以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
図1から図3は、本発明の実施形態に係る包装箱1を示す。この包装箱1は、例えば低温保存(例えば-196度)が必要なIPS細胞等が収容された複数のバイアル(物品)5を包装するために使用される。但し、包装する物品はバイアル5に限られず、必要に応じて変更が可能である。
図2から図4を参照すると、包装箱1は、箱本体10と、バイアル5を保持するホルダ80と、バイアル5の移動を防ぐ緩衝材100とを備える。本実施形態では、包装箱1(箱本体10)の不正開封を抑止し、仮に不正開封された場合にはその痕跡を容易に確認可能とする。
箱本体10は、図5に示す一枚のブランクを所定部位で折り曲げることで、糊付けすることなく組み立てられる。箱本体10のブランクは、周知の紙器打抜装置によって、板紙に表面加工を施したコートボールを打ち抜いて形成されている。ホルダ80は、箱本体10と同様のコートボール製であり、図9に示す一枚のブランクを所定部位で折り曲げることで、糊付けすることなく組み立てられる。緩衝材100は弾性材料(例えばスポンジ)によって成形されている。
図5及び図9に細線で示す部分は、コートボールの肉厚を圧縮するように外面側から罫を入れて形成した汎用罫線である。図5及び図6に太線で示す部分は、コートボールに刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
以下、箱本体10、ホルダ80及び緩衝材100の構成について、具体的に説明する。
個々の図面に記載したX方向が箱本体10の前後方向であり、Y方向が箱本体10の幅方向であり、Z方向が箱本体10の高さ方向である。また、本明細書においては、X方向の矢印が示す向きが前側であり、矢印とは逆向きが後側である。
(箱本体の構成)
図1及び図4を参照すると、箱本体10は、前後方向Xの寸法が幅方向Yの寸法と同一で、高さ方向Zの寸法が前後方向X及び幅方向Yそれぞれの寸法よりも小さい直方体である。但し、箱本体10の前後方向X、幅方向Y及び高さ方向Zそれぞれの寸法は、内部に収容する物品に応じて変更が可能である。また、箱本体10の平面視形状は、矩形状に限られず、4以上の多角形状であってもよい。
箱本体10は、底壁11、外周壁12、及び蓋壁41を一体に備える。底壁11と外周壁12によって有底筒状の収容部13が画定され、収容部13(外周壁12)の上端開口(以下、単に「開口」という)14が蓋壁41によって塞がれる。
図2及び図3を参照すると、箱本体10には、蓋壁41による封緘状態を維持するために、後で詳述する前壁部17側にロック孔50とロック部51が設けられ、後で詳述する側壁部18側にロック溝70とロック片71が設けられている。また、封緘状態の箱本体10を開封するために、前壁部17に開封操作部65が設けられている。
図4及び図5を参照すると、底壁11は、単層構造(一重壁)で、XY平面に沿って延びる正方形状の板体である。
図2から図4を参照すると、外周壁12は、底壁11の外周縁から上側(蓋壁41側)へ筒状に立設されている。本実施形態の外周壁12は、底壁11の形状に対応する四角筒状である。より具体的には、外周壁12は、底壁11の後縁から上向きに延びる後壁部16と、底壁11の前縁から上向きに延びる前壁部17と、底壁11の両側縁からそれぞれ上向きに延びる一対の側壁部18とを備える。
図2を参照すると、後壁部16は、YZ平面に沿って延びる長方形状の板体である。後壁部16は、底壁11の後縁に折曲部19を介して連なっている。図5を参照すると、後壁部16は、図5において底壁11の上側に、折曲部19を構成する折曲線19aを介して連設されている。折曲線19aは汎用罫線からなる。
図2を参照すると、前壁部17は、後壁部16に対して前後方向Xに間隔をあけて位置し、YZ平面に沿って延びている。前壁部17の高さ方向Zの寸法は、後壁部16の高さ方向Zの寸法と概ね同一である。前壁部17は、外板17aと内板17bを備える二層構造(二重壁)である。
外板17aは、長方形状の板体であり、底壁11の前縁に折曲部20を介して連なっている。内板17bは、外板17aよりも小さい長方形状の板体であり、外板17aの上縁に折曲部21を介して連なり、外板17aの内側に配置されている。図5を参照すると、外板17aは、図5において底壁11の下側に、折曲部20を構成する折曲線20aを介して連設されている。内板17bは、図5において外板17aの下側に、折曲部21を構成する折曲線21aを介して連設されている。これらの折曲線20a,21aは、いずれも汎用罫線からなる。
図3を参照すると、一対の側壁部18は、幅方向Yに間隔をあけて配置され、後壁部16及び前壁部17の双方に対して直交するXZ平面に沿って延びている。側壁部18の高さ方向Zの寸法は、後壁部16及び前壁部17それぞれの高さ方向Zの寸法と概ね同一である。一対の側壁部18は、いずれも外板18aと内板18bを備える二層構造(二重壁)である。
外板18aは、長方形状の板体であり、底壁11の幅方向Yの端縁に折曲部22を介して連なっている。内板18bは、外板18aよりも小さい長方形状の板体であり、外板18aの上縁に折曲部23を介して連なり、外板18aの内側に配置されている。図5を参照すると、2つの外板18aは、図5において底壁11の両側に、それぞれ折曲部22を構成する折曲線22aを介して連設されている。2つの内板18bは、図5において外板18aの外側に、それぞれ折曲部23を構成する折曲線23aを介して連設されている。これらの折曲線22a,23aは、いずれも汎用罫線からなる。
