JP7312548B2 - 熱可塑性樹脂プリプレグおよび複合材料 - Google Patents

熱可塑性樹脂プリプレグおよび複合材料 Download PDF

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Description

特許法第30条第2項適用 集会名:複合材料界面科学研究会(SIMS) 2018年度シンポジウム 開催日:平成30年4月6日
本発明は、液晶ポリマーと強化繊維束とを含有する熱可塑性樹脂プリプレグに関する。
炭素繊維束、ガラス繊維束、アラミド繊維束などの強化繊維束とマトリクス樹脂とからなるプリプレグおよび繊維強化複合材料は、軽量、高強度、高弾性率等の特徴により、航空機および自動車等の構造材料、テニスラケット、ゴルフシャフトおよび釣竿等のスポーツ用品、ならびに、自転車およびPC筐体等の一般産業用品に広く利用されている。
熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂として用い、強化繊維束を含有する熱可塑性樹脂プリプレグの開発が進められている。例えば、特許文献1には、熱可塑性樹脂を含浸している複数の強化繊維シート間に熱可塑性樹脂からなる中間樹脂層を有する強化繊維樹脂層と、前記強化繊維樹脂層の少なくとも一面に形成される表面樹脂層とからなるプリプレグが開示されている。このような熱可塑性樹脂をマトリクス樹脂として用いた繊維強化プリプレグは、保存管理が容易であり、長期保管ができるという利点を有する。
炭素繊維束等の強化繊維束と熱可塑性樹脂とを含むプリプレグは、通常、熱可塑性樹脂を強化繊維束に溶融含浸させる方法によって製造される。この際、熱可塑性樹脂を強化繊維に均一に含浸させるためには、含浸時の熱可塑性樹脂を低粘度にすることが望まれるため、熱可塑性樹脂を高温にする必要がある。
しかし、ポリエーテルエーテルケトンやポリエーテルイミドなどの高粘度の熱可塑性樹脂を高温に加熱することによって低粘度化させた場合、熱分解により樹脂が劣化するという問題があった。
一方、特許文献2には、特定の物理特性を有する連続繊維束と、溶融時に異方性を示す芳香族ポリエステル母材とから形成される複合材料が提案されている。
特開2014-218588号公報 特開昭63-312824号公報
しかしながら、特許文献2に具体的に記載された芳香族ポリエステルは溶融粘度の高いものであり、このような高粘度の液晶ポリマーと強化繊維束とからなる熱可塑性樹脂プリプレグおよび複合材料は、大変形(曲げ)の際に層間剥離し易いものであった。
本発明の目的は、上記の問題点を解決し、層間剥離し難い熱可塑性樹脂プリプレグ、および該熱可塑性樹脂プリプレグから成形されてなり、層間剥離し難い複合材料を提供することにある。
本発明者らは、強化繊維束を含む熱可塑性樹脂プリプレグの層間剥離の改善について鋭意検討した結果、界面せん断強度τ(MPa)に対する全界面せん断エネルギーE(×10-6J)の比(E/τ)に着目することによって、熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材が層間剥離し難いことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、液晶ポリマーと強化繊維束とを含有する熱可塑性樹脂プリプレグであって、界面せん断強度τ(MPa)に対する全界面せん断エネルギーE(×10-6J)の比(E/τ)は、 E / τ > 4.5 である、熱可塑性樹脂プリプレグに関する。
本発明は、また、該熱可塑性樹脂プリプレグから成形されてなる複合材料に関する。
本発明は、また、該複合材料を含む航空宇宙用または自動車用の部材に関する。
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグ、該熱可塑性樹脂プリプレグから成形されてなる複合材料および該複合材料を含む航空宇宙用または自動車用の部材は、大変形時の層間剥離を生じ難くすることができる。
1.液晶ポリマー
本発明において使用される液晶ポリマーは、好適には、異方性溶融相を形成するものであり、当業者にサーモトロピック液晶ポリマーと呼ばれるものであれば、特に限定されない。
液晶ポリマーの異方性溶融相の性質は、直交偏向子を利用した通常の偏向検査法、すなわちホットステージに載せた試料を窒素雰囲気下で観察する方法により確認できる。
本発明に使用する液晶ポリマーは、分子鎖中に脂肪族基を有する半芳香族液晶ポリマー、または分子鎖が全て芳香族基より構成される全芳香族液晶ポリマーのいずれであってもよい。
液晶ポリマーを構成する繰返し単位としては、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、芳香族アミノオキシ繰返し単位、芳香族ジアミノ繰返し単位、芳香族アミノカルボニル繰返し単位、脂肪族ジオキシ繰返し単位、および脂肪族ジカルボニル繰返し単位などが挙げられる。
芳香族オキシカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシ安息香酸、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、5-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、4’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、3’-ヒドロキシフェニル-4-安息香酸、4’-ヒドロキシフェニル-3-安息香酸などの芳香族ヒドロキシカルボン酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中で、4-ヒドロキシ安息香酸および6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸が、得られる液晶ポリマーの特性や結晶融解温度を調整しやすいという点から好ましい。
芳香族ジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジカルボキシビフェニルなどの芳香族ジカルボン酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中で、テレフタル酸、イソフタル酸および2,6-ナフタレンジカルボン酸が、得られる液晶ポリマーの機械物性、耐熱性、結晶融解温度、成形加工性を適度なレベルに調整しやすいことから好ましい。
芳香族ジオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、1,4-ジヒドロキシナフタレン、4,4’-ジヒドロキシビフェニル、3,3’-ジヒドロキシビフェニル、3,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニルエーテルなどの芳香族ジオールおよびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。これらの中で、ハイドロキノンおよび4,4’-ジヒドロキシビフェニルが、重合時の反応性や、得られる液晶ポリマーの機械物性、耐熱性、結晶融解温度、成形加工性を適度なレベルに調整しやすいことから好ましい。
