以下、本発明を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される、数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態などは、一例であって本発明を限定する主旨ではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化する。
(第1実施形態)
まず、図1、図2を参照して、本発明の加湿装置の第1実施形態に係る液体微細化装置1の概略構成について説明する。図1は、その液体微細化装置1の斜視図である。図2は、液体微細化装置1の鉛直方向の概略断面図である。
この液体微細化装置1は、図1に示す通り、空気を吸い込む吸込口2と、吸込口2と連通し下方が通風口7として開放された内筒5と、内筒5を内包した外筒9と、その吸込口2より吸い込まれ、内筒5及び外筒9を通過した空気を吹き出す外筒9の上方に設けられた吹出口3と、を備えている。
液体微細化装置1は、図2に示す通り、吸込口2と吹出口3との間に、吸込連通風路4と、内筒風路6と、外筒風路8と、が形成されている。吸込連通風路4は、吸込口2で吸い込まれた空気が連通する内筒5に向けて流れる風路である。内筒風路6は、内筒5内部に形成される風路であり、吸込連通風路4から流れた空気が内筒5の通風口7に向けて流れる風路である。外筒風路8は、外筒9の内径と内筒5の外径との間に形成される風路であり、内筒5の通風口7より吹き出された空気が外筒9の内側を通って吹出口3へと導かれる風路である。
液体微細化装置1は、これら吸込連通風路4、内筒風路6、外筒風路8にて形成される風路内に設けられた液体微細化部19を備えており、液体微細化部19により微細化された水をその風路に流れる空気に含めることで、吸込口2から吸い込んだ空気を加湿する。液体微細化部19が、本発明の加湿部である。
液体微細化部19は、液体微細化装置1の主要部であり、水の微細化を行うところである。液体微細化装置1では、吸込口2で取り込んだ空気が、吸込連通風路4を経由して液体微細化部19へ送られる。そして、液体微細化装置1は、内筒風路6を通る空気に、液体微細化部19にて微細化された水を含ませて、その水の含んだ空気を、外筒風路8を経由して吹出口3より吹き出すように構成されている。
液体微細化部19には、上方及び下方が開口された衝突壁5aを備えている。衝突壁5aは、内筒5の内側に固定されることで設けられている。また、液体微細化部19には、衝突壁5aに囲まれた内側において、回転しながら水を汲み上げる(揚水する)筒状の揚水管21が備えられている。揚水管21は、逆円錐形の中空構造となっており、逆円錐形状の天面中心に、鉛直方向に向けて配置された回転軸20が固定されている。回転軸20が、液体微細化部19の外面に備えられた回転モータ23と接続されることで、回転モータ23の回転運動が回転軸20を通じて揚水管21に伝導され、揚水管21が回転する。
図2に示す通り、揚水管21は、揚水管21の外面から外側に突出するように形成された回転板22を複数備えている。複数の回転板22は、回転軸20の軸方向に所定間隔を設けて、揚水管21の外面から外側に突出するように形成されている。回転板22は揚水管21とともに回転するため、回転軸20と同軸の水平な円盤形状が好ましい。なお、回転板22の枚数は、目標とする性能や揚水管21の寸法に合わせて適宜設定されるものである。
また、揚水管21の壁面には、揚水管21の壁面を貫通する開口(図示せず)を備えている。揚水管21の開口は、揚水管21の外面から外側に突出するように形成された回転板22と連通する位置に設けられている。開口の周方向の大きさは、揚水管21の開口が備えられた部位の外径に合わせてそれぞれ設計する必要があり、例えば揚水管21の外径の5%から50%に相当する径、より好ましくは、揚水管21の5%から20%に相当する径が挙げられる。なお、上記範囲内において、各開口の寸法を同一のものとしてもよい。
液体微細化部19の下部には、揚水管21の鉛直方向下方に、空気を加湿するため揚水管21により揚水される水を貯水する貯水部10が設けられている。貯水部10は、揚水管21の下部の一部、例えば揚水管21の円錐高さの三分の一から百分の一程度の長さが浸るように、深さがとられている。この深さは必要な揚水量に合わせて設計できる。
