JP7322124B2 - ロータリーダンパー - Google Patents

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Description

本発明は、回転体とその外周に沿って線材が巻回されたコイルばねとを有するロータリーダンパーに関する。
ロータリーダンパーの一例として、下記特許文献1には、回転体と板ばねとを有するロータリーダンパーが開示されている。回転体の断面は略楕円形状であって回転軸から外周までの距離が長い長径部と上記距離が短い短径部とを有している。板ばねは帯状の金属薄板を略楕円形状に塑性変形させたもので、回転体の外周面を囲繞し、両端縁が相互に離隔する方向に変位した状態でハウジング内に収容されている。板ばねは更に、その長手方向中央部分の外周面がハウジングの内周面と当接することで、ハウジング内での姿勢を保持している。回転体が回転すると、回転体の長径部が板ばねの内面と当接してこれを弾性的に押し広げ、回転体の長径部が板ばねを弾性的に押し広げる際には回転体の外周面と板ばねの内周面との間に摩擦が生じ、回転体には抵抗が付与される。
特開2001-336559号公報
特許文献1に開示されたロータリーダンパーにあっては、回転体に抵抗トルクを付与するのは板ばねであって、これは金属薄板を略楕円形状に塑性変形した後に両端縁を相互に離隔する方向に変位されることから、所定の抵抗トルクを回転体に安定的に付与するには上記金属薄板を相当高い精度で加工する必要があり、製造コストが増大する。更に、板ばねに潤滑剤を付した場合には、板ばねに対して回転体が回転すると、板ばねの内周面に存在する潤滑剤は回転体の外周面が当接することで容易に掻き出されてしまい、回転体と板ばねとの間で焼き付きを生じやすい。
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、その主たる技術的課題は、回転体を板ばねではない他の弾性体と組み合わせることで比較的低コストで且つ焼き付きが生じにくい新規のロータリーダンパーを提供することである。
本発明者は、鋭意検討の結果、回転体の断面形状に回転軸から外周までの距離が長い長径部と上記距離が短い短径部とを設けると共に、回転体をこれの外周に沿って線材を巻回したコイルばねと組み合わせ、回転体が回転するとフック部がストッパに当接してコイルばねが緩むようにすることで、上記主たる技術的課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明よれば、上記主たる技術的課題を解決することができるロータリーダンパーとして、回転軸を中心として回転可能な回転体と、前記回転体が内側に挿入されたコイルばねとを有し、
前記回転体には、その断面形状において前記回転軸から外周までの距離が長い長径部と前記距離が短い短径部とが形成され、
前記コイルばねには、前記回転体の外周形状に沿って線材が巻回された巻回部と前記巻回部から前記線材が外方に延びるフック部とが形成され、前記フック部は固定のストッパと対向しており、
前記回転体が回転すると、前記長径部が前記コイルばねの内面を押圧して前記フック部を前記ストッパに当接させ、前記コイルばねを緩ませることにより、前記回転体は前記コイルばねに対して回転することを特徴とするロータリーダンパーが提供される。
好ましくは、前記回転体の断面形状が楕円形である。前記回転体の断面形状は正多角形であってもよい。前記コイルばねの両端に前記フック部が形成されるとともに、前記フック部が当接する2個の前記ストッパが設置されており、前記回転体の回転方向に応じて当接する前記フック部と前記ストッパが切り換わるのが好適である。好ましくは、前記回転体及び前記コイルばねがハウジングの内側に収容され、前記ストッパが前記ハウジングに形成されている。前記コイルばねには潤滑剤が塗布されているのが好適である。前記回転体には、抵抗トルクを常時付与する常時抵抗トルク付与手段が付設されているのが好ましい。
本発明のロータリーダンパーにあっては、回転体はコイルばねに対して回転し、コイルばねを構成する線材は回転体の外周に沿って巻回されることから、コイルばねを弾性的に変位させることなく回転体と組み合わせることが可能なため、コイルばねの加工精度は必ずしも高くなくてよく、それ故に全体的な製造コストを低減させることができる。更に、コイルばねに潤滑剤を付した場合には、潤滑剤は回転体の外周面と対向するコイルばねの内面に付着するだけでなく、巻回されて軸方向に相互に隣接する線材の間にも進入する。軸方向に相互に隣接する線材の間に進入した潤滑剤がコイルばねから容易に流出することは困難であることから、回転体とコイルばねとの間で所謂オイル切れに起因した焼き付きは生じにくく、それ故に本発明のロータリーダンパーは長寿命となる。
