WO2024075327A1 - 玉軸受 - Google Patents
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Abstract
波動歯車装置において、保持器の変形を防止しつつ、保持器の振動を防止することができる玉軸受を提供する。玉軸受(1)は、変形可能な内輪(2)と、内輪(2)の外側に設置された変形可能な外輪(3)と、内輪(2)と外輪(3)との間に設けられた複数の球状の転動体(4)と、複数の転動体(4)が夫々収容される複数のポケット(10)が周方向に間隔を空けて設けられた保持器(5)とを備える玉軸受である。複数のポケット(10)の各々は、径方向に延びるポケット軸線(x1)の周りに広がるポケット面(11)と、ポケット面(11)よりポケット軸線(x1)側に突出するフランジ部(20)とを有している。ポケット面(11)は、隙間を介して転動体(4)を収容するようになっており、フランジ部(20)は、少なくとも内輪(2)の短径(rb)の位置に位置する転動体(4)に径方向内側から接触するようになっている。
Description
本発明は玉軸受に関する。
減速機として、高い減速比が得られる波動歯車装置が知られている。波動歯車装置には、外周面が楕円形のウェーブジェネレータを有するものがある。ウェーブジェネレータは、楕円カムと、楕円カムの外周面に設けられた玉軸受とを有している。玉軸受の内外輪は変形可能であり、内外輪の外周面は、楕円カムの回転に伴って、楕円カムの外周面の楕円形状に対応して径方向に変形して、波動運動をする。
この波動運動により、内輪と外輪との間の転動空間は、周方向において固定した位置で見ると、径方向に移動する。つまり、楕円カムの長軸の位置において、転動空間は最も径方向外側に位置し、楕円カムの短軸の位置において、転動空間は最も径方向内側に位置する。一方、玉軸受の保持器は、円環状の剛性を有する部材である。このため、保持器が球体の転動体に支持(ガイド)されている場合、保持器は変形する。この変形により、保持器が破損する場合がある。この破損を防ぐため、従来の波動歯車装置の玉軸受においては、保持器は転動体に支持されておらず、保持器に対して転動体は、比較的大きな隙間を持って収容されるようになっている。このような玉軸受の保持器は、転動体に対して相対移動可能であるため、振動が発生する(例えば、特許文献1参照)。
このように、従来の波動歯車装置の玉軸受においては、保持器の変形を防止しつつ、保持器の振動を防止することができる構成が求められている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、波動歯車装置において、保持器の変形を防止しつつ、保持器の振動を防止することができる玉軸受を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係る玉軸受は、変形可能な内輪と、前記内輪の外側に設置された変形可能な外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられた複数の球状の転動体と、前記複数の転動体が夫々収容される複数のポケットが周方向に間隔を空けて設けられた保持器とを備える玉軸受であって、前記複数のポケットの各々は、径方向に延びる軸線の周りに広がる面であるポケット面と、前記ポケット面より前記軸線側に突出する部分であるフランジ部とを有しており、前記ポケット面は、隙間を介して前記転動体を収容するようになっており、前記フランジ部は、少なくとも前記内輪の短径の位置に位置する前記転動体に径方向内側から接触するようになっている、または、少なくとも前記内輪の長径の位置に位置する前記転動体に径方向外側から接触するようになっている。
本発明に係る玉軸受によれば、波動歯車装置において、保持器の変形を防止しつつ、保持器の振動を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る玉軸受1の部分断面図である。なお、図1において玉軸受1は、後述する波動歯車装置100の楕円状のカム102に取り付けられた際の形で示されている。玉軸受1は、変形可能な内輪2と、内輪2の外側に設置された変形可能な外輪3と、内輪2と外輪3との間に設けられた複数の球状の転動体4と、複数の転動体4が夫々収容される複数のポケット10が周方向に間隔を空けて設けられた保持器5とを備える玉軸受である。複数のポケット10の各々は、径方向に延びるポケット軸線x1の周りに広がる面であるポケット面11と、ポケット面11よりポケット軸線x1側に突出する部分であるフランジ部20とを有している。ポケット面11は、隙間を介して転動体4を収容するようになっており、フランジ部20は、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に径方向内側から接触するようになっている、または、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に径方向外側から接触するようになっている。以下、玉軸受1について具体的に説明する。なお、図1には、正面視された玉軸受1が、内輪2及び外輪3が切断されて保持器5及び転動体4の全てが現れた状態で示されている。また、図面において、全ての転動体4に符号は付されておらず、同様に、全てのポケット10に符号は付されていない。同様に、図面において、複数の部材全てに符号は付されておらず、符号は適宜省略されている。
本発明に係る玉軸受は、適用対象に波動歯車装置を含み、波動歯車装置に用いられる。図2は、玉軸受1が設けられた波動歯車装置の一例としての波動歯車装置100を示す図である。玉軸受1は、波動歯車装置100のウェーブジェネレータ101の一部を構成する。ウェーブジェネレータ101において、玉軸受1の内輪2に、楕円状のカム102が嵌着されている。ウェーブジェネレータ101は、カップ状のフレックススプライン103に嵌められており、フレックススプライン103は、サーキュラスプライン104に嵌められている。波動歯車装置100において、カム102が回転され、カム102と共に玉軸受1の内輪2が回転し、楕円状の内輪2の回転に伴って、転動体4を介して、外輪3の外周側の各部が径方向に変形し、少なくとも長軸に位置する外輪3の部分がフレックススプライン103に接触し、フレックススプライン103の外周面が波動運動をする。この波動運動するフレックススプライン103の長軸方向に位置する歯103aが、サーキュラスプライン104の歯104aと噛み合い、フレックススプライン103の歯103aの歯数と、サーキュラスプライン104の歯104aの歯数との差から、フレックススプライン103に対してサーキュラスプライン104が回転し、また、フレックススプライン103又はサーキュラスプラン104は、カム102の回転に対して減速して回転される。
玉軸受1の内輪2は、波動歯車装置に用いられる従来公知の玉軸受の内輪と同様の形態を有しており、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円筒又は略円筒状の可撓性又は弾性のある部材である。内輪2に楕円状のカム102が嵌着されると、図1に示すように、内輪2は軸線xを中心軸又は略中心軸とする楕円筒又は略楕円筒状に変形する。楕円状のカム102が嵌着された内輪2において、内輪2の径方向外側に面する面である外周面2aは、軸線xを中心軸又は略中心軸とする楕円筒面又は略楕円筒面であり、外周面2aの軸線xに直交する断面は、図1に示すように、長軸が長軸xaであり、短軸が短軸xbである、長径ra及び短径rbを有する楕円又は略楕円を描く。なお、軸線xは、玉軸受1の軸線である。
外輪3は、波動歯車装置に用いられる従来公知の玉軸受の外輪と同様の形態を有しており、図1に示すように、軸線xを周りに筒状の可撓性又は弾性のある部材である。外輪3は、図1に示すように、玉軸受1において、内輪2と相似するような形状となっている。但し、内輪2及び外輪3夫々には図示しない軌道溝が形成されており、軌道溝において、内輪2及び外輪3は相似していない。
保持器5は、図1に示すように、軸線xを中心軸又は略中心軸とする円環状又は略円環状の剛性のある部材である。保持器5は、例えば樹脂製である。なお、保持器5は、樹脂製に限られず、他の材料から作られてもよい。上述のように、保持器5は、複数のポケット10を有しており、各ポケット10には転動体4が収容される。なお、玉軸受1は、奇数個の転動体4を有しており、図示の例では、玉軸受1は、23個の転動体4を有している。各ポケット10は、軸線xに直交する径方向に沿って延びるポケット軸線x1に沿って延びており、保持器5の内周面5aと外周面5bとの間で保持器5を貫通している。なお、内周面5aは、保持器5の径方向内側に面する面であり、外周面5bは、保持器5の径方向外側に面する面である。また、保持器5の内周面5aの径は、内輪2の外周面2aの長径よりも大きく、また、保持器5の外周面5bの径は、玉軸受1における外輪3の内周面3aの短径よりも小さい。