貯水部10への水の供給は、給水部15により行われる。給水部15には、給水管16が接続されており、例えば水道から給水弁17を通じて、給水管16により直接給水する。なお、給水部15は、あらかじめ液体微細化部19外に備えられた水タンクからサイフォンの原理で必要な水量のみ汲みあげて、貯水部10へ水を供給するように構成されてもよい。この給水部15は、貯水部10の底面よりも鉛直方向上方に設けられている。なお、給水部15は、貯水部10の底面だけでなく、貯水部10の上面(貯水部10に貯水され得る最大水位の面)よりも鉛直方向上方に設けられるのが好ましい。
貯水部10の底面中央には、排水部11が設けられている。排水部11の排水口は、貯水部10の最も低い位置に設けられている。水の微細化の運転を停止させた場合、排水部11に設けられた排水弁12を開けることで、貯水部10に貯水された水が、排水部11から排水される。
また、貯水部10には、オーバーフロー排水口18が設けられている。貯水部10に必要以上の水が貯水された場合、水の抵抗によって揚水管21の回転が不足したり、液体微細化装置1から水漏れを起こしたり、場合によっては回転モータ23が水に浸かって故障したりする恐れがある。オーバーフロー排水口18は、そのような事態が生じすることを防ぐために設けたものであり、貯水部10おいて貯水された水が所定の水位以上とならないよう、所定の水位の位置に開口されている。
これにより、貯水部10に所定の水位の水が貯水されると、それ以後に水が給水されてもオーバーフロー排水口18から水が排水され、貯水部10には所定の水位以上の水が貯水されないようになっている。
液体微細化部19には、貯水部10の満水の水位を検知するために、基準水位検知部24と、満水水位検知部25とが設けられている。満水水位検知部25は、液体微細化部19による液体の微細化のために必要な貯水部10に貯水すべき水の水位を満水水位として検知するものであり、NTCサーミスタにより構成される。満水水位検知部25は、オーバーフロー排水口18が設けられる所定の水位となる位置よりも低い第1の位置に設けられる。つまり、満水水位として検知される位置は、オーバーフロー排水口18が設けられる所定の水位となる位置よりも低い位置に設定される。
一方、基準水位検知部24は、満水水位検知部25と同一のNTCサーミスタにより構成されるもので、オーバーフロー排水口18が設けられる所定の水位となる位置よりも高い第2の位置に設けられる。オーバーフロー排水口18により、貯水部10には所定の水位よりも高い位置に水が貯水されることはなく、基準水位検知部24は常に空気中に存在することになる。そこで、基準水位検知部24の出力値は、出力値の基準として用いられる。
ここで、NTCサーミスタは、水中に存在する状態にある場合と、空気中に存在する状態にある場合とで、出力される電圧値が変化する。本実施の形態では、貯水部10に水を供給する場合に、満水水位検知部25が出力する電圧値と、基準水位検知部24が出力する電圧値とを比較する。そして、その差が所定範囲(例えば、0.2V)となった場合に、満水水位検知部25が水中に存在する状態となったと判断し、貯水部10に満水水位まで水が貯水されたとして、給水弁17を閉じ、給水を停止する。
一方、基準水位検知部24と満水水位検知部25とでは、同一のNTCサーミスタを用いたとしても、サーミスタの特性のばらつきにより、同一の環境下であっても出力される電圧値にばらつきが生じる。そこで、本実施の形態では、基準水位検知部24が出力する電圧値を用いて満水水位検知部25が出力する電圧値の補正を行う。即ち、満水水位検知部25は、出力値の補正対象となるものであり、本発明の非基準水位検知部に該当する。
例えば、液体微細化装置1に初めて通電が行われて、基準水位検知部24及び満水水位検知部25から出力される電圧が安定する第1の所定時間(例えば5分)経過後に、当該補正を実施する。また、第2の所定時間(例えば24時間)毎に実行される乾燥動作が行われる後にも、当該補正を実施する。つまり、貯水部10が渇水状態にあり、基準水位検知部24と満水水位検知部25とが同一環境下にあって、理想的には同一の電圧値が出力される状況の中で、当該補正が実施される。
