JP7321529B2 - Ptc面状発熱体 - Google Patents

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Description

本発明は、PTC面状発熱体に関する。
キュリー温度付近で抵抗値が急増し通電時に自己温度制御機能を有するPTC(正の温度係数)抵抗体は、セラミック材料、高分子材料などで古くから知られている。例えば、ポリエチレンや各種エラストマー等からなるベースポリマーに、カーボンブラック、グラファイト、金属粉末、ワックス、バインダーなどの材料を有機溶媒に分散させたPTC塗料が調製され、このPTC塗料が高分子フィルム等に印刷されることで形成された高分子材料によるPTC抵抗体が知られている。このようなPTC抵抗体を用いて、PTC面状発熱体が作製されている。また、別の形態として、有機溶媒を使わず、前記の材料を混練し、電極線とともに線状又はシート状に押出し成形して形成されたPTC発熱体が知られている。
図7は、従来の高分子材料によるPTC面状発熱体70の一般的構造を示す。図7に示すPTC面状発熱体70は、例えば次のように作製される。ポリエステル・フィルム等の基材60の表面に、一対の櫛形電極61,62が溶剤系の銀ペースト等の印刷により形成される。この櫛形電極61,62の櫛歯部の上にPTC塗料63が印刷されて、表面が露出状態のPTC抵抗体が形成される。この表面が露出したPTC抵抗体の表面に、変性ポリエチレン系等の熱融着性樹脂がラミネートされたポリエステル・フィルム64が被せられる。全体の熱圧着により熱融着性樹脂が融けて上下のポリエステル・フィルムが強固に接着され、防水性と絶縁性が確保された構造のPTC面状発熱体が形成される。櫛形電極61,62の共通電極部の両端には電源コードが接続され、PTC面状発熱体70は、通電により自己温度制御された発熱体として動作する。
別の構造を有するPTC面状発熱体も知られている。例えば、ポリエステル織布や不織布の表面にPTC塗料が印刷され、一対の電極体とともに表裏から接着剤がラミネートされたポリエステル・フィルムに挟まれ、それらが熱圧着により封止される構造も提案されている。
また、従来の高分子材料による各種PTC面状発熱体では、溶剤系のPTC塗料による面状発熱体も非溶剤系の押出成形による線状、面状の発熱体も、製造には、特性の安定化を図る工程が必要とされている。すなわち、発熱体完成後、100℃以上の高温で数時間のアニールを複数回繰り返す工程が必要とされる。
上記に挙げた従来の高分子材料による各種PTC面状発熱体の優れている点は、次の通りである。
(1)既存の汎用材料、設備、及び工法を利用できるので、製造ラインを容易に構築できる。
(2)PTC塗料にも混練物にも対応でき、印刷も押出成形もできるので製品化の自由度が高い。
(3)PTC抵抗体のベースポリマーの軟化点付近でのPTC特性は緩慢であるが、融点付近ではカーボン粒子間の伸縮が大きく、急峻なPTC特性が発現する。
以上のようなPTC面状発熱体が例えば特許文献1~11に開示されている。
特公昭44-3826号公報 特公昭59-2693号公報 特開昭56-13689号公報 特開昭61-181859号公報 特開昭63-265961号公報 特開平04-306582号公報 特開平05-152056号公報 特開2001-076848号公報 特開2005-150663号公報 特開2009-193904号公報 特開2010-244971号公報
本発明は、優れたPTC面状発熱体を提供することを目的とする。
本発明の一態様によれば、PTC面状発熱体は、絶縁性の第1の被覆材と、前記第1の被覆材の周辺部に固定された絶縁性の枠と、前記枠を介して前記第1の被覆材との間に所定の間隔をあけて前記第1の被覆材と対向するように前記枠に対して固定された絶縁性の第2の被覆材と、前記第1の被覆材と前記枠と前記第2の被覆材とによって形成された内部空間に伸縮可能に配置されたPTC抵抗体と、前記PTC抵抗体と接触するように、前記内部空間の前記PTC抵抗体よりも前記第2の被覆材側に配置された一対の導電性介在物と、各々の少なくとも一部が前記導電性介在物と前記第2の被覆材との間で対応する前記導電性介在物と接触するように配置されていることで、前記導電性介在物を介して前記PTC抵抗体と柔接触している一対の電極とを備える。
本発明によれば、優れたPTC面状発熱体を提供できる。
図1は、本実施形態に係るPTC面状発熱体の構成例の概略を示す図であり、PTC面状発熱体を上面から透視した状態を示す図である。 図2Aは、PTC面状発熱体を分解した状態を示す図であり、絶縁性の第1の被覆材の上に枠を乗せ、できた凹部にPTC抵抗体を配置し、その両端部に一対の導電性介在物を配置した図である。 図2Bは、PTC面状発熱体を分解した状態を示す図であり、嵩上げ用の絶縁性の枠を示す図である。 図2Cは、PTC面状発熱体を分解した状態を示す図であり、絶縁性の第2の被覆材に一対の電極を配置した状態を示す図である。 図3は、図1に示すIII-III線に沿ったPTC面状発熱体の横断面の概略を示す模式図である。 図4は、実施例1,2,3及び比較例1に関するPTC特性の測定結果を示す。 図5は、実施例4及び比較例2,3に関するPTC特性の測定結果を示す。 図6は、測定日数に対する実施例1及び比較例4に関するRa変化率を示す。 図7は、従来の高分子材料によるPTC面状発熱体の一般的構造を示す図である。
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。本実施形態は、PTC面状発熱体に関する。PTC面状発熱体では、一般には溶剤タイプのPTC塗料が用いられているのに対して、本実施形態のPTC面状発熱体では、水性PTC塗料が用いられている。また、本実施形態のPTC面状発熱体は、水性PTC塗料が用いられていても、優れた特性を発揮する構造を有している。