図6を参照すると、後壁部16の幅方向Yの両側にはそれぞれ、折込片25が折曲部(図示せず)を介して設けられている。折込片25は、長方形状の板体であり、後壁部16に対して直交方向に折り曲げられてXZ平面に沿って延び、側壁部18の外板18aと内板18bの間に配置されている。この折込片25によって、後壁部16と側壁部18が連なり、これらが直交方向に延びる組立状態が維持される。図5を参照すると、折込片25は、図5において後壁部16の両側に、それぞれ折曲部を構成する折曲線26aを介して連設されている。折曲線26aは汎用罫線からなる。
図2及び図6を参照すると、一対の側壁部18それぞれの内板18bのうち、後壁部16側に位置する後縁にはそれぞれ、内壁部28が折曲部29を介して設けられている。内壁部28は、概ね長方形状の板体であり、内板18bに対して直交方向に折り曲げられてYZ平面に沿って延び、後壁部16の内側に配置される。図5を参照すると、内壁部28は、図5において内板18bの上側に、折曲部29を構成する折曲線29aを介して連設されている。折曲線29aは、汎用罫線上に間隔をあけて切断線を設けたリード罫からなる。
図6を参照すると、一対の内壁部28は、前後方向Xに重複する寸法で形成されている。一対の内壁部28には、互いに噛み合う係合溝28aが設けられている。一対の内壁部28のうち、一方の係合溝28aは上端から下向きに延びる切断線によって構成され、他方の係合溝28aは下端から上向きに延びる切断線によって構成されている。2つの係合溝28aの噛み合いによって、後壁部16の内側に一対の内壁部28を配置した状態、及び一対の内板18bを対応する外板18aに対して折り曲げた状態が維持される。また、後壁部16自体は単層構造(一重壁)であるが、一対の内壁部28によって外周壁12の後壁は二層構造(二重壁)になっている。
図2及び図6を参照すると、一対の側壁部18それぞれの外板18aのうち、前壁部17側に位置する前縁にはそれぞれ、折込片31が折曲部32を介して設けられている。折込片31は、概ね長方形状の板体であり、外板18aに対して直交方向に折り曲げられてYZ平面に沿って延び、前壁部17の外板17aと内板17bの間に配置されている。この折込片31によって、前壁部17と側壁部18が連なり、これらが直交方向に延びる組立状態が維持される。図5を参照すると、折込片31は、図5において外板18aの下側に、折曲部32を構成する折曲線32aを介して連設されている。折曲線32aはリード罫からなる。
図2及び図6を参照すると、一対の側壁部18それぞれの内板18bのうち、前壁部17側に位置する前縁にはそれぞれ、折込片34が折曲部35を介して設けられている。折込片34は、長方形状の板体であり、内板18bに対して直交方向に折り曲げられてYZ平面に沿って延び、前壁部17の外板17aと内板17bの間に配置されている。図5を参照すると、折込片34は、図5において内板18bの下側に、折曲部35を構成する折曲線35aを介して連設されている。折曲線35aはリード罫からなる。
図2及び図6を参照すると、一対の折込片34は、前後方向Xに重複する寸法で形成されている。個々の折込片34の幅方向Y(図6では前後方向X)の寸法は、対向する側壁部18に当接しない範囲で、可能な限り長く設定されている。この折込片34によって、前壁部17と側壁部18が連なり、これらが直交方向に延びる組立状態が維持される。また、ロック部51と開封操作部65の形成及び分離による前壁部17の開口部分が、折込片34によって塞がれる(図14参照)。
図5及び図6を参照すると、一対の折込片34のうちの一方には、後壁部16に向けて延びる突片部36が折曲部37を介して設けられ、この突片部36に五角形状の位置決め孔36aが設けられている。図5を参照すると、突片部36は、図5において折込片34の外側に、折曲部37を構成する折曲線37aを介して連設されている。折曲線37aは汎用罫線からなる。
引き続いて図5及び図6を参照すると、前壁部17の内板17bには、位置決め孔36aと対応する位置に位置決め突部38が折曲部39を介して設けられている。図2を参照すると、位置決め突部38を位置決め孔36aに嵌め込むことで、コートボール自体が備える反発力によって、内板17bが外板17aから離れる向きへ弾性的に広がることを防ぎ、組立状態が維持される。図5を参照すると、位置決め突部38は、図5において内板17bの下側に、折曲部39を構成する折曲線39aを介して連設されている。折曲線39aはリード罫からなる。
図1及び図4を参照すると、蓋壁41は、後壁部16の上端に折曲部42を介して連なっている。蓋壁41は、外周壁12の開口14を塞いだ閉位置(図1参照)と、外周壁12の開口14を開放した開位置(例えば図14参照)とに、幅方向Yに延びる折曲部42まわりに回転可能である。図4及び図6を参照すると、蓋壁41は、蓋本体43と、2種類の差込片44,45とを備える。
蓋本体43は、単層構造(一重壁)で、底壁11よりも若干小さい矩形状の板体であり、図1に示す閉状態では外周壁12の開口14を塞ぐ。蓋本体43は、前述した折曲部42を介して後壁部16の上端に連なっている。図5を参照すると、蓋本体43は、図5において後壁部16の上側に、折曲部42を構成する折曲線42aを介して連設されている。折曲線42aは汎用罫線からなる。
図2及び図4を参照すると、前方差込片44は、概ね長方形状の板体であり、蓋本体43の前縁に折曲部46を介して連なり、前壁部17の内側に差し込まれている。折曲部46から先端までの前方差込片44の寸法は、図2に示す封緘状態で底壁11(突片部36)に当接しない範囲で可能な限り長く設定されている。図5を参照すると、前方差込片44は、蓋本体43の上側に、折曲部46を構成する折曲線46aを介して連設されている。折曲線46aは汎用罫線からなる。