当該補正は、基準水位検知部24より出力される電圧値から満水水位検知部25より出力される電圧値を引いて得られる電圧値の差を、オフセット電圧値とすることで行われる。そして、以後、満水水位検知部25から実際に出力される電圧値に、オフセット電圧値を加算した値が、満水水位検知部25から出力された電圧値として満水水位の検知が行われる。これにより、満水水位検知部25による出力値を基準水位検知部24による出力値に合わせることができるので、貯水部10の水位を精度よく検知できる。
なお、満水水位検知部25による出力値を基準水位検知部24による出力値に基づいて補正する方法は、上記方法に限られるものではなく、満水水位検知部25による出力値が基準水位検知部24による出力値に基づいて補正されるものであれば他の方法であってもよい。
ここで、液体微細化装置1における水の微細化の動作原理を説明する。回転モータ23により回転軸20が回転し、それに合わせて揚水管21が回転すると、その回転によって生じる遠心力により、貯水部10に貯水された水が揚水管21によって汲み上げられる。揚水管21の回転数は、1000-5000rpmの間に設定される。揚水管21は、逆円錐形の中空構造となっているため、回転によって汲み上げられた水は、揚水管21の内壁を伝って上部へ揚水される。そして、揚水された水は、揚水管21の開口から回転板22を伝って遠心方向に放出され、水滴として飛散する。
回転板22から飛散した水滴は、衝突壁5aに囲まれた空間を飛翔し、衝突壁5aに衝突し、微細化される。一方、内筒風路6を通過する空気は、衝突壁5aの上方開口部から衝突壁5a内部へ移動し、衝突壁5aによって破砕(微細化)された水滴を含みながら下方開口部から衝突壁5a外部へ移動する。これにより、液体微細化装置1の吸込口2より吸い込まれた空気に対して加湿を行い、吹出口3より加湿された空気を吹き出すことができる。
回転板22から飛散した水の運動エネルギーは衝突壁5a内部の空気との摩擦により減衰するため、回転板22はなるべく衝突壁5aに近づけたほうが好ましい。一方で、衝突壁5aと回転板22を近づけるほど、衝突壁5a内部を通過する風量が減少するため、距離の下限値は衝突壁5a内部を通過する圧力損失と風量とで、任意に決まる。
なお、微細化される液体は水以外でもよく、例えば、殺菌性/消臭性を備えた次亜塩素酸水等の液体であってもよい。微細化された次亜塩素酸水を液体微細化装置1の吸込口2より吸い込まれた空気に含ませ、その空気を吹出口3より吹き出すことで、液体微細化装置1が置かれた空間の殺菌/消臭を行うことができる。
次に、図3を参照して、液体微細化装置1において加湿運転を実行するための加湿運転処理について説明する。図3は、この加湿運転処理を示すフローチャートである。加湿運転処理は、液体微細化装置1に設けられた制御部(図示せず)により実行される。
この加湿運転処理では、まず、初回通電時水位検知部補正処理が実行される(S1)。この初回通電時水位検知部補正処理では、液体微細化装置1への通電が初めてか否かを判定し、その通電が初めてであれば、まず第1の所定時間(例えば5分)待機する。この第1の所定時間は、上述した通り、基準水位検知部24及び満水水位検知部25から出力される電圧を安定させるための時間である。そして、第1の所定時間経過後、貯水部10が渇水状態にある中で、基準水位検知部24及び満水水位検知部25から出力される電圧値から上述のオフセット電圧値を算出する。以後、満水水位検知部25から実際に出力される電圧値にオフセット電圧値を加算した値が、満水水位検知部25から出力された電圧値として、満水水位の検知に使用される。このS1の処理が、本発明の水位検知補正部に該当する。
なお、初回通電時水位検知部補正処理において、液体微細化装置1への通電が初めてでないと判定された場合は、そのままS2の処理へ移行する。
次いで、加湿運転処理では、貯水部10等の洗浄を行うために、S2~S4の処理を実行する。即ち、S2の処理では、排水弁12を閉じて、給水弁17を開き、貯水部10への給水を開始する。そして、加湿運転処理では、貯水部10の水位が満水水位となったか否かを判断する(S3)。