本発明に従って構成されるロータリーダンパーの好適実施形態を示す図。 図1に示すロータリーダンパーの回転体を単体で示す図。 図1に示すロータリーダンパーのコイルばねを単体で示す図。 図1に示すロータリーダンパーのハウジングを単体で示す図。 図1に示すロータリーダンパーのシールドを単体で示す図。 図1に示すロータリーダンパーの作動を説明するための図。 本発明に従って構成されるロータリーダンパーの他の実施形態を示す図。 本発明に従って構成されるロータリーダンパーの更なる他の実施形態を示す図。 図8に示すロータリーダンパーの回転体を単体で示す図。 図8に示すロータリーダンパーのハウジングを単体で示す図。 実施例における回転体の回転数の変動を示す線図。
以下、本発明に従って構成されたロータリーダンパーの好適実施形態を図示している添付図面を参照して、更に詳細に説明する。
図1を参照して説明すると、全体を番号2で示すロータリーダンパーは、回転体4とコイルばね6とを有している。
図1と共に図2を参照して説明すると、適宜の合成樹脂から一体的に成形される回転体4は回転軸oを中心として回転可能であって、軸方向に所要長さを有している。回転体4には、その断面形状において回転軸oから外周までの距離が長い長径部8と上記距離が短い短径部10とが形成されている。図示の実施形態においては、回転体4の断面形状は楕円形であって、長径部8は楕円の長軸部分、短径部10は楕円の短軸部分である。そして、回転体4の長径部8の長さを図2左図において符号Laで、短径部10の長さを同図において符号Lbで夫々示す。回転体4の片側の端面には回転軸oと同一の中心軸を備える軸部12が接続されている。軸部12は全体的に円柱形状であるが、外周面の所要部位には回転体4との接続端部を除いて軸方向に延びる平坦面14が形成されている。この平坦面14を介して軸部12は外部機器に接続され、回転体4は回転軸oを中心として回転する。回転体4の反対側の端面には回転軸oと同一の中心軸を備える円柱形状の軸突起16が付設されている。
図1を参照して説明すると、コイルばね6は回転体4の外周面を囲繞して配置されている。図1と共に図3を参照して説明すると、コイルばね6には、回転体4の外周形状に沿って金属製の線材が巻回された巻回部18と巻回部18から線材が外方に延びるフック部20とが形成されている。図示の実施形態においては、回転体4の断面形状が楕円形であることから、巻回部18は軸方向に見て楕円形状である。そして、図3左図においてLAで示す自由状態における巻回部18の内径における長径の長さは回転体4の長径部8の長さLa以上に、同図においてLBで示す自由状態における巻回部18の内径における短径の長さは回転体4の短径部10の長さLb以上であって且つ回転体4の長径部8の長さLaよりも小さく設定されている。このことから、コイルばね6及び回転体4の相互の長径同士及び短径同士を整合させれば、コイルばね6を弾性的に変位させることなくこれを回転体4と組み合わせることができる。フック部20は巻回部18の軸方向両端に形成されており(これを20a及び20bで表す)、2つのフック部20a及び20bを構成する線材は巻回部18の長軸の両端位置において夫々径方向外側に向かって直線状に延びている。そして、2つのフック部20a及び20bは後述する固定のストッパと対向する。コイルばね6を構成する線材は断面円形であり、コイルばね6には潤滑剤が塗布されている。
図示の実施形態においては、ロータリーダンパー2は固定のハウジング22も備えており、回転体4及びコイルばね6はハウジング22の内側に収容されている。図1と共に図4を参照して説明すると、ハウジング22は適宜の合成樹脂から成形され、円形の端板24と、端板24の外周縁から軸方向に延びる円筒形状の外周壁26とを有するカップ形状である。端板24の中央には断面円形の段付き軸受け孔28が形成されており、これは回転体4に付設された軸突起16を軸受けする。外周壁26の内側には、外周壁26の基端から先端側に向かって端板24の肉厚が増大した隆起部30が設けられている。隆起部30は平面視において軸受け孔28の外周縁の外側に沿って略180度の角度範囲に亘って延在する円弧形状である。隆起部30の周方向両端面は軸方向に直線状に起立する平坦面であって、この平坦面はコイルばね6のフック部20a及び20bと対向するストッパ32a及び32bとして機能する。外周壁26の開放端部、さらに詳しくは外周壁26において隆起部30よりも開放端側の端部の内周面には内径を周方向に連続的に局所的に増大させることで形成される係合溝34が周方向に等角度間隔をおいて6個形成されている。外周壁26の外周面にはハウジング22を取り付けるために使用される装着ステー36も付設されている。装着ステー36は直径方向の反対側に1つずつ設けられている。