図3及び図4を参照すると、側方差込片45は、蓋本体43側の前後方向Xの幅よりも先端側の幅が狭い概ね逆台形状の板体であり、蓋本体43の両側にそれぞれ折曲部47を介して連なり、側壁部18の内側に差し込まれている。折曲部47から先端までの側方差込片45の寸法は、図3に示す封緘状態で底壁11に当接可能な長さに設定されている。
図5を参照すると、側方差込片45は、図5において蓋本体43の両側に、それぞれ折曲部47を構成する折曲線47aを介して連設されている。折曲線47aは、間隔をあけて複数設けられた第1切断線と、個々の第1切断線の前方差込片44側の端に連なる第2切断線とを備える片ジッパーからなる。第2切断線は、第1切断線に対して傾斜し、蓋本体43側へ延びている。この片ジッパーは、蓋本体43から側方差込片45を分離するための破断線としての機能を兼ね備える(図14参照)。
図1及び図2を参照すると、ロック孔50は、蓋壁41の幅方向Yの中央に形成されている。図5及び図6を参照すると、ロック孔50は、1本の第1切断線50aと、2本の第2切断線50bとで構成されている。第1切断線50aは、折曲線46a(折曲部46)に対して間隔をあけて前方差込片44側に設けられ、折曲線46aに沿って平行に延びている。2本の第2切断線50bは、第1切断線50aの両端にそれぞれ連なり、前方差込片44の先端側へ延びている。2本の第2切断線50bは、蓋本体43側から前方差込片44の先端側に向けて、互いに離れる向きに傾斜している。2本の第2切断線50b間には折曲線46aは設けられていない。
図2及び図4を参照すると、ロック部51は、可動片52、ロック部本体53、折返片54、及び抜止片55を備え、ロック孔50に差し込まれて蓋壁41を開放不可能にロックする。図5及び図7を参照すると、ロック部51は、左右対称な形状を有する。可動片52は、前壁部17の外板17aに形成され、ロック部本体53、折返片54及び抜止片55は、前壁部17の内板17bの一部を切り起こすことで形成されている。
図1及び図7を参照すると、可動片52は、外板17aに設けた一対の切断線56と1本の折曲線57aとによって外板17a内に画定されている。一対の切断線56は、外板17aの上縁(折曲部21)から下向きに延び、互いに離れる向きに傾斜している。折曲線57aは、汎用罫線からなり、一対の切断線56それぞれの下端に連なっている。このように構成された可動片52は、外板17aの他の部分に対して、折曲線57aまわりに回転可能かつ弾性的に変位可能である。
図2及び図4を参照すると、ロック部本体53は、可動片52の上縁に折曲部58を介して連設されており、図2に示す封緘状態では蓋本体43に沿って延びている。図7を参照すると、ロック部本体53は、図7において可動片52の下側に、折曲部58を構成する折曲線58aを介して連設されている。折曲線58aは、汎用罫線からなり、折曲線21aに対して内板17b側、つまり図2に示す組立状態で折曲部21(外板17aの上縁)よりも上側に位置している。
引き続いて図7を参照すると、ロック部本体53は、折曲線58aの両端から折返片54に向けて延びる一対の切断線59によって、内板17b内に画定されている。一対の切断線59はそれぞれ、傾斜部59a、第1湾曲部59b及び第2湾曲部59cを備える。一対の傾斜部59aは、折曲線58aの両端にそれぞれ連なり、互いに離れる向きに傾斜している。一対の第1湾曲部59bは、一対の傾斜部59aの端にそれぞれ連なり、可動片52側へ突出するように湾曲している。一対の第2湾曲部59cは、一対の第1湾曲部59bの端にそれぞれ連なり、折返片54に近づくに従って横幅が漸減するように湾曲している。
一対の第2湾曲部59cには、切断していない連続部59dが確保されている。連続部59dは、ロック部51が内板17bに連なった状態を使用時まで維持するために設けられている。紙器打抜装置によって箱本体10を打ち抜く際、及び箱本体10の使用前に、ロック部51の自由変位を防止することで、箱本体10のブランクの取扱性を確保している。
図4及び図7を参照すると、ロック部本体53の幅方向Yの長さである横幅は、可動片52側が最も大きく、折返片54に近づくに従って漸減する概ね台形状である。ロック部本体53の最大幅W1は、図5に示すロック孔50において、一対の第2切断線50b間の最大幅と同等の寸法であり、第1切断線50aの全長よりも大きい。
ロック部本体53には、概ね長方形状の貫通孔53aが設けられている。図7に最も明瞭に示すように、貫通孔53aは、可動片52側の第1孔縁53b、折返片54側の第2孔縁53c、及び一対の第3孔縁53dによって画定されている。長尺な第1孔縁53bと第2孔縁53cは幅方向Yに延び、短尺な第3孔縁53dは前後方向Xに延びている。第1孔縁53bには、貫通孔53a内へ円弧状に突出する突部53eが設けられている。第2孔縁53cは、折返片54側へ突出するように湾曲している。
ロック部本体53には更に、ロック部本体53の幅方向Yの外側部分の折り曲げを可能とするために、一対の折曲線53fが設けられている。本実施形態では、個々の折曲線53fは、切断線によって構成されている。折曲線53fは、可撓片52側から折返片54側に向けて互いに近づく向きに傾斜している。
図2及び図4を参照すると、折返片54は、長方形状の板体であり、ロック部本体53の後壁部16側の縁に折曲部60を介して連なり、可動片52(前方差込片44)側へ延びるようにロック部本体53の上側に折り返されている。図7を参照すると、折返片54は、図7においてロック部本体53の下側に、折曲部60を構成する折曲線60aを介して連設されている。折曲線60aはリード罫からなる。
引き続いて図7を参照すると、折返片54は、一対の切断線59の端にそれぞれ連なる一対の切断線61によって、内板17b内に画定されている。折返片54の横幅W3は、貫通孔53aの横幅W2よりも大きく、ロック部本体53の最大幅W1よりも小さい。折返片54の前後方向Xの長さL1は、折曲線60aから第3孔縁53dの近い方の端までの寸法L2と同一である。
