図1は、本明細書に記載される方法に従って撮像システムとして使用可能である1つの例示的なマシンビジョン検査システム10のブロック図である。マシンビジョン検査システム10は画像測定機12を含み、これは、制御コンピュータシステム14とデータ及び制御信号を交換するように動作可能に接続されている。制御コンピュータシステム14は更に、モニタ又はディスプレイ16、プリンタ18、ジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26と、データ及び制御信号を交換するように動作可能に接続されている。モニタ又はディスプレイ16は、マシンビジョン検査システム10の動作の制御及び/又はプログラミングに適したユーザインタフェースを表示することができる。様々な実施例では、タッチスクリーンタブレット等によって、要素14、16、22、24、及び26のいずれか又は全ての機能を代用すること及び/又はこれらの機能を冗長的に与えることが可能であることは認められよう。
制御コンピュータシステム14は一般に、分散型又はネットワーク型のコンピューティング環境等を含む任意の適切なコンピューティングシステム又はデバイスを用いて実施され得ることは、当業者には認められよう。このようなコンピューティングシステム又はデバイスは、本明細書に記載する機能を実現するためにソフトウェアを実行する1つ以上の汎用又は特殊用途プロセッサ(例えば非カスタムデバイス又はカスタムデバイス)を含み得る。ソフトウェアは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、フラッシュメモリ等のメモリ、又はそのような構成要素の組み合わせに記憶することができる。また、ソフトウェアは、光学ベースのディスク、フラッシュメモリデバイス、又はデータを記憶するための他のいずれかのタイプの不揮発性記憶媒体のような1つ以上の記憶デバイスに記憶することができる。ソフトウェアは、特定のタスクを実行するか又は特定の抽象データ型を実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造等を含む1つ以上のプログラムモジュールを含み得る。分散型コンピューティング環境では、プログラムモジュールの機能性は、有線又は無線のいずれかの構成において、多数のコンピューティングシステム又はデバイスにまたがるように組み合わせるか又は分散させ、サービスコールを介してアクセスすることができる。
画像測定機12は、可動ワークピースステージ32と、ズームレンズ又は交換可能対物レンズを含み得る光学撮像システム34と、を含む。ズームレンズ又は交換可能対物レンズは一般に、光学撮像システム34によって得られる画像に様々な倍率を与える。マシンビジョン検査システム10の様々な実施例は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第7,454,053号、第7,324,682号、第8,111,905号、及び8,111,938号にも記載されている。
図2は、図1のマシンビジョン検査システムと同様の、本明細書に開示されるいくつかの特徴を含むマシンビジョン検査システム100の制御システム部120及びビジョン構成要素部200のブロック図である。以下で詳述するように、制御システム部120を用いてビジョン構成要素部200を制御する。ビジョン構成要素部200は、光学アセンブリ部205と、光源220、230、及び240と、中央の透明部212を有するワークピースステージ210と、を含む。ワークピースステージ210は、ワークピース20を配置することができるステージの表面に対して概ね平行な面内にあるX軸及びY軸に沿って制御可能に移動できる。
光学アセンブリ部205は、本明細書において以下で更に詳しく開示されるように、カメラシステム260、交換可能対物レンズ250、可変焦点距離(VFL)レンズ270(例えば、様々な例示的な実施例におけるTAGレンズ)、及び合焦状態参照サブシステム286を含む。様々な実施例において、光学アセンブリ部205は更に、レンズ226と228を有するターレットレンズアセンブリ223も含む場合がある。ターレットレンズアセンブリの代わりに、様々な実施例において、固定もしくは手作業で交換可能な倍率可変レンズ(magnification-altering lens)、又はズームレンズ構成等を含んでもよい。様々な実施例において、交換可能対物レンズ250は、可変倍率レンズ部の一部として含まれる固定倍率対物レンズのセット(例えば、0.5倍、1倍、2倍又は2.5倍、5倍、10倍、20倍又は25倍、50倍、100倍等の倍率に対応した対物レンズのセット)から選択することができる。
光学アセンブリ部205は、制御可能モータ294を用いることで、x軸及びy軸に概ね直交したz軸に沿って制御可能に移動できる。制御可能モータ294はアクチュエータを駆動して、ワークピース20の画像の焦点を変えるために光学アセンブリ部205をz軸に沿って動かす。制御可能モータ294は信号ライン296を介して入出力インタフェース130に接続されている。以下で詳述するように、より小さい範囲にわたって画像の焦点を変化させるため、又は光学アセンブリ部205を移動させることの代わりに、VFL(TAG)レンズ270を信号ライン234’を介してレンズ制御インタフェース134によって制御して、VFLレンズ270の光学パワーを周期的に変調し、これによって光学アセンブリ部205の有効合焦位置を変調することができる。レンズ制御インタフェース134は、以下で詳述するように、本明細書に開示される様々な原理に従ったVFLレンズコントローラ180を含むことができる。ワークピース20は、ワークピースステージ210上に配置することができる。ワークピースステージ210は、光学アセンブリ部205に対して移動するように制御され、交換可能対物レンズ250の視野がワークピース20上の複数のロケーション間で及び/又は複数のワークピース20間で移動できるようになっている。
透過照明光源220、落射照明光源230、及び斜め照明光源240(例えばリング光)のうち1つ以上が、それぞれ光源光222、232、及び/又は242を発して、1又は複数のワークピース20を照明することができる。例えば画像露光中に、落射照明光源230は、ビームスプリッタ290(例えば部分ミラー(partial mirror))を含む経路に沿って光源光232を発することができる。光源光232はワークピース光255として反射又は透過され、撮像のために用いられるワークピース光は、交換可能対物レンズ250、ターレットレンズアセンブリ223、及びVFLレンズ270を通過して、カメラシステム260によって集光される。1又は複数のワークピース20の画像を含むワークピース画像露光は、カメラシステム260によってキャプチャされ、制御システム部120への信号ライン262上に出力される。
図示されている実施例において、ビームスプリッタ290は光源光232の一部を透過し、これはミラー291によって反射されて、合焦状態参照サブシステム286に含まれる参照物体を照明する。これについては以下で詳述する。このような実施例において、参照物体画像露光中に、参照物体光289は、ミラー291及びビームスプリッタ290に戻って反射され、撮像光路の少なくとも一部に沿って進み続け、VFLレンズ270を介してカメラシステム260に伝送され、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供する。これについては以下で詳述する。しかしながら他の実施例では、合焦状態参照サブシステム286は、別個に制御される照明源を含むことができる(例えば、図3を参照して後述するように)。
様々な光源(例えば光源220、230、240)は、関連付けられた信号ライン(例えばそれぞれバス221、231、及び241)を介して制御システム部120の照明制御インタフェース133に接続することができる。様々な実施例において、これは、以下で詳述するように合焦状態参照サブシステム286の光源を含み得る。制御システム部120は、画像の倍率を変更するため、ターレットレンズアセンブリ223を制御して軸224に沿って回転させることで、信号ライン又はバス223’を介してターレットレンズを1つ選択することができる。
図2に示すように、種々の例示的な実施例において制御システム部120は、コントローラ125、入出力インタフェース130、メモリ140、ワークピースプログラム発生器及び実行器170、及び電源部190を含む。これらの構成要素及び以下で説明する追加の構成要素の各々は、1つ以上のデータ/制御バス及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェースによって、又は様々な要素間の直接接続によって、相互接続することができる。入出力インタフェース130は、撮像制御インタフェース131、移動制御インタフェース132、照明制御インタフェース133、及びレンズ制御インタフェース134を含む。レンズ制御インタフェース134は、VFLレンズコントローラ180を含むか又はこれに接続することができる。VFLレンズコントローラ180は、VFLレンズ270によって行われる周期的な合焦位置変調と同期した様々な画像露光を制御するための回路及び/又はルーチンを含み、更に、本明細書に開示される原理に従った合焦状態参照サブシステム回路/ルーチン183を含む。これについては、図3に示されている同様の又は同一の要素380及び383を参照して以下で詳述する。いくつかの実施例において、レンズ制御インタフェース134及びVFLレンズコントローラ180はマージされる及び/又は区別できない場合がある。
照明制御インタフェース133は、照明制御要素133a~133nを含むことができ、これらは、マシンビジョン検査システム100の様々な対応する光源について、例えば選択、パワー、オン/オフ切り換え、及びストロボパルスタイミングを適用可能な場合に制御する。いくつかの実施形態において、図3に示されているような露光(ストロボ)時間コントローラ333esは、VFLレンズ合焦位置変調の所望の位相時間と同期した画像露光ストロボタイミングを与えるように、また以下で詳述するように、照明制御要素133a~133nのうち1つ以上にストロボタイミング信号を与えることができる。いくつかの実施例において、露光(ストロボ)時間コントローラ333es及び照明制御要素133a~133nのうち1つ以上はマージされる及び/又は区別できない場合がある。
メモリ140は、画像ファイルメモリ部141、エッジ検出メモリ部140ed、1つ以上のパートプログラム等を含み得るワークピースプログラムメモリ部142、及びビデオツール部143を含むことができる。ビデオツール部143は、対応する各ビデオツールのためのGUIや画像処理動作等を決定するビデオツール部143a及び他のビデオツール部(例えば143n)、並びに関心領域(ROI:region of interest)発生器143roiを含む。関心領域発生器143roiは、ビデオツール部143内に含まれる様々なビデオツールにおいて動作可能である様々なROIを規定する自動、半自動、及び/又は手動の動作をサポートする。エッジ要素を位置特定すると共に他のワークピース要素検査動作を実行するためのそのようなビデオツールの動作の例については、上述のように本願に含まれる引例のいくつか、及び米国特許第7,627,162号に詳述されている。
ビデオツール部143は、焦点高さ測定動作のためのGUIや画像処理動作等を決定する自動合焦ビデオツール143afも含む。様々な実施例において、自動合焦ビデオツール143afは更に、図3に記載されたハードウェアを用いて高速で合焦高さを測定するために利用できる高速合焦高さツールも含むことができる。これについては、米国特許第9,143,674号に詳述されている。様々な実施例において、高速合焦高さツールは、これ以外の場合には自動合焦ビデオツールのための従来の方法に従って動作する自動合焦ビデオツール143afの特別モードとしてもよく、又は、自動合焦ビデオツール143afの動作は高速合焦高さツールの動作のみを含んでもよい。画像領域又は関心領域のための高速自動合焦及び/又は合焦位置決定は、既知の方法に従って、画像を解析して様々な領域の対応する定量的コントラスト尺度を決定することに基づき得る。例えばそのような方法は、米国特許第8,111,905号、第7,570,795号、及び第7,030,351号に開示されている。