図3は、保持器5の部分斜視図であり、図4は、保持器4のポケット10を拡大して示す図であり、図5は、図4のポケット軸線x1に対する径方向に延びる線A-Aに沿う断面における保持器5の断面図である。なお、図4は、ポケット軸線x1方向において外周面5b側から内周面5a側に向かってポケット10を見た際のポケット10を示している。図3,4に示すように、保持器5は、軸線xに沿って延びる複数の爪部5cを有している。爪部5cは、軸線x周りの周方向に間隔を空けて形成されており、各ポケット10は、周方向において互いに隣接する爪部5cの間に形成されている。周方向において互いに隣接する爪部5cの軸線x方向の一方の側の端部(先端部5d)は、接続されておらず、隙間を形成しており、各ポケット10は、この軸線x方向の一方の側で開放されている。図4に示すように、周方向において互いに隣接する爪部5cの先端部5dの間には、先端部5dの周方向に面する面(開放面5e)によって、ポケット10を開放する開放部5fが形成されている。開放面5eは、軸線x方向の他方の側で、ポケット面11及びフランジ部20に続いている。
図3に示すように、各ポケット10のポケット軸線x1は、例えば、径方向に平行又は略平行に延びており、複数のポケット10は、例えば、軸線x周りに等角度間隔又は略等角度間隔に設けられている。また、各ポケット10のポケット面11は、転動体4が、ポケット軸線x1に直交する径方向(以下、ポケット径方向ともいう。)において隙間を空けて収容可能となっており、ポケット面11の径r1(図4参照)は、転動体4の半径よりも大きい。ポケット面11は、例えば、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする錐面、円筒面又は略円筒面の一部である。ポケット面11は、軸線x又はその近傍の一点を通るポケット軸線x1に近接する線に沿って延びる錐面、円筒面又は略円筒面の一部であってもよい。ポケット面11は、ポケット軸線x1の方向の全範囲に亘って、隙間を空けて転動体4を収容可能になっており、例えば図5に示すように、ポケット面11の径r1は、ポケット軸線x1の方向の全範囲に亘って一様となっている(r1a=r1b)、または、ポケット軸線x1方向においてフランジ部20側から外周面5b側に向かって拡径している(r1b>r1a)。なお、径r1aは、フランジ部20側の端におけるポケット面11の径r1であり、径r1bは、外周面5b側の端におけるポケット面11の径r1である。ポケット面11と一対の開放面5eとが夫々接続する部分である接続部10a,10bは、ポケット10に収容された転動体4がポケット10から軸線x方向に出ないようになっており、例えば、接続部10aと接続部10bとの間の間隔は、転動体4の直径よりも小さくなっている。
各ポケット10のフランジ部20は、図4,5に示すように、ポケット面11よりもポケット径方向で内側に突出する、ポケット軸線x1周りに延びる部分であり、本実施の形態においては、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に径方向において内側から接触するような形態を有している。なお、図1に示すように、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4とは、玉軸受1において、内輪2の外周面2aの短径rbの位置に接触している転動体4であり、内輪2の短軸xb上に中心が位置する転動体4である。フランジ部20は、例えば、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に径方向において内側から接触する際に、ポケット10を転動体4に対して相対移動不能にするような形態になっており、これにより、保持器5が転動体4に支持されるようになっている。なお、転動体4に対してポケット10が相対移動不能とは、転動体4のポケット10における位置が変わらないことを意味し、転動体4の自転は、転動体4に対するポケット10の相対移動には含まれない。
例えば、図5に示すように、フランジ部20のポケット軸線x1上の範囲(範囲s1)内の玉軸受1の径方向(ポケット軸線x1方向)の所定の径方向位置(位置p1)において、ポケット軸線x1に直交する断面(断面B)におけるフランジ部20の径(径r2)は、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4の短軸xbにおける径方向の所定の位置p1において短軸xbに直交する断面(断面C)における転動体4の径(径r3)と(図6参照)、同じ又は略同じ値となっている。なお、図6は、玉軸受1の内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図である。図6において、保持器5は省略されている。また、断面Bと断面Cとは、玉軸受1において同じ断面となる。
具体的には例えば、図5に示すように、フランジ部20は、ポケット面11に対して玉軸受1の径方向において内側に、ポケット面11に隣接して設けられており、ポケット10のポケット軸線x1方向の内側の端部にのみ設けられている。また、フランジ部20は、具体的には例えば、図5に示すように、ポケット軸線x1方向において転動体4に接触する方向の側(玉軸受1の径方向外側)に向かって拡径するポケット軸線x1周りに延びる面である傾斜面21を有している。また、フランジ部20は、例えば、ポケット軸線x1周りにポケット面11に沿って連続して突出している。具体的には例えば、図4に示すように、フランジ部20は、ポケット軸線x1周りに延びる円環又は略円環に沿って、一対の爪部5cの夫々の開放面5eの間に延びており、半円よりも長く延びている。また、図5に示すように、フランジ部20の延び方向に直交する断面の形状は、一様又は略一様となっている。
傾斜面21は、上述のように、図5に示すように、ポケット径方向のポケット軸線x1上への投影範囲が範囲s1となっており、範囲s1内の径方向の位置p1の断面Bにおける径が径r2となっている。また、玉軸受1において、図6に示すように、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4の短軸xb上の径方向位置p1の断面Cにおける径r3は、フランジ部20の傾斜面21における径r2と同じ又は略同じ値となっている。このため、後述する図7に示すように、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4の周面の径r3の部分に、フランジ部20の傾斜面21の径r2の部分が玉軸受1の径方向において内側から接触する。位置p1は、例えば、ポケット10のポケット軸線x1方向の幅の中央よりも内側にある。なお、図5,6に示すように、径方向位置p1の玉軸受1における径はrp1である。
フランジ部20の傾斜面21は、例えば図5に示すように、ポケット軸線x1を含む断面において、直線又は略直線を描くテーパ面である。傾斜面21は、このようなテーパ面に限られず、上述のように、径方向位置p1の径r2の位置において、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に玉軸受1の径方向において内側から接触する面であれば他の形状の面であってもよい。例えば、傾斜面21は、ポケット軸線x1を含む断面において、ポケット軸線x1側に凸の円弧や弧を描く面であってもよく、ポケット軸線x1側とは反対側に凹む円弧や弧を描く面であってもよく、他の曲線を描く面であってもよい。また、傾斜面21は、ポケット軸線x1を含む断面において、曲線と直線とが組み合わされた線を描く面であってもよい。
また、図5に示すように、各ポケット10は、フランジ部20のポケット軸線x1方向において内側に逃げ部12を有していてもよい。逃げ部12は、フランジ部20の傾斜面21のポケット軸線x1方向において内側の端(内側端21a)と保持器5の内周面5aとの間に延びており、例えば、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする錐面、円筒面又は略円筒面の一部である。逃げ部12の形態はこの形態に限られない。ポケット面11と同様に、逃げ部12は、例えば軸線x又はその近傍の一点を通るポケット軸線x1に近接する線に沿って延びる錐面、円筒面又は略円筒面の一部であってもよい。
