JP7316123B2 - ボルトおよびナット - Google Patents

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Description

本発明は、標準のナットと組み合わせることにより緩み止め効果を奏するボルトと、標準のボルトと組み合わせることにより緩み止め効果を奏するナットとに関する。
従来から、締結対象物を締結する手段としてボルトおよびナットが広く用いられている。特に、締結対象物が振動を受ける環境に置かれている場合は、振動によって緩み難いボルトやナットが使われている。例えば、ボルトの先端の溝に弾性部材を介在させたボルトが提案されている(特許文献1)。また、2つのナットを組み合わせたものが提案されている(特許文献2)。
特開2014-202314号公報 特開2016-145607号公報
しかし、前述した従来のボルトは、ボルト以外の部材が必要であるため、ボルトの締結作業効率が悪いし、製造コストが高いという問題がある。また、前述した従来のナットもナットが2つ必要であるため、ナットの締結作業効率が悪いし、製造コストが高いという問題がある。
つまり、前述した従来のボルトおよびナットは、締結作業効率が悪いし、製造コストが高いという問題がある。
そこで、本発明は、上述した諸課題を解決するために鋭意研究の結果創出されたものであり、締結作業効率を高めることができるとともに製造コストを低減することができ、かつ、緩み止め効果を高めることができるボルトおよびナットを実現することを主な目的とする。
(第1発明に係るボルト)
前述した目的を達成するため、本出願の第1発明に係るボルトは、
ねじ山の角度が60°の金属製の標準ナット(50)に締結される金属製のボルト(20)であって、
雄ねじ(MS)は、
当該ボルト(20)の先端(27)側に形成された標準雄ねじ部(25)と、
当該ボルト(20)の頭部(21)側に形成された食い込み雄ねじ部(24)と、を有し、
前記標準雄ねじ部(25)は、ねじ山の角度が60°に形成されており、
前記食い込み雄ねじ部(24)は、
前記雄ねじ(MS)の谷底(24a)側に形成されており、ねじ山の角度(α)が60°であって、前記標準雄ねじ部(25)の呼び径(d)と同じ径の標準部(24c)と、
前記標準部(24c)の頂部から外方に向けて突出形成されており、ねじ山の角度(γ)が19°~21°であって、前記標準雄ねじ部(25)の呼び径(d)よりも大径の呼び径(Φ4)を有する食い込み部(24d)と、を有し、
さらに、当該ボルト(20)を前記標準ナット(50)に螺合したときに、前記食い込み部(24d)が前記標準ナット(50)の雌ねじ(FS2)の谷底(51)に食い込むように形成されており、かつ、前記標準ナット(50)の締結および戻し(緩め)を繰り返すことが可能なことを特徴とする。
(第1発明の効果)
第1発明のボルトによれば、標準ナットに螺合したときに、食い込み雄ねじ部の食い込み部を標準ナットの雌ねじの谷底に食い込ませることができるため、締結および戻しを繰り返しても、緩み止め効果の高い状態を維持することができる
しかも、ボルト単体で緩み止めを行うことができ、ボルト以外の部品が不要である。
したがって、締結作業効率を高めることができ、かつ、製造コストを低減することができ、さらに、緩み止め効果を高めることができるボルトを実現することができる。
また、第1発明のボルトは、雄ねじのうち、標準ナットを螺合する先端部の側には標準雄ねじ部が形成されているため、一般的な標準ボルトを標準ナットに締結するときの要領で第1発明のボルトの標準雄ねじ部を、例えば指で第1発明のボルトを回転させて標準ナットに螺合することができる。
ところで、標準部の頂部(標準部および食い込み部の境界を標準雄ねじ部の呼び径の基点となる部位よりも外側に設定すると、当該ボルトを標準ナットに螺合するときに、標準部の頂部と、標準ナットの雌ねじのフランク面とが干渉するため、螺合が困難となる。
しかし、第1発明のボルトは、標準部の頂部(標準部および食い込み部の境界)が標準雄ねじ部の呼び径と同じ径であるため標準部の頂部と、標準ナットの雌ねじのフランク面とが干渉しないので、当該ボルトを標準ナットに螺合することができる。
(第発明に係るナット)
前述した目的を達成するため、本出願の第発明に係るナットは、
ねじ山の角度が60°の金属製の標準ボルト(30)に締結される金属製のナット(10)であって、
雌ねじ(FS)は、
当該雌ねじ(FS)の一端側に形成された標準雌ねじ部(13)と、
当該雌ねじ(FS)の他端側に形成された食い込み雌ねじ部(14)と、を有し、
前記標準雌ねじ部(13)は、ねじ山の角度が60°に形成されており、
前記食い込み雌ねじ部(14)は、
雌ねじ(FS)の谷底(14a)側に形成されており、ねじ山の角度が60°であって、前記標準雌ねじ部(13)の内径(D1)と同じ径の標準部(14c)と、
前記標準部(14c)の頂部から内方に向けて突出形成されており、ねじ山の角度(β)が43°~44°であって、前記標準雌ねじ部(13)の内径(D1)よりも小径の内径(Φ1)を有する食い込み部(14d)と、を有し、
さらに、当該ナット(10)を前記標準ボルト(30)に螺合したときに、前記食い込み部(14d)が前記標準ボルト(30)の雄ねじ(MS2)の谷底(34)に食い込むように形成されており、かつ、前記標準ボルト(30)に対する締結および戻し(緩め)を繰り返すことが可能であることを特徴とする。
(第発明の効果)
第2発明のナットによれば、当該ナットを標準ボルトに螺合したときに、食い込み雌ねじ部の食い込み部を標準ボルトの雄ねじの谷底に食い込ませることができるため、締結および戻しを繰り返しても、緩み止め効果の高い状態を維持することができる
しかも、ナット単体で緩み止めを行うことができ、ナット以外の部材が不要である。
したがって、締結作業効率を高めることができるとともに製造コストを低減することができ、かつ、緩み止め効果を高めることができるナットを実現することができる。
また、第2発明のナットは、雌ねじのうち、当該雌ねじの一端側には標準雌ねじ部が形成されているため、一般的な標準ナットを標準ボルトに螺合するときの要領で第3発明のナットの標準雌ねじ部を、例えば指で第3発明のナットを回転させて標準ボルトに螺合することができる。
ところで、標準部の頂部(標準部および食い込み部の境界を標準雌ねじ部の内径の基点となる部位よりも内側(雌ねじの中心線側)に設定すると、当該ナットを標準ボルトに螺合するときに、標準部の頂部と、標準ボルトの雄ねじのフランク面とが干渉するため、螺合が困難となる。
