JP7308707B2 - ゴルフスイング評価システム - Google Patents

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Description

本発明は、ゴルフスイング評価システムおよびゴルフスイング評価方法に関する。
従来、ゴルファーがクラブをスイングする際に種々の計測を行い、計測結果に基づいて、スイングを評価するシステムが、ゴルフのレッスンなどにおいて用いられている。
特許文献1には、クラブのグリップあるいはシャフトに慣性センサを取り付け、慣性センサの検出結果に基づき、クラブの移動軌跡およびシャフト軸周りに発生する回転角度を算出する技術が開示されている。また、特許文献2には、シャフト内の空洞における気体の圧力の変化を検出するセンサ、および、センサの検出結果に対するデータ処理を行うデータ処理回路などを、シャフト内に内蔵する技術が開示されている。
特許第6255738号 特表2014-530047号公報
特許文献1に開示されている技術では、クラブへのセンサの取り付けという煩雑な作業が発生するとともに、センサの取り付けによるクラブの重量変化により、ゴルファーがスイングに違和感を感じるという問題がある。また、特許文献2に開示されている技術では、ゴルファーが通常使用するクラブにセンサを内蔵することは困難である。
上記のような問題点に鑑みてなされた本発明の目的は、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる、ゴルフスイング評価システムおよびゴルフスイング評価方法を提供することにある。
本発明の一態様としてのゴルフスイング評価システムは、ゴルファーによるクラブのスイングを評価するゴルフスイング評価システムであって、前記ゴルファーによる前記クラブのスイング中の前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する、第1取得手段と、前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、前記ゴルファーの手に対する前記クラブの姿勢、および、前記クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定手段と、前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、前記推定手段による推定結果とに基づき、前記ゴルファーによる前記クラブのスイングを評価する、評価手段と、を備える。
上記構成を有することにより、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる。
本発明に係るゴルフスイング評価システムにおいて、前記推定手段は、前記ゴルファーの手に関する位置座標データと、予め設定された前記クラブの姿勢とに基づき、前記クラブの所定部位の位置を推定することが好ましい。
上記構成を有することにより、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの所定部位の位置を推定することができる。
本発明に係るゴルフスイング評価システムにおいて、前記推定手段は、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき決定される、前記ゴルファーの右手首の位置と左手首の位置との中点である第1の中点と、前記ゴルファーの右手の中心の位置と左手の中心の位置との中点である第2の中点とに基づき、前記クラブの姿勢を推定することが好ましい。
上記構成を有することにより、ゴルファーによる実際のクラブの握り方に応じたクラブの姿勢を推定することができる。
Figure 0007308707000001
Figure 0007308707000002
本発明に係るゴルフスイング評価システムにおいて、前記推定手段は、所定の位置に設定された対象に対して前記ゴルファーがスイングを行った際に、前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき決定される、前記ゴルファーの左手の中心の位置と右手の中心の位置との中点の位置と、前記対象の位置とに基づき、前記クラブの姿勢を推定することが好ましい。
上記構成を有することにより、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する位置座標データと、対象の位置とに基づき、クラブの姿勢を推定することができる。
本発明に係るゴルフスイング評価システムにおいて、前記スイング中のゴルファーの床反力データを取得する、第2取得手段をさらに備え、前記評価手段は、前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、前記推定手段による推定結果と、前記第2取得手段により取得された、前記床反力データと、人体を複数の剛体要素と剛体要素同士を接続する関節要素とで表わす、剛体リンクモデルとに基づき、前記ゴルファーの関節ごとの関節トルクを算出し、前記算出したゴルファーの関節ごとの関節トルクおよび前記スイング中の前記ゴルファーの動作により生じた力の、前記クラブのヘッドスピードに対する寄与を前記ゴルファーの関節ごとに算出することが好ましい。
上記構成を有することにより、クラブのヘッドスピードに対するスイング中のゴルファーの関節ごとの寄与を、算出することができる。
本発明に係るゴルフスイング評価システムにおいて、前記第2取得手段は、前記ゴルファーのスイング中の動作情報に基づく、前記ゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力の推定により、前記床反力データを取得することが好ましい。
上記構成を有することにより、床反力を測定するための設備を用いずに、左右の脚それぞれに作用する床反力を推定することができるので、簡易な構成でゴルファーのスイングを評価することができる。
本発明に係るゴルフスイング評価システムにおいて、前記評価手段は、複数のスイングそれぞれについての評価結果を比較可能に表示部に表示することが好ましい。
上記構成を有することにより、複数のスイング間での評価結果の比較を容易に行うことができる。
