JP7318270B2 - 水性グラビアインキを使用した印刷物製造方法 - Google Patents
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Description
また水性グラビアインキは印刷時には、水などで希釈された状態で印刷される。この場合水性グラビアインキによってはその希釈率が異なり、希釈が多ければ揮発させる水分が多くなるばかりでなく顔料濃度も少なくなり、結果として残留水分や色相の未達など懸念があった。
(1)全顔料中有機顔料を50質量%以上含有する場合、前記インキ総質量中の全顔料濃度は、11~40質量%で含有し、全顔料とバインダー樹脂の比率(全顔料/バインダー樹脂)は、1~5である。
(2)全顔料中無機顔料を50質量%超えて含有する場合、前記インキ総量中の全顔料濃度は、27~50質量%で含有し、全顔料とバインダー樹脂の比率(全顔料/バインダー樹脂)は、1.5~7である。
(3)前記インキの25℃における粘度は、10~70mPa・sである。
(1)全顔料中有機顔料を50質量%以上含有する場合、前記インキ総質量中の全顔料濃度は、11~40質量%で含有し、全顔料とバインダー樹脂の比率(全顔料/バインダー樹脂)は、1~5である。
(2)全顔料中無機顔料を50質量%超えて含有する場合、前記インキ総量中の全顔料濃度は、27~50質量%で含有し、全顔料とバインダー樹脂の比率(全顔料/バインダー樹脂)は、1.5~7である。
(3)前記(1)および/または(2)において、前記インキの25℃における粘度は、10~70mPa・sである。
上記は、希釈調整前(納入された時点)での水性グラビアインキの仕様・特性値(スペック)でなく、印刷用に希釈・樹脂添加などで調整後、すなわち印刷時において上記範囲を同時に満たすことでその相乗効果により印刷適性および濃度並びに印刷物および積層体の特性を満たすものである。
顔料は有機顔料、無機顔料のいずれを使用してもよい。全顔料中有機顔料を50質量%以上含有する場合、全顔料のうち有機顔料を70質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがなお好ましい。また、全顔料中無機顔料を50質量%超えて含有する場合、全顔料のうち無機顔料を70質量%以上含有することが好ましく、80質量%以上含有することがなお好ましい。なお、顔料としてはカラーインデックスに記載のC.I.ピグメントを適宜使用することができる。
無機顔料としては、以下の態様が好ましい。無機顔料は、酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、酸化クロム、シリカ、カーボンブラック、アルミニウム、マイカ(雲母)などが好適に挙げられる。着色力、隠ぺい力、耐薬品性、耐候性の点から、白色顔料には酸化チタンが好ましい。アルミニウムは粉末またはペースト状であるが、取り扱い性および安全性の面からペースト状で使用するのが好ましい。
硫酸バリウム、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウムなどの体質顔料も好適に用いられる。体質顔料の使用形態としては流動性、強度、光学的性質の改善のために増量剤として好適に使用される。
一方、有機顔料としては、一般のインキ、塗料および記録剤などに使用されている有機顔料や染料を挙げることができる。例えば、アゾ系、フタロシアニン系、アントラキノン系、ペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、キノフタロン系、アゾメチンアゾ系、ジクトロピロロピロール系、イソインドリン系などが挙げられる。これらの顔料は単独で、または2種以上を併用することができる。
バインダー樹脂とは、インキに含まれる結着樹脂をいう。バインダー樹脂としては水性樹脂が好適に使用でき、水性とは水溶性またはエマルジョン状態をいう。水性樹脂としては水溶性樹脂およびエマルジョン樹脂から選ばれる少なくとも1種の水性樹脂を好適に挙げることができ、混合したものでもよい。水性樹脂の例としては、水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル変性ウレタン樹脂、水性アクリル変性ウレタンウレア樹脂、水性アクリル樹脂、水性スチレン-アクリル酸共重合樹脂、水性スチレン-マレイン酸共重合樹脂、水性エチレン-アクリル酸共重合樹脂、水性ポリエステル樹脂、水性シェラック、水性ロジン変性マレイン酸樹脂、水性塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、水性塩化ビニル-アクリル酸共重合樹脂、水性塩素化ポリプロピレン樹脂、水性ヒドロキシエチルセルロース樹脂、水性ヒドロキシプロピルセルロース樹脂、水性ブチラール樹脂などを好適に挙げることができる。これらの樹脂は、単独で、または2種以上を併用することができる。