芳香族オキシジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、3-ヒドロキシ-2,7-ナフタレンジカルボン酸、4-ヒドロキシイソフタル酸、および5-ヒドロキシイソフタル酸などのヒドロキシ芳香族ジカルボン酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
芳香族アミノオキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、4-アミノフェノール、3-アミノフェノール、4-アミノ-1-ナフトール、5-アミノ-1-ナフトール、8-アミノ-2-ナフトール、4-アミノ-4’-ヒドロキシビフェニルなどの芳香族ヒドロキシアミンおよびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
芳香族ジアミノ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、1,4-ジアミノベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,5-ジアミノナフタレン、1,8-ジアミノナフタレンなどの芳香族ジアミンおよびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物などのアミド形成性誘導体が挙げられる。
芳香族アミノカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、4-アミノ安息香酸、3-アミノ安息香酸、6-アミノ-2-ナフトエ酸などの芳香族アミノカルボン酸およびそれらのアルキル、アルコキシまたはハロゲン置換体、ならびにこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
脂肪族ジヒドロキシ繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオール、ならびにこれらのアシル化物が挙げられる。また、ポリエチレンテレフタレートや、ポリブチレンテレフタレートなどの脂肪族ジオキシ繰返し単位を含有するポリマーを、前記の芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、芳香族ジオールおよびこれらのアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などと反応させることによっても、脂肪族ジオキシ繰返し単位を含む液晶ポリマーを得ることができる。
脂肪族ジカルボニル繰返し単位を与える単量体の具体例としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、フマル酸、マレイン酸およびヘキサヒドロテレフタル酸などの脂肪族ジカルボン酸、ならびにこれらのエステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性誘導体が挙げられる。
本発明に使用する液晶ポリマーは、本発明の目的を損なわない範囲で、チオエステル結合を含むものであってもよい。チオエステル結合を与える単量体としては、メルカプト芳香族カルボン酸、および芳香族ジチオールおよびヒドロキシ芳香族チオールなどが挙げられる。これらの単量体の使用量は、芳香族オキシカルボニル繰返し単位、芳香族ジカルボニル繰返し単位、芳香族ジオキシ繰返し単位、芳香族アミノオキシ繰返し単位、芳香族ジアミノ繰返し単位、芳香族アミノカルボニル繰り返し単位、芳香族オキシジカルボニル繰返し単位、脂肪族ジオキシ繰返し単位、および脂肪族ジカルボニル繰返し単位を与える単量体の合計量を含む全体に対して10モル%以下であるのが好ましい。
これらの繰り返し単位を組み合わせた共重合体は、モノマーの構成や組成比、共重合体中での各繰り返し単位のシークエンス分布によっては、異方性溶融相を形成するものとしないものが存在するが、本発明に使用する液晶ポリマーは異方性溶融相を形成する共重合体である。
本発明に使用する液晶ポリマーの具体的な例として、下記の単量体の組合せから与えられる繰返し単位で構成される共重合体を挙げることができる。
1)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸共重合体
2)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
3)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/イソフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/ハイドロキノン共重合体
4)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
5)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
6)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
7)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
8)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン共重合体
9)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/ハイドロキノン/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
10)4-ヒドロキシ安息香酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
11)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
12)4-ヒドロキシ安息香酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
13)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン共重合体
14)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/ハイドロキノン/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体
15)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール共重合体
16)6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール共重合体
17)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4-アミノフェノール共重合体