本発明の一態様としてのゴルフスイング評価システムは、ゴルファーによるクラブのスイングを評価するゴルフスイング評価システムであって、前記ゴルファーによる前記クラブのスイング中の前記ゴルファーの身体の所定部位の動作データを取得する、第3取得手段と、前記第3取得手段により取得された、前記ゴルファーの手に関する動作データに基づき、前記ゴルファーの手に対する前記クラブの姿勢、および、前記クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定手段と、前記第3取得手段により取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の動作データと、前記推定手段による推定結果とに基づき、前記ゴルファーによる前記クラブのスイングを評価する、評価手段と、を備える。
上記構成を有することにより、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する動作データに基づき、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる。
本発明の一態様としてのゴルフスイング評価方法は、ゴルファーによるクラブのスイングを評価するゴルフスイング評価方法であって、前記ゴルファーによる前記クラブのスイング中の前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する、取得ステップと、前記取得ステップで取得された、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、前記ゴルファーの手に対する前記クラブの姿勢、および、前記クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定ステップと、前記取得ステップで取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、前記推定ステップによる推定結果とに基づき、前記ゴルファーによる前記クラブのスイングを評価する、評価ステップと、を含む。
上記構成を有することにより、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる。
本発明の一態様としてのゴルフスイング評価方法は、ゴルファーによるクラブのスイングを評価するゴルフスイング評価方法であって、前記ゴルファーによる前記クラブのスイング中の前記ゴルファーの身体の所定部位の動作データを取得する、取得ステップと、前記取得ステップで取得された、前記ゴルファーの手に関する動作データに基づき、前記ゴルファーの手に対する前記クラブの姿勢、および、前記クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定ステップと、前記取得ステップで取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の動作データと、前記推定ステップによる推定結果とに基づき、前記ゴルファーによる前記クラブのスイングを評価する、評価ステップと、を含む。
上記構成を有することにより、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する動作データに基づき、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる。
本発明によれば、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる、ゴルフスイング評価システムおよびゴルフスイング評価方法を提供することができる。
本発明の一実施形態に係るゴルフスイング評価システムの構成例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るゴルフスイング評価システムの他の構成例を示す図である。 ゴルファーへのマーカーの取り付け例を示す図である。 図1に示す評価部が算出する関節トルクの一例を示す図である 図1に示すゴルフスイング評価システムの動作の一例を示すフローチャートである。 図1に示すゴルフスイング評価システムの動作の他の一例を示すフローチャートである。 クラブを握るゴルファーの左右の手を左横から見た図である。 クラブを握るゴルファーの左右の手を右横から見た図である。 クラブを握るゴルファーの左右の手を左斜め前から見た図である。 クラブを握るゴルファーの左右の手を正面から見た図である。 図1に示す推定部の動作の一例を説明するための図である。 図1に示す推定部の動作の他の一例を説明するための図である。 図1に示す推定部の動作のさらに別の一例を説明するための図である。 図1に示す推定部の動作のさらに別の一例を説明するための図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して例示説明する。各図中、同一符号は、同一または同等の構成要素を示している。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るゴルフスイング評価システム10の構成例を示す図である。本実施形態に係るゴルフスイング評価システム10は、例えば、ゴルフのレッスンにおいて、ゴルファーによるクラブのスイングを評価するものである。
図1Aに示すゴルフスイング評価システム10は、第1取得手段としての第1取得部11と、第2取得手段としての第2取得部12と、推定手段としての推定部13と、評価手段としての評価部14と、表示部15とを備える。
第1取得部11は、ゴルファーによるクラブのスイング中の、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する。第1取得部11は、取得したゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを評価部14に出力する。また、第1取得部11は、取得した位置座標データのうち、少なくともゴルファーの手に関する位置座標データを推定部13に出力する。第1取得部11は、例えば、スイング中のゴルファを撮影した複数のカメラの映像から位置座標データを取得する。また、第1取得部11は、例えば、モーションキャプチャ、慣性センサなどを用いて位置座標データを取得する。
モーションキャプチャを用いる場合、例えば、図2に示すように、ゴルファーの身体の所定部位にマーカーを取り付ける。図2においては、身体の34箇所にマーカーM01~M34を取り付けた例を示している。本実施形態においては、ゴルファーの身体の所定部位にのみマーカーを取り付け、クラブにはマーカーを取り付けなくてもよい。そのため、クラブへのマーカーの取り付けという煩雑な作業が発生することがない。また、クラブにはマーカーを取り付けていないため、ゴルファーがスイング中に違和感を感じることも無い。
