JP7311966B2 - 細菌細胞培養物中で多糖を生成するための培地および発酵方法 - Google Patents
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Description
細胞壁多糖を有する任意の細菌を、本発明に従って利用することができる。好ましい実施形態では、細菌は被包性細菌である。本発明に従って使用することができる被包性細菌の非限定的な例として、ストレプトコッカス・アガラクチア(S.agalactiae)および肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)等の連鎖球菌属の種、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、フェシウム菌(Enterococcus faecium)、ならびにエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)が挙げられる。より好ましい実施形態では、細菌は、細心の注意を要する成長要件を有する。細心の注意を要する細菌として、これらに限定されないが、連鎖球菌属の種(例えば、ストレプトコッカス・アガラクチア(S.agalactiae)および肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae))が挙げられる。
本発明は、細菌細胞培養物中での多糖の生成を最大化する多様な培地処方を提供する。
特に、細心の注意を要する細菌および/または細胞壁多糖を生成する細菌のための細菌細胞培養物はしばしば、複合培地、例として、Columbiaブロス、Luria-Bertani(LB)ブロス、Todd-Hewittブロス、GC培地、血液ブイヨンまたはブレインハートインフュージョンブロス中で成長させる。したがって、細菌の成長および多糖の生成を最大化するために、複合培地を開発した。一態様では、本発明は、植物加水分解産物、酵母抽出物および炭素供給源を含む複合培養培地に関する。
しかし、複合培地には、一貫性を欠く可能性があることを考慮して、化学的に限定された培地もまた、細菌の成長および多糖の生成を最大化するために検討した。驚くべきことに、出願人に独占所有権のある、哺乳動物細胞を培養する培地が、細胞の成長および多糖の生成の両方を予想外に高めることを発見した;これらの培地は、全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,294,484号に開示されている。具体的には、本発明者らは、約50mM超のアミノ酸の総濃度を有する限定培地が、細胞の成長および多糖の生成の両方を予想外に高めることを見出した。例示的な、哺乳動物細胞を培養する培地を、下記の表2に示す。本発明の培地処方と比較して、従来の培地処方は、比較的低いレベルの総アミノ酸から始まる。例えば、DME-F12として公知の、細胞を培養する従来の培地(ダルベッコ変法イーグル培地とハムF12培地との50:50の混合物)は、7.29mMのアミノ酸の総含有量を有し、RPMI-1640として公知の、細胞を培養する従来の培地は、6.44mMのアミノ酸の総含有量を有する(例えば、いずれも参照により本明細書に組み込まれている、H.J.Morton、In Vitro、6:89~108(1970);R.G.Ham、Proc.Nat.Assoc.Sci.(USA)、53:288~293(1965);G.E.Mooreら、J.Am.Medical Assn.、199:519~24(1967)を参照されたい)。
本発明は、多糖を生成する細菌を生育させるための発酵方法を提供する。一態様では、多糖の生成を最大化するために、本発明の生育方法を、本明細書に記載する複合培地および限定培地と組み合わせて使用する。
一実施形態では、本発明の方法における多糖を生成する細菌の成長は、少なくとも2つの相、すなわち、種の成長の相および発酵の相において進行する。まず種培養物を、ストック培養物、例えば、ワーキング細胞バンクからの植菌により成長させる。この種を使用して、第2の種培養物への植菌または比較的大きな発酵培養物への植菌のいずれかを行う。当技術分野で理解されているように、使用する種培養物の数は、例えば、発酵のステップのサイズおよび体積に依存し得る。
一実施形態では、上記に記載した複合培地および限定培地を使用する流加培養のシステムにおいて、多糖を生成する細菌細胞を培養する。流加システムでは、培養を、細胞を植菌して開始し、培養の間に少なくとも1つの栄養素を添加して補充し、細胞の収集を単回行って終結させる。一実施形態では、栄養素は、一定速度で添加する。
