JP7320013B2 - 非水電解液二次電池の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液二次電池の製造方法に関する。
近年、リチウムイオン二次電池等の非水電解液二次電池は、パソコン、携帯端末等のポータブル電源や、電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源などに好適に用いられている。
リチウムイオン二次電池の電解質塩(支持塩)として、LiPFが一般的に用いられている。近年、非水電解液のイオン伝導度を高めることができることから、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド(LiFSI)を電解質塩に用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
一方で、リチウムイオン二次電池の正極集電体には、通常、アルミニウム箔が用いられている。LiFSIを電解質塩に用いた場合、正極集電体からアルミニウムが溶出するという問題がある。そこで、特許文献1では、LiFSIをセパレータの表層に含有させ、LiFSIが非水電解液に溶解する前に、この非水電解液によって正極集電体の表面に不動態被膜を形成させる技術が提案されている。特許文献1には、正極集電体にLiFSIが溶解した非水電解液が接触した場合でも、この不導体被膜により、アルミニウムの溶出を抑制できることが記載されている。
特開2017-73273号公報
しかしながら、本発明者らが鋭意検討した結果、上記従来技術においては、非水電解液二次電池を高温下で保存した際の容量低下の抑制において、改善の余地があることを見出した。
そこで、本発明の目的は、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを電解質塩として用いた非水電解液二次電池であって、高温下で保存した際の容量の低下が抑制された非水電解液二次電池を製造可能な方法を提供することにある。
ここに開示される非水電解液二次電池の製造方法は、正極と、負極と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを実質的に含有せず、負極被膜形成剤を含有する第1電解液と、を備える組立体を用意する工程と、前記負極被膜形成剤により、前記組立体において前記負極上に被膜を形成する工程と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含有する第2電解液を前記組立体に注入する工程と、を包含する。このような構成によれば、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを電解質塩として用いた非水電解液二次電池であって、高温下で保存した際の容量の低下が抑制された非水電解液二次電池を製造可能な方法を提供することができる。
ここに開示される非水電解液二次電池の製造方法の好ましい一態様においては、前記第1電解液中の前記負極被膜形成剤の濃度が、0.4質量%以上である。このような構成によれば、高温下で保存した際の容量の低下をより抑制することができる。
ここに開示される非水電解液二次電池の製造方法の好ましい一態様においては、前記第2電解液が、前記第1電解液に追加されるものであり、前記第1電解液および前記第2電解液がそれぞれ、非水溶媒として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とを含有し、前記第2電解液に含まれる前記非水溶媒中の全カーボネート類に対する前記環状カーボネート類の体積比(%)と、前記第1電解液に含まれる前記非水溶媒中の全カーボネート類に対する前記環状カーボネート類の体積比(%)との差が、±20%内の範囲にある。このような構成によれば、得られる非水電解液二次電池の初期抵抗特性に優れる。
ここに開示される非水電解液二次電池の製造方法の好ましい一態様においては、前記第2電解液が、前記第1電解液に追加されるものであり、前記製造方法が、前記第2電解液を前記組立体に注入する工程の後に、前記組立体をエージング処理する工程をさらに含む。このような構成によれば、得られる非水電解液二次電池の初期抵抗特性に優れる。
本発明の一実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法の各工程を示すフローチャートである。 本発明の一実施形態に従い製造される非水電解液二次電池の捲回電極体の構成を説明する模式図である。 本発明の一実施形態に従い製造される非水電解液二次電池の構成を模式的に示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明に係る実施の形態を説明する。なお、本明細書において言及していない事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。また、以下の図面においては、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明している。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は実際の寸法関係を反映するものではない。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイスをいい、いわゆる蓄電池、および電気二重層キャパシタ等の蓄電素子を包含する用語である。また、本明細書において「リチウム二次電池」とは、電荷担体としてリチウムイオンを利用し、正負極間におけるリチウムイオンに伴う電荷の移動により充放電が実現される二次電池をいう。