しかし、第2発明のナットは、標準部の頂部(標準部および食い込み部の境界)が標準雌ねじ部の内径と同じ径であるため標準部の頂部と、標準ボルトの雄ねじのフランク面とが干渉しないので、当該ナットを標準ボルトに螺合することができる。
なお、上記各括弧内の符号および図番は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
締結作業効率を高めることができるとともに製造コストを低減することができ、かつ、緩み止め効果を高めることができるボルトおよびナットを実現することができる。
本発明の実施形態に係るナットの説明図であり、(a)は平面図、(b)は縦断面の一部と共に示す側面図である。 図1に示すナットの食い込み雄ねじ部の縦断面図である。 図2に示す食い込み部の説明図であり、(A)は食い込み部の拡大図、(B)は食い込み部の各部位の寸法を計算するための説明図である。 図2に示す食い込み部が標準ボルトの雄ねじの谷底に食い込んだ状態を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るボルトの説明図であり、(A)は雄ねじ部の縦断面の一部と共に示す側面図、(B)は頭部の平面図である。 図5に示すボルトの食い込み部の縦断面図である。 図6に示す食い込み部の説明図であり、(A)は食い込み部の拡大図、(B)は食い込み部の各部位の寸法を計算するための説明図である。 図6に示す食い込み部が標準ナットの雌ねじの谷底に食い込んだ状態を示す説明図である。 本発明の実施形態に係るボルト(発明ボルト)および標準ボルトの締結トルクおよび戻しトルクの実験結果を示す表である。 本発明の実施形態に係るナット(発明ナット)および標準ナットの締結トルクおよび戻しトルクの実験結果を示す表である。 図10に示す表の続きを示す表である。 振動試験に用いた治具の説明図であり、(A)は正面図、(B)は左側面図である。
[ナットの構造]
本発明に係るナットの実施形態について図1ないし図4を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態のナット10は、六角部11と、フランジ部12とを有するフランジ付きナット(座付きナット)である。フランジ部12の上に六角部11が形成されている。フランジ部12は円環状に形成されており、六角部11は六角ナット状に形成されている。フランジ部12の中央には、ボルトの先端を挿入する第1の孔17が開口形成されており、六角部11の中央には、第1の孔17から挿入されたボルトの先端が突出する第2の孔18が開口形成されている。第1の孔17と第2の孔18との間には、貫通孔19が貫通形成されている。貫通孔19の内周面には、ボルトの雄ねじと螺合する雌ねじFSが形成されている。雌ねじFSは、第1の孔17の側に形成された標準雌ねじ部13と、第2の孔18の側に形成された食い込み雌ねじ部14とを有する。
ナット10は、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1が、標準雌ねじ部13の内径D1よりも小径に形成されていることを特徴とする。
また、食い込み雌ねじ部14の有効長m1は、2.0~2.5mmであり、標準雌ねじ部13の有効長m2は、3.7~4.5mmである。また、六角部11の二面幅sは、9.78~10.0mmであり、対角距離nは、11.05mmである。フランジ部12の外径は、14.2mmであり、肉厚tは、1.1mmである。
また、標準雌ねじ部13と食い込み雌ねじ部14との境界には、雌ねじFSの内径が変化する部位である段部15が形成されている。段部15では、標準雌ねじ部13の内径D1が、1周する間に、次第に食い込み雌ねじ部14の内径Φ1に螺旋状に変化する。
このように、雌ねじFSのうち、ボルトの先端を挿入する第1の孔17の側には標準雌ねじ部13が形成されているため、一般的なナットをボルトに螺合するときの要領でナット10の標準雌ねじ部13を、例えば指でナット10を回転させてボルトに螺合することができる。そして、ボルトの先端が段部15に到達すると、そこからは小径の食い込み雌ねじ部14に移行するため、標準雌ねじ部13にボルトを螺合したときの締結トルクよりも大きい締結トルクが必要となるので、ナット10の締結作業を行う者は、ボルトの先端が食い込み雌ねじ部14の領域に進入したと認識することができる。
そしてさらに、ナット10の締結を進めると、ナット10の食い込み雌ねじ部14がボルトの雄ねじの谷底に食い込みながら、ボルトの先端が第2の孔18に向けて移動する。そして、ナット10のフランジ部12の底面が締結対象物に着座したときに締結作業を中止すると、食い込み雌ねじ部14がボルトの雄ねじの谷底に食い込んだ状態となり、緩み止めが効いた状態になる。
(食い込み雌ねじ部14の構造)
図2に示すように、食い込み雌ねじ部14を形成するねじ山14Tは、雌ねじの谷底14a側に形成され標準部14cと、ねじ山14Tの頂部14b側に形成された食い込み部14dとを有する。標準部14cのねじ山14Tの角度αは60°であり、食い込み部14dのねじ山14Tの角度βは43°~44°である。標準部14cと食い込み部14dとの境界、つまり、ねじ山14Tの角度がαからβに変化する境界である変化点Vは、標準雌ねじ部13の内径D1の基点となる部位14fに相当する部位である。このように、食い込み雌ねじ部14を形成するねじ山14Tの角度は、谷底14aから頂部14bに向かう途中で、基点となる部位14fから狭角になっているため、食い込み部14dの頂部14bは、基点となる部位14fよりも突出している。また、頂部14bは、ねじ山の角度αが60°のまま変化しない標準構造のねじ山の頂部N2よりも突出している。
つまり、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1は、標準雌ねじ部13の内径D1よりも小径になっている。
なお、ナット10がメートル平目ネジで呼び径Dが6.0mmのM6ナットである場合は、標準雌ねじ部13および食い込み雌ねじ部14の各ピッチPは、それぞれ1.0mmであり、雌ねじ有効径D2は、それぞれ5.350~5.500mmである。また、標準雌ねじ部13のねじ山の高さHは、0.866mmである。
(食い込み深さと緩み止め効果との関係)
本願発明者らは、ナット10を標準ボルトに螺合したとき、ナット10の食い込み部14dが、標準ボルトの雄ねじの谷底に食い込むとともに、食い込み部14dの頂部が塑性変形して雄ねじMS2のフランク面33(図4)を圧接することにより、緩み止め効果が出ると考えた。また、食い込み部14dの食い込み深さが深すぎると、必要以上に大きな締結トルクが必要となるし、ボルトが破断するおそれがある。また、逆に、食い込み深さが浅すぎると緩み止め効果が小さくなると考えた。
