JP2016013302A - 運動解析方法、プログラム及び運動解析装置 - Google Patents

運動解析方法、プログラム及び運動解析装置 Download PDF

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Abstract

【課題】従来よりも正確にスイングの良し悪しを評価するための情報を提示することが可能な運動解析方法、プログラム及び運動解析装置を提供すること。【解決手段】運動解析方法は、センサーユニット10の出力を用いて、ユーザー2の静止時における、ゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向に沿った第1線分51を特定する工程(S30)と、センサーユニット10の出力とユーザー2の身体情報242とを用いて、ユーザー2の静止時におけるユーザー2の頭部と胸部の間の所定位置63を推定し、推定した所定位置63と打撃位置とを結ぶ第2軸を特定する工程(S40)と、を含む。【選択図】図6

Description

本発明は、ユーザーの運動を解析する、運動解析方法、プログラム及び運動解析装置に関する。
特許文献1では、ユーザーの後方からゴルフスイング運動をカメラ等で撮影し、撮影した画像からスイングプレーンを特定し、スイングプレーンを表示すると共に、スイングプレーンの面積を測定して表示する手法が開示されている。スイングプレーンとは、腕、クラブシャフト、及びクラブヘッド(あるいはクラブシャフトとクラブヘッド)によって構成される線分が、ゴルフスイング運動中に移動して軌跡として残る平面であり、一般に、スイング後方から見た際に、スイングプレーンができるだけ面積を持たずに線分に近い方が良いスイングとされている。従って、特許文献1の手法によれば、ユーザーは、スイングプレーンの面積の情報から、スイングの良し悪しを定量的に知ることができる。
特開2009−20897号公報
しかしながら、スイングプレーンの面積が小さくても、スイングの軌道によってはフック系やスライス系の打球となることもあり、必ずしも良いスイングとは限らない。そこで、ゴルフスイングの指導にあたっては、シャフトプレーンおよびホーガンプレーン等の指標が用いられる場合がある。シャフトプレーンとは、ゴルフのアドレス時(静止状態)においてゴルフクラブのシャフトの長軸方向とターゲットライン(打球方向)とで構成される面であり、ホーガンプレーンとは、ゴルフのアドレス時において、ゴルファーの肩付近(肩や首の付け根など)とゴルフクラブのヘッド(あるいは、ボール)を結ぶ仮想線とターゲットライン(打球の目標方向)とで構成される面である。このシャフトプレーンとホーガンプレーンにより挟まれる領域はVゾーンと呼ばれ、ダウンスイング時にゴルフクラブの軌跡がVゾーンに入っていればストレート系の打球になることが知られている。従って、ダウンスイング時にゴルフクラブの軌跡がVゾーンに入っているか否かによってスイングの良し悪しを評価することができる。しかしながら、ユーザーにシャフトプレーンおよびホーガンプレーンを精度よく提示する手法はこれまで提案されていない。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、従来よりも正確にスイングの良し悪しを評価するための情報を提示することが可能な運動解析方法、プログラム及び運動解析装置を提供することができる。
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
本適用例に係る運動解析方法は、慣性センサーの出力を用いて、ユーザーの静止時における、運動器具のシャフト部の長軸方向に沿った第1軸を特定する工程と、前記慣性センサーの出力と前記ユーザーの身体情報とを用いて、前記ユーザーの静止時における前記ユーザーの頭部と胸部の間の所定位置を推定し、推定した前記所定位置と打撃位置とを結ぶ
第2軸を特定する工程と、を含む。
運動器具は、例えば、ゴルフクラブ、テニスラケット、野球のバット、ホッケーのスティック等の打球に用いられる器具である。シャフト部は、運動器具の柄の部分であり、グリップ部を有する運動器具ではグリップ部もシャフト部に含まれる。
慣性センサーは、加速度や角速度等の慣性量を計測可能なセンサーであればよく、例えば、加速度や角速度を計測可能な慣性計測ユニット(IMU:Inertial Measurement Unit)でもよい。また、慣性センサーは、例えば、運動器具又はユーザーの部位に取り付けられ、運動器具やユーザーに対して脱着可能であってもよいし、運動器具に内蔵されるなど、運動器具に固定されていて取り外すことができないものでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーは、第1軸及び第2軸の位置や傾き、第1軸と第2軸との間の空間の大きさなどから静止時の姿勢を客観的に認識し、また、想定されるスイングの軌道と第1軸及び第2軸との位置関係を認識することができるので、スイングの良し悪しを従来よりも正確に評価することができる。
また、本適用例に係る運動解析方法によれば、慣性センサーを用いて第1軸及び第2軸を特定するので、カメラなどの大掛かりな装置を使用する必要がなく、運動解析を行う場所の制約が少ない。さらに、ユーザーの身体情報を利用して第2軸を特定することで、第1軸の特定と第2軸の特定に共通の慣性センサーの出力を用いることができる。
[適用例2]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動器具のグリップエンドの位置を計算する工程を含み、前記第2軸を特定する工程において、前記グリップエンドの位置と、前記身体情報に基づく前記ユーザーの腕の長さとを用いて、前記所定位置を推定してもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーの頭部と胸部の間の所定位置と運動器具のグリップエンドの位置との距離がユーザーの腕の長さと相関があることに着目し、グリップエンドの位置とユーザーの腕の長さの情報を用いることでユーザーの体型に合った第2軸を特定することができる。
[適用例3]
上記適用例に係る運動解析方法において、前記慣性センサーの出力は、加速度の情報を含み、前記ユーザーの静止時における前記加速度の情報を用いて前記シャフト部の水平面に対する傾斜角を計算する工程を含み、前記第1軸を特定する工程において、前記傾斜角と前記シャフト部の長さの情報とを用いて、前記第1軸を特定してもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーの静止時には慣性センサーが重力加速度のみを検出することを利用して運動器具のシャフト部の傾斜角を計算し、当該傾斜角から第1軸の向きを特定することができる。
[適用例4]
上記適用例に係る運動解析方法において、前記身体情報は、前記ユーザーの腕の長さであってもよい。
[適用例5]
上記適用例に係る運動解析方法において、前記所定位置は、前記ユーザーの両肩を結ぶ線分上にあってもよい。
[適用例6]
上記適用例に係る運動解析方法は、打球の目標方向を第3軸とした場合に、前記第1軸と前記第3軸とを含む第1仮想平面を特定する工程と、前記第2軸と前記第3軸とを含む第2仮想平面を特定する工程と、を含んでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーは、第1仮想平面及び第2仮想平面の位置や傾き、第1仮想平面と第2仮想平面との間の空間の大きさなどから静止時の姿勢を客観的に認識し、また、想定されるスイングの軌道と第1仮想平面及び第2仮想平面との位置関係を認識することができるので、スイングの良し悪しを従来よりも正確に評価することができる。
[適用例7]
上記適用例に係る運動解析方法において、前記運動器具には、打球面が設けられ、前記第3軸は、前記ユーザーの静止時の前記打球面に直交する方向の軸であってもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーが、打球の目標方向が運動器具の打球面に直交するような姿勢で静止するものと仮定することで、慣性センサーの出力を用いて、打球の目標方向を表す第3軸を特定することができる。
[適用例8]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記第1仮想平面を特定する工程において、前記シャフト部の長さと前記身体情報に基づく前記ユーザーの腕の長さとを用いて、前記第1仮想平面の幅を計算してもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、運動器具のシャフト部の長さとユーザーの腕の長さとを用いて第1仮想平面の幅を計算することで、ユーザーのスイング軌道のサイズを考慮したスイング評価に適したサイズの第1仮想平面を特定することができる。