中でも水性ポリウレタン樹脂、水性アクリル樹脂、水性スチレン-アクリル酸共重合樹脂、水性スチレン-マレイン酸共重合樹脂より選ばれる少なくとも一種の水性樹脂を含むことが好ましい。これらはバインダー樹脂総質量中に50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むことがなお好ましく、80質量%以上含むことが更に好ましい。特には水性ウレタン樹脂を含有することが好ましい。
バインダー樹脂に対する顔料の質量比率(顔料/バインダー樹脂)は1~7の範囲に収める必要がある。詳しくは全顔料中有機顔料を50質量%以上含有する場合、前記質量比率(顔料/バインダー樹脂)は1~5の範囲である必要があり、1~4の範囲であることが好ましく、1.1~3の範囲であることがなお好ましい。全顔料中無機顔料を50質量%超えて含有する場合、前記比率は1.5~7の範囲である必要があり、2~5の範囲であることが好ましく、2.5~4の範囲であることがなお好ましい。この範囲に収めることで、良好な印刷適性、ラミネート強度が得られるためである。
基材への接着性や顔料分散性の観点から、バインダー樹脂は水性ポリウレタン樹脂含むことが好ましい。当該水性ポリウレタン樹脂は中和される酸価を有し、酸価が20~65mgKOH/gであることが好ましい。また、ガラス転移温度が-30~0℃であることが好ましい。ここでガラス転移温度とは動的粘弾性測定におけるTanδの極大値をいう。水酸基価としては1~15mgKOH/gであることが好ましい。
上記ポリオールとしては、後述のヒドロキシ酸は含まれない。当該ポリオールとしては、以下に限定されないが、例えばポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ダイマージオール、水素添加ダイマージオールなどが好適に挙げられる。これらのポリオールは、単独で用いても、2種以上併用してもよい。水性ポリウレタン樹脂はポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオールおよびポリカーボネートポリオールより選ばれる少なくとも一種のポリオールからなる構成単位を含有することが好ましい。ポリオールの数平均分子量は500~5000であることが好ましい。
上記ポリエーテルポリオールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールおよびこれらの共重合物を好適に挙げることができる。これらからなる構成単位は水性ポリウレタン樹脂であることが好ましい。水性ポリウレタン樹脂はポリエチレングリコール由来の構成単位を含有することが好ましく、水性ポリウレタン樹脂総質量中に0.1~25質量%含有することが好ましく、2~15質量%含有することがなお好ましく、2~10質量%含有することが更に好ましい。
上記ポリエステルポリオールとしては、二塩基酸と分岐ジオールを含むジオールからなる構成単位を有する形態が好ましい。当該二塩基酸としては、セバシン酸、アジピン酸、コハク酸などが好適に使用でき、分岐ジオールとしてはアルキレングリコールの炭素上に有する水素の少なくとも一つが置換基を有する形態のものをいう。具体的には、プロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオールより選ばれる少なくとも一種を、ジオール総質量中に50質量%以上含有することが好ましい。なおポリエステルポリオールの実施形態はこれらに限定されない。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、製造方法やポリカーボネートポリオールを構成するジオール種により限定されるものではないが、アルキレングリコールからなるジオールとカーボネート化合物とのエステル交換反応による重縮合物が好適に挙げられる。なお、ポリカーボネートポリオールは脂環族および/または脂肪族のポリカーボネートジオールであることが好ましい。
当該カーボネート化合物は、特に限定されないが、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート、またはアルキレンカーボネートが挙げられる。カーボネート化合物の具体例としては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカーボネートなどのジアルキルカーボネート、ジフェニルカーボネートなどのジアリールカーボネート、エチレンカーボネートなどのアルキレンカーボネートが挙げられる。