S3の処理では、具体的には、満水水位検知部25が出力する電圧値と、基準水位検知部24が出力する電圧値とを比較する。このとき、満水水位検知部25が出力する電圧値としては、実際に出力された電圧値に上述のオフセット電圧値を加算したものを使用する。そして、その差が所定範囲(例えば、0.2V)となった場合に、満水水位検知部25が水中に存在する状態となったと判断する。
ここで、満水水位検知部25は、貯水部10の水位に応じて空気中に存在する状態と水中に存在する状態とがある。一方で、基準水位検知部24は、オーバーフロー排水口18が設けられた所定の位置よりも高い第2の位置に設けられているので、常に空気中に存在する状態にある。従って、常に空気中に存在する状態にある基準水位検知部24から出力される電圧と、満水水位検知部25から出力される電圧とを比較することで、満水水位検知部25が水中に存在する状態となった場合に、両者の電圧の違いが確実に判定できる。その結果、貯水部10の水位の誤検知を抑制できる。
S3の処理の結果、貯水部10の水位が満水水位にない場合は(S3:No)、S3の処理を繰り返し実行する。一方、S3の処理の結果、貯水部10の水位が満水水位となったと判断される場合に(S3:Yes)、加湿運転処理は、排水弁12を開き、給水弁17を閉じて、貯水部10への給水の停止と、貯水部10に貯水された水の排水を行う(S4)。これにより、貯水部10の洗浄が終了する。
次に、加湿運転処理では、実際の加湿運転を開始するために、排水弁12を閉じて、給水弁17を開き、貯水部10への給水を開始する(S5)。そして、加湿運転処理では、貯水部10の水位が満水水位となったか否かを判断する(S6)。そのS6の判断は、S3の処理と同様に行われる。S6の処理も、本発明の第1判定部に該当する。
S6の処理の結果、貯水部10の水位が満水水位となったと判断されると(S6:Yes)、加湿運転処理は、給水弁17を閉じて給水を停止する(SS7)。そして、加湿運転処理は、回転モータ23の回転をオンする(S8)。これにより、貯水部10の貯水された水が上述した動作によって微細化され、吸込口2より吸い込んだ空気に対して加湿が行われる。
次に、加湿運転処理は、貯水部10の水が少なくなると予想される30分経過するまで処理を待機し(S9)、その後、回転モータ23の回転をオフして、一旦加湿運転を停止する(S10)。
そして、加湿運転処理は、液体微細化装置1が通電されてから第2の所定時間(本実施形態では24時間)経過したか、または、前回乾燥運転を行ってから第2の所定時間経過したかを判断する(S11)。その結果、第2の所定時間経過していなければ(S11:No)、加湿運転処理は、S5の処理に戻り、貯水部10への給水が再び行われて加湿運転が再開される。
一方、S11の処理の結果、第2の所定時間経過したと判断される場合は(S11:Yes)、加湿運転処理は乾燥運転を実施する(S12)。具体的には、液体微細化装置1の内部又は外部に設けられた送風機(図示せず)により、加湿運転することなく吸込口2から吹出口3へ空気を送風することで、液体微細化装置1の内部を乾燥させる。この乾燥運転を第2の所定時間毎に実施することで、液体微細化装置1内部にカビが発生することを抑制している。このS12の処理が、本発明の乾燥動作部に該当する。
そして、S12の処理の後、加湿運転処理は、水位検知部補正処理を実行する(S13)。水位検知部補正処理における補正は、S1の初回通電時水位検知部補正処理と同様に、基準水位検知部24及び満水水位検知部25から出力される電圧値から上述のオフセット電圧値を算出して行われる。そして、以後、ここで算出されたオフセット電圧値を用いて、満水水位検知部25から実際に出力される電圧値にオフセット電圧値を加算した値が、満水水位検知部25から出力された電圧値として、満水水位の検知に使用される。
このように、第2の所定時間毎に行われる乾燥運転後は、貯水部10が渇水状態にあり、基準水位検知部24及び満水水位検知部25は共に乾燥状態にあって、同一の環境下にある。よって、このような状況下で補正を行うことで、貯水部10の水位を精度よく検知できる。また、第2の所定時間毎に定期的に補正を行うことで、基準水位検知部24及び満水水位検知部25が経年劣化して特性が変化したとしても、補正を確実に行うことができる。このS13の処理も、本発明の水位検知補正部に該当する。