18)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/4-アミノフェノール共重合体
19)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/エチレングリコール共重合体
20)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール共重合体
21)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/エチレングリコール共重合体
22)4-ヒドロキシ安息香酸/6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸/テレフタル酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル/エチレングリコール共重合体
23)4-ヒドロキシ安息香酸/テレフタル酸/2,6-ナフタレンジカルボン酸/4,4’-ジヒドロキシビフェニル共重合体。
これらの中でも、1)、8)、9)および13)のモノマー構成単位からなる液晶ポリマーが好ましい。
使用する液晶ポリマーは、2種以上の液晶ポリマーをブレンドしたものであってもよい。
本発明に使用する液晶ポリマーの好ましい例として、式(I)で表される繰返し単位を含む液晶ポリマーが挙げられる。
Figure 0007312548000001
式(I)で表される繰返し単位を与える単量体としては、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸ならびに、このアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
本発明に好ましく使用する液晶ポリマーは、式(I)で表される繰返し単位を液晶ポリマーの全繰返し単位中に、15モル%以上含むのが好ましく、15~40モル%含むのがより好ましく、20~35モル%含むのがさらに好ましい。
式(I)で表される繰返し単位の含有量が液晶ポリマーの全繰返し単位中15モル%を下回ると、液晶ポリマーの溶融粘度が高くなり、得られる熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材の機械特性が低下する傾向がある。
本発明に使用する液晶ポリマーのより好ましい例として、式(I)および(II)で表される繰返し単位を含む液晶ポリマーが挙げられる。
Figure 0007312548000002
式(II)で表される繰返し単位を与える単量体としては、4-ヒドロキシ安息香酸ならびに、このアシル化物、エステル誘導体、酸ハロゲン化物などのエステル形成性の誘導体が挙げられる。
本発明に使用する液晶ポリマーの特に好ましい例として、式(I)および(II)で表される繰返し単位から構成される全芳香族液晶ポリエステルが挙げられる。
上記の好ましい液晶ポリマーまたは特に好ましい全芳香族液晶ポリエステルにおいて、式(I)で表される繰返し単位と式(II)で表される繰返し単位のモル比は、20~40モル%:80~60モル%であるのが好ましく、22~35モル%:78~65モル%であるのがより好ましく、25~30モル%:75~70モル%であるのがさらに好ましい。
本発明に使用する液晶ポリマーは、せん断速度1,000s-1の条件下で測定した結晶融解温度+40℃における溶融粘度が18~50Pa・sである。
溶融粘度がこの範囲にあると、E/τが4.5より大きい特性を有する熱可塑性樹脂プリプレグを得ることができる。つまり、大変形時の層間剥離が生じ難い熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材を得ることができる。
溶融粘度は、0.7mmφ×10mmのキャピラリーを用いて、せん断速度1,000s-1の条件下で測定することができる。
せん断速度1,000s-1の条件下で測定される液晶ポリマーの溶融粘度は、好ましくは20~45Pa・s、より好ましくは24~39Pa・sである。
液晶ポリマーの溶融粘度が18Pa・sを下回ると、得られる熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材に、大変形時の層間剥離が生じやすくなる。また、18Pa・sを下回ると、重量平均分子量が小さくなり、高い成形温度でのガス化によりボイドが発生しやすくなる。溶融粘度が50Pa・sを上回ると、熱可塑性樹脂プリプレグ中のエア等が抜け難くなり、ボイドが発生しやすくなる。なお、ボイドが発生すると、機械特性が低下する。
なお、液晶ポリマーは、せん断速度100s-1の条件下で測定した結晶融解温度+10℃における溶融粘度が300~1,000Pa・sである。溶融粘度は、上記と同様の方法で測定することができる。
せん断速度100s-1の条件下で測定される液晶ポリマーの溶融粘度は、好ましくは350~950Pa・s、より好ましくは400~900Pa・sである。
本発明に使用する液晶ポリマーは、示差走査熱量計により測定される結晶融解温度が、315℃以下であるのが好ましく、160~310℃であるのがより好ましく、170~305℃であるのがさらに好ましく、180~300℃であるのが特に好ましい。
結晶融解温度が315℃以下である液晶ポリマーを使用することにより、強化繊維束への含浸性に優れることとなり、優れた機械強度を示す熱可塑性樹脂プリプレグを得ることができる。また、結晶融解温度が315℃以下である液晶ポリマーを使用することにより、低温での成形が可能となり、含浸が容易となる。
液晶ポリマーの結晶融解温度が160℃を下回ると、耐熱性が低くなるため複合材料の用途が制限される傾向があり、315℃を上回ると、高温での成形が必要になるため、設備やエネルギーの点でコスト高となる。
本発明に使用する液晶ポリマーは、その重量平均分子量が100,000~300,000の範囲にあるものが好ましく、120,000~280,000の範囲にあるものがより好ましく、140,000~270,000の範囲にあるのがさらに好ましく、160,000~260,000の範囲にあるのが特に好ましい。重量平均分子量が100,000未満の場合、得られるプリプレグの機械特性が十分に発現し難い傾向がある。
なお、本発明における重量平均分子量とは、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)によって測定された値である。測定においては、溶媒としてペンタフルオロフェノール/クロロホルムの混合溶媒を用い、測定温度23℃、示差屈曲計で検出した。分子量値はポリスチレン換算分子量として求めた。
本発明に使用する液晶ポリマーは、常温下(25℃雰囲気)において、弾性率が3GPa以上であるものが好ましく、5GPa以上あるものがより好ましい。これにより、ゴム系樹脂では得ることのできない機械特性を得ることができる。なお、液晶ポリマーの弾性率は、ASTM D638に準拠し、引張測定により求めることができる。
