JP7318122B2 - 電気泳動装置及び分析方法 - Google Patents

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Description

本開示は、電気泳動装置及び分析方法に関する。
DNAの塩基配列又は塩基長を分析する手法として、電気泳動法が広く知られている。電気泳動を用いた分析方法のひとつとしてキャピラリ電気泳動がある。キャピラリ電気泳動は、キャピラリと呼ばれる細い管にアクリルアミドなどの分離媒体を充填し、電気泳動を行う技術である。より具体的には、DNAを含む試料をキャピラリの一端に配置し、その状態でキャピラリの両端に高電圧を印加すると、負に帯電した荷電粒子であるDNAは、自らの大きさ即ち塩基長に依存してキャピラリ内を陽極側に移動する。そして試料が一定距離(通常はキャピラリの試料注入端からシグナル検出部まで)を泳動するまでに要した時間を計測することにより、DNAの塩基長を分析することができる。各DNAは蛍光色素で標識されており、励起光の照射により蛍光を発する。前記蛍光は光検出器で検出される。
キャピラリ電気泳動によるDNAの分析において、分析の迅速化を図る目的で複数の蛍光色素を用いることがある。複数の蛍光色素は、励起光の照射を受けてそれぞれ異なる蛍光を発する。この蛍光を分光して、光検出器上で取得したスペクトルを蛍光スペクトルと呼ぶ。各蛍光色素はそれぞれ異なる蛍光スペクトルを有しているが、それらはシャープではなく、各々の蛍光色素同士が重なりをもっている。したがって、光検出器において、異なる蛍光色素で標識されたDNA断片が同程度の断片長をもつ場合は、光検出器で得られる蛍光のスペクトルは、複数種類の蛍光色素の蛍光スペクトルの線形和、すなわち重みづけ和となる。この状態から各々の蛍光色素の信号強度(蛍光強度)を求めるためには、光検出器で得られるスペクトルから、このスペクトルを構成する各蛍光色素のスペクトルの線形係数、すなわち重み値を求めればよい。
この重み値を求めるためには、各蛍光スペクトルが予め既知でなければならない。各蛍光スペクトルは、本来は装置に依存せず蛍光色素や分離媒体によって一元的に決められるものである。しかしながら実際の装置では、様々な理由により蛍光スペクトルが変動する。その中で良く知られているのがキャピラリと光検出器の位置関係である。このため、キャピラリの交換の際には、分析対象のサンプル(以下、「実サンプル」と表記する)を電気泳動にかける前に、予め該装置及び該キャピラリにおける蛍光スペクトルを求める操作が必要となる。この操作を「スペクトラルキャリブレーション」と呼ぶ。なお、キャピラリを複数並べたキャピラリアレイを用いて、複数サンプルに対して同時に電気泳動を行う場合には、各々のキャピラリに対して蛍光スペクトルを求めておく必要がある。
ここで、従来技術に係るスペクトラルキャリブレーションの一例を説明する。
図1は、マルチキャピラリ電気泳動装置の光検出器に結像される回折格子像(下段)及び回折格子像のA-A’方向に対応するキャピラリの信号強度分布を示す図(上段)である。マルチキャピラリ電気泳動装置は、特定の波長のレーザ光をキャピラリに照射することにより各蛍光色素から放射される蛍光を回折格子によって波長方向に分離し、分離した光をCCD等の光検出器にて検出し、回折格子像を取得する。そして、回折格子像のから信号強度分布(スペクトル)を取得する。
図1の下段は、キャピラリが4本並べられたキャピラリアレイに対してレーザ光を照射したときの回折格子像であり、縦軸がキャピラリの配列方向を示し、横軸が波長方向を示す。図1の上段は、縦軸が信号強度(輝度値(RFU))を示し、横軸が波長を示す。なお、図1は回折格子を用いて連続的(実際は画素毎に離散的)にスペクトルを計測した例を示しているが、上記のスペクトルを広い波長間隔でサンプリングしたデータであってもよい。例えば、図1の回折格子像に示すように、各キャピラリに対し、20個の波長λ(0)~λ(19)における信号強度のみを取得してもよい。また、波長λ(0)~λ(19)のそれぞれの波長の近傍の信号強度の加算平均をとってもよい。
図2は、従来のスペクトラルキャリブレーション方法を示すフローチャートである。
ステップS101において、オペレータは、マトリクススタンダードの電気泳動を行う。マトリクススタンダードは、蛍光スペクトルを取得し、後述するマトリクスを得るための試薬である。マトリクススタンダードは、それぞれ異なる蛍光色素で標識された長さの異なる4種類のDNA断片を含んでいる。各々の蛍光色素に対応するDNA断片の長さ、もしくは長さの順序の情報は既知である。
図3Aは、マトリクススタンダードの電気泳動を行うことで得られる信号強度の波形を示す図であり、縦軸が信号強度を示し、横軸が時刻を示す。ステップS101では4種類の蛍光色素(ROX、TMR、R110、R6G)の蛍光スペクトルを得ることを想定しており、図3Aは、各蛍光色素の信号強度波形を一つのグラフに重ねた状態を示している。図3Aに示すように、それぞれの蛍光色素が標識されたDNA断片の長さに相当する時刻に鋭いピークが現れる。長さの異なるDNA断片がそれぞれ異なる蛍光色素で標識されているため、各ピーク時刻(t0,t1,t2,t3)で各蛍光色素が単独で発光している。したがって、特定の蛍光色素のみが発光している時刻(図3Aでは、t0,t1,t2,t3,t4)におけるスペクトルを取得することで、各々の蛍光色素の蛍光スペクトルを得られる。
図2に戻り、ステップS102において、マルチキャピラリ電気泳動装置の演算制御回路は、ステップS101で得られた信号強度の各時刻のスペクトルから蛍光強度を算出する。本ステップの処理は各々のスキャン時刻に対して行ってもよいし、一定の時間間隔分のスペクトルデータを蓄積した後に行ってもよい。
ステップS103において、演算制御回路は、図3Aの信号強度波形のピーク時刻を検出する。前述のように、各々の蛍光色素が標識されたDNA断片の長さに対応するピークの出現順序が既知であることから、ピークの出現時刻により蛍光色素の種類が同定できる。図3Aでは、時刻t0ではROXが、時刻t1ではTMRが、時刻t2ではR110が、時刻t3ではR6Gがそれぞれ単独で発光している様子を示している。各時刻のスペクトルは、各蛍光スペクトルに相当する。つまり、各々のピーク時刻のスペクトルを取得することで、各蛍光スペクトルが分かる。
図3Bは、図3Aの信号強度波形から取得される蛍光スペクトルであり、縦軸は蛍光強度を示し、横軸は波長を示す。図3Bに示すように、演算制御回路は、信号強度波形に基づいて各蛍光色素の蛍光スペクトルを取得する。
図2に戻り、ステップS104において、演算制御回路は、各蛍光スペクトルを用いてマトリクスMを取得する。以下の数式1は、20個の波長λ(0)~λ(19)における信号強度を取得した場合のマトリクスMの一例を示している。マトリクスMの要素は、各ピーク時刻で、各々の波長における各々の蛍光色素の信号強度の強度比率に相当する。この比率は、例えば各蛍光色素の波長間での最大値に対する割合である。例えば、数式1の要素WX1は、時刻t0、波長λ(1)における、蛍光色素ROXの蛍光強度の比率である。この値が高いほど、その波長の蛍光強度への寄与が高いことを意味する。マトリクスMは、光検出器で得られるスペクトル波形から各々の蛍光強度を得るために用いられる。
Figure 0007318122000001
以上、ステップS101~S104までの操作がスペクトラルキャリブレーションである。キャピラリが複数本ある場合には、各々のキャピラリに対してマトリクスMを取得する必要がある。また、スペクトラルキャリブレーションは、キャピラリ設置や部品交換などを行う度に実施する必要がある。
スペクトラルキャリブレーションで得られたマトリクスMは基準スペクトルとも呼ばれ、理想的には実サンプルの蛍光スペクトルと同一である。しかし実際には、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルとの間に乖離が生じることがある。乖離が生じると重み値が正しく算出されず、間違った蛍光強度が記録されてしまう。甚だしい場合は、主ピークと同じピーク時刻に疑似ピークが出現する。
図4は、疑似ピークが出現した場合の蛍光スペクトルである。疑似ピークは、各色の蛍光スペクトルの重なりによって生じ得るものであり、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトル間に乖離が生じた際に、この重なりによる影響が大きく観測される。また、この疑似ピークは、主ピークが複数ある場合には、その全ての主ピークにおいて観測される。
基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトル間の乖離は、おおむねスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時の蛍光色素や泳動条件の差異に起因して発生する。つまり、オペレータは実サンプルで用いる蛍光色素や泳動条件を変えるたびに、スペクトラルキャリブレーションをやり直す必要があるので、手間と費用が増大してしまう。
特許文献1は、「実際のサンプルの電気泳動の際に使用される既知のDNA断片情報である、サイズスタンダードとアレリックラダーとを用いて基準蛍光スペクトルを得ることを特徴とし、アレリックラダーを用いないキャピラリに対しては、サイズスタンダードの蛍光スペクトルのシフト量を検出し、このシフト量を用いて基準蛍光スペクトルをシフトさせて蛍光スペクトルを計算することで、スペクトルキャリブレーションを行う」遺伝子解析装置を開示している(同文献の要約参照)。これにより、特別なマトリクススタンダードを用いて電気泳動を行う必要がなくなるため、短時間かつ低コストでスペクトラルキャリブレーションを実現することができる。
サイズスタンダードとは、特定の蛍光色素で標識された既知のDNA断片の混合物である。アレリックラダーとは、実サンプルと同じ蛍光色素で標識された既知のDNA断片の混合物である。特許文献1に記載の運用では、サイズスタンダードは電気泳動の際に試料全てに対して混合される。そしてアレリックラダーは実サンプルとは別個のキャピラリで分析される。
特開2014-117222号公報
しかしながら、特許文献1は、キャピラリ間での蛍光スペクトルのシフト量を特定の蛍光色素を用いて算出しており、前記シフト量が蛍光色素により異なる場合を想定していない。そのため、蛍光色素によっては適切な基準スペクトルが得られず、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルとの間に乖離が生じ、疑似ピークが発生することがある。また、特許文献1の実施例3では、キャピラリ毎にスペクトルキャリブレーションを行う例が挙げられている。しかしそのためには、単色の蛍光色素から成るピークが必要になる。したがって、複数のピークが重なり合うようなサンプルにおいては基準スペクトルが得られない場合がある。結果として、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルの間に乖離が生じうる。以上のことから特許文献1の手法は、任意の蛍光色素、任意のサンプルへの適用が難しいので、泳動条件や蛍光色素を変更する度にスペクトラルキャリブレーションをやり直す必要がある。したがって、オペレータの手間と費用が増大する。
そこで、本開示は、オペレータの手間と費用を軽減した電気泳動装置及び分析方法を提供する。
上記課題を解決するために、本開示の電気泳動装置は、サンプルの電気泳動路と、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求める演算部と、を備え、前記演算部は、泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正することを特徴とする。