従来から知られている各種PTC面状発熱体は、優れたPTC特性を有し、その製造ラインの構築が容易である。しかしながら、次のような問題点が存在する。
(1)押出し成形タイプのPTC抵抗体は、フィルムのように薄くすることができず、用途が限定される。
(2)塗料タイプのものは薄くできるが、溶剤で粘度調整をしなければならず、環境保護の点で問題がある。
(3)従来の高分子材料を使うものは、最後に行われるアニール工程が長大な待ち時間を要して生産効率を著しく低下させ、費用が高くなりやすい。
本実施形態のPTC面状発熱体は、近年環境保護のため規制が厳しくなっている有機溶剤を使用せずに、水性の高分子材料を用いている。それにも関わらず、このPTC面状発熱体は、鋭いPTC特性を有する。また、本実施形態のPTC面状発熱体では、従来の高分子材料を用いたPTC抵抗体の構成材料に固有の性質に起因すると考えられる最終工程でのアニール時間が大幅に短縮される。その結果、本実施形態のPTC面状発熱体は、量産性がよく安価である。
図1は、本実施形態に係るPTC面状発熱体10の構成例の概略を示す図であり、PTC面状発熱体10を上面から透視した状態を示す図である。図2A乃至図2Cは、PTC面状発熱体10を分解した状態を示す図である。図3は、図1に示すIII-III線に沿ったPTC面状発熱体10の断面の概略を模式的に示す図である。
[PTC面状発熱体の構造の概要]
PTC面状発熱体10の構造の概要について説明する。PTC面状発熱体10は、発熱素子としてのPTC抵抗体4を備える。PTC抵抗体4は、塗布基材3aと、塗布基材3aの上に水性PTC塗料が塗布されて形成されたPTC塗布膜3bとを含む。PTC面状発熱体10において、PTC抵抗体4は、絶縁性かつ難燃性の被覆体の内部空間に収容されている。この被覆体は、互いに対向する第1の被覆材1及び第2の被覆材2と、第1の被覆材1と第2の被覆材2との間隔を調整する枠8とを有する。PTC抵抗体4は、第1の被覆材1と第2の被覆材2との間に、伸縮可能に接着されることなく配置されている。
PTC面状発熱体10は、PTC抵抗体4に電力を供給するための、一対の電極5を備える。一対の電極5は、第1の電極5aと第2の電極5bとを含む。第1の電極5a及び第2の電極5bは、第2の被覆材2に固定されている。第1の電極5a及び第2の電極5bは、PTC抵抗体4には直接は接続されていない。第1の電極5aとPTC抵抗体4との間には、第1の導電性介在物6aが配置されており、第1の電極5aは第1の導電性介在物6aを介してPTC抵抗体4に接続されている。第2の電極5bとPTC抵抗体4との間には、第2の導電性介在物6bが配置されており、第2の電極5bは第2の導電性介在物6bを介してPTC抵抗体4に接続されている。第1の導電性介在物6aと第2の導電性介在物6bを合わせて導電性介在物6と称することにする。
[各部の詳細]
PTC面状発熱体10の各部の詳細について説明する。
〈被覆体の構成〉
被覆体を構成する第1の被覆材1、第2の被覆材2、及び枠8は、例えば、難燃性のポリエステル・フィルムにより形成される。第1の被覆材1は、長方形をしている薄板である。枠8は、第1の被覆材1の周辺部に固定された絶縁性の部材である。枠8は、図2Bに示すように、第1の被覆材1の外縁と一致する外縁を有し、内部が抜かれた形状を有する。図2Aに示すように、枠8は、外縁を一致させるように第1の被覆材1の上に重ねられ、接着される。このようにして、第1の被覆材1の周縁部が枠8によって嵩上げされた状態になる。枠8の上に第2の被覆材2が重ねられて固定されることで、第1の被覆材1と第2の被覆材2との間に間隙が設けられる。
嵩上げのため、嵩上げ分だけ第1の被覆材1と第2の被覆材2とを接着する接着剤を厚く塗布してもよい。この場合、接着剤が枠8として機能する。ただし、厚さ管理の点からは、本実施形態のように、第1の被覆材1及び第2の被覆材2と同じ材料の枠8を用いることが好ましい。第1の被覆材1と枠8とは一体成形されていてもよい。
枠8の内側には、図2A及び図3を参照して後述するように、PTC抵抗体4が、塗布基材3a側が第1の被覆材1に接するようにPTC塗布膜3bを上側にして、収容される。第2の被覆材2は、図1に示すように、第1の被覆材1及び枠8よりも長辺が長い長方形をしている薄板である。第2の被覆材2の一端側は、第1の被覆材1及び枠8からはみ出すように配置されている。
絶縁性被覆材として機能する第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8は、強度と絶縁性と難燃性とを確保する必要がある。第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、塩化ビニル等といった高分子を素材にした高分子フィルムであり得る。第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8の接着性と耐熱性と剛性とを確保する上では、ポリエステル・フィルムが好適である。さらに、第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8は、内包するPTC抵抗体4が伸縮しても、外被としての機械的強度と耐熱性及び難燃性が確保され、また寸法安定性が確保される必要がある。このため、難燃グレードのポリエステル・フィルムを結晶化処理して硬くし、機械的強度と耐熱強度とを上げて、第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8として使用するのが好適である。ここで、結晶化処理は、一般的に知られているポリエステル樹脂の結晶化温度である約130℃以上、好ましくは140℃以上に加熱後、徐冷することによって達成される。
〈PTC抵抗体の構成〉