そこで、食い込み部14dのねじ山の角度βが変化すると、食い込み深さが変化することに着目し、ねじ山の角度βと食い込み深さとの関係を調べた。以下、その調べた内容について図3を参照しつつ説明する。
図3(A)は食い込み部14dの拡大図であり、(B)は食い込み部14dの各部位の寸法を計算するための説明図である。ここでは、JIS規格の雌ねじ内径D1の基点となる部位、つまり、ナット10の変化点Vから食い込み部14dの頂部14bまでの深さgを計算により求める。深さgは、ナット10を標準ボルトに締結したときの食い込み部14dの頂部14bが、雄ねじの谷底に食い込む深さである。以下、深さgを食い込み深さgという。図3(A)に示す符号wは、食い込み部14dを形成するタップの限界幅であり、食い込み部14dの頂部14bは、幅wの制約を受けるため、食い込み深さgは、頂部14bの幅がwとなる深さに制限される。本実施形態では、w=0.04mmである。以下では、メートル平目ネジで呼び径6.0mmのM6ナットと共通の部分については、M6ナットの寸法を用いる。
(1)ねじ山の角度βが42°のとき
図3(B)から、次の式1および式2が成立する。
tanθ1=b/a ・・・(式1)
tanθ2=b/c ・・・(式2)
式1から求めたb=a・tanθ1を式2に代入すると、次の式3が求まる。
tanθ2=a・tanθ1/c ・・・(式3)
式3から食い込み深さcを求める式を導くと、
c=a×(tanθ1/tanθ2) ・・・(式4)
また、tanθ2=f/e ・・・(式5)
式5から、eを求める式を導くと、
e=f/tanθ2 ・・・(式6)
また、
g=c-e ・・・(式7)
であるから、式7に式4および式6を代入すると、
g=a×(tanθ1/tanθ2)-(f/tanθ2) ・・・(式8)
また、a=H/4=0.216mmであり、θ1=α/2=30°であり、θ2=β/2=21°、f=w/2=0.02mmである。これらの数値を式8に代入すると、
g=0.216mm×(0.125/0.384)-(0.02mm/0.384)=0.273mmとなる。
つまり、食い込み部14dのねじ山の角度βが42°のときは、食い込み深さgが、0.273mmである。また、標準雌ねじ部13の内径D1の平均値が、5.035mmである場合は、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1は、5.035mm-(0.273mm×2)=4.489mmである。
(2)ねじ山の角度βが43°のとき
θ2=β/2=21.5°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によって食い込み深さgを求めると、
g=0.266mmとなる。
つまり、食い込み部14dのねじ山の角度βが43°のときは、食い込み深さgが、0.266mmである。また、標準雌ねじ部13の内径D1が、5.035mmである場合は、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1は、5.035mm-(0.266mm×2)=4.503mmである。
(3)ねじ山の角度βが44°のとき
θ2=β/2=22°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によって食い込み深さgを求めると、
g=0.259mmとなる。
つまり、食い込み部14dのねじ山の角度βが44°のときは、食い込み深さgが、0.259mmである。また、標準雌ねじ部13の内径D1が、5.035mmである場合は、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1は、5.035mm-(0.259mm×2)=4.517mmである。
(4)ねじ山の角度βが45°のとき
θ2=β/2=22.5°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によって食い込み深さgを求めると、
g=0.253mmとなる。
つまり、食い込み部14dのねじ山の角度βが45°のときは、食い込み深さgが、0.253mmである。また、標準雌ねじ部13の内径D1が、5.035mmである場合は、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1は、5.035mm-(0.253mm×2)=4.529mmである。
(5)ねじ山の角度βが46°のとき
θ2=β/2=23°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によって食い込み深さgを求めると、
g=0.247mmとなる。
つまり、食い込み部14dのねじ山の角度βが46°のときは、食い込み深さcが、0.247mmである。また、標準雌ねじ部13の内径D1が、5.035mmである場合は、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1は、5.035mm-(0.247mm×2)=4.541mmである。
(考察1)
上述した計算結果から、食い込み部14dのねじ山の角度βを大きくすると、食い込み深さgが浅くなり、食い込み部14dのねじ山の角度βを小さくすると、食い込み深さgが深くなることが分かった。図4は、図2に示す食い込み部14dが標準ボルト30の雄ねじMS2の谷底34に食い込んだ状態を示す説明図である。図中、網目のハッチング領域は、食い込み部14dの食い込み領域kを示す。
(実験1)
本願発明者らは、食い込み部14dのねじ山の角度βが44°のナット10を製造し、ナット10の緩み止め効果を実証する実験を行った。ナットを締結する標準ボルトとして、JIS規格のM6ボルト(メートル平目ネジ、公差g)を使用した。また、性能の比較対象として、JIS規格のM6ナット(メートル平目ネジ、公差g)に対して自動車メーカーが定める締結トルク(2.94N・m)および戻しトルク(0.45N・m)を用いた。各ナットの材質は、冷間圧造用炭素鋼S45Cである。以下、ナット10を発明ナットと称し、比較対象のM6ナットを標準ナットと称する。
実験では、固定したボルトに対してナットの締結および戻し(緩め)を1回と数え、5回を1セットとし、計5セット行った。また、締結および戻しには、トルクレンチを使用した。そして、ナットがボルトに着座したときのトルクレンチの数値を締結トルクとして記録した。また、ナットがボルトに着座した状態が解除されたときのトルクレンチの数値を戻しトルクとして記録した。