図2を参照すると、抜止片55は、折り返された折返片54の可動片52(前方差込片44)側の縁に折曲部62を介して連なり、貫通孔53aを貫通して下向きに突出している。抜止片55は、前方差込片44の内面に当接することで、ロック部51全体がロック孔50から抜け出ることを阻止する。図7を参照すると、抜止片55は、図7において折返片54の下側に、折曲部62を構成する折曲線62aを介して連設されている。折曲線62aはリード罫からなる。
引き続いて図7を参照すると、抜止片55は、一対の切断線61にそれぞれ連なる切断線63によって内板17b内に画定されている。切断線63は、一対の第1部分63a、一対の第2部分63b、及び1本の第3部分63cを備える。一対の第1部分63aは、一対の切断線61にそれぞれ連なり、互いに近づく向きに傾斜している。一対の第2部分63bは、一対の第1部分63aにそれぞれ連なり、平行に延びている。1本の第3部分63cは、一対の第2部分63bそれぞれの端に連なっている。第3部分63cには、切断していない連続部63dが確保されている。連続部63dは、連続部59dと協働し、ロック部51が内板17bに連なった状態を使用時まで維持する。
図1を参照すると、開封操作部65は、可動片52の下側に隣接するように前壁部17の外板17aに設けられている。図7を参照すると、開封操作部65は、前述した折曲線57a、一対の破断線66、及び1本の切断線67によって画定されている。一対の破断線66は、片ジッパーからなり、折曲線57aの両端から離れる向きに延び、互いに近づく向きに傾斜している。一対の破断線66それぞれの折曲線57a側の端は、開封操作部65の操作によって破断された際、一対の切断線56にそれぞれ連なることが可能な間隔をあけて位置している。切断線67は、一対の破断線66の折曲線20a側の端にそれぞれ連なっている。切断線67の上側(図1では下側)には、半円形状の打抜部68が設けられている。
図1において打抜部68に指を差し込んで開封操作部65の下端を把持し、開封操作部65を上向きに引っ張り上げる。これにより、破断線66に沿って外板17aを破断し、開封操作部65と一緒にロック部51を前壁部17から分離できる(図12参照)。
図1及び図5を参照すると、蓋本体43の前後方向Xの寸法S1は、後壁部16から前壁部17までの外周壁12の前後方向Xの寸法、より具体的には底壁11の前後方向Xの寸法S2よりも短い。これにより、図2に示すように、ロック孔50にロック部51を差し込むと、可動片52の上端が外板17aよりも内側(後壁部16側)に位置する。その結果、可動片52に連なる開封操作部65が、上側から下側に向けて外側へ傾斜する。開封操作部65の下端が最も外側に突出するため、開封操作を行う際、たとえ作業者が手袋を着用していても開封操作部65の下端を持つことができる。
図3及び図8Aを参照すると、ロック溝70は、一対の側壁部18の内板18bの下端にそれぞれ設けられている。ロック溝70は、下端から上端に向けて横幅が漸増した逆台形状である。図5を参照すると、ロック溝70は、内板18bの外端を切り欠くことで形成されている。
図3及び図8Aを参照すると、ロック片71は、蓋壁41の一対の側方差込片45にそれぞれ折曲部72を介して設けられ、側方差込片45の外側に折り返されて、ロック溝70に係合する。ロック片71は、下端から上端に向けて横幅が漸減した台形状である。図5を参照すると、ロック片71は、図5において側方差込片45の外側に、折曲部72を構成する折曲線72aを介して連設されている。折曲線72aは汎用罫線からなる。
図8Aを参照すると、ロック溝70の前後方向Xの幅は、側壁部18の内板18bの前後方向Xの幅よりも小さく、概ね内板18bの全幅に対して2/3の寸法に設定されている。ロック片71の前後方向Xの幅は、ロック溝70の幅と対応しており、側方差込片45の前後方向Xの幅よりも小さい。ロック溝70とロック片71は、内板18bと側方差込片45に対して前後方向Xの中央に設けられている。
ロック溝70の上端の前後方向Xの横幅W5は、ロック片71の上端の横幅W6よりも広く、ロック片71の下端の横幅W7よりも狭い。これにより、図8Bに示すように、ロック溝70にロック片71を係合させて、蓋壁41を開放不可能にロックできる。また、蓋壁41の側部を開く向きへ不正に操作しても、ロック溝70にロック片71が係合するため、側壁部18に対する蓋本体43の浮き上がりを阻止できる。
例えば、図5に示すブランクを図4に示す箱本体10として組み立てる場合、まず、底壁11に対して後壁部16を山折りするとともに、後壁部16に対して一対の折込片25を山折りする。続いて、側壁部18の内板18bに対して一対の内壁部28をそれぞれ谷折りした状態で、底壁11に対して外板18aを山折りするとともに、外板18aに対して内板18bを山折りし、外板18aと内板18bによって折込片25を巻き込む。その後、一対の内壁部28の係合溝28aを係合させる。これにより、図6に示す組立過程の状態になる。
次に、側壁部18の内板18bに対して一対の折込片34を谷折りするとともに、外板18aに対して一対の折込片31を山折りする。続いて、前壁部17の内板17bからロック部51を分離した状態で、底壁11に対して外板17aを山折りするとともに、外板17aに対して内板17bを山折りし、外板17aと内板17bによって折込片31,34を巻き込む。その後、位置決め突部38を位置決め孔36aに嵌め込むことで、図4に示す封緘前の組立状態とすることができる。
なお、図4の組立状態では、蓋本体43に対して、前方差込片44と一対の側方差込片45を山折りするとともに、側方差込片45に対してロック片71を谷折りした、封緘直前の状態としている。蓋壁41による箱本体10の封緘については後で詳述する。