一実施形態では、灌流培養のシステムにおいて、多糖を生成する細菌細胞を培養する。上記に記載した複合培地および限定培地を使用する灌流培養において、最大の多糖生成を得ることができることを、発明者らは発見した。灌流システムの利点は、新鮮な培地を連続的に添加することができることである。さらに、このシステムでは、細胞生存率を維持しながら、代謝老廃物を、生成の間に除去することもできる。
本発明の限定培地
出願人に独占所有権のある、哺乳動物細胞を培養する限定培地(「R17」)を、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)を成長させるために改変して、「改変型AS3」培地(「mAS3」ともまた呼ぶ)を創製した。改変型AS3培地は、下記の表3の構成成分を用いて調合した。血清型4、5、6A、6B、14および23Fのために調製する培地は、30g/Lのデキストロースおよび0.6g/Lの硫酸マグネシウムを用いて調合した。血清型1、3、6B、7F、9V、18C、19Aおよび19Fの場合には、30g/Lのデキストロースを、リアクター中の培地に添加した。
市販されている限定培地と本発明の限定培地との比較
イーグル最小必須培地(EMEM)は、市販されている、細胞を培養する限定培地であり、GBSの多様な血清型を使用して、R17と比較試験した。嫌気的に成長させるGBSの炭酸水素ナトリウム必要量に適合するように、ラベルの使用説明から、それぞれの処方を改変した。また、細菌培養物中で達成可能なより高い細胞密度を支援するために、それぞれの培地に、高い濃度のグルコースも補充した。細菌用培地として改変したEMEM(「細菌用EMEM」)についての処方を、以下に示す:20.2g/LのEMEM粉体、1.17g/LのL-グルタミン、0.84g/Lの炭酸水素ナトリウム、および80g/Lのグルコース。GBSの成長のために、(実施例1の記載に従う)GBS mAS3の、mAS3の組成を特別に作り(以下、「GBS mAS3」)、これを以下に示す:(300mMの酸性シスチン原液に代わって)0.21g/LのL-システインHCl、(1mL/Lに代わって)2mL/Lの微量元素E、1000×、0.84g/Lの炭酸水素ナトリウム、および(25g/Lのデキストロース無水に代わって)80g/Lのグルコース。
複合培地と本発明の限定培地との比較
実施例1の記載に従う改変型AS3培地と大豆加水分解産物に基づく複合培地(BPDv3)とを、肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の多様な血清型について比較した。28g/LのHYPEP1510(Kerry Group Services Ltd.)、54g/Lのグルコース、3.5g/LのNaCl、0.7g/LのKH2PO4、0.0182g/LのCaCl2・2H2O、1g/LのMgSO4・7H2O、0.84g/LのNaHCO3、3g/Lの塩化アンモニウム、0.25g/Lのウリジン、0.25g/Lのアデノシン、0.03g/Lのナイアシンアミド、0.03g/LのピリドキシンHCl、0.0075g/Lのパントテン酸、および0.003g/LのPABAから、BPDv3を構成した。血清型12Fのための培地には、1g/Lのグルタミン酸一ナトリウムを補充し、血清型8のための培地は、0.5g/Lの塩化アンモニウムおよび36g/Lのグルコースを含有するように改変した。改変型AS3培地において、複合培地と比較して、多糖のタイターの一貫した改善は得られなかったが、改変型AS3培地は、ほとんど全ての血清型において成長の改善を示した(表7を参照されたい)。
アミノ酸の消費
GBS血清型IIIの発酵の過程の間のアミノ酸の消費の分析を実施して、アミノ酸が枯渇するかどうかを決定した。植菌前および収集時の(実施例2の記載に従う)GBS mAS3中のアミノ酸の濃度の分析を、表8に提示する。
枯渇したアミノ酸のさらなる分析
枯渇したアミノ酸のそれぞれの、成長の改善に対する重要性を、実験において評価し、この場合、GBSの血清型Vをモデルとして使用して、これら4種のそれぞれを培地から順次に除去した。グリシンが唯一、成長の改善に寄与することが予想外に見出された(表10を参照されたい)。
グリシンの濃度の比較
グリシン単独の添加に伴う、多糖の予想外に高い生成を考慮して、GBS mAS3処方への6mMのグリシンの添加で、最大の成長および多糖のタイターが得られるかどうかを決定するために、実験を実施した。この実験では、GBSの血清型Vをモデルとして使用して、0.15mM~123.2mMのグリシンの添加を比較した。下記の表13のデータから、わずか1.5mMのグリシンまたは61.6mMものグリシンの添加が、6mMのグリシンの添加で認められるのと同じ、多糖のタイターの改善を支援することが示されている。
GBS mAS3培地の非必須構成成分の決定