(実験1の結果)
実験1の結果を図10の表2および図11の表3に示す。表2および表3に示すように、発明ナットは、同じ回では、締結トルクと戻しトルクとの差が小さい。換言すると、発明ナットを外すときは、締結トルクと同程度の戻しトルクが必要となる。つまり、発明ナットの食い込み雌ねじ部14がボルトの雄ねじの谷底に食い込んだ状態が維持されていることが分かる。これに対して、標準ナットは、戻しトルクが締結トルクの約1/6.5であり、1/4~1/3回転で完全に緩んだ状態になる。つまり、ナットの雌ねじの頂部がボルトの雄ねじの谷底に食い込んでいない。
発明ナットでも、締結および戻しを繰り返すと、食い込み部が摩耗してくるため、戻しトルクが小さくなってくる。しかし、5セット目の5回目の戻しトルクは、0.80N・mであり、1セット目の1回目における標準ナットの戻しトルクの0.45N・mよりも大きい。つまり、発明ナットは、締結および戻しを5回×5セット=25回繰り返しても、締結および戻しを最初の1回しか行っていない標準ナットの戻しトルクよりも大きい。
従って、発明ナットは、締結および戻しを繰り返しても、緩み止め効果の高い状態を維持することができることを実証できた。
本願発明者らは、発明ナットがボルトに締結された状態で、激しく振動する環境下に置かれた場合の緩み止め効果を実証するための試験を行った。
(緩み試験1)
以下、緩み試験1の内容について説明する。
1.緩み試験1に使用したナット
発明ナットとして、標準雌ねじ部13がJIS規格のM6ナットと同じ構造であり、標準部14cのねじ山の角度αが60°であり、食い込み部14dのねじ山の角度βが44°の食い込み雌ねじ部14を有する発明ナットを使用した。また、発明ナットと性能を比較するために、標準ナット(JIS規格のメートル平目ネジのM6ナット(公差g))を使用した。
2.試験機
IMV株式会社製の振動試験機J250/SA6Mおよび同社製の振動制御器K2を使用した。また、ナット10の緩みによる変位を測定する装置として株式会社キーエンスのレーザ変位計LB-01を使用した。また、試験機の振動台にナットをセットするための治具70を作成した。この治具70は、図12に示すように、振動台80に固定する板状のベース71と、このベース71から起立した板状の取付部72とを有し、ベース71の四隅が、ボルト73によって振動台80に固定されている。取付部72には、標準ボルト30を挿通する挿通孔72aが、水平方向に所定間隔を置いて2箇所に貫通形成されている。図12(B)に示すように、各挿通孔72aは、それぞれ上下方向に延びた長孔に形成されており、上下方向に衝撃幅WSを有する。また、各挿通孔72aには、中空のカラー90が上下方向に移動可能に挿入されている。そして、JIS規格のメートル平目ネジのM6標準ボルト(公差g)30をそれぞれワッシャー91を介してカラー90にそれぞれ挿通し、一方の標準ボルト30に発明ナット10を締結し、他方の標準ボルト30に標準ナット50を締結した。これにより、一方のカラー90およびワッシャー91に締結された発明ナット10および標準ボルト30が挿通孔72a内を上下方向に移動可能になった。また、他方のカラー90およびワッシャー91に締結された標準ナット50および標準ボルト30が挿通孔72a内を上下方向に移動可能になった。また、各ナット10,50の各雌ねじの各中心軸および各標準ボルト30の各雄ねじの各中心軸は、それぞれ振動台80の表面と平行である。
3.試験条件
各ナット10,50は、5N・mの締付トルクにてカラー90およびワッシャー91に締結した。また、各ナット10,50をカラー90およびワッシャー91に締結したとき、締結された標準ボルト30の先端が各ナット10,50からそれぞれ突出した状態となった。そして、振動台80上の治具70にセットされた各ナット10,50を30.0Hzの正弦波によって、図中矢印Fで示す上下方向(各ナット10,50の各雌ねじの各中心軸および各標準ボルト30の各雄ねじの各中心軸と直交する方向)に加振した。また、振動時の各ナット10,50の変位レベルは、11.4mmp-pであり、最大加速度は、202.5249m/s20-p、最大速度は、1.0744m/s0-pである。また、振動回数は、30,000回であり、振動時間は、約16分40秒である。また、試験中の様子をビデオカメラにて撮影した。
4.試験結果
標準ナット50は、試験時間17秒にて標準ボルト30から脱落した。一方、発明ナット10の緩みは、レーザ変位計によって計測されなかった。つまり、発明ナット10は、食い込み部14dが標準ボルト30の雄ねじの谷底に食い込むとともに、食い込み部14dの頂部が塑性変形して雄ねじのフランク面を圧接するため、激しい振動を繰り返し受けても緩まないということが実証された。
5.考察
上記の実験1および緩み試験1に使用した発明ナット10は、食い込み部14dのねじ山の角度βが44°である。
従って、食い込み部14dのねじ山の角度βが44°のナットは、緩み止め効果が高いことが実証された。
ところで、発明ナット10の食い込み深さgは、0.259mmである。また、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1は4.517mmであり、標準ナットの内径D1の平均値5.035mmよりも、0.518mm小径である。
また、食い込み部14dのねじ山の角度βが43°のときは、食い込み深さgが、0.266mmであり、ねじ山の角度βが44°の場合の食い込み深さg=0.259mmとの差は、+0.007mm(=0.266mm-0.259mm)であり、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1の差は、-0.014mm(=4.503mm-4.517mm)である。ボルトおよびナットを長年に亘って製造してきた本願発明者らの知見から、この程度のプラスマイナスの差では、締結トルクおよび戻しトルクが、ねじ山の角度βが44°の場合よりも少し大きくなるが、ボルトが破断するおそれも無いと推定した。
従って、ねじ山の角度βが43°の場合もねじ山の角度βが44°の場合と同様に、緩み止め効果を高めることができると推定した。
