JP7318122B2 - 電気泳動装置及び分析方法 - Google Patents
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Description
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではない。
背景技術で述べたように、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルとの間に乖離が生じると、正しい重み値が算出されず、誤った蛍光強度が記録される。この乖離は、主に蛍光色素の変性によりスペクトルが変化することで生じる。蛍光色素の変性は、不適切なpH、不適切な温度での保管、色素の過剰な励起によって生じる。また、蛍光色素の変性は、スペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で泳動電圧が異なる場合にも起こり得る。複数のキャピラリを備えた電気泳動装置においては、励起光強度がキャピラリ毎に異なるため、乖離が生じ得る。上記に挙げた例のそれぞれで、変性の程度は蛍光色素により異なることにも留意すべきである。また実サンプルが、マトリクススタンダードと異なる蛍光色素で標識されている場合にも、当然のこととして乖離が生じる。
図5は、第1の実施形態に係るマルチキャピラリ電気泳動装置500の構成を示す概略図である。図5に示すように、マルチキャピラリ電気泳動装置500は、装置本体501と、制御用コンピュータ502とを備える。
(1)搬送機518が動作し、アレイヘッダ517がポリマカートリッジ513の上側に移動する。
(2)アレイヘッダ517の尖部521がポリマカートリッジ513の上部522を貫通する。この時、可塑性の高いポリマカートリッジ513の上部522がアレイヘッダ517の尖部521を包み込むことで両者が密着し、ポリマカートリッジ513とキャピラリ519が密閉状態で連結される。
(3)シリンジ機構520がポリマカートリッジ513内部のポリマを押し上げて、ポリマをキャピラリ519に注入する。
上述のように、本実施形態は、スペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時とで泳動電圧が異なる場合の蛍光スペクトルの補正方法を提案する。マルチキャピラリ電気泳動装置500のメーカーは、装置の出荷前に、実サンプルの泳動時に取得される蛍光スペクトルを補正するための補正係数を求め、演算制御回路503の補正係数データベース5034に登録しておく。
ステップS1において、メーカーは、任意の蛍光色素で標識されたDNA断片を含むマトリクススタンダードを用いてスペクトラルキャリブレーション(第1のスペクトラルキャリブレーション)を行う。本実施形態では一例として、蛍光色素としてROX、TMR、R110、R6Gを用いる。泳動電圧は、後述する実サンプル泳動前のスペクトラルキャリブレーション(第2のスペクトラルキャリブレーション)における泳動電圧と同じにすべきである。本実施形態では一例として15kVとするが、泳動電圧はこれに限定されない。
ステップS2において、メーカーは、実サンプルと同じ蛍光色素及び同じ泳動条件でマトリクススタンダードを泳動する。ここでは実サンプルがステップS1で用いたマトリクススタンダードと同じ蛍光色素で標識され、7.5kVで泳動されるものとする。この時、メーカーは、制御用コンピュータ502の入力装置の操作により、蛍光色素の種類と泳動電圧を演算制御回路503に登録する。
図7に戻り、ステップS3において、測定値演算部5032は、算出したマトリクスM及びM’を補正係数演算部5033に送信する。補正係数演算部5033は、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを取得する。補正係数マトリクスKの要素は、蛍光色素i、波長jにおいて、補正係数マトリクスKの要素k(ij)=w’(ij)/w(ij)と定義する。既に述べたようにステップS1とステップS2で用いた蛍光色素及び泳動電圧は演算制御回路503に登録されている。したがってk(ij)は算出に用いた泳動条件及び蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に蓄積することができる。この時、ステップS1及びS2で述べたように、複数の泳動電圧でマトリクスM及びM’が取得されている場合は、補正係数演算部5033は、そのすべての組み合わせで補正係数マトリクスKを算出し、泳動電圧及び蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に登録する。
図9は、オペレータによる実サンプルの電気泳動における補正係数の適用方法を示すフローチャートである。
上述のステップS1~S3までは、オペレータがマルチキャピラリ電気泳動装置500を購入した時点で既に終了している。オペレータは、ステップS11以降の操作だけを行えばよい。なお、購入の際(ステップS3の後)、装置の運搬のため、キャピラリが脱着され、光検出器504とキャピラリ519の位置関係が変化したものとする。つまり、装置は再度スペクトラルキャリブレーションが必要な状態である。
ステップS12において、オペレータは、実サンプルの泳動を行う。実サンプルは未知のサンプルであるが、蛍光色素の種類と泳動電圧は既知であるとする。実サンプルの泳動条件は、ステップS2での7.5kVとする。蛍光色素については、実サンプルもマトリクススタンダードと同様にROX、TMR、R110、R6Gで標識されているものとする。
ステップS121において、オペレータは、分析開始前のサンプル準備として、サンプル及び試薬をマルチキャピラリ電気泳動装置500にセットする。より具体的には、まず、オペレータは、図5に示した陰極用バッファ容器511と陽極用バッファ容器514に、通電路の一部を形成する緩衝液を満たす。緩衝液は、例えば、市販されている電気泳動用の電解質液を用いることができる。また、オペレータは、サンプル容器512のウェル内に、分析対象である実サンプルを分注する。実サンプルは、例えばDNAのPCR産物である。また、オペレータは、シリンジ機構520内に、サンプルを電気泳動する為の分離媒体を注入する。分離媒体には上述のポリマを用いるものとする。さらに、キャピラリ519の劣化が予想される場合や、キャピラリ519の長さを変更する場合、オペレータは、キャピラリアレイ506を交換する。