ゴルファーの身体にマーカーを取り付けた状態で、ゴルファーのスイングを、周囲から複数(例えば、10台以上)のモーションキャプチャカメラで、所定のサンプリングレート(例えば、100Hz以上)で撮影する。第1取得部11は、各モーションキャプチャカメラの撮影画像から各マーカーの位置座標を特定することで、スイング中の、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する。
慣性センサを用いる場合、ゴルファーの身体の所定部位に慣性センサを取り付ける。モーションセンサを用いる場合と同様に、本実施形態においては、ゴルファーの身体の所定部位にのみ慣性センサを取り付け、クラブには慣性センサを取り付けなくてもよい。そのため、クラブへの慣性センサの取り付けという煩雑な作業が発生することがない。また、クラブには慣性センサを取り付けていないため、ゴルファーがスイング中に違和感を感じることも無い。
第1取得部11は、スイング中の各慣性センサの測定結果から、スイング中のゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得(推定)する。モーションキャプチャを用いる場合、ゴルファーの身体にマーカーを取り付け、スイングの様子を多数のモーションキャプチャカメラで撮影するために、大規模な設備が必要となるだけでなく、専用のスーツの着用、および、カメラのキャリブレーションなど、データの取得に多大な手間および時間を要する。一方、慣性センサを用いる場合、ゴルファーの身体に慣性センサを取り付け、慣性センサの位置座標を取得するだけでよい。そのため、モーションキャプチャを使用する場合と比較して、非常に簡易な構成で、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得することができる。
図1Bは、本発明の一実施形態に係るゴルフスイング評価システム10の他の構成例を示す図である。図1Aに示す第1取得部11は、図1Bに示すように、第3取得部16に置き換えることができる。第1取得部11で取得する位置座標データは、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標と座標の時間変化の情報とを持つ。そこで、予め作成しておいた位置座標の情報を含んだ既存の剛体リンクモデルと、ゴルファーの身体の所定部位に取り付けた慣性センサで得られた動作データ(慣性センサデータ)とを組み合わせることで、第1取得部11を第3取得部16に置き換えることができる。
予め準備(作成)しておいた剛体リンクモデルを使用し、動作を慣性センサなどで捕捉する場合、位置座標ではなくセグメントの姿勢を取得してもよい。こうすることで、位置座標から剛体リンクモデルを作成する方法に比べ、マーカーの貼付箇所のずれ、あるいは、カメラに起因する誤差などを排除することができる。また、大規模な設備が必要なく、カメラのキャリブレーションなどの初期設定を簡易化することができるため、実施者が場所を選ばずに実施することが可能となる。
剛体リンクモデルとは、人体を複数の剛体要素(セグメント)と、剛体要素同士を接続する関節要素とで表わすモデルである。それぞれの剛体要素に座標の情報を与えておいてもよいし、センサから取得した座標を入力してもよい。予め準備(作成)しておいた単一の身体モデルを使用する場合、システムを簡素化することで、計算時間の短縮を図ることができる。予め準備しておいた複数の身体モデルを使用する場合は、複数の身体モデルの中から、ゴルファーの身長、性別、体重といった属性から、ゴルファーに適切な身体モデルを適宜選択できる。
慣性センサデータは、ゴルファーの身体の所定部位に取り付けた慣性センサの移動量あるいは姿勢を検出するもので、3軸加速度センサあるいは3軸角速度センサなどにより検出される。例えば、Noitom社製 Perception Neuronなどが使用できる。これらのセンサは、市販される汎用センサであり、研究者に限らず、広く使用されている。これらのセンサでスイング動作中の位置座標、速度、角速度など、様々なデータを取得することができる。図1Aに示すゴルフスイング評価システム10において、位置座標データを用いて剛体リンクモデルを作成し、解析システムを実行することもができる。ただし、図1Bに示すゴルフスイング評価システム10のように、予め準備しておいた剛体リンクモデルを使用することで、大規模な設備を使用することなく、また、インストラクターがセンサを身体計測点に取り付ける技量の差が結果に影響しにくくなるので、店舗などで簡易に利用できるようになる。
前述したPerception Neuronに付属するソフトには、アバターを用いたアニメーションの作成用に、人体のモデルがデフォルトで設定されている。この人体モデルは、身体各部(セグメント)の長さ、関節位置および初期姿勢が事前に決定されており、各セグメントの時々刻々の姿勢をセンサで取得することによってリアルタイムで全身の動作を再現することができる。姿勢の取得は、隣接するセグメントのなす相対角度(オイラー角)またはクオータニオンなどを取得すればよい。これらのデータから各セグメントの姿勢を、決定された右股関節の位置から身体の遠位方向へ順に計算することにより、人体のモデル全体の姿勢が得られ、そこからスイングに伴って時々刻々の身体各部の変位も推定することが可能となる。
図1Aを再び参照すると、第2取得部12は、スイング中のゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力についてのデータ(床反力データ)を取得し、評価部14に出力する。第2取得部12は、例えば、フォースプレートを用いて、床反力データを取得してよい。フォースプレートを用いる場合、2枚のフォースプレートを用意し、一方に右足を載せ、他方に左足を載せた状態でゴルファーがスイングすることで、第2取得部12は、床反力データを取得することができる。第2取得部12は、床反力データとして、例えば、ゴルファーのスイングにより、フォースプレートに加えられる力およびモーメントを取得してよい。また、第2取得部12は、床反力データとして、例えば、鉛直軸回りの摩擦によって発生するモーメント(フリーモーメント)、ゴルファーの足圧中心の位置(COP(Center of pressure)位置)を取得してよい。