[適用例9]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記第2仮想平面を特定する工程において、前記シャフト部の長さと前記身体情報に基づく前記ユーザーの腕の長さとを用いて、前記第2仮想平面の幅を計算してもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、運動器具のシャフト部の長さとユーザーの腕の長さとを用いて第2仮想平面の幅を計算することで、ユーザーのスイング面積を考慮したスイング評価に適したサイズの第2仮想平面を特定することができる。
[適用例10]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記ユーザーのスイングに基づく前記運動器具の軌跡の情報を取得する工程と、前記軌跡が前記第1軸と前記第2軸との間に含まれるか否かを判定する工程と、を含んでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーは、スイングに基づく運動器具の軌跡が第1軸と第2軸との間の空間に含まれるか否かの判定結果から、スイングの良し悪しを客観的かつ容易に評価することができる。
[適用例11]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記ユーザーのスイングに基づく前記運動器具の軌跡の情報を取得する工程と、前記軌跡が前記第1仮想平面と前記第2仮想平面との間に含
まれるか否かを判定する工程と、を含んでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーは、スイングに基づく運動器具の軌跡が第1仮想平面と第2仮想平面との間に含まれるか否かの判定結果から、スイングの良し悪しを客観的かつ容易に評価することができる。
[適用例12]
上記適用例に係る運動解析方法は、前記ユーザーのスイングに基づく前記運動器具の軌跡の情報を取得する工程と、前記第1軸と前記第2軸と前記軌跡とを含む画像データを生成する工程と、を含んでもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーは、スイングに基づく運動器具の軌跡が第1軸と第2軸との間に含まれるか否かを画像から判定することができるので、スイングの良し悪しを客観的かつ容易に評価することができる。
[適用例13]
上記適用例に係る運動解析方法において、前記運動器具は、ゴルフクラブであってもよい。
本適用例に係る運動解析方法によれば、ユーザーは、従来よりも正確にゴルフスイングの良し悪しを評価することができる。
[適用例14]
本適用例に係るプログラムは、慣性センサーの出力を用いて、ユーザーの静止時における、運動器具のシャフト部の長軸方向に沿った第1軸を特定する工程と、前記慣性センサーの出力と前記ユーザーの身体情報とを用いて、前記ユーザーの静止時における前記ユーザーの頭部と胸部の間の所定位置を推定し、推定した前記所定位置と打撃位置とを結ぶ第2軸を特定する工程と、をコンピューターに実行させる。
本適用例に係るプログラムによれば、ユーザーは、第1軸及び第2軸の位置や傾き、第1軸と第2軸との間の空間の大きさなどから静止時の姿勢を客観的に認識し、また、想定されるスイングの軌道と第1軸及び第2軸との位置関係を認識することができるので、スイングの良し悪しを従来よりも正確に評価することができる。
また、本適用例に係るプログラムによれば、慣性センサーを用いて第1軸及び第2軸を特定するので、カメラなどの大掛かりな装置を使用する必要がなく、運動解析を行う場所の制約が少ない。さらに、ユーザーの身体情報を利用して第2軸を特定することで、第1軸の特定と第2軸の特定に共通の慣性センサーの出力を用いることができる。
[適用例15]
本適用例に係る運動解析装置は、慣性センサーの出力を用いて、ユーザーの静止時における、運動器具のシャフト部の長軸方向に沿った第1軸を特定する第1特定部と、前記慣性センサーの出力と前記ユーザーの身体情報とを用いて、前記ユーザーの静止時における前記ユーザーの頭部と胸部の間の所定位置を推定し、推定した前記所定位置と打撃位置とを結ぶ第2軸を特定する第2特定部と、を含む。
本適用例に係る運動解析装置によれば、ユーザーは、第1軸及び第2軸の位置や傾き、第1軸と第2軸との間の空間の大きさなどから静止時の姿勢を客観的に認識し、また、想定されるスイングの軌道と第1軸及び第2軸との位置関係を認識することができるので、スイングの良し悪しを従来よりも正確に評価することができる。
また、本適用例に係る運動解析装置によれば、慣性センサーを用いて第1軸及び第2軸を特定するので、カメラなどの大掛かりな装置を使用する必要がなく、運動解析を行う場所の制約が少ない。さらに、ユーザーの身体情報を利用して第2軸を特定することで、第1軸の特定と第2軸の特定に共通の慣性センサーの出力を用いることができる。
本実施形態の運動解析システムの概要の説明図。 センサーユニットの装着位置及び向きの一例を示す図。 本実施形態においてユーザーが行う動作の手順を示す図。 シャフトプレーン及びホーガンプレーン示す図。 本実施形態の運動解析システムの構成例を示す図。 本実施形態における運動解析処理の手順の一例を示すフローチャート図。 シャフトプレーンを特定する処理の手順の一例を示すフローチャート図。 ユーザーの静止時におけるゴルフクラブとセンサーユニットをX軸の負側から見た平面図。 シャフトプレーンをYZ平面で切った断面図をX軸の負側から見た図。 ホーガンプレーンを特定する処理の手順の一例を示すフローチャート図。 ホーガンプレーンをYZ平面で切った断面図をX軸の負側から見た図。 ユーザーが打球したタイミングを検出する処理の手順の一例を示すフローチャート図。 センサーユニットの姿勢を計算する処理の手順の一例を示すフローチャート図。 シャフトプレーン及びホーガンプレーンをX軸の負側から見た図(YZ平面に投影した図)。 表示部に表示される画像の一例を示す図。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、ゴルフスイングの解析を行う運動解析システム(運動解析装置)を例に挙げて説明する。
1.運動解析システム
1−1.運動解析システムの概要
図1は、本実施形態の運動解析システムの概要について説明するための図である。本実施形態の運動解析システム1は、センサーユニット10(慣性センサーの一例)及び運動解析装置20を含んで構成されている。
センサーユニット10は、3軸の各軸方向に生じる加速度と3軸の各軸回りに生じる角速度を計測可能であり、ゴルフクラブ3(運動器具の一例)に装着される。
本実施形態では、図2に示すように、センサーユニット10は、3つの検出軸(x軸,y軸,z軸)のうちの1軸、例えばy軸をシャフトの長軸方向に合わせて、ゴルフクラブ3のシャフトの一部に取り付けられる。望ましくは、センサーユニット10は、打球時の衝撃が伝わりにくく、スイング時に遠心力がかからないグリップ部に近い位置に取り付けられる。シャフトは、ゴルフクラブ3のヘッドを除いた柄の部分であり、グリップ部も含まれる。
ユーザー2は、あらかじめ決められた手順に従って、ゴルフボール4を打球するスイング動作を行う。図3は、ユーザー2が行う動作の手順を示す図である。図3に示すように、ユーザー2は、まず、ゴルフクラブ3を握って、ゴルフクラブ3のシャフトの長軸がターゲットライン(打球の目標方向)に対して垂直となるようにアドレスの姿勢をとり、所定時間以上(例えば、1秒以上)静止する(S1)。次に、ユーザー2は、スイング動作を行い、ゴルフボール4を打球する(S2)。
ユーザー2が図3に示す手順に従ってゴルフボール4を打球する動作を行う間、センサーユニット10は、所定周期(例えば1ms)で3軸加速度と3軸角速度を計測し、計測したデータを順次、運動解析装置20に送信する。センサーユニット10は、計測したデータをすぐに送信してもよいし、計測したデータを内部メモリーに記憶しておき、ユーザー2のスイング動作の終了後などの所望のタイミングで計測データを送信するようにしてもよい。センサーユニット10と運動解析装置20との間の通信は、無線通信でもよいし、有線通信でもよい。あるいは、センサーユニット10は、計測したデータをメモリーカード等の着脱可能な記録媒体に記憶しておき、運動解析装置20は、当該記録媒体から計測データを読み出すようにしてもよい。