上述したハウジング22の開放端は図5に示されるシールド38によって閉鎖される。シールド38は適宜の合成樹脂から成形される円板形状である。シールド38の外周面には外径を周方向に連続的に局所的に増大させることで形成される係合突条40が周方向に等角度間隔をおいて6個形成されており、係合突条40をハウジング22の外周壁26に形成された係合溝34に弾性的に嵌め合わせることでシールド38はハウジング22と組み合わされる。シールド38の中央には断面円形の段付き軸受け孔42が形成されており、これは回転体4に接続された軸部12を軸受けする。
続いて、図1と共に図6を参照してロータリーダンパー2の作動について説明する。まず、図1に示す状態にあっては、コイルばね6は自由状態であって回転体4を締め付けていない。つまり、図1に示す状態では、回転体4にはコイルばね6の締付による摩擦に起因した抵抗力は作用しておらず、上記抵抗力はゼロである。図1に示す状態から回転体4が時計方向(図1のA-A断面の右方向から見て)に回転すると、図6に示すとおり、回転体4の長径部8がコイルばね6の内面を押圧してフック部20aをストッパ32aに当接させ、コイルばね6を緩ませることにより、回転体4はコイルばね6に対して回転する。図6は、回転体4が図1に示す状態から時計方向に90度回転した状態を示している。回転体4の長径部8がコイルばね6の内面を押圧してコイルばね6を緩ませる際、回転体4にはコイルばね6との間の摩擦に起因した抵抗力が作用する。この抵抗力は図1に示す状態にあってはゼロであるが、図1に示す状態から回転体4が回転するに従って漸次増大し、回転体4の長径部8がコイルばね6の短径と整合してコイルばね6が最も緩められた図6に示す状態において最大となる。図6に示す状態から回転体4が更に時計方向に回転すると上記抵抗力は漸次減少する。図6に示す状態から回転体4が90度回転して図1に状態に戻ると、コイルばね6は自由状態となり、上記抵抗力は再びゼロとなる。このことから、回転体4が連続的に回転すると、回転体4にはコイルばね6との間の摩擦による抵抗力が間欠的(周期的)に作用することに加えて、回転体4の回転による運動エネルギーの一部がコイルばね6の弾性エネルギーに変換され、回転体4の回転速度は制限されて回転体4は実質上等速で回転することとなる。回転体4が反時計方向に回転した場合は、コイルばね6のフック部20bがストッパ32bに当接することを除いて回転体4が時計方向に回転した場合と同様に作用する。つまり、回転体4の回転方向に応じて当接するフック部20a及び20bとストッパ32a及び32bが切り換わる。
本発明のロータリーダンパーにあっては、回転体はコイルばねに対して回転し、コイルばねを構成する線材は回転体の外周に沿って巻回されることから、コイルばねを弾性的に変位させることなく回転体と組み合わせることが可能なため、コイルばねの加工精度は必ずしも高くなくてよく、それ故に全体的な製造コストを低減させることができる。更に、コイルばねに潤滑剤を付した場合には、潤滑剤は回転体の外周面と対向するコイルばねの内面に付着するだけでなく、巻回されて軸方向に相互に隣接する線材の間にも進入する。軸方向に相互に隣接する線材の間に進入した潤滑剤がコイルばねから容易に流出することは困難であることから、回転体とコイルばねとの間で所謂オイル切れに起因した焼き付きは生じにくく、それ故に本発明のロータリーダンパーは長寿命となる。
上述した実施形態においては、回転体4の断面形状は楕円形であったがこれに限らず円形の外周を直径方向の両側に引き伸ばした長円形或いはトラック形状、円形の外周を直径方向の片側に引き伸ばした卵形状、円形の外周の一部を局所的に径方向外方に引き伸ばしたカム形状等としてもよい。さらにまた、回転体4の断面形状は、図7に示すとおり、正多角形(図示の実施形態においては正6角形)としてもよい。図7に示す、本発明に従って構成されロータリーダンパーの他の実施形態においては、ロータリーダンパー2と同一の構成については同一の番号に「´」を付して示している。本実施形態においては、回転体4´の長径部8´は正6角形の頂点、短径部10´は正6角形の辺部となる。回転体の断面形状を正多角形とすることで上記抵抗力の周期を短くすることができ、より円滑に回転体の回転速度を制限することが可能となる。