発酵の全体を通してかつ終点において炭素供給源が過剰にあることを保証するために、GBS mAS3処方、およびグリシンを含有する、実施例5および6のその誘導処方に、80g/Lのグルコースを含有させた。一般に、成長および多糖の生成が停止していた場合、約30g/Lのグルコースが、消費されずに残留していた(データ未公開)。したがって、より効率的な培地を得ることができるかどうかを決定するために、実験を実施した。GBSの血清型Vをモデルとして用いて、80g/L、70g/L、60g/Lおよび50g/Lのグルコースの濃度を有するグリシン補充GBS mAS3培地を試験した。50g/Lのグルコースの濃度により、残余のグルコースは生じず、また、多糖のタイターも損なわれないことが、下記の表14のデータから示されている。
ビタミンおよび塩/微量元素の消費
グリシン補充GBS mAS3培地中で、GBS血清型IIIをモデルとして使用して、残余のビタミンおよび塩/微量元素を、開始濃度と比して評価した。総数13種のビタミン、すなわち、ビオチン、コリンシアノコバラミン(choline cyanocobalamin)、葉酸、ナイアシン、ナイアシンアミド、ニコチンアミド、p-アミノ安息香酸、パントテン酸、ピリドキサール、ピリドキサミン、ピリドキシン、リボフラビンおよびチアミンについて調べた。発酵の間に、12種のアミノ酸は、濃度の顕著な変化を示さなかった。ナイアシンアミドは、発酵の過程の間に枯渇してゼロになることが見出されたが、ナイアシンの蓄積が伴うことにより、このビタミンファミリーは枯渇しないことが指し示されるであろう(データ未公開)。
mAS3opt50培地の処方
GBS mAS3培地おいて、グリシンおよびKClの増加、グルコースの濃度の減少、ならびにマグネシウム、アスパラギンおよびNaClの削除を組み込んで、培地を構成した(「mAS3opt50」)。GBSの血清型6種について、新しい処方を、GBS mAS3培地と比較して試験した。表19に示すように、改めて調合した培地は、成長、およびそれに伴う、多糖のタイターの実質的な改善をもたらす。
mAS3opt50における、多糖の収率に対するグリシンおよびKClの寄与
ドロップアウトのアプローチを使用して、mAS3opt50培地において、多糖の収率に対するグリシンおよびKClの補充の重要性を実証した。表20に示すデータから、いずれもが高い収率の支援において重要であることが明らかに示されている。
mAS3opt50の、複合培地および酵母抽出物を補充した複合培地との比較
開始複合培地(「HP」)は、大豆加水分解産物に基づく処方であった:28g/LのHYPEP1510(Kerry Group Services Ltd.)、3.5g/LのNaCl、0.7g/LのKH2PO4、0.0182g/LのCaCl2・2H2O、1g/LのMgSO4・7H2O、0.84g/LのNaHCO3、および80g/Lのグルコース。この培地中でのGBSの血清型6種の発酵は、mAS3opt50中よりも実質的に低い成長およびタイターをもたらした。したがって、HPに、限外ろ過された酵母抽出物であるAMBERFERM5902(Sensient Technologies Corp.)10g/Lを補充した(「HPYE」)。HPYE培地は、HP培地と比較して、細胞密度および多糖のタイターを実質的に改善していた。HPYEは、ほとんど全ての血清型において、mAS3opt50と比較して、成長の増加を示し、一方、HPYE培地中の多糖のタイターは、若干より低かった。全てのデータを、下記の表21に示す。
複合培地中の酵母抽出物の量の増減
最適な成長および多糖の生成をもたらすために、酵母抽出物の量の増減を実施して、補充する酵母抽出物の濃度を決定した。GBSの血清型Vをモデルとして使用して、酵母抽出物の補充の効果を、AMBERFERM5902(Sensient Technologies Corp.)を0g/L、2.5g/L、5g/L、10g/L、20g/Lおよび40g/Lで用いて判定した。表22に示すように、これらのデータから、わずか2.5g/Lの酵母による補充が、成長および莢膜多糖の生成を刺激するのに十分であることが示された。しかし、補充した酵母抽出物の最適濃度は、10g/Lであった;その理由は、より高い量を添加しても、追加の利益が得られなかったからである。
限定培地への酵母抽出物の補充
複合培地における、多糖のタイターに対する酵母抽出物による補充のプラスの影響を考慮して、GBS mAS3への、AMBERFERM5902(Sensient Technologies Corp.)による補充について調べる実験を実施した。限外ろ過された酵母抽出物を補充したGBS mAS3(「R17YE」)を、GBS mAS3およびmAS3opt50と比較した。R17への酵母抽出物の補充は、多糖のタイターを、GBS mAS3およびmAS3opt50の両方と比較して、劇的に改善した(表23を参照されたい)。