運動解析装置20は、センサーユニット10が計測したデータを用いて、ユーザー2がゴルフクラブ3を用いて打球した運動を解析する。特に、本実施形態では、運動解析装置20は、センサーユニット10が計測したデータを用いて、ユーザー2の静止時(アドレス時)における第1仮想平面であるシャフトプレーンと第2仮想平面であるホーガンプレーンを特定する。そして、運動解析装置20は、ユーザー2がスイング動作を開始した後、スイングにおけるゴルフクラブ3の軌跡を計算し、当該スイングにおける打球時までのゴルフクラブ3の軌跡がシャフトプレーンとホーガンプレーンとの間のVゾーンと呼ばれる空間に含まれるか否かを判定する。また、運動解析装置20は、ユーザー2のスイングにおけるゴルフクラブ3の軌跡、シャフトプレーン及びホーガンプレーンを含む画像データを生成し、当該画像データに応じた画像を表示部(ディスプレイ)に表示させる。運動解析装置20は、例えば、スマートフォンなどの携帯機器やパーソナルコンピューター(PC)であってもよい。
図4は、本実施形態におけるユーザー2のアドレス時のシャフトプレーン及びホーガンプレーン示す図である。本実施形態では、打球の目標方向を示すターゲットラインをX軸、X軸に垂直な水平面上の軸をY軸、鉛直上方向(重力加速度の方向と逆方向)をZ軸とするXYZ座標系(グローバル座標系)を定義し、図4にはX軸、Y軸、Z軸が表記されている。
図4に示すように、本実施形態では、ユーザー2のアドレス時のシャフトプレーン30はゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向に沿った第1軸としての第1線分51と、打球の目標方向を表す第3軸としての第3線分52と、を含み、T1,T2,S1,S2を4つの頂点とする仮想平面である。本実施形態では、ゴルフクラブ3のヘッド(打撃部)の位置61をXYZ座標系の原点O(0,0,0)とし、第1線分51は、ゴルフクラブ3のヘッドの位置61(原点O)とグリップエンドの位置62とを結ぶ線分である。また、第3線分52は、X軸上のT1,T2を両端として原点Oを中点とする長さTLの線分である。ユーザー2がアドレス時に図3のステップS1の動作を行うことでゴルフクラブ3のシャフトがターゲットライン(X軸)に対して垂直となるので、第3線分52は、ゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向と直交する線分、すなわち第1線分51と直交する線分である。XYZ座標系における4つの頂点T1,T2,S1,S2の各座標を算出することによりシャフトプレーン30が特定される。T1,T2,S1,S2の各座標の算出方法については後述する。
また、図4に示すように、本実施形態では、ホーガンプレーン40は、第3線分52と、第2軸としての第2線分53と、を含み、T1,T2,H1,H2を4つの頂点とする仮想平面である。本実施形態では、第2線分53は、ユーザー2の両肩を結ぶ線分上の所定位置63(例えば、首の付け根の位置や左右いずれかの肩の位置など)とゴルフクラブ3のヘッド(打撃部)の位置62(打撃位置の一例)とを結ぶ線分である。ただし、第2線分53は、所定位置63とボール4の位置(打撃位置の一例)とを結ぶ線分であってもよい。XYZ座標系における4つの頂点T1,T2,H1,H2の各座標を算出することによりホーガンプレーン40が特定される。T1,T2,H1,H2の各座標の算出方法については後述する。
1−2.運動解析システムの構成
図5は、センサーユニット10及び運動解析装置20の構成例を示す図である。図5に示すように、本実施形態では、センサーユニット10は、加速度センサー12、角速度センサー14、信号処理部16及び通信部18を含んで構成されている。
加速度センサー12は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々に生じる加速度を計測し、計測した3軸加速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(加速度データ)を出力する。
角速度センサー14は、互いに交差する(理想的には直交する)3軸の各々の軸回りに生じる角速度を計測し、計測した3軸角速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(角速度データ)を出力する。
信号処理部16は、加速度センサー12と角速度センサー14から、それぞれ加速度データと角速度データを受け取って時刻情報を付して不図示の記憶部に記憶し、記憶した計測データ(加速度データと角速度データ)に時刻情報を付して通信用のフォーマットに合わせたパケットデータを生成し、通信部18に出力する。
加速度センサー12及び角速度センサー14は、それぞれ3軸が、センサーユニット10に対して定義される直交座標系(センサー座標系)の3軸(x軸、y軸、z軸)と一致するようにセンサーユニット10に取り付けられるのが理想的だが、実際には取り付け角の誤差が生じる。そこで、信号処理部16は、取り付け角誤差に応じてあらかじめ算出された補正パラメーターを用いて、加速度データ及び角速度データをxyz座標系のデータに変換する処理を行う。
さらに、信号処理部16は、加速度センサー12及び角速度センサー14の温度補正処理を行ってもよい。あるいは、加速度センサー12及び角速度センサー14に温度補正の機能が組み込まれていてもよい。
なお、加速度センサー12と角速度センサー14は、アナログ信号を出力するものであってもよく、この場合は、信号処理部16が、加速度センサー12の出力信号と角速度センサー14の出力信号をそれぞれA/D変換して計測データ(加速度データと角速度データ)を生成し、これらを用いて通信用のパケットデータを生成すればよい。
通信部18は、信号処理部16から受け取ったパケットデータを運動解析装置20に送信する処理や、運動解析装置20から制御コマンドを受信して信号処理部16に送る処理等を行う。信号処理部16は、制御コマンドに応じた各種処理を行う。
運動解析装置20は、処理部21、通信部22、操作部23、記憶部24、表示部25
、音出力部26を含んで構成されている。
通信部22は、センサーユニット10から送信されたパケットデータを受信し、処理部21に送る処理や、処理部21からの制御コマンドをセンサーユニット10に送信する処理等を行う。
操作部23は、ユーザーからの操作データを取得し、処理部21に送る処理を行う。操作部23は、例えば、タッチパネル型ディスプレイ、ボタン、キー、マイクなどであってもよい。
記憶部24は、例えば、ROM(Read Only Memory)やフラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の各種ICメモリーやハードディスクやメモリーカードなどの記録媒体等により構成される。
記憶部24は、処理部21が各種の計算処理や制御処理を行うためのプログラムや、アプリケーション機能を実現するための各種プログラムやデータ等を記憶している。特に、本実施形態では、記憶部24には、処理部21によって読み出され、運動解析処理を実行するための運動解析プログラム240が記憶されている。運動解析プログラム240はあらかじめ不揮発性の記録媒体に記憶されていてもよいし、処理部21がネットワークを介してサーバーから運動解析プログラム240を受信して記憶部24に記憶させてもよい。
また、本実施形態では、記憶部24には、ユーザー2の身体情報242、ゴルフクラブ3の仕様を表すクラブ仕様情報244及びセンサー装着位置情報246が記憶される。例えば、ユーザー2が操作部23を操作して身長、体重、性別などの身体情報を入力し、入力された身体情報が身体情報242として記憶部24に記憶される。また、例えば、ユーザー2が操作部23を操作して使用するゴルフクラブ3の型番を入力(あるいは、型番リストから選択)し、記憶部24にあらかじめ記憶されている型番毎の仕様情報(例えば、シャフトの長さ、重心の位置、ライ角、フェース角、ロフト角等の情報など)のうち、入力された型番の仕様情報をクラブ仕様情報244とする。また、例えば、ユーザー2が操作部23を操作してセンサーユニット10の装着位置とゴルフクラブ3のグリップエンドとの間の距離を入力し、入力された距離の情報がセンサー装着位置情報246として記憶部24に記憶される。あるいは、センサーユニット10を決められた所定位置(例えば、グリップエンドから20cmの距離など)に装着するものとして、当該所定位置の情報がセンサー装着位置情報246としてあらかじめ記憶されていてもよい。
また、記憶部24は、処理部21の作業領域として用いられ、操作部23から入力されたデータ、処理部21が各種プログラムに従って実行した演算結果等を一時的に記憶する。さらに、記憶部24は、処理部21の処理により生成されたデータのうち、長期的な保存が必要なデータを記憶してもよい。
表示部25は、処理部21の処理結果を文字、グラフ、表、アニメーション、その他の画像として表示するものである。表示部25は、例えば、CRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、HMD(ヘッドマウントディスプレイ)などであってもよい。なお、1つのタッチパネル型ディスプレイで操作部23と表示部25の機能を実現するようにしてもよい。