なお、本明細書および特許請求の範囲において、「結晶融解温度」とは、示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter、以下DSCと略す)によって、昇温速度20℃/分で測定した際の結晶融解ピーク温度から求めたものである。より具体的には、液晶ポリマーの試料を、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1より20~50℃高い温度で10分間保持し、次いで、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却した後に、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を液晶ポリマーの結晶融解温度とする。測定機器としては、例えば、セイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000などを用いることができる。
以下、本発明に使用する液晶ポリマーの製造方法について説明する。
本発明に使用する液晶ポリマーの製造方法に特に制限はなく、前記の単量体の組合せからなる単量体成分間にエステル結合などを形成させる公知の重縮合方法、例えば溶融アシドリシス法、スラリー重合法などを使用することができる。
溶融アシドリシス法とは、本発明に使用する液晶ポリマーの製造方法に使用するのに好ましい方法である。この方法では、最初に単量体を加熱して反応物質の溶融液を形成し、続いて反応を続けて溶融ポリマーを得る。なお、縮合の最終段階で副生する揮発物(例えば、酢酸、水など)の除去を容易にするために真空を適用してもよい。
スラリー重合法とは、熱交換流体の存在下で反応を行う方法であって、固体生成物は熱交換媒質中に懸濁した状態で得られる。
溶融アシドリシス法およびスラリー重合法の何れの場合においても、液晶ポリマーを製造する際に使用する重合性単量体成分は、常温において、ヒドロキシル基および/またはアミノ基をアシル化した変性形態、すなわち低級アシル化物として反応に供することもできる。低級アシル基は炭素原子数2~5のものが好ましく、炭素原子数2または3のものがより好ましい。特に好ましくは、前記単量体のアセチル化物を反応に使用する方法が挙げられる。
単量体のアシル化物は、別途アシル化して予め合成したものを上記反応に用いてもよいし、液晶ポリマーの製造時に単量体に無水酢酸などのアシル化剤を加えて反応系内で単量体のアシル化物を生成せしめることもできる。
溶融アシドリシス法またはスラリー重合法のいずれの場合においても反応時、必要に応じて触媒を用いてもよい。
触媒の具体例としては、例えば、有機スズ化合物(ジブチルスズオキシドなどのジアルキルスズオキシド、ジアリールスズオキシドなど)、有機チタン化合物(二酸化チタン、三酸化アンチモン、アルコキシチタンシリケート、チタンアルコキシドなど)、カルボン酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩(酢酸カリウムなど)、無機酸塩類(硫酸カリウムなど)、ルイス酸(三フッ化硼素など)、ハロゲン化水素などの気体状酸触媒(塩化水素など)が挙げられる。
触媒の使用割合は、通常、単量体全量に対して1~1,000ppm、好ましくは2~100ppmである。
このようにして重縮合反応されて得られた液晶ポリマーは、溶融状態で重合反応槽から抜き出された後に、ペレット状、フレーク状、または粉末状に加工される。
本発明に使用する液晶ポリマーは、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の成分として、さらに無機および/または有機充填材を含有してもよい。
本発明に使用する液晶ポリマーが含有してもよい、無機および/または有機充填材の具体例としては、例えば、ガラス繊維、シリカアルミナ繊維、アルミナ繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、アラミド繊維、ポリアリレート繊維、ポリベンズイミダゾール繊維、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ドロマイト、クレー、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラスバルーン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタンなどが挙げられ、単独でまたは2種以上を併用してもよい。
これらの中では、タルクが、物性とコストのバランスが優れている点で好ましい。
また、無機および/または有機充填材は、表面処理が施されたものであってもよい。表面処理の方法としては、例えば、充填材表面に表面処理剤を吸着させる方法、混練する際に表面処理剤を添加する方法などが挙げられる。
表面処理剤としては、例えば、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、ボラン系カップリング剤などの反応性カップリング剤、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸金属塩、フルオロカーボン系界面活性剤などの潤滑剤が挙げられる。
無機および/または有機充填材を配合する場合、その含有量は、液晶ポリマー100質量部に対して、0.1~50質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましい。
本発明に使用する液晶ポリマーには、本発明の目的を損なわない範囲で、さらに他の添加剤や樹脂成分が添加されていてもよい。
他の添加剤の具体例としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸金属塩(ここで高級脂肪酸とは、炭素原子数10~25のものをいう)などの滑剤、ポリシロキサン、フッ素樹脂などの離型改良剤、染料、顔料、カーボンブラックなどの着色剤、難燃剤、帯電防止剤、界面活性剤、タルク、有機リン酸塩、ソルビトール類などの造核剤、アンチブロッキング剤、リン系酸化防止剤、フェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などの酸化防止剤、耐候剤、熱安定剤、中和剤などが挙げられる。これらの添加剤は、単独でまたは2種以上を併用することができる。
他の添加剤の合計量は、液晶ポリマー100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.1~3質量部である。
他の樹脂成分の具体例としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタール、ポリフェニレンエーテルおよびその変性物、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミドなどの熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの樹脂成分は単独でまたは2種以上を併用してもよい。
他の樹脂成分を含有する場合、その含有量は、液晶ポリマー100質量部に対して、0.1~100質量部であることが好ましく、0.1~80質量部であることがより好ましい。