S13の処理の後、加湿運転処理は、S5の処理に戻る。
また、S6の処理の結果、貯水部10の水位が満水水位にないと判断されると(S6:No)、次いで、加湿運転処理は、S5の処理により給水を開始してから第1時間(本実施の形態では5分)経過したか否かを判断する(S14)。その結果、第1時間経過していなければ(S14:No)、加湿運転処理はS6の処理に戻り、貯水部10の水位が満水水位となったか否かを判断する。
一方、S14の処理の結果、第1時間経過したと判断した場合は(S14:Yes)、給水がうまくできていないか、基準水位検知部24及び/又は満水水位検知部25が故障しているか、または、満水水位検知を誤検知している可能性がある。特に、給水した水の温度が高い場合、基準水位検知部24から出力される電圧値と、満水水位検知部25から出力される電圧値とに差がなく、結果として満水水位検知ができない可能性もある。
そこで、加湿運転処理は、まず給水弁17を閉じて給水を停止した後(S15)、第2時間(本実施の形態では30分)経過するまで処理を待機する(S16)。そして、加湿運転処理は、第2時間経過後、再度S6の処理と同様の方法で貯水部10の水位が満水水位にあるか否かを判断する(S17)。
仮に、給水した水の温度が高かった場合、第2時間が経過することで、水の温度が周囲の空気に馴染み、貯水部10内の空気の温度に近くなる。そうすると、基準水位検知部24から出力される電圧値と満水水位検知部25から出力される電圧値とに明確な差が生じるようになり、満水水位の誤検知が解消される。
なお、S16の処理において、第2時間待機している間、液体微細化装置1の内部又は外部に設けられた送風機(図示せず)を動作させ、貯水部10に空気を送風してもよい。また、この間、揚水管21による揚水が行われない程度に回転モータ23を回転させてもよい。これにより、貯水部10に貯水された水の温度が早く馴染み、より確実に満水数位の誤検知の解消を図ることができる。
S17の処理の結果、貯水部10の水位が満水水位にあると判断された場合は(S17:Yes)、その誤検知が解消されたと判断できるので、加湿運転処理は、S8の処理へ移行して、加湿を開始する。一方、S17の処理の結果、貯水部10の水位が満水水位にないと判断された場合は(S17:No)、給水そのものに問題があるか、基準水位検知部24及び/又は満水水位検知部25が故障している可能性が高いので、異常を報知して(S18)、以後、処理をループさせる。
以上説明した通り、第1実施形態に係る液体微細化装置1は、貯水部10において貯水された水が所定の水位となる位置にオーバーフロー排水口18が設けられている。これにより、貯水部10に所定の水位の水が貯水されると、それ以後に水が給水されてもオーバーフロー排水口18から水が排水され、貯水部10には所定の水位以上の水が貯水されないようになっている。よって、所定の水位の位置よりも低い第1の位置に設けられた満水水位検知部25は、貯水部10の水位に応じて空気中に存在する状態と水中に存在する状態とがある一方、所定の水位よりも高い第2の位置に設けられた基準水位検知部24は、常に空気中に存在する状態にある。従って、常に空気中に存在する状態にある基準水位検知部24から出力される電圧値と、満水水位検知部25から出力される電圧値とを比較することで、満水水位検知部25が水中に存在する状態となった場合に、両者の電圧の違いが確実に判定できる。その結果、貯水部10の水位の誤検知を抑制できる。
また、貯水部10が渇水状態にある場合に、満水水位検知部25による電圧値が基準水位検知部24による電圧値に補正される。これにより、満水水位検知部25による出力値を基準水位検知部24による出力値に合わせることができるので、貯水部10の水位を精度よく検知できる。
(第2実施形態)
次いで、図4を参照して、本発明の加湿装置の第2実施形態に係る液体微細化装置1について説明する。図4は、第2実施形態に係る液体微細化装置1の鉛直方向の概略断面図である。