上記ポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネートなどが好適に挙げられる。なおこれらは3量体となってイソシアヌレート環構造となっていても良い。
芳香族ジイソシアネートとしては、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、ジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、ブタン-1,4-ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソプロピレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、シクロヘキサン-1,4-ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート、1,3-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加された4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、ダイマー酸のカルボキシル基をイソシアネート基に転化したダイマージイソシアネート等が挙げられる。
中でも好ましくはトリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートの3量体から選ばれる少なくとも一種である。これらのポリイソシアネートは単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
上記ヒドロキシ酸は、以下に限定されないが、カルボキシルを含有するポリオールを利用することができる。例えば2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロール吉草酸等のジメチロールアルカン酸などが好適に挙げられる。これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。ヒドロキシ酸は水性ポリウレタン樹脂の製造工程の中で用いられ、得られたポリウレタン樹脂中にそのカルボキシル基が導入され、酸価を有する。未反応のカルボキシル基は中和されて水性化される。
上記ポリアミンとして利用可能な化合物としては、各種公知のアミン類であり、例えば、2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、ジシクロヘキシルメタン-4,4’- ジアミン、さらにダイマー酸のカルボキシル基をアミノ基に転化したダイマージアミン等などが好適に挙げられ、これらは単独または2種以上を混合して用いることができる。
上記ポリアミンと併用して反応停止剤を使用することもできる。かかる反応停止剤としては、例えば、ジ-n-ジブチルアミンなどのジアルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、トリ(ヒドロキシメチル)アミノメタン、2-アミノ-2-エチル-1,3-プロパンジオール、N-ジ-2-ヒドロキシエチルエチレンジアミン、N-ジ-2-ヒドロキシエチルプロピレンジアミン、N-ジ-2-ヒドロキシプロピルエチレンジアミン等の水酸基を有するアミン類、さらにグリシン、アラニン、グルタミン酸、タウリン、アスパラギン酸、アミノ酪酸、バリン、アミノカプロン酸、アミノ安息香酸、アミノイソフタル酸、スルファミン酸などのモノアミン型アミノ酸類が挙げられる。
ポリウレタン樹脂の水性化のために、樹脂中のカルボキシル基を塩基性化合物で中和することが好ましい。塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ジエタノールアミン、N-メチルジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン、2-ジメチルアミノ-2-メチル-1-プロパノール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール、モルホリン等が挙げられ、これらは1 種、又は2 種以上の組み合わせで用いられる。印刷物の耐水性、残留臭気等の点からアンモニアが好ましい。