図8には本発明に従って構成されるロータリーダンパーの更なる他の実施形態が示されている。本実施形態のロータリーダンパーでは、回転体には、抵抗トルクを常時付与する常時抵抗トルク付与手段が付設されている。以下の説明では、ロータリーダンパー2と同一の構成については同一の番号に「´´」を付して、その詳細な説明については省略する。図8と共に図9を参照して説明すると、本実施形態のロータリーダンパー2´´が有する回転体4´´は筒形状(外周面の断面は回転体4と同様に楕円形)であって、回転体4´´と円筒形状の軸部12´´との間には円筒形状の中間部44´´が介在する。軸突起16´´も円筒形状であり、軸突起16´´と回転体4´´と中間部44´´と軸部12´´とは共通の中心軸を有し軸方向に貫通している。中間部44´´の外径は軸突起16´´、回転体4´´及び軸部12´´のいずれの外径よりも大きく、中間部44´´の外周面には回転体4´´に所定の抵抗トルクを常時付与する常時抵抗トルク付与手段46´´が装着されている。常時抵抗トルク付与手段46´´については後述する。中間部44´´及び軸部12´´の内周面には軸方向に直線状に延出する突条14´´が周方向に間隔をおいて5つ形成されており、この突条14´´を介して回転体4´´は外部機器に接続される。
図8に示すとおり、図示の実施形態においては、常時抵抗トルク付与手段46´´は金属製で断面円形の線材を巻回して形成されるコイルばねであって、円形の巻回部48´´及びこの巻回部48´´の軸方向両端から径方向外方に延びる一対のフック部50´´を有する。自由状態における巻回部48´´の内径は中間部44´´の外径よりも小さく、従って、巻回部48´´は幾分拡径せしめられた状態で中間部44´´の外周面に密着して装着され、巻回部48´´は中間部44´´の外周面を常時締め付ける。
本実施形態においては、回転体4´´及びコイルばね6´´だけでなく常時抵抗トルク付与手段46´´も固定のハウジング22´´の内側に収容される。図8と共に図10を参照して説明すると、ハウジング22´の内側空間部は、回転体4´´及びコイルばね6´´を収容する片側収容部52´´と、中間部44´´及び常時抵抗トルク付与手段46´´を収容する他側収容部54´´とに区画され、片側収容部52´´及び他側収容部54´´は軸方向に隣接する。隆起部30´´は片側収容部52´´に設けられており、隆起部30´´の軸方向端面の内周縁部には周方向に連続する円弧形状の凹部56´´が形成されている。片側収容部52´´にあっては更に、ハウジング22´´の内周面から径方向内側に向かって突出する補助部58´´も形成されている。補助部58´´は隆起部30´´とは直径方向の反対側に形成されており、補助部58´´の突出端面はコイルばね6´´の巻回部18´´の外周面と対向して近接する。補助部58´´の軸方向端面の内周縁部にも周方向に連続する円弧形状の凹部60´´が形成されており、図8のA-A断面図を参照することによって理解されるとおり、補助部58´´に形成された凹部60´´は隆起部30´´に形成された凹部56´´と協働して回転体4´´の中間部44´´の軸方向片側端部を回転可能に支持する。他側収容部54´´は全体的に円形であるが、軸方向に見て隆起部30´´が存在する周方向角度領域の周方向両端部においては局所的に拡径せしめられ、周方向に延在する円弧形状の一対のポケット62´´を備えている。図8のC-C断面に示されるとおり、一対のポケット62´´の各々には常時抵抗トルク付与手段46´´の一対のフック部50´´の各々が夫々配置せしめられ、一対のフック部50´´の各々が、これが配置せしめられたポケット62´´を規定するハウジング22´´の周方向端面と当接することで、常時抵抗トルク付与手段46´´はハウジング22´´に対して回転不能となる。他側収容部54´´における、一対のポケット62´´を除く部分にあっては、ハウジング22´´の内周面が常時抵抗トルク付与手段46´´の巻回部48´´の外周面と対向して近接する。
本実施形態のロータリーダンパー2´´の基本的な作動はロータリーダンパー2と同じであって、回転体4´´が回転すると、回転体4´´にはコイルばね6´´によって抵抗トルクが間欠的に付与される。本実施形態のロータリーダンパー2´´にあっては更に、回転体4´´が回転すると、常時抵抗トルク付与手段46´´が備える一対のフック部50´´のいずれか一方がこれと対向するハウジング22´´の周方向端面と当接してこれによって巻回部48´´が緩む方向に相対的に押圧せしめられ、回転体4´´は常時抵抗トルク付与手段46が有するばね力及び常時抵抗トルク付与手段46´´との間の摩擦力に起因した所定の抵抗トルクに抗して回転する。つまり、本実施形態のロータリーダンパー2´´の回転体4´´には、コイルばね6´´によって抵抗トルクが間欠的に付与されるだけでなく、常時抵抗トルク付与手段46´´によって所定の抵抗トルクが常時付与されることから、本実施形態のロータリーダンパー2´´にあっては、回転体4´´にかかる回転トルクが大きい場合であっても回転体4´´の回転速度を充分確実に制限することが可能となる。