第1実施形態に係る液体微細化装置1は、基準水位検知部24と満水水位検知部25とが鉛直方向において重なる位置に設けられている。これに対し、第2実施形態に係る液体微細化装置1は、図4に示す通り、第1実施形態に係る満水水位検知部25と同様の構成及び機能を有する満水水位検知部36を、基準水位検知部24とは鉛直方向において重ならない位置に配置することを特徴としている。
基準水位検知部24は、常に空気中に存在するが、貯水部10に貯水された水の蒸発や、加湿された空気の通過等によって、その基準水位検知部24の周辺に水滴が付着し、その付着した水滴が鉛直方向に落下する場合が生じ得る。
この第2実施形態に係る液体微細化装置1は、満水水位検知部36が基準水位検知部24とは鉛直方向において重ならない位置に配置されている。よって、満水水位検知部36が、基準水位検知部24から落下する水滴により濡れることを抑制でき、空気中に存在しているにもかかわらず水中に存在している場合の電圧値を出力するおそれを抑制できる。
従って、第2実施形態に係る液体微細化装置1は、第1実施形態に係る液体微細化装置1の奏する効果に加え、貯水部10の水位の誤検知をより確実に抑制できる。
(第3実施形態)
次いで、図5を参照して、本発明の加湿装置の第3実施形態に係る液体微細化装置1について説明する。図5は、第3実施形態に係る液体微細化装置1の鉛直方向の概略断面図である。
第3実施形態に係る液体微細化装置1は、貯水部10の水位を検知するための水位検知部として、第1実施形態に係る液体微細化装置1の基準水位検知部24と満水水位検知部25とに加えて、オーバーフロー水位検知部26を有している。
オーバーフロー水位検知部26は、貯水部10の水位がオーバーフロー排水口18の設けられた所定の水位となる前に検知するためのものであり、NTCサーミスタにより構成される。オーバーフロー水位検知部26は、満水水位検知部25が設けられた第1の位置よりも高く、オーバーフロー排水口18が設けられる所定の水位となる位置よりも低い第3の位置に設けられる。つまり、オーバーフロー水位として検知される位置は、オーバーフロー排水口18が設けられる所定の水位となる位置よりも低い位置に設定される。
本実施の形態では、オーバーフロー水位検知部26が出力する電圧値と、基準水位検知部24が出力する電圧値とを比較する。そして、その差が所定範囲(例えば、0.2V)となった場合に、オーバーフロー水位検知部26が水中に存在する状態となったと判断し、貯水部10にオーバーフロー水位まで水が貯水されたと判断する。
一方、基準水位検知部24とオーバーフロー水位検知部26とでは、満水水位検知部25と同様に、同一のNTCサーミスタを用いたとしても、サーミスタの特性のばらつきにより、同一の環境下であっても出力される電圧値にばらつきが生じる。そこで、本実施の形態では、満水水位検知部25の補正だけでなく、基準水位検知部24が出力する電圧値を用いてオーバーフロー水位検知部26が出力する電圧値の補正も行う。オーバーフロー水位検知部26が出力する電圧値の補正は、満水水位検知部25の電圧値の補正と同様の方法で行われる。これにより、満水水位検知部25による出力値だけでなく、オーバーフロー水位検知部26による出力値も、基準水位検知部24による出力値に合わせることができるので、貯水部10の水位を精度よく検知できる。このように、オーバーフロー水位検知部26も、出力値の補正対象となり、本発明の非基準水位検知部に該当する。
なお、オーバーフロー水位検知部26による出力値を基準水位検知部24による出力値に基づいて補正する方法も、上記方法に限られるものではなく、オーバーフロー水位検知部25による出力値が基準水位検知部24による出力値に基づいて補正されるものであれば他の方法であってもよい。
次に、図6を参照して、第2実施形態に係る液体微細化装置1において加湿運転を実行するための加湿運転処理について説明する。図6は、この加湿運転処理を示すフローチャートである。加湿運転処理は、第1実施形態と同様に液体微細化装置1に設けられた制御部(図示せず)により実行される。
第2実施形態に係る加湿運転処理が、第1実施形態に係る加湿運転処理と相違する点は、S6の処理で貯水部10が満水水位にないと判断される場合に(S6:No)、S14の処理に代えてS21の処理が実行される点である。また、S21の処理において否定判断された場合に、S22及びS23の処理が実行される点である。なお、オーバーフロー水位検知部26の電圧値の補正は、S1及びS13の中で満水水位検知部25と同様に実行される。