音出力部26は、処理部21の処理結果を音声やブザー音等の音として出力するものである。音出力部26は、例えば、スピーカーやブザーなどであってもよい。
処理部21は、各種プログラムに従って、センサーユニット10に制御コマンドを送信
する処理や、センサーユニット10から通信部22を介して受信したデータに対する各種の計算処理や、その他の各種の制御処理を行う。特に、本実施形態では、処理部21は、運動解析プログラム240を実行することにより、データ取得部210、第1仮想平面特定部211、第2仮想平面特定部212、運動解析部213、画像データ生成部214、記憶処理部215、表示処理部216及び音出力処理部217として機能する。
データ取得部210は、通信部22がセンサーユニット10から受信したパケットデータを受け取り、受け取ったパケットデータから時刻情報及び計測データを取得し、記憶処理部215に送る処理を行う。
記憶処理部215は、データ取得部210から時刻情報と計測データを受け取り、これらを対応づけて記憶部24に記憶させる処理を行う。
第1仮想平面特定部211(第1特定部の一例)は、センサーユニット10が出力する計測データを用いて、ユーザーの静止時における、ゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向に沿った第1線分51を特定する処理を行う。さらに、第1仮想平面特定部211は、第1線分51と、打球の目標方向を表す第3線分52と、を含むシャフトプレーン(第1仮想平面)30(図4参照)を特定する処理を行う。
第1仮想平面特定部211は、センサーユニット10が出力する計測データを用いて、ゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標を計算し、グリップエンドの位置62の座標により第1線分51を特定してもよい。例えば、第1仮想平面特定部211は、ユーザー2の静止時(アドレス時)における加速度センサー12計測した加速度データを用いてゴルフクラブ3のシャフトの傾斜角(水平面(XY平面)あるいは鉛直面(XZ平面)に対する傾き)を計算し、計算した傾斜角とクラブ仕様情報244に含まれるシャフトの長さの情報とを用いて、第1線分51を特定してもよい。
また、第1仮想平面特定部211は、第1線分51の長さと身体情報242に基づくユーザー2の腕の長さとを用いて、シャフトプレーン30の幅を計算してもよい。
第2仮想平面特定部212(第2特定部の一例)は、センサーユニット10が出力する計測データと身体情報242とを用いて、ユーザー2の静止時におけるユーザー2の頭部と胸部の間(例えば、両肩を結ぶ線分上)の所定位置63を推定し、推定した所定位置63とゴルフクラブ3のヘッド(打撃部)の位置62とを結ぶ第2線分53を特定する処理を行う。さらに、第2仮想平面特定部212は、第2線分53と、第3線分52と、を含むホーガンプレーン(第2仮想平面)40(図4参照)を特定する処理を行う。
第2仮想平面特定部212は、第1仮想平面特定部211が計算したグリップエンドの位置62の座標と、身体情報242に基づくユーザー2の腕の長さとを用いて、所定位置63を推定してもよい。あるいは、第2仮想平面特定部212が、センサーユニット10が出力する計測データを用いて、ゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標を計算してもよい。この場合は、第1仮想平面特定部211は、第2仮想平面特定部212が計算したグリップエンドの位置62の座標を用いて、シャフトプレーン30を特定してもよい。
また、第2仮想平面特定部212は、第1線分51の長さと身体情報242に基づくユーザー2の腕の長さとを用いて、ホーガンプレーン40の幅を計算してもよい。
運動解析部213は、センサーユニット10が出力する計測データを用いて、ユーザー2のスイング運動を解析する処理を行う。具体的には、運動解析部213は、まず、記憶
部24に記憶された、ユーザー2の静止時(アドレス時)の計測データ(加速度データ及び角速度データ)を用いて、計測データに含まれるオフセット量を計算する。次に、運動解析部213は、記憶部24に記憶された、スイング開始後の計測データからオフセット量を減算してバイアス補正し、バイアス補正された計測データを用いて、ユーザー2のスイング動作中(図3のステップS2の動作中)のセンサーユニット10の位置及び姿勢を計算する。
例えば、運動解析部213は、加速度センサー12が計測した加速度データ、クラブ仕様情報244及びセンサー装着位置情報246を用いて、XYZ座標系(グローバル座標系)におけるユーザー2の静止時(アドレス時)のセンサーユニット10の位置(初期位置)を計算し、その後の加速度データを積分してセンサーユニット10の初期位置からの位置の変化を時系列に計算する。ユーザー2は図3のステップS1の動作を行うので、センサーユニット10の初期位置のX座標は0である。さらに、図2に示したように、センサーユニット10のy軸はゴルフクラブ3のシャフトの長軸方向と一致し、ユーザー2の静止時には、加速度センサー12は重力加速度のみを計測するので、運動解析部213は、y軸加速度データを用いてシャフトの傾斜角(水平面(XY平面)あるいは鉛直面(XZ平面)に対する傾き)を計算することができる。そして、運動解析部213は、シャフトの傾斜角、クラブ仕様情報244(シャフトの長さ)及びセンサー装着位置情報246(グリップエンドからの距離)を用いて、センサーユニット10の初期位置のY座標及びZ座標を計算し、センサーユニット10の初期位置を特定することができる。あるいは、運動解析部213は、第1仮想平面特定部211又は第2仮想平面特定部212が計算したゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標とセンサー装着位置情報246と(グリップエンドからの距離)を用いて、センサーユニット10の初期位置の座標を計算してもよい。
また、運動解析部213は、加速度センサー12が計測した加速度データを用いて、XYZ座標系(グローバル座標系)におけるユーザー2の静止時(アドレス時)のセンサーユニット10の姿勢(初期姿勢)を計算し、その後の角速度センサー14が計測した角速度データを用いた回転演算を行ってセンサーユニット10の初期姿勢からの姿勢の変化を時系列に計算する。センサーユニット10の姿勢は、例えば、X軸、Y軸、Z軸回りの回転角(ロール角、ピッチ角、ヨー角)、オイラー角、クオータ二オン(四元数)などで表現することができる。ユーザー2の静止時には、加速度センサー12は重力加速度のみを計測するので、運動解析部213は、3軸加速度データを用いて、センサーユニット10のx軸、y軸、z軸の各々と重力方向とのなす角度を特定することができる。さらに、ユーザー2は図3のステップS1の動作を行うので、ユーザー2の静止時において、センサーユニット10のy軸はYZ平面上にあるため、運動解析部213は、センサーユニット10の初期姿勢を特定することができる。
なお、センサーユニット10の信号処理部16が、計測データのオフセット量を計算し、計測データのバイアス補正を行うようにしてもよいし、加速度センサー12及び角速度センサー14にバイアス補正の機能が組み込まれていてもよい。これらの場合は、運動解析部213による計測データのバイアス補正が不要となる。
また、運動解析部213は、身体情報242(ユーザー2の身長(腕の長さ))、クラブ仕様情報244(シャフトの長さや重心の位置)、センサー装着位置情報246(グリップエンドからの距離)、ゴルフクラブ3の特徴(剛体である等)、人体の特徴(関節の曲がる方向が決まっている等)などを考慮した運動解析モデル(二重振子モデル等)を定義し、この運動解析モデルとセンサーユニット10の位置及び姿勢の情報とを用いて、ユーザー2のスイングにおけるゴルフクラブ3の軌跡を計算する。
また、運動解析部213は、記憶部24に記憶された時刻情報と計測データを用いて、ユーザー2のスイング動作の期間において打球したタイミング(インパクトのタイミング)を検出する。例えば、運動解析部213は、センサーユニット10が出力する計測データ(加速度データ又は角速度データ)の合成値を計算し、当該合成値に基づいてユーザー2が打球したタイミング(時刻)を特定する。
また、運動解析部213は、スイング(特に、ゴルフクラブ3がトップの位置にある時から打球時(インパクト時)までのダウンスイング)におけるゴルフクラブ3の軌跡が、シャフトプレーン30とホーガンプレーン40との間の空間(Vゾーン)に含まれるか否かを判定し、判定結果に基づいてユーザー2のスイングの評価情報を生成する。