(塗布基材)
PTC抵抗体4の塗布基材3aとしては、汎用の高分子フィルムが用いられ得る。汎用の高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、塩化ビニル等を素材にしたものが等広く知られている。これらの汎用の高分子フィルムの中でも、塗布基材3aとして、特に、耐熱性があり安価なポリエステル・フィルムが用いられ得る。
多くの高分子フィルムの中から、特に汎用ポリエステル・フィルムが選択される理由として以下が挙げられる。本実施形態のPTC抵抗体4は、水性PTC塗料を用いて作製される。水性PTC塗料は、乾燥してPTC抵抗体4を形成したときに熱による伸縮が大きくなければならない。そのため、PTC塗料の中に接着硬化性の強い材料を多量に含ませることができない。したがって、PTC塗料の基材への接着性は、比較的弱い。ポリエステル・フィルムは、このようなPTC塗料に対してコロナ放電等の簡単な表面活性化処理で十分な接着性を確保できる。さらに、ポリエステル・フィルムは、ある程度の剛性と耐熱性を持ちながら、熱による伸縮が大きい。また、ポリエステル・フィルムは、汎用で安価である。
ポリエステル・フィルムは、次のような熱履歴性を強く示す性質を有する。汎用ポリエステル・フィルム基材は、PTC面状発熱体10の製造工程における加熱及び冷却や、製品として動作する際の通電加熱及び冷却の際に、例えば2軸延伸といった塗布基材3a単体の製造段階での伸展応力の履歴に基づいて、縦横方向に任意に伸縮を繰り返す性質がある。この塗布基材3aの適度な剛性と伸縮が、PTC塗布膜3bの伸縮を増幅する。その結果、水性のPTC塗料を用いたPTC抵抗体4であっても、PTC塗布膜3b中のカーボン粒子間の伸縮が増幅され、鋭いPTC特性が発現する。
(PTC塗布膜)
本実施形態のPTC抵抗体4のPTC塗布膜3bは、水性PTC塗料を用いて作製される。この水性PTC塗料は、例えば、水性のカーボン・ペースト、ポリウレタン・エマルジョンのバインダー、ワックス・エマルジョン、及びホウ酸を含む。
水性のカーボン・ペーストは、カーボンブラックを分散剤により水性の分散体にしたものである。このようなカーボン・ペーストは、帯電防止用や電磁波遮蔽用として広く市販されている。カーボン・ペーストには、イオン性としてアニオン系、カチオン系、ノニオン系のものがある。予備実験によれば、PTC特性は、「アニオン系 > ノニオン系 > カチオン系」の順序で優れていた。したがって、これに限らないが、アニオン系のカーボン・ペーストが用いられることが好ましい。
水性のバインダーは、アクリル系、ウレタン系、フェノール系、エポキシ系等が知られている。乾燥後の塗布膜の柔軟さや弾力性の点より、これに限らないが、ポリウレタン・エマルジョンのバインダーが好ましい。
ワックス・エマルジョンは、パラフィン系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、アマイド系等がよく知られており、イオン性としてアニオン系、カチオン系、ノニオン系のものがある。予備実験によれば、PTC特性は、パラフィン系とポリエチレン系のワックス・エマルジョンを適宜混合したもので優れていた。したがって、これに限らないが、パラフィン系とポリエチレン系のワックス・エマルジョンが用いられることが好ましい。
一般に、水性のカーボン・ペーストと、ポリウレタン・エマルジョンのバインダーと、ワックス・エマルジョンとの混合塗料は、乾燥後そのままでは、測定加熱や通電加熱のサイクルごとに成分が軟化して流動的になる。そのため、冷却時に混合塗料中のカーボン粒子の凝集が起こり易い。その結果、常温抵抗値の増加や最大抵抗値の低下など、PTC特性の低下が生じ得る。
流動性を抑制するためには架橋剤の使用が一般的である。水性塗料の場合、以下が言える。
(1)一般に架橋剤は疎水性の高分子の粉末又は液体であり、このような架橋剤を水性PTC塗料に添加した場合、分散が悪く、均一な架橋が期待できない。
(2)水系の架橋剤もあるが、水系の架橋剤は、高価であったり、紫外線照射が必要であったりするため、量産性に乏しい。
(3)一般に架橋剤は反応温度が100℃以上と高く、高温ではPTC抵抗体の基材の熱変形やPTC塗料の成分の変質を招くので、このような架橋剤の使用は困難である。
そこで、カーボン・ペーストに関する架橋に限らず、他の構成材料に関する架橋を含めて混合塗料の硬化作用が見込まれる種々の材料を検討した。その中で、水素結合で物質を架橋する作用があることが知られているホウ酸に着目し、予備実験を行った。その結果、ホウ酸によれば、上述のPTC塗料に対して常温で硬化作用が働き、粘度調整の効果があることがわかった。そこで、PTC塗料中のカーボン粒子の流動と凝集を抑制できるものとして、ホウ酸を選択した。水溶性のホウ酸は、PTC塗料の材料が水性なので、粉体のまま混合してもよいし、少量のお湯等に溶かして混合してもよい。なお、ホウ酸に置き換わるものとしてリン酸を用いることも考えられるが、強い酸性になるため好ましくない。
〈電気的接続に関する構成〉
第1の被覆材1と第2の被覆材2との間の枠8の内側には、図2A及び図3に示すように、PTC抵抗体4が、塗布基材3a側が第1の被覆材1に接するようにPTC塗布膜3bを上側にして、収容される。加熱及び冷却に伴うPTC抵抗体4の伸縮を妨げないためには、PTC抵抗体4とそれを覆う第1の被覆材1及び第2の被覆材2との間を接着剤等によって固定しないことが必要である。さらに、PTC抵抗体4に電力を供給する電極についても、PTC塗布膜3bと金属電極とを直接接触させると、製造工程や通電動作による加熱によって、高分子材料で形成されたPTC抵抗体4と電極との間が強固に接着しやすい。このような強固な接着は、PTC抵抗体4の伸縮を妨げることになる。PTC抵抗体4と電極5との間の接着を防ぐため、本実施形態に係るPTC面状発熱体10では、PTC抵抗体4と電極5との間には、導電性を有し、弾力性及び滑性等を有する介在物によって柔接触構造を形成している。
