での加熱により、ポリロタキサンおよび/または重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物中の重合性基は重合して、易解体性接着材料は硬化する。
本実施形態の易解体性接着材料は、ポリロタキサン以外のポリマーを含んでいてもよい。例えば、エポキシ樹脂を併用して接着力を高めてもよい。
揮発性有機溶剤としては、ポリロタキサンを溶解または分散可能なものであり、通常の接着プロセス(塗布、加熱など)により十分に揮発するものを特に制限なく挙げることができる。具体的には、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル類、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等を挙げることができる。
揮発性有機溶剤の量が適度に多いことにより、より良好な塗布性を得ることができる。一方、有機溶剤の量が多すぎないことは、易解体性接着材料が「濡れ広がりすぎる」ことの抑制や、乾燥時間の短縮につながる。
念のため述べておくと、構造部材を接合することが可能である限り、本実施形態の易解体性接着材料は、有機溶剤を含まなくてもよい。
本実施形態の易解体性接着材料において、以下の条件で測定されるF2およびF1の比(F2/F1)は、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下である。下限については特に制限がなく0であってもよいが、例えば0.01以上あるいは0.1以上とすることで十分である。こうすることにより、使用時の高い接着強度と弱い力で簡単に剥がせる解体性を、高いレベルで両立させることができる。
[条件]
(i)2枚のステンレス板(SUS304)同士を易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(ii)易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1のせん断接着強度をF1とし、易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、200℃2時間の第2熱処理条件で加熱処理して得られる試料2のせん断接着強度をF2とする。
第1熱処理条件での加熱処理の後(硬化後)にも、試料を乾燥させてもよい。ここでの乾燥条件は、例えば、室温、10~100Paの減圧条件下で15~20時間程度(具体例として17.5時間)とすることができる。または、第1熱処理条件での加熱処理の後(硬化後)に、室温、常圧下で試料を15~20時間程度(具体例として17.5時間)静置することで、試料を落ち着かせてもよい。
[条件]
(a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(b)易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1'のせん断接着強度をF1'とし、易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、-30℃で2時間冷却して得られる試料2'のせん断接着強度をF2'とする。
[条件]
(a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(b)易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1''のせん断接着強度をF1''とし、易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、150℃で2時間加熱して得られる試料2''のせん断接着強度をF2''とする。
易解体性接着材料(未硬化)を熱重量分析したときの0.5%分解温度は、例えば200~220℃、好ましくは210~220℃である。また、易解体性接着材料(未硬化)を熱重量分析したときの1%分解温度は、例えば230~260℃、好ましくは240~260℃である。
易解体性接着材料を150℃で7時間加熱して硬化させた硬化物を熱重量分析したときの0.5%分解温度は、例えば230~260℃、好ましくは230~250℃である。また、上記硬化物を熱重量分析したときの1%分解温度は、例えば250~280℃、好ましくは250~270℃である。
熱重量分析の条件の詳細については、後掲の実施例を参照されたい。
本実施形態の易解体性接着材料は、好ましくは、以下の(1)および(2)のようなプロセスに用いることができる。
(1)第1の構造部材と第2の構造部材により解体性接着材料を挟み、第1の熱処理により解体性接着材料を加熱硬化させる。これにより、第1の構造部材と、第2の構造部材と、第1の構造部材と第2の構造部材とを接合する易解体性接着材料の硬化体と、を含む物品を得る。
(2)上記(1)で得られた物品に、第2の熱処理を行うことにより、第1の構造部材と第2の構造部材とを解体する。
構造部材には各種の表面処理がなされていてもよいし、表面処理がなされていなくてもよい。接着強度および解体のしやすさの点では、構造部材の表面に易解体性接着剤を付着させる前に、構造部材の表面を洗浄するなどして、異物/汚染を除去しておくことが好ましい。
ちなみに、良好な接着性や耐久性などの観点から、第1の構造部材および第2の構造部材の一方または両方は、樹脂フィルムではないことが好ましい。
また、本実施形態の易解体性接着材料は、第1の構造部材と第2の構造部材とを接着する用途に用いられる。よって、通常、易解体性接着材料の硬化体は、第1の構造部材と第2の構造部材との間に挟まれて存在し、露出はしていない。
念のため述べておくと、十分な接着強度および接着後の易解体性が発現する限り、乾燥処理を行わずともよいし、また、何らかの処理を行う場合であってもその具体的条件は特に限定されない。
念のため述べておくと、十分な接着強度および接着後の易解体性が発現する限り、減圧下での乾燥処理を行わずともよいし、また、何らかの処理を行う場合であってもその具体的条件は特に限定されない。加熱硬化後の易解体性接着材料を、単に室温で1~24時間程度静置するだけでも十分な場合がある。
(T2-T1)の値の上限については、解体工程の省エネルギー化の観点から、好ましくは130℃以下、より好ましくは120℃以下、さらに好ましくは100℃以下である。
実用上、好ましい温度条件としては、T1は20~160℃、T2は170~250℃である。
第2の熱処理の時間は、易解体性が発現する限り特に限定されない。一例として、第2の熱処理の時間は、5分~6時間である。