また、本開示の他の電気泳動装置は、サンプルの電気泳動路と、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、前記光検出器の信号に基づき、前記光の信号強度を算出する演算部と、を備え、前記光検出器は、複数の蛍光色素のスペクトル間の相関係数が所定値以上となるように設定された信号取得幅で、前記信号を取得することを特徴とする。
本開示に関連する更なる特徴は、本明細書の記述、添付図面から明らかになるものである。また、本開示の態様は、要素及び多様な要素の組み合わせ及び以降の詳細な記述と添付される特許請求の範囲の様態により達成され実現される。
本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味に於いても限定するものではない。
本開示によれば、泳動条件や蛍光色素を変更する度にスペクトラルキャリブレーションをやり直す必要がなくなる。結果としてオペレータの手間と費用が軽減される。上記以外の課題、構成及び効果は、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
マルチキャピラリ電気泳動装置で検出される蛍光の信号強度(上段)及び波長(下段)を示す図である。 従来のスペクトラルキャリブレーション方法を示すフローチャートである。 従来技術に係るスペクトラルキャリブレーションの概要を説明するための図である。 従来技術に係るスペクトラルキャリブレーションの概要を説明するための図である。 疑似ピークを説明するための図である。 第1の実施形態に係るマルチキャピラリ電気泳動装置を示す概略図である。 恒温槽内の光学系の構成を示す概略図である。 第1の実施形態に係る補正係数の算出方法を示すフローチャートである。 第1の実施形態におけるマトリクスM’の算出の概要を説明する図である。 第1の実施形態におけるマトリクスM’の算出の概要を説明する図である。 実サンプルの電気泳動における補正係数の適用方法を示すフローチャートである。 実サンプルの電気泳動方法のフローチャートである。 ガウスフィッティングを説明するための図である。 第2の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。 実験例1の結果を示す図である。 第3の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。 実験例2において使用される蛍光色素を示す図である。 実験例2の結果を示す図である。 第5の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。 実験例3で取得される蛍光スペクトルである。 実験例3の対照実験で取得される蛍光スペクトルである。 第6の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の技術の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示の技術を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。したがって、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
[第1の実施形態]
背景技術で述べたように、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルとの間に乖離が生じると、正しい重み値が算出されず、誤った蛍光強度が記録される。この乖離は、主に蛍光色素の変性によりスペクトルが変化することで生じる。蛍光色素の変性は、不適切なpH、不適切な温度での保管、色素の過剰な励起によって生じる。また、蛍光色素の変性は、スペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で泳動電圧が異なる場合にも起こり得る。複数のキャピラリを備えた電気泳動装置においては、励起光強度がキャピラリ毎に異なるため、乖離が生じ得る。上記に挙げた例のそれぞれで、変性の程度は蛍光色素により異なることにも留意すべきである。また実サンプルが、マトリクススタンダードと異なる蛍光色素で標識されている場合にも、当然のこととして乖離が生じる。
そこで、第1の実施形態では、マルチキャピラリ電気泳動装置を購入したオペレータによるスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時とで泳動電圧が異なる場合の運用(蛍光スペクトルの補正)について説明する。なお、本明細書において、マルチキャピラリ電気泳動装置のメーカーが当該装置の出荷前に実施するスペクトラルキャリブレーションを「第1のスペクトラルキャリブレーション」と呼び、マルチキャピラリ電気泳動装置を購入したオペレータによるスペクトラルキャリブレーションを「第2のスペクトラルキャリブレーション」と呼ぶ場合がある。
<マルチキャピラリ電気泳動装置の構成例>
図5は、第1の実施形態に係るマルチキャピラリ電気泳動装置500の構成を示す概略図である。図5に示すように、マルチキャピラリ電気泳動装置500は、装置本体501と、制御用コンピュータ502とを備える。
装置本体501は、演算制御回路503、光検出器504、恒温槽505、キャピラリアレイ506、光源507、光照射部508、ロードヘッダ509、陰極用バッファ容器511、サンプル容器512、ポリマカートリッジ513、陽極用バッファ容器514、陽極515、高圧電源516、アレイヘッダ517、搬送機518、シリンジ機構520、加熱冷却機構523及び回折格子524を備える。
装置本体501は、制御用コンピュータ502と通信可能に接続されている。オペレータは、制御用コンピュータ502を操作して装置本体501が有する各部を制御することができる。制御用コンピュータ502は、装置本体501で取得するデータ(光検出器504の検出信号など)を受信する。制御用コンピュータ502は、受信したデータを表示するディスプレイを備える。なお、制御用コンピュータ502は、装置本体501に内包されていてもよい。
演算制御回路503は、光検出器504の検出信号に基づいて測定値(蛍光強度)の演算処理を実行すると共に、測定値(蛍光強度)に対し補正を実行する。また、演算制御回路503は、制御用コンピュータ502からの入力や命令に従い、装置本体501を制御する。
光検出器504は、光源507からキャピラリアレイ506に照射された励起光としてのレーザ光によって発生した蛍光を検出する光センサである。光源507としては、液体レーザ、気体レーザ、半導体レーザなどを適宜使用でき、LEDで代用することも可能である。光源507は、キャピラリアレイ506の配列の両側から励起光を照射するようにしてもよく、また、励起光を時分割で照射するように構成されていてもよい。
恒温槽505は、キャピラリアレイ506の温度を制御するための温度制御機構である。恒温槽505は、槽内に温度を一定に保つために断熱材で覆われ、加熱冷却機構523により温度が制御される。これにより、キャピラリアレイ506の大部分の温度を、例えば60℃程度の一定温度に維持することができる。
キャピラリアレイ506は、複数本(図5の例では4本)のキャピラリ519(電気泳動路)を配列して構成される。キャピラリアレイ506は、破損や品質の劣化が確認された場合には、適宜新品と交換可能な交換部材として構成され得る。また、キャピラリアレイ506は、測定に応じて、異なる本数や長さのキャピラリを有する別のキャピラリアレイに置き換え可能である。
キャピラリアレイ506を構成する複数のキャピラリ519の各々は、内径数十~数百μm、外径数百μmのガラス管で構成され得る。また、強度向上のため、ガラス管の表面はポリイミド被膜で被覆されていてもよい。ただし、レーザ光が照射される箇所及びその近傍は、キャピラリ519の表面のポリイミド被膜は除去されている。キャピラリ519の内部には、生体試料(サンプル)中のDNA分子を分離するための分離媒体が充填される。ここでは電気泳動用として市販されているポリアクリルアミド系分離ゲル(以下、「ポリマ」と表記する)を用いるものとする。
光照射部508は、キャピラリアレイ506の一部に配置されている。光照射部508は、後述するように、光源507からのレーザ光(励起光)を共通に複数のキャピラリ519に入射させ、複数のキャピラリ519から発する蛍光を光検出器504に導光可能に構成されている。具体的に光照射部508は、キャピラリアレイ506に設けられた光照射部位に測定光であるレーザ光を照射するため、光ファイバやレンズなどの投光光学系を有する。回折格子524(分光素子)は、キャピラリ519からの光を分光し、光検出器504に入射させる。
本開示において、励起光の照射による蛍光色素からの蛍光を光検出器504により検出する例を説明しているが、検出する光は蛍光に限定されず、吸光、発光などであってもよい。
ロードヘッダ509は、キャピラリアレイ506の一端に設けられている。ロードヘッダ509は、キャピラリ519内に生体試料(サンプル)を導入するための負電圧を印加される陰極として機能する。キャピラリアレイ506の他端にはアレイヘッダ517が設けられ、アレイヘッダ517は複数本のキャピラリ519を1つに束ねている。また、アレイヘッダ517は、その下面に、ポリマカートリッジ513に挿入するための尖部521を備えている。
搬送機518は、その上面に陰極用バッファ容器511、サンプル容器512、ポリマカートリッジ513及び陽極用バッファ容器514が載置され、これらを搬送するよう構成されている。一例として、搬送機518は、3つの電動モータとリニアアクチュエータを備え、上下、左右、前後の3軸方向に移動可能とすることができる。
陰極用バッファ容器511及び陽極用バッファ容器514は、泳動用のバッファを保持する容器であり、サンプル容器512は、測定対象の試料(サンプル)を保持する容器である。
ポリマカートリッジ513は、泳動用のポリマを保持する容器である。ポリマカートリッジ513は、上部522がゴム又はシリコーンなどの可塑性の高い素材で密閉され、ポリマを充填するためのシリンジ機構520及び搬送機518と連結されている。
キャピラリ519内にポリマカートリッジ513からポリマを充填させる際の手順は以下の(1)~(3)の通りである。
(1)搬送機518が動作し、アレイヘッダ517がポリマカートリッジ513の上側に移動する。
(2)アレイヘッダ517の尖部521がポリマカートリッジ513の上部522を貫通する。この時、可塑性の高いポリマカートリッジ513の上部522がアレイヘッダ517の尖部521を包み込むことで両者が密着し、ポリマカートリッジ513とキャピラリ519が密閉状態で連結される。
(3)シリンジ機構520がポリマカートリッジ513内部のポリマを押し上げて、ポリマをキャピラリ519に注入する。
陽極用バッファ容器514には、泳動のための正電圧を印加する陽極515が、バッファと接触するように配置されている。高圧電源516は、陽極515と、陰極としてのロードヘッダ509との間に接続されている。
搬送機518は、陰極用バッファ容器511及びサンプル容器512をキャピラリ519の陰極端510まで搬送する。この時、陽極用バッファ容器514が連動して、キャピラリ519の陽極端に相当する尖部521に移動する。
サンプル容器512は、キャピラリ519と同数のサンプルチューブを内包する。オペレータはサンプルチューブにDNAを分注する。
演算制御回路503(演算部)は、測定値演算部5032、補正係数演算部5033、補正係数データベース5034及び補正部5035を備える。
測定値演算部5032は、光検出器504の検出信号に基づいて測定値(蛍光強度)を算出する。補正係数演算部5033は、測定値演算部5032で算出された測定値を補正するための補正係数を算出する。補正係数データベース5034は、補正係数演算部5033で算出された補正係数を記憶する。また、補正部5035は、測定値演算部5032の測定値に対し、補正係数データベース5034に記憶された補正係数を適用して、補正された測定値を算出する。上記の演算制御回路503の各部の演算処理は、例えばCPU、MPUなどのプロセッサがプログラムを実行することにより実現することができる。