すなわち、図2Aに示すように、PTC抵抗体4の対向する2辺に沿って、PTC抵抗体4の両端部にはそれぞれ、第1の導電性介在物6aと第2の導電性介在物6bとが配置されている。第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bは、例えば、細長くカットされたカーボン不織布である。
PTC抵抗体4と電極5との間の柔接触の手段としては、様々な構造が考えられる。例えば、被覆電線の被覆に導電性を持たせて柔接触させる構造、金属編組テープを電極体として用いることで柔接触のための部材と電極のための部材とを兼用させる構造、又は、カーボンの長繊維束による接触構造等が考えられる。これらのうち、電線の被覆に導電性を持たせる方法では、電線状の電極が太くなり、フィルム・ヒーターの薄さの利点を失わせるので、この方法は好ましくない。金属編組テープを用いる方法は、加熱時に金属編組テープがPTC抵抗体4へ深く食い込み、PTC抵抗体4を局部的に切断する可能性があり、また、金属編組テープは高価であるため、この方法は好ましくない。カーボンの長繊維束を用いる方法は、カーボンの長繊維束は、屈曲に極めて弱く、また、カーボンの長繊維束は高価であるため、この方法は好ましくない。
そこで、導電性短繊維のシート状成形物に着目した。すなわち、本実施形態では、導電性短繊維のシート状成形物を適切に裁断し、これを導電性介在物6として用いる柔接触構造が採用されている。導電性短繊維のシート状成形物としては、銅細線又はステンレス細線による不織布等も考えられる。ただし、金属製の不織布は、加熱時にPTC抵抗体4に食い込みPTC抵抗体4を局部的に切断する可能性があり、繊維であっても硬いバリが出やすくその除去処理に手間が掛かり、価格も高い。カーボン長繊維の残材から成形されるカーボン不織布は、本実施形態に係る導電性介在物6として、安価で好適である。
第2の被覆材2の第1の被覆材1と対向する面には、図2Aに示す第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bとそれぞれ重なるように、一対の第1の電極5aと第2の電極5bとが、図2Cに示すように貼り付けられる。ここで、図1及び図2Cに示すように、第1の電極5a及び第2の電極5bの一端は、第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bよりも長く、第2の被覆材2の第1の被覆材1及び枠8からはみ出している側の端部まで延長されている。第1の電極5a及び第2の電極5bの第1の被覆材1及び枠8からはみ出している部分において、リード線が、第1の電極5a及び第2の電極5bに接続される。
第1の電極5a及び第2の電極5bには、片面に非溶剤系の粘着剤が付いた銅箔テープが用いられることが好ましい。銀ペーストの使用も考えられるが、銀ペーストは、溶剤系であり、かつ高価なので、その使用は好ましくない。これに対して、金属テープが材料として適切であり得る。金属テープの中でも、銅箔テープは、汎用で安価で入手が容易である。
[PTC面状発熱体の製造方法]
本実施形態のPTC面状発熱体10は、次のように製造される。
図2Aに示すように、第1の被覆材1の上に枠8が貼り付けられる。第1の被覆材1と枠8との接着には、例えば変性シリコーン系接着剤が用いられ得る。第1の被覆材1と枠8とによって形成された凹部に、PTC抵抗体4がPTC塗布膜3bを上にして収納される。さらに、PTC抵抗体4の両端部には細長くカットされたカーボン不織布の導電性介在物6が配置される。このようにして、図2Aに示すような第1の組立体11が準備される。
図2Cに示すように、第2の被覆材2の上に電極5が貼り付けられて、第2の組立体12が準備される。第2の組立体12が裏返しにされて、上述の第1の組立体11の上に接着される。このとき、第2の被覆材2は、電極5が第2の被覆材2の外縁まで延長されていない側の辺が、枠8の外縁と一致するように、接着される。第2の被覆材2の周辺部と枠8とは、例えば、変性シリコーン系接着剤により接着封止される。このとき、電極5は、導電性介在物6の上に重ねられ、導電性介在物6と接触する。
このようにして、PTC抵抗体4の端部と、カーボン不織布の導電性介在物6と、銅箔テープの電極5とが、積層状態になる。導電性介在物6の弾性により、機械的及び電気的な柔接触が実現される。なお、PTC抵抗体4のPTC塗布膜3bと第2の被覆材2との間の空隙部には、適切な厚さの熱伝導性シートや、熱伝導性織布が挟まれてもよい。
[PTC面状発熱体について]
本実施形態によれば、有機溶剤を用いず、水性の高分子材料を用いて鋭いPTC特性を有するPTC面状発熱体10が提供され得る。一般に水性の塗料は、溶剤系の塗料よりも溶質の密度が薄く、例えば溶剤系の塗料を用いるように外装に直接塗ってPTC面状発熱体を作製しても、優れたPTC特性が発揮されない。これに対して本実施形態では、塗布基材3aに水性PTC塗料を塗布することで、塗布基材3aによって加熱・冷却に対するPTC抵抗体4の伸縮が増幅され、鋭いPTC特性を有するPTC面状発熱体10が提供され得る。
本実施形態のPTC面状発熱体10は、PTC抵抗体4が外装に対して固定されていない。導電性介在物6を有し、PTC抵抗体4と電極5との間が柔接触である構造によって、PTC面状発熱体10の厚みが若干増すものの、PTC抵抗体4は何にも接着固定されていない。したがって、PTC抵抗体4は加熱・冷却による伸縮の自由度が大きく、その結果、PTC面状発熱体10は、鋭いPTC特性を有する。