グルコースの一定したフィードによる発酵の分析
多様なGBSの血清型をモデルとして使用して、mAS3opt50培地を用いて、グルコースの一定したフィードを、多糖のタイターの支援におけるその効果について調べた。50g/Lのグルコースの回分と、グルコースのフィードによる発酵(10g/Lのグルコースを回分し、残りの40g/Lを、EFT3~4時間において開始して、一定速度で7時間かけてフィードした)とを比較すると、全ての血清型にわたり、同等の成長および多糖のタイターが得られることが示された(表25を参照されたい)。これ以外の、発酵を制御するパラメータは、実施例2で提示したパラメータであった。
HPYE培地およびGBS mAS3培地を用いるグルコース流加発酵
また、GBSの血清型Vをモデルとして使用して、HPYE培地およびGBS mAS3培地についての流加発酵も調べた。発酵を、10g/Lのグルコースを回分して開始し、次いで、EFT3~4時間後に、70g/Lのグルコースを、5時間かけてフィードした。これ以外には、実施例2の記載に従って、発酵物を調合した。表26に提示するデータから、流加のアプローチは、GBS mAS3について、回分のアプローチと比して、ほぼ同等の生産性をもたらすことが示されている。HPYEにおいて、フィードするアプローチは、多糖の生成を支援するが、生産性は、回分よりも若干低い。
灌流発酵
肺炎連鎖球菌(S.pneumoniae)の血清型13種に対して、実施例1に記載した改変型AS3培地を使用する灌流実験を実施した。培地に植菌し、2Lのバイオリアクター中の回分モードで、OD600が3~7に達するまで約4~10時間運転した。次いで、培養物を、灌流システムを通して循環させ、この場合、使用済みの培地および老廃物を除去し、新鮮な培地の導入により、培養物体積を保った。灌流を、0.13VVHの初速度で開始し、3~5時間かけて0.80VVHまで徐々に引き上げ、この時点で、灌流バッチを終了した。下記の表27に示すデータから、実施例1の回分発酵と比較して、バイオマスのレベルの顕著な増加、およびそれに対応する、多糖の生成の増加が示されている。
3種の異なる培地における、灌流による発酵方法と回分による発酵方法との比較
GBS mAS3またはHPYEをベースの培地として使用する灌流実験を実施した。1×の培地(0.5×のグルコースを含有する)に植菌し、(5Lの作業体積を)回分モードで約3時間運転した。ODが1~5ODに近づくと、0.5×の培地を用いる灌流を、0.13VVHの初速度で開始し、およそ1時間行った。速度を6~7時間かけて1.20VVHまで引き上げ、この時点で、灌流バッチを終了した。下記の表28に示す、GBS mAS3の灌流についてのデータから、回分モードに比して、細胞密度のおよそ1.4~2倍の増加、およびそれに伴う、多糖のタイター増加が示されている。
本発明の追加の実施形態を、以下の条項により記載する。
C1.多糖を生成する細菌細胞を培養する培地であって、植物加水分解産物、酵母抽出物および炭素供給源を含む培地。
C2.植物加水分解産物が、大豆加水分解産物である、C1に記載の培地。
C3.大豆加水分解産物が、HYPEP1510(Kerry Group Services Ltd.)、HYPEP4601(Kerry Group Services Ltd.)、HYPEP5603(Kerry Group Services Ltd.)、HY-SOY(Kerry Group Services Ltd.)、AMI-SOY(Kerry Group Services Ltd.)、N-Z-SOY(Kerry Group Services Ltd.)、N-Z-SOY BL4(Kerry Group Services Ltd.)、N-Z-SOY BL7(Kerry Group Services Ltd.)、SHEFTONE D(Kerry Group Services Ltd.)、SE50M、SE50MK、大豆ペプトン、BACTO soytone(Difco Laboratories Inc.)、NUTRISOY2207(ADM)、NUTRISOY(ADM)、NUTRISOY flour(ADM)および大豆ミールからなる群から選択される、C2に記載の培地。
C4.大豆加水分解産物が、HYPEP1510(Kerry Group Services Ltd.)である、C3に記載の培地。
C5.植物加水分解産物の濃度が、約5g/L~約75g/Lの間である、C1からC4のいずれか一項に記載の培地。
C6.植物加水分解産物の濃度が、約10g/L~約50g/Lの間である、C5に記載の培地。
C7.植物加水分解産物の濃度が、約28g/Lである、C6に記載の培地。
C8.酵母抽出物が、酵母自己溶解物、限外ろ過された酵母抽出物または合成酵母抽出物である、C1からC7のいずれか一項に記載の培地。