液晶ポリマー、無機および/または有機充填材、他の添加剤、他の樹脂成分は、バンバリーミキサーなどを用いて適宜混合され、ニーダー、一軸もしくは二軸押出機などを用いて、液晶ポリマーの結晶融解温度近傍から結晶融解温度+40℃の温度条件で溶融混練してペレット状などとすることができる。
2.強化繊維束
本発明に使用する強化繊維束としては、炭素繊維束、ガラス繊維束、アラミド繊維束など挙げられるが、これらの中でも得られるプリプレグの機械特性や軽量化に優れる点で炭素繊維束が好ましい。
本発明に好適に使用する炭素繊維束としては、PAN系、ピッチ系、レーヨン系、リグニン系などの原料からなる炭素繊維束が挙げられ、特にPAN系が好ましい。
使用する形態としては、織布(例えば、平織、斜文織、朱子織などであり、織物材とも呼ばれる)、不織布または一方向に引き揃えられたロービング(UD材とも呼ばれる)などが挙げられ、機械的特性を考慮すると、織物やUDが好ましい。
ここで、「炭素繊維束」とは、繊維長100mm以上の炭素繊維(単繊維)が複数本束ねられたものを意味する。
炭素繊維束としては、サイジング剤の付着量が少ないものやサイジング剤が付着していないものが好ましい。なお、ここでいうサイジング剤は、マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂、特にエポキシ樹脂用に用いられるものであり、例えば、熱可塑性樹脂専用のサイジング剤の場合はこの限りではない。
通常、炭素繊維束は、炭素化工程後に電解酸化処理や気相酸化処理などの表面処理がなされ、その後、エポキシ系化合物、アミド系化合物またはウレタン系化合物などのサイジング剤によって被覆処理が施されたものが使用されている。
しかし、サイジング剤で被覆された炭素繊維束は、液晶ポリマーを含浸させる際、サイジング剤によって液晶ポリマーの含浸が阻害されることがあり、その結果、得られる熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材において機械特性が不足することがある。
サイジング剤(熱可塑性樹脂用を除く)の付着量としては、0.5%以下が好ましく、0.2%以下がより好ましく、0.1%以下がさらに好ましく、0.0%であってもよい。
サイジング剤によって被覆されていない、つまりサイジング剤の付着量が0%の炭素繊維束とは、サイジング剤で被覆された炭素繊維束からサイジング剤を除去したものも含む他、炭素繊維束の製造工程でサイジング剤を被覆(付着)する工程を省いて製造された炭素繊維束も含む。
サイジング剤を除去する手段としては、例えば、強化繊維束を有機溶媒槽に浸漬してサイジング剤を溶解する方法や、炭素繊維束を過熱水蒸気に曝してサイジング剤を脱落させる方法を採用することができる。
強化繊維束に含まれる単繊維の本数は、1,000~60,000であるのが好ましく、3,000~40,000であるのがより好ましく、10,000~30,000であるのがさらに好ましい。
単繊維の本数が1,000を下回ると、強化繊維束の製造コストが高くなったり、強化繊維束をより多く引き揃える必要があるため工程が煩雑となったりする。60,000を上回ると、液晶ポリマーの含浸が不十分となり、得られるプリプレグ、複合材料および部材の機械特性が低下する傾向がある。
炭素繊維束を構成する単繊維の繊維径は、得られる熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材の機械特性の観点から、5~20μmであるのが好ましく、6~15μmであるのがより好ましく、7~10μmであるのがさらに好ましい。
炭素繊維束の強度は、得られる熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材の機械特性の観点から、3.0GPa以上であるのが好ましく、3.5GPa以上であるのがより好ましく、4.0GPa以上であるのがさらに好ましい。炭素繊維束の強度は、通常10.0GPa以下である。
炭素繊維束の弾性率は、得られる熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材の機械特性の観点から、200GPa以上であるのが好ましく、210GPa以上であるのがより好ましく、220GPa以上であるのがさらに好ましい。炭素繊維束の弾性率は、通常1,000GPa以下である。
なお、炭素繊維束の強度および弾性率は、ASTM D4018に準拠し、引張測定により求めることができる。
3.熱可塑性樹脂プリプレグ
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグは、上述した液晶ポリマーおよび強化繊維束を少なくとも含有する。
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグにおいて、強化繊維束の含有量は、液晶ポリマー100質量部に対して、5~300質量部であるのが好ましく、20~200質量部であるのがより好ましく、60~150質量部であるのがさらに好ましい。
強化繊維束の含有量が5質量部を下回ると、熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材の機械特性が不足する傾向があり、300質量部を上回ると、液晶ポリマーが不足して含浸が不十分となることからやはり機械特性が不足する傾向がある。
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグは、液晶ポリマーおよび強化繊維束から公知の方法によって製造することができる。好適な製造方法としては、(1)溶融した液晶ポリマーをTダイから押し出し、連続供給される強化繊維束と合流させることにより含浸させる方法、(2)粉末化した液晶ポリマーを強化繊維束に付着させた後、加熱溶融して含浸させる方法、(3)含浸用ダイに強化繊維束および液晶ポリマーを導入し、ダイ内部で強化繊維束に液晶ポリマーを接触させて含浸させる方法、(4)液晶ポリマーフィルムを製造して該液晶ポリマーフィルムを強化繊維束に加熱圧着して溶融含浸させる方法、などが挙げられる。
これらの方法の中でも、(3)および(4)の方法が好ましく、特に生産性を考慮すると(4)の方法が好ましい。
以下に、(4)の液晶ポリマーフィルムを強化繊維束に加熱圧着して溶融含浸させる方法について詳述する。
この方法は、種々の形態の強化繊維束、例えば、一方向に引き揃えられたUD材の片側または両側に液晶ポリマーフィルムを配置し、加熱圧着することにより液晶ポリマーを強化繊維束に溶融含浸させる工程を含む。
なお、強化繊維束を利用して織物構造の織物材の片側または両側に液晶ポリマーフィルムを配置してもよいし、一方向に引き揃えられたUD材と織物構造の織物材とを重ね、これらの間、重ねたものの全体の片側または両側に液晶ポリマーフィルムを配置してもよい。
強化繊維束を一方向に引き揃える方法としては、櫛やガイドおよび溝ローラなどを使用する方法が挙げられる。
複数本の強化繊維束は、平面状となるように横方向に一定の間隔で配置されることが好ましいが、目的によっては不規則な間隔で配置されていてもよい。複数本の強化繊維束は、液晶ポリマーに対する含有量が所定量となるように縦方向(厚み方向)に重ねて配置してもよい。