易解体性接着材料は、例えば、以下の(A)および(B)を含む構成とすることができる。
(A)重合性基を有するとともに開口を形成している環状分子と、この環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサン
(B)上記(A)とは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物
以下の(A)および(B1)を含む易解体性接着材料。
(A)成分
シクロデキストリンと、シクロデキストリンの開口を貫通する直鎖状分子鎖とを含むロタキサンであって、シクロデキストリンに、(メタ)アクリロイル基が、直接または連結基を介して結合しており、直鎖状分子鎖は、その両端にそれぞれ結合した封鎖基を有する、ロタキサン(以下、ロタキサンaという)
(B1)成分
分子内に重合性炭素-炭素二重結合を一つ有する単量体
以下の(A)と、(B1)および/または(B2)を含む易解体性接着材料。
(A)成分
ロタキサンa
(B1)成分
分子内に重合性炭素-炭素二重結合を一つ有する単量体
(B2)成分
分子内に重合性炭素-炭素二重結合を二以上有する多官能単量体
[例1-1]
以下の(A)および(B1)を含む易解体性接着材料。
(A)ロタキサンa
(B1)n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のベンジルアクリレート;
フェノキシエチルアクリレート、フェノキシメチルアクリレート等のフェノキシ基含有アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ化ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
[例2-1]
以下の(A)および(B2)を含む易解体性接着材料。
(A)ロタキサンa
(B2)トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマー:
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
以下の(A)と、(B1)および(B2)の一方または両方とを含む易解体性接着材料。
(A)ロタキサンa
(B1)n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;
ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシ基含有アクリレート;
ベンジル(メタ)アクリレート等のベンジルアクリレート;
フェノキシエチルアクリレート、フェノキシメチルアクリレート等のフェノキシ基含有アクリレート;
ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシ化ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
(B2)トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレートなどの2官能モノマー:
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の多官能(メタ)アクリレート;
からなる群から選択される一または二以上の単量体
後掲の実施例1で用いられているポリロタキサン30mgに対し、アセトンなどの溶媒0.25mLを加え、さらに、ジクミルパーオキサイドを、ポリロタキサン:ジクミルパーオキサイド=100:1~1000:1(質量比)となるように添加したもの。
後掲の実施例1で用いられているポリロタキサン30mgに対し、アセトンなどの溶媒0.25mLを加え、さらに、2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチルを、ポリロタキサン:2,2'-アゾビスイソ酪酸ジメチル=100:1~1000:1(質量比)となるように添加したもの。
後掲の実施例1で用いられているポリロタキサン:多分岐高分子=100:5~100:100(質量比)の混合物30mgに対し、アセトンなどの溶媒を0.1~0.3mLを加えたもの。多分岐高分子は、例えば特許第6516319号公報記載の方法で合成される。
以下、参考形態の例を付記する。
1.
第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱または活性エネルギー線を作用させることにより前記接合体を解体する用途に用いられる易解体性接着材料であって、
開口を形成している環状分子と、前記環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含み、
前記環状分子が重合性基を有する易解体性接着材料。
2.
1.に記載の易解体性接着材料であって、
前記重合性基は重合性炭素-炭素二重結合を含む基である易解体性接着材料。
3.
1.または2.に記載の易解体性接着材料であって、
前記重合性基は(メタ)アクリロイル基である易解体性接着材料。
4.
1.~3.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
前記環状分子はシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンに前記重合性基が直接または連結基を介して結合している易解体性接着材料。
5.
1.~4.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
前記環状分子はシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が前掲の一般式(I)で表される基により置換されている易解体性接着材料。
一般式(I)中、
Rは水素原子またはメチル基であり、
Aは単結合、-COO-または-CONH-であり、
Bは単結合、または、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、
Lは単結合またはカルボニル基であり、
pは0~10の整数であり、
qは0以上の整数である。
6.
1.~5.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
前記ポリロタキサンとは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を含む易解体性接着材料。
7.