本開示の文脈において、当業者に既知であるように、「ビデオツール」という言葉は概ね、マシンビジョンユーザが比較的シンプルなユーザインタフェースを介して実施可能である比較的複雑な自動化又はプログラミングされた動作セットのことである。例えばビデオツールは、あらかじめプログラミングされた複雑な画像処理動作及び計算セットを含み、これらの動作及び計算を規定する少数の変数又はパラメータを調整することによって特定のインスタンスでこれらを適用及びカスタム化することができる。ビデオツールは、基礎にある動作及び計算の他に、ビデオツールの特定のインスタンス向けにそれらのパラメータをユーザが調整することを可能とするユーザインタフェースも備えている。場合によっては、目に見えるユーザインタフェース機能がビデオツールと称され、基礎にある動作は暗黙的に含まれることに留意すべきである。
1つ以上のディスプレイデバイス136(例えば図1のディスプレイ16)及び1つ以上の入力デバイス138(例えば図1のジョイスティック22、キーボード24、及びマウス26)は、入出力インタフェース130に接続することができる。ディスプレイデバイス136及び入力デバイス138を用いて、様々なグラフィカルユーザインタフェース(GUI)機能を含み得るユーザインタフェースを表示することができる。それらの機能は、検査動作の実行、及び/又はパートプログラムの生成及び/又は修正、カメラシステム260によってキャプチャされた画像の閲覧、及び/又はビジョン構成要素部200の直接制御のために使用可能である。
種々の例示的な実施例において、ユーザがマシンビジョン検査システム100を用いてワークピース20のためのパートプログラムを生成する場合、ユーザは、マシンビジョン検査システム100を学習モードで動作させて所望の画像取得訓練シーケンスを提供することによって、パートプログラム命令を発生させる。例えば訓練シーケンスは、代表的ワークピースの特定のワークピース要素を視野(FOV)内に配置し、照明レベルを設定し、合焦又は自動合焦を行い、画像を取得し、(例えばそのワークピース要素でビデオツールのうち1つのインスタンスを用いて)画像に適用される検査訓練シーケンスを提供することを含み得る。学習モードの動作では、このシーケンス(複数のシーケンス)がキャプチャ又は記録されて、対応するパートプログラム命令に変換されるようになっている。パートプログラムが実行された場合、これらの命令は、マシンビジョン検査システムに訓練した画像取得を再現させると共に、検査動作を行わせて、パートプログラムの生成時に用いた代表的ワークピースと合致する実行モードの1つ又は複数のワークピース上の特定のワークピース要素(すなわち対応ロケーションにおける対応する要素)を自動的に検査させる。いくつかの実施例においては、そのような技法を利用して、参照物体画像を解析するためのパートプログラム命令を生成することで、以下で詳述する機能及び動作を提供できる。
図3は、本明細書に開示される原理に従って構成されたVFLレンズ370(例えばTAGレンズ)及び合焦状態参照サブシステム386を含むVFLレンズシステム300(撮像システム300とも称される)の概略図である。VFLレンズシステム300は、マシンビジョンシステムに適合させるか又はスタンドアロンのシステムとして構成することができ、更に、本明細書に開示される原理に従って動作することができる。図3の3XXと番号を付けたいくつかのコンポーネントは、図2における同様の2XXと番号を付けたコンポーネントと同様の動作又は機能に対応する及び/又は提供し、他の指示がない限り同様に理解され得ることは認められよう。以下で詳述されるように、撮像光路OPATH(本明細書ではワークピース撮像光路とも称される)は、ワークピース320からカメラ360までワークピース撮像光355を伝達する経路に沿って配置された様々な光学コンポーネントを含む。撮像光は概ねそれらの光軸OAの方向に沿って伝達される。図3に示されている実施例では、全ての光軸OAは位置合わせされている。しかしながら、この実施例は単なる例示であり、限定ではない。更に一般的には、撮像光路OPATHはミラー及び/又は他の光学要素を含み、既知の原理に従ってカメラ(例えばカメラ360)を用いてワークピース320を撮像するために動作する任意の形態をとることができる。図示されている実施例では、撮像光路OPATHは、VFLレンズ370(これは4f撮像構成に含めることができる)を含み、少なくとも部分的に、ワークピース画像露光中にワークピース320の表面を撮像するため利用される。以下で詳述するように、本明細書に開示される原理に従って、合焦状態参照サブシステム386を用いて、参照物体光を撮像光路OPATHの少なくとも一部に沿って伝送し、VFLレンズ370を通過させて1つ以上の参照物体画像露光を形成することができる。これを合焦特性について解析し、システム合焦参照状態(例えば較正状態)に関連付けた対応する記憶されている特性と比較して、VFLレンズ370の予想される光学パワー及び/又はVFLレンズシステム300の有効合焦位置の変化又は誤差の検知を可能とする。
図3に示されているように、VFLレンズシステム300は、光源330、対物レンズ350、チューブレンズ351、リレーレンズ352、VFL(TAG)レンズ370、リレーレンズ356、レンズコントローラ380、カメラ360、有効合焦位置(Z高さ)較正部373、ワークピース合焦信号処理部375(任意選択的)、及び合焦状態参照サブシステム386を含む。様々な実施例において、様々なコンポーネントは、直接接続、又は1つ以上のデータ/制御バス(例えばシステム信号及び制御バス395)、及び/又はアプリケーションプログラミングインタフェース等によって、相互接続することができる。
図3に示されている実施例において、光源330は「落射照明光源(coaxial light source)」又は他の光源であり、ビームスプリッタ390(例えばビームスプリッタの一部としての部分反射ミラー)を含む経路に沿って対物レンズ350を介してワークピース320の表面へと光源光332を発する(例えばストロボ照明又は連続照明で)ように構成されている。対物レンズ350は、ワークピース320に隣接した有効合焦位置EFPで集束するワークピース光355を受光し、ワークピース光355をチューブレンズ351に出力する。チューブレンズ351はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ352に出力する。他の実施例では、同様の光源によって視野を非同軸に照明することができる。例えば、リング光源が視野を照明することができる。様々な実施例において、対物レンズ350は交換可能対物レンズとすることができ、チューブレンズ351はターレットレンズアセンブリの一部として含めることができる(例えば図2の交換可能対物レンズ250及びターレットレンズアセンブリ223と同様)。図3に示されている実施例において、対物レンズ350のノミナル焦点面から生じるワークピース光355は、チューブレンズ351によって合焦され、ノミナル中間像面IIPnomにおいて中間像を形成する。VFL(TAG)レンズ370が屈折効果を与えない(光学パワーが無い)状態である場合、対物レンズ350のノミナル焦点面、ノミナル中間像面IIPnom、及びカメラ360の像面は、既知の顕微鏡撮像原理に従って、共役面セットを形成する。様々な実施例において、本明細書で言及される他のレンズはいずれも、個別レンズや複合レンズ等から形成するか、又はそれらのレンズと連携して動作することができる。
リレーレンズ352は、チューブレンズ351から(又は、様々な代替的な顕微鏡構成において、より一般的には中間像面から)ワークピース光355を受光し、これをVFL(TAG)レンズ370に出力する。VFL(TAG)レンズ370はワークピース光355を受光し、これをリレーレンズ356に出力する。リレーレンズ356はワークピース光355を受光し、これをカメラ360に出力する。様々な実施例において、カメラ360は、画像露光期間とも呼ばれる画像露光中に(例えばカメラ360の積分期間中に)カメラ画像をキャプチャし、対応する画像データを制御システム部に提供することができる。いくつかのカメラ画像は、ワークピース画像露光中に与えられた(例えばワークピース320の領域の)ワークピース画像を含み得る。いくつかの実施形態において、ワークピース画像露光は、カメラ360の画像積分期間内である光源330のストロボタイミングによって制限又は制御され得る。以下で詳述するように、一部のカメラ画像は、参照物体画像露光中に与えられた(例えば参照物体388の)参照物体画像を含み得る。いくつかの実施形態において、参照物体画像露光は、カメラ360の画像積分期間内である光源330又は330roのストロボタイミングによって制限又は制御され得る。いくつかの実施例において、カメラ360は、1メガピクセルよりも大きいピクセルアレイを有し得る(例えば1.3メガピクセル、1280×1024画素アレイ、1画素当たり5.3ミクロン)。
図3の例では、リレーレンズ352及び356並びにVFL(TAG)レンズ370は4f光学構成に含まれるものとして示され、リレーレンズ352及びチューブレンズ351はケプラー式望遠鏡構成に含まれるものとして示され、チューブレンズ351及び対物レンズ350は顕微鏡構成に含まれるものとして示されている。ここに示す構成は全て例示に過ぎないので、本開示に対する限定でないことは理解されよう。様々な実施例において、図示されている4f光学構成は、VFL(TAG)レンズ370(例えば開口数(NA)が小さいデバイスであり得る)を、対物レンズ350のフーリエ面に配置することを可能とする。この構成は、ワークピース320におけるテレセントリシティ(telecentricity)を維持すると共に、尺度変化及び画像歪みを最小限に抑えることができる(例えば、ワークピース320の各Z高さ及び/又は有効合焦位置EFPで一定の倍率を与えることを含む)。ケプラー式望遠鏡構成(例えばチューブレンズ351及びリレーレンズ352を含む)は、顕微鏡構成と4f光学構成との間に含めることができ、画像収差等を最小限に抑えるように、VFL(TAG)レンズ370のロケーションにおいて対物レンズ有効径(clear aperture)の望ましいサイズの投射を与えるように構成可能である。
様々な実施例において、レンズコントローラ380は、駆動信号発生部381、タイミングクロック381’、ワークピース撮像回路/ルーチン382、及び合焦状態参照サブシステム回路/ルーチン383を含むことができる。駆動信号発生部381は、(例えばタイミングクロック381’と連携して)動作して、信号ライン380’を介して高速VFL(TAG)レンズ370に周期的な駆動信号を与えることができる。様々な実施例において、VFLレンズシステム(又は撮像システム)300は、協調した動作のためレンズコントローラ380と連携して動作するよう構成できる制御システム(例えば図2の制御システム部120)を備えることができる。
様々な実施例において、レンズコントローラ380は一般に、VFLレンズ370の所望の位相タイミングと同期してワークピース320又は参照物体388を撮像すること、並びにVFLレンズ370の駆動及び応答を制御、監視、及び調整することに関連した様々な機能を実行できる。様々な実施例において、ワークピース撮像回路/ルーチン382は、当技術において既知のように、また本願に含まれる引例に記載されているように、VFLレンズ370の位相タイミングと同期して、光学システムの標準的なワークピース撮像動作を実行する。以下で詳述するように、様々な実施例において、合焦状態参照サブシステム回路/ルーチン383は、本明細書に開示される原理に従って合焦状態の監視及び/又は安定化を実行することができる。様々な実施例において、合焦状態の監視及び/又は安定化は、オンデマンドで(例えばユーザインタフェースにおけるユーザ選択に応答して、もしくは特定の条件が検出された場合等)実行するか、又は定期的に(1秒に1度、又は10秒に1度、又は1時間に1度等)実行することができる。いくつかの実施例において、レンズコントローラ380は、合焦状態監視のために必要な参照物体画像露光がワークピース画像露光と重複しないように動作することができるが、合焦状態監視中に決定されたシステムの調整(例えばVFLレンズ370の動作を調整するための)は、その後のワークピース撮像中に適用及び使用が続けられる。