さらに、運動解析部213は、運動解析モデルとセンサーユニット10の位置及び姿勢の情報とを用いて、バックスイングからフォロースルーまでのスイングのリズム、ヘッドスピード、打球時の入射角(クラブパス)やフェース角、シャフトローテーション(スイング中のフェース角の変化量)、ゴルフクラブ3の減速率などの情報、あるいは、ユーザー2が複数回のスイングを行った場合のこれら各情報のばらつきの情報等も生成する。
画像データ生成部214は、表示部25に表示される運動解析結果の画像に対応する画像データを生成する処理を行う。特に、本実施形態では、画像データ生成部214は、第1仮想平面特定部211が特定したシャフトプレーン30と、第2仮想平面特定部212が特定したホーガンプレーン40と、運動解析部213が計算したユーザー2のスイング(特に、ダウンスイング)におけるゴルフクラブ3の軌跡と、を含む画像データを生成する。例えば、画像データ生成部214は、図4に示したT1,T2,S1,S2の各座標の情報をもとに、T1,T2,S1,S2を4つの頂点とするシャフトプレーン30のポリゴンデータを生成し、T1,T2,H1,H2の各座標の情報をもとに、T1,T2,H1,H2を4つの頂点とするホーガンプレーン40のポリゴンデータを生成する。また、画像データ生成部214は、ユーザー2のダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡を表す曲線データを生成する。そして、画像データ生成部214は、シャフトプレーン30のポリゴンデータ、ホーガンプレーン40のポリゴンデータ及びゴルフクラブ3の軌跡を表す曲線データを含む画像データを生成する。
記憶処理部215は、記憶部24に対する各種プログラムや各種データのリード/ライト処理を行う。記憶処理部215は、データ取得部210から受け取った時刻情報と計測データを対応づけて記憶部24に記憶させる処理の他、第1仮想平面特定部211、第2仮想平面特定部212及び運動解析部213が算出した各種の情報等を記憶部24に記憶させる処理も行う。
表示処理部216は、表示部25に対して各種の画像(画像データ生成部214が生成した画像データに対応する画像の他、文字や記号等も含む)を表示させる処理を行う。例えば、表示処理部216は、ユーザー2のスイング運動が終了した後、自動的に、あるいは、ユーザー2の入力操作に応じて画像データ生成部214が生成した画像データに対応する画像を表示部25に表示させる。あるいは、センサーユニット10に表示部を設けておいて、表示処理部216は、通信部22を介してセンサーユニット10に画像データを送信し、センサーユニット10の表示部に各種の画像を表示させてもよい。
音出力処理部217は、音出力部26に対して各種の音(音声やブザー音等も含む)を出力させる処理を行う。例えば、音出力処理部217は、ユーザー2のスイング運動が終了した後、自動的に、あるいは、所定の入力操作が行われたときに、記憶部24に記憶されている各種の情報を読み出して音出力部26に運動解析用の音や音声を出力させてもよい。あるいは、センサーユニット10に音出力部を設けておいて、音出力処理部217は
、通信部22を介してセンサーユニット10に各種の音データや音声データを送信し、センサーユニット10の音出力部に各種の音や音声を出力させてもよい。
なお、運動解析装置20あるいはセンサーユニット10に振動機構を設けておいて、当該振動機構により各種の情報を振動情報に変換してユーザー2に提示してもよい。
1−3.運動解析装置の処理
[運動解析処理]
図6は、本実施形態における処理部21による運動解析処理の手順の一部を示すフローチャート図である。処理部21は、記憶部24に記憶されている運動解析プログラム240を実行することにより、図6のフローチャートの手順で運動解析処理の一部の処理を実行する。以下、図6のフローチャートについて説明する。
まず、処理部21は、センサーユニット10の計測データを取得する(S10)。処理部21は、工程S10において、ユーザー2のスイング運動(静止動作も含む)における最初の計測データを取得するとリアルタイムに工程S20以降の処理を行ってもよいし、センサーユニット10からユーザー2のスイング運動における一連の計測データの一部又は全部を取得した後に、工程S20以降の処理を行ってもよい。
次に、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データを用いてユーザー2の静止動作(アドレス動作)(図3のステップS1の動作)を検出する(S20)。処理部21は、リアルタイムに処理を行う場合は、静止動作(アドレス動作)を検出した場合に、例えば、所定の画像や音を出力し、あるいは、センサーユニット10にLEDを設けておいて当該LEDを点灯させる等して、ユーザー2に静止状態を検出したことを通知し、ユーザー2は、この通知を確認した後にスイングを開始してもよい。
次に、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データ(ユーザー2の静止動作(アドレス動作)における計測データ)とクラブ仕様情報244とを用いて、シャフトプレーン30(第1仮想平面)を特定する(S30)。
次に、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データ(ユーザー2の静止動作(アドレス動作)における計測データ)と身体情報242とを用いて、ホーガンプレーン40(第2仮想平面)を特定する(S40)。
次に、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データ(ユーザー2の静止動作(アドレス動作)における計測データ)を用いて、センサーユニット10の初期位置と初期姿勢を計算する(S50)。
次に、処理部21は、センサーユニット10から取得した計測データを用いて、ユーザー2が打球したタイミング(インパクトのタイミング)を検出する(S60)。
また、処理部21は、工程S60の処理と並行して、ユーザー2のスイング動作中のセンサーユニット10の位置と姿勢を計算する(S70)。
次に、処理部21は、工程S60で検出したインパクトのタイミングと、工程S70で計算したセンサーユニット10の位置及び姿勢とを用いて、ユーザー2のダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡を計算する(S80)。
次に、処理部21は、工程S30で特定したシャフトプレーン30、工程S40で特定したホーガンプレーン40、及び、工程S80で計算したダウンスイング時のゴルフクラ
ブの軌跡を含む画像データを生成し、表示部25に表示させる(S90)。
また、処理部21は、ダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡がシャフトプレーン30とホーガンプレーン40との間の空間であるVゾーンに含まれるか否かを判定する(S100)。
そして、処理部21は、工程S100の判定結果を用いて、ユーザー2のスイングの評価情報を生成して表示部25に表示させ(S110)、処理を終了する。
なお、図6のフローチャートにおいて、可能な範囲で各工程の順番を適宜変えてもよい。
[シャフトプレーン(第1仮想平面)特定処理]
図7は、本実施形態における処理部21によるシャフトプレーン(第1仮想平面)を特定する処理(図6の工程S30の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。以下、図7のフローチャートについて説明する。
まず、処理部21は、図4に示したように、ゴルフクラブ3のヘッドの位置61をXYZ座標系(グローバル座標系)の原点O(0,0,0)として、センサーユニット10が計測した静止時の加速度データとクラブ仕様情報244とを用いて、グリップエンドの位置62の座標(0,G,G)を計算する(S100)。図8は、ユーザー2の静止時(アドレス時)におけるゴルフクラブ3とセンサーユニット10をX軸の負側から見た平面図であり、ゴルフクラブ3のヘッドの位置61が原点O(0,0,0)であり、グリップエンドの位置62の座標は(0,G,G)である。図8に示すように、ユーザー2の静止時にセンサーユニット10には重力加速度Gがかかるので、y軸加速度y(0)とゴルフクラブ3のシャフトの傾斜角(シャフトの長軸と水平面(XY平面)とのなす角)αとの関係は式(1)で表される。
Figure 2016013302
従って、クラブ仕様情報244に含まれるゴルフクラブ3のシャフトの長さをLとすると、G,Gは、シャフトの長さLと傾斜角αを用いて、式(2)及び式(3)でそれぞれ計算される。
Figure 2016013302
Figure 2016013302