以下、例として、非水電解液二次電池が扁平角型のリチウムイオン二次電池がある場合の実施形態について、本発明を具体的に詳細に説明するが、本発明をかかる実施形態に記載されたものに限定することを意図したものではない。
図1に、本実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法の各工程を示す。図2に、本実施形態に係る製造方法により得られる非水電解液二次電池の一例のリチウムイオン二次電池の電極体の構成を模式的に示す。図3に、本実施形態に係る製造方法により得られる非水電解液二次電池の一例のリチウムイオン二次電池の内部構造を模式的に示す。
本実施形態に係る非水電解液二次電池の製造方法は、図1に示すように、正極と、負極と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを実質的に含有せず、負極被膜形成剤を含有する第1電解液(以下、「電解液(1)」ともいう)と、を備える組立体を用意する工程(組立体用意工程)S101と、当該負極被膜形成剤により、当該組立体において当該負極上に被膜を形成する工程(負極被膜形成工程)S102と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含有する第2電解液(以下、「電解液(2)」ともいう)を当該組立体に注入する工程(第2電解液注液工程)S103と、を包含する。
まず、組立体用意工程S101について説明する。組立体用意工程S101においては、正極50と、負極60と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを実質的に含有せず、負極被膜形成剤を含有する電解液(1)と、を備える組立体を用意する。
組立体用意工程S101に用いられる正極50は、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極であってよい。正極50は、典型的には、例えば、図2に示すように、正極集電体52と、正極集電体52に支持された正極活物質層54と、を備える。正極活物質層54は、正極集電体52の片面上に設けられてもよく、両面上に設けられてもよいが、好ましくは両面上に設けられる。正極50には、典型的には、図2に示すように、正極活物質層非形成部分52a(即ち、正極活物質層54が形成されずに正極集電体52が露出した部分)が設けられる。
正極集電体52としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極集電体を用いてよく、その例としては、導電性の良好な金属(例えば、アルミニウム、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)製のシートまたは箔が挙げられる。正極集電体52としては、アルミニウム箔が好ましい。
正極集電体52の寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。正極集電体52としてアルミニウム箔を用いる場合には、その厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上35μm以下であり、好ましくは7μm以上20μm以下である。
正極活物質層54は、正極活物質を含有する。正極活物質としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の正極活物質を用いてよい。具体的に例えば、正極活物質として、リチウム複合酸化物、リチウム遷移金属リン酸化合物等を用いることができる。正極活物質の結晶構造は、特に限定されず、層状構造、スピネル構造、オリビン構造等であってよい。
リチウム複合酸化物としては、遷移金属元素として、Ni、Co、Mnのうちの少なくとも1種を含むリチウム遷移金属複合酸化物が好ましく、その具体例としては、リチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等が挙げられる。これらの正極活物質は、1種単独で用いてよく、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本明細書において「リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物」とは、Li、Ni、Co、Mn、Oを構成元素とする酸化物の他に、それら以外の1種または2種以上の添加的な元素を含んだ酸化物をも包含する用語である。かかる添加的な元素の例としては、Mg、Ca、Al、Ti、V、Cr、Y、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Na、Fe、Zn、Sn等の遷移金属元素や典型金属元素等が挙げられる。また、添加的な元素は、B、C、Si、P等の半金属元素や、S、F、Cl、Br、I等の非金属元素であってもよい。このことは、上記したリチウムニッケル系複合酸化物、リチウムコバルト系複合酸化物、リチウムマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルマンガン系複合酸化物、リチウムニッケルコバルトアルミニウム系複合酸化物、リチウム鉄ニッケルマンガン系複合酸化物等についても同様である。