次いで、上述の構成を有する玉軸受1の作用について説明する。図7は、玉軸受1において、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図であり、図8は、玉軸受1において、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図である。
波動歯車装置100において、カム102が回転されると、カム102の回転と共に内輪2が軸線x周りに回転し、この内輪2の回転に伴い、複数の転動体4と共に保持器5が軸線x周りに回転する。内輪2の外周面2aは楕円状であり、各転動体4は、軸線xを中心とする楕円軌道を描く。各転動体4は、内輪2の短径rbの位置において径方向において軸線xに最も近付く。そして、各転動体4の径方向における位置は、長径raの位置に向かうに連れて、軸線xから離れていき、各転動体4は、内輪2の長径raの位置において径方向において軸線xから最も遠く離れる。そして、各転動体4の径方向における位置は、短径rbの位置に向かうに連れて、軸線xに近づいていく。転動体4は、内輪2の外周面2aを周りながら、このように径方向の移動を繰り返す。
一方、保持器5は、円環状の剛性を有する部材であり、保持器5の各ポケット10は、軸線xを中心とする円軌道を描く。つまり、保持器5の各ポケット10の軸線xからの径方向の位置は、保持器5の回転に伴って変わらず又はほぼ変わらず一定である。このため、内輪2の外周面2a上を周る各転動体4は、収容されているポケット10の中で、ポケット軸線x1方向にポケット10に対して相対移動する。各転動体4は、内輪2の短径rbの位置において、ポケット10に対して、ポケット軸線x1方向において最も内側に相対移動し、内輪2の長径raの位置において、ポケット10に対して、ポケット軸線x1方向において最も外側に相対移動する。
図7に示すように、内輪2の短径rbの位置に位置する、ポケット10に対してポケット軸線x1方向において最も内側に相対移動した転動体4は、ポケット10のフランジ部20の傾斜面21に接触する。具体的には、軸線xから径方向に径rp1離れた位置p1における断面B(C)上の傾斜面21の径r2の部分と、軸線xから径方向に径rp1離れた位置p1における断面C(B)上の転動体4の径r3の部分とが接触する。このフランジ部20と転動体4との接触により、保持器5は、転動体4に支持され、転動体4に対してポケット径方向に及び玉軸受1の径方向外側に相対移動不能になる。
図7に示すように、転動体4の軌道上の一方の内輪2の短径rbの位置(図1において右側)に転動体4が位置しているとき、転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置(図1において左側)に転動体4は位置していない。しかしながら、転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置(図1において左側)の近傍には2つの転動体4が位置しており、この2つの転動体4は、または、この2つの転動体4の一方は、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4とおおよそ同様に上述のように作用する。上述のように、保持器5は、一方(図1において右側)の短軸xb上の位置において接触する転動体4に、短軸xb方向における他方の側(図1において左側)への移動を拘束されないが、他方(図1において左側)の短軸xbの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方に、短軸xb方向における他方の側(図1において左側)への相対移動を実質的に拘束される。このため、保持器5は、内輪2の短径rbの位置に位置する1つの転動体4及び内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する1つ又は2つの転動体4と、内輪2の短軸xb上に位置する1つのポケット10及び内輪2の短軸xbの近傍に位置する1つ又は2つのポケット10の夫々のフランジ部20との接触によって、玉軸受1における移動が拘束される。このように、内輪2の短径rbの位置及びその近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つの転動体4と、内輪2の短軸xb上及びその近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つのフランジ部20との接触によって、保持器5の玉軸受1における移動が拘束される。
一方、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4が、内輪2の回転に伴い短径rbの位置から長径raの位置側に移動すると、この移動した転動体4とこの転動体4が収容されているポケット10のフランジ部20との接触は解消され、転動体4による保持器5の支持は解消される。
上述のように、各転動体4は、内輪2の長径raの位置において、収容されているポケット10に対して、ポケット軸線x1方向において最も外側に相対移動する。つまり、図8に示すように、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4は、ポケット10のフランジ部20の傾斜面21から最も離れた位置に移動する。
このように、玉軸受1において、保持器5は、内輪2の短径rbの近傍に位置する転動体4にのみ支持される。このため、玉軸受1を回転させた玉軸受1の使用状態において、保持器5を変形させる力の発生を抑制することができる。また、玉軸受1においては、図7に示すように、同じ径rp1の位置p1における断面B(C)における傾斜面21の径r2の部分及び転動体4の径r3の部分において、フランジ部20と転動体4とが接触する。このため、フランジ部20と転動体4との接触によって、保持器5を変形させる力が発生しない。したがって、玉軸受1においては、使用状態において保持器5が変形されることはない。
製造誤差や組み立て誤差等により、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に接触するフランジ部20の位置が、径rp1の位置p1よりも径方向において外側の位置における断面における傾斜面21の径の位置となった場合、保持器5には、短軸xbの位置において、軸線x側に保持器5を変形させる力が発生する。この力により、保持器5が変形すると、長軸xaの位置において保持器5が曲がりその曲率が大きくなり、長軸xa上のポケット10の周方向の間隔が狭まる。特に、径方向内側に位置するフランジ部20の傾斜面21の位置における周方向の幅が狭まる。一方、上述のように、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4は、収容されているポケット10に対して、ポケット軸線x1方向において最も外側に相対移動し、ポケット10のフランジ部20の傾斜面21から最も離れた位置に移動する。このため、上述のように、たとえ短軸xb上の転動体4とフランジ部20との接触によって、保持器5が変形したとしても、長軸xa上のポケット10が転動体5に押し付けられることを回避又は抑制することができ、保持器5が更に変形されることを回避又は抑制することができ、保持器5が損傷することを回避又は抑制することができる。
また、玉軸受1の使用状態において、保持器5が、内輪2や外輪3に接触することはなく、玉軸受1のトルク抵抗の増加を防止することができる。また、この点においても、使用状態における保持器5の変形が回避又は抑制されており、保持器5の損傷が回避又は抑制されている。
上述のように、玉軸受1のポケット10のフランジ部20は、保持器5の玉軸受1における移動を拘束することができ、玉軸受1における保持器5の振動を防止又は低減することができる。また、玉軸受1のポケット10は、保持器5の変形を抑制することができる。
上述のように、転動体4の軌道上の一方の内輪2の短径rbの位置に転動体4が位置しているとき、転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する2つの転動体4は、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4とおおよそ同様に作用するとしたが、この転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方は、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4と同様に作用するようにしてもよい。具体的には、転動体4の軌道上の一方の内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4と、転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方とが、ポケット10のフランジ部20と接触するようになっていてもよい。