合焦状態参照サブシステム回路/ルーチン383は、参照領域合焦解析器384と、調整及び/又は警告回路/ルーチン385と、を含む。様々な実施例において、参照領域合焦解析器384は、参照物体画像(例えばカメラ画像に含まれている)の入力及び特定のビデオツールの呼び出し(例えば、既知のタイプの自動合焦ビデオツール、又はマルチ領域もしくはマルチポイント自動合焦ビデオツール等)のような機能を実行するか、又は、他の合焦解析ルーチンを実行して、合焦状態監視等に使用される参照物体画像内の合焦状態参照領域(FSRR:focus state reference region)の1つ以上の合焦特性値(例えば定量的コントラスト及び/又は合焦尺度)を決定することができる。様々な実施例において、調整及び/又は警告回路/ルーチン385は、参照領域合焦解析器384からの決定された合焦特性結果/値を入力し、調整を行う必要があるか否かを決定するため、この結果/値を対応するFS参照領域の対応する記憶されている較正結果/値と比較することができる。以下で詳述するように、様々な実施例において、調整は、VFLレンズ370を駆動するための振幅の調整(例えば、VFLレンズ370の光学パワー範囲及びその結果生じる有効合焦位置範囲を調整するため)、位相タイミング調整(例えば、特定の有効合焦位置又はZ高さを与えるために使用される位相タイミングを調整するため)、VFLレンズ温度調整等を含み得るが、これらに限定されない。様々な実施例において、そのような調整は、駆動信号発生部381、タイミングクロック381’、及び/又はレンズヒータ/クーラ337等の制御信号を変更することによって実施できる。これについては以下で詳述する。様々な実施例において、合焦状態参照サブシステム回路/ルーチン383は、場合によっては、VFLレンズの光学パワー範囲及び/又はその結果生じる有効合焦位置範囲が所望のレベルになる(例えば、記憶されている較正又は参照レベルに対して所望の許容差内になる)まで、繰り返し動作を実行してシステムを反復して解析及び調整することができる。
望ましくない温度変動に起因して、VFLレンズの動作特性にドリフトが発生する可能性がある。図3に示されているように、様々な実施例において撮像システム300は、VFLレンズ370に関連付けられたヒータ/クーラ337を任意選択的に含むことができる。レンズヒータ/クーラ337は、いくつかの実施例及び/又は動作条件に従って、ある熱エネルギ量をVFLレンズ370に入力すること及び/又は冷却機能を実行することで、VFLレンズ370の加熱及び/又は冷却を容易にするように構成できる。更に、様々な実施例では、VFLレンズ370に関連付けられた温度センサ336によってVFLレンズ監視信号を提供して、VFLレンズ370の動作温度を監視することができる。
以下で詳述するように、合焦状態監視中、カメラ360を用いて、参照物体光学系構成387を介して参照物体388の画像をキャプチャすることにより、参照物体画像露光を行うことができる。参照物体光学系構成387及び参照物体388は双方とも合焦状態参照サブシステム386に含まれている。いくつかの実施例において、光源330からの光332の一部はビームスプリッタ390を通過し、参照物体画像露光のために使用することができる。他の実施例では、合焦状態参照サブシステム386は、参照物体画像露光のために使用される光332roを与える参照物体光源330roも含むことができる。参照物体光源330roは、システム信号及び制御バス395上の信号及び/又は制御されたパワーに接続して制御することができ、これは前述のように露光時間コントローラ333es等によって管理され得る。参照物体光源330roは参照物体388から反射される光332roを与えるように図示されているが、これが概略的な表現であることは理解されよう。他の実施例では、参照物体388及び参照物体光源330roは、参照物体388を透過する光を与えるように構成することができる。この場合、以下で詳述される原理に従って、参照物体388の中央エリアは不透明で参照物体光を遮断し、その合焦状態参照領域は中央エリアを取り囲んで参照物体光389を透過させる。いずれにせよ、参照物体画像露光中に、参照物体光389は、FS参照物体から発し、参照物体光学系構成387は参照物体光389を撮像光路OPATHの少なくとも一部に沿って、VFLレンズ370を介してカメラ360に伝送され、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供する(例えば、図4、図5、図8、及び図9に関して以下で詳述されるように)。いくつかの実施例において、合焦状態参照サブシステム386は、所望の場合、対物レンズ350及びチューブレンズ351の顕微鏡構成のフーリエ面から参照物体光を伝送するように構成できる。図5(A)~(C)に関して以下で詳述されるように、カメラ360は、VFLレンズ370の周期的変調の対応する位相タイミング及びこの結果生じる撮像システム300の有効合焦位置で露光された参照物体画像(例えば、例示的な画像500A~500C等)を与えて、合焦状態監視動作をサポートすることができる。以下で更に詳しく説明するように、特定の既知の位相タイミングを用いて露光された参照物体画像(例えば、例示的な画像500A~500C)に含まれるFS参照領域セットのメンバの合焦特性値は、対応する位相タイミングにおけるVFLレンズ370の光学パワー及びこの結果生じる撮像システム300の有効合焦位置に関連している。
様々な実施例において、FS参照物体388は合焦状態(FS)参照領域のセットを含む。この合焦状態参照領域セットは、コントラストパターンを含み、参照物体画像内でそれぞれ既知の参照領域画像ロケーションを有し、更に、参照物体光学系構成387に対してそれぞれ異なる参照領域合焦距離又は位置に固定されている。これについては図4、図5、図8、及び図9を参照して以下で更に詳しく説明する。結果として、特定のFS参照領域のベストフォーカス画像を含むカメラ画像が、その特定のFS参照領域に関連付けられたシステム合焦参照状態を規定する。その規定されたシステム合焦参照状態は、その特定のFS参照領域に関連付けられた特定のVFL光学パワー又は特定の有効合焦位置のうち少なくとも一方を含む。これについては図6及び図7を参照して以下で詳述する。図示する実施例において、参照物体光学系構成387は、FS参照物体388からの参照物体光389をビームスプリッタ390の方へ伝送するレンズ387aを含む。部分反射ビームスプリッタ390は、参照物体画像の光389を撮像光路OPATHに沿って誘導し、この光は、VFLレンズ370を通過して光389’として現れ、合焦状態監視をサポートするためカメラ360によって生成される参照物体画像露光における参照物体の画像を形成する。
様々な実施例では、以下で詳述されるように、レンズ387aは一般に、FS参照物体388から発して参照物体画像を生成する参照物体光389に所望の発散を与える、又はほぼ平行光化するように構成されている。他の実施例では、合焦状態参照サブシステム386の他のロケーション及び/又は構成が利用され得ることは認められよう。例えば種々の代替的な実施例において、参照物体光学系構成387のレンズ387aが複合レンズであること、又はレンズのセットを使用すること、及び/又は1つ以上の追加のリフレクタを用いて参照物体光路(例えばOAref)を作り変えること、及び/又は、既知の原理に従って、(光源330roにおいて特定の波長範囲を使用することと組み合わせて)波長フィルタを含ませ、ワークピース画像と参照物体画像を相互に隔離すること等が可能である。1つの実施例において、波長フィルタは、ワークピース光355のみを受光することが意図されたカメラ画像の部分(例えば中央部分)から狭帯域参照物体光389を除去するように、かつ、参照物体画像を与えることが意図されたカメラ画像の部分(例えば周辺部分)から狭帯域参照物体光389を除去しないように、形状及び配置を設定することができる。いくつかの実施例では、波長フィルタ(例えばダイクロイックフィルタ)を、図3に示されている1つ以上の要素(例えばビームスプリッタ390)に追加することができる。他の実施例では、波長フィルタを別個の要素として追加することができる。別の構成では、合焦状態参照サブシステム386を、ビームスプリッタ390の光源330と同じ側に配置して、ビームスプリッタ390の対応する透過特性及び/又は反射特性及び/又は追加の反射面を利用して参照物体光389を撮像光路OPATHに沿って誘導することも可能である。
様々な実施例において、参照物体画像の光389は、合焦状態参照サブシステム386の参照物体光学系構成387によって決定されるパターン及びビーム発散を有する。図3に示されている実施例では、参照物体388に近接したノミナル合焦位置RFP-nomがノミナル中間像面IIPnomと共役であるように、参照物体光学系構成387はチューブレンズ351に対して配置されている。言い換えると、参照物体光学系構成387のノミナル焦点面RFP-nomで参照物体388から発した光389は、チューブレンズ351によって合焦されて、ノミナル中間像面IIPnomで中間像を形成する。VFLレンズ370は、(例えばノミナル中間像面IIPnomから)参照物体画像の光389を受光し、参照物体画像の光389’を出力する。(例えばカメラ360における)画像合焦位置は、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動によって周期的に変化する。従って、カメラ像面と共役なポイント、すなわち、ノミナル中間像面の近傍の合焦された面及び参照物体388の近傍(例えば、参照物体388におけるノミナル焦点面RFP-nomの近傍)の合焦された面も、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動のために周期的に変化するか又はスイープされることは認められよう。参照物体388上の異なる合焦状態(FS)参照領域が参照物体光学系構成387からそれぞれ異なる距離に位置する場合、それらの領域は、VFLレンズ370の周期的な光学パワー変動中にそれぞれ異なる時点で取得される各画像において合焦される。従って様々な実施例では、以下で詳述するように、このような参照物体388を含む合焦状態参照サブシステム386を用いて、VFLレンズシステム300が動作において安定しているか否か、及び/又はVFLレンズ370の周期的な光学パワー変動中の様々な時点で所望の(例えば較正済みの)合焦状態にあるか否かを判定することができ、及び/又は、特定の画像の有効合焦位置を直接決定できる。
VFLレンズ370の全体的な動作に関して、上述したように様々な実施例では、レンズコントローラ380が周期的にその光学パワーを迅速に調整又は変調して、250kHz、又は70kHz、又は30kHz等の周期的変調が可能である高速VFLレンズを(すなわちVFLレンズ共振周波数で)実現することができる。図3に示されているように、VFLレンズ370を駆動する信号の周期的変調を用いることにより、撮像システム300の有効合焦位置EFP(すなわち対物レンズ350の前方の合焦位置)を、対物レンズ350と組み合わせたVFLレンズ370の最大光学パワーに対応する有効合焦位置EFP1(又はEFPmax)と、対物レンズ350と組み合わせたVFLレンズ370の最大負光学パワーに対応する有効合焦位置EFP2(又はEFPmin)とによって画定された範囲Refp(例えば自動合焦サーチ範囲)内で、(迅速に)移動させることができる。様々な実施例において、EFP1及びEFP2は、90度及び270度の位相タイミングにほぼ対応することができる。これについては以下で詳述される。検討の目的のため、範囲Refpの中央をEFPnomとして示すことができ、これは対物レンズ350のノミナル光学パワーと組み合わせたVFLレンズ370のゼロ光学パワーに対応し得る。この記載によると、EFPnomは、いくつかの実施例では、対物レンズ350のノミナル焦点距離にほぼ対応することができる。
1つの実施例において、任意選択的なワークピース合焦信号処理部375(任意選択的)は、カメラ360からデータを入力し、(例えばワークピース320の)撮像された表面領域が画像の有効合焦位置にある時を判定するため使用されるデータ又は信号を提供することができる。例えば、様々なZ高さでカメラ360によって取得された画像グループ(例えば画像スタック)を、既知の「最大コントラスト」又は「ベストフォーカス画像」解析を用いて解析して、ワークピース320の撮像された表面領域が画像の対応する有効合焦位置にあるか否か、又はその時を判定することができる。しかしながら、より一般的には、他の適切ないずれかの既知の画像合焦検出構成を使用することができる。いずれにせよ、ワークピース合焦信号処理部375等は、VFL(TAG)レンズ370の有効合焦位置の周期的な変調(複数の有効合焦位置のスイープ)中に取得された1又は複数の画像を入力し、ターゲット要素がベストフォーカスである画像を決定することができる。いくつかの実施例において、ワークピース合焦信号処理部375は更に、ベストフォーカス画像に対応する既知の位相タイミングを決定し、その「ベストフォーカス」位相タイミング値を有効合焦位置較正部373に出力することができる。有効合焦位置較正部373は、各Z高さ又は有効合焦位置をVFLレンズ370の標準的な撮像共振周波数周期内の各「ベストフォーカス」位相タイミングに関連付けるZ高さ(有効合焦位置)較正データを与えることができる。この較正データは、標準的な撮像駆動制御構成又は参照状態に従ったVFLレンズ370の動作に対応する。