図6は、恒温槽505内の光学系の構成を示す概略図である。図6に示すように、光照射部508は、一例として、複数(図6では2つ)の反射ミラー602及び集光レンズ603を有する。反射ミラー602は、光源507からのレーザ光601の進行方向を変化させる。また、集光レンズ603は、キャピラリアレイ506の光照射部位にレーザ光を集光する。これにより、レーザ光601は、複数のキャピラリ519に次々に入射する。各キャピラリ519内の蛍光色素はレーザ光601により励起され、情報光(サンプルに依存した波長を有する蛍光)を発する。この情報光は回折格子524により波長方向に分光される。分光された情報光は光検出器504に検出される。この時、光検出器504は連続的(実際は画素毎に離散的)にスペクトルを計測することも可能であるが、本実施形態では一例として、20個の波長λ(0)~λ(19)における信号強度のみを取得するものとする。
このように、レーザ光601の入射により発せられる蛍光の蛍光強度を光検出器504で観測することにより、電気泳動中のDNAの分析が可能になる。電気泳動とは、陰極・陽極バッファ間に生じた電界作用により、キャピラリ119中のサンプルに移動度を与え、サンプルの性質に依存する移動度の差によりサンプルを分離することである。ここではサンプルがDNAの場合を例にとって説明する。
DNAは二重螺旋の骨格にあたるホスホジエステル結合により、ポリマ中で負の電荷をもつ。そのため、DNA電界中で陽極側へ移動する。この時、ポリマが網目状構造を有するため、DNAの移動度は、網目の潜りやすさ、換言すればDNAのサイズに依存する。塩基長の短いDNAは網目状構造を潜り抜けやすく、移動度も高くなり、塩基長の長いDNAではその逆になる。DNAには予め蛍光物質(蛍光体)が標識されるため、塩基長の短いDNAから順番に光検出器504で光学的に検出される。通常は、泳動時間の一番長いサンプルに合わせて測定時間及び電圧印加時間が設定される。
<補正係数の算出方法>
上述のように、本実施形態は、スペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時とで泳動電圧が異なる場合の蛍光スペクトルの補正方法を提案する。マルチキャピラリ電気泳動装置500のメーカーは、装置の出荷前に、実サンプルの泳動時に取得される蛍光スペクトルを補正するための補正係数を求め、演算制御回路503の補正係数データベース5034に登録しておく。
図7は、補正係数の算出方法を示すフローチャートである。補正係数の算出方法を概説すると、まずステップS1において、メーカーは、マトリクススタンダードを用いてスペクトラルキャリブレーションを行い、演算制御回路503により基準となるマトリクスMを取得する。次にステップS2において、演算制御回路503により補正に用いるマトリクスM’を取得する。最後にステップS3において、演算制御回路503により補正係数マトリクスKを取得する。
(ステップS1)
ステップS1において、メーカーは、任意の蛍光色素で標識されたDNA断片を含むマトリクススタンダードを用いてスペクトラルキャリブレーション(第1のスペクトラルキャリブレーション)を行う。本実施形態では一例として、蛍光色素としてROX、TMR、R110、R6Gを用いる。泳動電圧は、後述する実サンプル泳動前のスペクトラルキャリブレーション(第2のスペクトラルキャリブレーション)における泳動電圧と同じにすべきである。本実施形態では一例として15kVとするが、泳動電圧はこれに限定されない。
メーカーは、制御用コンピュータ502の入力装置の操作により、蛍光色素の種類と泳動電圧を演算制御回路503に登録する。測定値演算部5032は、この条件でマトリクスMを求めるものとする。
ここで、本開示で解決すべき課題の一つは、オペレータによるスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で泳動電圧が異なると、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトル間に乖離が生じることである。泳動電圧は、電気泳動に要する時間や、分析時の重要な品質指標の一つである分離能に影響する。そのため、マルチキャピラリ電気泳動装置を使用する際、オペレータは必要に応じて実サンプルの泳動電圧を頻繁に変更する。そしてオペレータは、実サンプルの泳動電圧を変更数するたびに、実サンプルと同じ泳動電圧でスペクトラルキャリブレーションをやり直す必要がある。
この課題を解決するために、本実施形態では、マルチキャピラリ電気泳動装置の出荷前に様々な泳動電圧で第1のスペクトラルキャリブレーションを行い、そこで見出されるスペクトル間の乖離を定量化することで、乖離を最小化するような補正係数を予め演算制御回路503に登録しておくことを提案する。補正係数は、使用した蛍光色素、泳動電圧などの情報と共に登録される。
装置を購入したオペレータは、演算制御回路503に登録されたものの中から任意の泳動電圧を選択し、第2のスペクトラルキャリブレーションを行った後に、同じく演算制御回路503に登録された任意の泳動電圧で実サンプルを泳動することが可能になる。つまり、演算制御回路503に登録された範囲で、実サンプルの泳動電圧を何度変更しても、オペレータはそのたびにスペクトラルキャリブレーションをやり直す必要がない。
以上の運用を想定すると、ステップS1において、メーカーは15kVだけでなく複数の電圧でマトリクススタンダードの泳動を行うべきである。そして、取得した全てのマトリクスMを泳動電圧及び蛍光色素の情報と共に演算制御回路503に登録するべきである。
マトリクスMの算出方法については上述した通りである。
(ステップS2)
ステップS2において、メーカーは、実サンプルと同じ蛍光色素及び同じ泳動条件でマトリクススタンダードを泳動する。ここでは実サンプルがステップS1で用いたマトリクススタンダードと同じ蛍光色素で標識され、7.5kVで泳動されるものとする。この時、メーカーは、制御用コンピュータ502の入力装置の操作により、蛍光色素の種類と泳動電圧を演算制御回路503に登録する。
上述したようにマトリクススタンダードには、それぞれ異なる蛍光色素で標識されていた長さの異なるDNA断片が含まれるため、各ピーク時刻(t0’,t1’,t2’,t3’)では各蛍光色素が単独で発光する。また、各々の蛍光色素に対応するピーク時刻の出現順序が既知であることから、各々のピーク時刻に対応する蛍光色素の種類が同定できる。
図8Aは、マトリクススタンダードの電気泳動を行うことで得られる信号強度の波形を示す図であり、縦軸が信号強度を示し、横軸が時刻を示す。図8Aに示すように、時刻t’0ではROXが、時刻t’1ではTMRが、時刻t’2ではR110が、時刻t’3ではR6Gがそれぞれ単独で発光している。各々の時刻のスペクトルが、各々の蛍光色素の蛍光スペクトルに相当する。よって、演算制御回路503は、各々のピーク時刻のスペクトルを取得することで各蛍光色素の蛍光スペクトルを取得する。
図8Bは、図8Aの信号強度波形から取得される蛍光スペクトルであり、縦軸は蛍光強度を示し、横軸は波長を示す。
測定値演算部5032は、各蛍光スペクトルを用いてマトリクスM’を算出する。以下の数式2は、20個の波長λ(0)~λ(19)における信号強度を取得した場合のマトリクスM’の一例を示している。マトリクスM’の要素は、各ピーク時刻(t’0、t’1、t’2、t’3)で、各々の波長における各々の蛍光色素の強度比率に相当する。例えば、数式2の要素W’X1は、時刻t’0、波長λ(1)における、蛍光色素ROXの蛍光強度の比率である。
Figure 0007318122000002
なお、ステップS2においても、ステップS1で述べたような理由から、実際の運用では7.5kVを含む複数の電圧でマトリクススタンダードを泳動し、取得される全てのマトリクスM’を泳動電圧、蛍光色素などの情報と共に演算制御回路503に登録する。
(ステップS3)
図7に戻り、ステップS3において、測定値演算部5032は、算出したマトリクスM及びM’を補正係数演算部5033に送信する。補正係数演算部5033は、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを取得する。補正係数マトリクスKの要素は、蛍光色素i、波長jにおいて、補正係数マトリクスKの要素k(ij)=w’(ij)/w(ij)と定義する。既に述べたようにステップS1とステップS2で用いた蛍光色素及び泳動電圧は演算制御回路503に登録されている。したがってk(ij)は算出に用いた泳動条件及び蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に蓄積することができる。この時、ステップS1及びS2で述べたように、複数の泳動電圧でマトリクスM及びM’が取得されている場合は、補正係数演算部5033は、そのすべての組み合わせで補正係数マトリクスKを算出し、泳動電圧及び蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に登録する。
<実サンプルの電気泳動による分析方法>
図9は、オペレータによる実サンプルの電気泳動における補正係数の適用方法を示すフローチャートである。
(ステップS11)
上述のステップS1~S3までは、オペレータがマルチキャピラリ電気泳動装置500を購入した時点で既に終了している。オペレータは、ステップS11以降の操作だけを行えばよい。なお、購入の際(ステップS3の後)、装置の運搬のため、キャピラリが脱着され、光検出器504とキャピラリ519の位置関係が変化したものとする。つまり、装置は再度スペクトラルキャリブレーションが必要な状態である。
ステップS11において、オペレータは、ステップS1と同様にして、マトリクススタンダードを用いてスペクトラルキャリブレーションを行う。便宜上、オペレータが行うスペクトラルキャリブレーションを「第2のスペクトラルキャリブレーション」と呼ぶ。第2のスペクトラルキャリブレーションにおける泳動電圧は、補正係数データベース5034に登録されている泳動電圧であれば任意に選択することができる。本実施形態では一例として15kVで泳動することとする。また、蛍光色素については、マトリクススタンダードがROX、TMR、R110、R6Gで標識されているものとする。ステップS11の第2のスペクトラルキャリブレーションで測定値演算部5032により取得されるマトリクスMをマトリクスM(r)とする。
(ステップS12)
ステップS12において、オペレータは、実サンプルの泳動を行う。実サンプルは未知のサンプルであるが、蛍光色素の種類と泳動電圧は既知であるとする。実サンプルの泳動条件は、ステップS2での7.5kVとする。蛍光色素については、実サンプルもマトリクススタンダードと同様にROX、TMR、R110、R6Gで標識されているものとする。
図10は、ステップS12における実サンプルの電気泳動方法のフローチャートである。図10に示すように、電気泳動の基本的手順は、サンプル準備(ステップS121)、分析開始(ステップS122)、分離媒体充填(ステップS123)、予備泳動(ステップS124)、サンプル導入(ステップS125)、及び泳動分析(ステップS126)を含む。
(ステップS121)
ステップS121において、オペレータは、分析開始前のサンプル準備として、サンプル及び試薬をマルチキャピラリ電気泳動装置500にセットする。より具体的には、まず、オペレータは、図5に示した陰極用バッファ容器511と陽極用バッファ容器514に、通電路の一部を形成する緩衝液を満たす。緩衝液は、例えば、市販されている電気泳動用の電解質液を用いることができる。また、オペレータは、サンプル容器512のウェル内に、分析対象である実サンプルを分注する。実サンプルは、例えばDNAのPCR産物である。また、オペレータは、シリンジ機構520内に、サンプルを電気泳動する為の分離媒体を注入する。分離媒体には上述のポリマを用いるものとする。さらに、キャピラリ519の劣化が予想される場合や、キャピラリ519の長さを変更する場合、オペレータは、キャピラリアレイ506を交換する。