このように、本発明の第1の実施の形態に係る玉軸受1によれば、波動歯車装置100において、保持器5の変形を防止しつつ、保持器5の振動を防止することができる。
次いで、上述の本発明の第1の実施の形態に係る玉軸受1のフランジ部20の変形例について説明する。図9は、玉軸受1のフランジ部20の変形例を示す図であり、玉軸受1の内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図である。図9に示すように、玉軸受1のフランジ部20は、上述の傾斜面21ではなく、段差面22を有していてもよい。段差面22は、ポケット面11のポケット軸線x1方向内側の端からポケット径方向内側に受かって延びるポケット軸線x1周りに環状の面である環状面22aと、環状面22aのポケット径方向内側の端からポケット軸線x1方向内側に内周面5aまで延びるポケット軸線x1に沿って延びる筒面22bとを有している。
環状面22aは、ポケット軸線x1に直交する平面に沿って延びる面であり、例えば図9に示すように、ポケット軸線x1に直交する平面に平行又は略平行な面であり、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする円環面又は略円環面の一部である。また、筒面22bは、ポケット軸線x1に沿って延びる筒面の一部であり、例えば、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする錐面、円筒面又は略円筒面の一部である。筒面22bは、例えば軸線x又はその近傍の一点を通るポケット軸線x1に近接する線に沿って延びる錐面、円筒面又は略円筒面の一部であってもよい。環状面22a及び筒面22bは、接続部10aと接続部10bとの間に連続して延びている(図4参照)。
環状面22aと筒面22bとが接続する部分である接続部22cは、上述の径rp1の位置p1における断面B上に位置しており、ポケット軸線x1を中心とする円環上に延びている。接続部22cのポケット径方向の半径は径r2となっている。このため、フランジ部20の段差面22は、接続部22cにおいて、上述のフランジ部20の傾斜面21と同様に、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4と接触し、保持器5が支持される。したがって、本変形例に係るフランジ部20の段差面22も、上述のフランジ部20の傾斜面21と同様に作用する。
次いで、上述の本発明の第1の実施の形態に係る玉軸受1のフランジ部20の他の変形例について説明する。図10は、玉軸受1のフランジ部20の他の変形例を示す図であり、ポケット軸線x1方向において外周面5b側から内周面5a側に向かって見たポケット10を示している。図10に示すように、フランジ部20は、ポケット軸線x1周りにポケット面11に沿って断続して突出していてもよい。具体的には例えば、図10に示すように、フランジ部20は、複数のフランジ部片20aが、ポケット軸線x1周りに間隔を空けて設けられて形成されるものであってもよい。各フランジ部片20aのポケット軸線x1を含む断面の形状は、上述のフランジ部20のポケット軸線x1を含む断面の形状(図5,9参照)と同じである。また、各フランジ部片20aの傾斜面21又は段差面22は、上述のフランジ部20(図4参照)の対応する位置における傾斜面21又は段差面22に重なる。なお、フランジ部片20aの数は図示の数に限られない。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6について説明する。本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6は、上述の本発明の第1の実施の形態に係る玉軸受1の保持器5とは異なる保持器7を有している。玉軸受6の保持器7は、玉軸受1のポケット10とは異なるポケット13を有する点で上述の保持器5とは異なる。以下、玉軸受6について、上述の玉軸受1と同じ構成又は同様の機能を有する構成については、玉軸受1における符号と同じ符号を付して説明を省略し、玉軸受1に対して異なる構成について説明する。
図11は、本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6の部分断面図である。図11には、正面視された玉軸受6が、内輪2、外輪3及び保持器7が切断された状態で示されている。また、図12は、保持器7のポケット13を拡大して示す図であり、図13は、図12のポケット径方向に延びる線D-Dに沿う断面における断面図である。なお、図11において玉軸受6は、図1と同様に、波動歯車装置100の楕円状のカム102に取り付けられた際の形で示されている。また、図12は、ポケット軸線x1方向において内周面5a側から外周面5b側に向かってポケット13を見た際のポケット13を示している。
玉軸受6の保持器7の各ポケット13は、図11~13に示すように、上述のポケット10のフランジ部20のように保持器7を支持するためのフランジ部23を有している。フランジ部23は、上述のフランジ部20とは異なり、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に径方向において外側から接触するようになっている。なお、図11に示すように、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4とは、玉軸受6において、内輪2の外周面2aの長径raの位置に接触している転動体4であり、内輪2の長軸xa上に中心が位置する転動体4である。
玉軸受6の保持器7において複数のポケット13は、図11に示すように、上述の保持器5における複数のポケット10と同様に、周方向において互いに隣接する爪部5cの間に形成されている。各ポケット13は、ポケット軸線x1に沿って延びており、保持器7の内周面5aと外周面5bとの間で保持器7を貫通している。また、各ポケット13のポケット軸線x1は、例えば、径方向に平行又は略平行に延びており、複数のポケット13は、例えば、軸線x周りに等角度間隔又は略等角度間隔に設けられている。
各ポケット13は、図11~13に示すように、上述のポケット10のポケット面11と同様のポケット面14を有している。ポケット面14の径r1(図12参照)は、転動体4の半径よりも大きい。ポケット面14は、例えば、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする錐面、円筒面又は略円筒面の一部である。ポケット面14は、軸線x又はその近傍の一点を通るポケット軸線x1に近接する線に沿って延びる錐面、円筒面又は略円筒面の一部であってもよい。ポケット面14は、ポケット軸線x1の方向の全範囲に亘って、隙間を空けて転動体4を収容可能になっており、例えば図13に示すように、ポケット面14の径r1は、ポケット軸線x1の方向の全範囲に亘って一様となっている(r1a=r1c)、または、ポケット軸線x1方向においてフランジ部23側から内周面5a側に向かって拡径している(r1c>r1a)。なお、径r1aは、フランジ部23側の端におけるポケット面14の径r1であり、径r1cは、内周面5a側の端におけるポケット面14の径r1である。各ポケット13のフランジ部23は、図13に示すように、ポケット面14よりもポケット径方向で内側に突出する、ポケット軸線x1周りに延びる部分である。フランジ部23は、例えば、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に径方向において外側から接触する際に、ポケット13を転動体4に対して相対移動不能にするような形態になっており、これにより、保持器7が転動体4に支持されるようになっている。
例えば、図13に示すように、フランジ部23のポケット軸線x1上の範囲(範囲s2)内の玉軸受6の径方向(ポケット軸線x1方向)の所定の径方向位置(位置p2)において、ポケット軸線x1に直交する断面(断面E)におけるフランジ部23の径(径r4)は、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4の長軸xaにおける径方向の所定の位置p2において長軸xaに直交する断面(断面F)における転動体4の径(径r5)と(図14参照)、同じ又は略同じ値となっている。なお、図14は、玉軸受6の内輪2の長径raの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図である。図14において、保持器7は省略されている。また、断面Eと断面Fとは、玉軸受6において同じ断面となる。