正極活物質としては、リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物が好ましい。リチウムニッケルコバルトマンガン系複合酸化物としては、下式(I)で表される組成を有するものが好ましい。
Li1+xNiCoMn(1-y-z)α2-ββ (I)
式(I)中、x、y、z、α、およびβはそれぞれ、0≦x≦0.7、0.1<y<0.9、0.1<z<0.4、0≦α≦0.1、0≦β≦0.5を満たす。Mは、Zr、Mo、W、Mg、Ca、Na、Fe、Cr、Zn、Sn、およびAlからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。Qは、F、ClおよびBrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。エネルギー密度および熱安定性の観点から、yおよびzはそれぞれ、0.3≦y≦0.5、0.20≦z<0.4を満たすことが好ましい。xは、好ましくは0≦x≦0.25を満たし、より好ましくは0≦x≦0.15を満たし。さらに好ましくは0である。αは、好ましくは0≦α≦0.05を満たし、より好ましくは0である。βは、好ましくは0≦β≦0.1を満たし、より好ましくは0である。
正極活物質の平均粒子径(メジアン径:D50)は、特に限定されないが、例えば、0.05μm以上25μm以下であり、好ましくは1μm以上20μm以下であり、より好ましくは3μm以上15μm以下である。なお、正極活物質の平均粒子径(D50)は、例えば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
正極活物質層54は、正極活物質以外の成分、例えば、リン酸三リチウム、導電材、バインダ等を含んでいてもよい。導電材としては、例えばアセチレンブラック(AB)等のカーボンブラックやその他(例、グラファイトなど)の炭素材料を好適に使用し得る。バインダとしては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。
正極活物質層54中の正極活物質の含有量(すなわち、正極活物質層54の全質量に対する正極活物質の含有量)は、特に限定されないが、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上97質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以上96質量%以下である。正極活物質層54中のリン酸三リチウムの含有量は、特に制限はないが、1質量%以上15質量%以下が好ましく、2質量%以上12質量%以下がより好ましい。正極活物質層54中の導電材の含有量は、特に制限はないが、1質量%以上15質量%以下が好ましく、3質量%以上13質量%以下がより好ましい。正極活物質層54中のバインダの含有量は、特に制限はないが、1質量%以上15質量%以下が好ましく、1.5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
正極活物質層54の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm以上300μm以下であり、好ましくは20μm以上200μm以下である。
正極50は、公知方法に従い作製して準備することができる、例えば、正極活物質および任意成分を含有する正極ペーストを作製し、当該正極ペーストを正極集電体52に塗工し、乾燥し、必要に応じてプレス処理することにより、正極50を準備することができる。なお、本明細書において「ペースト」との用語は、「スラリー」、「インク」と呼ばれる形態のものも包含する用語として用いられている。
組立体用意工程S101に用いられる負極60は、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の負極であってよい。負極60は、典型的には、例えば、図2に示すように、負極集電体62と、負極集電体62に支持された負極活物質層64と、を備える。負極活物質層64は、負極集電体62の片面上に設けられてもよく、両面上に設けられてもよいが、好ましくは両面上に設けられる。負極60には、典型的には、図2に示すように、負極活物質層非形成部分62a(即ち、負極活物質層64が形成されずに負極集電体62が露出した部分)が設けられる。
負極集電体62としては、リチウムイオン二次電池に用いられる公知の負極集電体を用いてよく、その例としては、導電性の良好な金属(例えば、銅、ニッケル、チタン、ステンレス鋼等)製のシートまたは箔が挙げられる。負極集電体52としては、銅箔が好ましい。
負極集電体62の寸法は特に限定されず、電池設計に応じて適宜決定すればよい。負極集電体62として銅箔を用いる場合には、その厚みは、特に限定されないが、例えば5μm以上35μm以下であり、好ましくは7μm以上20μm以下である。
負極活物質層64は負極活物質を含有する。当該負極活物質としては、例えば黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料を使用し得る。黒鉛は、天然黒鉛であっても人造黒鉛であってもよく、黒鉛が非晶質な炭素材料で被覆された形態の非晶質炭素被覆黒鉛であってもよい。