(ホルダの構成)
図2から図4を参照すると、ホルダ80は、箱本体10の底壁11上に配置され、バイアル5を保持する。具体的には、ホルダ80は、天板81、一対の第1側板82、一対の第2側板83、及び底板84を備え、高さ方向Zの厚みが箱本体10の高さ方向Zの厚みよりも薄い直方体である。このホルダ80と箱本体10の側壁部18との間に、前述したロック片71を含む側方差込片45が差し込まれる。
図4を参照すると、天板81は、箱本体10の底壁11よりも一回り小さい正方形状の板体である。天板81には、バイアル5を貫通させて保持する円形状の保持孔81aが複数(本実施形態では10個)設けられている。
図3及び図4を参照すると、一対の第1側板82は、長方形状の板体であり、天板81の幅方向Yの両側に折曲部85を介して連なっている。第1側板82の下端には、一対の突片82aが突設されている。図9を参照すると、第1側板82は、図9において天板81の両側に、折曲部85を構成する折曲線85aを介して連設されている。折曲線85aは汎用罫線からなる。
図3を参照すると、第1側板82の下端には、底板84上に折り込まれる折込片86が折曲部87を介して連設されている。前述した突片82aは、折込片86に切断線を設けることで、第1側板82に一体に設けられている。図9を参照すると、突片82aは、図9において第1側板82の外側に、折曲部87を構成する折曲線87aを介して連設されている。折曲線85aは、汎用罫線からなり、突片82a以外の部分に設けられている。
図2及び図4を参照すると、一対の第2側板83は、第1側板82と同様に長方形状の板体であり、天板81の前後方向Xの両側に折曲部88を介して連なっている。第2側板83の下端には、一対の突片83aが突設されている。図9を参照すると、第2側板83は、図9において天板81の上下に、折曲部88を構成する折曲線88aを介して連設されている。折曲線88aはリード罫からなる。
図2及び図3を参照すると、底板84は、天板81と概ね同一の形状を有する板体であり、一対の第2側板83のうちの一方の下縁に折曲部89を介して連なっている。前述した一対の第2側板83のうちの一方の突片83aは、底板84に切断線を設けることで、第2側板83に一体に設けられている。図9を参照すると、底板84は、図9において下側に位置する第2側板83の下側に、折曲部89を構成する折曲線89aを介して連設されている。折曲線89aは、汎用罫線からなり、突片83a以外の部分に設けられている。
図2及び図3を参照すると、一対の第2側板83の幅方向Yの両側には、それぞれ折込片90が折曲部91を介して連設されている。折込片90はそれぞれ、第2側板83に対して折り曲げられ、第1側板82の内側に配置されている。図9を参照すると、折込片90は、図9において第2側板83の両側に、折曲部91を構成する折曲線91aを介して連設されている。折曲線91aは汎用罫線からなる。
図2を参照すると、底板84の前後方向Xの後端(図2において左端)には、折込片92が折曲部(図示せず)を介して連設されている。折込片92は、底板84に対して上向きに折り曲げられ、第2側板83の内側に配置されている。図9を参照すると、折込片92は、図9において底板84の下側に、折曲部を構成する折曲線93aを介して連設されている。折曲線93aは汎用罫線からなる。
図2を参照すると、折込片92には係止孔94が設けられ、一対の第2側板83のうち、底板84が連なっていない方には係止片95が設けられている。図9を参照すると、係止孔94は、折曲線93aに対して間隔をあけて折込片92側に設けられ、折曲線93aに沿って平行に延びる切断線からなる。係止片95は、図9において上側に位置する第2側板83の上側に、折曲部96を構成する折曲線96aを介して連設されている。折曲線96aは汎用罫線からなる。
例えば、図9に示すブランクを図4に示すホルダ80として組み立てる場合、まず、天板81に対して一対の第2側板83をそれぞれ山折りするとともに、第2側板83に対して底板84を山折りする。続いて、底板84に対して折込片92を山折りし、係止片95が設けられた第2側板83の内側に折込片92を差し込む。その後、第2側板83に対して係止片95を山折りし、係止孔94に係止片95を差し込む
次に、一対の第2側板83に対して折込片90をそれぞれ山折りする。続いて、天板81に対して一対の第1側板82を山折りするとともに、一対の第1側板82に対して折込片86をそれぞれ山折りし、折込片86を底板84上に差し込む。これにより、図4に示す組立状態のホルダ80が完成する。
(緩衝材の構成)
図2及び図3を参照すると、緩衝材100は、バイアル5の上端と箱本体10の蓋本体43との間に配置される。緩衝材100は、蓋本体43との間にロック部51を差込可能が空隙を確保可能な厚みである。箱本体10の開封後、緩衝材100は、バイアル5を取り出すための治具として用いられる。具体的には以下の通りである。
図4及び図10を参照すると、緩衝材100には、ホルダ80の保持孔81aと対応する位置に、円形状の貫通孔101が設けられている。貫通孔101の孔縁には、内方へ突出する半円形状の突部102が、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では7個)設けられている。図2及び図10を参照すると、貫通孔101の直径は、バイアル5の頭部5aの直径よりも大きい。複数の突部102の頂部を結ぶ仮想円V(図10参照)の直径は、バイアル5の頭部5aの直径よりも小さく、バイアル5の首部5bの直径よりも大きい。図3及び図10を参照すると、緩衝材100の両側には、それぞれ切欠部103が設けられている。