次に、処理部21は、ゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標(0,G,G)にスケールファクターSを乗算し、シャフトプレーン30の頂点S1と頂点S2の中点S3の座標(0,S,S)を計算する(S110)。すなわち、S及びSは、式(4)及び式(5)により計算される。
Figure 2016013302
Figure 2016013302
図9は、図4のシャフトプレーン30をYZ平面で切った断面図をX軸の負側から見た図である。図9に示すように、頂点S1と頂点S2の中点S3と原点Oとを結ぶ線分の長さ(シャフトプレーン30のX軸と直交する方向の幅)は、第1線分51の長さLのS倍となる。このスケールファクターSは、ユーザー2のスイング動作中のゴルフクラブ3の軌跡がシャフトプレーン30に収まるような値に設定される。例えば、ユーザー2の腕の長さをLとすると、シャフトプレーン30のX軸と直交する方向の幅S×Lが、シャフトの長さLと腕の長さLの和の2倍となるように、スケールファクターSを式(6)のように設定してもよい。
Figure 2016013302
また、ユーザー2の腕の長さLは、ユーザー2の身長Lと相関があり、統計情報に基づき、例えば、ユーザー2が男性の場合は式(7)のような相関式で表され、ユーザー2が女性の場合は式(8)のような相関式で表される。
Figure 2016013302
Figure 2016013302
従って、ユーザーの腕の長さLは、身体情報242に含まれるユーザー2の身長Lと性別とを用いて、式(7)又は式(8)により算出される。
次に、処理部21は、工程S110で計算した中点S3の座標(0,S,S)及びシャフトプレーン30のX軸方向の幅(第3線分52の長さ)TLを用いて、シャフトプレーン30の頂点T1の座標(−TL/2,0,0)、頂点T2の座標(TL/2,0,0)、頂点S1の座標(−TL/2,S,S)、S2の座標(TL/2,S,S)を計算する(S120)。X軸方向の幅TLは、ユーザー2のスイング動作中のゴルフクラブ3の軌跡がシャフトプレーン30に収まるような値に設定される。例えば、X軸方向の幅TLを、X軸と直交する方向の幅S×Lと同じ、すなわち、シャフトの長さLと腕の長さLの和の2倍に設定してもよい。
このように計算された4つの頂点T1,T2,S1,S2の座標により、シャフトプレーン30が特定される。
[ホーガンプレーン(第2仮想平面)特定処理]
図10は、本実施形態における処理部21によるホーガンプレーン(第2仮想平面)を特定する処理(図6の工程S40の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。以下、図10フローチャートについて説明する。
まず、処理部21は、図7の工程S100で計算したゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62の座標は(0,G,G)及びユーザー2の身体情報242を用いて、ユーザー2の両肩を結ぶ線分上の所定位置63を推定し、その座標(A,A,A)を計算する(S200)。
図11は、図4のホーガンプレーン40をYZ平面で切った断面図をX軸の負側から見た図である。図11では、ユーザー2の両肩を結ぶ線分の中点を所定位置63としており、所定位置63はYZ平面上に存在する。従って、所定位置63のX座標Aは0である。そして、図11に示すように、処理部21は、ゴルフクラブ3のグリップエンドの位置62をZ軸の正方向にユーザー2の腕の長さLだけ移動させた位置が所定位置63であると推定する。従って、所定位置63のY座標Aはグリップエンドの位置62のY座標Gと同じであり、所定位置63のZ座標Aは、式(9)のように、グリップエンドの位置62のZ座標Gとユーザー2の腕の長さLの和として計算される。
Figure 2016013302
ユーザーの腕の長さLは、ユーザーの腕の長さLは、身体情報242に含まれるユーザー2の身長Lと性別とを用いて、式(7)又は式(8)により算出される。
次に、処理部21は、所定位置63のY座標A及びZ座標AにそれぞれスケールファクターHを乗算し、ホーガンプレーン40の頂点H1と頂点H2の中点H3の座標(0,H,H)を計算する(S210)。すなわち、H及びHは、式(10)及び式(11)により計算される。
Figure 2016013302
Figure 2016013302
図11に示すように、頂点H1と頂点H2の中点H3と原点Oとを結ぶ線分の長さ(ホーガンプレーン40のX軸と直交する方向の幅)は、第2線分53の長さLのH倍となる。このスケールファクターHは、ユーザー2のスイング動作中のゴルフクラブ3の軌跡がホーガンプレーン40に収まるような値に設定される。例えば、ホーガンプレーン40は、シャフトプレーン30と同じ形及び大きさとしてもよい。この場合、ホーガンプレーン40のX軸と直交する方向の幅H×Lが、シャフトプレーン30のX軸と直交する方向の幅S×Lと一致し、ゴルフクラブ3のシャフトの長さLとユーザー2の腕の長さLの和の2倍となるから、スケールファクターHを式(12)のように設定してもよい。
Figure 2016013302
また、第2線分53の長さLは、所定位置63のY座標A及びZ座標Aを用いて、式(13)のより計算される。
Figure 2016013302
次に、処理部21は、工程S210で計算した中点H3の座標(0,H,H)及びホーガンプレーン40のX軸方向の幅(第3線分52の長さ)TLを用いて、ホーガンプレーン40の頂点T1の座標(−TL/2,0,0)、頂点T2の座標(TL/2,0,0)、頂点H1の座標(−TL/2,H,H)、H2の座標(TL/2,H,H)を計算する(S220)。X軸方向の幅TLは、ユーザー2のスイング動作中のゴルフクラブ3の軌跡がホーガンプレーン40に収まるような値に設定される。本実施形態では、ホーガンプレーン40のX軸方向の幅TLは、シャフトプレーン30のX軸方向の幅と同じであるから、上記の通り、シャフトの長さLと腕の長さLの和の2倍に設定してもよい。
このように計算された4つの頂点T1,T2,H1,H2の座標により、ホーガンプレーン40が特定される。
[インパクト検出処理]
図12は、ユーザー2が打球したタイミングを検出する処理(図6の工程S60の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。以下、図12のフローチャートについて説明する。
まず、処理部21は、取得した角速度データ(時刻t毎の角速度データ)を用いて各時刻tでの角速度の合成値n(t)の値を計算する(S300)。例えば、時刻tでの角速度データをx(t)、y(t)、z(t)とすると、角速度の合成値n(t)は、次の式(14)で計算される。
Figure 2016013302
次に、処理部21は、各時刻tでの角速度の合成値n(t)を所定範囲に正規化(スケール変換)した合成値n(t)に変換する(S310)。例えば、計測データの取得期間における角速度の合成値の最大値をmax(n)とすると、次の式(15)により、角速度の合成値n(t)が0〜100の範囲に正規化した合成値n(t)に変換される。
Figure 2016013302
次に、処理部21は、各時刻tでの正規化後の合成値n(t)の微分dn(t)を計算する(S320)。例えば、3軸角速度データの計測周期をΔtとすると、時刻tでの角速度の合成値の微分(差分)dn(t)は次の式(16)で計算される。
Figure 2016013302
最後に、処理部21は、合成値の微分dn(t)の値が最大となる時刻と最小となる時刻のうち、先の時刻を打球のタイミングとして検出する(S330)。通常のゴルフスイングでは、打球の瞬間にスイング速度が最大になると考えられる。そして、スイング速度に応じて角速度の合成値の値も変化すると考えられるので、一連のスイング動作の中で角速度の合成値の微分値が最大又は最小となるタイミング(すなわち、角速度の合成値の微分値が正の最大値又は負の最小値になるタイミング)を打球(インパクト)のタイミングとして捉えることができる。なお、打球によりゴルフクラブ3が振動するため、角速度の合成値の微分値が最大となるタイミングと最小となるタイミングが対になって生じると考えられるが、そのうちの先のタイミングが打球の瞬間と考えられる。
なお、ユーザー2がスイング動作を行う場合、トップ位置でゴルフクラブを静止し、ダウンスイングを行い、打球し、フォロースルーを行うといった一連のリズムが想定される。従って、処理部21は、図12のフローチャートに従って、ユーザー2が打球したタイミングの候補を検出し、検出したタイミングの前後の計測データがこのリズムとマッチするか否かを判定し、マッチする場合には、検出したタイミングをユーザー2が打球したタイミングとして確定し、マッチしない場合には、次の候補を検出するようにしてもよい。
