JP7317004B2 - 粒子、及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、粒子、及びその製造方法に関する。
医学、臨床検査の分野において、血液や採取された臓器の一部などから微量な生体成分を高感度で検出することは、病気の原因を追究するために必要である。生体成分の検出手法の中でも、免疫分析は広く利用されている。免疫分析の一つに、抗原抗体反応を利用したラテックス凝集法がある。ラテックス凝集法とは、生体試料等の液体中の抗原を検出する場合、抗原に特異的に結合する抗体などを担持させたラテックスと、液体とを混合して、ラテックスの凝集の程度を測定することにより、抗原の検出や定量を行う方法である。
ラテックス凝集法では、抗原がラテックスに結合した抗体に捕捉され、捕捉された抗体を介して複数のラテックスが架橋し、その結果、凝集が起きる。つまり、生体試料等の液体中の抗原の量は、ラテックスの凝集の程度を評価することで定量できる。凝集の程度は、液体試料を透過、あるいは散乱する光の量の変化を評価することで定量できる。
ラテックス凝集法は、簡便かつ迅速に、抗原の定量評価ができる一方、生体試料などの液体中における抗原の量が少ないと、検出できないという課題があった。
検出感度を向上させるためには、ラテックスが目的の抗原のみを補捉し、他のタンパク質などの非特異吸着を抑制する事や、目的の抗原の吸着量を大きくする事が挙げられる。あるいは、ラテックスの凝集時において、直ぐに沈降しにくい安定な凝集体を作製する事などが挙げられる。
ラテックスへのタンパク質の非特異吸着を抑制する方法として、ラテックス粒子の表面を親水化することが効果的であると考えられている。基本的にタンパク質は疎水的な性質が強いものが多いので、ラテックスの表面を強い電荷を帯びずに親水化することにより、非特異吸着は抑制できると考えられている。このような考え方に沿って、ラテックス、例えばポリスチレン粒子の表面にシリカ層をコートする試みがなされている(特許文献1)。
特許文献1では、ポリスチレン粒子の表面にシリカ層を付与したコア-シェル構造体が提案されている。しかし、シリカ層の厚みが40nmという大きな厚みであるため、粒子の比重が大きくなり、液体中で容易に沈降し、ラテックス凝集法による測定が難しい。
特開平6-142491号公報
本発明は、この様な背景技術に鑑みてなされたものであり、非特異吸着を抑制するためのシリカ層が所定範囲の厚さで形成された粒子、及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る粒子は、ポリマーを含むコア構造と、シリカを含むシェル構造と、を含み構成される粒子であって、前記シェル構造は、下記式(1)で示される構造を有し、
前記シェル構造の厚さが3nm以上15nm以下である粒子。
Figure 0007317004000001
上記式(1)において、
乃至Rのうち、いずれか1つはシリカ構造であり、いずれか1つはHであり、残りの1つは、H、又はシリカ構造であり、
Aは、SH、NH、COOH、グリシジル基のいずれかである。
別の本発明に係る粒子は、ポリマーを含むコア構造と、シリカを含むシェル構造と、を含み構成される粒子であって、前記シェル構造は、3官能シランから形成したシリカ構造を有し、前記シリカ構造は、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、及びグリシジル基で構成する群から選択される少なくとも1種と、シラノール基とを有し、前記シェル構造の厚さが3nm以上15nm以下である。
本発明の粒子によれば、シリカ層が薄く形成されているため、沈降速度が遅い。また、粒子に形成されたシリカ層に含まれるシラノール基が、粒子表面の親水性を高くすることに寄与するため、非特異吸着を抑制する効果が高いと考えられる。そのため、本発明の粒子をラテックス凝集法で用いる場合に感度が高い。
本発明の実施形態に係る粒子の構造を説明するための図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、詳細に説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。
(粒子)
本実施形態に係る粒子は、ポリマーを含むコア構造と、シリカを含むシェル構造と、を含み構成される。シェル構造は、下記式(1)で示される部分構造を有する。
Figure 0007317004000002
上記式(1)において、R乃至Rのうち、いずれか1つはシリカ構造であり、いずれか1つはHであり、残りの1つは、H、又はシリカ構造である。Aは、*-SH(チオール基)、*-NH(アミノ基)、COOH(カルボキシル基)、グリシジル基のいずれかである。なお、シリカ構造の一部は、*-CH=CH(ビニル基)を有していても良い。ここで、*は式(1)のSiとの結合位置を表す。上記式(1)において上記Aに抗体を結合させることができる。抗体や、Aと反応する官能基を有する抗体を結合させた場合、上記Aの一部の原子が外れる。例えば、Aがアミノ基の場合、抗体のもつカルボキシル基と結合するが、アミノ基のうちの水素が1つ外れ、アミド結合を形成する。また、Aがチオール基の場合、マレイミド基を有する抗体と結合するが、チオール基の水素が1つはずれて、結合を形成する。
このように、シェル構造がシラノール基(式(1)においてSi-O-Hの構造)を有するため、粒子表面の親水性が高まり、非特異吸着を抑制できる。
また、シェル構造の厚さが3nm以上15nm以下であることで粒子の比重が小さくなり、沈降速度を遅くすることができる。なお、シェル構造の厚さが5nm以上10nm以下であることがさらに好ましい。