第2取得部12は、フォースプレートなどの設備を用いる代わりに、例えば、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データなどの動作情報に基づき床反力を推定して、床反力データを取得してもよい。より具体的には、第2取得部12は、動作情報と、剛体リンクモデルと、身体部分慣性係数とに基づき、ゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定してよい。身体部分慣性係数は、身体部分の質量、質量中心位置、慣性モーメントなどの慣性特性に関する情報を示す。身体部分慣性係数は、種々の測定などにより、予め求められている。
以下では、第2取得部12による床反力の推定について、より詳細に説明する。
第2取得部12は、例えば、動作情報として取得されたゴルファーの身体の所定部位の位置座標データ(三次元位置座標)と、後述する推定部13により推定されたクラブの所定部位の位置座標データと、身体質量情報と、接地点の推定値とに基づき、モーメントの釣り合いを用いて、ゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定してよい。身体質量情報とは、ゴルファーの身長、体重などの情報である。また、接地点とは、ゴルファーの左右の脚が接する床面上の位置である。第2取得部12は、ゴルファーの身体の所定部位およびクラブの所定部位の位置座標データと、剛体で身体各部をモデル化し、身体部分慣性係数を用いて求めたゴルファーの身体の各部の重心位置およびクラブの重心位置とに基づき、ゴルファーの身体重心、および、ゴルファーの身体とクラブとを含む系全体の重心位置を算出する。第2取得部12は、系全体の重心位置を2階微分することにより、加速度を算出する。ここで、ゴルファーに作用する床反力(左右合力)は、系全体の質量と系の重心加速度との積と一致すると考えることができる。
次に、第2取得部12は、床反力の左右分離(左右の脚それぞれに作用する床反力を求める)に当たり、ゴルファーの左右の脚の接地点の位置を推定する。ゴルフスイングにおいては、ゴルファーはスイング中、基本的に常に両足を接地している。そのため、系が左右の脚からどのような比率で床反力を受けているか、また、その際の圧力中心が基底面となる足底内のどの位置にあるのかを、フォースプレートなどの計測機器を用いずに知ることは一般に困難である。
そこで、第2取得部12は、簡便の為、つま先、踵あるいは足部重心位置からの相対位置として接地点の位置を推定する。こうすることで、第2取得部12は、未知数を減らし、左右各足の床反力を推定する。
ゴルファーのスイング中の床反力および接地点の位置について、左右の脚それぞれの接地点の位置を仮にCOP_R(xR,yR,zR)、COP_L(xL,yL,zL)とする。zR,zL(鉛直方向成分)は、両脚が接地している場合、床面の高さと一致することから常に0とする。左右の脚に作用する床反力を推定する際には、接地点の位置COP_R、COP_Lについては、例えば、足底内の常に決まった位置に床反力の入力代表点を定めてもよい。また、その他の接地点の位置として、例えば、スイングのアドレス期(静止)、バックスイング期(始動~トップ)、ダウンスイング期(トップ~インパクト直前)、インパクト以降の4区間に分けて、時間を変数とする3次以上の関数で近似した式を用いることができる。連続する区間の間では、左右の脚の接地点は、滑らかに連続することが望ましい。推定式の係数の決定には、例えば、複数のゴルファーの計測結果を用いてもよいし、過去のゴルファー自身の計測結果を用いてもよい。第2取得部12は、推定した接地点の位置を床反力の入力代表点として、系全体および身体の所定部位に作用する力と、モーメントの釣り合いの関係とから、ゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する。接地点を通る鉛直軸まわりの偶力モーメントは、計算の簡便のため、考慮しないものとしてもよい。
第2取得部12は、ゴルファーの身体およびクラブの所定部位の加速度データおよび角速度データと、ゴルファーの身体の各部の重心位置およびクラブの重心位置とに基づき、ゴルファーの身体の重心位置、および、ゴルファーの身体とクラブとを含む系全体の重心位置を算出し、上述した方法により、左右の脚それぞれに作用する床反力を推定してよい。
第2取得部12は、ゴルファーの身体の重心の加速度データおよび角速度データと、身体質量情報と、接地点の推定値とに基づき、ゴルファーの力の発揮パターンを用いて、ゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力を推定してよい。この場合、第2取得部12は、アドレス時(静止時)の値をオフセットするための基準姿勢とし、静止時の各部の位置および姿勢を取得する。そして、第2取得部12は、スイング開始後、基準姿勢からの変化を用いて、各部の重心位置および各部の姿勢の変位量を求め、上述した方法により、左右の脚それぞれに作用する床反力を推定する。
推定部13は、第1取得部11により取得された、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、ゴルファーの手に対するクラブの姿勢(三次元方向の角度)、および、クラブの所定部位(例えば、クラブのヘッド)の位置の少なくとも一方を推定する。推定部13は、推定結果を評価部14に出力する。推定部13による推定の詳細については後述する。
評価部14は、第1取得部11により取得された、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、推定部13による推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する。以下では、評価部14による評価の一例として、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、床反力データと、推定部13による推定結果と、剛体リンクモデルと、身体部分慣性係数とを用いた評価の例について説明する。評価部14による評価は、この例に限られるものではなく、推定部13による推定結果を用いた任意の評価であってよい。
評価部14は、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データ(または、ゴルファーの身体の所定部位の動作データ)と、床反力データと、推定部13による推定結果と、剛体リンクモデルと、身体部分慣性係数とに基づき、ゴルファーの関節ごとの関節トルクを算出する。