一般に、溶剤系のPTC塗料を用いる場合、組立後の加熱・冷却の繰り返しによりPTC抵抗体の抵抗値が変化することがある。このため、性能が安定しているPTC面状発熱体とするためには、組立後に加熱・冷却を多数回繰り返すアニーリング工程が必要となり、この工程に長い時間を要する。これに対して、本実施形態のPTC塗布膜3bに用いられる水性PTC塗料の組成によれば、最終工程で行われるアニール時間が大幅に短縮され、量産性がよく安価なPTC面状発熱体10が提供され得る。
第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8に結晶化された難燃性ポリエステル・フィルムが用いられていることで、PTC抵抗体4に加熱・冷却に伴う伸縮があっても、外形変化の極めて少ないPTC面状発熱体10が提供され得る。
なお、PTC抵抗体4が接着固定されていないとは、その一部が接着固定されていたとしてもPTC抵抗体4がPTC特性を発揮する程度に十分に伸縮可能となるように多くの部分で接着されていない状態を含む。また、上述の実施形態では、PTC塗料として水性塗料を用いる場合を示したが、上述のPTC面状発熱体10の構造は、溶剤タイプのPTC塗料を用いたPTC面状発熱体にも適用され得る。
上述の実施形態は一例であり、種々の変更が可能である。さらにいくつかの変形例を挙げる。
[第1の変形例]
上述の実施形態では、電極5は第2の被覆材2に固定されており、製造時には、電極5が第2の被覆材2に固定された第2の組立体12が、第1の被覆材1、枠8、PTC抵抗体4、導電性介在物6を含む第1の組立体11に貼り合わされている。しかしながら、これに限らない。PTC面状発熱体10は、例えば次のように製造されてもよい。
上述の実施形態と同様に、第1の被覆材1の上に枠8が貼り付けられ、第1の被覆材1と枠8とによって形成された凹部に、PTC抵抗体4がPTC塗布膜3bを上にして収納される。例えば細長くカットされたカーボン不織布の導電性介在物6と、例えば銅箔の電極5とは、予めPTC塗料又は導電性塗料を用いて仮止め固定され、この導電性介在物6と電極5とはPTC抵抗体4の上の両端部に配置される。その後、凹部に蓋をするように第2の被覆材2が枠8に接着される。この場合、電極5は、粘着剤などを用いて第2の被覆材2に固定されてもよいし、第2の被覆材2に固定されなくてもよい。すなわち、完成したPTC面状発熱体10において、電極5は第2の被覆材2に固定されていなくてもよい。
あるいは、導電性介在物6と電極5とは第2の被覆材2に予めPTC塗料又は導電性塗料を用いて仮止め固定され、この導電性介在物6がPTC抵抗体4と接触しつつ凹部に蓋をするように第2の被覆材2が枠8に接着されてもよい。また、上述の実施形態及び変形例の何れにおいても、凹部を有する下側被覆材は、第1の被覆材1の上に枠8が貼り付けられることで形成されてもよいし、一体成形されてもよいし、枠が厚く塗布された接着剤などにより形成されてもよい。何れの場合も、下側被覆材は、第1の被覆材の周辺部に枠が固定された構成を有する。
このように、PTC面状発熱体10の製造においては、凹部を有する絶縁性の下側被覆材を準備し、この下側被覆材の凹部にPTC抵抗体4が配置される。そして、PTC抵抗体4と接触する一対の導電性介在物6とこの一対の導電性介在物6の各々と接触する一対の電極5とがPTC抵抗体4の上に設けられるとともに、凹部を覆うように下側被覆材の上に固定される第2の被覆材2が設けられる。このようにして、上述の実施形態に記載の機能を有するPTC面状発熱体10が製造される。
[第2の変形例]
PTCヒーター完成品としてしなやかさが求められることがある。このような用途向けには、第1の被覆材1、第2の被覆材2、塗布基材3a及び枠8に、フィルムではなくポリエステル織布が用いられてもよい。ここで、第1の被覆材1及び第2の被覆材2には、絶縁性強化と防水性のために、外表面が樹脂コートされたポリエステル織布が用いられてもよい。このようなPTC面状発熱体は、良好なPTC特性と、柔軟さ及びしなやかさとを兼備し得る。このようなPTC面状発熱体では、第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8の接着には、接着後も柔軟性を有する接着剤が使用され得る。なお、ポリエステル織布や不織布を基材としたPTC面状発熱体は知られているが、これらのPTC発現材料には従来型の高分子材料が用いられており、その場合、前述の問題点がある。
以下、PTC面状発熱体10の具体的な実施例を示す。
[水性PTC塗料を用いたPTC面状発熱体]
本実施例に係るPTC面状発熱体10において、第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8には、難燃性ポリエステル・フィルムである、ルミラー(登録商標)#500-H10(東レ社製)を使用した。ここで、第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8に対しては、予め結晶化処理を行った。結晶化処理では、対象物をアルミ板等で挟んで軽く荷重を掛けた状態で恒温槽を用いて145℃で30分加熱し、その後、恒温槽の電源を切り室温まで徐冷した。
第1の被覆材1の大きさは、130×90mm、厚さ0.5mmとした。枠8の大きさは、外寸が130×90mm、内寸が110×70mm、厚さが0.5mmとした。接着剤には、100℃程度の温度に耐えられる変性シリコーン系接着剤を用い、第1の被覆材1と枠8とを接着して硬化させた。枠8と接着剤の厚みによってできる第1の被覆材1と第2の被覆材2との間隔は、約0.7mmとした。
第2の被覆材2の大きさは、140×90mm、厚さ0.5mmとした。第1の電極5a及び第2の電極5bの各々の大きさは、130×10mm、厚さ0.07mmとした。第1の電極5a及び第2の電極5bの各々には、アクリル系エマルジョン・タイプの粘着剤が塗布され、これにより、第1の電極5a及び第2の電極5bを、第2の被覆材2に貼り付けた。