1.~6.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
全不揮発成分中の重合開始剤の含有量が1質量%未満である易解体性接着材料。
8.
1.~7.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
揮発性有機溶剤を含み、
当該易解体性接着材料の不揮発成分濃度が10~50質量%である易解体性接着材料。
9.
1.~8.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
第1の構造部材と第2の構造部材により当該易解体性接着材料を挟み、第1の熱処理を行うことにより、前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とが接着した物品を得た後、該物品に第2の熱処理を行うことにより前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを解体するのに用いられる、易解体性接着材料。
10.
1.~9.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
以下の条件で測定されるF2に対するF1の比(F2/F1)が0.9以下である、易解体性接着材料。
[条件]
(i)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(ii)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1のせん断接着強度をF1とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、200℃2時間の第2熱処理条件で加熱処理して得られる試料2のせん断接着強度をF2とする。
11.
1.~10.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料であって、
以下の条件で測定されるF2'に対するF1'の比(F2'/F1')が0.6以上である、易解体性接着材料。
[条件]
(a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(b)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1'のせん断接着強度をF1'とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、-30℃で2時間冷却して得られる試料2'のせん断接着強度をF2'とする。
12.
第1の構造部材と、
第2の構造部材と、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを接合する、1.~11.のいずれか1つに記載の易解体性接着材料の硬化体とを含む接合体。
13.
12.に記載の接合体であって、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とは、ともに、金属製の構造部材である接合体。
14.
12.または13.に記載の接合体に、熱または活性エネルギー線を作用させることにより、前記接合体を解体する解体工程を含む、解体方法。
15.
14.に記載の解体方法であって、
前記解体工程は、前記接合体に、170~250℃の熱を作用させる工程を含む、解体方法。
[易解体性接着材料の調製]
まず、特開2011-46917号公報の記載を参考に、全体分子量:40万g/mol、直鎖状分子鎖部分の分子量:2万g/molのポリロタキサンを合成した。このポリロタキサンは、図1に示されるような、環状分子であるシクロデキストリンの開口を貫通するポリエーテル鎖と、そのポリエーテル鎖の両端にそれぞれ結合したアダマンチル基とを備える。また、シクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部は、前述の一般式(I)で表される基により置換されている(Rはメチル基、Aは-CONH-、Bは-CH2CH2-、Lはカルボニル基、pは5、qは8~10程度)。
このポリロタキサン30mgを、0.25mLのアセトンに溶解して、塗布可能な易解体性接着材料を調製した。
上記の易解体性接着材料そのものと、上記の易解体性接着材料を150℃で7時間、10時間または16時間加熱して硬化させた硬化物とを、それぞれ熱重量分析して、TG曲線を描いた。熱重量分析の条件は以下の通りである。
・測定開始温度:室温
・昇温速度:10℃/分
・雰囲気:窒素ガス
また、参考のため、TG曲線そのものを図2に示す。
以下要領で、評価用の接合体を作製した。
(1)第1の構造部材への易解体性接着材料の塗布
第1の構造部材として、ステンレス板(SUS304)を準備した。このステンレス板の表面の1cm×1cmの領域に、調製した易解体性接着材料25μLを塗布し、50℃、10~100Paの減圧条件下で一晩乾燥させた。
(2)第2の構造部材への易解体性接着材料の塗布
第2の構造部材として、上記(1)とは別のステンレス板(SUS304)を準備した。このステンレス板に、上記(1)と同様の方法・条件で、調製した易解体性接着材料を塗布し、乾燥させた。
(3)接着
上記(1)および(2)で準備した2枚のステンレス板の、易解体性接着材料が塗布された1cm×1cmの領域同士を重ねて、ステンレス板同士を貼り合わせた。その後、150℃で7時間加熱し、易解体性接着材料を硬化させた。さらにその後、室温、10~100Paの減圧条件下で17.5時間静置した。
以上により、2枚のステンレス板が接合した接合体を得た。
上記[接合体の作製]で得られた接合体のせん断接着強度を、JIS K 6850:1999に準拠して、室温(23℃)、試験速度1mm/minの条件で測定した。