より詳細には、評価部14は、大きく分けて、キネマティクス(kinematics)計算と、キネティクス(kinetics)計算とを行う。評価部14は、キネマティクス計算として、例えば、セグメントの姿勢/角速度/角加速度、重心位置/重心速度/重心加速度などを算出する。また、評価部14は、キネティクス計算として、ゴルファーの各関節の関節トルク、等価トルク算出用のモーメントアーム(回転軸と力の作用線とを結んだ垂線)などを算出する。
まず、キネマティクス計算について説明する。評価部14は、位置座標データ(または動作データ)、および、既存剛体リンクモデルなどに基づき、逆動力学計算に必要な計算用のマーカー座標位置および各セグメントの姿勢などを算出する。逆動力学計算とは、計測で得られた動作を実現するために、各関節が発揮するトルクを算出する手法である。次に、評価部14は、算出したマーカー座標位置に基づき、剛体リンクモデルを作成し、各マーカーの速度/加速度を計算する。次に、評価部14は、Local座標系を設定し、算出した各マーカーの速度/加速度に基づき、Local座標系における、ゴルファーの身体を表わす剛体リンクモデルにおける各セグメントの姿勢/角速度/角加速度、重心位置/重心速度/重心加速度などを算出する。評価部14は、上述した各計算において、必要に応じて、身体部分慣性係数を用いる。
次に、キネティクス計算について説明する。評価部14は、床反力データ、および、キネマティクス計算で算出した各セグメントの角速度などに基づき、逆動力学計算を用いて、ゴルファーの関節ごとの関節トルクを算出する。評価部14は、例えば、図3に示すように、ゴルファーの首(Neck)、右肩(R.shoulder)、右肘(R.elbow)、右手首(R.wrist)、左肩(L.shoulder)、左肘(L.elbow)、左手首(L.wrist)、胴体(Torso)、右股関節(R.hip)、右膝(R.knee)、右足首(R.ankle)、左股関節(L.hip)、左膝(L.knee)、左足首(L.ankle)のそれぞれについて、3軸方向(X軸、Y軸、Z軸)の関節トルクを算出する。また、評価部14は、床反力データに基づき、ゴルファーのスイングにより生じた床反力を算出する。また、評価部14は、算出したトルクの等価トルク算出用のモーメントアームを計算する。
次に、評価部14は、算出したゴルファーの関節ごとの関節トルク、および、スイング中のゴルファーの動作により生じた力の、クラブのヘッドスピードに対する寄与を、ゴルファーの関節ごとに算出する。ゴルフにおいては、飛距離を伸ばすことが重要な要素の1つであり、飛距離を伸ばすためには、クラブのヘッドスピードを上げることが重要である。したがって、クラブのヘッドスピードに対して、ゴルファーの各関節がどのように寄与をしているかを分析することは非常に有用である。クラブのヘッドスピードに対する関節の寄与とは、各関節によりクラブのヘッドに与えられる加速度、運動エネルギーなどを指す。
Figure 0007308707000003
Figure 0007308707000004
評価部14は、式(2),(3)におけるC1,C2,hを計算する。これらの計算は当業者によく知られているため、詳細な説明は省略する。
Figure 0007308707000005
Figure 0007308707000006
Figure 0007308707000007
Figure 0007308707000008
Figure 0007308707000009
Figure 0007308707000010
Figure 0007308707000011
図1Aを再び参照すると、評価部14は、ゴルファーによるクラブのスイングの評価結果を表示部15に出力する。上述した例では、評価部14は、例えば、ゴルファーの関節ごとの関節トルクの算出結果を表示部15に出力する。また、評価部14は、例えば、関節ごとの関節トルク、および、スイング中のゴルファーの動作により生じた力の、クラブのヘッドスピードに対する寄与の算出結果を、表示部15に出力する。
表示部15は、評価部14によるスイングの評価結果を表示する。
評価部14は、評価結果を用いた種々の表示を表示部15に行わせてよい。例えば、評価部14は、スティックピクチャ表示されたゴルファーの身体に、そのゴルファーのスイング中の各時刻における関節ごとの寄与を重畳して表示部15に表示させてよい。こうすることで、スイングの各段階で、各関節がどのような寄与をしているかを容易に把握することができる。
また、評価部14は、寄与を算出した全関節による寄与に対する、関節ごとの寄与の割合を表示部15に表示させてよい。こうすることで、各関節の寄与の程度をより詳細に把握することができる。
また、評価部14は、ゴルファーのスイング中の特定の姿勢(例えば、トップの姿勢)からの、クラブのヘッドスピードに対する関節の寄与(ヘッドに作用するパワー)を積分することで、その特定の姿勢からの、その関節に起因するクラブのヘッドの運動エネルギーの累積値を算出し、表示部15に表示させてよい。こうすることで、各関節が、クラブのヘッドの運動エネルギーに対してどのような寄与をしているかを容易に把握することができる。
また、評価部14は、複数のスイングについての評価結果を比較可能に、表示部15に表示させてよい。こうすることで、複数のスイング(例えば、同一のゴルファーの複数のスイング、あるいは、異なるゴルファーのスイング)間での評価結果の比較を容易に行うことができる。
次に、本実施形態に係るゴルフスイング評価方法について説明する。図4Aは、図1Aに示すゴルフスイング評価システム10の動作の一例を示すフローチャートであり、本実施形態に係るゴルフスイング評価方法を説明するための図である。
第1取得部11は、ゴルファーの身体の所定部位に取り付けられたマーカーあるいはセンサなどに基づき、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する(ステップS11)。
推定部13は、第1取得部11により取得された、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する(ステップS12)。
評価部14は、第1取得部11により取得された、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、推定部13による推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する(ステップS13)。