PTC抵抗体4を構成する水性PTC塗料において、水性のカーボン・ペーストには、カーボンブラックが水性分散体に加工されたアニオン系のライオンペーストW-310A(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)を使用した。ポリウレタン・エマルジョンのバインダーには、MC MAX BINDER 942C-U ECO(村山化学研究所社製)を使用した。ワックス・エマルジョンには、パラフィンワックスをエマルジョン化したノニオン系のEMUSTAR-0136(日本精蝋社製)と、アニオン系の酸化高密度ポリエチレンワックス・エマルジョンであるAQUACER 507(BYK社製)とを使用した。ホウ酸には、一般化学用の粉末品(健栄製薬社製)を使用した。
さらに、グラファイトとEVA(エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂)とを添加した。グラファイトとEVAとは、ポリエチレンや各種エラストマー等の従来の高分子材料をベースにしたPTC面状発熱体に一般的に使われている。グラファイトには、粉末状のCB-100(日本黒鉛社製)を使用した。EVAには、エマルジョン・タイプのスミカフレックス(登録商標)401HQ(住友化学社製)を使用した。
これらの材料を表1の実施例1のように配合し、よく撹拌・混合してペースト状にした。ここで、表1には、ここに記載されている成分の合計に対する各成分の比率が示されている。
Figure 0007321529000001
PTC抵抗体4の塗布基材3aには、汎用ポリエステル・フィルムを使用した。塗布基材3aの大きさは、109.5×69.5mm、厚さ0.3mmとした。塗布基材3aに対しては、コロナ放電処理を行った。
ペースト状の水性PTC塗料を用いて、コロナ放電処理した塗布基材3a上にPTC塗布膜3bをキャスト法で厚めに成膜し、風乾1時間後、70℃の温度で1時間乾燥し、PTC抵抗体4とした。PTC塗布膜3bの厚さは、約0.2mmとした。したがって、PTC抵抗体4の厚さは、約0.5mmとなった。
このようにして作成されたPTC抵抗体4を、第1の被覆材1上の枠8の内側に配置した。さらにPTC抵抗体4上には、カーボン不織布による第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bを配置した。第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bの大きさについては、幅は銅箔テープの第1の電極5a及び第2の電極5bと同じく10mmとし、長さはPTC抵抗体4に当接するように110mmとし、厚さは約0.5mmとした。
第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bを含む第1の組立体11の上に、第2の被覆材2に第1の電極5a及び第2の電極5bが貼り付けられた第2の組立体12を、第1の電極5a及び第2の電極5bがそれぞれ第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bの上に重なるように配置し、枠8と第2の被覆材2とを接着した。
上述のとおり、枠8と接着剤の厚みによってできる第1の被覆材1と第2の被覆材2との間隔は、約0.7mmである。一方、PTC抵抗体4の厚さは約0.5mmであり、圧縮された第1の導電性介在物6a及び第2の導電性介在物6bと第1の電極5a及び第2の電極5bとの厚さの合計は、最大0.7mmと見積もられる。
以上のように組み立てて、PTC面状発熱体10を作製した。
表1に示した実施例1のPTC塗料の配合は、予備的配合実験において、かなり良好なPTC特性を示した配合である。この配合を基本として、表1に示した実施例2及び実施例3の配合のPTC塗料も作製した。実施例2では、PTC塗料の配合において、カーボン・ペーストを、アニオン系のライオンペーストW-310Aからノニオン系のW-376R(ライオン・スペシャリティ・ケミカルズ社製)に変更した。実施例3では、PTC塗料の配合において、パラフィンワックス・エマルジョンを、ノニオン系のEMUSTAR-0136からアニオン系のEMUSTAR-0135(日本精蝋社製)に変更した。
さらに、実施例4として、実施例1と構造が異なるPTC面状発熱体を作製した。実施例4に係るPTC面状発熱体は、柔らかくしなやかな構造体を有する例である。PTC抵抗体4の塗布基材3a及び枠8の材料として、厚さ0.7mmのポリエステル織布を用いた。また、第1の被覆材1及び第2の被覆材2の材料として、片面に塩化ビニルでコートされた厚さ0.6mmのポリエステル織布を使用した。その他の構成は、基本的に実施例1の場合と同様である。すなわち、電極5及び導電性介在物6の構成は、実施例1の場合と同じとした。各材料の形状及び寸法、並びに使用する接着剤は、実施例1の場合と同じとした。また、PTC塗料の配合やPTC抵抗体4の製造方法も実施例1の場合と同じとした。
比較例として、表1に示した比較例1の配合のPTC塗料も作製した。比較例1では、実施例1の配合物のうちホウ酸を除外する配合とした。
さらに、比較例2,3,4として、実施例1と構造が異なるPTC面状発熱体を作製した。比較例2に係るPTC面状発熱体は、実施例1と基本的に同じ配合と同様の構造を有しているが、実施例1の第2の被覆材2の電極間とPTC抵抗体4の塗布面とを、変性シリコーン系接着剤で全面的に接着する構造を有している。比較例3に係るPTC面状発熱体は、実施例1と基本的に同じ配合と同様の構造を有しているが、導電性介在物6を配置しないこととした。このPTC面状発熱体では、代わりに、PTC抵抗体4の非塗布面と第1の被覆材1との間に厚さ約0.3mmの熱伝導性シリコーンゴム・シートを挿入し、PTC抵抗体4の塗布面と電極5とが直接接触する構造とした。比較例4に係るPTC面状発熱体は、実施例1と基本的に同じ配合と同様の構造を有しているが、第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8に対し、結晶化処理を施さないものとした。