(ステップS122)
ステップS122において、オペレータは、制御用コンピュータ502の入力装置の操作により、実サンプルに用いる蛍光色素の種類と泳動電圧を演算制御回路503に登録する。そして、オペレータは、制御用コンピュータ502に分析開始の指示を入力する。制御用コンピュータ502は、分析開始の指示が入力されると、当該指示を装置本体501に送信する。これにより、装置本体501は分析を開始する。
(ステップS123)
ステップS123において、装置本体501は、キャピラリ519内へのポリマ充填を開始する。ポリマ充填とは、キャピラリ519内に新しいポリマを充填し、泳動路を形成する手順である。
本実施形態におけるポリマ充填では、まず、図5に示した搬送機518により陰極用バッファ容器511をロードヘッダ509の直下に運び、キャピラリ519の陰極端510から排出される使用済のポリマを受け止められるようにする。そして、シリンジ機構520を駆動して、キャピラリ519に新しいポリマを充填し、使用済のポリマを廃棄する。最後に、分離媒体の乾燥を防ぐため陰極用バッファ容器511内の緩衝液に陰極端510を浸す。
(ステップS124)
ステップS124において、装置本体501は、予備泳動を実施する。予備泳動とは、ポリマに所定の電圧を印加し、ポリマを電気泳動に適した状態にする手順である。
本実施形態における予備泳動では、まず、搬送機518により、陰極用バッファ容器511内の緩衝液に陰極端510を浸し、通電路を形成する。そして、高圧電源516により、ポリマに数~数十キロボルト程度の電圧を数~数十分間印加し、ポリマを電気泳動に適した状態とする。最後に、ポリマの乾燥を防ぐため陰極用バッファ容器511内の緩衝液に陰極端510を浸す。
(ステップS125)
ステップS125において、装置本体501は、泳動路へサンプル成分を導入する。このステップは、自動的に行われてもよいし、逐次、制御用コンピュータ502から制御信号が送信されることによって行われてもよい。
本実施形態におけるサンプル導入では、まず、搬送機518により、サンプル容器512のウェル内に保持されたサンプルに陰極端510を浸す。これにより、通電路が形成され、泳動路にサンプル成分を導入することが可能な状態となる。そして、高圧電源516によりパルス電圧を通電路に印加し、泳動路にサンプル成分を導入する。最後に、ポリマの乾燥を防ぐため陰極用バッファ容器511内の緩衝液に陰極端510を浸す。
(ステップS126)
ステップS126において、装置本体501は泳動分析を実施する。泳動分析では、電気泳動により、サンプル中に含まれる各サンプル成分が分離分析される。
本実施形態における泳動分析では、まず、搬送機518により、陰極用バッファ容器511内の緩衝液に陰極端510を浸し、通電路を形成する。次に、高圧電源516により、通電路に7.5kVの高電圧を印加し、泳動路に電界を発生させる。発生した電界により、泳動路内の各サンプル成分は、各サンプル成分の性質に依存した速度で光照射部508へ移動する。つまり、サンプル成分は、その移動速度の差により分離される。そして、光検出器504は、光照射部508に到達したサンプル成分から順番に検出する。
例えば、サンプルが、塩基長の異なるDNAを多数含む場合は、その塩基長により移動速度に差が生じ、塩基長の短いDNAから順に光照射部508に到達する。各DNAには、解析対象に応じた蛍光色素が結合されている。光源507から光照射部508に励起光が照射されると、サンプルから情報光(サンプルに依存した波長を有する蛍光)が生じ、外部に放出される。この情報光は回折格子524で波長方向に分光され、光検出器504により検出される。光検出器504にて検出された画像の一例が図1である。泳動分析中は、光検出器504では、一定の時間間隔でこの情報光を検出し、画像データを演算制御回路503へ送信する。あるいは、送信する情報量を減らすために、光検出器504は、画像データではなく、画像データ中の一部の領域のみの輝度(信号強度)を送信してもよい。例えば、キャピラリ毎に、一定間隔の波長位置のみの信号強度を送信してもよい。
本実施形態では上記の画像データのうち、図1の説明で述べたように、キャピラリ毎に20の波長λ(0)~λ(19)における信号強度データのみが、演算制御回路503へ送信されるものとする。この信号強度データは、各キャピラリにおける各DNAサンプルのスペクトルを表しており、このスペクトルが測定値演算部5032へ格納される。測定値演算部5032には、上記の泳動分析中の全ての検出時刻における全キャピラリ519のスペクトルが格納される。なお、全ての検出時刻のスペクトルを測定値演算部5032に格納することができるが、特定のピーク時刻のみがオペレータにとって重要である場合には、特定時刻周辺のみのスペクトルが格納されていてもよい。
(ステップS127)
ステップS127において、装置本体501は、予定していた画像データを取得し終えたら電圧印加を停止し、泳動分析を終了する。
以上が、図9における電気泳動処理(ステップS12)の処理の一例である。なお、ステップS123~S127は、装置本体501により自動的に行われてもよいし、逐次、制御用コンピュータ502から制御信号が送信されることによって行われてもよい。
(ステップS13)
図9に戻り、ステップS13において、補正部5035は、補正係数データベース5034から、マトリクスM(r)の取得時及びステップS12の実サンプルと同じ泳動電圧、蛍光色素の組み合わせを持つ補正係数マトリクスKを呼び出し、マトリクスM(r)の各要素にマトリクスKの各要素k(ij)を乗じてマトリクスM(r)kを算出する。
(ステップS14)
ステップS14において、補正部5035は、蛍光強度を算出する。具体的には、補正部5035は、上述の電気泳動処理(ステップS12)で得られた画像データから、各蛍光色素の強度を算出する。本ステップS14においては、各々の時刻における各々のキャピラリ519のスペクトルに対し、波長λ(0)~λ(19)における、各蛍光色素の強度比率を掛けて足し合わせればよい。これを行列で表現すると以下の数式3のようになる。
Figure 0007318122000003
ここで、ベクトルCは、使用した各蛍光色素の蛍光強度を表している。したがって、ベクトルCの要素CX、CT、CR、CGはそれぞれ、ROX、TMR、R110、R6Gの蛍光強度を表している。ベクトルfは、光検出器504が観測した信号強度を表している。ベクトルfの要素f0~f19はそれぞれ、波長λ(0)~λ(19)における信号強度を表している。要素f0~f19はそれぞれ、波長λ(0)~λ(19)の近傍の信号強度の加算平均などであってもよい。
なお、光検出器504で検出される、個々の波長λ(0)~λ(19)の計測信号には、蛍光色素による信号に加え、キャピラリ519内に充填されるポリマからのラマン散乱光がベースライン信号として含まれている。このため、ベクトルfの算出の際には、このベースライン信号を予め除去しておく必要がある。
ベースライン信号の除去方法の一例としては、装置の出荷前に予めラマン散乱光のスペクトルを求め、これをベースライン信号として演算制御回路503に格納しておく。そして各々の時刻における計測信号から、このベースライン信号を引くことで、蛍光色素による信号を求め、これをベクトルfとしてよい。もしくは各時刻の近傍の最小値を、その時刻におけるベースライン信号値としてもよい。
計測スペクトルfの、蛍光強度ベクトルへの変換に当たってはマトリクスM(r)kを用いる。
補正部5035は、上記数式3により計測スペクトルから各蛍光色素の蛍光強度を算出する。この処理を各時刻の各キャピラリ519のスペクトルに対して行うことで、各キャピラリ519の蛍光強度の時系列データを得ることができる。以降、この蛍光強度の時系列データを蛍光強度波形と呼ぶ。
(ステップS15)
ステップS15において、補正部5035は、上記の蛍光強度波形に対してピーク検出を行う。ピーク検出では、主に、ピークの中心位置(ピーク時刻)、ピークの高さ、及びピークの幅が重要である。ピークの中心位置はDNA断片長に対応する。ピークの高さはサンプル中のDNA濃度の大小等の品質評価に用いられる。ピークの幅も、サンプルや電気泳動結果の品質を評価する上で重要である。このような実データのピークパラメータを推定する手法の一つとして、既知技術であるガウシアンフィッティングを用いることができる。
図11は、ガウシアンフィッティングの概念を示す図である。図11に示すように、ガウシアンフィッティングとは、一定区間の実データに対し、ガウス関数gが最もよく実データを近似するようなパラメータ(平均値μ、標準偏差σ、及び最大振幅値A)を計算する処理である。実データの近似の程度を表す指標としては、実データとガウス関数値との最小二乗誤差が多く用いられる。この最小二乗誤差を最小するような数値計算手法として、ガウスニュートン法などの手法を用いてパラメータを最適化することができる。その他にも、2つ以上のピーク波形が混合している場合や、ピーク周辺のデータが非対称である場合などの精度を向上させるような手法を適用してもよい。そしてガウス関数gの分散σが定まれば、その半値全幅(FWHM:Full Width at Half Maximum)は、図11中に示す式で得られる。この値をピーク幅とすることができる。
このようにして、補正部5035は、全ての蛍光色素の蛍光強度波形に対してピークパラメータを求める。この際、ピーク幅やピークの高さが予め定められた閾値条件を満たさない場合には、ピークから除外してもよい。
以上の操作により、15kVの泳動電圧で得られたマトリクスMを用いて、7.5kVの泳動で得られた実サンプルの信号強度が正しく算出される。本実施形態では特定の泳動電圧の組み合わせを例示したが、実際には、オペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS11)と実サンプル泳動(ステップS12)の泳動電圧を任意に選択することができる。
<技術的効果>
以上のように、第1の実施形態において、マルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に、複数の泳動電圧で第1のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルと同じ条件での泳動が行われ、泳動電圧の組み合わせ毎に、スペクトルの乖離を補正するための補正係数マトリクスKが取得され、蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に登録される。装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の泳動電圧の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる、また、オペレータが実サンプル泳動時の電圧を変更しても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離しないので、第2のスペクトラルキャリブレーションをやり直さなくても、正しい蛍光強度を取得することができる。
[第2の実施形態]
第1の実施形態では、マトリクススタンダードを用いてマトリクスM’を取得したが、第2の実施形態では既知のDNAサンプルを用いてマトリクスM’を取得する方法を提案する。既知のDNAサンプルとは、DNAのPCR産物や市販の標準サンプルなどである。本実施形態では一例としてマトリクススタンダード、既知のDNAサンプル、実サンプル共にROX、TMR、R110、R6Gで標識されたものとする。また、既知のDNAサンプルの泳動中、各蛍光色素が単独で発光する時刻(t0’、t1’、t2’、t3’)は既知であるものとする。
図12は、第2の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。