このように、本実施形態に係るゴルフスイング評価方法は、第1取得部11が、ゴルファーによるクラブのスイング中のゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する、取得ステップと、推定部13が、取得ステップで取得された、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定ステップと、評価部14が、取得ステップで取得された、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、推定ステップによる推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する、評価ステップと、を含む。
図4Bは、図1Bに示すゴルフスイング評価システム10の動作の一例を示すフローチャートであり、本実施形態に係るゴルフスイング評価方法を説明するための図である。
第3取得部16は、ゴルファーの身体の所定部位に取り付けられた慣性センサに基づき、ゴルファーの身体の所定部位の動作データを取得する(ステップS21)。
推定部13は、第3取得部16により取得された、ゴルファーの手に関する動作データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する(ステップS22)。
評価部14は、第3取得部16により取得された、ゴルファーの身体の所定部位の動作データと、推定部13による推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する(ステップS23)。
このように、本実施形態に係るゴルフスイング評価方法は、第3取得部16が、ゴルファーによるクラブのスイング中のゴルファーの身体の所定部位の動作データを取得する、取得ステップと、推定部13が、取得ステップで取得された、ゴルファーの手に関する動作データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定ステップと、評価部14が、取得ステップで取得された、ゴルファーの身体の所定部位の動作データと、推定ステップによる推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する、評価ステップと、を含む。
次に、推定部13による、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の推定方法について、より詳細に説明する。
1つ目の方法として、ゴルファーの手に関する位置座標データと、予め設定されたクラブの姿勢とに基づき、クラブの所定部位の位置を推定する方法がある。この方法では、推定部13は、ゴルファーが、所定の長さのクラブを、右手および左手の少なくとも一方で、予め設定された所定の姿勢で握り、その姿勢のままスイングを行うものと仮定して、クラブの所定部位の位置を推定する。具体的には、推定部13は、位置座標データに基づき、ゴルファーの手の位置を推定する。そして、推定部13は、推定したゴルファーの手の位置から、予め設定されたクラブの姿勢(角度)に応じた方向に、所定のクラブの長さの分だけ離れた位置を、クラブの所定部位(ヘッド)の位置と推定する。
クラブの姿勢は、例えば、複数のゴルファーのスイングの解析結果に基づき予め決定することができる。また、クラブの姿勢は、評価対象のゴルファーのスイングのアドレス時などに予め求めてもよい。
1つ目の方法では、推定部13は、ゴルファーが、予め定められたクラブの姿勢のままでスイングするものと仮定して、クラブの所定部位の位置を推定しているが、これに限られるものではない。2つ目の方法としては、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、ゴルファーによる実際のクラブの握り方に応じたクラブの姿勢を推定する方法がある。この方法について、図5から図10を参照して説明する。
図5~図10においては、ゴルファーの右手の中心(重心)の位置を位置Hand_Rといい、ゴルファーの左手の中心(重心)の位置を位置Hand_Lという。また、ゴルファーの右手首の位置を位置Wrist_R2といい、ゴルファーの左手首の位置を位置Wrist_L2という。位置Wrist_R2は、例えば、右手首の小指側の付け根の位置であり、位置Wrist_L2は、例えば、左手首の小指側の付け根の位置である。位置Wrist_R2は、例えば、図2に示すマーカーM08の位置に基づき決定することができる。位置Wrist_L2は、例えば、図2に示すマーカーM14の位置に基づき決定することができる。位置Hand_Rは、例えば、図2に示すマーカーM09の位置に基づき決定することができる。位置Hand_Lは、例えば、図2に示すマーカーM15の位置に基づき決定することができる。
図5は、クラブ1を握るゴルファーの左右の手を左横から見た図である。図6は、クラブ1を握るゴルファーの左右の手を右横から見た図である。
図5,6に示すように、通常、クラブ1は、左右の手でグリップ2を挟みようにして保持される。したがって、位置Hand_Lと位置Hand_Rとをつなぐ直線L1は、グリップ2付近を通過し、シャフト3の長軸と交差すると想定される。
図7は、クラブ1を握るゴルファーの手を左斜め前から見た図である。図8は、クラブ1を握るゴルファーの手を正面から見た図である。
Figure 0007308707000012
推定部13は、以上の想定に基づき、クラブの姿勢を推定する。具体的には、推定部13は、位置Wrist_R2と位置Wrist_L2との中点Wrist_Cと、位置Hand_Rと位置Hand_Lとの中点Hand_Cとに基づき、クラブの姿勢を推定する。以下では、中点Wrist_Cと中点Hand_Cとに基づくクラブの姿勢の推定方法について、図9,10を参照して説明する。
図9は、中点Wrist_C、中点Hand_Cおよび左手の中心の位置Hand_Lを用いたクラブの姿勢の推定方法について説明するための図である。
Figure 0007308707000013
Figure 0007308707000014
Figure 0007308707000015
Figure 0007308707000016
Figure 0007308707000017
図10は、中点Wrist_Cと中点Hand_Cとに基づくクラブの姿勢の推定方法の他の一例について説明するための図である。図10においては、中点Wrist_C、中点Hand_Cおよび左手首の位置Wrist_L2を用いたクラブの姿勢の推定方法について説明する。
Figure 0007308707000018
Figure 0007308707000019
Figure 0007308707000020