[PTC特性の測定]
実施例1,2,3,4及び比較例1,2,3に関する試料について、PTC特性の測定を行った。測定方法は以下のとおりである。試料を恒温槽に設置し、25℃から略10℃ステップで昇温させた。十分な安定時間を設けて試料の抵抗値を抵抗計により測定した。
また、実施例1及び比較例4に関する試料について、前記測定方法と同じ条件で、毎日1回、25℃から100℃までのPTC特性の測定を行い、これを7日間繰り返し、毎日の25℃における抵抗値であるRaの値を測定した。
図4は、実施例1,2,3及び比較例1に関するPTC特性の測定結果を示す。実施例1,2,3及び比較例1は、PTC塗料の配合が互いに異なる例である。図5は、実施例4及び比較例2,3に関するPTC特性の測定結果を示す。実施例4及び比較例2,3は、実施例1と構造が互いに異なる。図4及び図5では、横軸が温度を示し、縦軸が抵抗比率RRを示す。ここで、抵抗比率RRは、各温度における抵抗値を、25℃における抵抗値Raで除した値である。
また、図6は、測定日に対する実施例1及び比較例4に関するRa変化率を示す。ここで、Ra変化率は、1日目のRaに対する各測定日におけるRaの変化率をパーセント表示したものである。実施例1と比較例4とは、構造が互いに異なる。
[配合に関する評価]
キュリー温度は、Raが約2倍になる温度付近と言われている。PTC発熱体の立ち上り特性が急峻であればPTC発熱体の動作温度はキュリー温度付近になるとも言われている。またキュリー温度は各材料の性質によるとも言われている。実施例1のRaは、4.36kΩであった。実施例2のRaは、4.35kΩであった。実施例3のRaは、4.19kΩであった。比較例1のRaは、13.98kΩであった。
図4に示す各PTC特性は、25℃からキュリー温度を経て抵抗比率RRが立ち上がる60℃の温度域において、よく揃って急峻である。この結果より、選択した材料の基本的性質がイオン性や配合比率に影響され難く、非常に安定した内部の性質を形成していると言える。
一方、図4に示すように、PTC特性の抵抗比率RRが最大値RRmaxを示す領域は、実施例1,2,3を比較すると、イオン性との関係があまりはっきりしない。RRmaxに差が生じる原因としては、材料のイオン性のみならず、カーボン分散液や各エマルジョンに使われている分散剤の影響も受けているのではないかと予想される。したがって、材料選択の適否は個別の配合判断に委ねられると考えられる。
また、ホウ酸を配合しない比較例1では、実施例1に比べPTC特性の傾向(グラフの形全体)については大きな遜色は見られない。しかしながら、PTC塗料の粘度を上げることが難しいので塗布膜を厚くすることが困難であり、Ra値を下げることが困難であった。Ra値を下げられないと、ヒーターとしての消費電力を上げられず、ヒーターとしての基本的な性能に劣ることになる。したがって、ホウ酸を含有させることは、ヒーターとしての性能を向上させることに大きな効果を示すことが明らかになった。
[構造に関する評価]
図5に示すように、比較例2,3のキュリー温度付近の立ち上り特性は、実施例1,2,3と大差はなかった。すなわち、PTC面状発熱体の構造が大きく変わっても配合された材料のキュリー温度付近の性質は影響を受け難いことが明らかになった。実施例4のRaは、2.70kΩであった。比較例2のRaは、13.85kΩであった。比較例3のRaは、4.27kΩであった。
一方、PTC特性の抵抗比率の最大値RRmaxは、比較例2,3ともに大きく低下した。この低下の原因は、次のように考えられる。比較例2では、PTC抵抗体4と第2の被覆材2との接着によって、PTC抵抗体4の加熱・冷却時のPTC抵抗体4の伸縮が大きく阻害され、その結果、RRmaxが低下したと考えられる。また、比較例3では、PTC抵抗体と電極とが導電性介在物6を介さずに直接接触しているので、加熱により両者が接着状態となり、加熱・冷却時のPTC抵抗体4の伸縮が大きく阻害され、その結果、RRmaxが低下したと考えられる。
このように、本発明によるPTC特性は、従来のPTC面状発熱体と同様に、PTC塗布膜3bの加熱・冷却時の伸縮に基づくが、従来のPTC面状発熱体よりも以下の優れた特徴を有する。すなわち、PTC抵抗体4の塗布基材3aが加熱・冷却時の伸縮を妨げないことによって、PTC塗布膜3bの伸縮に対して増幅作用が働く。このことは、大きなPTC特性の発現に関して極めて大きな効果があることが分かった。
図5に測定結果を示す実施例4では、骨格となるPTC抵抗体4の塗布基材3a、第1の被覆材1、第2の被覆材2、及び枠8の全てが柔らかいポリエステル織布で構成されている。織布は、多くの繊維の束から成っており、隣接する繊維間に遊びと滑りがあり、加熱・冷却に於ける繊維の伸縮応力を平面方向へ伝え難い構造になっている。したがって、織布のPTC抵抗体4の塗布基材3aは、加熱・冷却時にポリエステル・フィルムのように大きな伸縮はしない。その結果、PTC特性の発現は主としてPTC塗布膜3b自体の伸縮のみとなり、PTC特性はキュリー温度付近までは、実施例1,2,3と同様であるが、RRmaxは大きく低下したものと考えられる。
実施例4のPTC特性の測定結果を示すグラフの形状は、PTC抵抗体の基材の伸縮を故意に妨げた比較例2,3のPTC特性の測定結果を示すグラフの形状と似ている。本実施例の測定結果に基づいて総合的に判断すると、PTC抵抗体4の塗布基材3aの伸縮がなければ、PTC塗布膜3bの伸縮は増幅されないと考えられる。
[安定性に関する評価]