ステップS21において、メーカーは、ステップS1と同様にして、マトリクススタンダードを用いてスペクトラルキャリブレーションを行い、測定値演算部5032は、マトリクスMを取得する。泳動電圧は15kVとする。
ステップS22において、メーカーは、既知のDNAサンプルを泳動する。
ステップS23において、測定値演算部5032は、各蛍光色素が単独で発光している時刻(t0’、t1’、t2’、t3’)におけるスペクトルを取得し、各々の蛍光色素の強度比率からマトリクスM’を作成する。泳動電圧は7.5kVとする。
ステップS24において、補正係数演算部5033は、ステップS3と同様にして、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、泳動電圧及び蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に登録される。第1の実施形態のステップS1で述べたように、実際の運用においてはステップS21及びS22を様々な泳動電圧で行い、複数のマトリクスM及びM’を取得する。複数の電圧で泳動した場合は、すべての補正係数マトリクスKを登録する。
第1の実施形態と同様に、ステップS21~S24まではメーカー側でマルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に実施され、補正係数マトリクスKが既に補正係数データベース5034に登録されている。装置を購入したオペレータが実際に行う作業は、次のステップS25以降になる。ここで、ステップS24の後、運搬の際にキャピラリ519の脱着が行われ、光検出器504とキャピラリ519の位置関係が変化したものとする。もしステップS24以降にキャピラリ519の脱着が行われていないならば、ステップS21で得られたマトリクスMから、実サンプル泳動(ステップS26)と同じ泳動電圧のものを選択し、後述のマトリクスM(r)kとすることができる。
ステップS25において、オペレータは、ステップS11と同様にして、第2のスペクトラルキャリブレーションを行い、測定値演算部5032は、マトリクスM(r)を取得する。ステップS25における泳動電圧は一例として15kVとするが、実際の運用では補正係数データベース5034に登録されている泳動電圧の中から任意のものを選択することができる。
ステップS26において、オペレータは、ステップS12と同様にして、実サンプルの泳動を行う。ここでの泳動電圧は一例として7.5kVとするが、実用に当たっては補正係数データベース5034に登録されている中から任意で選択することができる。
ステップS27~S29については、第1の実施形態で説明したステップS13~S15(図9)と同様であるので、説明を省略する。
以上の操作により、第1のスペクトラルキャリブレーション時(ステップS21)と実サンプル泳動時(ステップS25)で泳動電圧が異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定の泳動電圧の組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS25)と実サンプル泳動(ステップS26)の泳動電圧を任意に選択することができる。
<技術的効果>
以上のように、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様に、装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の泳動電圧の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる、また、オペレータが実サンプル泳動時の電圧を変更しても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離しないので、第2のスペクトラルキャリブレーションをやり直さなくても、正しい蛍光強度を取得することができる。
<実験例1>
以下の手順で第2の実施形態の効果を確認した。
(試料)
第1のスペクトラルキャリブレーション(ステップS21)時のマトリクススタンダードとして、BigDye(登録商標)Terminator v3.1 Matrix Standards(Dye Set Z)(Applied Biosystems社製)を用いた。既知のDNAサンプル(ステップS22)と実サンプル(ステップS26)には、共に3500/3500xL Sequencing Standards, BigDye(登録商標)Terminator v3.1(Applied Biosystems社製)を用いた。以上のサンプルはいずれも蛍光色素として、ROX、TMR、R110、R6Gが使用されている。
(分析手順)
実験例1では、第2の実施形態の検証としてステップS21~S26はそれぞれ、ステップS1、S12、S2、S3、S11、S12に記載の要領で行った。泳動時のキャピラリ長は36cmであり、サンプル注入時の印加電圧は1.6kVであり、泳動時の印加電圧は第1のスペクトラルキャリブレーション時(ステップS21)では15kVであり、既知サンプル泳動及び実サンプル泳動時の電圧は7.5kVであった。
次に、ステップS27~S29をステップS13~S15に記載の要領で実行した。
第2の実施形態の対照として、補正係数マトリクスKを適用せず、マトリクスMを用いて実サンプルの光強度計算とピーク検出を行った。第2の実施形態とその対照とで疑似ピークの信号強度を比較した。
(実験結果)
図13は、実験例1の結果を示す図である。図13には、ステップS21、S23及びS24で得られたマトリクスM、マトリクスM’及び補正係数マトリクスKが示されている。
図13中のグラフは、横軸がピーク時刻、縦軸が蛍光強度を示す。対照においては疑似ピークが確認されるが、第2の実施形態の手法では軽減されていることが明らかである。
[第3の実施形態]
第1及び第2の実施形態では第2のスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時とで泳動電圧が異なる場合について説明したが、第3の実施形態では蛍光色素が異なる場合について説明する。本実施形態では一例として、第1のスペクトラルキャリブレーションに使用するマトリクススタンダードがFAM、JOE、TMR、CXRで標識されているものとする。また、実サンプルはR6G、R110、TMR、ROXで標識されているものとする。
図14は、第3の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。
ステップS31において、メーカーは、ステップS1と同様にして、マトリクススタンダードを用いてスペクトラルキャリブレーションを行い、測定値演算部5032は、マトリクスMを取得する。ただし、サンプルにはFAM、JOE、TMR、CXRで標識されたマトリクススタンダードを用いる。
ステップS32において、メーカーは、ステップS1と同様にして、マトリクスM’を取得する。ただし、サンプルにはR6G、R110、TMR、ROXで標識されたマトリクススタンダードを用いる。
ステップS33において、補正係数演算部5033は、ステップS3と同様にして、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、泳動電圧及び蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に登録される。第1の実施形態のステップS1で述べたように、実際の運用においてはステップS31及びS32を様々な蛍光色素の組み合わせで、複数のマトリクスM及びM’を取得する。複数の蛍光色素の組み合わせで泳動した場合は、すべての補正係数マトリクスKを登録する。
第1の実施形態と同様に、ステップS31~S33まではメーカー側でマルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に実施され、補正係数マトリクスKが既に補正係数データベース5034に登録されている。装置を購入したオペレータが実際に行う作業は、次のステップS34以降になる。ここで、ステップS33の後、運搬の際にキャピラリ519の脱着が行われ、光検出器504とキャピラリ519の位置関係が変化したものとする。もしステップS33以降にキャピラリ519の脱着が行われていないならば、ステップS31で得られたマトリクスMから、実サンプル泳動(ステップS35)と同じ蛍光色素のものを選択し、後述のマトリクスM(r)kとすることができる。
ステップS34において、オペレータは、ステップS11と同様にして、第2のスペクトラルキャリブレーションを行い、測定値演算部5032は、マトリクスM(r)を取得する。ステップS34における蛍光色素は、本実施形態ではFAM、JOE、TMR、CXRを用いるが、実用に当たっては補正係数データベース5034に登録されている蛍光色素の中から任意のものを選択することができる。
ステップS35において、オペレータは、ステップS12と同様にして、実サンプルの泳動を行う。実サンプルは一例としてR6G、R110、TMR、ROXで標識されているものとする。しかし実用に当たっては、補正係数データベース5034に登録されている蛍光色素の中から任意のものを選択することができる。
ステップS36~S38については、第1の実施形態で説明したステップS13~S15(図9)と同様であるので、説明を省略する。
以上の操作により、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS31)と実サンプル泳動時(ステップS35)で蛍光色素が異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定の蛍光色素の組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS34)と実サンプル泳動(ステップS35)の蛍光色素を任意に変更することができる。
<技術的効果>
以上のように、第3の実施形態において、マルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に、異なる蛍光色素のセットで標識されたサンプルを用いて、第1のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルと同じ条件での泳動が行われ、蛍光色素の組み合わせ毎に、スペクトルの乖離を補正するための補正係数マトリクスKが取得され、補正係数データベース5034に登録される。装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の蛍光色素の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる、また、オペレータが実サンプル泳動時の蛍光色素を変更しても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離しないので、第2のスペクトラルキャリブレーションをやり直さなくても、正しい蛍光強度を取得することができる。
<実験例2>
以下の手順で第3の実施形態の効果を確認した。
(試料)
第1のスペクトラルキャリブレーション(ステップS31)時のマトリクススタンダードとして、PowerPlex(登録商標)4C Matrix Standards(Promega社製)を用いた。マトリクスM’(ステップS32)の取得にはBigDye(登録商標)Terminator v3.1 Matrix Standards(Dye Set Z)(Applied Biosystems社製)を用いた。実サンプル(ステップS35)には、3500/3500xL Sequencing Standards, BigDye(登録商標)Terminator v3.1(Applied Biosystems社製)を用いた。