一般的に言えば、有効合焦位置較正部373は、記録されたZ高さ(又は有効合焦位置)較正データを含む。そのため、別個の要素としての図3の表現は、限定ではなく単に概略的な表現を意図している。様々な実施例において、関連した記録されているZ高さ較正データは、レンズコントローラ380、ワークピース合焦信号処理部375、又はシステム信号及び制御バス395に接続されたホストコンピュータシステム等と、マージされる及び/又は区別できない場合がある。
様々な実施例において、露光(ストロボ)時間コントローラ333esは、撮像システム300の画像露光時間を(例えば、周期的に変調される有効合焦位置の位相タイミングに対して)制御する。具体的には、いくつかの実施例において、画像露光中に露光(ストロボ)時間コントローラ333esは、(例えば、有効合焦位置較正部373において利用可能なZ高さ較正データを用いて)光源330(及び/又は330ro)を制御して、制御された各時点でストロボ発光することができる。例えば、露光(ストロボ)時間コントローラ333esは、VFLレンズ370の標準的な撮像共振周波数周期内の各位相タイミングでストロボ発光するようにストロボ光源を制御して、VFLレンズ370のスイープ(周期的な変調)範囲内に特定の有効合焦位置を有する画像を取得可能とする。他の実施例では、露光時間コントローラ333esは、カメラ360の高速電子カメラシャッタを制御して、制御された各時点及び/又はそれに関連付けられた有効合焦位置で画像を取得可能とする。いくつかの実施例において、露光(ストロボ)時間コントローラ333esは、カメラ360とマージされる及び/又は区別できない場合がある。様々な実施例において、露光時間コントローラ333es並びに上述した他の特徴及び要素の動作は、ワークピース画像取得、参照物体画像取得、又はそれら双方を管理するように実施できることは認められよう。いくつかの特定の例示的な実施例において、図5(A)~(C)及び図9(A)~(C)に関して以下で詳述されるように、VFLレンズシステム300が較正済みの状態又は参照状態で安定して動作している場合、参照物体画像露光は、参照物体の構造に関連して指定された位相タイミング(例えば、参照物体388の特定のFS参照領域のベストフォーカス画像を与えると予想される特定の位相タイミング)に対応するよう制御することができる。
図4は、2つの関連付けられた図を示す。図400Aの平面図には参照物体488の第1の実施形態が図示されている。図400Bは側面図であり、参照物体488は、本明細書に開示される原理に従った合焦状態参照サブシステム486の第1の実施例における参照物体光学系構成487を用いて撮像されている状態で、傾斜角TAに傾いて示されている。合焦状態参照サブシステム486は、図3を参照して記載した合焦状態参照サブシステム386として動作するか又はその代用となることができ、その動作は部分的に前述の記載に基づいて理解され得る。
図400Aに示されているように、参照物体488は、その周辺部の少なくとも一部に沿って配置されたコントラストパターンCPを含む平面状の「パターン表面」を有する。一般に、コントラストパターンCPが、高い空間周波数で配置された高コントラストのエッジを含むこと、更に、参照物体画像(例えばカメラ360によって提供される)内の比較的小さい画像領域(例えば9×9もしくは5×5画素のように小さいか、又は様々な実施例ではより小さい)の定量的コントラスト又は合焦尺度の決定を可能とすることが望ましい。図4に示すように、コントラストパターンCPの様々な合焦状態参照領域(FSRR)は、周辺部に沿って配置されているので(例えば代表的な領域FSRR-10、FSRR-50、及びFSRR-90を参照のこと)、参照物体488が傾斜角TAに傾いた場合は光軸OArefに沿って異なる合焦位置となる。任意選択的に、コントラストパターンCPをエリアRRoptに含めてもよいことは認められよう。その場合、全体にわたって同一の合焦位置を有する大きいFSRRを与えることができ、更に、本願に含まれる引例に開示されているように、ベストフォーカス位置及び/又はベストフォーカス位置に対する逸脱を決定するための、特に高い品質の「合焦曲線」(すなわち、コントラスト又は合焦尺度対撮像合焦位置の曲線)を与えることができる。
本明細書で言及する場合、FSRRは、参照物体画像内の参照領域画像ロケーションにコントラストパターンCPを含む参照物体488上の任意の領域と見なすことができ、設計又は較正によって知ることができる。各FSRRは、参照物体光学系構成487に対してそれぞれ異なる参照領域合焦距離又は参照領域合焦位置RFPに固定されている。このため、前述の原理及び記載によれば、特定のFS参照領域のベストフォーカス画像を含むカメラ画像は、その特定のFS参照領域に関連付けられたシステム合焦参照状態を規定し、その規定されたシステム合焦参照状態は、その特定のFS参照領域に関連付けられた特定のVFL光学パワー又は特定の有効合焦位置のうち少なくとも一方を含む。
図4に示されている例において、コントラストパターンCPは、連続して分布する隣接した参照領域FSRR(及びFSRR’)のセット(個別の添え字「i」を用いて個別に示されたFSRR-i、FSRR-i’であり得る)の全体にわたって分布していると理解することができる。参照領域にとって意味のあるコントラスト又は合焦尺度を決定することができ、従って「ベストフォーカス」位置で撮像が行われる時を決定できるならば、参照領域は所望の通りに小さく規定することができる。図4に示されている実施例では、3つの合焦状態参照領域FSRR-10、FSRR-50、及びFSRR-90は、FSRR(又はFSRR’)のセット内のより多くの個別のFSRRを代表していると理解される。図400Bに示されているように、参照物体488が動作上、傾斜角TAに配置された場合、FSRR-10、FSRR-50、及びFSRR-90(及びFSRR-10’、FSRR-50’、及びFSRR-90’)は、参照物体光学系構成487に対してそれぞれ異なる参照領域合焦位置RFP-10、RFP-50、及びRFP-90に配置される。他の各FSRR-iは、参照物体合焦位置範囲Rro内で他の各参照領域合焦位置RFP-iを有することは認められよう。
合焦状態参照サブシステム486において、異なるそれぞれのFSRRは、参照物体光学系構成487に対して、Frefよりも遠くに位置する少なくとも1つの各参照領域合焦距離と、Frefよりも近くに位置する少なくとも1つの各参照領域合焦距離と、を含む。1つの例示的な実施例において、Frefは少なくとも30ミリメートル、又は少なくとも40ミリメートル、又はそれ以上であり得る。1つの例示的な実施形態では、所望の参照物体合焦範囲Rroを与えるため、Frefは36ミリメートル、傾斜角TAは約25~40度(例えば37度)とすることができる。参照物体488の寸法は、軸Xro及びYroに沿ってそれぞれ約2.0×1.0ミリメートルとすることができる。本明細書に開示される任意の参照物体は、任意の撮像パターン表面を用いた、やや拡散性又は散乱性の表面を組み込むことで、よりいっそうロバストな撮像、位置合わせ要件の軽減、及び、望ましくない反射の低減を可能とする。このような合焦状態参照サブシステム486は、図1~図3を参照して記載したような例示的なVFLレンズシステムに組み込むことができ、1280×1024画素カメラ(例えばカメラ360)の周辺部で撮像を行って、本明細書に開示される原理に従って使用できる参照物体画像を得ることができる。
図3を参照して前述したようなシステムにおいて、(例えば合焦状態参照サブシステム386の代わりに)合焦状態参照サブシステム486が用いられる場合、参照物体光学系構成487は、FS参照物体488からの参照物体光389をビームスプリッタ390の方へ伝送するレンズを含むことができる。部分反射ビームスプリッタ390は、参照物体画像の光389を撮像光路OPATHに沿って誘導し、この光は、VFLレンズ370を通過して光389’として現れ、合焦状態監視をサポートするためカメラ360によって生成される参照物体画像露光における参照物体488の画像を形成する。これについて、図5、図6、及び図7を参照して以下で詳述する。
図5(A)~(C)は、3つの異なる合焦状態における、図4の参照物体488の画像を含む3つのカメラ画像を表す図である。具体的には、図5(A)は、FSRR-10がベストフォーカスである参照領域合焦位置RFP-10で合焦された参照物体画像ROI-Ph-10を表す。図5(B)は、FSRR-50がベストフォーカスである参照領域合焦位置RFP-50で合焦された参照物体画像ROI-Ph-50を表す。図5(C)は、FSRR-90がベストフォーカスである参照領域合焦位置RFP-90で合焦された参照物体画像ROI-Ph-90を表す。参照領域合焦位置RFP-10、RFP-50、RFP-90は図4に示されている。
図5(A)~(C)では、異なる画像合焦度又はボケ度が異なるクロスハッチパターンによって概略的に表されている。図示のように、代表的なFSRR-10(FSRR-10’)は画像ロケーション参照領域画像ロケーション(RRIL)RRIL-10(RRIL-10’)を有し、FSRR-50(FSRR-50’)は画像ロケーション参照領域画像ロケーションRRIL-50(RRIL-50’)を有する等である。
前述のように、(例えばカメラ360における)画像合焦ロケーション又は位置は、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動によって周期的に変化する。従って、カメラ像面と共役なポイント、すなわち参照物体488の近傍の参照領域合焦位置RFPも、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動のために周期的に変化するか又はスイープされることは認められよう。異なるFSRRがそれぞれ異なる参照領域合焦位置RFPに位置する場合、各FSRRは、VFLレンズ370の周期的な光学パワー変動の位相又は周期に関連したそれぞれ異なる時点(位相時点と呼ばれる)で取得された各画像においてベストフォーカスとなる。
従って、図5(A)における参照物体画像ROI-Ph-10は、参照領域合焦位置RFP-10においてRRIL-10のFSRR-10がベストフォーカスとなるカメラ画像を与えるPh-10と表された位相タイミングでの画像露光(例えばストロボタイミング)によって取得される(本明細書で用いられる慣習に従って)。この画像では、(図4に示されているような)参照物体488の傾斜角TAのため、FSRRの合焦は、FSRR-10及びRRIL-10からの距離の関数として徐々に劣化し、参照物体488の遠端であるため画像合焦位置から最も遠いRRIL-90のFSRR-90の近傍で最悪となる。画像内の任意のFSRRの合焦度又はボケ度は、既知の方法に従ってその特定のFSRRのコントラスト又は合焦尺度を決定することに基づいて決定され得る。図5(B)及び図5(C)は、前述の記載との類似性によって理解できる。
簡潔に述べると、図5(B)における参照物体画像ROI-Ph-50は、参照領域合焦位置RFP-50においてRRIL-50のFSRR-50がベストフォーカスとなるカメラ画像を与える位相タイミングPh-50での画像露光によって取得される。この特定の例では、RFP-50(図4に示されている)はノミナル合焦位置RFP-nomの一例であり、これは、VFL光学パワーがゼロであるノミナル合焦位置に指定されている。従って、RFP-nom(例えばRFP-50)は、合焦範囲Rroの中央であり、参照物体光学系構成487(例えば、それに含まれるレンズ)のノミナル焦点距離Frefに対応することができる。RFP-50は参照物体488及び合焦位置範囲Rroの中央に位置し、FSRRの合焦は、FSRR-50及びRRIL-50から離れるそれぞれの方向で徐々に劣化し、参照物体488の両端部で最悪となる。簡潔に述べると、図5(C)における参照物体画像ROI-Ph-90は、参照領域合焦位置RFP-90においてRRIL-90のFSRR-90がベストフォーカスとなるカメラ画像を与える位相タイミングPh-90での画像露光によって取得される。FSRRの合焦は、FSRR-90及びRRIL-90から離れる方向で徐々に劣化し、参照物体488の遠端のRRIL-10におけるFSRR-10の近傍で最も悪化する。
