JP7320938B2 - 低吸着性吸湿フィルム - Google Patents
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Description
〈態様1〉基材層、前記基材層上の吸湿層、及び前記吸湿層上の低吸着層を具備しており、かつ
前記吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び前記熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有している、
低吸着性吸湿フィルム。
〈態様2〉前記低吸着層が、環状オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを主成分として含有している、態様1に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様3〉前記低吸着層が、ポリエステル系樹脂を主成分として含有している、態様2に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様4〉前記ポリエステル系樹脂が、ヒートシール性ポリエステル系樹脂である、態様3に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様5〉前記低吸着層の水蒸気透過度が、0.5g/(m2・day)以上である、態様1~4のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様6〉前記吸湿剤が、親水性ゼオライトである、態様1~5のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様7〉前記吸湿層の前記低吸着層側に、スキン層を更に有する、態様1~6のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様8〉前記スキン層が、前記吸湿層及び前記低吸着層と融着されている、態様7に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様9〉前記基材層が、バリア層及び基材樹脂層を有する、態様1~8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様10〉前記基材層が、第二の低吸着層である、態様1~8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
〈態様11〉態様1~10のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムで少なくとも一部が構成されている、包装袋。
〈態様12〉態様1~10のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムを封入している、包装袋。
図1及び2に示すように、本発明の低吸着性吸湿フィルム100a、100b、100c、100d、100e、100fは、
基材層10a、10b、基材層10a、10b上の吸湿層20、及び吸湿層20上の低吸着層30aを具備しており、かつ
吸湿層20が、熱可塑性樹脂、及び熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有している。
基材層は、バリア性を有していてよい。また、基材層は、バリア層及び基材樹脂層を有していてよい。
バリア層としては、外部からの水分、有機ガス、及び酸素等の無機ガスがガス吸収層へと透過することを抑制することができる材料を用いることができる。バリア層としては、例えば、これに限られないが、アルミニウム箔、若しくはアルミニウム合金等の金属箔、アルミニウム蒸着膜、シリカ蒸着膜、アルミナ蒸着膜、若しくはシリカ・アルミナ二元蒸着膜等の無機物蒸着膜、又はポリ塩化ビニリデンコーティング膜、若しくはポリフッ化ビニリデンコーティング膜等の有機物コーティング膜を用いることができる。特に、バリア性及び取り扱い性を両立させやすくする観点から、バリア層としては、アルミニウム箔を用いることが好ましい。
基材樹脂層としては、耐衝撃性、耐摩耗性等に優れた熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン、ビニル系ポリマー、ポリエステル、ポリアミド等を単独で、又は2種類以上組み合わせて複層で使用することができる。この基材樹脂層は、延伸フィルムであっても、無延伸フィルムであってもよい。また、この基材樹脂層は、バリア層の片面又は両面に存在していてもよい。この基材樹脂層により、バリア層を保護することができる。
吸湿層は、熱可塑性樹脂、及び吸湿剤を含有している層である。吸収剤は、熱可塑性樹脂に分散されていてよい。
吸湿層の熱可塑性樹脂としては、例えばポリオレフィンを用いることができる。ポリオレフィンとしては、基材樹脂層に関して挙げたポリオレフィンを用いることができる。
吸湿剤としては、親水性ゼオライト、シリカゲル等の物理吸湿剤、酸化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム等の化学吸湿剤等を用いることができる。
低吸着層は、水蒸気は透過するが、l-メントール、d-リモネン、サルチル酸メチル、カンファー、トコフェロール等の揮発成分、わさび、からし、マスタード等の食品の香気成分の吸着が少なく、特に実質的に吸着せず、包装容器内部の香気成分等を維持することができる層である。低吸着層は、単層であってもよく、又は積層体であってもよい。