ポリウレタン樹脂は、公知の方法により適宜製造される。例えば、イソシアネートに対して不活性でかつ親水性の有機溶剤を用いるアセトン法、溶剤を全く使用しない無溶剤合成法等が挙げられる。例えば特開2013-234214公報に記載の手法を適宜使用可能である。
上記水性グラビアインキは添加剤を含有してもよく、かかる添加剤としては、顔料分散剤、顔料誘導体、中和剤、レベリング剤、消泡剤、ワックス、シランカップリング剤、防錆剤、防腐剤、可塑剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、芳香剤、難燃剤などを挙げることができる。
本発明の水性グラビアインキは、アルコール系有機溶剤などの有機溶剤を含むことが好ましい。中でも100℃以下のアルコール系有機溶剤含むことが好ましく、該当する例としては、メタノール(沸点65℃)、エタノール(沸点78℃)、n-プロパノール(以下NPAと記載する)(沸点97℃)、イソプロパノール(以下IPAと記載する)(沸点82℃)、2-ブタノール(沸点99℃)、t-ブタノール(沸点83℃)等が好適に挙げられる。ただしこれらに限定されない。
上記インキ用原料を使用して、一般に使用される分散機、例えば、ローラーミル、ボールミル、ペブルミル、アトライター、サンドミルその他のビーズミルなどを用いて水性グラビアインキを製造することができる。
例えば、有機顔料、水性ポリウレタン樹脂溶液および所定量のアルコール系有機溶剤を一定時間混合し、サンドミルにて20分程度分散後、更に水性ポリウレタン樹脂溶液を加えて粘度を調整して希釈前の濃縮インキを得て、そこへ水または水とアルコールの混合液を用いて上記粘度に希釈調整することで印刷に使用する水性グラビアインキを得ることができる。
印刷物は、上記水性グラビアインキを連続印刷によるグラビア印刷方式で、上記第1の基材に印刷することで製造することができる。上記方法にて製造された水性グラビアインキは、各色相に対応する印刷ユニットにインキを備えて各色の重ね印刷(連続印刷)が行われる。
グラビア印刷においてはグラビア版およびドクターブレードが使用される。かかるグラビア版は、彫刻法によるセルの形成方法と、腐蝕法(感光膜塗布-露光-現像-エッチング)によるセルの形成方法とがある。彫刻法によるセルの形成方法はセルが四角錐に形成されるのでハイライト部におけるインクの転移が良好である。腐蝕法でのハイライト部分はセルが小さいが深さは一定の凹部が形成されるので、セルの小さいハイライト部においてインクがセル内に詰まってしまうことに起因してインクの転移が彫刻法よりも劣っているが、最シャドウ部の性能が良好であるというメリットがある。
本発明の印刷物は、印刷速度80~250m/分にて製造することが好ましく、100~250m/分にて製造することがなお好ましく、120~250m/分にて製造することが更に好ましい。
積層体製造方法の具体例としてはラミネート加工がある。ラミネート加工法としては、1)印刷層上にアンカーコート剤を塗布後、溶融樹脂を重ねる同時にポリオレフィン等の第2の基材を積層する押し出しラミネート法、2)印刷層上にウレタン接着剤などの接着剤を塗布後、必要に応じて乾燥させて第2の基材と貼り合わせて積層するドライラミネート法等が挙げられる。
還流冷却管、滴下漏斗、ガス導入管、撹拌装置、及び温度計を備えた反応器中で窒素ガスを導入しながら、PC(HD)2000(1,6-ヘキサンジオール(HD)由来単位からなる数平均分子量2000のポリカーボネートジオール)235.6部、PEG2000(数平均分子量2000のポリエチレングリコール)10.7部、2,2-ジメチロールプロパン酸(DMPA)30.0部、及びメチルエチルケトン(MEK)250部を混合、撹拌しながらイソホロンジイソシアネート(IPDI)91.5部を1時間かけて滴下し、80℃で4時間反応させて末端イソシアネートプレポリマーとし、その後30℃まで冷却してからイソプロパノール(IPA)100部を加えて、末端イソシアネートプレポリマーの溶剤溶液を得た。得られた末端イソシアネートプレポリマーに対し、2-アミノエチルエタノールアミン(AEA)2.7部及びイソプロパノール150部を混合したものを室温で徐々に添加して、40℃で2時間反応させ、溶剤型ポリウレタン樹脂溶液を得た。次に、28%アンモニア水13.6部及びイオン交換水851部を上記溶剤型ポリウレタン樹脂溶液に徐々に添加して中和することにより水溶化し、さらにメチルエチルケトン及びイソプロパノールを減圧留去した後、水を加えて固形分調整を行い、粘度1500mPa・s、酸価35mgKOH/g、水酸基価4mgKOH/g、ガラス転移温度-22℃、重量平均分子量35,000である、固形分30%の水性ポリウレタン樹脂(PU01)溶液を得た。