C9.酵母抽出物が、限外ろ過された酵母抽出物である、C8に記載の培地。
C10.限外ろ過された酵母抽出物が、AMBERFERM5902(Sensient Technologies Corp.)、BD DIFCO(BD Biosciences)、HYPEP YE(Kerry Group Services Ltd.)、ULTRAPEP YE(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST412(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST441(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST444(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST455(Kerry Group Services Ltd.)またはHY-YEST504(Kerry Group Services Ltd.)である、C9に記載の培地。
C11.酵母抽出物の濃度が、約1g/L~約50g/Lの間である、C1からC10のいずれか一項に記載の培地。
C12.酵母抽出物の濃度が、約5g/L~約25g/Lの間である、C11に記載の培地。
C13.酵母抽出物の濃度が、約10g/Lである、C12に記載の培地。
C14.炭素供給源が、グルコース、デキストロース、マンニトール、ラクトース、スクロース、フルクトース、ガラクトース、ラフィノース、キシロースおよびマンノースからなる群から選択される、C1からC13のいずれか一項に記載の培地。
C15.炭素供給源が、グルコースである、C14に記載の培地。
C16.炭素供給源の濃度が、約25g/L~約100g/Lの間である、C1からC15のいずれか一項に記載の培地。
C17.炭素供給源の濃度が、約50g/L~約90g/Lの間である、C16に記載の培地。
C18.炭素供給源の濃度が、約80g/Lである、C17に記載の培地。
C19.大豆加水分解産物、限外ろ過された酵母抽出物、およびグルコースを含む、C1からC18のいずれか一項に記載の培地。
C20.リン酸塩を含有する成分をさらに含む、C1からC19のいずれか一項に記載の培地。
C21.リン酸塩を含有する成分が、Na2HPO4、K2HPO4またはKH2PO4である、C20に記載の培地。
C22.少なくとも1種のアミノ酸、ビタミン、ヌクレオシドまたは無機塩をさらに含む、C1からC21のいずれか一項に記載の培地。
C23.多糖を生成する細菌細胞を培養する培地であって、約50mM超の総濃度のアミノ酸を有する培地。
C24.約1.5mM~約60.0mMの間の総濃度のグリシンを含む、C23に記載の培地。
C25.グリシンの総濃度が、約5.0mM~約15.0mMの間である、C24に記載の培地。
C26.グリシンの総濃度が、約7.5mMである、C25に記載の培地。
C27.約1.0mM~約30.0mMの間の総濃度のアルギニンを含む、C23からC26のいずれか一項に記載の培地。
C28.アルギニンの総濃度が、約1.0mM~約20.0mMの間である、C27に記載の培地。
C29.アルギニンの総濃度が、約4.0mMである、C28に記載の培地。
C30.約0.1mM~約5.0mMの間の総濃度のシステインを含む、C23からC29のいずれか一項に記載の培地。
C31.システインの総濃度が、約0.1mM~約3.5mMの間である、C30に記載の培地。
C32.システインの総濃度が、約0.4mMである、C31に記載の培地。
C33.約5.0mM~約75.0mMの間の総濃度のセリンを含む、C23からC32のいずれか一項に記載の培地。
C34.セリンの総濃度が、約5.0mM~約15.0mMの間である、C33に記載の培地。
C35.セリンの総濃度が、約7.5mMまたは約10mMである、C34に記載の培地。
C36.約1.0mM~約30.0mMの間の総濃度のグルタミンを含む、C23からC35のいずれか一項に記載の培地。
C37.グルタミンの総濃度が、約1.0mM~約20.0mMの間である、C36に記載の培地。
C38.グルタミンの総濃度が、約4.0mMである、C37に記載の培地。
C39.約0.1mM~約5.0mMの間の総濃度のチロシンを含む、C23からC38のいずれか一項に記載の培地。
C40.チロシンの総濃度が、約1.0mM~約3.5mMの間である、C39に記載の培地。
C41.チロシンの総濃度が、約2.9mMまたは約3.0mMである、C40に記載の培地。
C42.約5.0mM~約50.0mMの間の総濃度のアスパラギンを含む、C23からC41のいずれか一項に記載の培地。