負極活物質の平均粒子径(メジアン径:D50)は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上50μm以下であり、好ましくは1μm以上25μm以下であり、より好ましくは5μm以上20μm以下である。なお、負極活物質の平均粒子径(D50)は、例えば、レーザ回折散乱法により求めることができる。
負極活物質層64は、活物質以外の成分、例えばバインダや増粘剤等を含み得る。バインダとしては、例えばスチレンブタジエンラバー(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等を使用し得る。増粘剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース(CMC)等を使用し得る。
負極活物質層中の負極活物質の含有量は、90質量%以上が好ましく、95質量%以上99質量%以下がより好ましい。負極活物質層中のバインダの含有量は、0.1質量%以上8質量%以下が好ましく、0.5質量%以上3質量%以下がより好ましい。負極活物質層中の増粘剤の含有量は、0.3質量%以上3質量%以下が好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより好ましい。
負極活物質層64の厚みは、特に限定されないが、例えば、10μm以上300μm以下であり、好ましくは20μm以上200μm以下である。
負極60は、公知方法に従い作製して準備することができる、例えば、負極活物質および任意成分を含有する負極ペーストを作製し、当該負極ペーストを負極集電体62に塗工し、乾燥し、必要に応じてプレス処理することにより、負極60を準備することができる。
正極50と負極60は、典型的には、正極50と負極60とが、セパレータ70を介して積層された電極体20として使用される。電極体20は、積層型電極体であっても、捲回電極体であってもよい。図示例では、電極体20は、捲回電極体である。
セパレータ70としては、例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂から構成される多孔性シート(フィルム)が挙げられる。かかる多孔性シートは、単層構造であってもよく、二層以上の積層構造(例えば、PE層の両面にPP層が積層された三層構造)であってもよい。セパレータ70の表面には、耐熱層(HRL)が設けられていてもよい。
セパレータ70の厚みは特に限定されないが、例えば5μm以上50μm以下であり、好ましくは10μm以上30μm以下である。
電極体20は、公知方法に従って作製することができる。図示例のように電極体20が、捲回電極体である場合、例えば、次のようにして準備することができる。
まず、正極シート50と、負極シート60とを、これらの間にセパレータシート70が介在するように重ね合わせる。さらにセパレータシート70を積層する。このとき、図2に示すように、正極シート50の正極活物質層非形成部分52aと負極シート60の負極活物質層非形成部分62aとが、2枚のセパレータシート70の幅方向の端部から、それぞれ反対方向にはみ出すように重ね合わせる。
得られた積層体を、捲回する。この積層体の捲回は、公知方法に従って実施することができる。例えば、公知の捲芯を備える捲回機を用いて、巻芯の外周面に当該積層体を巻き取ることによって行うことができる。巻き取り条件は、公知の条件と同様であってよい。
続いて、捲回した積層体をプレス処理して、扁平形状の捲回電極体を作製する。このプレス処理は、一般的な扁平形状の捲回電極体の製造に用いられる公知のプレス装置を用いて、上記捲回工程で捲回した積層体をプレスすることによって行うことができる。プレス条件は、公知の条件と同様であってよい。
一方で、電池ケース30を準備する。具体的には、図3に示すように、開口部を有する電池ケース30の本体と、電池ケース30の蓋体とを用意する。当該開口部は、捲回電極体20を挿入可能な寸法を有する。蓋体は、電池ケース30の本体の開口部を塞ぐ寸法を有する。また、蓋体には、電池ケース30の内圧が所定レベル以上に上昇した場合に該内圧を開放するように設定された薄肉の安全弁36と、非水電解液を注入するための注入口(図示せず)が設けられている。電池ケース30には、例えば、アルミニウム等の軽量で熱伝導性の良い金属材料が用いられる。
また、電解液(1)を準備する。電解液(1)は、LiFSIを実質的に含有せず、負極被膜形成剤を含有する。また、電解液(1)は、典型的には、電解質塩(支持塩)と、非水溶媒と、を含有する。
非水溶媒としては、一般的なリチウムイオン二次電池の電解液に用いられる各種のカーボネート類、エーテル類、エステル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の有機溶媒を、特に限定なく用いることができる。なかでも、カーボネート類が好ましく、その例として、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、モノフルオロエチレンカーボネート(MFEC)、ジフルオロエチレンカーボネート(DFEC)などの環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、モノフルオロメチルジフルオロメチルカーボネート(F-DMC)、トリフルオロジメチルカーボネート(TFDMC)などの鎖状カーボネート;等が例示される。このような非水溶媒は、1種を単独で、あるいは2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。非水溶媒としては、鎖状カーボネートと、環状カーボネートとを組合わせて用いることが好ましい。