強化繊維束は特に開繊されている必要はないが、より均一に液晶ポリマーを含浸させるために、予め開繊拡幅されたものを用いてもよい。
液晶ポリマーは、液晶ポリマーのペレットを押出成形やプレス成形など公知の成形方法によってフィルム化することができる。
押出成形法としては、例えば、Tダイ法やインフレーション法が挙げられ、Tダイ法において得られる無延伸フィルム、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムが好適に用いられる。
液晶ポリマーフィルムの厚さは、強化繊維束の含有量によって適宜設定すればよく、5~1,000μmであるのが好ましく、10~500μmであるのがより好ましく、15~300μmであるのがさらに好ましい。
液晶ポリマーフィルムの厚さが5μmを下回ると、マトリクス樹脂である液晶ポリマーが不足することにより、熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材の機械特性が不十分となる傾向があり、1,000μmを上回ると、成形時間が長くなる傾向がある。
熱可塑性樹脂プリプレグは、強化繊維束および液晶ポリマーフィルムとして、それぞれ厚み方向(縦方向)に複数積層したものを用いてもよい。この場合、強化繊維束の方向を全て同じに積層してもよいし、強化繊維束の方向が異なるように積層してもよい。
なお、強化繊維束と液晶ポリマーフィルムとを積層したものを熱可塑性樹脂プリプレグとしてもよいし、強化繊維束と液晶ポリマーフィルムとを重ねたものを複数枚積層したものを熱可塑性樹脂プリプレグとしてもよい。
熱可塑性樹脂プリプレグ、複合材料および部材の機械特性、樹脂の含浸性、繊維の均一性等を考慮すると、複数枚積層したものが好ましい。
強化繊維束と液晶ポリマーフィルムは、その一方あるいは両方を、例えば、ヒーター等の加熱手段で加熱した後、一対の加圧ロールで加圧する方法、あるいは一対の加熱ロールで加熱および加圧を同時に行う方法で加熱圧着することによって、液晶ポリマーを強化繊維束に溶融含浸させることができる。また、加熱圧着は、加圧ローラで連続的に行ってもよいし、金型に強化繊維束と液晶ポリマーフィルムを配置して加熱圧着するバッチ式であってもよい。
加熱圧着時において、液晶ポリマーは、液晶ポリマーの結晶融解温度+5~+50℃となるように加熱されるのが好ましく、より好ましくは結晶融解温度+5~+45℃、さらに好ましくは結晶融解温度+10~+40℃となるように加熱されるのがよい。この範囲とすることで、熱分解により液晶ポリマーの劣化を防止できる。また、液晶ポリマーの粘度が下がり、液晶ポリマーの強化繊維間への含浸性を高めることができる。加熱圧着は2回以上繰り返して行ってもよい。
加熱圧着した後、冷却ローラや空冷(自然冷却を含む)など公知の手段で冷却することによって本発明の熱可塑性樹脂プリプレグが得られる。
このようにして得られた本発明の熱可塑性樹脂プリプレグは、界面せん断強度τ(MPa)に対する全界面せん断エネルギーE(×10-6J)の比(E/τ)は、E/τ>4.5であり、好ましくはE/τ>9であり、より好ましくはE/τ>10であり、さらに好ましくはE/τ>11である。
E/τが4.5以下であると、大変形時に層間剥離が生じるおそれがある。なお、通常、E/τの上限値は100である。なお、E/τが4.5より大きい熱可塑性樹脂プリプレグを用いた複合材料および部材も、同様に、大変形時に層間剥離を生じ難くすることができる。
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグの全界面せん断エネルギーE(×10-6J)は、E>80であり、好ましくはE>200であり、より好ましくはE>227であり、さらに好ましくはE>255である。
全界面せん断エネルギーEが80以下の場合、強化繊維が液晶ポリマーから引抜方向に剥がれた後の引抜方向の抵抗力が小さくなり、複合材料や部材の機械特性、特に靭性が弱くなるおそれがある。なお、全界面せん断エネルギーEの上限は2,000以下である。
本発明の熱可塑性樹脂プリプレグの界面せん断強度τ(MPa)は、τ>12であり、好ましくはτ>18であり、より好ましくはτ>19であり、さらに好ましくはτ>20である。
界面せん断強度τが12以下の場合、強化繊維が液晶ポリマーから引き抜かれやすく、複合材料や部材の機械特性が劣るおそれがある。なお、界面せん断強度τの上限は50以下である。
本明細書および特許請求の範囲において、「全界面せん断エネルギー(E)」とは、新創舎製ピンホール式単繊維・樹脂界面せん断強度試験機にて後述の条件下で測定し算出したものである。
本明細書および特許請求の範囲において、「界面せん断強度(τ)」とは、新創舎製ピンホール式単繊維・樹脂界面せん断強度試験機にて後述の条件で測定し算出したものである。
なお、本発明の熱可塑性樹脂プリプレグは、液晶ポリマーを強化繊維束に完全に溶融含浸させてなる含浸プリプレグであってもよいし、液晶ポリマーを完全には溶融含浸させず一部を溶融含浸させてなる半含浸プリプレグ(セミプレグ)であってもよい。
4.複合材料
本発明の複合材料は、上記の熱可塑性樹脂プリプレグを複数枚積層し、オートクレーブ成形、スタンピング成形(プレス成形)などの公知の成形手段によって、製造される。
複数枚の熱可塑性樹脂プリプレグを積層する際、強化繊維束の方向に基づいて一方向(0°)となるように積層してもよく、あるいは、二軸(0°/90°など)や多軸(0°/45°/90°/-45°など)など異なる方向となるように積層してもよい。
また、熱可塑性樹脂プリプレグを所定の大きさに裁断した複数個のプリプレグ片をランダムに配置してシート状に成形することもできる。このようにして成形したものを熱可塑性樹脂プリプレグとしてもよい。この場合、強化繊維は、連続繊維ではなくなるが、プリプレグ片の大きさによって、10mm以上の長繊維とすることもできるし、10mm未満の短繊維とすることもできる。
成形時の加熱温度は、液晶ポリマーの結晶融解温度+10~+70℃となるように設定するのが好ましく、+10~+60℃となるように設定するのがより好ましく、+10~+50℃となるように設定するのがさらに好ましい。この範囲にすることで、液晶ポリマーを熱分解による劣化を招くことなく、良好な含浸性を得ることができる。
このようにして得られた本発明の複合材料は、スポーツ用途、航空宇宙用途、自動車用途および一般産業用途などの各部材として使用することができる。
スポーツ用途の部材としては、例えば、ゴルフシャフト、釣り竿、ラケット(テニス、バトミントン、スカッシュ、ラクロスなど)、スティック(ホッケーなど)、ポールなどが挙げられる。
航空宇宙用途の部材としては、例えば、主翼、尾翼およびフロアビーム等の航空機一次構造材用途向け部材、フラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材など、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材用途向け部材などが挙げられる。