PMPA2000:アジピン酸と3-メチル-1,5-ペンタンジオールの縮合物であるポリエステルポリオール(数平均分子量2000)
銅フタロシアニン(トーヨーカラー株式会社製LIONOL BLUE FG-7400-G)13部、ポリウレタン樹脂(PU01)溶液20部、n-プロパノール5部、水20部を撹拌混合しサンドミルで分散処理した後、ポリウレタン樹脂(PU01)溶液10部、イソプロパノール7部、プロピレングリコールn-プロピルエーテル2部、水3部を撹拌混合し、藍色の水性グラビアインキC01を得た。さらに、このインキC01を水:イソプロパノール=1:1の希釈溶剤にて希釈し、表2の組成となるよう調整した。結果、顔料濃度は13質量%、顔料/バインダー樹脂は1.4、粘度45mPa・sであった。
表2または表3に記載した原料および配合比率を用いた以外は、実施例1と同様の方法で、水性グラビアインキC02~10、W01~10、CC01~05およびWW01~05をそれぞれ得た。
なお、表中における略称は以下を示す。
アクリル樹脂:BASF社製 ジョンクリル63(固形分30%)
酸化チタン:テイカ株式会社製 チタニックス JR-800
上記において得られた水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)を用いて以下のグラビア印刷および評価を行った。
上記の水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)を用いて、グラビア印刷機の印刷ユニットに充填し、ポリプロピレン(OPP)基材(東洋紡株式会社製 パイレンP-2161 膜厚20μm)上に印刷速度100、150、200および250m/分でそれぞれ1000m連続印刷し、各インキに対する印刷物をそれぞれ得た。印刷に用いたグラビア版は版深13μm、スクリーン線数250線であるグラビア版を用いた。
上記印刷の印刷速度150m/分において得られた、水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)の印刷物を用いて、レベリング性の評価を行った。評価は100%(ベタ)部に対して目視で行い、評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
5(優):不規則な濃淡、ピンホール状の欠損が全くみとめられず、均一な膜を形成している
4(良):やや不規則な濃淡がみとめられるが、ピンホール状の欠損はみとめられない
3(可):不規則な濃淡がみとめられ、わずかにピンホール状の欠損がみとめられる
2(不可):ピンホール状の欠損がみとめられる
1(劣):ピンホール状の欠損があらゆるところにみとめられる
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
上記印刷の印刷速度150m/分において得られた、水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)の印刷物を用いて、100%(ベタ)部の濃度値およびL*a*b*を測定した。測定にはX-rite eXact(X-rite社製)を使用した。測定パラメータは以下である。
色彩関連値:M0(フィルタなし)
濃度関連値:M0(フィルタなし)
イルミナント/観測者視野:D50/2°
濃度ステータス:ISOステータス E
濃度白色基準:絶対値
評価基準は以下の通りである。
(評価基準・藍(白台紙上)実施例1~10、比較例1~5)
5(良):シアン(C)濃度値が2.0以上
4(可):シアン(C)濃度値が1.5以上~2.0未満
3(不可):シアン(C)濃度値が1.5未満
(評価基準・白(黒台紙上)実施例11~20、比較例6~10)
5(良):L*値が70以上
4(可):L*値が65以上~70未満
3(不可):L*値が65未満
なお、実用上使用可能な評価は4および5である。
上記印刷の印刷速度150m/分において得られた、水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)の印刷物を用いて、印刷物に残存する有機溶剤の量を測定した。印刷物を密閉容器につめ30分加温したのち、密閉容器内に充填されている気体に含まれる有機溶剤を、ガスクロマトグラフィー(ジーエルサイエンス株式会社製)にて測定した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
5(良):残存する有機溶剤量が0.5mg/m2未満
4(可):残存する有機溶剤量が0.5mg/m2以上~0.8mg/m2未満