その結果、本実施形態に係る粒子をラテックス凝集法で用いる場合、標的物質を捕捉するための時間を多くすることができ、また、標的物質を捕捉した後に、粒子の凝集体に光を照射してその光の透過光や散乱光を検出するための時間を多くすることができる。例えば、粒子の水中での沈降速度が3.9×10-3μm/秒以下とすることができる。また、沈降速度を1.1×10-3μm/秒以上とすることができる。結果的に、ラテックス凝集法において、抗原を感度良く検出することができる。なお、上記標的物質は後述するリガンドで捕捉することのできる、抗原、抗体、核酸などである。
また、本発明者らは、粒子のシェル構造を形成するために3官能シランを用いることが有効だということを見出した。3官能シランを用いることにより、シェル構造に上記式(1)で示される構造を形成し、シェル構造の厚さが所定範囲の厚さ、すなわち3nm以上15nmとすることができる。
すなわち、本実施形態に係る粒子は、ポリマーを含むコア構造と、シリカを含むシェル構造と、を含み構成され、シェル構造は、3官能シランから形成したシリカ構造を有する。そして、シリカ構造は、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、及びグリシジル基で構成する群から選択される少なくとも1種と、シラノール基とを有し、シェル構造の厚さが3nm以上15nm以下である。シリカ構造はビニル基を有していていも良い。
3官能のシランは、ビニルトリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランで構成する群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、シェル構造は、主成分として3官能シランで形成したシリカ構造を有するが、さらに4官能のシランから形成したシリカ構造を有していても良い。4官能シランとして、テトラエトキシシランが例示される。本実施形態に係る粒子をラテックス凝集法に用いる場合は、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、及びグリシジル基のいずれかにリガンドを結合させる。
本実施形態において、シェル構造におけるシラノール基の密度は、10個/nm以上であることが好ましい。シラノール基が10個/nm以上、という高密度で存在すると、粒子表面に高い親水性を付与でき、非特異吸着を抑制する能力が高い。
また、シェル構造がチオール基を有し、シェル構造における上記チオール基の密度が0.01個/nm以下であることが好ましい。チオール基はリガンドを結合するための反応性官能基としての機能を有するが、0.01個/nmより多いと、シラノール基が粒子表面に付与する親水性が不十分になる可能性がある。
コア構造に含まれるポリマーは特に限定されないが、スチレン類、(メタ)アクリレート類の群から選択される少なくとも一種であることが好ましく、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリレートがより好ましい。
本実施形態において、シリカ構造とは、SiとOが交互に結合することで2次元状、又は3次元状にネットワーク構造をなしたものである。シリカ構造は、OにHが結合した部分構造を有していても良い。
(分散液)
本実施形態に係る分散液は粒子と、粒子を分散させる分散媒とを有する。また適宜、酸化防止剤、等が含まれていても良い。本実施形態において、分散液に含まれる粒子の平均直径が、100nm以上300nm以下であることが好ましく、150nm以上250nm以下であることがさらに好ましい。本実施形態において、分散液に含まれる粒子の粒度分布の変動係数が5%以下であることが好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
(粒子の詳細な説明)
本実施形態に係る粒子の一例について図を用いて詳細に説明する。
本実施形態に係る粒子は、中心にコア粒子があり、その周囲にシェルを被覆して形成している構造体である。図1は本実施形態に係る粒子の一例を示す概略図である。図中のコア構造1は球状(コア粒子と呼ぶこともできる)である。コア粒子1の直径は100nm以上300nm以下であり、粒度分布の変動係数、つまり粒子の平均直径を標準偏差で割った数値が5%以下である。好適には、直径150nm以上250nm以下、変動係数が3%以下の粒子が用いられる。
(コア構造、コア粒子)
コア粒子1を形成する材料はポリスチレンを主成分とする樹脂より構成されている。コア粒子1はポリスチレンモノマーを主成分として乳化重合することで得ることができる。コア粒子1の強度を向上させるために、コア粒子の合成時にジビニルベンゼンなどを加えて架橋しても良い。また、コア粒子1の直径を厳密に制御するために添加剤などを加えても良い。上記添加剤はドデシル硫酸ナトリウムやパラスチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
(シェル構造)
図1におけるシェル2はコア粒子1の外周を均一に被覆した層状の構造体である。シェル構造4は、シェル2と表面層3とを含み構成される。シェル2はコア粒子1に密着している。シェル構造4の厚さは3nm以上15nm以下であり、5nm以上10nm以下が好ましい。シェル構造4の厚さは薄すぎると、シリカ層としての物性が十分に機能しないことがある。一方、シェル構造4の厚さが厚すぎると、粒子の比重が重くなり、水中で安定な分散状態を得ることが難しくなり沈降速度が速くなる。本実施形態に係る粒子はシェル構造4の厚さが3nm以上15nm以下であるため、沈降速度が、4.0×10-3μm/秒以下とすることができる(水中、温度25度)。