電解質塩に関し、電解液(1)はLiFSIを実質的に含有しない。本明細書において、電解液(1)がLiFSIを実質的に含有しないとは、本発明の効果が阻害されない程度にLiFSIの含有量が小さいことをいい、具体的には、LiFSIの濃度が、0.1mol/L未満であることをいい、LiFSIの濃度は、好ましくは0.05mol/L未満であり、さらに好ましくは0.01mol/L未満であり、最も好ましくは0mol/Lである。
したがって、電解液(1)は、通常はLiFSI以外の電解質塩を含有し、その例としては、LiPFなどが挙げられる。LiFSI以外の電解質塩の濃度は、特に限定されないが、例えば0.5mol/L以上1.5mol/L以下である。
負極被膜形成剤としては、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、クロロエチレンカーボネート、メチルフェニルカーボネートなどのカーボネート化合物;リチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)、リチウムジフルオロ(オキサラト)ボレート(LiFOB)、リチウムジフルオロビス(オキサラト)ホスフェート(LPFO)などのオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩;エチレンサルファイド、プロピレンサルファイドなどのアルケンサルファイド;1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトンなどのスルトン化合物;マレイン酸無水物、コハク酸無水物などの酸無水物;などを用いることができる。なかでも、良好な被膜を得る観点から、カーボネート化合物、およびオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩が好ましく、VCおよびオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩(特にLiBOBおよびLPFO)がより好ましい。
負極被膜形成剤の濃度は、負極に被膜が形成できる限り特に制限はなく、被膜形成剤の種類および被膜形成条件等に応じて適宜設定すればよい。被膜による容量低下抑制効果が特に高くなることから、負極被膜形成剤の濃度は、電解液(1)の全質量に対し(すなわち、電解液(1)中)、0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。負極被膜形成剤の濃度の上限は、電解液(1)に対する負極被膜形成剤の飽和濃度であり得、負極被膜形成剤の濃度は、電解液(1)の全質量に対し、例えば1.0質量%以下であり、好ましくは0.9質量%以下であり、より好ましくは0.8質量%以下である。
なお、電解液(1)は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した成分以外の成分、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;増粘剤;等の各種添加剤を含んでいてもよい。
次に、電池ケース30の蓋体に正極端子42および正極集電板42aと負極端子44および負極集電板44aとを取り付ける。正極集電板42aおよび負極集電板44aを、捲回電極体20の端部に露出した正極活物質層非形成部分52aおよび負極活物質層非形成部分62aに、それぞれ超音波溶接、抵抗溶接等により溶接する。そして、捲回電極体20を、電池ケース30本体の開口部からその内部に収容し、電池ケース30の本体と蓋体とをレーザ溶接等により溶接する。
続いて、電池ケース30の蓋体の注入口から、電解液(1)を注入する。電解液(1)の注入量は、負極60に被膜が形成される限り、特に限定されない。電解液(1)の注入量は、好ましくは、負極活物質層64に含まれる負極活物質の質量1gに対し、0.8mL以上である。
非水電解液を注入後、注入口を封止することによって、組立体を得ることができる。注入口の封止は、公知方法に従い行うことができる。
次に、負極被膜形成工程S102について説明する。負極被膜形成工程S102では、当該負極被膜形成剤により、上記組立体において負極60上に被膜を形成する。負極被膜形成工程S102は、公知方法に従い行うことができる。具体的に例えば、上記用意した組立体を、負極60に負極被膜形成剤に由来する被膜が形成されるまで充電することにより行うことができる。
充電条件は、負極被膜形成剤に由来する被膜が形成される限り特に限定されず、被膜形成剤の種類に応じて適宜決定すればよい。好ましくは、充電は、組立体の電圧が3.6V以上4.2V以下になるまで行う。この時の電流値は、特に限定されないが、好ましくは1C以下であり、より好ましくは0.1C以上0.5C以下である。なお、充電後は、通常、放電が行われる。
負極被膜形成工程S102によって、負極60に被膜が形成される。また、負極60に被膜が形成される際に、正極50側においては、従来技術と同様に電解液(1)によって正極集電体52に不動態被膜が形成される。
次に、第2電解液注液工程S103について説明する。第2電解液注液工程S103では、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含有する電解液(2)を、負極60に被膜が形成された組立体に注入する。