参照物体488の外周部に沿ってFSRRを分布させることによって、参照物体画像内の既知の各RRILがカメラ画像の1以上のエッジに沿って位置すると共にカメラ画像の中央エリアには位置しないようにFSRRの撮像が可能となることは認められよう。いくつかのこのような実施例では、VFLレンズシステム300は、ワークピース画像がカメラ画像の中央エリアに位置するように構成できる。いくつかのこのような実施例では、参照物体画像によるワークピース画像の破壊又はワークピース画像による参照物体画像の破壊を防ぐために別個のタイミングも特別な波長フィルタリングも用いることなく、ワークピース画像及び参照物体画像を同一のカメラ画像内で同時に露光できる。この構成は特に有利であるが、限定ではない。更に一般的には、VFLレンズシステムは、ワークピース画像がカメラ画像の任意の第1のエリア内に位置するように、かつ、FSRRセットの既知の各RRILが第1のエリアとは異なるカメラ画像の任意の第2のエリア内に位置するように構成することができるか、又は、ワークピース画像及び参照物体画像を異なる時点で露光することができ、更に、その場合も本開示に従った合焦状態参照サブシステムの著しい利点を得ることができる。
FSRRが合焦位置範囲Rro全体にわたって連続的に分布している参照物体488では、所望の場合、いずれの特定のカメラ画像もベストフォーカスのFSRR-iを含み得ることは認められよう。前述のように、VFLレンズシステム300は、カメラ画像内の特定のFSRRのベストフォーカス画像を識別するように構成された参照領域合焦解析器384を含むことができる。この場合、参照領域合焦解析器384は、カメラ画像内の全てのFSRRを解析し、最良のコントラスト又は合焦尺度を有するFSRR-iを決定することができる。重要なことは、そのベストフォーカスのFSRR-iは、VFLレンズシステムがそのノミナル動作状態又は所望の動作状態からドリフトしているか否かとは無関係に、VFLレンズシステムの合焦状態及びそのカメラ画像の有効合焦位置EFPを直接示すことである。カメラ画像が合焦ワークピース画像も含む場合、そのEFPは、VFLレンズシステムがそのノミナル動作状態又は所望の動作状態からドリフトしているか否かとは無関係に、正確なワークピースZ高さ測定を与える。これについて図6を参照して以下で詳述する。
図6は、上述の合焦状態参照サブシステム486等を含むVFL撮像システムにおいて、図5に示されているような様々な画像内で撮像された場合の、図4に示されている参照物体488の様々な「ベストフォーカス」合焦状態参照領域(FSRR)に関連付けられた様々な合焦状態特性又はパラメータ間の関係を表すチャート600である。横軸は、任意の特定の画像においてベストフォーカスである様々なFSRR及び/又はRRILを表す位置を含む。3つの明示された合焦状態参照領域FSRR-10、FSRR-50、及びFSRR-90(及び/又はそれらの対応するRRIL)は、横軸に沿って表すことができるセットFSRR内のより多くの個々のFSRRを代表していることは理解されよう。
参照物体較正曲線ROCCは、ベストフォーカス(例えば、参照領域合焦解析器384によって決定された合焦尺度及び/又は合焦曲線により示される)の場合の、各FSRR(又はその対応するRRIL)と、チャート600の右側の縦軸に示された対応する参照領域合焦位置RFPとの間の、較正された又は既知の関係を示す。参照物体488は、図4に示されているように傾斜面に沿って連続的に分布した隣接する参照領域FSRRのセットを含むので、参照物体較正曲線ROCCは、図示するようにノミナル上直線である。実際には、参照物体較正曲線ROCCは、様々な設計要因及び/又は不完全性のために直線から逸脱する可能性があり、任意の特定の参照物体488、参照物体光学系構成487、及びVFLレンズシステム300に対応して、解析又は実験によって確立することができる。
チャート600における3つの縦軸間の関係について、各縦軸上の対応する点は線形の関係である必要はない。例えば、VFLレンズの光学パワー(OP)は一般にその焦点距離に反比例するので、光学パワー軸は参照領域合焦位置軸及び有効合焦位置軸に対して非線形の関係を有し得る。いずれかの特定のVFLレンズシステムにおける不完全性も、様々な縦軸間の非線形性又は歪みの一因となり得る。それにもかかわらず、有効合焦位置及び参照領域合焦位置の双方についてVFLレンズは「共通モード」ファクタとして光路OPATHに含まれ、全ての光学コンポーネントは他の点で相互に固定かつ安定した関係に搭載される。従って、チャート600における3つの縦軸は、相互に固定かつ安定した関係であると見なすことができる。画像露光中の対物レンズ(例えばレンズ350)の前方の有効合焦位置EFPは、その画像露光中のVFLレンズの光学パワーに対応すると理解される。同様に、画像露光中の参照物体光学系構成(例えば構成487)の参照領域合焦位置RFPは、その画像露光中のVFLレンズの光学パワーに対応する。
VFLレンズ(例えばVFLレンズ370)によって与えられる光学パワーの任意の単一の状態における軸間の関係は、解析又は実験によって決定することができ、様々な実施例では、その後(少なくとも短時間にわたって)安定していると推測できる。前述の記載に基づき、チャート600に従って、カメラ画像内のベストフォーカスのFSRR-iは、そのカメラ画像中のVFLレンズシステムの合焦状態を直接示し得ると理解される。この合焦状態は、VFLレンズ370の光学パワーの状態及びVFLレンズシステム300の有効合焦位置EFPを含む。そのカメラ画像が合焦ワークピース画像も含む場合、そのEFPは、VFLレンズシステムがそのノミナル動作状態又は所望の動作状態からドリフトしているか否かとは無関係に、正確なワークピースZ高さ測定を与える。
図7は、本明細書に開示されている原理に従った合焦状態参照サブシステムを含むVFL撮像システムの周期的に変調される合焦状態に関連付けられた様々な合焦状態特性又はパラメータ間の関係を表すチャート700である。横軸は、特定の画像を取得するために使用され得る様々な位相タイミングを表す位置を含む。明示されている位相タイミングは、横軸に沿って表すことができるVFLレンズ370の周期的変調に対する他の位相タイミングを代表していることは理解されよう。3つの縦軸は図6に示されているものと同じであり、前述のように、相互に固定された関係である。
「参照レベル」変調曲線ModRSは、VFLレンズシステムが所望の又は較正済みの「参照状態」で動作している所望の状態又は参照状態を示し、VFLレンズ370の光学パワーは、「参照レベル」変調振幅RangeRSを有する。参照レベル変調曲線ModRSに対応する参照状態において、特定の位相タイミングは特定の参照領域合焦位置RFPに関連している。例えば、位相タイミングPhRS50-1及びPhRS50-2は、曲線ModRS上の各ポイントP0及びP4でRFP-50に関連している。そのような画像ではFSRR-50がベストフォーカスであるはずである。同様に、位相タイミングPhRS90-1及びPhRS90-2は、曲線ModRS上の各ポイントP2及びP3でRFP-90に関連している。そのような画像ではFSRR-90がベストフォーカスであるはずである等である。縦軸は固定された関係であるので、これは、VFLレンズシステム300が参照レベル変調曲線ModRSに対応した動作状態で動作しているならば、特定のワークピース画像をキャプチャするために用いられる特定の位相タイミングがそのワークピース画像の有効合焦位置も示していることを意味する。
いくつかの実施例では、図4、図5、及び図6を参照して上述したように、画像内の全てのFSRRを解析してベストフォーカスのFSRR-iを決定することによって有効合焦位置EFPを示すのではなく、参照レベル変調曲線ModRSに対応する参照状態を維持し、単に画像を取得するために用いられる位相タイミングに基づいて有効合焦位置EFPを示すことが有利である可能性がある。参照状態の維持は、対応する既知のRRILにおけるベストフォーカスFSRRを含む限られた数の参照物体画像に基づいて行うことができる。参照状態からのドリフトは概して、例えばVFLレンズ370の共振特性(例えばTAGレンズの共振振幅又は周波数等)のドリフトに起因して発生し得る。例えば、共振振幅が変調曲線ModErrに対応するレベルまで低下した場合、位相タイミングPhRS90-1及びPhRS90-2はもはやRFP-90に対応しない。それらは、それぞれ[(RFP-90)-(ΔFP90-1)]及び[(RFP-90)-(ΔFP90-2)]に対応する。同様に、位相タイミングPhRS10-1及びPhRS10-2はもはやRFP-10に対応しない。それらは、それぞれ[(RFP-10)-(ΔFP10-1)]及び[(RFP-10)-(ΔFP10-2)]に対応する等となる。前述の考察から、望ましい場合はいつでも、参照領域合焦解析器384を動作させて、対応する既知の安定したRFPを有する異なるFSRRを含む限られた数の画像を解析し、特定の位相タイミングで取得された参照物体画像が参照状態から逸脱しているか否かを決定できることは認められよう。次いで、レンズコントローラ380の調整及び/又は警告回路/ルーチン385を動作させて、VFLレンズ370の駆動信号振幅(及び/又は周波数)を調整することで、参照状態を再確立することができる。
あるいは、参照状態を維持するのではなく、参照状態の既知の(例えば記憶されているか又は較正済みの)合焦パラメータと現在の動作状態の合焦パラメータとの間の関係又は変換を決定することも可能である。例えば、PhRS90-1(又はPhRS90-2)に近い様々な位相タイミングでFSRR-90の参照物体画像を取得し、これを、位相タイミングをΔPh90-1(又はΔPh90-2)だけ変化させながらRFP-90におけるFSRR-90のベストフォーカス画像が生成されるまで実行できることは理解されよう。所望の場合、他のFSRRについても同様の動作を実行できる。次いで、参照レベル変調曲線ModRS(これは前もって特徴付けて記憶することができる)を変換して、ΔPh90-1(ΔPh90-2)について決定された値に対応して結果を適合することができることは認められよう。その後、この変換を用いて、(例えば変調曲線ModErrを特徴付けるために)チャート700に示されている横軸と縦軸との現在の関係を決定できる。次いでこれを用いて、それらの位相タイミング等に基づいて様々な画像の有効合焦位置EFPを確立することができる。
直前の記載によれば、参照物体488とは対照的に、限られた数の参照領域合焦位置における限られた数のFSRRを含む参照物体を用いて、例えば参照合焦状態を維持すること又は参照合焦状態からの逸脱を決定することのような多くの利点を得ることができる。1つのそのような参照物体について以下で説明する。
図8は、図4に示されているものと同様であり、同様の参照番号表記を含む、2つの関連する図を含む。図8及び図4において同様の番号(例えば8XX及び4XX)又は名称を付けた要素は、他の指示がない限り、同様の機能を提供し、類推によって理解することができる。
図800Aの平面図には参照物体888の第2の実施形態が示されている。図800Bは側面図であり、参照物体888は、本明細書に開示される原理に従った合焦状態参照サブシステム886の第2の実施例における参照物体光学系構成887を用いて撮像されている状態で示されている。合焦状態参照サブシステム886は、図3を参照して記載した合焦状態参照サブシステム386として動作するか又はその代用となることができ、その動作は部分的に前述の記載に基づいて理解され得る。