なお、本実施形態において、シェル構造の厚さは、STEM、あるいはTEMで粒子を観察して、観察した像においてコア構造とシェル構造のコントラスト差を確認し、シェル構造部分の厚さを直接計測することが可能である。また、コア構造、及びシェル構造の化学組成はEDXを用いて観察することが可能である。
(シェル2)
シェル2はビニル基を有する3官能のシランを加水分解することで形成した構造体を用いることができる。ビニル基を有することでコア粒子1との親和性が高く、被覆する厚さが均一なシェル2を得ることができる。また加水分解したシランによって形成するシリカの一部にシラノール基が存在することで、粒子材料の表面に親水性を付与することができる。
(表面層3)
図1における表面層3は、シェル2の外殻として存在する。シェル2と表面層3を合わせた層の厚さは3nm以上15nm以下である。好適には5nm以上10nm以下の厚さで用いられる。表面層3は、主に、3官能のシランを加水分解することで形成できる。主に、3官能のシランを用いた上で、4官能のシランを用いることが出来る。表面層3は、ビニル基やシラノール基を含むシリカ成分に加えて、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、又はグリシジル基を含むシリカ成分で構成されている。上記シリカ成分は例えば、トリメチトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケート、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランなどを原料に加水分解を行うことで得ることができる。表面層3に存在するチオール基、アミノ基、カルボキシル基、又はグリシジル基粒子材料に抗体を結合するための足場として利用する。表面層3に存在するチオール基等の量は多すぎるとリガンドが多く結合しすぎて、粒子材料の親水性が損なわれるおそれがある。具体的には本実施形態における粒子材料の表面に存在するチオール基等の単位面積あたりの密度が0.01個/nm以下である事が好ましい。
(シラノール基)
本実施形態における粒子材料に存在するシラノール基の数、すなわちシェル2及び表面層3に存在する水酸基の数は多い方がより粒子材料の表面が親水性になるため好適に用いることができる。具体的には粒子材料のシェル2あるいは表面層3の単位体積当たりにおけるシラノール基の数が10個/nm以上である事が好ましい。
本実施形態に係る粒子を用いると、水溶媒への分散性が高く、かつ、沈降も少ないコロイド液を得ることができる。したがって、本実施形態に係る粒子を水溶媒に分散したコロイド液はラテックス凝集法用の抗体検査試薬として利用する事ができる。水溶媒には、緩衝液を用いる事も可能である。また、本実施形態にかかる粒子を分散した液の安定性を増すために、水溶媒中に、界面活性剤、防腐剤や増感剤なども添加してもよい。
(粒子の製造方法)
本実施形態に係る、コア-シェル構造を有する粒子の製造方法は、以下の各工程を有する。
ビニル基を有するモノマーと、ラジカル重合開始剤(以下、単に開始剤と呼ぶことがある)とを混合することで、ポリマーを含むコア粒子を含む溶液を得る工程(工程1)。
工程1で得た溶液に、ビニル基を有する3官能のシランを添加して加水分解する。それにより、コア粒子の表面にシリカを含むシェル構造を形成し、コア-シェル構造を有する粒子を得る工程(工程2)。
なお、ビニル基を有するモノマーがスチレンであることが好ましい。また、ビニル基を有する3官能のシランが、ビニルトリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランで構成する群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なお、工程2において、さらに4官能のシランを添加する工程を有していてもよい。4官能のシランとして、テトラエトキシシランが例示される。
次に、本実施形態に係る粒子の製造方法の一例について詳細に説明する。ただし、発明の範囲を限定するものではない。本実施形態に係る粒子の製造方法は以下の[1]~[3]の工程を有する。
[1]少なくともスチレン、スルホン酸基を有する化合物、開始剤を含む乳化分散液からポリスチレン粒子の分散液を製造する工程。
[2]表面にスルホン酸を有したポリスチレン粒子をpH11以上のアルカリ性の水に分散させる工程。
[3]ビニル基を有する3官能のシランを添加し、メルカプト基を有する3官能シランあるいは4官能のシランを同時、あるいは上記ビニル基を有する3官能シランの後から添加する工程。
図1中におけるコア粒子1はスチレン(モノマー)を水溶媒中で乳化重合することで得ることができる。乳化重合は、スチレンモノマー及び添加剤を水溶媒に加え、充分に撹拌した後、窒素雰囲気化で重合開始剤を加えて加熱することで粒子を得る工程である。乳化重合の開始剤には過硫酸カリウムや2、2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)ニ塩酸塩などを用いる事ができる。粒子サイズの調整や、粒度分布をより揃えるために添加剤を加えても良い。具体的にはパラスチレンスルホン酸ナトリウムやドデシル硫酸ナトリム、ポリビニルピロリドンなどを用いる事ができる。界面活性剤を用いずに、添加量によって粒子サイズが制御でき、さらに水溶媒中で高い分散性を示すコア粒子1を作製できるパラスチレンスルホン酸ナトリウムを好適に用いる事ができる。また架橋剤としてジビニルベンゼンなどを加えることでコア粒子1の強度を上げることができる。乳化重合で得たコア粒子1を遠心分離し、沈殿物を溶媒に再分散することで精製することができる。