まず、S21の処理では、貯水部10がオーバーフロー水位となったか否かを判断する。具体的には、オーバーフロー水位検知部26が出力する電圧値と、基準水位検知部24が出力する電圧値とを比較する。このとき、オーバーフロー水位検知部26が出力する電圧値としては、実際に出力された電圧値に、S1又はS13にて算出されたオフセット電圧値を加算したものを使用する。そして、その差が所定範囲(例えば、0.2V)となった場合に、オーバーフロー水位検知部26が水中に存在する状態となったと判断する。
ここで、オーバーフロー水位検知部26は、貯水部10の水位に応じて空気中に存在する状態と水中に存在する状態とがある。一方で、基準水位検知部24は、オーバーフロー排水口18が設けられた所定の位置よりも高い第2の位置に設けられているので、常に空気中に存在する状態にある。従って、常に空気中に存在する状態にある基準水位検知部24から出力される電圧と、オーバーフロー水位検知部26から出力される電圧とを比較することで、オーバーフロー水位検知部26が水中に存在する状態となった場合に、両者の電圧の違いが確実に判定できる。その結果、貯水部10の水位の誤検知を抑制できる。
S21の処理の結果、貯水部10の水位がオーバーフロー水位にないと判断される場合(S21:No)、この時点で、貯水部10は、満水水位にもオーバーフロー水位にも到達していない。そこで、加湿運転処理は、S5の処理により給水を開始してから第1時間(本実施の形態では5分)経過したか否かを判断する(S22)。その結果、第1時間経過していなければ(S22:No)、加湿運転処理はS6の処理に戻る。
一方、S22の処理の結果、第1時間経過したと判断した場合は(S22:Yes)、給水に問題がある可能性が高い。そこで、加湿運転処理は、まず給水弁17を閉じて給水を停止した後(S23)、S18の処理へ移行し、異常を報知して、以後、処理をループさせる。
また、S21の処理の結果、貯水部10の水位がオーバーフロー水位となったと判断される場合(S21:Yes)、S6の処理では、貯水部10の水位が満水水位にないと判断されている状況にあるので、満水水位の検知に何らかの問題があるおそれがある。なぜならば、オーバーフロー水位検知部26は、満水水位検知部25が設けられた第1の位置よりも高い第2の位置に設けられているため、貯水部10がオーバーフロー水位となると判断されるよりも前に、満水水となったことが判断されるはずだからである。
満水水位の検知の問題としては、満水水位検知部25の故障の他、貯水部10に給水された水の温度が高い場合の誤検知が考えられる。その問題の切り分けを行うために、加湿運転処理は、第1実施形態と同様にS16及びS17の処理を実行する。
以上説明した通り、第3実施形態に係る液体微細化装置1は、満水水位検知部25だけでなくオーバーフロー水位検知部26を更に有しているので、貯水部10の水位の検知をより精度よく行うことができる。
また、給水された水の温度が高く、貯水部10の満水水位を満水水位検知部25が誤検知しても、オーバーフロー水位検知部26により貯水部10がオーバーフロー水位となったことを検知することで、満水水位検知部25の誤検知の可能性を判断できる。よって、満水水位検知部25の誤検知によって異常と判断され、液体微細化装置1の動作が停止する頻度を抑制できる。
(第4実施形態)
次いで、図7を参照して、本発明の加湿装置の第4実施形態に係る液体微細化装置1について説明する。図7は、第4実施形態に係る液体微細化装置1の鉛直方向の概略断面図である。
第3実施形態に係る液体微細化装置1は、基準水位検知部24と満水水位検知部25とオーバーフロー水位検知部26とが鉛直方向において重なる位置に設けられている。これに対し、第4実施形態に係る液体微細化装置1は、図7に示す通り、第3実施形態に係る満水水位検知部25と同様の構成及び機能を有する満水水位検知部36と、第3実施形態に係るオーバーフロー水位検知部26と同様の構成及び機能を有するオーバーフロー水位検知部37と、基準水位検知部24とは、鉛直方向において重ならない位置に配置することを特徴としている。