図800A及び図800Bに示されているように、参照物体888は3つの平面状の「パターン表面」層0、層2、及び層1を有し、これらは、外周部において様々な合焦状態参照領域(FSRR)に配置されたコントラストパターンCPを含む。層0、層2、及び層1は、参照物体合焦範囲Rro内の(かつ、この範囲を画定する)光軸OArefに沿った異なる合焦位置にある。FSRRは任意選択的に、所望の場合、より多数か又は少数のエリア内に含ませること、又は異なるサイズにすることが可能であることは理解されよう。同一の層上のFSRRはノミナル上同一のRFPに対応し(例えば、FSRR-21及びFSRR-22は双方ともRFP-20に位置している等である)、従って、ある程度の冗長性が存在することは理解されよう。しかしながら、いくつかの実施形態では、そのような冗長性は様々な位置合わせ又はアセンブリの誤差を克服するのに役立つか、又は他の利点を与えることができる。他の実施例では、所望の場合、2層又は4層以上の層を使用できることは理解されよう。
合焦状態参照サブシステム486と同様、合焦状態参照サブシステム886では、参照物体光学系構成887はその光軸に沿って(例えばこれに含まれるレンズの)焦点距離Frefを有することができ、異なるそれぞれのFSRRは、参照物体光学系構成887に対して、Frefよりも遠くに位置する少なくとも1つの各参照領域合焦距離と、Frefよりも近くに位置する少なくとも1つの各参照領域合焦距離と、を含む。1つの例示的な実施例において、Frefは少なくとも30ミリメートル、又は少なくとも40ミリメートル、又はそれ以上であり得る。1つの例示的な実施例では、Frefは36ミリメートル、層間の厚さは約0.32ミリメートル、参照物体888の寸法は軸Xro及びYroに沿ってそれぞれ約1.0×1.25ミリメートルとすることができる。このような合焦状態参照サブシステム886は、図1~図3を参照して記載したような例示的なVFLレンズシステム内に組み込むことができ、1280×1024画素カメラ(例えばカメラ360)の周辺部で撮像を行って、本明細書に開示される原理に従って使用できる参照物体画像を得ることができる。
図9(A)~(C)は、3つの異なる合焦状態における、図8の参照物体888の画像を含む3つのカメラ画像を表す図である。具体的には、図9(A)は、層1上のFSRR-11、FSRR-11’、FSRR-12、及びFSRR-12’がベストフォーカスである参照領域合焦位置RFP-10で合焦された参照物体画像ROI-Ph-10を表す。図9(B)は、層0上のFSRR-01、FSRR-01’、FSRR-02、FSRR-02’、FSRR-03、及びFSRR-03’がベストフォーカスである参照領域合焦位置RFP-00で合焦された参照物体画像ROI-Ph-00を表す。図9(C)は、層2上のFSRR-21、FSRR-21’、FSRR-22、及びFSRR-22’がベストフォーカスである参照領域合焦位置RFP-20で合焦された参照物体画像ROI-Ph-20を表す。参照領域合焦位置RFP-10、RFP-00、RFP-20は図8に示されている。
図8及び図9に示されている1又は複数のコントラストパターンCPは単なる例示であり、限定ではないことは認められよう。例えば、様々な層上のコントラストパターンを方向Yroに沿ってより長くする(例えば図4に示されているように)が、相互に干渉しないでカメラ画像内で分離できるように方向Xroに沿ってずらすことができる。前述の開示に基づき、コントラストパターンCPの他の可能な形態も明らかである。
図8及び図9を参照して上述した、合焦状態参照サブシステム886の限られた数のFSRRと、これらに対応する既知の参照領域合焦位置RFPとを用いて、図7を参照して前述した通り、例えば参照合焦状態を維持すること又は参照合焦状態からの逸脱を決定することのような多くの利点を提供できることは理解されよう。
上述の様々な実施例において、VFLシステムの合焦状態を監視又は決定するための基礎としてカメラ360が取得する画像データは、場合によっては、撮像システム300のユーザインタフェース(例えば図2を参照するとディスプレイデバイス136)に表示することができ、あるいは、撮像システム300によって出力しないことも可能である(例えば有効合焦距離の決定及び/又は調整の実行のため、主に内部で利用される)。
上述の様々な実施例において、合焦状態参照サブシステムは「内蔵」サブシステムとして提供され、そのコンポーネントは前述の原理に従って所望の動作位置に永続的に配置することができる。あるいは、いくつかの実施例では、上述の原理に従って構成された合焦状態参照サブシステムは、可変焦点距離(VFL)レンズシステム300と共に使用される「アクセサリ」として提供され得る。1つのそのような実施例では、図3に任意選択的な特徴として示されるように、VFLレンズシステム300は、結合要素300CF(例えばアクセサリ光学ポート)を含むVFLレンズシステムフレーム又は筐体300FR(例えば、その代表的な部分は図3に点線部分で概略的に示されている)を含むことができる。そのような実施例では、上述の要素に加えて、合焦状態参照サブシステム386は、VFLレンズシステム300上の結合要素300CF(例えばアクセサリ光学ポート)に固定して搭載するように構成された結合要素386CF(例えば参照サブシステム光学ポート)を含む参照サブシステムフレーム又は筐体386FRを含むことができる。結合要素300CF及び386CFが光学ポートであるそのような実施例では、参照物体光学系構成387は、参照サブシステム光学ポート386CFがVFLレンズシステム300上の結合要素300CF(例えばアクセサリ光学ポート)に固定して搭載された場合、参照物体光学系構成387が、参照物体画像露光中にFS参照物体388から発した参照物体光389を、前述の原理に従って参照物体画像露光中に撮像光路OPATHの少なくとも一部に沿って、VFLレンズ370を介してカメラ360に伝送し、前述の通りにかつ以下で更に詳しく記載するように使用するため、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供するように配置されるよう構成されている。いくつかのこのような実施形態では、前述したように、参照物体388に近接したノミナル合焦位置RFP-nomがノミナル中間像面IIPnomと共役であるように、参照物体光学系構成387及びFS参照物体388をチューブレンズ351に対して配置することができる。
傾斜した参照物体488を参照して記載された実施例の変形において、参照物体は、より一般的には、少なくとも一部が参照物体光学系構成の光軸に対して垂直でない湾曲した少なくとも1つのパターン表面を含み得る。少なくとも1つの湾曲したパターン表面の異なる部分は、参照物体光学系構成に対してそれぞれ異なる合焦距離に固定され、FSRRのセットは、少なくとも1つの湾曲パターン表面のこれら異なる部分上に配置されている。
いくつかの実施例では、上述の特徴及び原理を用いてVFLレンズシステムの較正済み状態を確立することができる。較正済み状態は、対応する特定の既知の位相タイミングを用いて露光された参照物体画像において特定の較正済み合焦特性値を示すFSRRのセットの少なくとも1つのメンバを含み得る。参照領域合焦解析器384は、対応する特定の既知の位相タイミングを用いて露光された参照物体画像におけるFSRRセットのメンバの合焦特性値を決定するように構成できる。いくつかの実施例では、VFLレンズコントローラ380は、参照領域合焦解析器384を自動的に又は半自動的に動作させて、対応する特定の既知の位相タイミングを用いて露光された少なくとも1つの参照物体画像におけるFSRRセットの少なくとも1つのメンバの決定された合焦特性値が、その対応する特定の既知の位相タイミングにおけるFSRRセットのその少なくとも1つのメンバの特定の較正済み合焦特性値と一致するようVFLレンズ370の駆動信号を調整するように構成できる。いくつかの実施例では、VFLレンズシステムは、参照領域合焦解析器384を自動的に又は半自動的に動作させて、対応する特定の既知の位相タイミングを用いて露光された少なくとも1つの参照物体画像におけるFSRRセットの少なくとも1つのメンバの決定された合焦特性値が、その対応する特定の既知の位相タイミングにおけるFSRRセットのその少なくとも1つのメンバの特定の較正済み合焦特性値と一致しない場合、警告インジケータを提供するように構成できる。
上述のように較正済み状態を含むいくつかの実施例において、FSRRセットのメンバの決定された合焦特性値は、FSRRセットのそのメンバの既知のRRILに対応した参照物体画像データに基づく定量的コントラスト尺度の値を含み得る。いくつかのそのような実施例では、参照領域合焦解析器384は、リモートコンピュータにおけるソフトウェアルーチンによって実施される動作セットを含み得る。リモートコンピュータは、VFLシステムから参照物体画像データを受信し、FSRRセットのそのメンバの既知のRRILに対応した参照物体画像データに基づいて動作セットを実行して定量的コントラスト尺度の値を決定するように構成されている。
図10は、本明細書に開示される原理に従って構成されたVFLレンズ370(例えばTAGレンズ)及び合焦状態参照サブシステム1086を含むVFLレンズシステム1000(撮像システム1000とも称される)の第2の例示的な実施例の概略図を示している。VFLレンズシステム1000は、多くの点で図3のVFLレンズシステム300と同様である。同様の又は同一の番号を付けた要素(例えば図3の3XX及び図10の3XXもしくは10XXと表記されたもの)は、他の指示がない限り、同様又は同一である及び/又は同様の又は同一の機能を提供すると理解され得る。従って、以下では、VFLレンズシステム1000とVFLレンズシステム300との大きな相違のみを詳しく記載する。
図3を参照して前述したように、対物レンズ350のノミナル焦点面から生じるワークピース光355はチューブレンズ351によって合焦され、ノミナル中間像面IIPnomにおいて中間像を形成する。VFL(TAG)レンズ370が屈折効果を与えない(光学パワーが無い)状態である場合、対物レンズ350のノミナル焦点面、ノミナル中間像面IIPnom、及びカメラ360の像面は、既知の顕微鏡撮像原理に従って、共役面セットを形成する。これと同じことは、図10に示すVFLレンズシステム1000にも当てはまる。
図3に示されている合焦状態参照サブシステム386と図10に示されている合焦状態参照サブシステム1086との主な相違について、以下に記載する。
合焦状態参照サブシステム386では、参照物体388に近接したノミナル合焦位置RFP-nomがノミナル中間像面IIPnomと共役であるように、かつ、ノミナル焦点面RFP-nomにおけるFS参照領域から参照物体388からの光389がノミナル中間像面IIPnomにおいて中間像を形成するように、参照物体光学系構成387はチューブレンズ351に対して配置されている。同様に、既知の光学原理に従って、ノミナル焦点面RFP-nomを取り囲むゾーン内のそれぞれ異なる面でFS参照領域において参照物体388からの光389は、ノミナル中間像面IIPnomを取り囲むゾーン内のそれぞれ異なる面で各中間像を形成する。
これに対して、図10に示されている合焦状態参照サブシステム1086は参照物体撮像構成ROICを含み、この構成内で参照物体1088は、対物レンズ350とVFLレンズ370との間でワークピース撮像光路OPATHに沿って(すなわち中間像面ゾーンIIPZに)配置されている。これは、(例えば図3の構成の補助光路又は光軸OArefで示すような)ワークピース撮像光路OPATHから分岐した特別な補助光路又は光軸に沿った配置とは異なっている。具体的には、参照物体1088自体は、ノミナル中間像面IIPnomを取り囲むゾーン内に配置されている。この特定の実施例では、ノミナル中間像面IIPnomは、チューブレンズ351とリレーレンズ352との間のチューブレンズ351の焦点に位置している。所望の場合、ノミナル中間像面IIPnomにFS参照領域FSRR-nomを位置付けることができる。より一般的には、参照物体1088のそれぞれ異なるFS参照領域は、ノミナル中間像面IIPnomを含む及び/又はこれに近接する中間像面ゾーンIIPZ内のそれぞれ異なる面に位置付けることができる。VFL(TAG)レンズ370が屈折効果を与えない(光学パワーが無い)状態である場合、ノミナル中間像面IIPnom及びカメラ360の像面は、既知の顕微鏡撮像原理に従って、共役面セットを形成する。そのような状態では、ノミナル中間像面IIPnomに位置付けられたFS参照領域FSRR-nomは、対応するカメラ画像においてベストフォーカスとなる。より一般的には、VFLレンズ370は、参照物体1088の様々なFS参照領域から光1089を受光し、参照物体画像の光1089’を出力する。(例えばカメラ360における)画像合焦位置は、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動によって周期的に変化する。従って、カメラ像面と共役なポイント、すなわち、参照物体1088におけるノミナル中間像面IIPnomの近傍の合焦された面(例えば中間像面ゾーンIIPZ内)も、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動のため、カメラ像面で合焦されるようにスイープされることは認められよう。参照物体1088上の異なる合焦状態(FS)参照領域がノミナル中間像面IIPnomからそれぞれ異なる距離に位置する場合、それらの領域は、VFLレンズ370の周期的な光学パワー変動中にそれぞれ異なる時点で取得された各画像において合焦される。