C43.アスパラギンの総濃度が、約10.0mM~約30.0mMの間である、C42に記載の培地。
C44.アスパラギンの総濃度が、約20.0mMである、C43に記載の培地。
C45.アスパラギンを含有しない、C23からC41のいずれか一項に記載の培地。
C46.カリウム塩をさらに含む、C23からC45のいずれか一項に記載の培地。
C47.カリウム塩が、塩化カリウムまたは硫酸カリウムである、C46に記載の培地。
C48.カリウム塩の総濃度が、約0.1g/L~約25g/Lの間である、C46からC47のいずれか一項に記載の培地。
C49.カリウム塩の総濃度が、約0.2g/L~約1.25g/Lの間である、C48に記載の培地。
C50.カリウム塩の総濃度が、約0.9g/Lである、C49に記載の培地。
C51.炭素供給源をさらに含む、C23からC50のいずれか一項に記載の培地。
C52.炭素供給源が、グルコース、デキストロース、マンニトール、ラクトース、スクロース、フルクトース、ガラクトース、ラフィノース、キシロースおよびマンノースからなる群から選択される、C51に記載の培地。
C53.炭素供給源が、グルコースである、C52に記載の培地。
C54.約25g/L~約100g/Lの間の総濃度の炭素供給源を含む、C51からC53のいずれか一項に記載の培地。
C55.炭素供給源の総濃度が、約25g/L~約80g/Lの間である、C54に記載の培地。
C56.炭素供給源の総濃度が、約50g/Lである、C55に記載の培地。
C57.炭酸水素ナトリウムをさらに含む、C23からC56のいずれか一項に記載の培地。
C58.約0.1g/L~約20g/Lの間の濃度の炭酸水素ナトリウムを含む、C57に記載の培地。
C59.炭酸水素ナトリウムの濃度が、約0.5g/L~約1.0g/Lの間である、C58に記載の培地。
C60.炭酸水素ナトリウムの濃度が、約0.84g/Lである、C59に記載の培地。
C61.酵母抽出物をさらに含む、C23からC60のいずれか一項に記載の培地。
C62.酵母抽出物が、酵母自己溶解物、限外ろ過された酵母抽出物および合成酵母抽出物からなる群から選択される、C61に記載の培地。
C63.酵母抽出物が、限外ろ過された酵母抽出物である、C62に記載の培地。
C64.限外ろ過された酵母抽出物が、AMBERFERM5902(Sensient Technologies Corp.)、BD DIFCO(BD Biosciences)、HYPEP YE(Kerry Group Services Ltd.)、ULTRAPEP YE(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST412(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST441(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST444(Kerry Group Services Ltd.)、HY-YEST455(Kerry Group Services Ltd.)またはHY-YEST504(Kerry Group Services Ltd.)である、C63に記載の培地。
C65.酵母抽出物の濃度が、約1g/L~約50g/Lの間である、C61からC64のいずれか一項に記載の培地。
C66.酵母抽出物の濃度が、約5g/L~約25g/Lの間である、C65に記載の培地。
C67.酵母抽出物の濃度が、約10g/Lである、C66に記載の培地。
C68.少なくとも約50mMのアミノ酸;カリウム塩、炭素供給源を含み、酵母抽出物を任意選択により含む、C23からC67のいずれか一項に記載の培地。
C69.少なくとも約50mMのアミノ酸、約5.0mM~約15.0mMの間のグリシン、約0.2g/L~約1.25g/Lの間のカリウム塩、約25g/L~約80g/Lの間の炭素供給源、および約5g/L~約25g/Lの間の酵母抽出物を含む、C68に記載の培地。
C70.少なくとも約60mMのアミノ酸、約7.5mMのグリシン、約0.9g/Lの塩化カリウム、50g/Lのグルコース、および約10g/Lの限外ろ過された酵母抽出物を含む、C69に記載の培地。
C71.多糖を生成する細菌を生育させる方法であって、a)C1からC70のいずれか一項に記載の培地をバイオリアクターに添加するステップと、b)培地に、多糖を生成する細菌を播種するステップと、c)細菌を、発酵により生育させるステップとを含み、前記生育が、培地への栄養素の一定速度での添加を含む、方法。
C72.栄養素が、炭素供給源である、C71に記載の生育方法。
C73.炭素供給源が、グルコースである、C72に記載の生育方法。
C74.生育させた細菌が、少なくとも9.0の細胞密度を示す、C71からC73のいずれか一項に記載の生育方法。