ステップS122において、オペレータは、制御用コンピュータ502の入力装置の操作により、実サンプルに用いる蛍光色素の種類と泳動電圧を演算制御回路503に登録する。そして、オペレータは、制御用コンピュータ502に分析開始の指示を入力する。制御用コンピュータ502は、分析開始の指示が入力されると、当該指示を装置本体501に送信する。これにより、装置本体501は分析を開始する。
ステップS123において、装置本体501は、キャピラリ519内へのポリマ充填を開始する。ポリマ充填とは、キャピラリ519内に新しいポリマを充填し、泳動路を形成する手順である。
ステップS124において、装置本体501は、予備泳動を実施する。予備泳動とは、ポリマに所定の電圧を印加し、ポリマを電気泳動に適した状態にする手順である。
ステップS125において、装置本体501は、泳動路へサンプル成分を導入する。このステップは、自動的に行われてもよいし、逐次、制御用コンピュータ502から制御信号が送信されることによって行われてもよい。
ステップS126において、装置本体501は泳動分析を実施する。泳動分析では、電気泳動により、サンプル中に含まれる各サンプル成分が分離分析される。
ステップS127において、装置本体501は、予定していた画像データを取得し終えたら電圧印加を停止し、泳動分析を終了する。
図9に戻り、ステップS13において、補正部5035は、補正係数データベース5034から、マトリクスM(r)の取得時及びステップS12の実サンプルと同じ泳動電圧、蛍光色素の組み合わせを持つ補正係数マトリクスKを呼び出し、マトリクスM(r)の各要素にマトリクスKの各要素k(ij)を乗じてマトリクスM(r)kを算出する。
ステップS14において、補正部5035は、蛍光強度を算出する。具体的には、補正部5035は、上述の電気泳動処理(ステップS12)で得られた画像データから、各蛍光色素の強度を算出する。本ステップS14においては、各々の時刻における各々のキャピラリ519のスペクトルに対し、波長λ(0)~λ(19)における、各蛍光色素の強度比率を掛けて足し合わせればよい。これを行列で表現すると以下の数式3のようになる。
ステップS15において、補正部5035は、上記の蛍光強度波形に対してピーク検出を行う。ピーク検出では、主に、ピークの中心位置(ピーク時刻)、ピークの高さ、及びピークの幅が重要である。ピークの中心位置はDNA断片長に対応する。ピークの高さはサンプル中のDNA濃度の大小等の品質評価に用いられる。ピークの幅も、サンプルや電気泳動結果の品質を評価する上で重要である。このような実データのピークパラメータを推定する手法の一つとして、既知技術であるガウシアンフィッティングを用いることができる。
以上のように、第1の実施形態において、マルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に、複数の泳動電圧で第1のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルと同じ条件での泳動が行われ、泳動電圧の組み合わせ毎に、スペクトルの乖離を補正するための補正係数マトリクスKが取得され、蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に登録される。装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の泳動電圧の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる、また、オペレータが実サンプル泳動時の電圧を変更しても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離しないので、第2のスペクトラルキャリブレーションをやり直さなくても、正しい蛍光強度を取得することができる。
第1の実施形態では、マトリクススタンダードを用いてマトリクスM’を取得したが、第2の実施形態では既知のDNAサンプルを用いてマトリクスM’を取得する方法を提案する。既知のDNAサンプルとは、DNAのPCR産物や市販の標準サンプルなどである。本実施形態では一例としてマトリクススタンダード、既知のDNAサンプル、実サンプル共にROX、TMR、R110、R6Gで標識されたものとする。また、既知のDNAサンプルの泳動中、各蛍光色素が単独で発光する時刻(t0’、t1’、t2’、t3’)は既知であるものとする。
以上のように、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に、装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の泳動電圧の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる、また、オペレータが実サンプル泳動時の電圧を変更しても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離しないので、第2のスペクトラルキャリブレーションをやり直さなくても、正しい蛍光強度を取得することができる。
以下の手順で第2の実施形態の効果を確認した。
第1のスペクトラルキャリブレーション(ステップS21)時のマトリクススタンダードとして、BigDye(登録商標)Terminator v3.1 Matrix Standards(Dye Set Z)(Applied Biosystems社製)を用いた。既知のDNAサンプル(ステップS22)と実サンプル(ステップS26)には、共に3500/3500xL Sequencing Standards, BigDye(登録商標)Terminator v3.1(Applied Biosystems社製)を用いた。以上のサンプルはいずれも蛍光色素として、ROX、TMR、R110、R6Gが使用されている。