クラブの姿勢の推定方法は、上述した2つの方法に限られるものではない。3つ目の方法としては、所定の位置に設定された対象に対してゴルファーがスイングを行った際に取得された、ゴルファーの手に関する位置座標データと、対象の位置とに基づき、クラブの姿勢を推定する方法が有る。この方法では、推定部13は、例えば、所定の位置に設定されたボールに対してゴルファーがスイングを行った際に取得された、ゴルファーの手に関する位置座標データと、ボールの位置とに基づき、クラブの姿勢を推定する。
図11Aは、所定の位置に設置されたボール4に対してゴルファーがクラブ1を構えた状態を上方から見た図である。また、図11Bは、所定の位置に設置されたボール4に対してゴルファーがクラブ1を構えた状態を側方から見た図である。
上述したように、クラブ1は、ゴルファーの左右の手でグリップ2を挟みようにして保持される。したがって、左の中心の位置Hand_Lと右手の中心の位置Hand_Rとの中点Hand_Cは、クラブ1のグリップ上に存在すると考えられる。また、クラブ1の先端(ヘッド)は、ボール4の近傍に存在すると考えられる。したがって、中点Hand_Cとボール4の位置とを結ぶ線L3は、クラブの姿勢と略一致していると考えられる。
そこで、推定部13は、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき中点Hand_Cを推定する。そして、推定部13は、Hand_Cとボール4の位置とに基づき、例えば、図11Aに示すように、ゴルファーの正面方向とクラブとがなす角度θ1を推定してよい。また、推定部13は、Hand_Cとボール4の位置とに基づき、例えば、図11Bに示すように、水平線とクラブとがなす角度θ2を推定してよい。これらの角度を推定後、推定部13は、例えば、推定した角度は一定のままでゴルファーがスイングを行う物として、クラブの所定部位の位置を推定してよい。推定部13は、ゴルファーがスイングを行う対象(図11A,11Bの例ではボール4)のサイズを考慮して、クラブの姿勢を推定してよい。
なお、推定部13は、上述した3つの方法を適宜組み合わせて、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の推定を行ってよい。
このように本実施形態に係るゴルフスイング評価システム10は、ゴルファーによるクラブのスイング中のゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する第1取得部11と、第1取得部11により取得された、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する推定部13と、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、推定部13による推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する評価部14とを備える。
また、本実施形態に係るゴルフスイング評価方法は、ゴルファーによるクラブのスイング中のゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する取得ステップと、取得ステップで取得された、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する推定ステップと、ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、推定ステップによる推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する評価ステップと、を含む。
そのため、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる。
また、本実施形態に係るゴルフスイング評価システム10は、ゴルファーによるクラブのスイング中のゴルファーの身体の所定部位の動作データを取得する第3取得部16と、第3取得部16により取得された、ゴルファーの手に関する動作データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する推定部13と、ゴルファーの身体の所定部位の動作データと、推定部13による推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する評価部14とを備える。
また、本実施形態に係るゴルフスイング評価方法は、ゴルファーによるクラブのスイング中のゴルファーの身体の所定部位の動作データを取得する取得ステップと、取得ステップで取得された、ゴルファーの手に関する動作データに基づき、クラブの姿勢、および、クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する推定ステップと、ゴルファーの身体の所定部位の動作データと、推定ステップによる推定結果とに基づき、ゴルファーによるクラブのスイングを評価する評価ステップと、を含む。
そのため、クラブにセンサなどを装着・内蔵することなく、ゴルファーの手に関する動作データに基づき、クラブの姿勢およびクラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定し、ゴルファーのスイングを評価することができる。
本発明に係るゴルフスイング評価システムおよびゴルフスイング評価方法は、上述した実施形態に示す具体的な構成に限られず、特許請求の範囲を逸脱しない限り、種々の変形・変更が可能である。
1 クラブ
2 グリップ
3 シャフト
4 ボール
10 ゴルフスイング評価システム
11 第1取得部(第1取得手段)
12 第2取得部(第2取得手段)
13 推定部(推定手段)
14 評価部(評価手段)
15 表示部
16 第3取得部(第3取得手段)
M01~M34 マーカー

Claims (8)

  1. ゴルファーによるクラブのスイングを評価するゴルフスイング評価システムであって、
    前記ゴルファーによる前記クラブのスイング中の前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する、第1取得手段と、
    前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、前記ゴルファーの手に対する前記クラブの姿勢、および、前記クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定手段と、