具体的には例えば、図13に示すように、フランジ部23は、ポケット面14に対して玉軸受6の径方向において外側に、ポケット面14に隣接して設けられており、ポケット13のポケット軸線x1方向の外側の端部にのみ設けられている。また、フランジ部23は、具体的には例えば、図13に示すように、ポケット軸線x1方向において転動体4に接触する方向の側(玉軸受6の径方向内側)に向かって拡径するポケット軸線x1周りに延びる面である傾斜面24を有している。また、フランジ部23は、例えば、ポケット軸線x1周りにポケット面14に沿って連続して突出している。具体的には例えば、図12,13に示すように、フランジ部23は、ポケット軸線x1周りに延びる円環又は略円環に沿って、一対の爪部5cの夫々の開放面5eの間に延びており、半円よりも長く延びている。また、図13に示すように、フランジ部23の延び方向に直交する断面の形状は、一様又は略一様となっている。
傾斜面24は、上述のように、図13に示すように、ポケット径方向のポケット軸線x1上への投影範囲が範囲s2となっており、範囲s2内の径方向の位置p2の断面Eにおける径が径r4となっている。また、玉軸受6において、図14に示すように、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4の長軸xa上の径方向位置p2の断面Fにおける径r5は、フランジ部23の傾斜面24における径r4と同じ又は略同じ値となっている。このため、後述する図15に示すように、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4の周面の径r5の部分に、フランジ部23の傾斜面24の径r4の部分が玉軸受6の径方向において外側から接触する。位置p2は、例えば、ポケット13のポケット軸線x1方向の幅の中央よりも外側にある。なお、図13,14に示すように、径方向位置p3の玉軸受6における径はrp2である。
フランジ部23の傾斜面24は、例えば図13に示すように、ポケット軸線x1を含む断面において、直線又は略直線を描くテーパ面である。傾斜面24は、このようなテーパ面に限られず、上述のように、径方向位置p2の径r4の位置において、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に玉軸受6の径方向において外側から接触する面であれば他の形状の面であってもよい。例えば、傾斜面24は、ポケット軸線x1を含む断面において、ポケット軸線x1側に凸の円弧や弧を描く面であってもよく、ポケット軸線x1側とは反対側に凹む円弧や弧を描く面であってもよく、他の曲線を描く面であってもよい。また、傾斜面24は、ポケット軸線x1を含む断面において、曲線と直線とが組み合わされた線を描く面であってもよい。
また、図13に示すように、各ポケット13は、フランジ部23のポケット軸線x1方向において外側に逃げ部15を有していてもよい。逃げ部15は、フランジ部23の傾斜面24のポケット軸線x1方向において外側の端(外側端24a)と保持器7の外周面5bとの間に延びており、例えば、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする錐面、円筒面又は略円筒面の一部である。逃げ部15の形態はこの形態に限られない。逃げ部15は、ポケット面14と同様に、例えば軸線x又はその近傍の一点を通るポケット軸線x1に近接する線に沿って延びる錐面、円又は略円筒面の一部であってもよい。
次いで、上述の構成を有する玉軸受6の作用について説明する。図15は、玉軸受6において、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図であり、図16は、玉軸受6において、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図である。
上述の玉軸受1の回転と同様に、波動歯車装置100において、カム102の回転と共に内輪2が軸線x周りに回転し、複数の転動体4と共に保持器7が軸線x周りに回転すると、内輪2の外周面2a上を周る各転動体4は、収容されているポケット13の中で、ポケット軸線x1方向にポケット13に対して相対移動する。各転動体4は、内輪2の短径rbの位置において、ポケット13に対して、ポケット軸線x1方向において最も内側に相対移動し、内輪2の長径raの位置において、ポケット13に対して、ポケット軸線x1方向において最も内側に相対移動する。
図15に示すように、内輪2の長径raの位置に位置する、ポケット13に対してポケット軸線x1方向において最も外側に相対移動した転動体4は、ポケット13のフランジ部23の傾斜面24に接触する。具体的には、軸線xから径方向に径rp2離れた位置p2における断面E(F)上の傾斜面24の径r4の部分と、軸線xから径方向に径rp2離れた位置p2における断面F(E)上の転動体4の径r5の部分とが接触する。このフランジ部23と転動体4との接触により、保持器7は、転動体4に支持され、転動体4に対してポケット径方向に及び玉軸受6の径方向内側に相対移動不能になる。
図15に示すように、転動体4の軌道上の一方の内輪2の長径raの位置(図11において上側)に転動体4が位置しているとき、転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置(図11において下側)に転動体4は位置していない。しかしながら、転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置(図11において下側)の近傍には2つの転動体4が位置しており、この2つの転動体4は、または、この2つの転動体4の一方は、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4とおおよそ同様に上述のように作用する。上述のように、保持器7は、一方(図11において上側)の長軸xa上の位置において接触する転動体4に、長軸xa方向における一方の側(図11において上側)への相対移動を拘束されないが、他方(図11において下側)の長軸xaの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方に、長軸xa方向における一方の側(図11において上側)への相対移動を実質的に拘束される。このため、保持器7は、内輪2の長径raの位置に位置する1つの転動体4及び内輪2の長径raの位置の近傍に位置する1つ又は2つの転動体4と、内輪2の長軸xa上に位置する1つのポケット13及び内輪2の長軸xaの近傍に位置する1つ又は2つの転動体4の夫々のフランジ部23との接触によって、玉軸受6における移動が拘束される。このように、内輪2の長径raの位置及びその近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つの転動体4と、内輪2の長軸xa上及びその近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つのフランジ部23との接触によって、保持器7の玉軸受6における移動が拘束される。
一方、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4が、内輪2の回転に伴い長径raの位置から短径rbの位置側に移動すると、この移動した転動体4とこの転動体4が収容されているポケット13のフランジ部23との接触は解消され、転動体4による保持器7の支持は解消される。
上述のように、各転動体4は、内輪2の短径rbの位置において、収容されているポケット13に対して、ポケット軸線x1方向において最も内側に相対移動する。つまり、図16に示すように、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4は、ポケット13のフランジ部23の傾斜面24から最も離れた位置に移動する。
このように、玉軸受6において、保持器7は、内輪2の長径raの近傍に位置する転動体4にのみ支持される。このため、玉軸受6の使用状態において、保持器7を変形させる力の発生を抑制することができる。また、玉軸受6においては、図14に示すように、同じ径rp2の位置p2における断面E(F)における傾斜面24の径r4の部分及び転動体4の径r5の部分において、フランジ部23と転動体4とが接触する。このため、フランジ部23と転動体4との接触によって、保持器7を変形させる力が発生しない。したがって、玉軸受6においては、使用状態において保持器7が変形されることはない。