図1中におけるシェル2を形成する工程は、ビニル基を含む3官能のシランを加水分解することで得られる。3官能のシランはビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどを好適に用いる事ができる。コア粒子1を高pHの水溶媒に分散した液に3官能のシランを導入し加水分解を行う。液中のpHは11以上であることが好ましい。酸性条件下で行うと、形成したシェル2のゼータ電位が低くなり、凝集する可能性がある。高いpHの液中で3官能のシランの加水分解の速度を上げてコア粒子1の表面に析出するようにすると、均一なシェル2を得ることができる。この時、反応温度を条件に応じて0度~80度程度の間で制御するとよい。また、加水分解の速度が速すぎる場合は、アルコールなどの溶媒を添加しても良い。反応後、得られた粒子材料を遠心分離し、沈殿物を溶媒に再分散することで精製することができる。
図1における表面層3は、3官能あるいは4官能のシランを加水分解することで形成できる。具体的には、表面層3はトリメチトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、テトラメチルオルソシリケート、テトラエチルオルソシリケート、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランなどを原料に加水分解を行うことで得ることができる。表面層3の形成のタイミングは、シェル2の形成時、乃至シェル2の形成後に行うことができる。具体的にはシェル2を形成するためにビニル基を含む3官能のシランをコア粒子1の分散液に投入すると同時、あるいは数時間後に添加し表面層3を形成する。加水分解が早く、コア粒子1との親和性が高いビニル基を含む3官能のシランは、表面層3を形成する物質よりも先にコア粒子1に吸着し、シェル2を形成した後、シェル2の表面を足場として表面層3が形成する。シェル2と表面層3とを合わせてシェル構造と呼ぶこともできる。このように、コア構造1とシェル構造4を含み構成されるのが粒子5である。
本実施形態の粒子に各種の抗体等のリガンドを結合させることで、ラテックス凝集法用の検体検査粒子として利用することができる。表面層3に存在する官能基を利用して目的の抗体を結合させるための最適な手法を選択すればよい。たとえばチオール基にはマレイミドを反応させて抗体を結合させることができる。
(リガンド・アフィニティー粒子)
本実施形態では、本実施形態に係る粒子と、反応性官能基に結合したリガンドとを有するアフィニティー粒子を提供できる。反応性官能基は、上記式(1)のAであり、具体的には、SH(チオール記)、NH(アミノ基)、COOH(カルボキシル基)、グリシジル基のいずれかである。なお、アフィニティー粒子は、CH=CH(ビニル基)を有していてもよい。
本実施形態において、リガンドとは、特定の標的物質が有する受容体に特異的に結合する化合物のことである。リガンドが標的物質と結合する部位は決まっており、選択的又は特異的に高い親和性を有する。例えば、抗原と抗体、酵素タンパク質とその基質、ホルモンや神経伝達物質などのシグナル物質とその受容体、核酸などが例示されるが、本実施形態におけるリガンドはこれらに限定されない。核酸としてはデオキシリボ核酸等が挙げられる。本実施形態におけるアフィニティー粒子とは、標的物質に対して選択的又は特異的に高い親和性(アフィニティー)を有する。本実施形態におけるリガンドが、抗体、抗原、及び核酸のいずれかであることが好ましい。
本実施形態において、本実施形態に係る粒子が有する反応性官能基とリガンドとを化学結合する化学反応の方法は、本発明の目的を達成可能な範囲において、従来公知の方法を適用することができる。また、リガンドをアミド結合させる場合は、1-[3-(ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド]等の触媒を適宜用いることができる。
本実施形態におけるアフィニティー粒子が、リガンドとして抗体(抗原)、標的物質として抗原(抗体)を用いる場合、臨床検査、生化学研究等の領域において広く活用されている免疫ラテックス凝集測定法に好ましく適用できる。
(体外診断用の検査試薬)
本実施形態における体外診断用の検査試薬、すなわち体外診断による検体中の標的物質の検出に用いるための検査試薬は、本実施形態に係るアフィニティー粒子と、アフィニティー粒子を分散させる分散媒を有する。本実施形態における試薬中に含有される本実施形態に係るアフィニティー粒子の量は、0.001質量%から20質量%が好ましく、0.01質量%から10質量%がより好ましい。本実施形態に係る試薬は、本発明の目的を達成可能な範囲において、本実施形態に係るアフィニティー粒子の他に、溶剤やブロッキング剤などの第三物質を含んでも良い。溶剤やブロッキング剤などの第三物質は2種類以上を組み合わせて含んでも良い。本実施形態において用いる溶剤の例としては、リン酸緩衝液、グリシン緩衝液、グッド緩衝液、トリス緩衝液、アンモニア緩衝液などの各種緩衝液が例示されるが、本実施形態における試薬に含まれる溶剤はこれらに限定されない。
ラテックス凝集法による検体中の抗原又は抗体の検出に用いる場合は、リガンドは、抗体又は抗原を用いることができる。
(検査キット)