常時抵抗トルク付与手段46´´にも潤滑剤が塗布されるのが好ましい。本実施形態にあっては、常時抵抗トルク付与手段46´´はコイルばねであることから、常時抵抗トルク付与手段46´´に潤滑剤を塗布すれば、上述したコイルばね6と同様の理由で焼き付きが防止される。なお、常時抵抗トルク付与手段46´´は回転体4´´に所定の抵抗トルクを常時付与する構成であれば任意の構成であってよく、周知の板ばねやトレランスリングのようなハウジング22´´の内周面との弾性力又は摩擦力を利用するものであるのが好ましい。常時抵抗トルク付与手段を板ばねやトレランスリングで構成した場合には、必ずしも常時抵抗トルク付与手段はハウジング22´´に対して回転不能になるとは限らず、ハウジング22´´に対して回転する場合もある。
<評価結果>
実施例として、長径部の長さLaが6.0mm、短径部の長さLbが5.4mm(共に上の寸法許容差0mm、下の寸法許容差0.03mm)で断面が楕円形である回転体と、断面円形の金属製線材を楕円形に巻回して自由状態での内径における長径の長さlaが6.0mm、短径の長さlbが5.4mm(共に上の寸法許容差0.03mm、下の寸法許容差0mm)のコイルばねとを組み合わせて図1に示すロータリーダンパーを形成した。そして、回転体に接続された軸部にウェイトを糸で巻き付けて3.0cN・mのトルクを発生させ、高さ70cmの位置よりウェイトを落下させたときの回転体の回転数を計測した。図11を参照することによって理解されるとおり、回転体は一旦増速した後に実質上等速で回転する。
以上、本発明に従って構成されたロータリーダンパーについて添付した図面を参照して詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明を逸脱しない範囲内において適宜の修正や変更が可能である。例えば、図示の実施形態においては、回転体及びコイルばねはハウジングに収容されてコイルばねのフック部と対向する固定のストッパはハウジングに形成されていたが、これに替えて、回転体及びコイルばねはハウジングに収容されておらずコイルばねのフック部は軸方向に延びる固定の支持柱等と対向するようにしてもよい。また、図示の実施形態においては、フック部はコイルばねの両端に形成されていたが、フック部はコイルばねの軸方向中間部に形成されていてもよい。更に、図示の実施形態においては、フック部はコイルばねの両端に形成されており、回転体が正逆いずれの方向に回転した場合であっても、2つのフック部のいずれかがストッパと当接してコイルばねが緩められたが、回転体の回転方向が一方向に限定される場合には、コイルばねに形成されるフック部も1つでよい。
2:ダンパー
4:回転体
6:コイルばね
8:長径部
10:短径部
18:巻回部
20(20a及び20b):フック部
32(32a及び32b):ストッパ

Claims (7)

  1. 回転軸を中心として回転可能な回転体と、前記回転体が内側に挿入されたコイルばねとを有し、
    前記回転体には、その断面形状において前記回転軸から外周までの距離が長い長径部と前記距離が短い短径部とが形成され、
    前記コイルばねには、前記回転体の外周形状に沿って線材が巻回された巻回部と前記巻回部から前記線材が外方に延びるフック部とが形成され、前記フック部は固定のストッパと対向しており、
    前記回転体が回転すると、前記長径部が前記コイルばねの内面を押圧して前記フック部を前記ストッパに当接させ、前記コイルばねを緩ませることにより、前記回転体は前記コイルばねに対して回転することを特徴とするロータリーダンパー。
  2. 前記回転体の断面形状が楕円形である請求項1に記載のロータリーダンパー。
  3. 前記回転体の断面形状が正多角形である請求項1に記載のロータリーダンパー。
  4. 前記コイルばねの両端に前記フック部が形成されるとともに、前記フック部が当接する2個の前記ストッパが設置されており、前記回転体の回転方向に応じて当接する前記フック部と前記ストッパが切り換わる請求項1乃至3のいずれかに記載のロータリーダンパー。
  5. 前記回転体及び前記コイルばねがハウジングの内側に収容され、前記ストッパが前記ハウジングに形成されている請求項1乃至4のいずれかに記載のロータリーダンパー。
  6. 前記コイルばねには潤滑剤が塗布されている請求項1乃至5のいずれかに記載のロータリーダンパー。
  7. 前記回転体には、抵抗トルクを常時付与する常時抵抗トルク付与手段が付設されている、請求項1乃至6のいずれかに記載のロータリーダンパー。
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