製造誤差や組み立て誤差等により、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に接触するフランジ部23の位置が、径rp2の位置p2よりも径方向において内側の位置における断面における傾斜面24の径の位置となった場合、保持器7には、長軸xaの位置において、軸線x側に保持器7を変形させる力が発生する。この力により、保持器7が変形すると、短軸xbの位置において保持器7が曲がりその曲率が大きくなり、短軸xb上のポケット13の周方向の間隔が狭まる。特に、径方向内側に位置するポケット面14の部分における周方向の幅が狭まる。一方、上述のように、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4は、収容されているポケット13に対して、ポケット軸線x1方向において最も内側に相対移動する。このため、上述のように長軸xa上の転動体4とフランジ部23との接触によって、保持器7が変形したとしても、短軸xb上のポケット13が転動体7に押し付けられることを回避又は抑制するために、ポケット13の筒部14の径が調整されていてもよい。この調整により、保持器7が更に変形されることを回避又は抑制することができ、保持器7が損傷することを回避又は抑制することができる。
また、玉軸受6の使用状態において、保持器7が、内輪2や外輪3に接触することはなく、玉軸受6のトルク抵抗の増加を防止することができる。また、この点においても、使用状態における保持器7の変形が回避又は抑制されており、保持器7の損傷が回避又は抑制されている。
上述のように、玉軸受6のポケット13のフランジ部23は、保持器7の玉軸受6における移動を拘束することができ、玉軸受6における保持器7の振動を防止又は低減することができる。また、玉軸受6のポケット13は、保持器7の変形を抑制することができる。
上述のように、転動体4の軌道上の一方の内輪2の長径raの位置に転動体4が位置しているとき、転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置の近傍に位置する2つの転動体4は、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4とおおよそ同様に作用するとしたが、この転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方は、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4と同様に作用するようにしてもよい。具体的には、転動体4の軌道上の一方の内輪2の長径raの位置に位置する転動体4と、転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方とが、ポケット13のフランジ部23と接触するようになっていてもよい。
このように、本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6によれば、波動歯車装置100において、保持器7の変形を防止しつつ、保持器7の振動を防止することができる。
次いで、上述の本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6のフランジ部23の変形例について説明する。図17は、玉軸受6のフランジ部23の変形例を示す図であり、玉軸受6の内輪2の長径raの位置に位置する転動体4の近傍を拡大して示す図である。図17に示すように、玉軸受6のフランジ部23は、上述の傾斜面24ではなく、段差面25を有していてもよい。段差面25は、ポケット面14のポケット軸線x1方向外側の端からポケット径方向内側に受かって延びるポケット軸線x1周りに環状の面である環状面25aと、環状面25aのポケット径方向内側の端からポケット軸線x1方向外側に外周面5bまで延びるポケット軸線x1に沿って延びる筒面25bとを有している。
環状面25aは、ポケット軸線x1に直交する平面に沿って延びる面であり、例えば図17に示すように、ポケット軸線x1に直交する平面に平行又は略平行な面であり、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする円環面又は略円環面の一部である。また、筒面25bは、ポケット軸線x1に沿って延びる筒面の一部であり、例えば、ポケット軸線x1を中心軸又は略中心軸とする錐面、円筒面又は略円筒面の一部である。筒面25bは、例えば軸線x又はその近傍の一点を通るポケット軸線x1に近接する線に沿って延びる錐面、円筒面又は略円筒面の一部であってもよい。環状面25a及び筒面25bは、接続部10aと接続部10bとの間に連続して延びている(図12参照)。
環状面25aと筒面25bとが接続する部分である接続部25cは、上述の径rp2の位置p2における断面E上に位置しており、ポケット軸線x1を中心とする円環上に延びている。接続部25cのポケット径方向の半径は径r4となっている。このため、フランジ部23の段差面25は、接続部25cにおいて、上述のフランジ部23の傾斜面24と同様に、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4と接触し、保持器7が支持される。したがって、本変形例に係るフランジ部23の段差面25も、上述のフランジ部23の傾斜面24と同様に作用する。
次いで、上述の本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6のフランジ部23の他の変形例について説明する。図18は、玉軸受6のフランジ部23の他の変形例を示す図であり、ポケット軸線x1方向において内周面5a側から外周面5b側に向かって見たポケット13を示している。図18に示すように、フランジ部23は、ポケット軸線x1周りにポケット面14に沿って断続して突出していてもよい。具体的には例えば、図18に示すように、フランジ部23は、複数のフランジ部片23aが、ポケット軸線x1周りに間隔を空けて設けられて形成されたものであってもよい。各フランジ部片23aのポケット軸線x1を含む断面の形状は、上述のフランジ部23のポケット軸線x1を含む断面の形状(図13,17参照)と同じである。また、各フランジ部片23aの傾斜面24又は段差面25は、上述のフランジ部23(図12参照)の対応する位置における傾斜面24又は段差面25に重なる。なお、フランジ部片23aの数は図示の数に限られない。
次いで、本発明の第3の実施の形態に係る玉軸受1Aについて説明する。本発明の第3の実施の形態に係る玉軸受1Aは、上述の本発明の第1の実施の形態に係る玉軸受1の保持器5とは異なる保持器5Aを有している。玉軸受1Aの保持器5Aは、玉軸受1のポケット10とは異なるポケット16を有する点で上述の保持器5とは異なる。以下、玉軸受1Aについて、上述の玉軸受1と同じ構成又は同様の機能を有する構成については、玉軸受1における符号と同じ符号を付して説明を省略し、玉軸受1に対して異なる構成について説明する。
保持器5Aのポケット16は、上述のポケット10のフランジ部20のように、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に径方向内側から接触するフランジ部26を有している。少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4との接触の際に、フランジ部26は、転動体4をポケット16に対して相対移動不能にするようになっており、これにより、保持器5Aが転動体4に支持される。より具体的には、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4との接触の際に、フランジ部26はポケット16のポケット面11と共に、ポケット16を転動体4に対して相対移動不能にするようになっており、これにより、保持器5Aが転動体4に支持される。
図19は、波動歯車装置100における玉軸受1Aの短径rbの位置に位置する転動体4及びポケット16の近傍を拡大して示す図であり、図20は、図19のポケット軸線x1に対する径方向に延びる線G-Gに沿う断面における断面図である。なお、図19は、ポケット軸線x1方向において外周面5b側から内周面5a側に向かって見た際の転動体4及びポケット16を示している。