図15Aは、実験例2において使用される蛍光色素を示す図である。図15Aに示すように、マトリクススタンダード(ステップS31)には蛍光色素としてFAM、JOE、TMR、CXRが使用されている。またステップS32及びS35のサンプルには、共に蛍光色素として、ROX、TMR、R110、R6Gが使用されている。
(分析手順)
実験例2では第3の実施形態の検証としてステップS31、S32、S33、S34はそれぞれ、ステップS1、S1、S3、S11に記載の要領で行った。泳動時のキャピラリ長は36cmであり、サンプル注入時の印加電圧は1.6kVであり、泳動時の印加電圧は第1のスペクトラルキャリブレーション時(ステップS31)ではすべてのステップで15kVである。
次に、ステップS35~S38をステップS12~S15に記載の要領で実行した。
第3の実施形態の対照として、補正係数マトリクスKを適用せず、マトリクスMを用いて実サンプルの光強度計算とピーク検出を行った。第3の実施形態とその対照とで疑似ピークの信号強度を比較した。
(実験結果)
図15Bは、実験例2の結果を示す図である。図15Bには、ステップS31~S33で得られたマトリクスM、マトリクスM’及び補正係数マトリクスKが示されている。
図15Bのグラフは、横軸がピーク時刻、縦軸が蛍光強度を示す。対照においては疑似ピークが確認されるが、第3の実施形態の手法では軽減されていることが明らかである。
[第4の実施形態]
第1の実施形態では、特定の装置で得られた補正係数マトリクスKを同じ装置で得られた実サンプルのデータに適用していた。第4の実施形態ではある特定の装置で得られた補正係数マトリクスKを、別の装置で得られた実サンプルのデータに適用させる手法を提案する。
本実施形態では一例として、第3の実施形態と同様に蛍光色素が異なる場合(図14)を例に説明する。一例として、第1のスペクトラルキャリブレーション(ステップS31)に使用するマトリクススタンダードはFAM、JOE、TMR、CXRで標識されているものとする。さらに実サンプルはR6G、R110、TMR、ROXで標識されているものとする。
第1のスペクトラルキャリブレーション(ステップS31)、マトリクスM’の取得(ステップS32)、補正係数マトリクスKの算出(ステップS33)は、メーカー側で特定のマルチキャピラリ電気泳動装置Aで第3の実施形態と同様に行う。装置Aは、例えばネットワークを介して補正係数マトリクスKを異なる装置(複数の装置)に送信し、それぞれの補正係数データベース5034に登録させる。例えば出荷前のマルチキャピラリ電気泳動装置の全てに補正係数マトリクスKを登録してもよい。
ステップS34以降は、装置Aと同じ補正係数マトリクスKが登録された任意の装置で実施することができる。
<技術的効果>
以上のように、第4の実施形態においては、特定のマルチキャピラリ電気泳動装置を用いて取得された補正係数マトリクスKを、その他の装置にも登録する。これにより、補正係数マトリクスKを各装置で計測する必要がなくなるので、メーカー側の費用と手間が軽減される。
[第5の実施形態]
第1の実施形態では、第2のスペクトラルキャリブレーションで得られたマトリクスM(r)に補正係数マトリクスKを乗じることで、マトリクスM(r)と実サンプルの蛍光スペクトル間の乖離を防いでいた。第5の実施形態では、光検出器が検出する信号の波長幅(信号取得幅)を変更しておくことで乖離を防ぐ手法を提案する。第1の実施形態と同様の処理については説明を省略する。
図16は、第5の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。
本実施形態において、マルチキャピラリ電気泳動装置500の光検出器504は、データをサンプリングする際に、20個の波長λ(0)~λ(19)における信号強度を計測するものとする。ここではあくまで一例として20個の波長を挙げたが、実際には波長λ(0)~λ(19)のそれぞれの波長の近傍の信号強度の加算平均をとってもよい。また、マトリクススタンダードはCXRで標識され、実サンプルはROXで標識されているものとする。これらの蛍光色素の蛍光スペクトルは既知であり、しかも一致しない。
本実施形態の光検出器504は20個の波長のみを検出するので、CXRの蛍光スペクトルは20個の要素からなるベクトルVmで表され、ROXの蛍光スペクトルは20個の要素からなるベクトルVsで表される。
ステップS51において、測定値演算部5032は、ベクトルVmとベクトルVsの相関係数が最大になるように20個の波長(信号取得幅)を定義する。この時、スペクトルの極大あるいはその近傍に重みをつけてもよい。また、実用上差し支えなければ、相関係数を充分に高くすればよく、必ずしも最大値にする必要はない。つまり、相関係数が所定値以上となるように信号取得幅を定義する。
ステップS52において、オペレータは、ステップS1と同様にしてスペクトラルキャリブレーションを行う。この時、測定値演算部5032は、20個の要素からなるベクトルVcを算出する。
ステップS53において、オペレータは、ステップS12と同様にして実サンプルの泳動を行う。ここで測定値演算部5032が取得するベクトルfは、光検出器504が観測した信号強度を表している。その要素f0~f19はそれぞれ、波長λ(0)~λ(19)における信号強度を表している。
ステップS54において、補正部5035は、蛍光強度を算出する。具体的には、各々の時刻における各々のキャピラリ519のスペクトルに対し、波長λ(0)~λ(19)のそれぞれの波長における、各蛍光色素の強度比率を掛けて足し合わせればよい。これを行列で表現すると以下の数式4のようになる。
Figure 0007318122000004
ベクトルcは、蛍光強度ベクトルである。ベクトルfは、光検出器504が検出した信号強度を表している。その要素f0~f19はそれぞれ、波長λ(0)~λ(19)における信号強度を表している。
なお、第1の実施形態のステップS14で述べたように、光検出器504で検出される、個々の波長λ(0)~λ(19)の計測信号には、蛍光色素による信号に加え、キャピラリ内に充填されるポリマからのラマン散乱光がベースライン信号として含まれている。このため、ベクトルfの算出の際には、このベースライン信号を予め除去しておく必要がある。ベースライン除去はステップS14に記載の方法で行っても良い。
ステップS55において、補正部5035は、ステップS15と同様にしてピーク検出を行う。
以上の操作により、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1)と実サンプル泳動時(ステップS12)で蛍光色素が異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。
<技術的効果>
以上のように、第5の実施形態において、光検出器504は、複数の蛍光色素の蛍光スペクトルの相関係数が大きくなるような波長幅でキャピラリ519からの光を検出する。これにより、泳動時にマトリクスM(r)kを必要としないため、分析に必要な時間を短縮でき、しかも演算制御回路503への負担を軽減できる。
<実験例3>
以下の手順で第5の実施形態の効果を確認した。
(装置)
第1の実施形態で説明したマルチキャピラリ電気泳動装置500(図5)を用いることができる。ただし、本実施形態における一例として、光検出器504は520nm~690nmまでの間の20個の波長における信号強度を検出するものとする。本実験例3では、二つのスペクトルの相互相関係数を充分に高くするための信号取得幅は既知であるとする。この20個分の波長をベクトルで表したものをλtestとする。また対照として、同じ区間を8.9nmずつ等間隔に信号を取得する場合を想定し、この20個分の波長をベクトルでλctrlと表す。以下の数式5は、λtest及びλctrlの要素を示している。
Figure 0007318122000005
(試料)
スペクトラルキャリブレーション(ステップS52)時のマトリクススタンダードには、PowerPlex(登録商標)4C Matrix Standards(Promega社製)に含まれる4本のピークの内、CXRで標識された1本を用いた。実サンプルの泳動(ステップS53)にはBigDye(登録商標)Terminator v3.1 Matrix Standards(Dye Set Z)(Applied Biosystems社製)に含まれる4本のピークの内、ROXで標識された1本を用いた。
(分析手順)
実験例3では、第5の実施形態の検証としてステップS52及びS53はそれぞれ、ステップS11及びS12に記載の要領で行った。泳動時のキャピラリ長は36cmであり、サンプル注入時の印加電圧は1.6kVであり、泳動時の印加電圧はスペクトラルキャリブレーション時(ステップS52)と実サンプル泳動時(ステップS53)共に15kVである。
(実験結果)
図17Aは、実験例3で取得される蛍光スペクトルである。図17Aには、λtestで得られた蛍光スペクトルが示されている。以下の数式6は、λtestにおけるベクトルVmとベクトルVsの信号強度を示している。数式6に示すように、λtest(第5の)実施形態を適用した場合のベクトルVmとベクトルVsの相関係数(corr.)は0.998となった。
Figure 0007318122000006
図17Bは、実験例3の対照実験で取得される蛍光スペクトルである。図17Bには、λctrlで得られた蛍光スペクトルが示されている。以下の数式7は、λctrlにおけるベクトルVmとベクトルVsの信号強度を示している。数式7に示すように、λctrlの場合のベクトルVmとベクトルVsの相関係数(corr.)は0.986となった。
Figure 0007318122000007
数式6及び7から明らかなように、λtest即ち第5の実施形態を適用した場合に、対照(λctrl)よりも相互相関係数が高くなっていることが分かる。
[第6の実施形態]
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素が第2のスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明した。第6の実施形態では泳動電圧及び蛍光色素の両方が異なる場合について説明する。本実施形態では一例として、第1のスペクトラルキャリブレーションに使用するマトリクススタンダードはFAM、JOE、TMR、CXRで標識されているものとする。また、実サンプルはR6G、R110、TMR、ROXで標識されているものとする。スペクトラルキャリブレーション時の泳動電圧は15kVとし、実サンプル泳動時の泳動電圧は7.5kVとする。
図18は、第6の実施形態に係るサンプルの分析方法を示すフローチャートである。
ステップS61において、メーカーは、ステップS1と同様にして、マトリクススタンダードを用いてスペクトラルキャリブレーションを行い、測定値演算部5032は、マトリクスMを取得する。泳動電圧は15kVとする。
ステップS62において、メーカーは、ステップS2と同様にして、マトリクスM’を取得する。ただし、サンプルにはR6G、R110、TMR、ROXで標識されたマトリクススタンダードを用いる。この時の泳動電圧は7.5kVである。
ステップS63において、補正係数演算部5033は、ステップS3と同様にして、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、泳動電圧及び蛍光色素の情報と共に補正係数データベース5034に登録される。第1の実施形態のステップS1で述べたように、実際の運用においてはステップS61及びS62を様々な泳動電圧と蛍光色素の組み合わせで行い、複数のマトリクスM及びM’を取得する。複数の泳動電圧、複数の蛍光色素で泳動した場合は、すべての補正係数マトリクスKを登録する。