環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィン部分を有する樹脂であり、環状オレフィン樹脂、及び/又はα-オレフィン-環状オレフィン共重合体であることができる。
本発明において、環状オレフィンポリマー(COP)を構成するモノマーとしては、例えば、ビニルシクロプロパン、ビニルシクロブタン、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキサン等のビニルシクロアルカン及びこれらの誘導体、シクロプロペン、シクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロオクテン等のモノシクロアルケン及びこれらの誘導体、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ-2-エン(ノルボルネン)、トリシクロ[4.3.0.12,5]デカ-3-エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ-3-エン、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]ペンタデカ-4-エン、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.19,12.08,13]ペンタデカ-3-エン、ペンタシクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]ヘキサデカ-3-エン、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]ヘキサデカ-4-エン等の多環式アルカン及びこれらの誘導体、並びにこれらの組合せが挙げられる。
本発明において、α-オレフィン-環状オレフィンコポリマー(COC)とは、α-オレフィン部分と環状オレフィン部分とを共重合させたものを意味する。
エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)は、エチレン-ビニルエステル共重合体ケン化物であり、エチレン単位の含有量は特に制限はないが、10モル%以上、15モル%以上、20モル%以上、又は25モル%以上であることができ、また70モル%以下、60モル%以下、又は55モル%以下であることができる。また、EVOHのビニルエステル単位のケン化度としては90モル%以上、95モル%以上、99モル%以上、又は100モル%であることができる。ケン化度が高いと、結晶化しやすく、低吸着性も高まる。そして、溶融時の熱安定性も安定するため、ケン化度は高い方が好ましい。ここでビニルエステルとしては酢酸ビニルが代表例として挙げられるが、その他にプロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステルも挙げられる。これらのビニルエステルは1種又は2種以上混合して使用してもよい。またEVOHはエチレン含有量、ケン化度、重合度の内の少なくとも一つが異なるEVOHを混合して使用してもよい。EVOHには本発明の目的が阻害されない範囲で他の共重合成分を含有させてもよい。これらのEVOHを複数種組み合わせて用いてもよい。
ポリエステル系樹脂としては、随意のポリエステル系樹脂を用いることができるが、ヒートシール性ポリエステル系樹脂を用いることが、別途の接着層を必要としない観点から好ましい。
酸変性ポリオレフィンは、酸を、ポリオレフィンにグラフト重合したものである。酸変性ポリオレフィンとしては、例えば無水マレイン酸変性ポリオレフィン等が用いられる。ポリオレフィンとしては、上記のポリオレフィンが好適に用いられる。これらの酸変性ポリオレフィンを複数種組み合わせて用いてもよい。
スキン層は、吸湿層の片側又は両側に存在している層であってよい。また、スキン層は、吸湿層に融着されていてもよい。
図3(a)に示すように、本発明の包装袋200aは、一態様においては、上記の低吸着性吸湿フィルム100aで少なくとも一部が構成されている。この態様においては、基材層10aは、バリア層及び基材樹脂層を有していてもよく、又は、図示していないが、第二の低吸着層であってもよい。また、内容物110が包装袋200aの内部に封入されていてもよい。
包装袋を構成する他のフィルムは、バリア性を有するフィルムであってよい。他のフィルムは、例えば上記のバリア層及び上記の基材樹脂層を有していてよい。また、他のフィルムは、シーラント層を更に有していてもよい。
内容物としては、水蒸気との接触によって劣化しうる物であれば限定されるものではなく、薬剤の他、食品、化粧品、医療器具、医療機器、電子部材、精密機械、記録材料等を挙げることができる。また、薬剤としては、医薬品製剤の他、洗浄剤、農薬等を含む。また、内容物は、基材層、及び基材層上の薬効成分含有粘着剤層を具備している薬効成分貼付材であってもよい。
〈実施例1〉
熱可塑性樹脂としてのエチレン-メタクリル酸共重合体47質量部、及び吸湿剤としての親水性ゼオライト53質量部を溶融混錬し、吸湿層用樹脂組成物を作製した。
低吸着層として、表1に示すものを用いたことを除き、実施例1と同様にして、実施例2~5の低吸着性吸湿フィルムを作製した。
結晶性ポリエステル:E5100、東洋紡株式会社、厚さ12μm
非晶性ポリエステル:ハイトロンPG、タマポリ株式会社、厚さ30μm