自動車用途の部材としては、構造材(プラットホームなど)、外板(フロントエプロン、フード、ルーフ、ピラー、トランクリッド、ドア、フェンダー、サイドミラーカバーなど)、空力部材(フロントエアダム、リアスポイラー、サイドエアダム、エンジンアンダーカバーなど)などが挙げられる。
一般産業用途の部材としては、例えば、乗物(船舶、鉄道車両など)の構造材、ドライブシャフト、板バネ、風車ブレード、各種タービン、圧力容器、フライホイール、産業用ローラ、屋根材、土木・建築材料用途向け部材などが挙げられる。
以下、強化繊維束の一例として炭素繊維束を用いた実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
実施例において、結晶融解温度、溶融粘度、重量平均分子量、全界面せん断エネルギー、界面せん断強度、引張強度、引張弾性率、曲げ強度、曲げ弾性率、炭素繊維束の含有量、複合材料中の層間剥離の有無およびボイドの程度は、以下に記載の方法で測定した。
(1)結晶融解温度
示差走査熱量計としてセイコーインスツルメンツ(株)製Exstar6000を用い、室温から20℃/分の昇温条件で測定した際に観測される吸熱ピーク温度(Tm1)の観測後、Tm1より20~50℃高い温度で10分間保持した。次に、20℃/分の降温条件で室温まで試料を冷却し、その際に観測される発熱ピークのピークトップの温度を液晶ポリマーの結晶化温度(Tc)とし、さらに、再度20℃/分の昇温条件で測定した際の吸熱ピークを観測し、そのピークトップを示す温度を液晶ポリマーの結晶融解温度(Tm)とした。
(2)溶融粘度
溶融粘度測定装置(東洋精機(株)製キャピログラフ1D)により、0.7mmφ×10mmのキャピラリーを用いて、以下の条件で溶融粘度を測定した。
せん断速度1,000sec-1の条件下、LCP-1~LCP-3の測定温度は320℃であり、LCP-4の測定温度は360℃である。
(3)重量平均分子量
ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)により、溶媒としてペンタフルオロフェノール/クロロホルムの混合溶媒を用い、測定温度23度、示差屈曲計で検出し、ポリスチレン換算分子量として求めた。
(4)全界面せん断エネルギー
新創舎製ピンホール式単繊維・樹脂界面せん断強度試験機にて以下の条件で測定し算出したものである。
より具体的には、試験機により計測された荷重と変位の関係から、荷重-変位線図を作成し、その全積分値を全界面せん断エネルギーとする。
(条件)
・繊維埋込み深さ:80μm
・引抜速度 :0.03mm/min
・埋込み温度
310℃:LCP-1、LCP-2、LCP-3
330℃:LCP-4
(5)界面せん断強度
新創舎製ピンホール式単繊維・樹脂界面せん断強度試験機にて上記の条件で測定し、下記の式により算出したものである。なお、ここでは、界面せん断強度τは平均値としている(n=20)
τ=F/(π×d×L)
ここで、
F:試験機により計測された荷重F
L:試験機により計算された埋込み長さ
d:繊維径
(6)引張強度および引張弾性率
長さ250.0mm、幅12.0mm、厚さ1.0mmの短冊状試験片について、ASTM D638に準拠して測定した。
(7)曲げ強度および曲げ弾性率
長さ150.0mm、幅15.0mm、厚さ2.0mmの短冊状試験片について、ASTM D790に準拠して測定した。
(8)炭素繊維束の含有量
熱可塑性樹脂プリプレグについて、JIS K7075に準じ、バーナーを用いて液晶ポリマーを除去し、炭素繊維束の含有量(質量部)を測定した。
(9)層間剥離の有無
曲げ強度および曲げ弾性率の測定後の試験片の破断部位について、TD方向から目視で観察し、層間剥離が観察された場合は「あり」、観察されなかった場合は「なし」とした。
(10)ボイドの程度
曲げ強度および曲げ弾性率の測定に用いた試験片について、MDおよびTD方向に10.0mm角に切断し、エポキシ樹脂に包埋し硬化させた。得られた試験片を研磨して、MDおよびTD断面方向にそれぞれ炭素繊維束を露出させた後、キーエンス(株)製VHX-5000を用いて、倍率100倍にて断面を観察した。
観察範囲にて、ボイドが確認されなければ○、ボイドが1~10箇所であれば△、ボイドが11箇所以上であれば×とした。
実施例および比較例において、下記の略号は以下の化合物を表す。
LCP:液晶ポリマー
POB:4-ヒドロキシ安息香酸
BON6:6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸
HQ:ハイドロキノン
BP:4,4’-ジヒドロキシビフェニル
TPA:テレフタル酸
IPA:イソフタル酸
CF:炭素繊維束
(炭素繊維束)
炭素繊維束として、PAN系炭素繊維束(帝人(株)製、HTS40、単繊維本数12,000、エポキシ系化合物サイジング処理)から、予めアセトン洗浄によりサイジング剤を除去したものを使用した。
(LCPの合成)
[合成例1(LCP-1)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB:655.4g(73モル%)およびBON6:330.2g(27モル%)を仕込み、さらに全単量体の水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
窒素ガス雰囲気下に室温から150℃まで1時間で昇温し、同温度にて30分間保持した。次いで、副生する酢酸を留去しながら210℃まで速やかに昇温し、同温度にて30分間保持した。その後、325℃まで5時間かけて昇温した後、90分かけて20mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたLCPペレットの結晶融解温度(Tm)は280℃、重量平均分子量は197,000、溶融粘度は24Pa・sであった。
[合成例2(LCP-2)]
重合終了時のトルク値を変更した以外は合成例1と同様に重合し、LCPペレットを得た。得られたLCPペレットの結晶融解温度(Tm)は280℃、重量平均分子量は240,000、溶融粘度34Pa・sであった。
[合成例3(LCP-3)]
重合終了時のトルク値を変更した以外は合成例1と同様に重合し、LCPペレットを得た。得られたLCPペレットの結晶融解温度(Tm)は280℃、重量平均分子量は265,000、溶融粘度40Pa・sであった。
[合成例4(LCP-4)]
トルクメーター付き攪拌装置および留出管を備えた反応容器に、POB:538.7g(60モル%)、BP:242.1g(20モル%)、TPA:162.0g(15モル%)およびIPA:54.0g(5モル%)を仕込み、さらに全単量体の水酸基量(モル)に対して1.03倍モルの無水酢酸を仕込み、次の条件で脱酢酸重合を行った。
窒素ガス雰囲気下に室温から145℃まで1時間かけて昇温し、145℃で30分保持した。次いで、副生する酢酸を留出させつつ350℃まで7時間かけて昇温した後、80分かけて5mmHgにまで減圧した。所定のトルクを示した時点で重合反応を終了し、反応容器から内容物を取り出し、粉砕機により液晶ポリマーのペレットを得た。重合時の留出酢酸量は、ほぼ理論値どおりであった。得られたLCPペレットの結晶融解温度(Tm)は320℃、重量平均分子量は155,000、溶融粘度は18Pa・sであった。