第1の実施形態と同様に、ステップS61~S63まではメーカー側でマルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に実施され、補正係数マトリクスKが既に補正係数データベース5034に登録されている。装置を購入したオペレータが実際に行う作業は、次のステップS64以降になる。ここで、ステップS63の後、運搬の際にキャピラリ519の脱着が行われ、光検出器504とキャピラリ519の位置関係が変化したものとする。もしステップS63以降にキャピラリ519の脱着が行われていないならば、ステップS61で得られたマトリクスMから、実サンプル泳動(ステップS65)と同じ蛍光色素のものを選択し、後述のマトリクスM(r)kとすることができる。
ステップS64において、オペレータは、ステップS11と同様にして、第2のスペクトラルキャリブレーションを行い、測定値演算部5032は、マトリクスM(r)を取得する。ステップS64における泳動電圧及び蛍光色素は、一例として第1のスペクトラルキャリブレーション(ステップS61)と同じとすることができるが、実際には補正係数データベース5034に登録されている中から任意のものを選択することができる。
ステップS65において、オペレータは、実サンプルの泳動を行う。ここで使用する泳動電圧と蛍光色素は、一例としてマトリクスM’の取得時(ステップS62)と同じであるが、実際には補正係数データベース5034に登録されているものから任意のものを選択することができる。
ステップS66~S68についても、第1の実施形態で説明したステップS13~S15(図9)と同様であるので、説明を省略する。
以上の操作により、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS61)と実サンプル泳動時(ステップS65)で使用する蛍光色素と泳動電圧の双方が異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定の蛍光色素と泳動電圧の組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS64)と実サンプル泳動(ステップS65)の泳動電圧と蛍光色素を任意に変更することができる。
<技術的効果>
以上のように、第6の実施形態において、マルチキャピラリ電気泳動装置500の出荷前に、異なる蛍光色素のセットで標識されたサンプルを用いて、異なる泳動電圧で第1のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動が行われ、蛍光色素及び泳動電圧の組み合わせ毎に、スペクトルの乖離を補正するための補正係数マトリクスKが取得され、補正係数データベース5034に登録される。装置を購入したオペレータは、補正係数データベース5034に登録されている任意の蛍光色素及び泳動電圧の組み合わせで、第2のスペクトラルキャリブレーション及び実サンプルの泳動を実施することができる。これにより、本実施形態は、第1~第3の実施形態と比較して、オペレータの用いる蛍光色素や泳動電圧の自由度が向上する。
[第7の実施形態]
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素が第2のスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明したが、第7の実施形態ではポリマの化学的特性又は組成が異なる場合について説明する。上述したように、ポリマはあくまで分離媒体の一例であるので、同じ運用がポリマ以外の分離媒体に適用できることは言うまでもない。
第7の実施形態に係る分析方法は、例えば第1の実施形態と同様のフローで実施することができるので、以下では相違点のみ説明する。
第7の実施形態では一例として、スペクトラルキャリブレーション(ステップS1及びS11)に使用するポリマは4%のポリアクリルアミドを含有するものとする。さらに実サンプル泳動時(ステップS2及びS12)に使用するポリマは7%のポリアクリルアミドを含有するものとする。マトリクススタンダードと実サンプルはいずれもR6G、R110、TMR、ROXで標識され、泳動電圧はいずれも15kVとする。
第1の実施形態で述べたように、実際の運用においてはステップS1及びS2を様々な種類のポリマの組み合わせで行い、複数のマトリクスM及びM’を取得する。ここで言う様々な種類のポリマとは、一例として様々な濃度のポリアクリルアミドを含有するポリマである。
ステップS3において、補正係数演算部5033は、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、ポリマの種類などの情報と共に補正係数データベース5034に登録される。複数のポリマを用いて泳動した場合はすべての補正係数マトリクスKを登録する。
本実施形態の手法によれば、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1)と実サンプル泳動時(ステップS12)でポリマの組成が異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定の組成の組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS11)と実サンプル泳動(ステップS12)のポリマの化学的特性を任意に変更することができる。また本実施形態の手法はポリマの組成が異なる場合にも適用できる。
[第8の実施形態]
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素がスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明したが、第8の実施形態ではキャピラリ519の長さが異なる場合について説明する。
第8の実施形態に係る分析方法は、例えば第1の実施形態と同様のフローで実施することができるので、以下では相違点を説明する。
第8の実施形態では一例として、スペクトラルキャリブレーション(ステップS1及びS11)時のキャピラリ長は50cmとし、実サンプル泳動時(ステップS2及びS12)のキャピラリ長は36cmとする。
第1の実施形態で述べたように、実際の運用においてはステップS1及びS2を様々なキャピラリ長の組み合わせで行い、複数のマトリクスM及びM’を取得する。
ステップS3において、補正係数演算部5033は、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、キャピラリ長の情報と共に補正係数データベース5034に登録される。複数のキャピラリ長で泳動した場合はすべての補正係数マトリクスKを登録する。
本実施形態の手法によれば、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1)と実サンプル泳動時(ステップS12)でキャピラリ長が異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定の長さの組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS11)と実サンプル泳動(ステップS12)のキャピラリ長を任意に変更することができる。
[第9の実施形態]
第1~第3の実施形態では、泳動電圧又は蛍光色素がスペクトラルキャリブレーション時と実サンプル泳動時で異なる場合について説明したが、第9の実施形態では陽極バッファの組成又は化学的特性が異なる場合について説明する。
第9の実施形態に係る分析方法は、例えば第1の実施形態と同様のフローで実施することができるので、以下では相違点を説明する。
第9の実施形態では一例として、スペクトラルキャリブレーション(ステップS1及びS11)に使用する陽極バッファのpHが7.5であるとする。実サンプル泳動時(ステップS2及びS12)の陽極バッファのpHが8.0であるとする。
第1の実施形態で述べたように、実際の運用においてはステップS1及びS2を様々なpHの陽極バッファの組み合わせで行い、複数のマトリクスM及びM’を取得する。
ステップS3において、補正係数演算部5033は、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、陽極バッファのpHの情報と共に補正係数データベース5034に登録される。複数のpHの陽極バッファを用いて泳動した場合はすべての補正係数マトリクスKを登録する。
本実施形態の手法によれば、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1)と実サンプル泳動時(ステップS12)で陽極バッファのpHが異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定のpHの組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS11)と実サンプル泳動(ステップS12)の陽極バッファのpHを任意に変更することができる。また本実施形態の手法は陽極バッファの組成が異なる場合にも適用できる。
[第10の実施形態]
第9の実施形態では、陽極バッファの化学的特性が異なる場合について説明したが、第10の実施形態では陰極バッファの組成又は化学的特性が異なる場合について説明する。
第10の実施形態では一例として、スペクトラルキャリブレーション(ステップS1及びS11)に使用する陰極バッファのpHが7.5であるとする。実サンプル泳動時(ステップS2及びS12)の陰極バッファのpHが8.0であるとする。その他の点は第9の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
本実施形態の手法によれば、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1)と実サンプル泳動時(ステップS12)で陰極バッファのpHが異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定のpHの組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS11)と実サンプル泳動(ステップS12)の陽極バッファのpHを任意に変更することができる。また本実施形態の手法は陰極バッファの組成が異なる場合にも適用できる。
[第11の実施形態]
第9の実施形態では陽極バッファ、第10の実施形態では陰極バッファの化学的特性が異なる場合について説明したが、第11の実施形態ではサンプル溶液の化学的特性又は組成が異なる場合について説明する。
第11の実施形態に係る分析方法は、例えば第1の実施形態と同様のフローで実施することができるので、以下では相違点を説明する。
第11の実施形態では一例として、スペクトラルキャリブレーション(ステップS1及びS11)に使用するマトリクススタンダードの溶液のpHが7.5であるとする。ステップS2及びS12で用いる実サンプルの溶液のpHが8.0とする。
第1の実施形態で述べたように、実際の運用においてはステップS1及びS2を様々なpHのサンプルの組み合わせで行い、複数のマトリクスM及びM’を取得する。
ステップS3において、補正係数演算部5033は、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、サンプル溶液のpHの情報と共に補正係数データベース5034に登録される。複数のpHのサンプルを用いて泳動した場合はすべての補正係数マトリクスKを登録する。
本実施形態の手法によれば、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1)と実サンプル泳動時(ステップS12)でサンプル溶液のpHが異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは特定のpHのサンプル溶液の組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS11)と実サンプル泳動(ステップS12)のサンプル溶液のpHを任意に変更することができる。また本実施形態の手法はサンプル溶液の組成が異なる場合にも適用できる。