実験例1では、第2の実施形態の検証としてステップS21~S26はそれぞれ、ステップS1、S12、S2、S3、S11、S12に記載の要領で行った。泳動時のキャピラリ長は36cmであり、サンプル注入時の印加電圧は1.6kVであり、泳動時の印加電圧は第1のスペクトラルキャリブレーション時(ステップS21)では15kVであり、既知サンプル泳動及び実サンプル泳動時の電圧は7.5kVであった。
図13は、実験例1の結果を示す図である。図13には、ステップS21、S23及びS24で得られたマトリクスM、マトリクスM’及び補正係数マトリクスKが示されている。
第1及び第2の実施形態では第2のスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時とで泳動電圧が異なる場合について説明したが、第3の実施形態では蛍光色素が異なる場合について説明する。本実施形態では一例として、第1のスペクトラルキャリブレーションに使用するマトリクススタンダードがFAM、JOE、TMR、CXRで標識されているものとする。また、実サンプルはR6G、R110、TMR、ROXで標識されているものとする。
以上のように、第3の実施形態において、マルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に、異なる蛍光色素のセットで標識されたサンプルを用いて、第1のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルと同じ条件での泳動が行われ、蛍光色素の組み合わせ毎に、スペクトルの乖離を補正するための補正係数マトリクスKが取得され、補正係数データベース5034に登録される。装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の蛍光色素の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる、また、オペレータが実サンプル泳動時の蛍光色素を変更しても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離しないので、第2のスペクトラルキャリブレーションをやり直さなくても、正しい蛍光強度を取得することができる。
以下の手順で第3の実施形態の効果を確認した。
第1のスペクトラルキャリブレーション(ステップS31)時のマトリクススタンダードとして、PowerPlex(登録商標)4C Matrix Standards(Promega社製)を用いた。マトリクスM’(ステップS32)の取得にはBigDye(登録商標)Terminator v3.1 Matrix Standards(Dye Set Z)(Applied Biosystems社製)を用いた。実サンプル(ステップS35)には、3500/3500xL Sequencing Standards, BigDye(登録商標)Terminator v3.1(Applied Biosystems社製)を用いた。
実験例2では第3の実施形態の検証としてステップS31、S32、S33、S34はそれぞれ、ステップS1、S1、S3、S11に記載の要領で行った。泳動時のキャピラリ長は36cmであり、サンプル注入時の印加電圧は1.6kVであり、泳動時の印加電圧は第1のスペクトラルキャリブレーション時(ステップS31)ではすべてのステップで15kVである。
図15Bは、実験例2の結果を示す図である。図15Bには、ステップS31~S33で得られたマトリクスM、マトリクスM’及び補正係数マトリクスKが示されている。
第1の実施形態では、特定の装置で得られた補正係数マトリクスKを同じ装置で得られた実サンプルのデータに適用していた。第4の実施形態ではある特定の装置で得られた補正係数マトリクスKを、別の装置で得られた実サンプルのデータに適用させる手法を提案する。
以上のように、第4の実施形態においては、特定のマルチキャピラリ電気泳動装置を用いて取得された補正係数マトリクスKを、その他の装置にも登録する。これにより、補正係数マトリクスKを各装置で計測する必要がなくなるので、メーカー側の費用と手間が軽減される。
第1の実施形態では、第2のスペクトラルキャリブレーションで得られたマトリクスM(r)に補正係数マトリクスKを乗じることで、マトリクスM(r)と実サンプルの蛍光スペクトル間の乖離を防いでいた。第5の実施形態では、光検出器が検出する信号の波長幅(信号取得幅)を変更しておくことで乖離を防ぐ手法を提案する。第1の実施形態と同様の処理については説明を省略する。
以上のように、第5の実施形態において、光検出器504は、複数の蛍光色素の蛍光スペクトルの相関係数が大きくなるような波長幅でキャピラリ519からの光を検出する。これにより、泳動時にマトリクスM(r)kを必要としないため、分析に必要な時間を短縮でき、しかも演算制御回路503への負担を軽減できる。
以下の手順で第5の実施形態の効果を確認した。
第1の実施形態で説明したマルチキャピラリ電気泳動装置500(図5)を用いることができる。ただし、本実施形態における一例として、光検出器504は520nm~690nmまでの間の20個の波長における信号強度を検出するものとする。本実験例3では、二つのスペクトルの相互相関係数を充分に高くするための信号取得幅は既知であるとする。この20個分の波長をベクトルで表したものをλtestとする。また対照として、同じ区間を8.9nmずつ等間隔に信号を取得する場合を想定し、この20個分の波長をベクトルでλctrlと表す。以下の数式5は、λtest及びλctrlの要素を示している。