また、図12のフローチャートでは、処理部21は、3軸角速度データを用いて打球のタイミングを検出しているが、3軸加速度データを用いて、同様に打球のタイミングを検出することもできる。
[センサーユニットの姿勢計算処理]
図13は、センサーユニット10の姿勢(初期姿勢及び時刻Nでの姿勢)を計算する処理(図6の工程S50及びS70の一部の処理)の手順の一例を示すフローチャート図である。以下、図13のフローチャートについて説明する。
まず、処理部21は、時刻t=0として(S400)、静止時の3軸加速度データから重力加速度の向きを特定し、センサーユニット10の初期姿勢(時刻t=0の姿勢)を表すクォータニオンp(0)を計算する(S410)。
例えば、初期姿勢を任意のXYZ座標系のベクトル(X,Y,Z)とすると、クォータニオンp(0)は、次の式(17)で表される。
Figure 2016013302
また、回転を表すクォータニオンqは次の式(18)で表される。
Figure 2016013302
式(18)において、対象とする回転の回転角をφ、回転軸の単位ベクトルを(r,r,r)とすると、w,x,y,zは、次の式(19)で表される。
Figure 2016013302
時刻t=0ではセンサーユニット10は静止しているのでφ=0として、時刻t=0での回転を表すクォータニオンq(0)は、式(19)にφ=0を代入した式(18)より、次の式(20)のようになる。
Figure 2016013302
次に、処理部21は、時刻tをt+1に更新し(S420)、時刻tの3軸角速度データから、時刻tの単位時間あたりの回転を表すクォータニオンΔq(t)を計算する(S430)。
例えば、時刻tの3軸角速度データをω(t)=(ω(t),ω(t),ω(t))とすると、時刻tで計測された1サンプルあたりの角速度の大きさ|ω(t)|は、次の式(21)で計算される。
Figure 2016013302
この角速度の大きさ|ω(t)|は、単位時間当たりの回転角度となっているため、時刻tの単位時間あたりの回転を表すクォータニオンΔq(t+1)は、次の式(22)で計算される。
Figure 2016013302
ここでは、t=1なので、処理部21は、時刻t=1の3軸角速度データω(1)=(ω(1),ω(1),ω(1))から、式(11)により、Δq(1)を計算する。
次に、処理部21は、時刻0からtまでの回転を表すクォータニオンq(t)を計算する(S440)。クォータニオンq(t)は、次の式(23)で計算される。
Figure 2016013302
ここでは、t=1なので、処理部21は、式(20)のq(0)と工程S430で計算したΔq(1)から、式(23)により、q(1)を計算する。
次に、処理部21は、t=Nになるまで工程S420〜S440の処理を繰り返し、t=Nになると(S450のY)、工程S410で計算した初期姿勢を表すクォータニオンp(0)と直近の工程S440で計算した時刻t=0からNまでの回転を表すクォータニオンq(N)とから、次の式(24)により、時刻Nでの姿勢を表すクォータニオンp(N)を計算し(S460)、処理を終了する。
Figure 2016013302
式(24)において、q(N)はq(N)の共役クォータニオンである。このp(N)は、次の式(25)のように表され、センサーユニット10の時刻Nの姿勢をXYZ座標系のベクトルで表記すると、(X,Y,Z)となる。
Figure 2016013302
処理部21は、ユーザー2が打球した時刻を時刻Nとして、打球時のセンサーユニット10の姿勢を計算する。
1−4.スイング評価
図14は、図4のシャフトプレーン30及びホーガンプレーン40をX軸の負側から見た図(YZ平面に投影した図)である。図14に示すように、ユーザー2のダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡のすべてが、シャフトプレーン30とホーガンプレーン40との間の空間であるVゾーンに含まれる場合はストレート系の打球となる可能性が高い。一方、ユーザー2のダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡の一部が、Vゾーンよりも低い空間に含まれる場合はフック系の打球となり、Vゾーンよりも高い空間に含まれる場合はスライス系の打球となる可能性が高い。そこで、例えば、処理部21は、図6の工程S100において、ユーザー2のダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡のすべてがVゾーンに含まれるか否かを判定してもよい。そして、処理部21は、工程S110において、ダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡のすべてがVゾーンに含まれていれば適正なスイングと評価し、ダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡の一部がVゾーンに含ま
れていなければ、打球がフック系あるいはスライス系となる不適正なスイングと評価してもよい。表示する際には、プレーンで表示しなくても良く、図14のようにシャフトプレーン30の第1線分51とホーガンプレーン40の第2線分53のみを表示させ、スイングを評価しても良い。
図15は、処理部21が図6の工程S90において生成し、表示部25に表示させる画像の一例である。図15に示す画像300は、シャフトプレーン30を表すポリゴン301、ホーガンプレーン40を表すポリゴン302、及び、ユーザー2のダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌跡を表す曲線303を含んでいる。図15に示す画像300では、曲線303のすべてがポリゴン302とポリゴン303との間の空間であるVゾーンに含まれている。従って、ユーザー2は、この画像300を視認することで、自分のスイングが適正であることを確認することができる。また、処理部21は、図15に示す画像300(曲線303のすべてがVゾーンに含まれる画像)を表示部25に表示させる場合は、図6の工程110において、ユーザー2のスイングが適正であると評価し、当該評価結果の情報を画像300とともに表示部25に表示させてもよい。
なお、図15に示す画像300は、静止画であってもよいし、動画であってもよい。また、画像300は、ユーザー2の操作に応じて表示角度(画像300を見る視点)を変えることが可能な3次元画像であってもよい。
1−5.効果
本実施形態によれば、ユーザー2は、運動解析装置20の表示部25に表示される画像300により、シャフトプレーン30及びホーガンプレーン40の位置や傾き、Vゾーンの大きさなどから静止時の姿勢を客観的に認識することができる。また、ユーザー2は、ダウンスイング時のゴルフクラブ3の軌道とシャフトプレーン30及びホーガンプレーン40との位置関係(ゴルフクラブ3の軌道がVゾーンに入っているか否か)を認識することができるので、スイングの良し悪しを従来よりも正確に評価することができる。
また、本実施形態によれば、ゴルフクラブ3のシャフトの長軸がターゲットラインと垂直となるようにユーザー2がアドレスするという制約を設けることで、運動解析装置20は、アドレス時のセンサーユニット10の計測データを用いて、打球の目標方向を表す第3線分52を特定することができる。従って、運動解析装置20は、この第3線分52の方向に合わせてシャフトプレーン30及びホーガンプレーン40を適正に特定することができる。
また、本実施形態によれば、運動解析装置20は、ユーザー2の両肩を結ぶ線分上の所定位置63のZ座標Aを、シャフトプレーン30にあるグリップエンドの位置62のZ座標Gとユーザー2の腕の長さLとの和とすることで、1つのセンサーユニット10の計測データを用いて、シャフトプレーン30とホーガンプレーン40を特定することができる。従って、本実施形態によれば、X軸を中心にシャフトプレーン30を所定の角度(例えば30°)だけ回転させた仮想平面をホーガンプレーン40とするような場合と比較して、ユーザー2の体型に合ったホーガンプレーン40を、より正確に特定することができる。
また、本実施形態によれば、運動解析装置20は、統計データに基づいて導出される身長と腕の長さとの間の相関式を用いて、ユーザー2の身体情報242に含まれる身長の情報から腕の長さLを計算するので、ユーザー2は、通常は正確な数値を知らない腕の長さの情報を入力する必要がなく、利便性もよい。
また、本実施形態によれば、センサーユニット10を用いてシャフトプレーン30及び
ホーガンプレーン40を特定するので、カメラなどの大掛かりな装置を使用する必要がなく、スイング解析を行う場所の制約が少ない。