    前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、前記推定手段による推定結果とに基づき、前記ゴルファーによる前記クラブのスイングを評価する、評価手段と、を備え
    前記推定手段は、前記ゴルファーの手に関する位置座標データと、予め設定された前記クラブの姿勢とに基づき、前記クラブの所定部位の位置を推定する、ゴルフスイング評価システム。
  2. ゴルファーによるクラブのスイングを評価するゴルフスイング評価システムであって、
    前記ゴルファーによる前記クラブのスイング中の前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する、第1取得手段と、
    前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、前記ゴルファーの手に対する前記クラブの姿勢、および、前記クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定手段と、
    前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、前記推定手段による推定結果とに基づき、前記ゴルファーによる前記クラブのスイングを評価する、評価手段と、を備え
    前記推定手段は、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき決定される、前記ゴルファーの右手首の位置と左手首の位置との中点である第1の中点と、前記ゴルファーの右手の中心の位置と左手の中心の位置との中点である第2の中点とに基づき、前記クラブの姿勢を推定する、ゴルフスイング評価システム。
  3. 請求項に記載のゴルフスイング評価システムにおいて、
    前記推定手段は、
    前記第1の中点から前記第2の中点に向かうベクトルaと、前記第1の中点から前記ゴルファーの左手の中心の位置に向かうベクトルb1と、前記ベクトルaと前記ベクトルb1との外積により求められるベクトルuとを算出し、
    前記ベクトルa、前記ベクトルb1および前記ベクトルuに基づき、前記第1の中点を原点とするローカルな座標系におけるx軸方向の単位ベクトルx、y軸方向の単位ベクトルyおよびz軸方向の単位ベクトルzを下記式に基づき算出し、
    Figure 0007308707000021
    前記単位ベクトルzの向きが前記クラブのシャフトの向きと一致すると仮定し、前記ローカルな座標系における原点と、前記単位ベクトルxと、前記単位ベクトルyと、前記単位ベクトルzとに基づき、グローバルな座標系における前記クラブの所定部位の位置を推定する、ゴルフスイング評価システム。
  4. 請求項に記載のゴルフスイング評価システムにおいて、
    前記推定手段は、
    前記第1の中点から前記第2の中点に向かうベクトルaと、前記第1の中点から前記ゴルファーの左手首の位置に向かうベクトルb2と、前記ベクトルaと前記ベクトルb2との外積により求められるベクトルuとを算出し、
    前記ベクトルa、前記ベクトルb2および前記ベクトルuに基づき、前記第1の中点を原点とするローカルな座標系におけるx軸方向の単位ベクトルx、y軸方向の単位ベクトルyおよびz軸方向の単位ベクトルzを下記式に基づき算出し、
    Figure 0007308707000022
    前記単位ベクトルzの向きが前記クラブのシャフトの向きと一致すると仮定し、前記ローカルな座標系における原点と、前記単位ベクトルxと、前記単位ベクトルyと、前記単位ベクトルzとに基づき、グローバルな座標系における前記クラブの所定部位の位置を推定する、ゴルフスイング評価システム。
  5. ゴルファーによるクラブのスイングを評価するゴルフスイング評価システムであって、
    前記ゴルファーによる前記クラブのスイング中の前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データを取得する、第1取得手段と、
    前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき、前記ゴルファーの手に対する前記クラブの姿勢、および、前記クラブの所定部位の位置の少なくとも一方を推定する、推定手段と、
    前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、前記推定手段による推定結果とに基づき、前記ゴルファーによる前記クラブのスイングを評価する、評価手段と、を備え
    前記推定手段は、所定の位置に設定された対象に対して前記ゴルファーがスイングを行った際に、前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの手に関する位置座標データに基づき決定される、前記ゴルファーの左手の中心の位置と右手の中心の位置との中点の位置と、前記対象の位置とに基づき、前記クラブの姿勢を推定する、ゴルフスイング評価システム。
  6. 請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフスイング評価システムにおいて、
    前記スイング中のゴルファーの床反力データを取得する、第2取得手段をさらに備え、
    前記評価手段は、前記第1取得手段により取得された、前記ゴルファーの身体の所定部位の位置座標データと、前記推定手段による推定結果と、前記第2取得手段により取得された、前記床反力データと、人体を複数の剛体要素と剛体要素同士を接続する関節要素とで表わす、剛体リンクモデルとに基づき、前記ゴルファーの関節ごとの関節トルクを算出し、前記算出したゴルファーの関節ごとの関節トルクおよび前記スイング中の前記ゴルファーの動作により生じた力の、前記クラブのヘッドスピードに対する寄与を前記ゴルファーの関節ごとに算出する、ゴルフスイング評価システム。
  7. 請求項に記載のゴルフスイング評価システムにおいて、
    前記第2取得手段は、前記ゴルファーのスイング中の動作情報に基づく、前記ゴルファーの左右の脚それぞれに作用する床反力の推定により、前記床反力データを取得する、ゴルフスイング評価システム。
  8. 請求項1からのいずれか一項に記載のゴルフスイング評価システムにおいて、
    前記評価手段は、複数のスイングについての評価結果を比較可能に表示部に表示する、ゴルフスイング評価システム。
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