電解液(2)は、典型的には、電解質塩としてのLiFSIと、非水溶媒と、を含有する。
電解液(2)に使用される非水溶媒の例としては、電解液(1)に用いられる非水溶媒の例と同じである。非水溶媒としては、鎖状カーボネートと、環状カーボネートとを組合わせて用いることが好ましい。非水溶媒の組成および電解液(2)の使用量は、最終的に得られるリチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80の非水溶媒の組成に応じて、適宜決定すればよい。最終的に得られるリチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80に関し、非水電解液80に含まれる非水溶媒が鎖状カーボネートと環状カーボネートとを含有する場合には、これらの体積比(鎖状カーボネート:環状カーボネート)は、20:80~40:60が好ましい。
電解液(2)は、LiFSI以外の電解質塩(例、LiPFなど)をさらに含有していてもよい。電解液(2)に含まれる電解質塩の濃度、および電解液(2)の使用量は、最終的に得られるリチウムイオン二次電池100の設計(すなわち、リチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80中の電解質塩の濃度の設定値)に応じて適宜決定すればよい。
最終的に得られるリチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80における電解質塩の濃度(すなわち、LiFSI以外の電解質塩とLiFSIの合計濃度)は、例えば0.3mol/L以上2.0mol/L以下であり、好ましくは0.5mol/L以上1.5mol/L以下であり、より好ましくは0.7mol/L以上1.3mol/L以下である。最終的に得られるリチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80におけるLiFSIの濃度は、例えば0.2mol/L以上1.5mol/L以下であり、好ましくは0.4mol/L以上1.2mol/L以下であり、より好ましくは0.6mol/L以上1.0mol/L以下である。また、最終的に得られるリチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80におけるLiPFの濃度としては、例えば0.1mol/L以上1.0mol/L以下であり、好ましくは0.2mol/L以上0.7mol/L以下であり、より好ましくは0.2mol/L以上0.6mol/L以下である。
ここで、負極60には既に被膜が形成されているため、電解液(2)は、負極被膜形成剤を含んでいなくてよく、好ましくは負極被膜形成剤を含まない。電解液(2)は、本発明の効果を著しく損なわない限りにおいて、上述した成分以外の成分、例えば、ビフェニル(BP)、シクロヘキシルベンゼン(CHB)等のガス発生剤;増粘剤;等の各種添加剤を含んでいてもよい。
第2電解液注液工程S103の一つの態様として、負極被膜形成工程S102を経た組立体から、電解液(1)を除去し、その後、電解液(2)を注液する(言い換えると、電解液(1)を電解液(2)と入れ替える)態様(以下、「態様(A)」ともいう)が挙げられる。
この態様(A)は、例えば、不活性ガス雰囲気下で、注液口を開き、注液口から電解液(1)を排出させた後、電解液(2)を注液し、注液口を再度封止することにより行うことができる。
態様(A)において、電解液(2)に含まれるLiFSIの濃度、および任意成分のLiPFの濃度は、通常、最終的に得られるリチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80における濃度と同じ濃度に設定され、その濃度範囲は上述の通りである。
第2電解液注液工程S103の別の態様として、負極被膜形成工程S102を経た組立体に、電解液(1)が存在する状態で、電解液(2)を注液する(言い換えると、電解液(1)に電解液(2)を追加する)態様(以下、「態様(B)」ともいう)が挙げられる。
この態様(B)は、例えば、不活性ガス雰囲気下で注液口を開き、電解液(2)を注液し、注液口を再度封止することにより行うことができる。
態様(B)において、電解液(2)に含まれるLiFSIの濃度および任意成分のLiPFの濃度、ならびに電解液(2)の使用量は、リチウムイオン二次電池100に含まれる非水電解液80中の電解質塩の濃度の設定値(特に上述の濃度範囲内の値)に応じて適宜調整される。
ここで、態様(B)においては、予め添加されていた電解液(1)と追加された電解液(2)とが均一に混ざっていない場合には、初期抵抗の増加を招き得る。
よって、電解液(1)および電解液(2)の混ざりやすさの観点から、電解液(1)の非水溶媒の組成と、電解液(2)の非水溶媒の組成が同じ、または類似していることが好ましい。特に、電解液(1)および電解液(2)がそれぞれ、非水溶媒として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とを含有し、電解液(2)に含まれる非水溶媒中の全カーボネート類に対する環状カーボネート類の体積比(%)と、電解液(1)に含まれる非水溶媒中の全カーボネート類に対する環状カーボネート類の体積比(%)との差が、±20%内の範囲にある場合には、電解液(1)および電解液(2)が混ざりやすく、優れた初期抵抗特性を得ることができる。