また、食い込み部14dのねじ山の角度βが42°のときは、食い込み深さgが、0.273mmであり、ねじ山の角度βが44°の場合との差は、+0.014mm(=0.273mm-0.259mm)であり、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1の差は、-0.028mm(4.489mm-4.517mm)となる。この程度の差になると、締結トルクが大きくなるため、緩み止め効果は高くなるが、ボルトが破断するおそれがあると推定した。
また、食い込み部14dのねじ山の角度βが45°および46°のときは、食い込み深さgが、ねじ山の角度βが44°の場合よりも浅くなり、締結および戻しを繰り返したときに、戻しトルクが標準トルクの戻しトルクに近づき、緩み止め効果が小さくなると推定した。
従って、食い込み部14dのねじ山の角度βは、43°~44°(食い込み深さgが0.266mm~0.259mm、食い込み雌ねじ部14の内径Φ1が4.503mm~4.517)に設定すると、緩み止め効果を高めることができると結論した。
[ボルトの構造]
本発明に係るボルトの実施形態について図5ないし図8を参照しつつ説明する。
図5に示すように、本実施形態のボルト20は、頭部21と、駆動部23と、ねじ部28と、先端部27とを有する。ねじ部28の周面には、雄ねじMSが形成されており、雄ねじMSは、頭部21の側に形成された食い込み雄ねじ部24と、先端部27の側に形成された標準雄ねじ部25とを有する。標準雄ねじ部25の呼び径dは、JIS規格の呼び径であり、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は、呼び径dよりも大径になっている。標準雄ねじ部25と食い込み雄ねじ部24との境界、つまり、呼び径が大きくなる境界には、段部26が形成されている。段部26では、標準雄ねじ部25の呼び径dが、1周する間に、次第に食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4に螺旋状に変化する。
本実施形態では、頭部21の上面22に形成された駆動部23は、ヘクサロビュラ穴の形状に形成されている。また、頭部21は、頭部底面の外径zよりも、頭部上面の外径yの方が小径となっており、頭部21の周面はテーパ形状に形成されている。また、駆動部23の底面から突起29が突出形成されており、ヘクサロビュラ穴用の一般的な工具を駆動部23に嵌合することができないようになっている。つまり、ボルト20の締結対象物の盗難防止効果が出るように形成されている。
本実施形態では、外径zは16.0mmであり、外径yは13.0mmである。また、ボルト20の全長xは、24.5mmであり、呼び径dは5.884mmである。
このように、雄ねじMSのうち、ナットを螺合する先端部27の側には標準雄ねじ部25が形成されているため、一般的なボルトをナットに締結するときの要領でボルト20の標準雄ねじ部25を、例えば指でボルト20を回転させてナットに螺合することができる。そして、ボルトの段部26がナットの雌ねじに到達すると、そこからは大径の食い込み雄ねじ部24に移行するため、標準雄ねじ部25をナットに螺合したときの締結トルクよりも大きい締結トルクが必要となるので、ボルト20の締結作業を行う者は、食い込み雄ねじ部24がナットの雌ねじに進入したと認識することができる。
そしてさらに、ボルト20の締結を進めると、食い込み雄ねじ部24がナットの雌ねじの谷底に食い込みながら螺合が進行する。そして、ボルト20の頭部21(図5)の下面が締結対象物に着座したときに締結作業を中止すると、食い込み雄ねじ部24がナットの雌ねじの谷底に食い込んだ状態となり、緩み止めが効いた状態になる。
(食い込み雄ねじ部24の構造)
図6に示すように、食い込み雄ねじ部24を形成するねじ山24Tは、雄ねじMSの谷底24a側に形成され標準部24cと、雄ねじMSの頂部24b側に形成された食い込み部24dとを有する。標準部24cのねじ山の角度αは60°であり、食い込み部24dのねじ山の角度γは19°~21°である。標準部24cと食い込み部24dとの境界、つまり、ねじ山の角度の変化点Vは、標準雄ねじ部25の呼び径dの基点となる部位24fに相当する部位である。このように、食い込み雄ねじ部24を形成するねじ山24Tの角度は、谷底24aから頂部24bに向かう途中から狭角になっているため、頂部24bが、標準雄ねじ部25の呼び径dの基点となる部位24fよりも突出している。
つまり、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は、標準雄ねじ部25の呼び径dよりも大径になっている。
なお、ボルト20がメートル平目ネジで呼び径6.0mmのM6(公差g)ボルトである場合は、ピッチPは、1.0mmであり、呼び径dは、5.794~5.974mmであり、有効径d2は、5.212~5.324mmであり、谷径d1は、5.80~6.00mmであり、ねじ山の高さHは、0.866mmである。
(食い込み深さと緩み止め効果との関係)
本願発明者らは、ボルト20を標準ナットに螺合したとき、ボルト20の食い込み部24dが、標準ナット50の雌ねじFS2の谷底51に食い込むとともに、食い込み部24dが塑性変形して雌ねじFS2のフランク面53を圧接することにより、緩み止め効果が出ると考えた。また、食い込み部24dの食い込み深さが深すぎると、必要以上に大きな締結トルクが必要となるし、ボルトが破断するおそれがあり、逆に、食い込み深さが浅すぎると緩み止め効果が小さくなると考えた。
そこで、食い込み部24dのねじ山の角度γが変化すると、食い込み深さが変化することに着目し、ねじ山の角度γと食い込み深さとの関係を調べた。以下、その調べた内容について図7を参照しつつ説明する。
図7(A)は食い込み部24dの拡大図であり、(B)は食い込み部24dの各部位の寸法を計算するための説明図である。ここでは、JIS規格の雄ねじの呼び径dの基点となる部位24f、つまり、ボルト20の変化点Vから食い込み部24dの頂部24bまでの深さgを計算により求める。深さgは、ボルト20をナットに締結したときの食い込み部24dの頂部24bが、雌ねじの谷底に食い込む深さである。以下、深さgを食い込み深さgという。図中、wは、雄ねじの転造加工において、雄ねじの先端の加工限界幅を示しており、w=0.1mmである。食い込み部24dの頂部24bは、幅wの制約を受けるため、食い込み深さgは、頂部24bの幅がwとなる深さに制限される。以下では、メートル平目ネジで呼び径6.0mmのM6(公差g)ボルトを基準とする。
(1)ねじ山の角度γが18°のとき
図7(B)から、次の式5および式6が成立する。
tanθ1=b/a ・・・(式5)
tanθ2=b/c ・・・(式6)