測定は3回行い、平均値をF1とした。
まず、上記[接合体の作製]で得られた接合体を、200℃で2時間加熱した(解体処理)。そして、室温で30分静置(放冷)した。
その後、上記[せん断接着強度の評価]と同様の条件で、接合体のせん断接着強度を測定した。
測定は3回行い、平均値をF2とした。
上記[接合体の作製]に記載のようにして得られた接合体を、-30℃で2時間冷却し、その後室温に戻して、そして、[せん断接着強度の評価]に記載のようにして、せん断接着強度F2'(3回の平均値)を求めた。
また、せん断接着強度F1'(3回の平均値)としては、上記F1の値である2.48MPaを採用した。
上記[接合体の作製]に記載のようにして得られた接合体を、150℃で2時間加熱し、その後室温に戻して、そして、[せん断接着強度の評価]に記載のようにして、せん断接着強度F2''(9回の平均値)を求めた。
また、せん断接着強度F1''(3回の平均値)としては、上記F1の値である2.48MPaを採用した。
実施例1で用いたものと同じポリロタキサンと、市販のトリメチロールプロパントリメタクリレート(TTMA)とを、ポリロタキサン/TTMA=9/1(w/w)で混合して混合物を得た。この混合物30mgを、0.25mLのアセトンに溶解して、塗布可能な易解体性接着材料を調製した。
特に、実施例2においては、F1すなわち解体処理前のせん断接着強度が実施例1よりも顕著に大きく、一方でF2の大きさは実施例1と同程度であった。すなわち、実施例2の接着材料は実施例1の接着材料よりも構造部材同士を強く接着することができるが、解体に必要な力は実施例1の接着材料と実施例2の接着材料で同程度であった。解体処理前の接合強度を高める観点では、特定のポリロタキサンと重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物とを併用することが好ましいと言える。
Claims (9)
- 第1の構造部材と第2の構造部材とを接着して接合体を得、その後、熱を作用させることにより前記接合体を解体する用途に用いられる易解体性接着材料であって、
開口を形成している環状分子と、前記環状分子の開口を貫通する直鎖状分子鎖と、前記直鎖状分子鎖の両端にそれぞれ結合した封鎖基とを備えるポリロタキサンを含み、
前記環状分子が重合性基を有し、
前記環状分子はシクロデキストリンであり、当該シクロデキストリンが有するヒドロキシ基の水素原子の少なくとも一部が以下一般式(I)で表される基により置換されており、
第1の構造部材と第2の構造部材により当該易解体性接着材料を挟み、第1の熱処理を行うことにより、前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とが接着した物品を得た後、該物品に第2の熱処理を行うことにより前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを解体するのに用いられる易解体性接着材料。
Rは水素原子またはメチル基であり、
Aは単結合、-COO-または-CONH-であり、
Bは単結合、または、直鎖もしくは分岐のアルキレン基であり、
Lはカルボニル基であり、
pは5であり、
qは8~10の整数である。 - 請求項1に記載の易解体性接着材料であって、
前記ポリロタキサンとは異なる、重合性炭素-炭素二重結合を有する化合物を含む易解体性接着材料。 - 請求項1または2に記載の易解体性接着材料であって、
全不揮発成分中の重合開始剤の含有量が1質量%未満である易解体性接着材料。 - 請求項1~3のいずれか1項に記載の易解体性接着材料であって、
揮発性有機溶剤を含み、
当該易解体性接着材料の不揮発成分濃度が10~50質量%である易解体性接着材料。 - 請求項1~4のいずれか1項に記載の易解体性接着材料であって、
以下の条件で測定されるF2に対するF1の比(F2/F1)が0.9以下である、易解体性接着材料。
[条件]
(i)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(ii)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1のせん断接着強度をF1とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、200℃2時間の第2熱処理条件で加熱処理して得られる試料2のせん断接着強度をF2とする。 - 請求項1~5のいずれか1項に記載の易解体性接着材料であって、
以下の条件で測定されるF2'に対するF1'の比(F2'/F1')が0.6以上である、易解体性接着材料。
[条件]
(a)2枚のステンレス板(SUS304)同士を当該易解体性接着材料により接着させた試料について、JIS K 6850:1999に準拠してせん断接着強度を測定する。
(b)当該易解体性接着材料を150℃7時間の第1熱処理条件で加熱処理して得られる試料1'のせん断接着強度をF1'とし、当該易解体性接着材料を第1熱処理条件で加熱処理した後、-30℃で2時間冷却して得られる試料2'のせん断接着強度をF2'とする。 - 第1の構造部材と、
第2の構造部材と、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とを接合する、請求項1~6のいずれか1項に記載の易解体性接着材料の硬化体とを含む接合体。 - 請求項7に記載の接合体であって、
前記第1の構造部材と前記第2の構造部材とは、ともに、金属製の構造部材である接合体。 - 請求項7または8に記載の接合体に、熱を作用させることにより、前記接合体を解体する解体工程を含み、
前記解体工程は、前記接合体に、170~250℃の熱を作用させる工程を含む、解体方法。
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