共重合ポリエステル:オリエステル(登録商標)SS DE046、東洋紡株式会社、厚さ30μm
EVOH積層体:ノンキャッチ(登録商標)、共同印刷株式会社、厚さ50μm
低吸着層を積層させなかったことを除き、実施例1と同様にして、比較例1の低吸着性吸湿フィルムを作製した。
〈低吸着性〉
10cm×10cmのサイズにカットした各低吸着性吸湿フィルムの低吸着性層側を、40℃環境下で飽和l-メントール蒸気に一週間曝露後、吸着したl-メントールをメチルエチルケトンで抽出し、抽出液中のl-メントール量をガスクロマトグラフィーで定量したときに、単位面積当たりのl-メントール吸着量を算出した。
作製した各低吸着性吸湿フィルムを10cm×10cmのサイズにカットし、23℃50%RH環境で保管し経時で重量測定を実施した。重量増加が起こらなくなるまで測定を続け、飽和に達した時間を読み取った。
まず、瓶に水を浸した不織布を敷き、60℃のオーブンに入れることで高温多湿な環境を準備した。次いで、作製した各低吸着性吸湿フィルムをそれぞれ10cm角に切り分けて質量を測定し、そしてこの瓶に入れ、これを60℃のオーブン中で14時間保管した。
作製した各低吸着性吸湿フィルムの低吸着層側(比較例については、スキン層側)を対向させ、温度150℃、シール時間0.5秒、シール圧力0.2MPaの条件でヒートシールさせた。
以下では、吸湿フィルム及び低吸着性フィルムを同一容器内に入れた場合における評価を行った。
(比較例2)
吸湿フィルムとしては、比較例1のフィルム、すなわちPET//AL//スキン層/吸湿層/スキン層の層構成を有するフィルムを用いた。
比較例3は、低吸着層として、上記のEVOH積層体を用いたことを除き、比較例2と同一の条件である。
(低吸着性)
10cm×10cmのサイズにカットした吸湿フィルムのスキン層側及び低吸着性フィルムの低吸着性層側を、40℃環境下で飽和l-メントール蒸気に一週間曝露後、吸着したl-メントールをメチルエチルケトンで抽出し、抽出液中のl-メントール量をガスクロマトグラフィーで定量したときに、単位面積当たりのl-メントール吸着量の、吸湿フィルム及び低吸着性フィルムの平均値を算出した。
まず、瓶に水を浸した不織布を敷き、60℃のオーブンに入れることで高温多湿な環境を準備した。次いで、作製した吸湿フィルム及び低吸着性フィルムをそれぞれ10cm角に切り分けて質量を測定し、そしてこの瓶に入れ、これを60℃のオーブン中で14時間保管した。
12 バリア層
14 基材樹脂層
20 吸湿層
30a、30b 低吸着層
100a、100b、100c、100d、100e、100f 低吸着性吸湿フィルム
110 内容物
120 他のフィルム
200a、200b 包装袋
Claims (10)
- 基材層、前記基材層上の吸湿層、及び前記吸湿層上の低吸着層を具備しており、かつ
前記吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び前記熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有しており、
前記低吸着層が、ポリエステル系樹脂を、前記低吸着層の質量全体を基準として、50質量%以上含有しており、
前記吸湿層の前記低吸着層側に、スキン層を更に有し、かつ
前記スキン層が、前記吸湿層と融着されている、
低吸着性吸湿フィルム。 - 前記ポリエステル系樹脂が、ヒートシール性ポリエステル系樹脂である、請求項1に記載の低吸着性吸湿フィルム。
- 基材層、前記基材層上の吸湿層、及び前記吸湿層上の低吸着層を具備しており、かつ
前記吸湿層が、熱可塑性樹脂、及び前記熱可塑性樹脂中に分散している吸湿剤を含有しており、
前記低吸着層が、環状オレフィン系樹脂、及びエチレン-ビニルアルコール共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを、前記低吸着層の質量全体を基準として、50質量%以上含有している最外層であり、かつ
前記吸湿層の前記低吸着層側に、スキン層を更に有する、
低吸着性吸湿フィルム。 - 前記低吸着層が、エチレン-ビニルアルコール共重合体を、前記低吸着層の質量全体を基準として、75~92質量%含有しており、かつ酸変性ポリオレフィンを、前記低吸着層の質量全体を基準として、8質量%~25質量%含有している、請求項3に記載の低吸着性吸湿フィルム。
- 前記低吸着層の水蒸気透過度が、0.5g/(m2・day)以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
- 前記吸湿剤が、親水性ゼオライトである、請求項1~5のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
- 前記基材層が、バリア層及び基材樹脂層を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
- 前記基材層が、第二の低吸着層である、請求項1~6のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルム。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムで少なくとも一部が構成されている、包装袋。
- 請求項1~8のいずれか一項に記載の低吸着性吸湿フィルムを封入している、包装袋。
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