スペクトラルキャリブレーション(ステップS52)時のマトリクススタンダードには、PowerPlex(登録商標)4C Matrix Standards(Promega社製)に含まれる4本のピークの内、CXRで標識された1本を用いた。実サンプルの泳動(ステップS53)にはBigDye(登録商標)Terminator v3.1 Matrix Standards(Dye Set Z)(Applied Biosystems社製)に含まれる4本のピークの内、ROXで標識された1本を用いた。
実験例3では、第5の実施形態の検証としてステップS52及びS53はそれぞれ、ステップS11及びS12に記載の要領で行った。泳動時のキャピラリ長は36cmであり、サンプル注入時の印加電圧は1.6kVであり、泳動時の印加電圧はスペクトラルキャリブレーション時(ステップS52)と実サンプル泳動時(ステップS53)共に15kVである。
図17Aは、実験例3で取得される蛍光スペクトルである。図17Aには、λtestで得られた蛍光スペクトルが示されている。以下の数式6は、λtestにおけるベクトルVmとベクトルVsの信号強度を示している。数式6に示すように、λtest(第5の)実施形態を適用した場合のベクトルVmとベクトルVsの相関係数(corr.)は0.998となった。
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素が第2のスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明した。第6の実施形態では泳動電圧及び蛍光色素の両方が異なる場合について説明する。本実施形態では一例として、第1のスペクトラルキャリブレーションに使用するマトリクススタンダードはFAM、JOE、TMR、CXRで標識されているものとする。また、実サンプルはR6G、R110、TMR、ROXで標識されているものとする。スペクトラルキャリブレーション時の泳動電圧は15kVとし、実サンプル泳動時の泳動電圧は7.5kVとする。
以上のように、第6の実施形態において、マルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に、異なる蛍光色素のセットで標識されたサンプルを用いて、異なる泳動電圧で第1のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動が行われ、蛍光色素及び泳動電圧の組み合わせ毎に、スペクトルの乖離を補正するための補正係数マトリクスKが取得され、補正係数データベース5034に登録される。装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の蛍光色素及び泳動電圧の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる。これにより、本実施形態は、第1~第3の実施形態と比較して、オペレータの用いる蛍光色素や泳動電圧の自由度が向上する。
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素が第2のスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明したが、第7の実施形態ではポリマの化学的特性又は組成が異なる場合について説明する。上述したように、ポリマはあくまで分離媒体の一例であるので、同じ運用がポリマ以外の分離媒体に適用できることは言うまでもない。
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素がスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明したが、第8の実施形態ではキャピラリ519の長さが異なる場合について説明する。
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素がスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明したが、第9の実施形態では陽極バッファの組成又は化学的特性が異なる場合について説明する。
第9の実施形態では、陽極バッファの化学的特性が異なる場合について説明したが、第10の実施形態では陰極バッファの組成又は化学的特性が異なる場合について説明する。
第9の実施形態では陽極バッファ、第10の実施形態では陰極バッファの化学的特性が異なる場合について説明したが、第11の実施形態ではサンプル溶液の化学的特性又は組成が異なる場合について説明する。
第12の実施形態では、恒温槽505の温度が異なる場合について説明する。
本開示の侵害を確認する手法の一例として、以下の検証が挙げられる。図9を基に説明する。
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除又は置換することもできる。
Claims (13)
- 電気泳動装置であって、
サンプルの電気泳動路と、
前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求める演算部と、を備え、
前記演算部は、
泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正し、
前記補正係数が、特定の前記電気泳動装置を用いて取得されたものである
ことを特徴とする電気泳動装置。 - サンプルの電気泳動路と、
前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求める演算部と、を備え、
前記演算部は、
泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正し、
前記演算部は、第1の蛍光色素の第1のスペクトルと、第2の蛍光色素の第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
前記演算部は、前記第1の蛍光色素と同じ第3の蛍光色素の第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
ことを特徴とする電気泳動装置。 - サンプルの電気泳動路と、