図10の構成は様々な利点を有し得る。例えば、様々な実施例において、図10の構成は参照物体光学系構成387及び対応するレンズ387aを必要とせず、これによって本実施例の全体的な複雑さとコストが低減する可能性がある。ワークピース撮像光路OPATHに沿ったFS参照物体1088の位置付けによって、既存の構成及び製品のサイズにほとんど又は全く影響を及ぼすことなく、FS参照物体1088を(例えば改造及び/又は再設計を用いて)既存の構成及び製品に含めることが可能となる。いくつかの実施例では、この構成は、FS参照物体1088を透過させた(すなわち、FS参照物体から反射されたのではない)光を合焦状態監視のために利用する。
以下で更に詳しく記載するように、図10の構成においていくつかの実施例では、FS参照物体1088は、そのFS参照領域がワークピース撮像光路OPATH(及び/又は参照物体光路OAref)に沿ってほぼノミナル中間像面IIPnomを中心とするように、中間像面ゾーンIIPZ内に位置付けることができる。例えば、FS参照物体1088が図8の構成に対応する実施例では、中央の平面状パターン表面(例えば層0)を、少なくともほぼノミナル中間像面IIPnomに位置付けることができる。別の例として、FS参照物体1088が図4の構成に対応する実施例では、参照領域合焦位置RFP-50を、少なくともほぼノミナル中間像面IIPnomに位置付けることができる。
図3の構成と同様、図10の構成において、FS参照物体1088は参照物体画像露光中に参照物体画像光1089を出力する。参照物体画像露光中に参照物体画像光1089は、中間像面ゾーンIIPZからワークピース撮像光路OPATHの少なくとも一部に沿って、VFLレンズ370を介してカメラ360に伝送されて、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供する。より具体的には、中間像面ゾーンIIPZからの参照物体画像光1089は、VFLレンズ370を通過して参照物体画像光1089’として現れ、合焦状態監視をサポートするためカメラ360によって生成される参照物体画像露光における参照物体1088の画像を形成する。上記のように、(例えばカメラ360の)画像合焦位置は、VFLレンズ370の動作に関連付けられた周期的な光学パワー変動によって周期的に変化する。
図3から図9を参照して上述した動作と同様に、合焦状態監視中、カメラ360を用いて、FS参照物体撮像構成ROIC内に配置された合焦状態参照サブシステム1086のFS参照物体1088の画像をキャプチャすることにより、参照物体画像露光を行うことができる。いくつかの実施例では、光源330からの光332の一部を参照物体画像露光のために使用できる(例えば、光源光332及び/又はワークピース撮像光355を反射させるか又は他の方法でFS参照物体等に誘導することができる)。他の実施例では、合焦状態参照サブシステム1086は、参照物体画像露光のために使用される参照物体光源光1032roを与える参照物体光源1030roも含むことができる。参照物体光源1030roは、システム信号及び制御バス395上の信号及び/又は制御されたパワーに接続して制御することができ、これは前述のように露光時間コントローラ333es等によって管理/制御され得る。例えば、参照物体画像露光のタイミングは、参照物体光源1030roのストロボタイミングを制御することによって制御できる。様々な実施例において、(例えば、光源330からの光源光332を誘導するビームスプリッタ390の機能等と同様に)参照物体光源光1032roをFS参照物体1088の方へ反射させるか又は他の方法で誘導するため、ビームスプリッタ1090(又は他の反射面又は反射要素)を利用することができる。いくつかのそのような実施例では、参照物体光源光1032roからの光1032roはコリメート光とすることができ、これは、参照物体光源光1032roに含まれて出力光の中央エリアを遮断するマスクを通過することで、参照物体1088の中央エリアを取り囲むFSRRへ光を伝送しながら、参照物体1088の中央エリアには光が到達しないようにする(従って、その中央エリアを透過するワークピース撮像光355を妨げることも増大することもない)。
参照物体光源1030roは、ビームスプリッタ1090を介して参照物体1088を透過する光1032roを提供するものとして図示されているが、これが概略的な表現であることは理解されよう。他の実施例では、参照物体1088及び参照物体光源1030roは、参照物体1088の中央領域から反射されないがFSRRから反射される光を提供するように構成できる。
いずれにせよ、参照物体画像光1089は、FS参照物体撮像構成ROIC内に配置されたFS参照物体1088から生じる。参照物体画像光1089は、ワークピース撮像光路OPATHの少なくとも一部に沿って進行し(すなわち中間像面ゾーンIIPZから伝送されて)、参照物体画像露光中にVFLレンズ370を介してカメラ360に伝送されて、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供する(例えば図4、図5、図8、及び図9を参照して上述したように)。図5(A)~(C)を参照して上述したように、カメラ360は、VFLレンズ370の周期的変調の対応する位相タイミング中に露光された参照物体画像(例えば、例示的な像500A~500C等)及びこの結果生じる撮像システム1000の有効合焦位置を与えて、合焦状態監視動作をサポートすることができる。更に上述したように、特定の既知の位相タイミングを用いて露光された参照物体画像(例えば、例示的な画像500A~500C等)に含まれるFS参照領域セットのメンバの合焦特性値は、対応する位相タイミングにおけるVFLレンズ370の光学パワー及びこの結果生じる撮像システム300の有効合焦位置に関連している。
様々な実施例において、FS参照物体1088は、FS参照物体388、488、及び/又は888と同様又は同一であり得る。FS参照物体1088は一般に、(例えば図4、図5、図8、及び図9を参照して上述したような)コントラストパターンを含むFS参照領域FSRRのセットを含む。図10の構成において、FS参照領域FSRRは、参照物体画像内でそれぞれ既知の参照領域画像ロケーションRRILを有し、中間像面ゾーンIIPZに対してそれぞれ異なる参照領域合焦距離又は参照領域合焦位置RFPに固定されている。結果として、特定のFS参照領域FSRRのベストフォーカス像を含むカメラ画像が、その特定のFS参照領域FSRRに関連付けられたシステム合焦参照状態を規定する。図6及び図7を参照して上述した動作と同様、その規定されたシステム合焦参照状態は、その特定のFS参照領域FSRRに関連付けられた特定のVFL光学パワー又は特定の有効合焦位置のうち少なくとも1つを含む。
様々な実施例において、図10の構成は、FS参照物体1088(すなわち、FS参照物体488又は888に対応する)から反射したのではなく、FS参照物体1088を透過した光を利用することができる。1つの特定の例示的な実施例では、FS参照物体1088(例えばFS参照物体488又は888として実施される)は、クロムオンガラス(chrome on glass)を用いて形成できる(例えば、クロムがガラス上にコントラストパターンCPを形成するように配置されている)。様々な実施例において、合焦状態(FS)参照物体1088は透明な中央エリアを有することができ、FS参照領域のセットはFS参照物体1088上で、参照物体画像内のそれぞれ既知の参照領域画像ロケーションがカメラ画像の中央エリアでなくカメラ画像の1以上のエッジに沿って位置付けられるように構成することができる。VFLレンズシステム1000は、ワークピース画像がカメラ画像の中央エリアに位置付けられるように構成することができる。より一般的には、いくつかの実施例では、合焦状態(FS)参照物体1088は透明な第1のエリアを有し、VFLレンズシステム1000は、ワークピース画像が透明な第1のエリアに対応したカメラ画像の第1のエリアに位置付けられるように、かつ、FS参照領域セットのそれぞれ既知の参照領域画像ロケーションが第1のエリアとは異なるカメラ画像の第2のエリアに位置付けられるように、更に、ワークピース画像及び参照物体画像が同時に同一のカメラ画像で露光されるように構成されている。VFLレンズシステム1000は、カメラ画像内の特定のFS参照領域のベストフォーカス画像を識別するように、更に、その特定のFS参照領域に関連付けられた特定の有効合焦位置を、同一カメラ画像内のワークピース画像の有効合焦位置として識別するように構成された参照領域合焦解析器を含むことができる。
図8のものと同様の実施例を利用した構成において、FS参照物体1088は概して、ワークピース撮像光路OPATHに沿ってノミナル中間像面IIPnomに対してそれぞれ異なる合焦距離で中間像面ゾーンIIPZ内に固定された複数の平面状パターン表面(例えば層0、層2、及び層1)を含むものとして記載することができ、FS参照領域FSRRのセットはこれら複数の平面状パターン表面上に配置されている。別の例として、図4のものと同様の実施例を利用した構成において、FS参照物体1088は概して、少なくとも1つのパターン表面を含むものとして記載することができ、その少なくとも一部はワークピース撮像光路OPATHの光軸OAに対して垂直でないので、少なくとも1つのパターン表面の異なる部分が、ワークピース撮像光路OPATHに沿ってノミナル中間像面IIPnomに対してそれぞれ異なる合焦距離で中間像面ゾーンIIPZ内に固定されるようになっている。FS参照領域FSRRのセットは、少なくとも1つのパターン表面のそれら異なる部分上に配置されている。そのような構成では、概ね、少なくとも1つのパターン表面が、ワークピース撮像光路OPATHの光軸OAに対して垂直でない平面状パターン表面を含むこと、及び、FS参照領域FSRRのセットが、ワークピース撮像光路OPATHの光軸OAに対して垂直でない平面状パターン表面に沿って延出するコントラストパターンCPの異なる部分を含むことが記載され得る。
これらの例示的な構成のいくつかにおいて、それぞれ異なる参照領域合焦位置RFPが、ワークピース撮像光路OPATHに沿ったノミナル中間像面IIPnomの一方側に位置する少なくとも1つの参照領域合焦位置RFPと、ワークピース撮像光路OPATHに沿ったノミナル中間像面IIPnomの他方側に位置する少なくとも1つの参照領域合焦位置RFPと、を含むことが望ましい場合がある。1つの特定の例示的な実施例では、図8の表現(すなわちFS参照物体1088に利用される)において、参照領域合焦位置RFP-10(すなわち層1に対応する)がノミナル中間像面IIPnomの第1の側に位置すると共に参照領域合焦位置RFP-20(すなわち層2に対応する)がノミナル中間像面IIPnomの第2の側に位置するように、中央の平面状パターン表面(例えば層0)をノミナル中間像面IIPnomに位置付けることができる。別の特定の例示的な実施例では、図4の表現(すなわちFS参照物体1088に利用される)において、参照領域合焦位置RFP-10(すなわちFS参照領域FSRR-10に対応する)がノミナル中間像面IIPnomの第1の側に位置すると共に参照領域合焦位置RFP-90(すなわちFS参照領域FSRR-90に対応する)がノミナル中間像面IIPnomの第2の側に位置するように、参照領域合焦位置RFP-50をノミナル中間像面IIPnomに位置付けることができる。