各実施例および比較例で使用したLCPの結晶融解温度、溶融粘度、重量平均分子量、ならびに炭素繊維束のサイズ付着量を表1に示す。
(実施例1)
LCP-1を、単軸押出機を用いて設定温度300℃でTダイから押出して、厚さ50μmの液晶ポリマーフィルムを得た。
この液晶ポリマーフィルムを、一方向に引き揃えて連続供給した炭素繊維束の両側に重ね合わせ、ヒートロールで290℃、0.1kPaで加熱加圧することによって、厚さ160μmの熱可塑性樹脂プリプレグを得た。この熱可塑性樹脂プリプレグにおける炭素繊維束の含有量は、LCP100質量部に対して100質量部であった。なお、使用した炭素繊維束のサイズ付着量は0.1%であった。
この熱可塑性樹脂プリプレグを500×500mmのプリプレグ片に裁断し、プリプレグ片を一方向(0°)に7枚重ねて載置し、プレス機で2MPaの圧力を加えながら加熱し、金型温度が350℃に達した後、5MPaで40分間加熱加圧した。その後、金型間距離を1mmに保ち100℃になるまで放冷し、厚さ1mmの複合材料を作製した。
また、プリプレグ片を14枚重ねて載置し、金型間距離を2mmに保った以外は、上記と同様にして、厚さ2mmの複合材料を作製した。
厚さ1mmの複合材料から、長さ250.0mm(繊維方向)、幅12.0mm、厚さ1.0mmの短冊状試験片を切削し、これを引張試験用試験片とした。
また、厚さ2mmの複合材料から、長さ150.0mm(繊維方向)、幅15.0mm、厚さ2.0mmの短冊状試験片に切削し、これを曲げ試験用試験片とした。
この複合材料について、各試験の測定結果を表2に示す。
(実施例2)
LCP-2から実施例1と同様にして液晶ポリマーフィルムを得た。
この液晶ポリマーフィルムと一方向に引き揃えて連続供給した炭素繊維束とから、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂プリプレグを得た。使用した炭素繊維束のサイジング剤の付着量は0.1%であり、熱可塑性樹脂プリプレグにおける炭素繊維束の含有量は、実施例1と同じであった。
このプリプレグを用いて、実施例1と同様にして複合材料を作製した。この複合材料について、各試験の測定結果を表2に示す。
(実施例3)
LCP-2から実施例1と同様にして液晶ポリマーフィルムを得た。
この液晶ポリマーフィルムと一方向に引き揃えて連続供給した炭素繊維束とから、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂プリプレグを得た。使用した炭素繊維束のサイジング剤の付着量は0.5%であり、熱可塑性樹脂プリプレグにおける炭素繊維束の含有量は、実施例1と同じであった。
このプリプレグを用いて、実施例1と同様にして複合材料を作製した。この複合材料について、各試験の測定結果を表2に示す。
(実施例4)
LCP-2から実施例1と同様にして液晶ポリマーフィルムを得た。
この液晶ポリマーフィルムと一方向に引き揃えて連続供給した炭素繊維束とから、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂プリプレグを得た。使用した炭素繊維束のサイジング剤の付着量は0%であり、熱可塑性樹脂プリプレグにおける炭素繊維束の含有量は、実施例1と同じであった。
このプリプレグを用いて、実施例1と同様にして複合材料を作製した。この複合材料について、各試験の測定結果を表2に示す。
(実施例5)
LCP-3から実施例1と同様にして液晶ポリマーフィルムを得た。
この液晶ポリマーフィルムと一方向に引き揃えて連続供給した炭素繊維束とから、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂プリプレグを得た。使用した炭素繊維束のサイジング剤の付着量は0.1%であり、熱可塑性樹脂プリプレグにおける炭素繊維束の含有量は、実施例1と同じであった。
このプリプレグを用いて、実施例1と同様にして複合材料を作製した。この複合材料について、各試験の測定結果を表2に示す。
(比較例1)
LCP-4を、単軸押出機を用いて設定温度340℃でTダイから押出して、厚さ50μmの液晶ポリマーフィルムを得た。
この液晶ポリマーフィルムと一方向に引き揃えて連続供給した炭素繊維束とから、実施例1と同様にして熱可塑性樹脂プリプレグを得た。使用した炭素繊維束のサイジング剤の付着量は0.1%であり、熱可塑性樹脂プリプレグにおける炭素繊維束の含有量は、実施例1と同じであった。
このプリプレグを用いて、実施例1と同様にして複合材料を作製した。この複合材料について、各試験の測定結果を表2に示す。
(まとめ)
LCP-1、LCP-2およびLCP-3を使用して得られた実施例1~実施例5の複合材料は、いずれも層間剥離は確認されなかった。
LCP-1およびLCP-2を使用して得られた実施例1~実施例4の複合材料は、ボイドの程度も良好であった。
LCP-1およびLCP-2を使用して得られた実施例1~実施例4の複合材料は、曲げ強度、曲げ弾性率、引張強度および引張弾性率などの機械特性に優れるものであった。
一方、LCP-4を使用して得られた比較例1の複合材料は、層間剥離の発生が確認され、またボイドの程度に劣るものであった。
Figure 0007312548000003
Figure 0007312548000004

Claims (7)

  1. 液晶ポリマーと強化繊維束とを含有し、前記液晶ポリマーが前記強化繊維束に溶融含浸されてなる熱可塑性樹脂プリプレグであって、
    前記液晶ポリマーが、式(I)および(II)で表される繰返し単位を含み、
    Figure 0007312548000005
    前記強化繊維束が炭素繊維束であり、
    界面せん断強度τ(MPa)に対する全界面せん断エネルギーE(×10-6J)の比(E/τ)は、
    E / τ > 4.5
    である
    熱可塑性樹脂プリプレグ。
  2. せん断速度1,000s-1の条件下で測定した結晶融解温度+40℃における液晶ポリマーの溶融粘度が18~50Pa・sである
    請求項1に記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
  3. 液晶ポリマーが、式(I)および(II)で表される繰返し単位から構成される全芳香族液晶ポリエステルである
    請求項に記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
  4. 液晶ポリマーの結晶融解温度が315℃以下である
    請求項1~のいずれかに記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
  5. 液晶ポリマー100質量部に対して、強化繊維束5~300質量部を含有する
    請求項1~のいずれかに記載の熱可塑性樹脂プリプレグ。
  6. 請求項1~のいずれかに記載の熱可塑性樹脂プリプレグから成形されてなる複合材料。
  7. 請求項に記載の複合材料を含む航空宇宙用または自動車用の部材。
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