また、本実施形態によれば、運動解析装置20は、ダウンスイングにおけるゴルフクラブ3の軌跡がVゾーン否かを判定し、判定結果に基づくスイングの評価情報を提示するので、ユーザー2は、スイングの良し悪しを客観的かつ容易に評価することができる。
2.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
例えば、上記の実施形態では、運動解析装置20は、ユーザー2の両肩を結ぶ線分上の所定位置63のZ座標Aを、式(9)のように、グリップエンドの位置62のY座標Gとユーザー2の腕の長さLの和として計算しているが、これ以外の式を用いてもよい。例えば、運動解析装置20は、A=G+K・Lのように、Lに係数Kを乗じてGに加算してAを求めてもよい。
また、上記の実施形態では、運動解析装置20は、ゴルフクラブ3に装着したセンサーユニット10の計測データを用いて、シャフトプレーン及びホーガンプレーンを特定し、スイング中のゴルフクラブ3の軌跡を計算しているが、これ以外にも、例えば、ユーザー2の腕(手首など)に装着したセンサーユニット10の計測データを用いて、上記実施形態と同様の方法で、シャフトプレーン及びホーガンプレーンの特定やゴルフクラブ3の軌跡の計算を行ってもよい。あるいは、ゴルフクラブ3やユーザーの腕あるいは肩などの部位に、複数のセンサーユニット10を装着し、当該複数のセンサーユニット10の各々の計測データを用いて、シャフトプレーン及びホーガンプレーンの特定やゴルフクラブ3の軌跡の計算を行ってもよい。
また、上記の実施形態では、センサーユニットが計測した3軸角速度の合成値として式(14)に示すような二乗和の平方根を用いて、ユーザー2が打球したタイミング(インパクト)を検出しているが、3軸角速度の合成値として、これ以外にも、例えば、3軸角速度の二乗和、3軸角速度の和あるいはその平均値、3軸角速度の積等を用いてもよい。また、3軸角速度の合成値に代えて、3軸加速度の二乗和あるいはその平方根、3軸加速度の和あるいはその平均値、3軸加速度の積等の3軸加速度の合成値を用いてもよい。
また、上記の実施形態では、加速度センサー12と角速度センサー14が、センサーユニット10に内蔵されて一体化されているが、加速度センサー12と角速度センサー14は一体化されていなくてもよい。あるいは、加速度センサー12と角速度センサー14が、センサーユニット10に内蔵されずに、ゴルフクラブ3又はユーザー2に直接装着されてもよい。また、上記の実施形態では、センサーユニット10と運動解析装置20が別体であるが、これらを一体化してゴルフクラブ3又はユーザー2に装着可能にしてもよい。
また、上記の実施形態では、ゴルフスイングを解析する運動解析システム(運動解析装置)を例に挙げたが、本発明は、テニスや野球などの様々な運動のスイングを解析する運動解析システム(運動解析装置)に適用することができる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施
の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 運動解析システム、2 ユーザー、3 ゴルフクラブ、4 ゴルフボール、10 センサーユニット、12 加速度センサー、14 角速度センサー、16 信号処理部、18 通信部、20 運動解析装置、21 処理部、22 通信部、23 操作部、24 記憶部、25 表示部、26 音出力部、30 シャフトプレーン、40 ホーガンプレーン、51 第1線分、52 第3線分、53 第2線分、61 ゴルフクラブのヘッドの位置、62 ゴルフクラブのグリップエンドの位置、63 ユーザーの両肩を結ぶ線分上の所定位置、210 データ取得部、211 第1仮想平面特定部、212 第2仮想平面特定部、213 運動解析部、214 画像データ生成部、215 記憶処理部、216 表示処理部、217 音出力処理部、240 運動解析プログラム、242 身体情報、244 クラブ仕様情報、246 センサー装着位置情報、300 画像、301 シャフトプレーンを表すポリゴン、302 ホーガンプレーンを表すポリゴン、303 ダウンスイング時のゴルフクラブの軌跡を表す曲線

Claims (15)

  1. 慣性センサーの出力を用いて、ユーザーの静止時における、運動器具のシャフト部の長軸方向に沿った第1軸を特定する工程と、
    前記慣性センサーの出力と前記ユーザーの身体情報とを用いて、前記ユーザーの静止時における前記ユーザーの頭部と胸部の間の所定位置を推定し、推定した前記所定位置と打撃位置とを結ぶ第2軸を特定する工程と、を含む、運動解析方法。
  2. 前記慣性センサーの出力を用いて、前記運動器具のグリップエンドの位置を計算する工程を含み、
    前記第2軸を特定する工程において、
    前記グリップエンドの位置と、前記身体情報に基づく前記ユーザーの腕の長さとを用いて、前記所定位置を推定する、請求項1に記載の運動解析方法。
  3. 前記慣性センサーの出力は、加速度の情報を含み、
    前記ユーザーの静止時における前記加速度の情報を用いて前記シャフト部の水平面に対する傾斜角を計算する工程を含み、
    前記第1軸を特定する工程において、
    前記傾斜角と前記シャフト部の長さの情報とを用いて、前記第1軸を特定する、請求項1または2に記載の運動解析方法。
  4. 前記身体情報は、前記ユーザーの腕の長さである、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の運動解析方法。
  5. 前記所定位置は、前記ユーザーの両肩を結ぶ線分上にある、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の運動解析方法。
  6. 打球の目標方向を第3軸とした場合に、
    前記第1軸と前記第3軸とを含む第1仮想平面を特定する工程と、
    前記第2軸と前記第3軸とを含む第2仮想平面を特定する工程と、を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の運動解析方法。
  7. 前記運動器具には、打球面が設けられ、
    前記第3軸は、前記ユーザーの静止時の前記打球面に直交する方向の軸である、請求項6に記載の運動解析方法。
  8. 前記第1仮想平面を特定する工程において、
    前記シャフト部の長さと前記身体情報に基づく前記ユーザーの腕の長さとを用いて、前記第1仮想平面の幅を計算する、請求項6または7に記載の運動解析方法。
  9. 前記第2仮想平面を特定する工程において、
    前記シャフト部の長さと前記身体情報に基づく前記ユーザーの腕の長さとを用いて、前記第2仮想平面の幅を計算する、請求項6または7に記載の運動解析方法。
  10. 前記ユーザーのスイングに基づく前記運動器具の軌跡の情報を取得する工程と、
    前記軌跡が前記第1軸と前記第2軸との間に含まれるか否かを判定する工程と、を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の運動解析方法。
  11. 前記ユーザーのスイングに基づく前記運動器具の軌跡の情報を取得する工程と、
    前記軌跡が前記第1仮想平面と前記第2仮想平面との間に含まれるか否かを判定する工
    程と、を含む、請求項6乃至9のいずれか一項に記載の運動解析方法。
  12. 前記ユーザーのスイングに基づく前記運動器具の軌跡の情報を取得する工程と、
    前記第1軸と前記第2軸と前記軌跡とを含む画像データを生成する工程と、を含む、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の運動解析方法。
  13. 前記運動器具は、ゴルフクラブである、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の運動解析方法。
  14. 慣性センサーの出力を用いて、ユーザーの静止時における、運動器具のシャフト部の長軸方向に沿った第1軸を特定する工程と、
    前記慣性センサーの出力と前記ユーザーの身体情報とを用いて、前記ユーザーの静止時における前記ユーザーの頭部と胸部の間の所定位置を推定し、推定した前記所定位置と打撃位置とを結ぶ第2軸を特定する工程と、をコンピューターに実行させる、プログラム。
  15. 慣性センサーの出力を用いて、ユーザーの静止時における、運動器具のシャフト部の長軸方向に沿った第1軸を特定する第1特定部と、
    前記慣性センサーの出力と前記ユーザーの身体情報とを用いて、前記ユーザーの静止時における前記ユーザーの頭部と胸部の間の所定位置を推定し、推定した前記所定位置と打撃部位置とを結ぶ第2軸を特定する第2特定部と、を含む、運動解析装置。
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