式5から求めたb=a・tanθ1を式6に代入すると、次の式7が求まる。
tanθ2=a・tanθ1/c ・・・(式7)
式7からcを求める式を導くと、
c=a×(tanθ1/tanθ2) ・・・(式8)
また、
tanθ2=b/e ・・・(式9)
式9からeを求める式を導くと、
e=b/tanθ2 ・・・(式10)
また、g=c-eであるから、これに式8および式10を代入すると、
g=a×(tanθ1/tanθ2)-b/tanθ2 ・・・(式11)
また、a=H/8=0.108mmであり、b=w/2=0.05mmであり、θ1=α/2=30°であり、θ2=γ/2=9°である。これらの数値を式4に代入すると、
g=0.108mm×(0.577/0.158)-0.05mm/0.158=0.078mmとなる。
つまり、食い込み部24dのねじ山の角度γが18°のときは、食い込み深さgが、0.078mmである。また、標準雄ねじ部25の呼び径dの平均値が、5.884mmである場合は、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は、5.884mm+(0.078mm×2)=6.040mmである。
(2)ねじ山の角度γが19°のとき
θ2=γ/2=9.5°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によってgを求めると、
g=0.074mmとなる。
つまり、食い込み部24dのねじ山の角度γが19°のときは、食い込み深さgが、0.074mmである。また、標準雄ねじ部25の呼び径dの平均値が、5.884mmである場合は、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は、5.884mm+(0.074mm×2)=6.032mmである。
(3)ねじ山の角度γが20°のとき
θ2=γ/2=10°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によってgを求めると、
g=0.070mmとなる。
つまり、食い込み部24dのねじ山の角度γが20°のときは、食い込み深さgが、0.070mmである。また、標準雄ねじ部25の呼び径dの平均値が、5.884mmである場合は、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は、5.884mm+(0.070mm×2)=6.024mmである。
(4)ねじ山の角度γが21°のとき
θ2=γ/2=10.5°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によってgを求めると、
g=0.067mmとなる。
つまり、食い込み部24dのねじ山の角度γが21°のときは、食い込み深さgが、0.067mmである。また、標準雄ねじ部25の呼び径dの平均値が、5.884mmである場合は、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は、5.884mm+(0.067mm×2)=6.018mmである。
(5)ねじ山の角度γが22°のとき
θ2=γ/2=11°である以外、各数値は上記と同じである。上記と同様の手順によってgを求めると、
g=0.063mmとなる。
つまり、食い込み部24dのねじ山の角度γが22°のときは、食い込み深さgが、0.063mmである。また、標準雄ねじ部25の呼び径dの平均値が、5.884mmである場合は、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は、5.884mm+(0.063mm×2)=6.010mmである。
(考察1)
上述した計算結果から、食い込み部24dのねじ山の角度γを大きくすることにより、食い込み深さgを浅くできることが分かった。換言すると、食い込み部24dのねじ山の角度γを小さくすることにより、食い込み深さgを深くできることが分かった。図8は、図6に示す食い込み部24dが標準ナット50の雌ねじFSの谷底51に食い込んだ状態を示す説明図である。図中、網目のハッチング領域は、食い込み部24dの食い込み領域kを示す。
(実験2)
本願発明者らは、食い込み部24dのねじ山の角度γが20°のボルト20を製造し、ボルト20の緩み止め効果を実証する実験を行った。ボルトを締結するナットとして、JIS規格のM6ナット(メートル平目ネジ、公差g)を使用した。また、比較対象として、JIS規格のM6ボルト(メートル平目ネジ、公差g)を使用した。各ボルトの材質は、機械構造用炭素鋼S25Cである。以下、ボルト20を発明ボルトと称し、JIS規格のM6ボルトを標準ボルトと称する。
実験では、固定したナットに対してボルトの締結および戻し(緩め)を1回と数え、計5回行った。また、締結および戻しには、トルクレンチを使用した。そして、ボルトの頭部の下面がナットに着座したときのトルクレンチの数値を締結トルクとして記録した。また、ボルトがナットに着座した状態が解除されたときのトルクレンチの数値を戻しトルクとして記録した。なお、JIS規格のM6ボルトの最大締付トルクは、5.07N・mである。
(実験2の結果)
実験2の結果を図9の表に示す。同表に示すように、発明ボルトは、1回目は、締結トルクが4.00N・mであり、戻しトルクが5.00N・mであり、締結トルクと戻しトルクとの差は、1.00N・mであった。また、2回目~5回目は、締結トルクおよび戻しトルクが、それぞれ5.00N・mであり、締結トルクと戻しトルクとが同一であった。換言すると、発明ボルトを外すときは、締結トルクと同程度の戻しトルクが必要となる。つまり、発明ボルトの食い込み雄ねじ部24がナットの雌ねじの谷底に食い込んだ状態が維持されていることが分かる。これに対して、標準ボルトは、戻しトルクが締結トルクよりも、1.20~2.20N・m小さい。つまり、ボルトの雄ねじの頂部がナットの雌ねじの谷底に食い込んでいない。
従って、発明ボルトは、締結および戻しを繰り返しても、緩み止め効果の高い状態を維持することができることを実証できた。
本願発明者らは、発明ボルトがナットに締結された状態で、激しく振動する環境下に置かれた場合の緩み止め効果を実証するための試験を行った。
(緩み試験2)
以下、緩み試験2の内容について説明する。
1.緩み試験2に使用したボルト
発明ボルトとして、標準雄ねじ部25(図5)がJIS規格のM6ボルトと同じ構造であり、標準部24cのねじ山の角度αが60°であり、食い込み部24dのねじ山の角度γが20°の食い込み雄ねじ部24を有するボルト20を使用した。また、発明ボルトと性能を比較するために、標準ボルト(JIS規格のメートル平目ネジのM6ボルト(公差g))を使用した。また、各ボルトには、標準ナット(JIS規格のメートル平目ネジのM6ナット(公差g))を締結した。