第2実施形態においても説明した通り、基準水位検知部24は、常に空気中に存在するが、貯水部10に貯水された水の蒸発や、加湿された空気の通過等によって、その基準水位検知部24の周辺に水滴が付着する可能性がある。また、オーバーフロー水位検知部37は、貯水部10に貯水された水の蒸発や、加湿された空気の通過等の影響の他、オーバーフロー水位まで貯水されていた水によって、オーバーフロー水位検知部37の周辺に水滴が付着する可能性がある。そして、これらの付着した水滴が鉛直方向に落下する場合が生じ得る。
この第4実施形態に係る液体微細化装置1は、満水水位検知部36とオーバーフロー水位検知部37と基準水位検知部24とが、鉛直方向において重ならない位置に配置されている。よって、満水水位検知部36が、基準水位検知部24やオーバーフロー水位検知部37から落下する水滴により濡れることを抑制でき、空気中に存在しているにもかかわらず水中に存在している場合の電圧値を出力するおそれを抑制できる。また、オーバーフロー水位検知部37が、基準水位検知部24から落下する水滴により濡れることを抑制でき、空気中に存在しているにもかかわらず水中に存在している場合の電圧値を出力するおそれを抑制できる。
従って、第4実施形態に係る液体微細化装置1は、第3実施形態に係る液体微細化装置1の奏する効果に加え、貯水部10の水位の誤検知をより確実に抑制できる。
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、上記実施形態で挙げた数値は一例であり、他の数値を採用することは当然可能である。
例えば、上記各実施形態に係る液体微細化装置1において、異常カウンタを設け、S17の満水水位の判断処理において否定判断された数を異常カウンタによりカウントし、異常カウンタの数が所定数(例えば3)以上となった場合に、S18による異常の報知を行うようにしてもよい。この場合、S17の満水水位の判断処理において否定判断されても、異常カウンタの数が所定数未満であれば、一旦、貯水部10の水を排水して、再びS5の処理からリトライするようにしてもよい。これにより、結果として異常はなかった場合にも異常の報知がなされることを抑制できる。
上記各実施形態に係る液体微細化装置1は、例えば、熱交換気装置に搭載されてもよい熱交換気装置は、建物の室内に設けられた室内吸込口及び給気口と、建物の屋外に設けられた排気口及び外気吸込口と、本体内に設けられた熱交換素子とを備えたものである。
室内吸込口は、室内の空気を吸い込み、その吸い込まれた空気が排気口より屋外へ排気される。また、外気吸込口は、屋外の外気を吸い込み、その吸い込まれた外気が給気口より室内へ給気される。このとき、室内吸込口から排気口へ送られる空気と、外気吸込口から給気口へ送られる外気との間で、熱交換素子により熱交換が行われる。
熱交換気装置の機能の一つとして、加湿目的の水気化装置や、殺菌/消臭目的での次亜塩素酸気化装置といった液体を気化させる装置が組み込まれたものがある。熱交換気装置は、この液体を気化させる装置として、上記各実施形態に係る液体微細化装置1が組み込まれてもよい。具体的には、熱交換気装置の給気口側に、液体微細化装置1が設けられてもよい。
液体微細化装置1を備えた熱交換気装置は、熱交換素子による熱交換が行われた外気に対して、液体微細化装置1により加湿された水又は次亜塩素酸を含め、給気口より室内へ供給する。これらの液体を気化させるための機構として液体微細化装置1を用いることで、より小型でエネルギー効率のよい熱交換気装置を得ることができる。
また、上記各実施形態に係る液体微細化装置1は、空気清浄機や空気調和機に備えられてもよい。空気清浄機や空気調和機における機能の一つとして、加湿目的の水気化装置や、殺菌/消臭目的での次亜塩素酸気化装置といった液体を気化させる装置が組み込まれたものがある。この装置として、液体微細化装置1を用いることで、より小型でエネルギー効率のよい空気清浄機又は空気調和機を得ることができる。
上記各実施形態では、加湿装置として液体微細化装置1を例として説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、貯水部が設けられ、貯水部の水位を判定しながら水を給水する加湿装置であれば、本発明を適用可能である。