[第12の実施形態]
第12の実施形態では、恒温槽505の温度が異なる場合について説明する。
第12の実施形態に係る分析方法は、例えば第1の実施形態と同様のフローで実施することができるので、以下では相違点を説明する。
第12の実施形態では一例として、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1及びS11)の恒温槽505の温度が42℃であるとする。そして実サンプル泳動時(ステップS2及びS12)の恒温槽505の温度が60℃であるとする。
第1の実施形態で述べたように、実際の運用においてはステップS1及びS2を様々な温度の組み合わせで行い、複数のマトリクスM及びM’を取得する。
ステップS3において、補正係数演算部5033は、マトリクスM及びM’に基づいて補正係数マトリクスKを算出する。補正係数マトリクスKは、恒温槽505の温度の情報と共に補正係数データベース5034に登録される。恒温槽505を複数の温度として泳動した場合はすべての補正係数マトリクスKを登録する。
本実施形態の手法によれば、スペクトラルキャリブレーション時(ステップS1)と実サンプル泳動時(ステップS12)で恒温槽505の温度が異なっていても、基準スペクトルと実サンプルの蛍光スペクトルが乖離せず、実サンプルの蛍光強度が正しく算出される。ここでは恒温槽505の温度の特定の組み合わせを例示したが、実際にはオペレータは補正係数データベース5034に登録されている範囲内で、第2のスペクトラルキャリブレーション(ステップS11)と実サンプル泳動(ステップS12)の恒温槽505の温度を任意に変更することができる。
[顕現性について]
本開示の侵害を確認する手法の一例として、以下の検証が挙げられる。図9を基に説明する。
対象の装置において、ステップS11(スペクトラルキャリブレーション)を行う。この時泳動電圧は15kVでありながら、実際には7.5kV相当になるような泳動速度で分析する。泳動速度はサンプルに適切な量の塩を加えることで調整できる。あるいは、装置上では15kVと登録しておきながら、実際には7.5kVで泳動しても良い。その後、第1の実施形態の手法に従い、実サンプルを分析する(ステップS13~S15)。この時、疑似ピークが第1の実施形態の時よりも増大するようであれば、対象の装置が泳動電圧ごとに定められた補正係数をマトリクススタンダードの蛍光スペクトルに適用している可能性が高い。
また、以下の様な検証も可能である。図14を基に説明する。この場合、ステップS31において実際とは異なる蛍光色素を登録する。実サンプル分析後(ステップS34~S36)に、プルアップが第3の実施形態よりも増大している様であれば、蛍光色素毎に定められた補正係数をマトリクススタンダードの蛍光スペクトルに適用している可能性が高い。
[変形例]
本開示は、上述した実施形態に限定されるものでなく、様々な変形例を含んでいる。例えば、上述した実施形態は、本開示を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備える必要はない。また、ある実施形態の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることもできる。また、各実施形態の構成の一部について、他の実施形態の構成の一部を追加、削除又は置換することもできる。
101…装置本体、102…制御用コンピュータ、103…演算制御回路、104…光検出器、105…恒温槽、106…キャピラリアレイ、107…光源、108…光照射部、109…ロードヘッダ、110…陰極端、111…陰極用バッファ容器、112…サンプル容器、113…ポリマカートリッジ、114…陽極用バッファ容器、115…陽極、116…直流電源、117…アレイヘッダ、118…搬送機、119…キャピラリ、120…シリンジ機構、121…尖部、122…ポリマカートリッジ上部、123…加熱冷却機構、201…レーザ光、202…反射ミラー、203…集光レンズ。

Claims (13)

  1. 電気泳動装置であって、
    サンプルの電気泳動路と、
    前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
    前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
    前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求める演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正し、
    前記補正係数が、特定の前記電気泳動装置を用いて取得されたものである
    ことを特徴とする電気泳動装置。
  2. サンプルの電気泳動路と、
    前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
    前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
    前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求める演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正し、
    前記演算部は、第1の蛍光色素の第1のスペクトルと、第2の蛍光色素の第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
    前記演算部は、前記第1の蛍光色素と同じ第3の蛍光色素の第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
    ことを特徴とする電気泳動装置。
  3. サンプルの電気泳動路と、
    前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
    前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
    前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求める演算部と、を備え、
    前記演算部は、
    泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正し、
    前記演算部は、第1の泳動条件で取得される第1のスペクトルと、第2の泳動条件で取得される第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
    前記演算部は、前記第1の泳動条件と同じ第3の泳動条件で取得される第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
    ことを特徴とする電気泳動装置。
  4. 前記補正係数が、前記サンプルの電気泳動時の電圧毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
  5. 前記補正係数が、前記サンプルの電気泳動時のバッファのpH又は前記サンプルの溶液のpH毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
  6. 前記補正係数が、前記電気泳動路の長さ毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
  7. 前記電気泳動路を収容する恒温槽をさらに備え、
    前記補正係数が、前記恒温槽の設定温度毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
  8. 前記補正係数が、前記電気泳動路内の分離媒体の組成又は化学的特性毎に定められていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
  9. 複数の前記電気泳動路をさらに備え、
    前記演算部は、前記複数の前記電気泳動路のそれぞれに対し前記補正係数を設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項記載の電気泳動装置。
  10. サンプルの電気泳動路と、
    前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光する分光素子と、
    前記分光素子により分光された光を検出する光検出器と、
    前記光検出器の信号に基づき、前記光の信号強度を算出する演算部と、を備え、
    前記光検出器は、
    複数の蛍光色素のスペクトル間の相関係数が所定値以上となるように設定された信号取得幅で、前記信号を取得することを特徴とする電気泳動装置。
  11. 電気泳動装置が備える電気泳動路においてサンプルを電気泳動することと、
    分光素子により、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光することと、
    光検出器により、前記分光素子により分光された光を検出することと、
    演算部により、前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求めることと、を含み、
    前記光のスペクトルを求めることは、
    前記演算部により、泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正することを含み、
    前記補正係数が、特定の前記電気泳動装置を用いて取得されたものである
    ことを特徴とする分析方法。
  12. 電気泳動路においてサンプルを電気泳動することと、
    分光素子により、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光することと、
    光検出器により、前記分光素子により分光された光を検出することと、
    演算部により、前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求めることと、を含み、
    前記光のスペクトルを求めることは、
    前記演算部により、泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正することを含み、
    前記演算部は、第1の蛍光色素の第1のスペクトルと、第2の蛍光色素の第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
    前記演算部は、前記第1の蛍光色素と同じ第3の蛍光色素の第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
    ことを特徴とする分析方法。
  13. 電気泳動路においてサンプルを電気泳動することと、
    分光素子により、前記電気泳動路内の前記サンプルからの光を分光することと、
    光検出器により、前記分光素子により分光された光を検出することと、
    演算部により、前記光検出器からの信号に基づき、前記光のスペクトルを求めることと、を含み、
    前記光のスペクトルを求めることは、
    前記演算部により、泳動条件又は蛍光色素毎に定められた補正係数を用いて前記スペクトルを補正することを含み、
    前記演算部は、第1の泳動条件で取得される第1のスペクトルと、第2の泳動条件で取得される第2のスペクトルとの間の相対関係を表す数値を、前記補正係数として算出し、
    前記演算部は、前記第1の泳動条件と同じ第3の泳動条件で取得される第3のスペクトルに対して前記補正係数を適用することにより、前記第3のスペクトルを前記相対関係にしたがって補正する
    ことを特徴とする分析方法。
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