図19,20に示すように、フランジ部26は、上述の本発明の第1の実施の形態におけるフランジ部20と同様に、ポケット面11よりポケット径方向内側に突出しており、筒部11にポケット軸線x1方向において内側に隣接しており、ポケット16のポケット軸線x1方向の内側の端部にのみ設けられている。また、フランジ部26は、上述のフランジ部20と同様に、ポケット軸線x1周りにポケット面11に沿って連続して延びている。但し、フランジ部26は、図19に示すように、接続部10a及び接続部10bまで延びていない。また、フランジ部26は、フランジ部20と同様に、傾斜面27を有している。傾斜面27は、傾斜面21と同様に、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に径方向内側から接触するような形状を有しているが、傾斜面21とは異なり、この転動体4との接触の際に転動体4がポケット面11に接触するような形状を有している。なお、傾斜面27は、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に、全面において接触するようになっていてもよく、一部において接触するようになっていてもよい。また、ポケット面11は、少なくとも内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4に、一部において接触する。
波動歯車装置100における玉軸受1Aにおいて、転動体4の軌道上の一方の内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4は、この転動体4が収容されているポケット16において、フランジ部26の傾斜面27とポケット面11とに接触する。また、転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置の近傍の2つの転動体4の少なくとも一方は、一方の内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4とおおよそ同様にフランジ部26の傾斜面27とポケット面11とに接触する。このため、上述の玉軸受1における場合と同様に、短径rbの位置の近傍に位置する転動体4は、ポケット16に対して実質的に相対移動不能にされ、保持器5Aは、転動体4に支持され、転動体4に対してポケット径方向に及び玉軸受1Aの径方向外側に相対移動不能になる。これにより、保持器5Aは、内輪2の短径rbの位置に位置する1つの転動体4及び内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方と、内輪2の短軸xb上に位置する1つのポケット16及び内輪2の短軸xbの近傍に位置する1つ又は2つのポケット10のフランジ部26及びポケット面11との接触によって、玉軸受1Aにおける移動が拘束される。このように、内輪2の短径rbの位置及び内輪2の短径rbの近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つの転動体4と、内輪2の短軸xb上及び内輪2の短軸xbの近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つのポケット16夫々のフランジ部26及びポケット面11との接触によって、保持器5Aの玉軸受1Aにおける移動が拘束される。
一方、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4が、内輪2の回転に伴い短径rbの位置から長径raの位置側に移動すると、この移動した転動体4とこの転動体が収容されたポケット16のフランジ部26及びポケット面11との接触は解消され、転動体4による保持器5Aの支持は解消される。
上述のように、玉軸受1Aのフランジ部26とポケット面11とは、玉軸受1のフランジ部20と同様に作用し、玉軸受1Aは玉軸受1と同様の作用効果を奏する。具体的には、ポケット16のフランジ部26及びポケット面11は、保持器5Aの玉軸受1Aにおける移動を拘束することができ、玉軸受1Aにおける保持器5Aの振動を防止又は低減することができる。また、玉軸受1Aのポケット16は、保持器5Aの変形を抑制することができる。
上述のように、転動体4の軌道上の一方の内輪2の短径rbの位置に転動体4が位置しているとき、転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する2つの転動体4は、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4とおおよそ同様に作用するとしたが、この転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方は、内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4と同様に作用するようにしてもよい。具体的には、転動体4の軌道上の一方の内輪2の短径rbの位置に位置する転動体4と、転動体4の軌道上の他方の内輪2の短径rbの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方とが、ポケット16のフランジ部26及びポケット面11と接触するようになっていてもよい。
このように、本発明の第3の実施の形態に係る玉軸受1Aによれば、波動歯車装置100において、保持器5Aの変形を防止しつつ、保持器5Aの振動を防止することができる。
なお、フランジ部26は、上記本発明の第1の実施の形態に係る玉軸受1のフランジ部20と同様に変形することができる。つまり、フランジ部26は、図9に示すように、傾斜面27ではなく段差面22と同様の段差面を有するものであってもよい。また、フランジ部26は、図10に示すように、ポケット軸線x1周りにポケット面11に沿って断続して突出していてもよい。
次いで、本発明の第4の実施の形態に係る玉軸受6Aについて説明する。本発明の第4の実施の形態に係る玉軸受6Aは、上述の本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6の保持器7とは異なる保持器7Aを有している。玉軸受6Aの保持器7Aは、玉軸受6のポケット13とは異なるポケット17を有する点で上述の保持器7とは異なる。以下、玉軸受6Aについて、上述の玉軸受6と同じ構成又は同様の機能を有する構成については、玉軸受6における符号と同じ符号を付して説明を省略し、玉軸受6に対して異なる構成について説明する。
保持器7Aのポケット17は、上述のポケット13のフランジ部23のように、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に径方向外側から接触するフランジ部28を有している。少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4との接触の際に、フランジ部28は、転動体4をポケット17に対して相対移動不能にするようになっており、これにより、保持器7Aが転動体4に支持される。より具体的には、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4との接触の際に、フランジ部28はポケット17のポケット面14と共に、ポケット17を転動体4に対して相対移動不能にするようになっており、これにより、保持器7Aが転動体4に支持される。
図21は、波動歯車装置100における玉軸受6Aの長径raの位置に位置する転動体4及びポケット17の近傍を拡大して示す図であり、図22は、図21のポケット軸線x1に対する径方向に延びる線H-Hに沿う断面における断面図である。なお、図21は、ポケット軸線x1方向において内周面5a側から外周面5b側に向かって見た際の転動体4及びポケット17を示している。
図21,22に示すように、フランジ部28は、上述の本発明の第2の実施の形態におけるフランジ部23と同様に、ポケット面14よりポケット径方向内側に突出しており、筒部14にポケット軸線x1方向において外側に隣接しており、ポケット17のポケット軸線x方向の外側の端部にのみ設けられている。また、フランジ部28は、上述のフランジ部23と同様に、ポケット軸線x1周りにポケット面14に沿って連続して延びている。但し、フランジ部28は、図21に示すように、接続部10a及び接続部10bまで延びていない。また、フランジ部27は、フランジ部23と同様に、傾斜面29を有している。傾斜面29は、傾斜面24と同様に、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に径方向外側から接触するような形状を有しているが、傾斜面24とは異なり、この転動体4との接触の際に転動体4がポケット面14に接触するような形状を有している。なお、傾斜面29は、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に、全面において接触するようになっていてもよく、一部において接触するようになっていてもよい。また、ポケット面14は、少なくとも内輪2の長径raの位置に位置する転動体4に、一部において接触する。