また、抵抗増加を抑制する観点から、電解液(1)と電解液(2)とが均一に混合されるように、第2電解液注液工程S103の後に、電解液(2)が注入された組立体をエージング処理する工程を実施することが好ましい。
エージング処理に際し、電解液(2)が注入された組立体の充電状態は、特に限定されないが、電解液(2)が注入された組立体を、3.5V以上4.2V以下の充電状態に調整することが好ましい。
エージング処理の際の温度は、電解液(1)と電解液(2)とが均一に混合される限り特に限定されず、高温下で行うことが好ましく、具体的には、40℃以上100℃以下で行うことが好ましく、40℃以上75℃以下で行うことがより好ましい。
エージング処理の時間は、電解液(1)と電解液(2)とが均一に混合される限り特に限定されない。エージング処理の時間は、例えば、5時間以上であり、好ましくは10時間以上72時間以下である。
なお、このエージング処理は、態様(B)以外の態様(例えば、上記態様(A))でも、行ってよい。
以上の工程を経ることによって、リチウムイオン二次電池100を得ることができる。ここで、従来技術において、高温下で保存した際に容量の低下が起こる原因は、FSIイオンが負極表面で還元反応を起こし、これが起点となって自己放電が起こるためと考えられる。これに対し、本実施形態に係る製造方法によって得られたリチウムイオン二次電池100においては、LiSFIを含有する電解液(2)を注入する前の段階である負極被膜形成工程S102において負極60に被膜が形成されているため、この被膜によって自己放電反応の起点となっていると考えられるFSIイオンの還元分解を抑制でき、リチウムイオン二次電池を高温下で保存した際の容量の低下を抑制することができる。また、負極被膜形成工程S102では、電解液(1)によって正極集電体52に不動態被膜が形成され、この不動態被膜によって、アルミニウム等の正極集電体52の構成金属の溶出を抑制することができる。
リチウムイオン二次電池100は、各種用途に利用可能である。具体的な用途としては、パソコン、携帯電子機器、携帯端末等のポータブル電源;電気自動車(EV)、ハイブリッド自動車(HV)、プラグインハイブリッド自動車(PHV)等の車両駆動用電源;小型電力貯蔵装置等の蓄電池などが挙げられ、なかでも、車両駆動用電源が好ましい。リチウムイオン二次電池100は、典型的には複数個を直列および/または並列に接続してなる組電池の形態でも使用され得る。
なお、一例として扁平形状の捲回電極体20を備える角形のリチウムイオン二次電池100について説明した。しかしながら、ここに開示される非水電解液二次電池は、積層型電極体(すなわち、複数の正極と、複数の負極とが交互に積層された電極体)を備えるリチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、ここに開示される非水電解液二次電池は、コイン型リチウムイオン二次電池、ボタン型リチウムイオン二次電池、円筒形リチウムイオン二次電池、ラミネートケース型リチウムイオン二次電池として構成することもできる。また、ここに開示される非水電解液二次電池は、公知方法に従い、リチウムイオン二次電池以外の非水電解液二次電池として構成することもできる。
以下、本発明に関する実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
実施例1~11および比較例1
<リチウムイオン二次電池の作製>
正極活物質としてのLiNi1/3Co1/3Mn1/3(LNCM)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダとしてのポリフッ化ビニリデン(PVDF)とを、LNCM:AB:PVDF=87:10:3の質量比でN-メチルピロリドン(NMP)と混合し、正極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状のアルミニウム箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、正極活物質層の密度が2.3g/cmになるまでロールプレスすることにより、正極シートを作製した。
負極活物質として、平均粒子径(D50)10μm、比表面積4.8m/gの天然黒鉛系炭素材料を準備した。この天然黒鉛系炭素材料(C)と、スチレンブタジエンゴム(SBR)と、カルボキシメチルセルロース(CMC)とを、C:SBR:CMC=98:1:1の質量比でイオン交換水と混合して、負極活物質層形成用スラリーを調製した。このスラリーを、長尺状の銅箔の両面に帯状に塗布して乾燥した後、ロールプレスすることにより、負極シートを作製した。
2枚のセパレータシート(PP/PE/PPの三層構造の多孔質ポリオレフィンシート)を用意した。作製した正極シートと負極シートとを、セパレータシートを介して対向させて積層し、捲回して電極体を作製した。これを、80℃で12時間真空乾燥した。乾燥した電極体に端子類を溶接により取り付け、注液口を有するアルミニウム製の電池ケースに収容し、電池ケースを封止して組立体を作製した。
表1に示す組成の電解液Aを用意し、組立体に注入した。組立体を25℃の温度環境下に置き、1/3Cの電流値で4.1Vまで充電後、10分間休止して、負極に被膜を形成させた。その後、1/3Cの電流値で3.0Vまで放電し、10分間休止した。