箱本体10の開封後、作業者は、緩衝材100をバイアル5に向けて押し込む。これにより、突部102を弾性的に変形させて、貫通孔101にバイアル5の頭部5aを貫通させることができる。頭部5aの貫通後、突部102が弾性的に復元することで、頭部5aの下端を突部102によって保持可能になる。よって、切欠部103に手を差し込んで緩衝材100を持ち上げることで、箱本体10内のホルダ80に保持されたバイアル5を全て取り出すことができる。
次に、箱本体10、ホルダ80及び緩衝材100からなる包装箱1の使用方法を説明する。
図4に示すように、前述のように組み立てた箱本体10の内部にホルダ80を配置した後、ホルダ80の保持孔81aにそれぞれバイアル5を配置する。続いて、バイアル5の上に緩衝材100を載置した後、箱本体10の蓋壁41を閉じる。
具体的には、図4のように側方差込片45に対してロック片71を谷折りした状態で、ロック片71を含む側方差込片45を側壁部18とホルダ80の間に差し込む。この際、ロック片71は側方差込片45の中央の2/3の領域に設けられているため、側壁部18とホルダ80の間への差込作業性は良好である。
続いて、蓋本体43に対して山折りした前方差込片44を前壁部17とホルダ80の間に差し込む。図2及び図3に示すように、底壁11に当接するまで前方差込片44を差し込むと、ロック溝70にロック片71が係合する。より具体的には、側方差込片45の外側に折り返されたロック片71は、コートボール自体が備える反発力によって、弾性的に側方差込片45から離れる向きに広がる。よって、ロック片71がロック溝70に係合した際には、前述した反発力によってロック片71が側壁部18の外板18aに衝突し、音を発する。この音によって作業者は、正規位置まで蓋壁41を押し込んだことを認識できる。
ロック溝70へのロック片71の係合によって蓋壁41を開放不可能にロックした状態で、本実施形態では更にロック部51によって蓋壁41をロックする。具体的には以下の通りである。
まず、図11A及び図11Bに示すように、ロック部本体53の上側に折返片54を折り返し、抜止片55を貫通孔53aに貫通させる。これにより、抜止片55は、ロック部本体53の上側から下側へ突出した状態になる。この状態で、可動片52を手前に回動させ、ロック部本体53をロック孔50に差し込む。差し込みが困難な場合、折曲線53fに沿ってロック部本体53を折り曲げることで、差込作業性を向上できる。図2に示すように、抜止片55全体がロック孔50を通して内部に挿入されると、ロック部51によるロックが完了する。
引き続いて図2を参照すると、封緘状態では、コートボール自体が備える反発力によって、ロック部本体53の上側に折り返された折返片54が、ロック部本体53から離れる向きに広がろうとする。この折返片54の広がりは、貫通孔53aの孔縁と抜止片55の間の摩擦抵抗と、蓋本体43への折返片54の当接とによって、抑止される。その結果、抜止片55は、貫通孔53aを通して下側へ突出した状態に維持される。
この封緘状態で、ロック孔50からロック部本体53を引き抜こうとすると、ロック部本体53の前壁部17側の端及び抜止片55が、蓋壁41の前方差込片44に当接する。そのため、ロック孔50からのロック部51を引き抜くことはできない。
図2及び図3を参照すると、バイアル5を保持したホルダ80は突片82a,83aを備えるため、箱本体10の底壁11とホルダ80の底板84との間には、緩衝用の空間が形成される。しかも、バイアル5上には、取出用の治具としての機能も有する緩衝材100が配置されている。よって、包装箱1に高い緩衝性を備えさせることができる。
次に、作業者が行う正規の開封操作を説明する。
まず、図1に示す打抜部68に指を差し込み、開封操作部65の下端を把持する。この際、本実施形態では、開封操作部65が傾斜し、開封操作部65の下端が最も外側に位置しているため、たとえ作業者が手袋を着用していても、開封操作部65を容易に把持できる。続いて、開封操作部65を引き上げるように操作する。これにより、図12に示すように、破断線66に沿って前壁部17の外板17aを破断し、ロック部51と可動片52を開封操作部65と一緒に前壁部17から分離できる。これにより、ロック部51による蓋壁41のロックが解除される。
引き続いて開封操作部65を上向きに操作すると、図8B及び図13に示すように、ロック片71がロック溝70に係合するため、側壁部18に対する側方差込片45の引き抜きが阻止される。その結果、図12に示すように、破断線として機能する折曲線(片ジッパー)47aに沿って、蓋壁41が破断される。蓋本体43と側方差込片45の間の全域が破断されると、図14に示す開封状態になる。なお、図14では、箱本体10内のバイアル5、ホルダ80及び緩衝材100は図示していない。
次に、第三者による不正操作の一例を説明する。
図15Aに示すように、ロック孔50からロック部本体53を引き抜こうとした場合、図15Bに示すように、抜止片55が前方差込片44に当接する。抜止片55が貫通孔53aを通して下向きに突出しているため、折返片54の上端から抜止片55の下端までの高さ方向Zの寸法は、切断線50a,50bからなるロック孔50の隙間よりも遙かに大きい。よって、抜止片55よりも後壁部16側は、ロック孔50を通過できない。
ロック部本体53の引き抜きを続けた場合、図16A及び図16Bに示すように、抜止片55は、折返片54に対して概ね直交方向に折れ曲がり、前方差込片44に面接触する。また、抜止片55は、貫通孔53aの第2孔縁53cに当接し、それ以上の変位が阻止される。その結果、ロック孔50からロック部本体53を引き抜くことはできない。このように、ロック部本体53による蓋壁41のロックは強固であるため、ロック部本体53を無理に引き抜いた場合、ロック孔50又はロック部51が破れる。