本実施形態における体外診断による検体中の標的物質の検出に用いるための検査キットは、上記試薬と、上記試薬を内包する筐体とを有する。本実施形態に係るキットとしては、ラテックス凝集測定用増感剤を含有させても良い。ラテックス凝集測定用増感剤として、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアルギン酸等が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。また、本実施形態に係るキットは、陽性コントロール、陰性コントロール、血清希釈液等を備えていても良い。陽性コントロール、陰性コントロールの媒体として、測定しうる標的物質が含まれていない血清、生理食塩水の他、溶剤を用いても良い。本実施形態に係るキットは、通常の体外診断による検体中の標的物質の検出に用いるためのキットと同様にして、本実施形態に係る標的物質の検出方法に使用できる。また、従来公知の方法によって標的物質の濃度も測定することができ、特に、ラテックス凝集法による検体中の標的物質の検出に用いることが好適である。
(検出方法)
本実施形態における体外診断による検体中の標的物質の検出方法は、本実施形態に係るアフィニティー粒子と、標的物質を含む可能性のある検体とを混合する工程を有する。また、本実施形態に係るアフィニティー粒子と検体との混合は、pH3.0からpH11.0の範囲で行われることが好ましい。また、混合温度は20℃から50℃の範囲であり、混合時間は1分から20分の範囲である。また、本検出方法は、溶剤を使用することが好ましい。また、本実施形態に係る検出方法における本実施形態に係るアフィニティー粒子の濃度は、反応系中、好ましくは0.001質量%から5質量%、より好ましくは0.01質量%から1質量%である。本実施形態に係る検出方法は、本実施形態に係るアフィニティー粒子と検体との混合の結果として生じる凝集反応を光学的に検出すること、すなわちラテックス凝集法により検体中の標的物質を検出することが好ましい。具体的には、検査試薬に、検体を混合して混合液を得る工程と、混合液に、光を照射する工程と、混合液に照射された光の、透過光又は散乱光の少なくともいずれかを検出する工程を有する。混合液において生じる上記凝集反応を光学的に検出することで、検体中の標的物質が検出され、更に標的物質の濃度も測定することができる。上記凝集反応を光学的に検出する方法としては、散乱光強度、透過光強度、吸光度等を検出可能な光学機器を用いて、これらの値の変化量を測定すれば良い。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。ただし本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
(1)コア粒子1(粒子5のコア構造1を構成する粒子)の作製
本実施例では、乳化重合法によってコア粒子1を作製した。具体的には、丸底四ツ口のセパラブルフラスコに純水、スチレン(モノマー)、パラスチレンスルホン酸ナトリウムを加え、メカニカルスターラーを用いて窒素バブリングをしながら30分間撹拌した。次に、オイルバスにて試料を撹拌した状態のまま70度まで加熱した後、触媒の過硫酸カリウムを加え窒素雰囲気で8時間、スチレンの重合反応を行った。重合反応を行った試料を冷却した後、遠心分離にて沈殿物を回収し、純水を用いて生成物の洗浄を行った。洗浄して得られた試料は純水に分散しコア粒子1の懸濁液を得た。コア粒子1について、電子顕微鏡で粒子の直径と粒度分布を測定した結果、直径210nm、粒度分布の変動係数が3%であった。
(2)シェル2、及び表面層3の形成
遠心分離によって回収したスラリー上のコア粒子1の分散液を純水で希釈した。希釈した液に28wt%のアンモニア水を加えることで、pH11.7のコア粒子1の分散液を調製した。調製した分散液を常温にて30分間撹拌後、3官能ないし4官能のシランを投入した。10時間撹拌した後、反応液を遠心分離し(18000rpm、30分間)、純水に再分散して生成物を得た。生成物は水分計(エーアンドディー社製:MX-50)にて秤量した後、純水にて希釈して0.1wt%に調整した。
(3)シェル2、及び表面層3の評価
(2)で得た粒子の分散液を揮発、及び乾固させて固形分を走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジー社製:S-5500)で観察した。具体的には、生成した粒子を、少なくとも150個以上観察して平均、標準偏差、粒度分布の変動係数を求めた。同様に求めていたコア粒子1の直径を、得た粒子全体の直径から差し引き、シェル2及び表面層3の厚さの合計値(コア構造の厚さ)を求めた。
また、得られた電子顕微鏡像より、粒子表面のラフネスを官能評価で観察した。表面のラフネスがシェル2及び表面層3を合わせた厚さ(コア構造の厚さ)よりも大きいか否かを目視で判断した。判断結果は表1にA又はBで示した。ここで、Aは、コア構造の厚さが、ラフネス(粒子表面の突起構造)のサイズ以下の場合を、Bは、コア構造の厚さよりもラフネス(粒子表面の突起構造)のサイズが大きい場合を表す。
(4)表面層3の物性評価
(2)で得た粒子の0.1wt%の懸濁液に、1規定の塩酸水溶液を滴下してpHを2に調整した。pHを調整して得られた溶液中の粒子の分散状態の変化を観察した。すなわち、シリカのゼータ電位の変化に従い、中性から酸性に変化する際に、シラノール基の等電点付近で粒子が凝集するか否かを確認した。判断結果は表1にA又はBで示した。表中のAはシラノール基の等電点付近で粒子が凝集したことを、Bはシラノール基等電点付近で粒子が凝集しなかったことを意味する。シラノール基等電点付近で粒子が凝集する場合、粒子の表面層3の物性はシラノール基の影響が支配的である事を示す。シラノール基の影響が支配的であると、粒子に十分な親水性が付与され、非特異吸着を抑制する能力が高いと言える。