2.試験機
前述した緩み試験1と同じ試験機、振動制御器、レーザ変位計および治具70(図12)を使用した。また、一方のワッシャー91およびカラー90に発明ボルト20および標準ナット50を締結し、他方のワッシャー91およびカラー90に標準ボルト30および標準ナット50を締結した。また、各ボルト20,30の各雄ねじの各中心軸および各標準ナット50の各雌ねじの各中心軸は、それぞれ振動台80の表面と平行である。
3.試験条件
各ボルト20,30は、5N・mの締付トルクにてワッシャー91およびカラー90に締結した。また、各ボルト20,30をワッシャー91およびカラー90に締結したとき、締結されたボルト20,30の先端が各標準ナット50からそれぞれ突出した状態となった。そして、振動台80上の治具70にセットされた各ボルト20,30を30.0Hzの正弦波によって上下方向(各ボルト20,30の各雄ねじの各中心軸および各標準ナット50の各雌ねじの各中心軸と直交する方向)に加振した。また、振動時の各ボルト20,30の変位レベルは、11.4mmp-pであり、最大加速度は、202.5249m/s20-p、最大速度は、1.0744m/s0-pである。また、振動回数は、30,000回であり、振動時間は、約16分40秒である。また、試験中の様子をビデオカメラにて撮影した。
4.試験結果
標準ボルト30は、試験時間30秒にて標準ナット50から脱落した。一方、発明ボルト20の緩みは、レーザ変位計によって計測されなかった。つまり、発明ボルト20は、食い込み部24dが標準ナット50の雌ねじの谷底に食い込むため、激しい振動を繰り返し受けても緩まないということが実証された。
5.考察
上記の実験2および緩み試験2に使用した発明ボルト20は、食い込み部24dのねじ山の角度γが20°である。
従って、食い込み部24dのねじ山の角度γが20°のボルトは、緩み止め効果が高いことが実証された。
ところで、発明ボルトの食い込み深さgは、0.07mmである。また、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4は6.024mmであり、標準ボルトの呼び径dの平均値5.884mmよりも、0.14mm(=6.024mm-5.884mm)大径である。
また、食い込み部24dのねじ山の角度γが19°のときは、食い込み深さgが、0.074mmであり、ねじ山の角度γが20°の場合の食い込み深さg=0.070mmとの差は、+0.004mm(=0.074mm-0.070mm)であり、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4の差は、+0.008mm(=6.032mm-6.024mm)である。
ボルトおよびナットを長年に亘って製造してきた本願発明者らの知見から、この程度のプラスの差では、締結トルクおよび戻しトルクが、ねじ山の角度γが20°の場合と比較して少し大きくなるが、ボルトが破断するおそれも無く、ねじ山の角度γが20°の場合と同様に、緩み止め効果を高めることができると推定した。
また、食い込み部24dのねじ山の角度γが21°のときは、食い込み深さgが、0.067mmであり、ねじ山の角度γが20°の場合の食い込み深さg=0.07mmとの差は、-0.003mm(=0.067mm-0.070mm)であり、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4の差は、-0.006mm(=6.018mm-6.024mm)である。
ボルトおよびナットを長年に亘って製造してきた本願発明者らの知見から、この程度のマイナスの差では、締結トルクおよび戻しトルクが、ねじ山の角度γが20°の場合と比較して少し小さくなるが、ねじ山の角度γが20°の場合と同様に、緩み止め効果を高めることができると推定した。
また、食い込み部24dのねじ山の角度γが18°のときは、食い込み深さgが、0.078mmであり、ねじ山の角度γが20°の場合との差は、+0.008mm(=0.078mm-0.070mm)であり、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4の差は、+0.016mm(=6.040mm-6.024mm)となる。この程度の差になると、締結トルクが大きくなるため、緩み止め効果は高くなるが、ボルトが破断するおそれがあると推定した。
また、食い込み部24dのねじ山の角度γが22°のときは、食い込み深さgが、0.063mmであり、ねじ山の角度γが20°の場合との差は、-0.007mm(=0.063mm-0.070mm)であり、食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4の差は、-0.014mm(=6.010mm-6.024mm)である。この程度の差になると、締結および戻しを繰り返したときに、戻しトルクが標準トルクの戻しトルクに近づき、緩み止め効果が小さくなると推定した。
従って、食い込み部24dのねじ山の角度γは、19°~21°に設定(食い込み深さgが0.074~0.067mm、食い込み雄ねじ部24呼び径Φ4が6.032~6.018mm)すると、緩み止め効果を高めることができると結論した。
[実施形態の効果]
(1)前述した実施形態のナット10によれば、標準ボルト30に螺合したときに、食い込み雌ねじ部14の食い込み部14dを標準ボルト30の雄ねじMS2の谷底34に食い込ませることができるため、緩むおそれがない。
しかも、ナット10単体で緩み止めを行うことができ、ナット10以外の部材が不要である。
したがって、締結作業効率を高めることができるとともに製造コストを低減することができ、かつ、緩み止め効果を高めることができるナットを実現することができる。
(2)標準部14cおよび食い込み部14dの変化点Vを、標準雌ねじ部13の内径D1の基点となる部位14fよりも内側に設定すると、ナット10を標準ボルト30に螺合するときに、変化点Vと、標準ボルト30の雄ねじMS2のフランク面33とが干渉するため、螺合が困難となる。
しかし、標準部14cおよび食い込み部14dの変化点Vを、標準雌ねじ部13の内径D1の基点となる部位14fに設定することにより、変化点Vと、標準ボルト30の雄ねじMS2のフランク面33とが干渉しないため、ナット10を標準ボルト30に螺合することができる。