一方、図2に示すロック状態で、ロック孔50に対してロック部本体53を更に押し込むように操作しても、貫通孔53aから下側への抜止片55の突出状態、及び蓋本体43への折返片54の当接状態は、変わらない。よって、ロック孔50からロック部本体53を無理に引き抜かない限り、蓋壁41に対するロック部51のロックは解除できない。
側壁部18と蓋本体43の間から不正な荷抜き及び改ざんを行おうとしても、これらの間は側方差込片45によって塞がれている。また、側方差込片45に連設したロック片71がロック溝70に係合し、側壁部18に対する蓋本体43の浮き上がりが抑制されている。また、側方差込片45の内側にはホルダ80が介在しているため、側方差込片45を外側から内向きに押しても、側方差込片45が内向きに移動することはない。よって、ロック溝70に対するロック片71の係合は解除できない。その結果、包装箱1の側方からの不正な開封は不可能であり、無理に開封しようとした場合には、折曲線(破断線)47aの少なくとも一部が破断する。
以上のように、本実施形態の包装箱1では、前壁部17側及び側壁部18側のいずれから不正な操作を行っても、痕跡を残さずに開封することはできないため、不正開封を抑止できる。
このように構成された包装箱1は、以下の特徴を有する。
ロック部51が、ロック部本体53の上側に折り返された折返片54と、貫通孔53aを貫通して下向きに突出した抜止片55とを備える。よって、ロック孔50にロック部本体53を差し込んだ状態では、蓋本体43への折返片54の当接によって、抜止片55が貫通孔53aから下側へ突出した状態に維持される。この状態で、ロック孔50からロック部本体53を引き抜く不正操作を行うと、抜止片55が前方差込片44に当接するため、ロック孔50からのロック部本体53の引き抜きが阻止される。
ロック孔50にロック部本体53を更に押し込むように操作しても、貫通孔53aから下側への抜止片55の突出状態、及び蓋本体43への折返片54の当接状態は、変わらない。よって、ロック孔50からロック部51を無理に引き抜かない限り、蓋壁41に対するロック部51のロックは解除できない。但し、このように不正操作した場合にはロック孔50又はロック部51が破れる。従って、不正操作による開封を抑止でき、仮に不正開封された場合にはその痕跡を容易に確認できる。
前壁部17が二重壁からなるため、外周壁12の剛性を向上できる。また、可動片52が外板17aに形成され、ロック部本体53、折返片54及び抜止片55が内板17bを切り起こして形成されているため、一枚のブランクによって箱本体10(包装箱1)を構成できる。
可動片52に隣接する開封操作部65が前壁部17に形成されているため、開封操作部65の操作によって、ロック部51と可動片52を開封操作部65と一緒に前壁部17から分離できる。これにより、ロック部51によってロックした蓋壁41が開放可能になるため、包装箱1の開封作業性を向上できる。
蓋本体43の前後方向Xの寸法S1が外周壁12の前後方向Xの寸法S2よりも短く、ロック孔50へのロック部本体53の差し込みによって、開封操作部65が外側へ傾斜している。そのため、たとえ作業者が手袋を着用していても、開封操作部65を容易に操作でき、包装箱1を開封できる。よって、低温保存が必要なバイアル5を包装箱1に収容する場合に有効である。
外周壁12が二重壁からなる側壁部18を有するとともに、蓋壁41が側壁部18の内側に差し込まれる側方差込片45を有し、側壁部18の内板18bにロック溝70が設けられ、側方差込片45にロック片71が設けられている。そのため、側壁部18に対する蓋本体43の両側の浮き上がりを抑制できるため、この部分からの不正な荷抜き及び改ざんを抑止できる。また、側方差込片45の外側に折り返されたロック片71は、コートボール自体が備える反発力によって側方差込片45から離れる向きに広がるため、ロック溝70に係合した際に音を発する。よって、ロック溝70へのロック片71の係合を作業者が認識できるため、封緘作業性を向上できる。
ロック溝70が逆台形状であり、ロック片71が台形状であり、ロック溝70の上端の横幅W5は、ロック片71の上端の横幅W6よりも広く、ロック片71の下端の横幅W7よりも狭い。そのため、蓋壁41によって外周壁12の上端開口14を閉塞することで、ロック溝70にロック片71を係合させて、蓋壁41を確実にロックできる。また、蓋壁41を開く向きに不正操作すると、ロック溝70にロック片71が係合するため、側壁部18に対する蓋本体43の両側の浮き上がりを効果的に抑制できる。
ロック溝70とロック片71によるロックは強固であるため、蓋壁41に設けられた折曲線(破断線)47aは、蓋壁41を開く動作によって破断可能である。そのため、開封操作部65を持って上向きに操作することで、ロック部51を前壁部17から分離し、引き続いてロック片71と側方差込片45を蓋壁41から分離して、開封できる。このように、ワンアクションで包装箱1を開封できるため、利便性を向上できる。
側方差込片45が側壁部18とホルダ80の間に差し込まれるため、側方差込片45の内向きの移動をホルダ80によって阻止できる。そのため、ロック溝70にロック片71を確実に係合できるうえ、ロック溝70からのロック片71の係合解除を阻止できる。
本実施形態の包装箱1は、更に以下の特徴を有する。
箱本体10及びホルダ80がコートボール製であるため、低温下(冷凍)での使用に耐えることができる。
糊や封緘シールのような固着手段は、低温下ではその効果を失い、剥がれる虞が高いが、本実施形態の箱本体10及びホルダ80は、ブランクを所定部位で折り曲げることで、糊付けすることなく組み立てることができるため、そのような問題が生じることはない。