比較例1を除き、表1に示す組成の電解液Bを用意した。実施例1~10では、負極被膜を形成した組立体の注液口を開封し、電解液Bを追加して、注液口を再度封止した。一方で、実施例11では、組立体の注液口を開封し、組立体から電解液Aを抜き取った後、電解液Bを注入し、注液口を再度封止した。実施例1を除いて、高温エージング処理を行った。具体的には、組立体を25℃の温度環境下に置き、1Cの電流値で3.9Vまで充電し、これを60℃に設定した恒温槽内に移し、20時間静置した。このようにして、実施例1~11および比較例1に係るリチウムイオン二次電池を得た。
<初期抵抗評価>
上記作製した各リチウムイオン二次電池を、SOC60%に調整した。これを25℃の温度環境下に置き、10秒間充電した。充電電流レートは1C、3C、5C、10Cとし、各電流レートで充電した後の電圧を測定した。電流レートおよび電圧変化量よりIV抵抗を算出し、その平均値を初期電抵抗とした。比較例1で得られたリチウム二次電池の初期抵抗を「1.00」とした場合のその他の電池の初期抵抗の比を算出した。結果を表1に示す。
<高温保存後残存容量評価>
各リチウム二次電池を1/3Cの電流値で4.1Vまで充電することにより、SOC100%に調整した。このとき、充電容量を測定し、これを保存前の充電容量とした。このSOC100%に調整した各リチウム二次電池を、60℃に設定した恒温槽内で1ケ月間保存した。その後、各リチウムイオン二次電池を25℃の環境下に置き、1/2Cの電流値で3.0Vまで定電流放電した際の放電容量を測定し、これを保存後の残存容量とした。式:(保存後の残存容量/保存前の充電容量)×100より、容量残存率(%)を求めた。結果を表1に示す。
Figure 0007320013000001
比較例1および各実施例との比較より、LiFSIを実質的に含有せず、負極被膜形成剤を含有する電解液Aを用いて負極に被膜をまず形成し、その後LiFSIを含有する電解液Bを用いてリチウムイオン二次電池を完成させることによって、リチウムイオン二次電池を高温下で保存した際の容量の低下を抑制できることがわかる。したがって、ここに開示される非水電解液二次電池の製造方法によれば、高温下で保存した際の容量の低下が抑制された非水電解液二次電池を製造可能であることがわかる。
また、実施例1と実施例4の比較より、電解液Bを注入後にエージング処理を行う場合には、初期抵抗特性に優れることがわかる。また、実施例2,3,4,9,10の比較より、電解液Bに含まれる非水溶媒中の全カーボネート類に対する環状カーボネート類の体積比(%)と、電解液Aに含まれる非水溶媒中の全カーボネート類に対する環状カーボネート類の体積比(%)との差が、±20%内の範囲にある場合には、初期抵抗特性に優れることがわかる。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、請求の範囲を限定するものではない。請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
20 捲回電極体
30 電池ケース
36 安全弁
42 正極端子
42a 正極集電板
44 負極端子
44a 負極集電板
50 正極シート(正極)
52 正極集電体
52a 正極活物質層非形成部分
54 正極活物質層
60 負極シート(負極)
62 負極集電体
62a 負極活物質層非形成部分
64 負極活物質層
70 セパレータシート(セパレータ)
100 リチウムイオン二次電池

Claims (5)

  1. 正極と、負極と、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを実質的に含有せず、負極被膜形成剤を含有する第1電解液と、を備える組立体を用意する工程と、
    前記負極被膜形成剤により、前記組立体において前記負極上に被膜を形成する工程と、
    リチウムビス(フルオロスルホニル)イミドを含有する第2電解液を前記組立体に注入する工程と、
    を包含し、
    前記負極被膜形成剤が、ビニレンカーボネート、またはオキサラト錯体をアニオンとするリチウム塩である、非水電解液二次電池の製造方法。
  2. 前記第1電解液中の前記負極被膜形成剤の濃度が、0.4質量%以上0.8質量%以下である、請求項1記載の製造方法。
  3. 前記第2電解液が、前記第1電解液に追加されるものであり、
    前記第1電解液および前記第2電解液がそれぞれ、非水溶媒として環状カーボネート類と鎖状カーボネート類とを含有し、
    前記第2電解液に含まれる前記非水溶媒中の全カーボネート類に対する前記環状カーボネート類の体積比(%)と、前記第1電解液に含まれる前記非水溶媒中の全カーボネート類に対する前記環状カーボネート類の体積比(%)との差が、±20%内の範囲にある、
    請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記第2電解液が、前記第1電解液に追加されるものであり、
    前記第2電解液を前記組立体に注入する工程の後に、前記組立体をエージング処理する工程をさらに含む、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記負極被膜形成剤が、リチウムビス(オキサラト)ボレートである、請求項1~4のいずれか1項に記載の製造方法。
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