C75.生育させた細菌が、少なくとも約250mg/Lの多糖の濃度を示す、C71からC74のいずれか一項に記載の生育方法。
C76.多糖を生成する細菌が、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、フェシウム菌(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)からなる群から選択される、C71からC75のいずれか一項に記載の生育方法。
C77.多糖を生成する細菌を生育させる方法であって、a)C1からC70のいずれか一項に記載の培地をバイオリアクターに添加するステップと、b)培地に、多糖を生成する細菌を播種するステップと、c)細菌を、灌流により生育させるステップとを含み、生育が、(i)培養物から、使用済みの培地を除去すること、(ii)新鮮な培地を添加すること、および(iii)細菌を保持することを含む、方法。
C78.灌流速度が、約0.07VVH~約2.00VVHの間である、C77に記載の生育方法。
C79.灌流速度が、約0.67VVH~約1.33VVHの間である、C78に記載の生育方法。
C80.灌流速度が、約1.20VVHである、C79に記載の生育方法。
C81.灌流速度が可変である、C77に記載の生育方法。
C82.灌流を第1の速度で開始し、速度を第2の速度まで増加させる、C81に記載の生育方法。
C83.灌流を第1の速度で開始し、速度を第2の速度まで減少させる、C81に記載の生育方法。
C84.灌流の持続期間が、約1時間~約15時間の間である、C77からC83のいずれか一項に記載の生育方法。
C85.灌流の持続期間が、約1時間~約10時間の間である、C84に記載の生育方法。
C86.灌流の持続期間が、約7時間である、C85に記載の生育方法。
C87.生育させた細菌の細胞の成長が、回分発酵システムにおける細胞の成長よりも少なくとも2倍大きい、C77からC86のいずれか一項に記載の生育方法。
C88.生育させた細菌が、少なくとも20.0の細胞密度に達している、C77からC87のいずれか一項に記載の生育方法。
C89.生育させた細菌が、少なくとも約600mg/Lの多糖の濃度に達している、C77からC88のいずれか一項に記載の生育方法。
C90.多糖を生成する細菌が、ストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)、大腸菌(Escherichia coli)、サルモネラ・チフィ(Salmonella typhi)、インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)、フェシウム菌(Enterococcus faecium)およびエンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)からなる群から選択される、C77からC89のいずれか一項に記載の生育方法。
Claims (37)
- 肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)またはストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)を培養するための限定培地であって、ここで該限定培地は、タンパク質、加水分解物、または不明の組成の構成成分を含有しない無血清培地であり、アミノ酸の総量が少なくとも60mMであり、グリシンの総濃度が1.5mM~60mMの間であり、0.31g/L~24.31g/Lの塩化カリウムを含み、かつ炭素供給源を含む、多糖を生成する細菌細胞を培養する培地。
- 炭素供給源が、グルコース、デキストロース、マンニトール、ラクトース、スクロース、フルクトース、ガラクトース、ラフィノース、キシロースおよびマンノースからなる群から選択される、請求項1に記載の培地。
- 炭素供給源の濃度が、25g/L~100g/Lの間である、請求項1または2に記載の培地。
- 炭素供給源の濃度が、50g/L~90g/Lの間である、請求項3に記載の培地。
- リン酸塩を含有する成分をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の培地。
- リン酸塩を含有する成分が、Na2HPO4、K2HPO4またはKH2PO4である、請求項5に記載の培地。
- 少なくとも1種のビタミン、ヌクレオシドまたは無機塩をさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の培地。
- グリシンの総濃度が、5.0mM~15.0mMの間である、請求項1から7のいずれか一項に記載の培地。
- グリシンの総濃度が、7.5mMである、請求項8に記載の培地。