ロック部51と開封操作部65の形成によって生じる前壁部17の開口部分が折込片34によって塞がれているため、遮断性を高めることができ、異物や冷気の直接的な侵入を防止できる。
外周壁12のうち、後壁部16は二重壁で、前壁部17は四重壁で、側壁部18は三重壁であるため、包装箱1の剛性を確保できる。ホルダ80の使用によって、底壁11側においても二重かつ緩衝空間が確保されているため、バイアル5等の割れ易い物品に対する緩衝性を確保できる。しかも、バイアル5の上には緩衝材100が配置されるため、全方位の緩衝性を高めることができる。
開封状態では、蓋本体43から側方差込片45は分離されるが、前方差込片44は蓋本体43に連なった状態で残存しているため、前方差込片44を前壁部17の内側に差し込むことで、再封緘が可能である。この際、前方差込片44は、前壁部17とホルダ80の間に差し込まれるため、確実に再封緘状態を維持できる。
貫通孔53aが、抜止片55を貫通させる向きとは逆に突出する第2孔縁53cと突部53eを有する。よって、貫通孔53aへの抜止片55の挿入作業性を確保し、貫通させた状態では、貫通孔53aから抜止片55が抜け出ることを確実に防止できる。
なお、本発明の包装箱1は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
以下、本発明の種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は前記実施形態と同様である。以下で言及する図面において、実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
例えば、外周壁12の前壁部17は、外板17aと内板17bを備える二重壁としたが、単層構造の一重壁であってもよい。
蓋本体43の前後方向Xの寸法を外周壁12の前後方向Xの寸法よりも小さくし、開封操作部65を傾斜させたが、開封操作部65が傾斜しない寸法設定としてもよい。
ロック溝70を逆台形状とし、ロック片71を台形状としたが、これらの形状は必要に応じて変更が可能である。
蓋本体43と側方差込片45の境界部分に、破断線として機能する折曲線47aを設けたが、この折曲線47aは単なる汎用罫線であってもよい。つまり、折曲線47aに破断線としての機能を備えさせなくてもよい。
外周壁12の側壁部18は、外板18aと内板18bを備える二重壁としたが、単層構造の一重壁であってもよい。また、側壁部18側のロック溝70及びロック片71は設けなくてもよい。
ホルダ80にバイアル5を配置可能な数は8本であってもよく、その本数と配置は必要に応じて変更可能である。
図17に示すように、ホルダ80には、緩衝材100と一緒にバイアル5を覆うカバー110を設けてもよい。具体的には、ホルダ80は、図4に示す実施形態と同様に、天板81、一対の第1側板82、一対の第2側板83、及び底板84を備え、カバー110は、天板81の幅方向Yの両側に連設されている。
図18を参照すると、天板81の上下には、図9に示す実施形態と同様に、折曲線88aを介して第2側板83がそれぞれ連設されている。図18において下側の第2側板83には折曲線89aを介して底板84が連設され、この底板84の下側に折曲線93aを介して折込片92が連設されている。折込片92には係止孔94が設けられ、図18において上側の第2側板83には折曲線96aを介して係止片95が連設されている。一方で、変形例のホルダ83では、第1側板82が、図17に示す折曲部111を構成する折曲線111aを介して底板94の両側にそれぞれ連設され、個々の第1側板82の外側に折曲線87aを介して折込片86が連設されている。
図17を参照すると、カバー110は、側方カバー部110aと上方カバー部110bを備える。側方カバー部110aは、折曲部112を介して天板81に連なり、図4に示す側壁部18に沿ってXZ平面に沿って上向きに延びる。側方カバー部110aは、バイアル5の上に載置した緩衝材100(図4参照)の上面に上端が位置する全高である。上方カバー部110bは、折曲部113を介して側方カバー部110aの上端に連なり、図4に示す蓋本体43に沿ってXY平面に沿って延びる。上方カバー部110bの幅方向Yの突出長さは、互いの先端部分がオーバーラップする寸法である。
図18を参照すると、側方カバー部110aは、折曲部112を構成する折曲線112aを介して天板81の両側にそれぞれ連なり、上方カバー部110bは、折曲部113を構成する折曲線113aを介して側方カバー部110aの外側に連なっている。折曲線112a,113aはいずれもリード罫からなる。
このように構成したホルダ80では、例えばカバー110のみを展開し、その他の部分を組み立てた状態で、複数の保持孔81aにそれぞれバイアル5を配置した後、複数のバイアル5の上に図4に示す緩衝材100を配置する。その後、図17に示すように、天板81に対して側方カバー部110aを折り曲げた後、側方カバー部110aに対して上方カバー部110bを折り曲げる。この状態のホルダ80において、底板84から上方カバー部110bまでの両側を把持することで、複数のバイアル5と緩衝材100を纏めて図4に示す箱本体10に収容できる。よって、作業者が手袋を着用している場合に有効である。また、変形例のホルダ80を用いた包装箱1の封緘状態では、図4に示す実施形態のホルダ80と同様に、側壁部18との間に側方差込片45が差し込まれ、側方差込片45の内向きの移動を阻止できる。
一方で、包装する物品によっては、ホルダ80及び緩衝材100の一方又は両方を用いることなく、箱本体10のみによって包装箱1を構成してもよい。
箱本体10及びホルダ80の形成材料は、コートボールに限られず、表面加工が施されていない板紙であってもよいし、段ボールシートであってもよい。