3(不可):残存する有機溶剤量が0.8mg/m2以上~1.1mg/m2未満
2(劣):残存する有機溶剤量が1.1mg/m2以上
なお、実用上使用可能な評価は4および5である。
上記印刷において得られた、水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)の印刷物を用いて、良好な印刷物を得ることができる印刷速度の限界レベル(限界速度)を評価した。評価基準は以下の通りである。
(評価基準)
5(優):印刷速度250m/分における印刷物のインキ被膜に欠損や濃度低下がみとめられない
4(良):印刷速度250m/分における印刷物のインキ被膜には欠損や濃度低下がみとめられるが、200m/分における印刷物にはみとめられない
3(可):印刷速度200m/分における印刷物のインキ被膜には欠損や濃度低下がみとめられるが、150m/分における印刷物にはみとめられない
2(不可):印刷速度150m/分における印刷物のインキ被膜には欠損や濃度低下がみとめられるが、100m/分における印刷物にはみとめられない
1(劣):印刷速度100m/分における印刷物のインキ被膜に欠損や濃度低下がみとめられる
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
上記印刷において、上記の水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)を、グラビア印刷機の印刷ユニットに充填し、印刷速度150m/分相当の回転速度で60分間、グラビア版を空転させたのちの版面の着色度合いを観察した。評価は目視で行い、評価基準は以下の通りである。
5(優):版かぶりがみとめられない(着色面積0%)
4(良):版かぶりがわずかにみとめられる(着色面積0%超~10%未満)
3(可):版かぶりがややみとめられる(着色面積10%以上~30%未満)
2(不可):版かぶりがみとめられる(着色面積30%以上~50%未満)
1(劣):版かぶりが広い範囲でみとめられる(着色面積50%以上)
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
上記印刷物にイソシアネート系アンカーコート剤(東洋モートン株式会社製 EL557A/B)を塗工後、低密度ポリエチレン「ノバテックLC600A」(日本ポリエチレン株式会社製)を押し出し、同時にポリエチレン基材(三井化学東セロ株式会社製 TUX-FCD 膜厚40μm)を貼り合わせてラミネート加工を行い、水性グラビアインキC01~10(実施例)、W01~10(実施例)、CC01~05(比較例)およびWW01~05(比較例)を用いた積層体をそれぞれ得た。該当の積層体を幅15mmに切出し、印刷された基材とインキ被膜の面で剥がし、引張試験機でラミネート強度の評価を行った。
(評価基準)
5(優):剥離強度が0.9N/15mm以上
4(良):剥離強度が0.7N/15mm以上~0.9N/15mm未満
3(可):剥離強度が0.5N/15mm以上~0.7N/15mm未満
2(不可):剥離強度が0.3N/15mm以上~0.5N/15mm未満
1(劣):剥離強度が0.3N/15mm未満
なお、実用上使用可能な評価は3、4および5である。
また、インキ中の顔料濃度が高い場合でも版かぶり性などの印刷適性やラミネート積層体のラミネート強度維持することができた。
Claims (4)
- 第1の基材上に、連続印刷により、顔料およびバインダー樹脂を含む水性グラビアインキを使用して印刷層を形成する印刷物製造方法であって、前記インキは、印刷時に以下(1)~(3)を満たす、印刷物製造方法。
(1)全顔料中有機顔料を50質量%以上含有し、前記インキ総質量中の全顔料濃度は、11~40質量%で含有し、全顔料とバインダー樹脂の比率(全顔料/バインダー樹脂)は、1~5であり、前記インキ総質量中の固形分は、20~40質量%である。
(2)前記インキの25℃における粘度は、10~70mPa・sである。
(3)前記インキは、沸点100℃以下の有機溶剤を、インキ総質量中に35質量%以下で含有する。 - バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂を含む、請求項1に記載の印刷物製造方法。
- 連続印刷が、500m以上の連続印刷である、請求項1または2に記載の印刷物製造方法。
- 印刷層上に、更に接着剤層、及び第2の基材を積層する工程を含む、請求項1~3いずれかに記載の印刷物製造方法。
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