図10の構成において、様々な実施例では、(例えば、光源1030ro及び/又は330において特定の波長範囲を使用することと組み合わせて)1つ以上の波長フィルタを含ませて、既知の原理に従ってワークピース画像と参照物体画像を相互に隔離させること等が可能である。1つの実施例において、波長フィルタは、ワークピース光355のみを受光することが意図されたカメラ画像の部分(例えば中央部分)から狭帯域参照物体光1089を除去するように、かつ、参照物体画像を与えることが意図されたカメラ画像の部分(例えば周辺部)から狭帯域参照物体光1089を除去しないように、形状及び配置を設定することができる。いくつかの実施例では、波長フィルタ(例えばダイクロイックフィルタ)を、1つ以上の要素に又は1つ以上の要素間に追加することができる(例えば、参照物体光源光1032roをFS参照物体1088の方へ誘導するためチューブレンズ351と共役面CPLNとの間に配置されたビームスプリッタに追加される)。他の実施例において、波長フィルタは別個の要素として追加され得る。様々な実施例において、参照物体光源1030roを、ビームスプリッタ390の光源330と同じ側か又は反対側に配置して、ビームスプリッタ390の対応する透過特性及び/又は反射特性及び/又は追加の反射面を利用して参照物体光源光1032roをFS参照物体1088の方へ又は撮像光路OPATHに沿って誘導することも可能である。
様々な実施例では、図3から図9を参照して上述したような動作と同様に、上述の参照物体1088を含む合焦状態参照サブシステム1086を用いて、VFLレンズシステム1000が動作において安定しているか否か、及び/又はVFLレンズ370の周期的な光学パワー変動中の様々な時点で所望の(例えば較正済みの)合焦状態にあるか否かを判定することができ、及び/又は、特定の画像の有効合焦位置を直接決定できることは認められよう。上述のように、様々な実施例において、露光時間コントローラ333es並びに上述した他の特徴及び要素の動作は、ワークピース画像取得、参照物体画像取得、又はそれら双方を管理するように実施できる。図5(A)~(C)及び図9(A)~(C)を参照して上述したように、いくつかの特定の例示的な実施例において、VFLレンズシステム1000が較正済みの状態又は参照状態で安定して動作している場合、FS参照物体1088の参照物体画像露光は、参照物体の構造に関連して指定された位相タイミング(例えば、FS参照物体1088の特定のFS参照領域FSRRのベストフォーカス画像を与えると予想される特定の位相タイミング)に対応するよう制御することができる。
いくつかの実施例では、上述の原理に従って構成された合焦状態参照サブシステム1086は、アクセサリ結合要素1000CFを含むVFLレンズシステムフレーム又は筐体1000FR(例えば、その代表的な部分は図10に点線部分で概略的に示されている)を含むVFLレンズシステム1000と共に使用される「アクセサリ」として提供され得る。そのような実施例では、上述の要素に加えて、合焦状態参照サブシステム1086は、VFLレンズシステム1000上のアクセサリ結合要素1000CFに固定して搭載するように構成された参照サブシステム結合要素1086CFを含む参照サブシステムフレーム又は筐体1086FRを含むことができる。そのような実施例では、参照サブシステム結合要素1086CFがVFLレンズシステム1000上のアクセサリ結合要素1000CFに固定して搭載された場合、合焦状態(FS)参照物体1088は、ノミナル中間像面IIPnomを含むか又はこれに近接するワークピース撮像光路OPATHに沿った中間像面ゾーンIIPZ内にFS参照物体1088が位置付けられるFS参照物体撮像構成ROIC内に配置される。FS参照物体1088は、参照物体画像露光中に参照物体画像光1089を出力するように配置され、参照物体画像露光中に参照物体画像光1089は、中間像面ゾーンIIPZからワークピース撮像光路OPATHの少なくとも一部に沿って、VFLレンズ370を介してカメラ360に伝送され、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供する。様々な実施例において、結合要素1000CF及び/又は1086CFは、結合及び/又は関連する機能を実行するために様々な構成及び/又は要素を含み得る。例えばアクセサリ結合要素1000CFは、合焦状態参照サブシステム1086を保持するため又は他の方法でこれに結合するためのポート、ブラケット、又は他の要素もしくは構成を含み得る。参照サブシステム結合要素1086CFは、アクセサリ結合要素1000CFに結合するためのフレーム1086FRの側面部又は他の要素もしくは構成を含み得る。様々な実施例では、結合機能及び関連する機能のため、複数の結合要素1000CF及び/又は1086CFを含む及び/又は利用することができる。一般に、結合要素1000CF及び1086CFは、参照サブシステム結合要素1086CFをアクセサリ結合要素1000CFに固定して搭載すること及び対応した動作を実行することを可能とする任意のタイプの構成又は要素を有し得る。この動作は、FS参照物体1088が参照物体画像光1089を出力することを含み、この光は中間像面ゾーンIIPZからワークピース撮像光路OPATHの少なくとも一部に沿って伝送され、参照物体画像光露光中にVFLレンズ370を介してカメラ360に到達する。
図11は、本明細書に開示される原理に従って、図10に示されているVFLレンズシステム1000のような可変焦点距離(VFL)レンズシステムの合焦状態を決定するための動作セット1100を含む方法の1つの例示的な実施例を示すフローチャートである。
動作ブロック1110では、合焦状態(FS)参照物体をFS参照物体撮像構成内に配置する。FS参照物体は、VFLレンズシステムのノミナル中間像面を含むか又はこれに近接するワークピース撮像光路に沿った中間像面ゾーン内に位置付けられる。
動作ブロック1120では、参照物体画像露光中に、FS参照物体から参照物体画像光を出力する。参照物体画像光は、ノミナル中間像面ゾーンからワークピース撮像光路の少なくとも一部に沿って伝送され、参照物体画像露光中にVFLレンズを介してカメラに伝送され、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供する。FS参照物体は合焦状態(FS)参照領域のセットを含み、この合焦状態参照領域セットは、コントラストパターンを含み、参照物体画像内でそれぞれ既知の参照領域画像ロケーションを有し、更に、ノミナル中間像面に対してそれぞれ異なる参照領域合焦位置に固定されている。特定のFS参照領域のベストフォーカス画像を含むカメラ画像は、その特定のFS参照領域に関連付けられたシステム合焦参照状態を規定する。システム合焦参照状態は、その特定のFS参照領域に関連付けられた特定のVFL光学パワー又は特定の有効合焦位置のうち少なくとも1つを含む。
動作ブロック1130では、対応するカメラ画像を解析して、対応するカメラ画像内でベストフォーカス画像を有する特定のFS参照領域を決定し、更に、その特定のFS参照領域に関連付けられたシステム合焦参照状態を決定する。決定されたシステム合焦参照状態は、その特定のFS参照領域に関連付けられた特定のVFL光学パワー又は特定の有効合焦位置のうち少なくとも1つを含む。
様々な実施例において、対応するカメラ画像の解析は、カメラ画像の1つ以上の合焦特性を決定することと、決定された1つ以上の合焦特性を、システム合焦参照状態に関連付けて記憶されている特性と比較して、システム合焦参照状態を決定することと、を含み得る。1つの特定の例示的な実施例では、カメラ画像の解析(例えば、少なくとも部分的に参照領域合焦解析器384によって実行される)は、カメラ画像内の複数のFS参照領域を解析して、最良のコントラスト又は合焦尺度のうち少なくとも1つを有するFS参照領域を決定することを含む。これが、システム合焦参照状態が関連付けられる特定のFS参照領域である。上述のように、ベストフォーカスFS参照領域(例えば、最良のコントラスト又は合焦尺度を有する)は、VFLレンズシステムがそのノミナル動作状態又は所望の動作状態からドリフトしているか否かとは無関係に、VFLレンズシステムの合焦状態及びそのカメラ画像の有効合焦位置EFPを直接示し得る。カメラ画像が合焦ワークピース画像も含む場合、有効合焦位置EFPは、VFLレンズシステムがそのノミナル動作状態又は所望の動作状態からドリフトしているか否かとは無関係に、正確なワークピースZ高さ測定を与える(例えば図6を参照して上述されている)。
図12は、本明細書に開示される原理に従って、図3に示されているVFLレンズシステム300のような可変焦点距離(VFL)レンズシステムの合焦状態を決定するための動作セット1200を含む方法の1つの例示的な実施例を示すフローチャートである。
動作ブロック1210では、合焦状態(FS)参照物体及び参照物体光学系構成をFS参照物体撮像構成内に配置する。参照物体光学系構成は、FS参照物体から受光した参照物体光を、ワークピース撮像光路の少なくとも一部に沿って伝送し、ワークピース撮像光路の少なくとも1つの光学要素と共働して動作して、ノミナル中間像面を含むか又はこれに近接する中間像面ゾーンに固定されたFS参照物体の合焦状態(FS)参照領域のセットの中間像を形成する。合焦状態(FS)参照領域のセットは、参照物体光学系構成に対するそれぞれの参照領域合焦位置に応じて、ワークピース撮像光路に沿ってノミナル中間像面に対してそれぞれ異なる合焦位置に位置付けられた対応する中間像を有する。
動作ブロック1220では、参照物体画像露光中に、FS参照物体から参照物体画像光を出力する。参照物体光学系構成は、FS参照物体から参照物体画像光を受光し、これをワークピース撮像光路の少なくとも一部に沿って伝送し、ワークピース撮像光路の少なくとも1つの光学要素と共働して動作して、中間像面ゾーンにおいて合焦状態(FS)参照領域のセットの中間像を形成し、更に参照物体画像露光中に参照物体画像光を伝送して、VFLレンズを介してカメラに到達させ、対応するカメラ画像に参照物体画像を提供する。FS参照物体は合焦状態(FS)参照領域のセットを含み、この合焦状態参照領域セットは、コントラストパターンを含み、参照物体画像内でそれぞれ既知の参照領域画像ロケーションを有し、更に、ノミナル中間像面に対してそれぞれ異なる参照領域合焦位置に固定されている。特定のFS参照領域のベストフォーカス画像を含むカメラ画像は、その特定のFS参照領域に関連付けられたシステム合焦参照状態を規定する。システム合焦参照状態は、その特定のFS参照領域に関連付けられた特定のVFL光学パワー又は特定の有効合焦位置のうち少なくとも1つを含む。
動作ブロック1230では、対応するカメラ画像を解析して、対応するカメラ画像内でベストフォーカス画像を有する特定のFS参照領域を決定し、更に、その特定のFS参照領域に関連付けられたシステム合焦参照状態を決定する。決定されたシステム合焦参照状態は、その特定のFS参照領域に関連付けられた特定のVFL光学パワー又は特定の有効合焦位置のうち少なくとも1つを含む。様々な実施例において、対応するカメラ画像の解析は、図11を参照して前述したように実行することができる。
本開示の好適な実施例について図示及び記載したが、本開示に基づいて、図示及び記載した特徴の構成及び動作のシーケンスにおける多数の変形が当業者には明らかであろう。種々の代替的な形態を用いて本明細書に開示された原理を実施することができる。例えば様々な実施例において、図8及び図9を参照して記載したものと同様であるが2つの層のみを含む多層参照物体を使用することができる。更に、上述の様々な実施例を組み合わせて別の実施例を提供することも可能である。例えば、調整可能な傾斜機構を用いて傾斜させた参照物体を実施することで、傾斜させた参照物体によってカバーされる参照物体合焦位置範囲Rroを調整して、特定の対物レンズに対応すること、又は様々な合焦状態参照領域ロケーションに関連付けられた合焦距離の選択性もしくは解像度を増大させることを可能とする。別の例として、多層参照物体を傾斜させて、多層参照物体及び傾斜させた参照物体の各々に関連した利点の組み合わせを得ることも可能である。これらの様々な特許及び出願の概念を用いて更に別の実施例を提供するために必要な場合は、上述の実施例の態様は変更可能である。
前述の記載に照らして、実施例にこれら及び他の変更を行うことができる。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は本明細書及び特許請求の範囲に開示される特定の実施例に特許請求の範囲を限定するものとして解釈されず、そのような特許請求の範囲の権利が与えられる(entitled)均等物の全範囲に加えて全ての可能な実施例を包含するものとして解釈されるべきである。