(3)前述した実施形態のボルト20によれば、標準ナット50に螺合したときに、食い込み雄ねじ部24の食い込み部24dを標準ナット50の雌ねじFS2の谷底51に食い込ませることができるため、緩むおそれがない。
しかも、ボルト20単体で緩み止めを行うことができ、ボルト20以外の部品が不要である。
したがって、締結作業効率を高めることができ、かつ、製造コストを低減することができ、さらに、緩み止め効果を高めることができるボルトを実現することができる。
(4)標準部24cおよび食い込み部24dの変化点Vを、標準雄ねじ部25の呼び径dの基点となる部位24fよりも外側に設定すると、ボルト20を標準ナット50に螺合するときに、変化点Vと、標準ナット50の雌ねじFS2のフランク面53とが干渉するため、螺合が困難となる。
しかし、標準部24cおよび食い込み部24dの変化点Vを、標準雄ねじ部25の呼び径dの基点となる部位24fに設定することにより、変化点Vと、標準ナット50の雌ねじFS2のフランク面53とが干渉しないため、ボルト20を標準ナット50に螺合することができる。
[本発明のボルトまたはナットを適用可能な箇所]
本発明のボルトまたはナットは、振動が発生する箇所に適用すると、緩み止め効果を発揮する。例えば、バッテリーなどの部品を取付ける部材を車体に締結するために用いると、車両の振動によって部材の締結状態が緩むおそれを無くすことができる。また、工場において使用する機械部品の組立てに用いれば、機械の振動によって機械部品が緩むおそれを無くすことができる。また、車両が通行する橋の構造に使用すれば、車両の振動により、締結対象物が変位するおそれを無くすことができる。
また、本発明のボルトまたはナットは、締結および戻し(緩め)を繰り返しても、緩み止め効果が高い状態を維持することができるため、ボルトおよびナットを定期的に外して点検作業を行うような箇所に用いれば、点検作業回数が増加するに従って、ボルトおよびナットが緩み易くなるという事態が発生しないようにすることができる。
〈他の実施形態〉
(1)前述した実施形態では、本発明のボルトとして、呼び径が6.0mmの標準ナットに締結するボルトを例に挙げて説明したが、ナットの雌ねじ内径に応じて雄ねじ谷径d1および食い込み雄ねじ部24の呼び径Φ4などの寸法を変更し、食い込み部24dのねじ山の角度γが19°~21°となるように設計することができる。そして、本発明のボルトは、締結対象のナットの仕様に応じて設計変更した場合でも、本発明のボルトの効果を奏することができる。
(2)前述した実施形態では、本発明のナットとして、呼び径が6.0mmの標準ボルトに締結するナットを例に挙げて説明したが、ボルトの呼び径に応じて雌ねじ内径D1および食い込み雌ねじ部14の内径Φ1などの寸法を変更し、食い込み部14dのねじ山の角度βが43°~44°となるように設計することができる。そして、本発明のナットは、締結対象のボルトの仕様に応じて設計変更した場合でも、本発明のナットの効果を奏することができる。
(3)本発明のボルトおよびナットを形成する材料は、前述した機械構造用炭素鋼の他、棒鋼、形鋼、鋼板、鋼帯、機械構造用合金鋼、特殊用途鋼、非鉄金属材、鋳鍛造品などでも良い。
10・・ナット
13・・標準雌ねじ部
14・・食い込み雌ねじ部
14a・・谷底
14b・・頂部
14c・・標準部
14d・・食い込み部
14f・・内径D1の基点となる部位
17・・第1の孔
18・・第2の孔
19・・貫通孔
20・・ボルト
21・・頭部
24・・食い込み雄ねじ部
24a・・谷底
24b・・頂部
24c・・標準部
24d・・食い込み部
24f・・呼び径dの基点となる部位
25・・標準雄ねじ部
27・・先端部
30・・標準ボルト
34・・谷底
50・・標準ナット
51・・谷底
FS・・雌ねじ
FS2・・雌ねじ
MS・・雄ねじ
MS2・・雄ねじ
α・・標準部のねじ山の角度
β・・食い込み部のねじ山の角度
γ・・食い込み部のねじ山の角度

Claims (2)

  1. ねじ山の角度が60°の金属製の標準ナット(50)に締結される金属製のボルト(20)であって、
    雄ねじ(MS)は、
    当該ボルト(20)の先端(27)側に形成された標準雄ねじ部(25)と、
    当該ボルト(20)の頭部(21)側に形成された食い込み雄ねじ部(24)と、を有し、
    前記標準雄ねじ部(25)は、ねじ山の角度が60°に形成されており、
    前記食い込み雄ねじ部(24)は、
    前記雄ねじ(MS)の谷底(24a)側に形成されており、ねじ山の角度(α)が60°であって、前記標準雄ねじ部(25)の呼び径(d)と同じ径の標準部(24c)と、
    前記標準部(24c)の頂部から外方に向けて突出形成されており、ねじ山の角度(γ)が19°~21°であって、前記標準雄ねじ部(25)の呼び径(d)よりも大径の呼び径(Φ4)を有する食い込み部(24d)と、を有し、
    さらに、当該ボルト(20)を前記標準ナット(50)に螺合したときに、前記食い込み部(24d)が前記標準ナット(50)の雌ねじ(FS2)の谷底(51)に食い込むように形成されており、かつ、前記標準ナット(50)の締結および戻し(緩め)を繰り返すことが可能なことを特徴とするボルト。
  2. ねじ山の角度が60°の金属製の標準ボルト(30)に締結される金属製のナット(10)であって、
    雌ねじ(FS)は、
    当該雌ねじ(FS)の一端側に形成された標準雌ねじ部(13)と、
    当該雌ねじ(FS)の他端側に形成された食い込み雌ねじ部(14)と、を有し、
    前記標準雌ねじ部(13)は、ねじ山の角度が60°に形成されており、
    前記食い込み雌ねじ部(14)は、
    雌ねじ(FS)の谷底(14a)側に形成されており、ねじ山の角度が60°であって、前記標準雌ねじ部(13)の内径(D1)と同じ径の標準部(14c)と、
    前記標準部(14c)の頂部から内方に向けて突出形成されており、ねじ山の角度(β)が43°~44°であって、前記標準雌ねじ部(13)の内径(D1)よりも小径の内径(Φ1)を有する食い込み部(14d)と、を有し、
    さらに、当該ナット(10)を前記標準ボルト(30)に螺合したときに、前記食い込み部(14d)が前記標準ボルト(30)の雄ねじ(MS2)の谷底(34)に食い込むように形成されており、かつ、前記標準ボルト(30)に対する締結および戻し(緩め)を繰り返すことが可能なナット。
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