凝集を起こす粒子は表面層3に存在するシラノール基の影響が支配的な粒子であり、シリカ層によってコートされているものと判断できる。一方凝集しない粒子は、ポリスチレン粒子表面に存在するスルホン酸の影響を残した粒子であると判断できる。
(5)粒子5の表面のシラノール基の密度の評価
(2)で得た粒子におけるシラノール基の密度の評価は特開2001-208683号公報に記載の方法で行った。クロロホルム溶媒にトリメチルシラノールを溶解した液を標準試料として赤外線吸収スペクトル(日本分光社製:FT/IR-6600)で定量して検量線を作製した。赤外線吸収スペクトルにおいて、シラノール基の吸収波長は波数4278cm-1~4700cm-1を選択して、吸収面積を計算して求めた。標準試料や、シラノール基の密度の評価対象とするサンプルは、光路長1cmの石英ガラスに封入して、透過スペクトルにて測定した。測定サンプルは、濃度0.1wt%の粒子分散液を4mLに乾固した後、クロロホルムに分散させて得た。シラノール基の密度はシェル2、及び表面層3の単位体積当たりのシラノール基の個数として算出した。
(6)粒子5の表面のチオール基の定量
AmpliteTM Fluorimetric Total Thiol Quantitation Assay Kit(AAT Bioquest,Inc.社製)を用いて、生成した粒子の表面におけるチオール基の密度の定量を行った。BioTek社製プレートリーダーと96well黒マイクロプレート(測定量100mL)を用いて、蛍光(励起波長490nm、発光波長520nm)を測定した。サンプルの分散液中の粒子の濃度は1mg/mLで固定し測定を行った。得られたチオール基の濃度より、単位表面積あたりに存在するチオール基の個数を算出した。
(7)沈降速度の定量
懸濁液中における粒子の沈降速度はルミサイザー(ルフト社製:ルミサイザー612)を用いて評価した。サンプル液の濃度は0.1wt%に調整した。温度25℃、回転数4000rpm、測定インターバル40秒で100点測定した。得られた沈降速度を相対遠心力で割って、自然沈降速度(μm/秒)を算出した。
以上(1)~(7)については、各実施例において共通して行ったことである。以下では、各実施例の詳細を説明する。
(実施例1)
上記(1)及び(2)の手法で作製したコア粒子1のスラリー(42.5wt%)0.26mLを純水26.3mLに添加した。得られた溶液にさらに、アンモニア水を1.32mL加えてpHを調整して懸濁液を調製した。調製した懸濁液を30分間撹拌した後、撹拌して得られた溶液にビニルトリメトキシシラン0.099mL、メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.001mLを添加して更に10時間撹拌した。撹拌後、懸濁液を遠心分離、純水に再分散してpH7程度の分散液を得た。得た分散液の濃度を0.1wt%に調整して生成物を得た。
(実施例2)
純水78.9mLに作製したコア粒子1のスラリー(42.5wt%)を0.78mL添加し、アンモニア水を3.96mL加えてpHを調整して懸濁液を作製した。作製した懸濁液を30分間撹拌した後、ビニルトリメトキシシラン0.52mL、メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.0053mLを添加して更に10時間撹拌した。撹拌後、懸濁液を遠心分離、純水に再分散してpH7程度の分散液を得た。得た分散液の濃度を0.1wt%に調整して生成物を得た。
(実施例3)
純水26.3mLに作製したコア粒子1のスラリー(42.5wt%)を0.26mL添加し、アンモニア水を1.32mL加えてpHを調整して懸濁液を作製した。作製した懸濁液を30分間撹拌した後、ビニルトリメトキシシラン0.1mL、テトラエチルオルソシリケート0.1mLを添加して更に10時間撹拌した。撹拌後、懸濁液を遠心分離、純水に再分散してpH7程度の分散液を得た。得た分散液の濃度を0.1wt%に調整して生成物を得た。
(比較例1)
コア粒子1のスラリー(42.5wt%)の濃度を調整して0.1wt%の懸濁液とした。
(比較例2)
純水26.3mLに作製したコア粒子1のスラリー(42.5wt%)を0.26mL添加し、アンモニア水を1.32mL加えてpHを調整して懸濁液を作製した。作製した懸濁液を30分間撹拌した後、テトラエチルオルソシリケート0.3mLを添加して更に10時間撹拌した。撹拌後、懸濁液を遠心分離、純水に再分散してpH7程度の分散液を得た。得た分散液の濃度を0.1wt%に調整して生成物を得た。
(比較例3)
純水26.3mLに作製したコア粒子1のスラリー(42.5wt%)を0.26mL添加し、アンモニア水を1.32mL加えてpHを調整して懸濁液を作製した。作製した懸濁液を30分間撹拌した後、アミノプロピルトリメトキシシラン0.3mLを添加して更に10時間撹拌した。撹拌後、懸濁液を遠心分離、純水に再分散して分散液を得た。得た分散液の濃度を0.1wt%に調整して生成物を得た。
(比較例4)
純水26.3mLに作製したコア粒子1のスラリー(42.5wt%)を0.26mL添加し、アンモニア水を1.32mL加えてpHを調整して懸濁液を作製した。作製した懸濁液を30分間撹拌した後、メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.2mLを添加して更に10時間撹拌した。撹拌後、懸濁液を遠心分離、純水に再分散して分散液を得た。得た分散液の濃度を0.1wt%に調整して生成物を得た。