図6に示すように、実施例1では、測定を繰り返す毎に、Ra値は安定化している。この結果は、アニール効果のある事を示している。この変化を最終工程でのアニール条件に置き換えれば、この処理における必要な温度は100℃程度、時間は30分程度、回数は2回程度と見積もられる。これらの値は、従来の高分子材料によるPTC面状発熱体の場合に比べて極めて小さい。このように、本実施形態に係るPTC面状発熱体10の場合、従来の高分子材料によるPTC面状発熱体の場合と比較して、アニール時間の大幅な短縮が図れることが明らかになった。
図6において、比較例4の結果は、測定を繰り返してもRaは安定化せず、むしろ変化率は増加する傾向を示している。試料を観察すると、繰返し測定の加熱・冷却によってPTC面状発熱体の全体にわたり、はっきり視認できるほどの湾曲と捻じれの変形が認められた。これは、実施例1との比較より、第1の被覆材1、第2の被覆材2及び枠8に対し結晶化処理を施していないことによる差であることは明白である。
このように、「配合に関する評価」と「構造に関する評価」で明らかになった「PTC抵抗体の伸縮を阻害する」ことによってPTC特性の低下を招くのみならず、「安定性に関する評価」ではPTC抵抗体の伸縮方向と外装の伸縮方向が異なることによってもPTC抵抗体の伸縮が妨げられ、PTC特性の低下を招くことが明らかになった。
以上説明したように本実施形態に係るPTC面状発熱体10では、塗布基材3aに水性PTC塗料が塗布されてPTC塗布膜3bが形成されたPTC抵抗体4は、表裏の絶縁性被覆材である第1の被覆材1及び第2の被覆材2と同材質の枠8とで形成された空隙に収納され、導電性介在物6を介して電極5に柔接触している。その結果、加熱・冷却時のPTC抵抗体4の伸縮が妨げられず、鋭いPTC特性が発現するとともに、最終工程でのアニール時間が大幅に短縮され、量産性がよく安価なPTC面状発熱体が提供される。
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
本実施形態に係るPTC面状発熱体10は、例えば、床暖房などの面状採暖具、車両用及び蓄電用のバッテリーの保温などに用いることができる。
10 PTC面状発熱体
1 第1の被覆材
2 第2の被覆材
3a 塗布基材
3b PTC塗布膜
4 PTC抵抗体
5 電極
5a 第1の電極
5b 第2の電極
6 導電性介在物
6a 第1の導電性介在物
6b 第2の導電性介在物
8 枠
11 第1の組立体
12 第2の組立体

Claims (10)

  1. 絶縁性の第1の被覆材と、
    前記第1の被覆材の周辺部に固定された絶縁性の枠と、
    前記枠を介して前記第1の被覆材との間に所定の間隔をあけて前記第1の被覆材と対向するように前記枠に対して固定された絶縁性の第2の被覆材と、
    前記第1の被覆材と前記枠と前記第2の被覆材とによって形成された内部空間に伸縮可能に配置されたPTC抵抗体と、
    前記PTC抵抗体と接触するように、前記内部空間の前記PTC抵抗体よりも前記第2の被覆材側に配置された一対の導電性介在物と、
    各々の少なくとも一部が前記導電性介在物と前記第2の被覆材との間で対応する前記導電性介在物と接触するように配置されていることで、前記導電性介在物を介して前記PTC抵抗体と柔接触している一対の電極と
    を備えるPTC面状発熱体。
  2. 前記PTC抵抗体は、塗布基材と水性PTC塗料を用いて形成されたPTC塗布膜とを含み、
    前記PTC抵抗体は、前記塗布基材の側を前記第1の被覆材の側にし、前記PTC塗布膜の側を前記第2の被覆材の側にして、前記内部空間に配置され、
    前記導電性介在物は、前記PTC塗布膜の側に、前記PTC塗布膜と接触するように配置されている、
    請求項1に記載のPTC面状発熱体。
  3. 前記水性PTC塗料は、少なくとも水性のカーボン・ペーストと、ポリウレタン・エマルジョンのバインダーと、ワックス・エマルジョンと、ホウ酸とを含む、請求項2に記載のPTC面状発熱体。
  4. 前記塗布基材は、汎用ポリエステル・フィルムを用いて形成されている、請求項2又は3に記載のPTC面状発熱体。
  5. 前記第1の被覆材と、前記第2の被覆材と、前記枠とは、結晶化処理された難燃性ポリエステル・フィルムを用いて形成されている、請求項1~4の何れかに記載のPTC面状発熱体。
  6. 前記導電性介在物は、導電性短繊維を用いて形成されている、請求項1~5の何れかに記載のPTC面状発熱体。
  7. 前記塗布基材と前記枠とは、ポリエステル織布を用いて形成されており、
    前記第1の被覆材と前記第2の被覆材とは、前記内部空間の側と反対側の面が樹脂コートされたポリエステル織布を用いて形成されている、
    請求項2又は3に記載のPTC面状発熱体。
  8. 少なくとも水性のカーボン・ペーストと、ポリウレタン・エマルジョンのバインダーと、ワックス・エマルジョンと、ホウ酸とを含む水性PTC塗料。
  9. 汎用ポリエステル・フィルムを用いて形成されている塗布基材と、
    請求項8に記載の水性PTC塗料を用いて前記塗布基材上に形成されたPTC塗布膜と
    を備えるPTC抵抗体。
  10. 第1の被覆材の周辺部に枠が固定された、凹部を有する絶縁性の下側被覆材を準備することと、
    前記下側被覆材の前記凹部に、PTC抵抗体を配置することと、
    前記PTC抵抗体と接触する一対の導電性介在物と前記一対の導電性介在物の各々と接触する一対の電極とを前記PTC抵抗体の上に設けるとともに、前記凹部を覆うように前記下側被覆材の上に固定される絶縁性の第2の被覆材を設けることと
    を含むPTC面状発熱体の製造方法。
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