- 1.0mM~30.0mMの間の総濃度のアルギニンを含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の培地。
- アルギニンの総濃度が、1.0mM~20.0mMの間である、請求項10に記載の培地。
- 0.1mM~5.0mMの間の総濃度のシステインを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の培地。
- システインの総濃度が、0.1mM~3.5mMの間である、請求項12に記載の培地。
- 5.0mM~75.0mMの間の総濃度のセリンを含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の培地。
- セリンの総濃度が、5.0mM~15.0mMの間である、請求項14に記載の培地。
- セリンの総濃度が、7.5mMまたは10mMである、請求項15に記載の培地。
- 1.0mM~30.0mMの間の総濃度のグルタミンを含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の培地。
- グルタミンの総濃度が、1.0mM~20.0mMの間である、請求項17に記載の培地。
- 0.1mM~5.0mMの間の総濃度のチロシンを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の培地。
- チロシンの総濃度が、1.0mM~3.5mMの間である、請求項19に記載の培地。
- 5.0mM~50.0mMの間の総濃度のアスパラギンを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の培地。
- アスパラギンの総濃度が、10.0mM~30.0mMの間である、請求項21に記載の培地。
- 炭素供給源の総濃度が、25g/L~80g/Lの間である、請求項1から22のいずれか一項に記載の培地。
- 炭酸水素ナトリウムをさらに含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の培地。
- 0.1g/L~20g/Lの間の濃度の炭酸水素ナトリウムを含む、請求項24に記載の培地。
- 炭酸水素ナトリウムの濃度が、0.5g/L~1.0g/Lの間である、請求項25に記載の培地。
- 多糖を生成する、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)およびストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)から選択される細菌を生育させる方法であって、a)請求項1から26のいずれか一項に記載の培地をバイオリアクターに添加するステップと、b)培地に、多糖を生成する細菌を播種するステップと、c)細菌を、発酵により生育させるステップとを含み、前記生育が、培地への栄養素の添加を含む、方法。
- 栄養素が、炭素供給源である、請求項27に記載の生育方法。
- 炭素供給源が、グルコースである、請求項28に記載の生育方法。
- 生育させた細菌が、少なくとも250mg/Lの多糖の濃度を示す、請求項27から29のいずれか一項に記載の生育方法。
- 多糖を生成する、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)およびストレプトコッカス・アガラクチア(Streptococcus agalactiae)から選択される細菌を生育させる方法であって、a)請求項1から26のいずれか一項に記載の培地をバイオリアクターに添加するステップと、b)培地に、多糖を生成する細菌を播種するステップと、c)細菌を、灌流により生育させるステップとを含み、生育が、(i)培養物から、使用済みの培地を除去すること、(ii)新鮮な請求項1から26のいずれか一項に記載の培地を添加すること、および(iii)細菌を保持することを含む、方法。
- 灌流速度が、0.07VVH~2.00VVHの間である、請求項31に記載の生育方法。
- 灌流速度が、0.67VVH~1.33VVHの間である、請求項32に記載の生育方法。
- 灌流の持続期間が、1時間~15時間の間である、請求項31から33のいずれか一項に記載の生育方法。
- 灌流の持続期間が、1時間~10時間の間である、請求項34に記載の生育方法。
- 生育させた細菌の細胞の成長が、回分発酵システムにおける細胞の成長よりも少なくとも2倍大きい、請求項31から35のいずれか一項に記載の生育方法。
- 生育させた細菌の、600nmにおける光学密度(OD)により決定される細胞密度が、少なくとも20.0の細胞密度に達している、請求項31から36のいずれか一項に記載の生育方法。
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