(比較例5)
純水78.9mLに作製したコア粒子1のスラリー(42.5wt%)を0.78mL添加し、アンモニア水を3.96mL加えてpHを調整して懸濁液を作製した。作製した懸濁液を30分間撹拌した後、ビニルトリメトキシシラン0.594mL、メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.006mLを添加して更に10時間撹拌した。撹拌後、懸濁液を遠心分離、純水に再分散してpH7程度の分散液を得た。得た分散液の濃度を0.1wt%に調整して生成物を得た。
(比較例6)
チオール基で修飾された直径209nmのシリカ粒子分散液0.1wt%(古河電工アドバンストエンジニアリング製)をそのまま用いた。
(8)非特異吸着の抑制能力を評価する試験
実施例1の試料を用いて非特異吸着の抑制の能力の評価を行った。
作製した0.1wt%の粒子懸濁液2.5mLを遠心分離に掛け、得た沈殿物を25mMのトリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩1.0mLに再分散した。得た懸濁液にヒト正常血清を加えて、検体検査システム(東芝メディカル社製:TBA-120FR)で評価した。検出光の波長は570nmで評価した。比較のため、シェルが存在しない、ポリスチレン粒子(粒径200nm)も同様に測定を行った。ヒト正常血清は16サンプルを用いて検討を行った。
(性能評価)
実施例及び比較例の粒子材料の構造と物性を表1に示す。
Figure 0007317004000003
表1中におけるシェル2に含まれる原料及び表面層3の原料に記載のVMTS、MPTMSはそれぞれ、ビニルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシランを示す。また表1中におけるTEOS、APTMSは、テトラエチルオルソシリケート、アミノプロピルトリメトキシシランを示す。シリカ層の厚さは、シェル2と表面層3を合わせた厚さ、すなわち、シェル構造の厚さを示す。比較例6は、コア構造を含めて粒子を構成する成分がすべてシリカであり、シェル層がない。比較例6は、表面層3の原料は不明であるが、チオール基が存在する。
作製した材料を電子顕微鏡で観察したところ、比較例4以外は均一な粒子表面を形成していた。比較例4の粒子の表面は20~30nmの半球状の粒子が表面に付着したような状態であり、大きな凹凸(ラフネス)を確認した。
また、変動係数は比較例4及び6以外では約2%であり、粒度分布が揃っている事を確認した。比較例6の粒子の変動係数は13.7%であった。更に比較例4は一晩静置しただけでも凝集し沈降してきた。よって、比較例4の粒子材料はラテックス凝集法用の抗体検査粒子には適していないと考えられる。
シリカ層の厚さとシェル2の材質を比較すると、ビニルトリメトキシシランを用いていない比較例2及び3では多量の表面層3の原料を添加したにもかかわらず、シリカ層の厚さが薄いことを確認した。さらに、表面シリカ層の物性を比較すると、比較例2及び3では表面物性がシラノール基による影響が支配的ではないことが判明した。一方、ビニルトリメトキシシランをシェル2の原料に用いた実施例1ではシリカ層の厚さが3.5nmと薄いにも関わらず、表面物性はシラノール基の影響が支配的である事を確認した。これは、コア粒子1表面へのビニルトリメトキシシランの親和性が高く、シェル2を均一に形成できたことを示している。
更に確認のため、比較例2及び3のゼータ電位を測定したところ、-40mV程度であり、コア粒子1の表面に存在するスルホン酸の影響が支配的である事を確認した。なお、シェル2が存在しない、ポリスチレンコア粒子のみの比較例1も比較例2及び3と同様の傾向を示した。
シラノール基の密度を比較すると、実施例1、2及び3では、それぞれ17、21、23個/nmである事を確認した。一方、比較例では、比較例1、2、3、5がそれぞれ、0、5、5、15個/nmである事を確認した。比較例1、2、及び3は表面物性がシラノール基の影響がない、あるいは小さい材料である事から、シラノール基の密度と表面の物性に相関がある事が示された。比較例4は粒子サイズが不特定かつ、凝集してしまうためシラノール基の密度の計測ができなかった。比較例6は粒子全体がシリカなので、正確なシラノール基の値を出すことが難しいが、表面物性はシラノール基が支配的である事を確認した。
沈降速度を比較すると、比較例1の1.2×10-3μm/秒が一番小さい値で、最も懸濁液の安定性が高かった。続いてシリカ層の薄い比較例2、3、及び実施例1は、沈降速度は比較例1とほぼ同じオーダーで安定な懸濁液であった。実施例2及び3もそれぞれ3.2×10-3μm/秒及び2.9×10-3μm/秒であり、比較例1の3倍程度ではあるが、4週間以上常温で静置しても安定な懸濁液であった。一方、比較例5では沈降速度が4.3×10-3μm/秒となり、常温での4週間の静置後に若干の沈殿物を確認した。更に比較例6は沈降速度が2.1×10-2μm/秒となり、比較例1と比べて10倍以上速いことを確認した。比較例6は2日間程度の静置で沈殿が起きることを確認した。
上記非特異吸着試験の結果、実施例1で調製した粒子の、径時変化による検出光の強度変化が、表面をコートしていないポリスチレン粒子に比べて、小さかった。また、抗原との反応後10分間で起きる検出光の強度変化が101~102%となり、自己凝集を起こしていないことを確認した。
以上のことから、本実施例に係る粒子材料は、非特異吸着能を有する表面特性かつ、沈降がすくない物性を兼ね揃えた材料であることが明らかとなった。