波動歯車装置100における玉軸受6Aにおいて、転動体4の軌道上の一方の内輪2の長径raの位置に位置する転動体4は、この転動体4が収容されているポケット17において、フランジ部28の傾斜面29とポケット面14とに接触する。また、転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置の近傍の2つの転動体4の少なくとも一方は、一方の内輪2の長径raの位置に位置する転動体4とおおよそ同様にフランジ部28の傾斜面29とポケット面14とに接触する。このため、上述の玉軸受6における場合と同様に、長径raの位置の近傍に位置する転動体4は、ポケット17に対して実質的に相対移動不能にされ、保持器7Aは、転動体4に支持され、転動体4に対してポケット径方向に及び玉軸受6Aの径方向内側に相対移動不能になる。これにより、保持器7Aは、内輪2の長径raの位置に位置する1つの転動体4及び内輪2の長径raの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方と、内輪2の長軸xa上に位置する1つのポケット17及び内輪2の長軸xaの近傍に位置する1つ又は2つのポケット17のフランジ部28及びポケット面14との接触によって、玉軸受6Aにおける移動が拘束される。このように、内輪2の長径raの位置及び内輪2の長径raの近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つの転動体4と、内輪2の長軸xa上及び内輪2の長軸xaの近傍に夫々順次移動してくる2つ又は3つのポケット17夫々のフランジ部28及びポケット面14との接触によって、保持器7Aの玉軸受6Aにおける移動が拘束される。
一方、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4が、内輪2の回転に伴い長径raの位置から短径rbの位置側に移動すると、この移動した転動体4とこの転動体4が収容されたポケット17のフランジ部28及びポケット面14との接触は解消され、転動体4による保持器7Aの支持は解消される。
上述のように、玉軸受6Aのフランジ部28とポケット面14とは、玉軸受6のフランジ部26と同様に作用し、玉軸受6Aは玉軸受6と同様の作用効果を奏する。具体的には、ポケット17のフランジ部28及びポケット面14は、保持器7Aの玉軸受6Aにおける移動を拘束することができ、玉軸受6Aにおける保持器7Aの振動を防止又は低減することができる。また、玉軸受6Aのポケット17は、保持器7Aの変形を抑制することができる。
上述のように、転動体4の軌道上の一方の内輪2の長径raの位置に転動体4が位置しているとき、転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置の近傍に位置する2つの転動体4は、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4とおおよそ同様に作用するとしたが、この転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方は、内輪2の長径raの位置に位置する転動体4と同様に作用するようにしてもよい。具体的には、転動体4の軌道上の一方の内輪2の長径raの位置に位置する転動体4と、転動体4の軌道上の他方の内輪2の長径raの位置の近傍に位置する2つの転動体4の少なくとも一方とが、ポケット17のフランジ部28及びポケット面14と接触するようになっていてもよい。
このように、本発明の第4の実施の形態に係る玉軸受6Aによれば、波動歯車装置100において、保持器7Aの変形を防止しつつ、保持器7Aの振動を防止することができる。
なお、フランジ部27は、上記本発明の第2の実施の形態に係る玉軸受6のフランジ部23と同様に変形することができる。つまり、フランジ部28は、図17に示すように、傾斜面29ではなく段差面25と同様の段差面を有するものであってもよい。また、フランジ部28は、図18に示すように、ポケット軸線x1周りにポケット面14に沿って断続して突出していてもよい。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る玉軸受1,1A,6,6Aに限定されるものではなく、本発明の概念及び請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
1,1A,6,6A…玉軸受、2…内輪、2a…外周面、3…外輪、3a…内周面、4…転動体、5,5A,7,7A…保持器、5a…内周面、5b…外周面、5c…爪部、5d…先端部、5e…開放面、5f…開放部、10,13,16,17…ポケット、10a,10b…接続部、11,14…ポケット面、12,15…逃げ部、20,23,26,28…フランジ部、21,24,27,29…傾斜面、21a…内側端、22,25…段差面、22a,25a…環状面、22b,25b…筒面、22c,25c…接続部、20a,23a…フランジ部片、24a…外側端、100…波動歯車装置、101…ウェーブジェネレータ、102…カム、103…フレックススプライン、103a…歯、104…サーキュラスプライン、104a…歯、A,B,C,E,F…断面、p1,p2…位置、r1,r1a,r1b,r1c,r2,r3,r4,r5,rp1,rp2…径、ra…長径、rb…短径、s1,s2…範囲、x…軸線、x1…ポケット軸線、xa…長軸、xb…短軸
Claims (8)
- 変形可能な内輪と、前記内輪の外側に設置された変形可能な外輪と、前記内輪と前記外輪との間に設けられた複数の球状の転動体と、前記複数の転動体が夫々収容される複数のポケットが周方向に間隔を空けて設けられた保持器とを備える玉軸受であって、
前記複数のポケットの各々は、径方向に延びる軸線の周りに広がる面であるポケット面と、前記ポケット面より前記軸線側に突出する部分であるフランジ部とを有しており、
前記ポケット面は、隙間を介して前記転動体を収容するようになっており、
前記フランジ部は、少なくとも前記内輪の短径の位置に位置する前記転動体に径方向内側から接触するようになっている、または、少なくとも前記内輪の長径の位置に位置する前記転動体に径方向外側から接触するようになっている、
玉軸受。 - 前記フランジ部は、前記接触の際に、前記ポケットを前記転動体に対して相対移動不能にするようになっている、
請求項1に記載の玉軸受。 - 前記フランジ部は、前記接触の際に、前記ポケット面と共に、前記ポケットを前記転動体に対して相対移動不能にするようになっている、
請求項1に記載の玉軸受。 - 少なくとも前記内輪の短径の位置に位置する前記転動体に径方向内側から接触するようになっている前記フランジ部を有する前記玉軸受において、
前記フランジ部の前記軸線上の範囲内の径方向の所定の位置において前記軸線に直交する断面における前記フランジ部の径と、前記内輪の短径の位置に位置する前記転動体の前記短軸における前記径方向の所定の位置において前記短軸に直交する断面における前記転動体の径とが同じ値となっている、
請求項2に記載の玉軸受。 - 少なくとも前記内輪の長径の位置に位置する前記転動体に径方向外側から接触するようになっている前記フランジ部を有する前記玉軸受において、
前記フランジ部の前記軸線上の範囲内の径方向の所定の位置において前記軸線に直交する断面における前記フランジ部の径と、前記内輪の長径の位置に位置する前記転動体の前記長軸における前記径方向の所定の位置において前記長軸に直交する断面における前記転動体の径とが同じ値となっている、
請求項2に記載の玉軸受。 - 前記ポケットの各々において、前記フランジ部は、径方向内側において前記ポケット面に隣接して設けられている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の玉軸受。 - 前記ポケットの各々において、前記フランジ部は、径方向外側において前記ポケット面に隣接して設けられている、
請求項1から3のいずれか1項に記載の玉軸受。 - 前記フランジ部は、前記軸線方向において前記転動体に接触する方向の側に向かって拡径する前記軸線周りに延びる面を有している、
請求項1から5のいずれか1項に記載の玉軸受。
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-
2023
- 2023-04-24 WO PCT/JP2023/016099 patent/WO2024075327A1/ja unknown
Patent Citations (2)
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JPS6272945A (ja) * | 1985-09-26 | 1987-04-03 | Toshiba Corp | 楕円軌道ころがり軸受 |
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