前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求める演算部と、を備え、
前記演算部は、
泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正し、
前記演算部は、第1の泳動条件で取得される第1のスペクトルと、第2の泳動条件で取得される第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
前記演算部は、前記第1の泳動条件と同じ第3の泳動条件で取得される第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
ことを特徴とする電気泳動装置。 - 前記補正係数が、前記サンプルの電気泳動時の電圧毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
- 前記補正係数が、前記サンプルの電気泳動時のバッファのpH又は前記サンプルの溶液のpH毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
- 前記補正係数が、前記電気泳動路の長さ毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
- 前記電気泳動路を収容する恒温槽をさらに備え、
前記補正係数が、前記恒温槽の設定温度毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。 - 前記補正係数が、前記電気泳動路内の分離媒体の組成又は化学的特性毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
- 複数の前記電気泳動路をさらに備え、
前記演算部は、前記複数の前記電気泳動路のそれぞれに対し前記補正係数を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。 - サンプルの電気泳動路と、
前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
前記光検出器の信号に基づき、前記光の信号強度を算出する演算部と、を備え、
前記光検出器は、
複数の蛍光色素のスペクトル間の相関係数が所定値以上となるように設定された信号取得幅で、前記信号を取得することを特徴とする電気泳動装置。 - 電気泳動装置が備える電気泳動路においてサンプルを電気泳動することと、
分光素子により、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光することと、
光検出器により、前記分光素子により分光された光を検出することと、
演算部により、前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求めることと、を含み、
前記光のスペクトルを求めることは、
前記演算部により、泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正することを含み、
前記補正係数が、特定の前記電気泳動装置を用いて取得されたものである
ことを特徴とする分析方法。 - 電気泳動路においてサンプルを電気泳動することと、
分光素子により、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光することと、
光検出器により、前記分光素子により分光された光を検出することと、
演算部により、前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求めることと、を含み、
前記光のスペクトルを求めることは、
前記演算部により、泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正することを含み、
前記演算部は、第1の蛍光色素の第1のスペクトルと、第2の蛍光色素の第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
前記演算部は、前記第1の蛍光色素と同じ第3の蛍光色素の第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
ことを特徴とする分析方法。 - 電気泳動路においてサンプルを電気泳動することと、
分光素子により、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光することと、
光検出器により、前記分光素子により分光された光を検出することと、
演算部により、前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求めることと、を含み、
前記光のスペクトルを求めることは、
前記演算部により、泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正することを含み、
前記演算部は、第1の泳動条件で取得される第1のスペクトルと、第2の泳動条件で取得される第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
前記演算部は、前記第1の泳動条件と同じ第3の泳動条件で取得される第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
ことを特徴とする分析方法。
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Applied Biosystems,ABI PRISM(R) 310 Genetic Analyzer User Guide,ユーザガイド,Applied Biosystems,2010年06月30日,Part Number 4317588 Rev.B,p.2-10,2-14,2-15,2-20,4-14,6-24,8-17 |
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