上記本実施例、及び比較例の結果から、シェル構造の厚さが3nm以上15nm以下であることによって、粒子の沈降速度を遅くできることがわかった。また、本実施例に係る粒子は、粒子表面のシラノール基が、粒子に十分な親水性を付与でき、非特異吸着の抑制能力が高いと考えられる。
よって、本実施例に係る粒子を用いると、検出感度が高い、ラテックス凝集法用の検体検査粒子を提供することができる。特に、検出信号のノイズを小さくする効果に優れているため、低濃度の抗原の検出に適している。また、非特異吸着を抑制できるため、ラテックス凝集法以外の検体検査粒子としても利用することができる。
本発明は上記実施の形態に制限されるものではなく、本発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、本発明の範囲を公にするために以下の請求項を添付する。
本願は、2018年4月27日提出の日本国特許出願特願2018-087516を基礎として優先権を主張するものであり、その記載内容の全てをここに援用する。
1 コア構造
2 シェル
3 表面層
4 シェル構造
5 粒子

Claims (18)

  1. ラテックス凝集法による検体中の抗原又は抗体の検出に用いられる体外診断用の検査試薬であって、
    前記検査試薬は、アフィニティー粒子と、前記アフィニティー粒子を分散させる分散媒とを有し、
    前記アフィニティー粒子は、粒子と、前記粒子に結合した抗体又は抗原とを有し、
    前記粒子は、ポリマーを含むコア構造と、
    シリカを含むシェル構造と、を含み、
    前記シェル構造は、下記式(1)で示される構造を有し、
    前記シェル構造の厚さが3nm以上15nm以下である検査試薬
    Figure 0007317004000004
    上記式(1)において、
    乃至Rのうち、いずれか1つはシリカ構造であり、いずれか1つはHであり、残りの1つは、H、又はシリカ構造であり、
    Aは、SH、NH、COOH、グリシジル基のいずれかである。
  2. ラテックス凝集法による検体中の抗原又は抗体の検出に用いられる体外診断用の検査試薬であって、
    前記検査試薬は、アフィニティー粒子と、前記アフィニティー粒子を分散させる分散媒とを有し、
    前記アフィニティー粒子は、粒子と、前記粒子に結合した抗体又は抗原とを有し、
    前記粒子は、ポリマーを含むコア構造と、
    シリカを含むシェル構造と、を含み、
    前記シェル構造は、3官能シランから形成したシリカ構造を有し、
    前記シリカ構造は、チオール基、アミノ基、カルボキシル基、及びグリシジル基で構成する群から選択される少なくとも1種と、シラノール基とを有し、
    前記シェル構造の厚さが3nm以上15nm以下である検査試薬
  3. 前記3官能のシランが、ビニルトリメトキシシラン、(3-メルカプトプロピル)トリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシランで構成する群から選択される少なくとも1種である請求項2に記載の検査試薬
  4. 前記シェル構造は、さらに4官能のシランから形成したシリカ構造を有する請求項2又は3に記載の検査試薬
  5. 前記4官能のシランが、テトラエトキシシランである請求項4に記載の検査試薬
  6. 前記シェル構造における前記シラノール基の密度が、
    10個/nm以上である請求項乃至5のいずれか1項に記載の検査試薬
  7. 前記シェル構造がチオール基を有し、前記シェル構造における前記チオール基の密度が0.01個/nm以下である請求項1乃至6のいずれか1項に記載の検査試薬
  8. 前記ポリマーがポリスチレンである請求項1乃至7のいずれか1項に記載の検査試薬
  9. 前記シェル構造の厚さが5nm以上10nm以下である請求項1乃至8のいずれか1項に記載の検査試薬
  10. 前記粒子の水中での沈降速度が3.9×10-3μm/秒以下である請求項1乃至9のいずれか1項に記載の検査試薬
  11. 前記粒子の水中での沈降速度が1.1×10-3μm/秒以上である請求項1乃至10のいずれか1項に記載の検査試薬
  12. 前記粒子と前記分散媒とを有する分散液に含まれる前記粒子の平均直径が、100nm以上300nm以下である請求項11に記載の検査試薬
  13. 前記分散液に含まれる前記粒子の平均直径が、150nm以上250nm以下である請求項12に記載の検査試薬
  14. 前記分散液に含まれる前記粒子の粒度分布の変動係数が5%以下である請求項12又は13に記載の検査試薬
  15. 前記分散液に含まれる前記粒子の粒度分布の変動係数が3%以下である請求項12乃至14のいずれか1項に記載の検査試薬
  16. 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の検査試薬と、前記検査試薬を内包する筐体とを有することを特徴とする体外診断用の検査キット。
  17. 検体中の標的物質の検出方法であって、
    請求項1乃至15のいずれか1項に記載の検査試薬に、検体を混合する工程を有することを特徴とする検出方法。
  18. ラテックス凝集法による検体中の標的物質の検出方法であって、
    請求項1乃至15のいずれか1項に記載の検査試薬に、検体を混合して混合液を得る工程と、
    前記混合液に、光を照射する工程と、
    前記混合液に照射された光の、透過光又は散乱光の少なくともいずれかを検出する工程と、
    を有することを特徴とする検出方法。
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